(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2004−23854号公報(特許文献1)のモータのように、エンドブラケットがステータコア内の磁極部(極歯)に接触しない嵌合構造を採用すると、ステータコアとロータとの対向面の面積を大きくすることができるため、モータのトルクを比較的大きくすることができる。しかしながら、この嵌合構造では、ステータコアとエンドブラケットとが複数箇所で嵌合するだけであるため、モータの剛性を大きくすることに限界があり、モータの振動や騒音が発生し易いという問題がある。
【0006】
実開平5−67188号公報(特許文献2)のモータのように、エンドブラケットの突出部がステータコア内側に嵌合する嵌合構造を採用すると、ステータコアとエンドブラケットとの接触面を大きくすることができるため、モータの剛性を大きくすることができ、振動及び騒音を小さくすることができる。しかしながら、この嵌合構造では、各エンドブラケットの突出部がステータコア内の磁極部(極歯)に接触するため、ステータコアとロータとの対向面の面積が小さくなる分だけ、モータトルクが小さくなる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、性能が高く、しかも剛性が大きい電気機器を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、組み立てが容易な電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ステータコアの端部にエンドブラケットが嵌合されてなる電気機器を改良の対象とする。ステータコアの端部には、該端部の外周側に角部を構成する外周側角部が形成されている。このステータコアの外周側角部には、外周の全周にわたって延びる位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の一方が形成されている。
【0010】
位置決め用環状段部は、後述の位置決め用環状突出部が嵌合するように環状に形成された段部であり、ステータコアとエンドブラケットとの位置関係が定まるように構成されている。位置決め用環状突出部は、位置決め用環状段部に嵌合するようにエンドブラケットと対向する方向に環状に突出し、ステータコアとエンドブラケットとの位置関係が定まるように構成されている。また、「位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の一方」とは、ステータコアの端部に位置決め用環状段部と位置決め用環状突出部のいずれを形成してもよいことを意味する。
【0011】
エンドブラケットには、位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の一方と全体的に嵌合される位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の他方が形成されている。ここで「位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の他方」とは、エンドブラケットに位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部のいずれを形成してもよく、ステータコアの端部に位置決め用環状段部が形成される場合は、エンドブラケットに位置決め用環状突出部が形成され、ステータコアの端部に位置決め用環状突出部が形成される場合は、エンドブラケットに位置決め用環状段部が形成されることを意味する。
【0012】
本発明のように、ステータコアの端部に形成された位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の一方とエンドブラケットの位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の他方とが嵌合する構造では、ステータコアにエンドブラケットを取り付けた際に、ステータコアの端部の端面にエンドブラケットが当接した状態で、ステータコアとエンドブラケットとの間に位置決め用環状段部の内周面と位置決め用環状突出部の外周面とが全周にわたって当接する嵌合構造を構成することができる。このような嵌合構造によれば、ステータコアの端部とエンドブラケットとの接触面を大きくすることができるため、ステータコアとエンドブラケットとの間の剛性を高くすることができる。また、ステータコアの端部にエンドブラケットを取り付けた際に、エンドブラケットの一部がステータコアの内部構造部材(磁極部等)に接触しないため、ステータコア(磁極部等)とロータ等との対向面の面積を大きくすることができる。そのため本発明によれば、従来よりも電気機器の性能を高くすることができる。
【0013】
ステータコアの端部の外周側角部に位置決め用環状段部を形成し、エンドブラケットに位置決め用環状突出部を形成する場合は、エンドブラケットに軸受固定部と該軸受固定部の外周部からステータコア側に延びる筒状周壁部とを設けるのが好ましい。この場合は
、筒状周壁部の先端部が位置決め用環状突出部として機能する。このような嵌合構造では、ステータコアの端部の端面にエンドブラケットが当接した状態で、ステータコア側の位置決め用環状段部の内周面にエンドブラケット側の位置決め用環状突出部(筒状周壁部)の外周面が全周にわたって当接する。したがって、ステータコアの端部に位置決め用環状段部を形成し、エンドブラケットに位置決め用環状突出部を形成する場合でも、ステータコアとエンドブラケットとの間に、上述のようなステータコアとエンドブラケットとの接触面が大きく、かつ、エンドブラケットの一部がステータコアの内部構造部材(磁極部等)に接触しない嵌合構造を構成することができる。
【0014】
また、ステータコアの端部の外周側角部に位置決め用環状突出部を形成し、エンドブラケットに位置決め用環状段部を形成する場合は、エンドブラケットに軸受固定部を設け、該軸受固定部の外周側角部に位置決め用環状段部を形成するのが好ましい。このような嵌合構造では、ステータコアの端部の端面にエンドブラケットが当接した状態で、ステータコア側の位置決め用環状突出部の外周面にエンドブラケット側の位置決め用環状段部の内周面が全周にわたって当接する。したがって、ステータコアの端部に位置決め用環状突出部を形成し、エンドブラケットに位置決め用環状段部を形成する場合でも、ステータコアとエンドブラケットとの間に、上述のようなステータコアとエンドブラケットとの接触面が大きく、かつ、エンドブラケットの一部がステータコアの内部構造部材(磁極部等)に接触しない嵌合構造を構成することができる。
【0015】
なお、複数枚の磁性鋼板を積層してステータコアを構成する場合は、ステータコアの主要部を構成するための磁性鋼板の形状とは異なる形状の磁性鋼板を積層することによって、ステータコアに設けられる位置決め用環状段部または位置決め用環状突出部を形成すればよい。ここで、ステータコアの主要部は、位置決め用環状段部または位置決め用環状突出部を構成する部分を除いた部分、すなわち、ステータコアの磁極部とこの磁極部を囲むステータコアのヨーク等によって構成されている。ステータコアに位置決め用環状段部を設ける場合は、位置決め用環状段部を構成するための磁性鋼板は、ステータコアのヨークの端面上に積層されて、磁極部の端面との間に段差を形成することができる形状を有する。また、ステータコアに位置決め用環状突出部を設ける場合は、位置決め用環状突出部を構成するための磁性鋼板は、ステータコアのヨークの端面上に積層されて、ヨークの端面との間に段差を形成する形状を有しているものを用いることができる。
【0016】
このように複数枚の磁性鋼板を積層して構成したステータコアを用いる場合でも、ステータコアに位置決め用環状突出部または位置決め用環状段部を形成することができる。そして、ステータコアの端部にエンドブラケットを嵌合する際に、ステータコアの内部にエンドブラケットの一部が挿入されることがない(ステータコアの内部に形成された複数の磁極の先端(極歯)にエンドブラケットの一部が接触することはない)ため、ステータコアの複数の磁極の先端(極歯)の表面積を大きくすることができるので、回転電機
を含む電気機器の性能(トルク)を向上させることができる。
【0017】
ステータコアの位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部、並びにエンドブラケットの位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部は、位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の径方向において互いに接触する接触面がそれぞれ円筒面になるように構成するのが好ましい。ステータコアとエンドブラケットとが嵌合する接触面をこのような円筒面にすると、ステータコアに対するエンドブラケットの位置決め精度を高めることができる。また、ステータコアとエンドブラケットとの間の隙間を小さくすることができるので、隙間で発生する振動及び騒音を低減することができる。
【0018】
上述した嵌合構造を有する本発明は、種々の電気機器に適用することができる。例えば、内部でロータが回転するステータコアの両端部にロータの回転軸を支持する軸受が保持される一対のエンドブラケットが嵌合されているステッピングモータ等の回転電機にも本発明を用いることができる。この場合は、ステータコアの両端部の外周側角部に、全周にわたって延びる位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の一方を形成し、一対のエンドブラケットには、位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の一方と全体的に嵌合される位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の他方を形成すればよい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電気機器を回転電機の一種であるステッピングモータに用いた実施の形態について説明する。
図1(A)は、本発明の実施の形態としてステッピングモータの一例を示す断面図であり、
図1(B)は、
図1(A)のステッピングモータの一部(第1のエンドブラケット)の平面図である。また、
図2は、
図1のステッピングモータの一部(ステータコア及び一対のエンドブラケット)を分解して示した斜視図である。
図1及び
図2に示すように、ステッピングモータ1は、ステータコア3と、一対のエンドブラケット(第1のエンドブラケット5及び第2のエンドブラケット7)と、ロータ9とから構成されている。ステータコア3は、打ち抜き加工された複数枚の磁性鋼板を積層して構成されている。ステータコア3の形状は、
第1のエンドブラケット5と対向する方向から見た輪郭形状が四角形状となる形状を有している[
図2参照]。ステータコア3の内部には、ロータ9の回転を許容しかつロータ9の回転軸90が貫通する貫通孔30が構成されている。ステータコア3の両端部(一方の端部31及び他方の端部32)には、それぞれ両端部31,32の外周側に角部を構成する外周側角部33,34が形成されている。
【0021】
ステータコア3の外周側角部33,34には、それぞれ外周の全周にわたって延びる位置決め用環状段部35,36が形成されている。位置決め用環状段部35,36は、ステータコアの主要部(
図2に示すステータコア3の磁極部37及びヨーク38)を構成するための磁性鋼板の形状とは異なる形状の磁性鋼板を積層することにより構成されている。具体的には、ステータコア3の貫通孔30内で回転するロータ9と対向する磁極部37(基部37A、極柱37B及び極歯37C)と磁極部37の外周を囲むヨーク38とを一体に構成するための磁性鋼板と、位置決め用環状段部35,36を形成するための磁性鋼板とが異なる形状に定められている。これらの形状の異なる磁性鋼板を別々に積層することにより、磁極部37及びヨーク38を一体に形成した後に、ヨーク38の一方の端部38Aに、磁極部37の一方の端部37Dとの間に段差d1を構成するように位置決め用環状
段部35を形成し、ヨーク38の他方の端部38Bに、磁極部37の他方の端部37Eとの間に段差d2を構成するように位置決め用環状
段部36を形成する。
【0022】
なお、ステータコア3の四隅(位置決め用環状段部35,36のそれぞれの四隅)には、ステータコア3に一対のエンドブラケット5,7を取り付けるために図示しないネジが螺合するネジ孔39がそれぞれ設けられている。
【0023】
一対のエンドブラケットのうち第1のエンドブラケット5は、基部50、軸受固定部51と、筒状周壁部52及びフランジ部53を備えて、ステータコア3の一方の端部31に取り付けられる。基部50の中央部50Aには、ロータ9の回転軸90の回転を許容するようにステータコア3と第1のエンドブラケット5が対向する方向に貫通する貫通孔50Bが設けられている。
【0024】
軸受固定部51は、基部50の中央部50Aからステータコア3側に延びる環状の凹部51Aを備えている。軸受固定部51の凹部51Aには、第1のエンドブラケット5がステータコア3に取り付けられた状態で、ロータ9の回転軸90を回転可能に支持する軸受け6が固定される。
【0025】
筒状周壁部52は、軸受固定部51の外周部50Cからステータコア3側に延びる筒状の壁部52Aと、壁部52Aの外周側に位置して壁部52Aとの間に段差d1を構成する外側端面52Bを備えている。本例では、この筒状周壁部52の先端部(壁部52A)がステータコア3の位置決め用環状段部35と嵌合する位置決め用環状突出部54を形成する。
【0026】
フランジ部53は、筒状周壁部52の外周部50Cに形成され、その輪郭形状は第1のエンドブラケット5の輪郭形状と一致する[
図1(B)参照]。フランジ部53の四隅には、ステータコア3の一方の端部31に形成された4つのネジ孔39に対応するネジ孔55がそれぞれ形成されている。このフランジ53がステータコア3の一方の端部31に当接して、ステータコア3の一方の端部31側の4つネジ孔39とフランジ部53の4つのネジ孔55とを図示しないネジで螺合することにより、ステータコア3に第1のエンドブラケット5が取り付けられる。
【0027】
一対のエンドブラケットのうち第2のエンドブラケット7は、基部70、軸受固定部71と、筒状周壁部72及びフランジ部73を備えて、ステータコア3の他方の端部32に取り付けられる。基部70の中央部70Aには、軸受固定部71が設けられている。
【0028】
軸受固定部71は、基部70の中央部70Aからステータコア3側に延びる環状の凹部71Aを備えている。軸受固定部71の凹部71Aには、第2のエンドブラケット7がステータコア3に取り付けられた状態で、ロータ9の回転軸90の一方の端部90Aを回転可能に支持する軸受け8が固定される。
【0029】
筒状周壁部72は、軸受固定部71の外周部70Cからステータコア3側に延びる筒状の壁部72Aと、壁部72Aの外周側に位置して壁部72Aとの間に段差d2を構成する外側端面72Bを備えている。本例では、この筒状周壁部72の全体(壁部72A)がステータコア3の位置決め用環状段部36と嵌合する位置決め用環状突出部74を形成する。
【0030】
フランジ部73は、筒状周壁部72の外周部70Cに形成され、その輪郭形状は上述した第1のエンドブラケット5の輪郭形状と一致する[
図1(B)参照]。フランジ部73の四隅には、ステータコア3の他方の端部32に形成された4つのネジ孔39に対応するネジ孔75(上述した第1のエンドブラケット5の4つのネジ孔55と同一形状を有する)が形成されている。このフランジ部73がステータコア3の他方の端部32に当接して、ステータコア3の他方の端部32側の4つネジ孔39とフランジ部73の4つのネジ孔75とに図示しないネジで螺合することにより、ステータコア3に第2のエンドブラケット7が取り付けられる。
【0031】
ロータ9は、回転軸90と、回転軸90に固定された2つのロータスタック91,92と、ロータスタック91,92間に配置される永久磁石93とを備えている。ロータ9は、第1のエンドブラケット5に保持された軸受け6と第2のエンドブラケット7に保持された軸受け8とに回転軸90が回転可能に支持された状態で、ステータコア3の貫通孔30内でロータスタック91,92が回転するように構成されている。
【0032】
図3(A)は、ステータコア3の一方の端部31と第1のエンドブラケット5の間に構成される嵌合構造の拡大図である。
図3(A)に示すように、ステータコア3に第1のエンドブラケット5が取り付けられた状態で、ステータコア3の位置決め用環状段部35と第1のエンドブラケット5の位置決め用環状突出部54とが全体的に嵌合する。具体的には、
図3(A)に示すように、ステータコア3の位置決め用環状段部35の端部35Aの端面35Bに位置決め用環状突出部54を構成する筒状周壁部52の外側端面52Bが当接し、位置決め用環状段部35の端部35Aの内周面35Cに壁部52Aの外周面52Cが当接することにより、ステータコア3の位置決め用環状段部35と第1のエンドブラケット5の位置決め用環状突出部54との間に嵌合構造が構成される。この嵌合構造では、位置決め用環状段部35及び位置決め用環状突出部54の径方向において互いに接触する接触面(すなわち、位置決め用環状段部35の端部35Aの端面35Bと筒状周壁部52の外側端面52Bとが当接した状態で、位置決め用環状段部35の端部35Aの内周面35Cと筒状周壁部52の外周面52Cとが当接する面)は、円筒面を構成している。そのため、ステータコア3の一方の端部31に第1のエンドブラケット5を取り付ける際に、ステータコア3と第1のエンドブラケット5との間で位置決めが容易になるため、ステータコア3に第1のエンドブラケット5を取り付ける作業が容易になる。また、ステータコア3の位置決め用環状段部35と第1のエンドブラケット5の位置決め用環状突出部54とが嵌合する接触面をこのような円筒面にすることにより、ステータコア3に対する第1のエンドブラケット5の位置決め精度を高めることができる。
【0033】
一方、ステータコア3の一方の端部31に第1のエンドブラケット5を取り付けた後は、第1のエンドブラケット5の一部がステータコア3の内部構造部材(磁極部37)に接触しないため、ステータコア(磁極部)とロータとの対向面の面積が大きくなる分だけ、従来よりもステッピングモータのトルクを大きくすることができる。また、ステータコア3の一方の端部31と第1のエンドブラケット5との間の接触面(円筒面)により、ステータコア3と第1のエンドブラケット5との間の接触面積を大きくすることができるので、ステータコア3と第1のエンドブラケット5との間で剛性を高めることができる。さらに、ステータコア3の一方の端部31と第1のエンドブラケット5との間の隙間を小さくすることができるため、ステータコア3と第1のエンドブラケット5との間で振動及び騒音を低減することができる。
【0034】
図3(B)は、ステータコア3の他方の端部32と第2のエンドブラケット7の間に構成される嵌合構造の拡大図である。
図3(B)に示すように、ステータコア3に第2のエンドブラケット7が取り付けられた状態で、ステータコア3の位置決め用環状段部36と第2のエンドブラケット7の位置決め用環状突出部74とが全体的に嵌合する。具体的には、
図3(B)に示すように、ステータコア3の位置決め用環状段部36の端部36Aの端面36Bに位置決め用環状突出部74を構成する筒状周壁部72の外側端面72Bが当接し、位置決め用環状段部36の端部36Aの内周面36Cに壁部72Aの外周面72Cが当接することにより、ステータコア3の位置決め用環状段部36と第2のエンドブラケット7の位置決め用環状突出部74との間に嵌合構造が構成される。
図3(B)に示す嵌合構造では、位置決め用環状段部36及び位置決め用環状突出部74の径方向において互いに接触する接触面(すなわち、位置決め用環状段部36の端部36Aの端面36Bと筒状周壁部72の外側端面72Bとが当接した状態で、位置決め用環状段部36の端部36Aの内周面36Cと筒状周壁部72の外周面72Cとの当接する面)は、それぞれ円筒面を構成している。そのため、ステータコア3の他方の端部32に第2のエンドブラケット7を取り付ける際に、ステータコア3と第2のエンドブラケット7との間で位置決めが容易になるので、ステータコア3に第2のエンドブラケット7を取り付ける作業も容易になる。また、ステータコア3の位置決め用環状段部36と第2のエンドブラケット7の位置決め用環状突出部74とが嵌合する接触面をこのような円筒面にすることにより、ステータコア3に対する第2のエンドブラケット7の位置決め精度を高めることができる。
【0035】
一方、ステータコア3の他方の端部32に第2のエンドブラケット7を取り付けた後は、第2のエンドブラケット7の一部がステータコア3の内部構造部材(磁極部37)に接触しないため、ステータコア(磁極部)とロータとの対向面の面積を大きくすることができる分だけ、従来よりもステッピングモータのトルクを大きくすることができる。また、ステータコア3の他方の端部32と第2のエンドブラケット7との間の接触面(円筒面)により、ステータコア3と第2のエンドブラケット7との間の接触面積を大きくすることができるので、ステータコア3と第2のエンドブラケット7との間でも剛性を高めることができる。さらに、ステータコア3の他方の端部32と第2のエンドブラケット7との間の隙間を小さくすることができるため、ステータコア3と第2のエンドブラケット7との間でも振動及び騒音を低減することができる。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態としてステッピングモータの他例を示す断面図であり、
図5は、
図4のステッピングモータの一部(ステータコア及び一対のエンドブラケット)を分解して示した斜視図であり、
図6(A)及び(B)は、ステッピングモータの他例におけるステータコアと一対のエンドブラケットとの間に構成される嵌合構造の拡大図である。なお、ステッピングモータの他例において、上述したステッピングモータの一例(ステッピングモータ1)と共通する部分については、
図1乃至
図3において付された符号の数に100の数を加えた数を、
図4乃至
図6に付すことにより説明を省略する。
【0037】
図4及び
図5に示すように、ステータコア103の外周側角部133,134には、それぞれ外周の全周にわたって延びる位置決め用環状突出
部135,136が形成されている。位置決め用環状突出部135,136は、ステータコアの主要部(
図5に示すステータコア103の磁極部137及びヨーク138)を形成するための磁性鋼板の形状とは異なる形状の磁性鋼板を積層することにより形成する。これらの異なる形状の磁性鋼板を別々に積層することにより、磁極部137及びヨーク138を一体に形成した後に、磁極部137の一方の端部137Dに、ヨーク138の一方の端部138Aとの間に段差d101を構成するように位置決め用環状突出部135を形成し、磁極部137の他方の端部137Eに、ヨーク138の他方の端部138Cとの間に段差d102を構成するように位置決め用環状突出部136を形成する。
【0038】
一対のエンドブラケットのうち第1のエンドブラケット105には、上述の第1のエンドブラケット5の筒状周壁部52(位置決め用環状突出部54)の代わりに、位置決め用環状段部154が設けられている。位置決め用環状段部154は、軸受固定部151の外周側角部152に形成されている。ステータコア103と第1のエンドブラケット105とが対向する方向から見た位置決め用環状段部154の輪郭形状は、第1のエンドブラケット105の輪郭形状と一致する[
図1(B)参照]。位置決め用環状段部154は、ステータコア103に第1のエンドブラケット105が取り付けられる際にフランジ部153として機能する。
【0039】
一対のエンドブラケットのうち第2のエンドブラケット107には、上述の第2のエンドブラケット7の筒状周壁部72(位置決め用環状突出部74)の代わりに、位置決め用環状段部174が設けられている。位置決め用環状段部174は、軸受固定部171の外周側角部172に形成されている。ステータコア103と
第2のエンドブラケット
107とが対向する方向から見た位置決め用環状段部
174の輪郭形状は、第2のエンドブラケット107の輪郭形状と一致する[
図5参照]。位置決め用環状段部174も、ステータコア103に
第2のエンドブラケット
107が取り付けられる際にフランジ部173として機能する。
【0040】
このステッピングモータ101では、ステータコア103に第1のエンドブラケット105が取り付けられた状態で、ステータコア103の位置決め用環状突出部135と第1のエンドブラケット105の位置決め用環状段部
154とが全体的に嵌合する。具体的には、
図6(A)に示すように、ステータコア103のヨーク138の一方の端部138Aの端面138Bに位置決め用環状段部154の端部154Aの端面154Bが当接し、位置決め用環状突出部135の外周面135Aに位置決め用環状段部154の端部154Aの内周面154Cが当接することにより、ステータコア103の位置決め用環状突出部135と第1のエンドブラケット105の位置決め用環状段部154との間に嵌合構造が構成される。このステッピングモータ101における嵌合構造でも、位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の径方向において互いに接触する接触面(すなわち、ヨーク138の一方の端部138Aの端面138Bに位置決め用環状段部154の端部154Aの端面154Bが当接した状態で、位置決め用環状突出部135の外周面135Aと位置決め用環状段部154の端部154Aの内周面154Cとが当接する面)は、円筒面を構成している。そのため、ステータコア103の一方の端部131に第1のエンドブラケット105を取り付ける際に、ステータコア103と第1のエンドブラケット105との間で位置決めが容易になるため、ステータコア103に第1のエンドブラケット105を取り付ける作業が容易になる。また、ステータコア103の位置決め用環状突出部135と第1のエンドブラケット
105の位置決め用環状段部154とが嵌合する接触面をこのような円筒面にすることにより、ステータコア103に対する第1のエンドブラケット105の位置決め精度を高めることができる。
【0041】
一方、ステータコア103の一方の端部131に第1のエンドブラケット105を取り付けた後は、第1のエンドブラケット105の一部がステータコア103の内部構造部材(磁極部137)に接触しないため、ステータコア(磁極部137)とロータ109との対向面の面積が大きくなる分だけ、従来よりもステッピングモータのトルクを大きくすることができる。また、ステータコア103の一方の端部131と第1のエンドブラケット105との間の接触面(円筒面)により、ステータコア103と第1のエンドブラケット105との間の接触面積を大きくすることができるので、ステータコア103と第1のエンドブラケット105との間で剛性を高めることができる。また、ステータコア103の一方の端部131と第1のエンドブラケット105との間の隙間を小さくすることができるため、ステータコア103と第1のエンドブラケット105との間で振動及び騒音を低減することができる。
【0042】
また、ステッピングモータ101では、ステータコア103に第2のエンドブラケット107が取り付けられた状態で、ステータコア103の位置決め用環状
突出部136と第2のエンドブラケット107の位置決め用環状
段部174とが全体的に嵌合する。具体的には、
図6(B)に示すように、ステータコア103のヨーク138の他方の端部138Cの端面138Dに位置決め用環状段部174の端部174Aの端面174Bが当接し、位置決め用環状突出部136の外周面136Aに位置決め用環状段部174の端部174Aの内周面174Cが当接することにより、ステータコア103の位置決め用環状突出部136と
第2のエンドブラケット
107の位置決め用環状段部174との間に嵌合構造が構成される。このステッピングモータ101における嵌合構造でも、位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の径方向において互いに接触する接触面(すなわち、ヨーク138の他方の端部138Cの端面138Dに位置決め用環状段部174の端部174Aの端面174Bが当接した状態で、位置決め用環状突出部136の外周面136Aと位置決め用環状段部174の端部174Aの内周面174Cとが当接する面)は、円筒面を構成している。そのため、ステータコア103の他方の端部132に第2のエンドブラケット107を取り付ける際に、ステータコア103と第2のエンドブラケット107との間で位置決めが容易になるため、ステータコア103に第2のエンドブラケット107を取り付ける作業が容易になる。また、ステータコア103の位置決め用環状突出部136と第2のエンドブラケット107の位置決め用環状段部174とが嵌合する接触面をこのような円筒面にすることにより、ステータコア103に対する第2のエンドブラケット107の位置決め精度を高めることができる
一方、ステータコア103の他方の端部132に第2のエンドブラケット107を取り付けた後は、第2のエンドブラケット
107の一部がステータコア103の内部構造部材(磁極部137)に接触しないため、ステータコア(磁極部)とロータとの対向面の面積が大きくなる分だけ、従来よりもステッピングモータのトルクを大きくすることができる。また、ステータコア103の
他方の端部
132と第2のエンドブラケット
107との間の接触面(円筒面)により、ステータコア103と第2のエンドブラケット107との間の接触面積を大きくすることができるので、ステータコア103と第2のエンドブラケット107との間で剛性を高めることができる。また、ステッピングモータ101内で発生した振動は、ステータコア103の他方の端部132と
第2のエンドブラケット107との間では、ステータコア103の位置決め用環状
突出部136と第2のエンドブラケット107の位置決め用環状
段部174との接触面(円筒面)を介して周方向に均等に伝播するため、
さらに、ステータコア103の他方の端部132と第2のエンドブラケット107との間の隙間を小さくすることができるため、ステータコア103と第2のエンドブラケット107との間で振動及び騒音を低減することができる。
【0043】
以上、本発明の電気機器の実施の形態として、ステータコア3の両端部31,32のいずれにも位置決め用環状段部(位置決め用環状段部35,36)を設け、一対のエンドブラケット5,7のいずれにも位置決め用環状突出部(位置決め用環状突出部54,74)が設ける態様(ステッピングモータ1)、及び、ステータコア103側の両端部131,132のいずれにも位置決め用環状突出部(位置決め用環状突出部135,136)を設け、一対のエンドブラケット105,107のいずれにも位置決め用環状突出部(位置決め用環状段部154,174)を設ける態様(ステッピングモータ101)を示した。しかしながら、本発明の電気機器の態様(嵌合構造を構成するための位置決め用環状段部及び位置決め用環状突出部の組み合わせ)は、ステッピングモータ1,101の態様に限定されるものではない。すなわち、ステータコアの一方の端部に位置決め用環状段部を設け、ステータコアの他方の端部に位置決め用環状突出部を設け、第一のエンドブラケットに位置決め用環状突出部を設け、かつ第2のエンドブラケットに位置決め用環状段部を設ける態様を採用しても良い。また、ステータコアの一方の端部に位置決め用環状突出部を設け、ステータコアの他方の端部に位置決め用環状段部を設け、第一のエンドブラケットに位置決め用環状段部を設け、かつ第2のエンドブラケットに位置決め用環状突出段部を設ける態様を採用しても良い。
【0044】
また、本発明の実施の形態では、電気機器の具体例として回転電機の一種であるステッピングモータを対象としているが、ステータコアの端部にエンドブラケットが取り付けられる構成を備える電気機器であれば、リニアモータ、発電機、レゾルバ等の電気機器も対象にすることができるのは勿論である。
【0045】
このように、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく変更が可能である。