(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5898603
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】コネクタ及びシール部材
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20160324BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-237616(P2012-237616)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-89806(P2014-89806A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 康秋
(72)【発明者】
【氏名】島田 茂樹
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−223205(JP,A)
【文献】
特開2001−244018(JP,A)
【文献】
特開2002−050430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に断面四角形の本体部を有し、後方で電線の端末部に接続される端子金具と、
前記端子金具が後方から挿入される複数のキャビティを有するハウジングと、
前記ハウジングに後方から当接して配置され、前記各キャビティと連通する位置に、前記端子金具の通過後、前記電線が密着して挿入される複数の断面円形の挿入孔を有するシール部材とを備え、
前記シール部材の後面における前記挿入孔の開口縁部には、前記端子金具を誘い込む斜面部が拡開して形成され、
前記斜面部は、前記本体部の周縁部のうち四角部間の部分に当接可能な第1当接部と、前記本体部の四角部に当接可能な第2当接部とを有し、
前記第1当接部は、前記挿入孔内に突出する形態であって、周方向に等間隔をあけて配置され、前記キャビティ内に前記端子金具が挿入される場合に、前記第2当接部よりも先に前記本体部に当接するようになっていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記シール部材の前記挿入孔の内周面には、前記電線の外周面に弾性的に密着する内周リップが突出して形成され、前記第1当接部の前端が前記内周リップの頂部よりも後方に位置していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2当接部は、前記第1当接部が前記本体部によって圧潰された状態から前記本体部に当接し始める位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタのハウジングの後面に当接して配置され、前記ハウジングに収容される端子金具の通過後、前記端子金具に接続された電線が密着して挿入される複数の断面円形の挿入孔を有するシール部材であって、
前記挿入孔の後面側の開口縁部には、前記端子金具を誘い込む斜面部が後方に拡開して形成され、
前記斜面部は、前記端子金具における断面四角形をなす本体部の周縁部のうち四角部間の部分に当接可能な第1当接部と、前記本体部の四角部に当接可能な第2当接部とを有し、
前記第1当接部は、前記挿入孔内に突出する形態であって、周方向に等間隔をあけて配置され、前記ハウジングのキャビティ内に前記端子金具が挿入される場合に、前記第2当接部よりも先に前記本体部に当接するようになっていることを特徴とするシール部材。
【請求項5】
前記挿入孔の内周面には、前記電線の外周面に弾性的に密着する内周リップが突出して形成され、前記第1当接部の前端が前記内周リップの頂部よりも後方に位置していることを特徴とする請求項4記載のシール部材。
【請求項6】
前記第2当接部は、前記第1当接部が前記本体部によって圧潰された状態から前記本体部に当接し始める位置に配置されていることを特徴とする請求項4又は5記載のシール部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のコネクタは、端子金具と、ハウジングと、シール部材とを備えている。端子金具は、前方に相手端子金具と接続可能な断面四角形の本体部を有し、後方に電線の端末部に接続されるバレル部を有して構成される。ハウジングは、端子金具が後方から挿入される複数のキャビティを有している。そして、シール部材は、ハウジングに後方から当接して配置されるものであって、各キャビティと連通する位置に、端子金具の通過後、電線が密着して挿入される複数の断面円形の挿入孔を有している。また、シール部材の後面における挿入孔の開口縁部には、端子金具を誘い込む斜面部が拡開して形成されている。この場合、斜面部は、全周に亘って段差無く連なる形態とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−108765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シール部材の挿入孔内に端子金具が挿入される際、本体部の前端周縁部がその四角部も含めて斜面部に最初に当接するため、挿入孔の内周が四角部の形状に沿う形状に急激に変形させられることになる。その結果、最悪の場合、四角部のエッジ作用によって挿入孔の内周面が傷付き、所定のシール性が損なわれるおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シール部材の損傷を回避して所定のシール性を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、前方に断面四角形の本体部を有し、後方で電線の端末部に接続される端子金具と、前記端子金具が後方から挿入される複数のキャビティを有するハウジングと、前記ハウジングに後方から当接して配置され、前記各キャビティと連通する位置に、前記端子金具の通過後、前記電線が密着して挿入される複数の断面円形の挿入孔を有するシール部材とを備え、前記シール部材の後面における前記挿入孔の開口縁部には、前記端子金具を誘い込む斜面部が拡開して形成され、前記斜面部は、前記本体部の周縁部のうち四角部間の部分に当接可能な第1当接部と、前記本体部の四角部に当接可能な第2当接部とを有し、前記第1当接部は、前記挿入孔内に突出する形態であって、周方向に等間隔をあけて配置され、前記キャビティ内に前記端子金具が挿入される場合に、前記第2当接部よりも先に前記本体部に当接するようになっているところに特徴を有する。
【0007】
また、本発明のシール部材は、前記コネクタのハウジングの後面に当接して配置され、前記ハウジングに収容される端子金具の通過後、前記端子金具に接続された電線が密着して挿入される複数の断面円形の挿入孔を有するシール部材であって、前記挿入孔の後面側の開口縁部には、前記端子金具を誘い込む斜面部が後方に拡開して形成され、前記斜面部は、前記端子金具における断面四角形をなす本体部の周縁部のうち四角部間の部分に当接可能な第1当接部と、前記本体部の四角部に当接可能な第2当接部とを有し、前記第1当接部は、前記挿入孔内に突出する形態であって、周方向に等間隔をあけて配置され、前記ハウジングのキャビティ内に前記端子金具が挿入される場合に、前記第2当接部よりも先に前記本体部に当接するようになっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
斜面部が端子金具の本体部の周縁部のうち四角部間の部分に当接可能な第1当接部と四角部に当接可能な第2当接部とを有し、第1当接部が挿入孔内に突出する形態とされていて、ハウジングに端子金具が収容される場合に、第1当接部のほうが第2当接部よりも先に本体部に当接するようになっているため、挿入孔が本体部の四角部間の部分によって拡径された状態から四角部が挿入孔の内周面に当接することとなり、挿入孔の内周形状が急激に変形させられることがない。その結果、シール部材の損傷が回避され、シール部材による所定のシール性が維持される。
【0009】
また、各第1当接部が挿入孔内に突出する形態であって周方向に等間隔をあけて配置されているため、端子金具の挿入後、ハウジングの後面から引き出される電線が前後方向と交差する方向に振れても、振動の影響力がシール部材のシール領域に及ぶのが防止される。さらに、周方向に均等配置された各第1当接部によって本体部が挿入孔の軸心側に誘導されるため、端子金具が不正姿勢で挿入孔内に突入するのが阻止され、シール部材の損傷がより確実に回避される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1のコネクタにおいて、シール部材の斜面部に端子金具の本体部が当接し始めた状態をあらわす断面図である。
【
図3】ハウジングのキャビティ内に端子金具が正規挿入された状態をあらわす断面図である。
【
図5】端子金具の本体部が挿入孔の斜面部に当接した状態をあらわす
図4の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記シール部材の前記挿入孔の内周面には、前記電線の外周面に弾性的に密着する内周リップが突出して形成され、前記第1当接部の前端が前記内周リップの頂部よりも後方に位置している。端子金具の本体部が第1当接部に当接すると、第1当接部が変形して、変形の影響力が内周リップにも及んでシール性が低下する懸念があるものの、第1当接部の前端が内周リップの頂部よりも後方に位置していれば、内周リップに変形の影響力が大きく作用することはなく、シール性が格別低下することもない。
【0012】
前記第2当接部は、前記第1当接部が前記本体部によって圧潰された状態から前記本体部に当接し始める位置に配置されている。こうすると、挿入孔が本体部の四角部間の部分によって可能な限り拡径された状態から第2当接部が本体部の四角部に当接するため、シール部材の損傷がより効果的に抑えられる。
【0013】
<実施例1>
本発明の実施例1を
図1〜
図5によって説明する。本実施例は、ハウジング10、シール部材30、リアホルダ60及び端子金具80を備えたコネクタを例示するものである。
【0014】
端子金具80は導電性の金属板を曲げ加工等して一体に成形され、
図1に示すように、前部側に位置する本体部81と、後部側に位置するバレル部82、83とを有している。本体部81は、断面四角形(
図5を参照)の角筒状をなし、内部に、図示しない相手端子金具が挿入されて接続可能となっている。バレル部82、83は、本体部81の後方に一体に連なるオープンバレル状のワイヤバレル82と、ワイヤバレル82の後方に一体に連なるオープンバレル状のインシュレーションバレル83とからなる。ワイヤバレル82は、電線90の端末部において被覆92の除去により露出する芯線91に圧着により接続され、インシュレーションバレル83は、電線90の端末部における被覆92に圧着による接続されるようになっている。なお、本実施例の場合、本体部81は、バレル部82、83よりも大きい外形寸法を有している。
【0015】
ハウジング10は合成樹脂製であって、前方から図示しない相手ハウジングが嵌合可能とされている。そして、ハウジング10は、
図1に示すように、幅方向の長い角ブロック状のハウジング本体11と、ハウジング本体11の後面の周縁部から後方に突出する筒状の嵌合筒部12とを有している。ハウジング本体11には、複数のキャビティ13が前後方向に貫通して形成されている。各キャビティ13は、上下3段で且つ幅方向に多数整列して配置され、後方から端子金具80が挿入可能とされている。なお、各キャビティ13内に正規挿入された端子金具80は図示しないランスによって弾性的に抜け止め係止されるようになっている。
【0016】
嵌合筒部12の内部には、シール部材30及びリアホルダ60を収容可能な収容凹部14が後方に開放して形成され、収容凹部14に、ハウジング本体11の後面が臨んでいる。本実施例の場合、嵌合筒部12は、ハウジング本体11よりも一周り小さくされ、段差19を介してハウジング本体11に連なる形態とされている。
【0017】
シール部材30はシリコンゴム等のゴム製であって、
図4に示すように、全体として幅方向に長い矩形マット状をなしている。そして、シール部材30は、嵌合筒部12の収容凹部14内に収容された状態で、各キャビティ13と同軸に連通する位置に、複数の挿入孔31を有している。シール部材30の各挿入孔31は、断面円形に開口する形態とされ、内部に、端子金具80に接続された電線90が液密に挿入されるようになっている。シール部材30の外周面には、この外周面を周回する前後方向に3条の外周リップ32が突出して形成されている。
図1に示すように、嵌合筒部12の収容凹部14内にシール部材30が収容されると、各外周リップ32が収容凹部14の内周面に弾性的に密着するようになっている。また、シール部材30の各挿入孔31の内周面には、この内周面を周回する前後方向に2条の内周リップ33が突出して形成されている。
図3に示すように、シール部材30の各挿入孔31内に電線90が挿入されると、各内周リップ33が電線90の外周面に弾性的に密着するようになっている。なお、本実施例の場合、各内周リップ33は、挿入孔31の前後方向中央寄りに位置し、各外周リップ32と前後方向の位相をずらして配置されている。
【0018】
図2に示すように、シール部材30の各挿入孔31の後端部には、各挿入孔31内に端子金具80を誘い込む斜面部34が形成されている。斜面部34は、後側の内周リップ33の頂部35から後方へ向けてテーパ状に拡開する形態とされている。
図1に示すように、シール部材30の各挿入孔31の前端部にも後述する第1当接部37を除いて斜面部34とほぼ同形状となる前側斜面36が形成されている。
【0019】
図5に示すように、シール部材30の斜面部34の前後方向ほぼ中央部には、周方向に一定間隔(詳細には90度間隔)をあけて4つの第1当接部37が形成されている。各第1当接部37は、挿入孔31内に突出するリブ状の形態とされ、端子金具80が挿入孔31内に挿入された場合に、端子金具80の本体部81の周縁部のうち、四角部85間に位置する四辺部86に当接するようになっている。具体的には、各第1当接部37は、後方へ向けて周方向に拡開する背面視略扇状の形態とされ、
図2に示すように、後端から前方へ向けて次第に内側に傾斜する後方斜面38と、後方斜面38の前端から前方へ向けて前後方向に対して後方斜面38よりも緩い傾斜角で内側に傾斜する前方斜面39とを有している。後方斜面38及び前方斜面39は、いずれも斜面部34の傾斜面上にあって、後側の内周リップ33よりも後方に位置している。なお、本実施例の場合、
図5に示すように、各第1当接部37のうち、幅方向で対をなす第1当接部37は、高さ方向で対をなす第1当接部37よりも周方向に長く延出する形態とされている。
【0020】
また、
図5に示すように、シール部材30の斜面部34には、周方向に関して各第1当接部37の間の位置に、4つの第2当接部41が形成されている。各第2当接部41は、斜面部34の傾斜面に沿った形態とされ、各第1当接部37から一段落ちて配置されている。端子金具80が挿入孔31内に挿入されると、各第2当接部41が、端子金具80の本体部81の周縁部のうち、四角部85と対応する部分に当接するようになっている。この場合、各第1当接部37が挿入孔31内に突出する形状であることに起因し、後述するように、各第2当接部41は各第1当接部37に遅れて端子金具80の本体部81に当接するようになっている。
【0021】
リアホルダ60は合成樹脂製であって、シール部材30とほぼ同様の形状となる矩形マット状をなしている。
図1に示すように、リアホルダ60は、シール部材30に続いて嵌合筒部12の収容凹部14内に収容され、ハウジング10に対して図示しない係止手段によって係止されることにより、シール部材30がハウジング10から抜け出るのを規制する役割をはたす。リアホルダ60には、収容凹部14内に収容された状態で、シール部材30の各挿入孔31と同軸で連通する複数の貫通孔61が前後方向に貫通して形成されている。リアホルダ60の各貫通孔61内には、端子金具80の遊挿された後、電線90が遊嵌状態で挿入されるようになっている。
【0022】
次に、本実施例のコネクタの作用効果を説明する。
組み付けに際し、ハウジング10の収容凹部14内には、シール部材30が挿入され、次いで、リアホルダ60が挿入される。収容凹部14内にシール部材30及びリアホルダ60が正規挿入されると、シール部材30の前面がハウジング本体11の後面に密着するとともに、シール部材30の後面がリアホルダ60の前面に密着し、且つ各外周リップ32が収容凹部14の内周面に圧縮状態で密着して、ハウジング10との間が液密にシールされる。
【0023】
続いて、ハウジング10の各キャビティ13内に電線90付きの端子金具80が挿入される。この場合、端子金具80は、貫通孔61から挿入孔31を経てキャビティ13内に挿入される。
【0024】
端子金具80が挿入孔31内に挿入される過程では、
図1及び
図2に示すように、まず本体部81の四辺部86が斜面部34の各第1当接部37に当接し、四辺部86が各第1当接部37の後方斜面38を摺動する。そして、四辺部86が後方斜面38を摺動するのに伴い、挿入孔31が次第に拡径されるとともに、第1当接部37が本体部81に圧潰されてその突出寸法が徐々に減少させられる。また、各第1当接部37が周方向に等間隔をあけて配置されていることにより、本体部81が各第1当接部37によって挿入孔31の軸心側に誘導され、挿入孔31内への本体部81の挿入姿勢が適正に矯正される。
【0025】
こうして第1当接部37がほぼ完全に圧潰された状態となった後、本体部81の四角部85が挿入孔31の第2当接部41に当接する。この段階では、挿入孔31は四辺部86と第1当接部37との干渉に起因して大きく拡径された状態にあるため、挿入孔31の内周面に対する四角部85のラップ代が有意に減少させられており、四角部85のエッジ作用によってシール部材30が傷付くことはない。
【0026】
さらに、本体部81の全体が斜面部34を通過する段階になると、挿入孔31はいっそう押し拡げられた状態にあるため、端子金具80が挿入孔31内をスムーズに通過することが可能となる。その後、
図3に示すように、キャビティ13内に端子金具80が正規挿入されると、挿入孔31内に電線90が挿入され、各内周リップ33が電線90の外周面に弾性的に密着して、電線90との間が液密にシールされる。
【0027】
ところで、上記の場合において、ハウジング10のリアホルダ60の後面から引き出された電線90が前後方向と交差する方向に振られると、電線90の振動方向にシール部材30が追従して弾性変形し、シール部材30のシール性が損なわれる懸念がある。しかるに本実施例によれば、各第1当接部37が挿入孔31内に突出する形態であって周方向に等間隔をあけて配置されているため、本体部81が厚肉形状をなす各第1当接部37によって挿入孔31内に確実に位置決め保持され、シール部材30が電線90の振動方向に追従変形するのが阻止される。その結果、電線90の振動の影響が内周リップ33側に伝わるのが防止され、シール部材30のシール性が良好に維持される。
【0028】
また、各第1当接部37の前端が内周リップ33の頂部35よりも後方に離れて位置しているため、各第1当接部37が本体部81との干渉に起因して弾性変形しても、その変形の影響力が内周リップ33に大きく作用することはなく、シール部材30のシール性がより良好に維持される。
【0029】
しかも、各第2当接部41が各第1当接部37のほぼ全体が本体部81によって圧潰された状態から本体部81に当接し始めるため、各第2当接部41が本体部81に当接した段階では挿入孔31が本体部81の四辺部86によって可能な限り押し拡げられた状態にあり、シール部材30の損傷がより効果的に防止される。
【0030】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)各第2当接部は、各第1当接部と前後方向に位置ずれして配置されるものであってもよく、例えば、後側の内周リップの頂部を含む位置に配置されるものであってもよい。
(2)シール部材の前側斜面にも各第1当接部及び各第2当接部が形成されるものであってもよく、またそれによって、シール部材が前後方向に対称な形態になるものであってもよい。シール部材が前後対称な形態であれば、組み付け時に、シール部材の前後の識別が不要となる。
(3)各第1当接部のそれぞれが周方向の複数領域に分断される形態であってもよい。
(4)端子金具は、断面四角形をなす本体部の前端から前方に雄タブを突成させた雄側端子金具として構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
10…ハウジング
13…キャビティ
30…シール部材
31…挿入孔
32…外周リップ
33…内周リップ
34…斜面部
35…頂部
37…第1当接部
41…第2当接部
60…リアホルダ
80…端子金具
81…本体部
85…四角部
86…四辺部
90…電線