(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬剤収容具は屋内で使用されることがあり、その場合、特にインテリアの一部として利用されるケースもある。インテリアの一部とする場合には、デザインが重要視される。そこで、薬剤を着色し、その薬剤が外部から見えるようにすることによって薬剤の色もデザインの一部として利用することが考えられる。こうすることで、薬剤の残量を把握しやすくなるという利点もある。
【0005】
しかしながら、薬剤収容具に収容した薬剤が溶剤や精油等のオイルベースの液体である場合には、そのオイルの影響によってフィルムが膨潤して伸びてしまう。
【0006】
この膨潤による伸びのため、薬剤収容具を立てた状態で置いておくと、薬剤の重量によってフィルムの下側部分に上側部分よりも大きな力が加わって下側部分が上側部分に比べて薬剤収容具の外側へ向けて膨らむように変形する恐れがある。こうなると、フィルムの下側部分が膨らんだ分、薬剤収容具の下側部分の厚みが増すことになり、外部から見たとき、下側部分に収容されている薬剤の色が上側部分に比べて濃く見え、見栄えが悪い。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、着色された薬剤を外部から見えるように収容して揮発薬剤透過フィルムによって揮発成分を放散するようにする場合に、薬剤の色が上側から下側に亘って同じような濃さに見えるようにして見栄えを良好にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、薬剤収容具の上側部分と下側部分とで容器の内面と揮発薬剤透過フィルムの内面との離間寸法が略同じになるようにした。
【0009】
第1の発明では、
揮発性を有する着色された薬剤を収容して揮発した成分を放散するように構成された薬剤収容具において、
上下方向に連続した開放部分を有する容器と、
上記容器の開放部分を覆うように設けられ、揮発した薬剤を通し、かつ、揮発していない薬剤を通さないように構成された揮発薬剤透過フィルムとを備え、
上記容器と上記揮発薬剤透過フィルムとの少なくとも一方は透光性を有しており、
上記容器は、板状に形成されるとともに、該容器外方へ膨出して上下方向に延びる薬剤収容部を有し、該薬剤収容部が上下方向に連続した開放部分を有しており、
上記薬剤収容部の膨出量は、下側へ行くほど小さく設定され、
上記薬剤との接触によって膨潤しかつ当該薬剤の重量によって外側に膨らむように変形した状態における上記揮発薬剤透過フィルムの内面と、上記容器の薬剤収容部の内面と、の離間寸法が上側部分と下側部分とで略同じに設定されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、例えば容器が透光性を有している場合には、薬剤が容器側から見えることになる。このとき、薬剤の重量及びその成分によって揮発薬剤透過フィルムの下側部分が上側部分に比べて容器外側へ膨らむようになることがあるが、この
状態において、容器の内面と揮発薬剤透過フィルムの内面との離間寸法が上側部分と下側部分とで略同じになっているので、薬剤の色がその上側から下側に亘って同じような濃さに見える。
【0011】
つまり、容器の内面と揮発薬剤透過フィルムの内面との離間寸法が上側部分と下側部分とで略同じというのは、肉眼で見たとき、薬剤の色が上側から下側に亘って同じような濃さに見える寸法であればよく、厳密に同一寸法でなくてもよい。
【0012】
また、薬剤収容部の膨出量によって容器の内面と揮発薬剤透過フィルムの内面との離間寸法を上側部分と下側部分とで略同じにすることが可能になる。この容器は、揮発薬剤透過フィルムに比べて変形しにくく、よって、薬剤の色を上側から下側に亘って確実に同じような濃さにすることが可能になる。
【0013】
第
2の発明では、第
1の発明において、
上記容器及び上記揮発薬剤透過フィルムの両方が透光性を有していることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、容器と揮発薬剤透過フィルムの両方が透光性を有しているので、薬剤の濃さが上側と下側とで変化した場合により分かり易くなり、この場合に、本発明の容器の内面と揮発薬剤透過フィルムの内面との離間寸法を上側部分と下側部分とで略同じに設定したことの作用効果が顕著なものとなる。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、
薬剤との接触によって膨潤しかつ当該薬剤の重量によって外側に膨らむように変形した状態における揮発薬剤透過フィルムの内面と、容器の薬剤収容部の内面と、の離間寸法を上側部分と下側部分とで略同じに設定したので、薬剤の色が上側から下側に亘って同じような濃さに見え、見栄えを良好にすることができる。
【0016】
また、板状の容器に、外方へ膨出して上下方向に延びる薬剤収容部を形成し、この薬剤収容部の膨出量を下側へ行くほど小さく設定している。これにより、変形しにくい容器によって、容器の内面と揮発薬剤透過フィルムの内面との離間寸法を上側部分と下側部分とで略同じにすることができる。従って、薬剤の色を上側から下側に亘って確実に同じような濃さにすることができる。
【0017】
第
2の発明によれば、容器及び揮発薬剤透過フィルムの両方が透光性を有しているので、本発明の作用効果をより一層顕著なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態にかかる薬剤収容具としてのカートリッジ10を備えた薬剤放散器1の斜視図である。この薬剤放散器1は、カートリッジ10の他に、該カートリッジ10を収容する本体30を備えており、例えば屋内の所定箇所に置いてインテリアの一部として使用することができるようになっている。
【0021】
尚、この実施形態の説明では、薬剤放散器1の使用状態で下となる側を単に下といい、上となる側を単に上というものとする。また、使用状態で正面となる側を表側といい、背面となる側を裏側という。
【0022】
はじめにカートリッジ10について説明する。カートリッジ10は、容器11と、フィルム14と、薬剤とからなるものである。薬剤は揮発性を有する液体であり、例えば、害虫の忌避剤、殺虫剤、芳香剤、消臭剤等が挙げられ、これらのうち1種類のみを容器11に充填してもよいし、複数種を混合して容器11に充填してもよい。薬剤は、溶剤や精油等のオイルベースのものである。また、薬剤は、例えば透光性を有する青色や緑色等に着色されている。
【0023】
図6〜
図11に示すように、容器11は全体として矩形板状をなしており、
図9にも示すようにカートリッジ10の表側を構成するトレー状に形成されている。カートリッジ10は、
図8に示すように容器11の上下方向の中間部が上部及び下部に比べて表側に位置するように全体として緩やかに湾曲している。
【0024】
容器11は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)等の無色透明な硬質樹脂製の板材を成形してなるものであり、弾性変形するようになっている。
【0025】
容器11の周縁部は、平面で構成されたフランジ部13aとされている。容器11のフランジ部13aよりも内方の上部には、上側膨出部20が形成されている。
図6にも示すように、この上側膨出部20は、容器11の幅方向に延びている。また、上側膨出部20の長手方向(容器11の幅方向に相当)の両端部は、下方へ突出する形状となっている。
【0026】
また、容器11のフランジ部13aよりも内方には、上側膨出部20よりも下側に、第1〜第5膨出部21〜25が設けられている。第1〜第5膨出部21〜25は、上側膨出部20に連なって容器11の下端近傍まで延びる形状となっており、従って、容器11には、第1〜第5膨出部21〜25により上下方向に連続した開放部分が形成される。また、第1〜第5膨出部21〜25は、容器11の幅方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0027】
第1膨出部21は容器11の左端近傍に設けられ、第5膨出部25は容器11の右端近傍に設けられている。第2〜第4膨出部22〜24は、第1膨出部21と第5膨出部25の間で、第1膨出部21側から第5膨出部25側に順に並んでいる。
【0028】
カートリッジ10のフィルム14は、気化した薬剤を通し、かつ、気化していない薬剤を通さないように構成された柔軟な揮発薬剤透過フィルムで構成されている。フィルム14の材料としては、液体を通さず、気体を通す性質を有する周知の材料であればよく、例えば、特表2001−523119号公報に開示されているものが挙げられるが、これ以外のフィルムを用いることも可能である。
【0029】
図示しないが、フィルム14の裏面には、カートリッジ10の使用前において薬剤を透過させないようにするための非透過性フィルムが接着剤によって剥離可能に貼り付けられている。この非透過性フィルムは、例えば、アルミニウムフィルム等を用いることができる。
【0030】
フィルム14は、熱可塑性樹脂で構成されている。フィルム14の周縁部は容器11のフランジ部13aに全周に亘って熱溶着されている。また、フィルム14における容器11の第1〜第5膨出部21〜25の間の部分は、容器11に熱溶着されている。従って、第1〜第5膨出部21〜25の開放部分はフィルム14によって覆われ、第1〜第5膨出部21〜25はフィルム14によって区画されることになる。
【0031】
フィルム14は、例えは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはそれらの複合ラミネートフィルム等が挙げられる。
【0032】
図6や
図7に示すように、容器11の第1膨出部21は、幅方向に広い断面形状を有する第1〜第4幅広部21a〜21dと、幅広部21a〜21dよりも狭い断面形状を有する第1〜第4狭小部21e〜21hとを有しており、
図9にも示すように、第1狭小部21e、第1幅広部21a、第2狭小部21f、第2幅広部21b、…の順に上下方向に並んでいる。第1狭小部21eが上側膨出部20に連なっている。
【0033】
第1〜第4幅広部21a〜21dの上下方向の寸法は、第1〜第4狭小部21e〜21hの上下方向の寸法よりも長く設定されており、断面積は、第1〜第4幅広部21a〜21dの方が広くなっている。
【0034】
図10に示すように、フランジ部13aのフィルム14との接合面(仮想線上の面)から第1幅広部21aの内面までの寸法Aは、第1幅広部21aの深さであり、この深さAは、2.1mmに設定されている。
【0035】
また、第2幅広部21bの深さBは2.1mmであり、第3幅広部21cの深さCは1.8mmであり、第4幅広部21dの深さDは1.6mmである。
【0036】
このように第1〜第4幅広部21a〜21dの深さA〜Dを変えているのは、使用状態において第1〜第4膨出部21a〜21dの内面とフィルム14の内面との離間寸法を互いに略同じにするためである。
【0037】
このことについて、まず、フィルム14の性質から説明する。上記した樹脂からなるフィルム14は、オイルベースの薬剤に触れると膨潤する性質を有している。フィルム14の膨潤は、薬剤に触れてから始まり、数時間から1日程度で終わる。薬剤に触れて膨潤が終わったフィルム14は、薬剤に触れる前のフィルム14の寸法の3%〜5%程度伸びる。この膨潤による伸びに起因してフィルム14のうち、容器11に溶着されていない部分には余裕ができる。容器11に溶着されていない部分とは、各膨出部20〜25の開放部分を覆っている部分である。
【0038】
そして、
図11に示すように、使用状態にあるカートリッジ10は上下方向に延びる姿勢で配置されるので、膨潤したフィルム14には、薬剤の重量によってフィルム14の下側部分に上側部分よりも大きな力が加わって該フィルム14の下側部分が上側部分に比べて容器11の外側へ向けて膨らむように変形し、この膨らみ度合いは下側へ行くほど大きくなる。
【0039】
この実施形態では、第1膨出部21の第1幅広部21aの深さ(
図10のA)よりも第3膨出部21c、第4膨出部21dの深さ(
図10のC,D)を浅くして、膨潤したフィルム14の下側部分が膨らんでも、第1幅広部21aの内面とフィルム14の内面との寸法(
図11のA’)と、第3膨出部21c、第4膨出部21dの内面とフィルム14の内面との寸法(
図11のC’,D’)が、略同じになるようにしている。
【0040】
また、
図6及び
図7に示すように、容器11の第2膨出部22も幅方向に広い断面形状を有する第1〜第4幅広部22a〜22dと、幅の狭い断面形状を有する第1〜第3狭小部22e〜22gとを有しており、第1幅広部22a、第1狭小部22e、第2幅広部22b、第2狭小部22f、…の順に上下方向に並んでいる。第1幅広部22aが上側膨出部20に連なっている。
【0041】
第2膨出部22の第1幅広部22aの深さは、2.1mmであり、第2幅広部22bの深さは2.2mmであり、第3幅広部22cの深さは2.2mmであり、第4幅広部22dの深さは1.6mmである。これにより、第1〜第4幅広部22a〜22dの内面とフィルム14の内面との離間寸法が互いに略同じになる。第1幅広部22aの深さを2.1mmとしているのは、第1幅広部22aが上側膨出部20と連なっていてフィルム14の非溶着部分が広い範囲となり、フィルム14の膨らみ度合いが大きくなりがちであるためである。
【0042】
また、容器11の第3膨出部23も幅方向に広い断面形状を有する第1〜第5幅広部23a〜23eと、幅の狭い断面形状を有する第1〜第4狭小部23f〜23iとを有しており、第1幅広部23a、第1狭小部23f、第2幅広部23b、第2狭小部23g、…の順に上下方向に並んでいる。第1幅広部23aが上側膨出部20に連なっている。
【0043】
第3膨出部23の第1幅広部23aの深さは、2.1mmであり、第2幅広部23bの深さは2.2mmであり、第3幅広部23cの深さは2.2mmであり、第4幅広部23dの深さは1.8mmであり、第5幅広部23eの深さは1.3mmである。これにより、第1〜第5幅広部23a〜23eの内面とフィルム14の内面との離間寸法が互いに略同じになる。
【0044】
また、容器11の第4膨出部24も幅方向に広い断面形状を有する第1〜第4幅広部24a〜24dと、幅の狭い断面形状を有する第1〜第3狭小部24e〜24gとを有しており、第1幅広部24a、第1狭小部24e、第2幅広部24b、第2狭小部24f、…の順に上下方向に並んでいる。第1幅広部24aが上側膨出部20に連なっている。
【0045】
第4膨出部24の第1〜第4幅広部24a〜24dの深さは、第2膨出部22の第1〜第4幅広部22a〜22dの深さと同じに設定されている。
【0046】
また、容器11の第5膨出部25も幅方向に広い断面形状を有する第1〜第4幅広部25a〜25dと、幅の狭い断面形状を有する第1〜第4狭小部25e〜25hとを有しており、第1狭小部25e、第1幅広部25a、第2狭小部25f、第2幅広部24b、…の順に上下方向に並んでいる。第1狭小部25eが上側膨出部20に連なっている。
【0047】
第5膨出部25の第1〜第4幅広部25a〜25dの深さは、第1膨出部21の第1〜第4幅広部21a〜21dの深さと同じに設定されている。
【0048】
また、容器11には、第1〜第5膨出部21〜25の下端部同士を連続させる下側膨出部27が設けられており、第1〜第5膨出部21〜25の間で薬剤の流通が可能となっている。
【0049】
容器11における下側膨出部27よりも下側には、突部13bが形成されている。突部13bは、カートリッジ10を本体30へ挿入する方向を示す目印である。尚、カートリッジ10は、上側(
図7の上側)から本体30へ挿入する。
【0050】
容器11に薬剤を入れると、上側膨出部20と、第1〜第5膨出部21〜25とが連続しているので、上側膨出部20と、第1〜第5膨出部21〜25との間で薬剤が行き来可能となる。また、第1〜第5膨出部21〜25の下端部同士が下側膨出部27によって連続しているので、第1〜第5膨出部21〜25間での薬剤の行き来も可能となる。
【0051】
次に、本体30の構造について説明する。
図1〜
図5に示すように、本体30は、矩形に近い形状の板状をなしており、底面は略平面状に形成されている。
【0052】
図12〜
図14にも示すように、本体30は、厚み方向に2分割された半割状の表側部材34と裏側部材35とを組み合わせて構成されている。表側部材34及び裏側部材35は、共に枠状をなしており、中央部にはそれぞれ同じ形状の貫通孔34a,35aが対応するように形成されている。これら2つの貫通孔34a,35aによって本体30には表裏方向に貫通する貫通孔が構成される。
【0053】
表側部材34の貫通孔34aの周囲は、表側へ向かって膨出するように形成され、また、裏側部材35の貫通孔35aの周囲は、裏側へ向かって膨出するように形成されている。表側部材34及び裏側部材35の外縁部同士が結合されて両部材34,35が一体化しており、
図14に示すように内部には、カートリッジ10の外周部の収容が可能な収容空間Rが全周に亘って形成されている。
【0054】
図12に示すように、表側部材34及び裏側部材35を一体化した状態で、表側部材34の貫通孔34aの周縁部と、裏側部材35の貫通孔35aの周縁部とは、表裏方向に離れており、両周縁部の間にはスリットSが形成されている。このスリットSには、カートリッジ10が挿入されるようになっており、挿入されたカートリッジ10には、貫通孔34a及び貫通孔35aの両周縁部が接触するようになっている。
【0055】
図13に示すように、本体30の底面には、上記カートリッジ10を挿入するための挿入口31が形成されている。このように挿入口31を本体30の底面に形成することで、デザイン上の自由度が向上する。また、挿入口31が使用時に見えなくなるので、見栄えも良好になる。
【0056】
挿入口31は、本体30の幅方向に長い形状とされている。すなわち、挿入口31の長手方向の寸法は、カートリッジ10の幅方向の寸法よりも若干長めに設定されている。また、挿入口31の短径方向の寸法は、カートリッジ10の厚み方向の寸法よりも若干長めに設定されている。カートリッジ10はその幅方向を挿入口31の幅方向と一致させた状態で挿入口31に挿入される。
【0057】
挿入口31の長手方向に延びる一縁部31aの中間部には、第1切欠部31bが形成され、他縁部31cにも第2切欠部31dが形成されている。第1及び第2切欠部31b,31dは、指先を挿入することができる程度の大きさである。
【0058】
一縁部31aは、挿入口31の幅方向に直線状に延びている。他縁部31cは、第2切欠部31dに近づくほど一縁部31a側に位置するように傾斜している。また、他縁部31cにおける第2切欠部31dの近傍には、一縁部31a側へ突出する突起31e,31eが形成されている。
【0059】
図14に示すように、本体30の内部には、幅方向両側に、カートリッジ10を案内するための表側及び裏側ガイドレール38,39がそれぞれ形成されている。
図15及び
図16に示すように、表側ガイドレール38は、表側部材34の内面に形成されており、上下方向に延びている。
図14に示すように、この表側ガイドレール38は、本体30の厚み方向中央部よりも裏側寄りの部位まで突出している。
【0060】
また、
図17及び
図18に示すように、裏側ガイドレール39は、裏側部材35の内面に形成されており、表側ガイドレール38と平行に上下方向に延びている。
【0061】
表側ガイドレール38及び裏側ガイドレール39の間隔は、カートリッジ10の周縁部の厚み寸法よりも若干広めに設定されており、カートリッジ10の周縁部が表側ガイドレール38及び裏側ガイドレール39の間に挿入された状態で上下方向に案内される。
【0062】
図1に示すようにカートリッジ10を完全に挿入すると、カートリッジ10の外周部分が本体30の収容空間Rに収容されて、カートリッジ10の中央部分は貫通孔34a,35aから外部に臨むことになる。このとき、上側膨出部20と下側膨出部27とは、本体30の内部に隠れており、外部から見えなくなっている。
【0063】
また、カートリッジ10の下端部が突起31eに対し上方から確実に当接して係合することになる。これにより、カートリッジ10が自重によって脱落するのが防止される。
【0064】
尚、カートリッジ10を本体30に収容する前に、非透過性フィルムをフィルム14から剥離させておく。非透過性フィルムを剥離すると、フィルム14は既に膨潤して伸びた状態となっている。
【0065】
上記のようにして本体30にカートリッジ10を収容することで薬剤放散器1が得られる。この薬剤放散器1は、例えば屋内に置いておくことで、容器1内の薬剤が気化してフィルム14を透過し、放散される。これにより、薬剤の効力が得られる。
【0066】
カートリッジ10の容器11及びフィルム14が透光性を有しているので、薬剤の色が本体30の貫通孔34aから見え、薬剤の色を薬剤放散器1のデザインの一部として利用することができ、屋内等で使用する場合に薬剤放散器1をインテリアの一部とすることができる。
【0067】
使用状態では、カートリッジ10が上下方向に延びる姿勢となっているので、
図11に示すように、薬剤の重量によってフィルム14の下側部分が上側部分に比べて容器11の外側へ向けて膨らむように変形しているが、この実施形態では、第1〜第5膨出部21〜25の内面とフィルム14の内面との離間寸法A’〜D’が略同じになっているので、上から下まで薬剤の色が同じ濃さに見える。
【0068】
つまり、容器11の内面とフィルム14の内面との離間寸法が上側部分と下側部分とで略同じというのは、肉眼で見たとき、薬剤の色が上側から下側に亘って同じような濃さに見えて違和感を感じない程度の寸法であればよく、A’〜D’が厳密に同一寸法でなくてもよい。例えば、A’とB’とが0.1mm程度異なっていてもよい。
【0069】
尚、フィルム14が膨潤する前はフィルム14に余裕がないので、フィルム14の下側部分は膨らまないが、上述のとおり膨潤は薬剤に触れた直後から1日程度で終わるので、カートリッジ10が使用者の手に渡る頃にはフィルム14の膨潤が終わっている。
【0070】
以上説明したように、この実施形態によれば、使用状態における容器11の内面とフィルム14の内面との離間寸法を上側部分と下側部分とで略同じに設定したので、薬剤の色が上側から下側に亘って同じような濃さに見え、見栄えを良好にすることができる。
【0071】
尚、上記実施形態では、容器11及びフィルム14の両方が透光性を有してるが、これに限らず、容器11のみ透光性を有するものとし、フィルム14が透光性を有しないものとしてもよい。また、フィルム14をカートリッジ10の表側に配置し、容器11を裏側に配置してもよく、この場合、フィルム14のみ透光性を有するものとし、容器11が透光性を有しないものとしてもよい。
【0072】
また、容器11やフィルム14は、無色透明でなくてもよく、例えば薄く着色されていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、本体30の底面に挿入口31を形成しているが、これに限らず、例えば、上面や側面等に形成してもよい。
【0074】
また、本体30の構造は上記した構造に限られるものではなく、一体成形品であってもよい。