(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5898984
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】硬質脆性板の側辺加工装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/16 20060101AFI20160324BHJP
B24B 9/10 20060101ALI20160324BHJP
B24B 47/12 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
B24B49/16
B24B9/10 Z
B24B47/12
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-22084(P2012-22084)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-158877(P2013-158877A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000212566
【氏名又は名称】中村留精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】駒井 公輔
(72)【発明者】
【氏名】荒井 智則
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−060626(JP,A)
【文献】
特開昭61−182765(JP,A)
【文献】
特開昭61−065763(JP,A)
【文献】
特開2006−297512(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0181145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B1/00−1/04
B24B9/00−19/28
B24B41/00−51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物である硬質脆性材の板材を固定するテーブルと、このテーブルの上面と略同一高さにしてテーブルの側方に配置した回転砥石と、この砥石を加工しようとする板材の側辺と直交するX軸方向に位置設定する位置設定手段と、前記テーブルと工具台とを前記側辺と平行な方向に相対移動するY軸送り装置とを備えた硬質脆性板の側辺加工装置において、
前記位置設定手段は、NC装置で制御されるX軸送りモータと、砥石が被加工物から離れる方向の当該X軸送りモータの最大トルクないし推力を進出する方向の最大トルクないし推力より低く制限する最大電流設定器とを備え、
前記NC装置の指令値に対応する位置に砥石の進出位置を規制すると共に、砥石を当該規制した位置に向けて所定の付勢力で押圧することにより当該砥石の位置を設定することを特徴とする、硬質脆性板の側辺加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラス板などの硬質脆性板の側辺を研削加工する装置に関するもので、特に携帯端末などで用いるディスプレイパネル用のガラス基板の割断辺を回転砥石で研削加工する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末やテレビ受像機のディスプレイパネルに用いるガラス基板は、ガラスの脆性を利用した割断(割って切断)により、所定寸法に切断している。機械的衝撃による割断は、例えばスクライブ・ブレークと呼ばれる方法であり、熱的衝撃による割断は、例えばレーザービームによる方法である。このような方法で割断されたガラス基板の割断面には、小さな凹凸ができ、基板表面と割断面の角が鋭いエッジになって小さな欠けもできる。そこで主としてこの鋭いエッジや欠けを除去するために、一般に面取加工と呼ばれる側辺加工を行っている。
【0003】
ガラス基板は、通常矩形形状に割断される。矩形のガラス基板の側辺加工は、
図10に示すように、ガラス基板1をテーブル2に固定し、当該テーブルの両側に配置された回転砥石3、3を定位置に固定して、テーブル2と回転砥石3、3とを研削しようとするガラス基板の辺11、11と平行な方向(Y軸方向)に相対移動させることによって行われる。
【0004】
図12は、側辺加工装置の一例を模式的に示した正面図である。被加工物(ワーク)となるガラス板1は、テーブル2上に真空吸着などにより固定されている。テーブル2は、図の紙面直角方向(Y軸方向)のレール21に摺動自在に搭載されており、図示されていない電動機で回転駆動されるY軸送りねじ22にボールナット23を介して連結されている。図に一方のみを示す回転砥石3は、工具台4に搭載された砥石モータ31の回転子軸と一体の砥石軸32の先端に取り付けられている。工具台4は、昇降台41に設けた直線ガイド42でワーク1の幅方向(図の左右方向であるX軸方向)に移動可能に搭載され、昇降台41に搭載したX軸送りモータ(サーボモータ)43で駆動されるX軸送りねじ44にボールナット45(
図2参照)を介して連結されている。昇降台41は、図示しないコラムに上下方向(Z軸方向)に移動自在に搭載され、昇降モータ(サーボモータ)46で駆動されるZ軸送りねじ47に図示されていないボールナットを介して連結されている。X軸送りモータ43及び昇降モータ46は、それぞれサーボアンプ51、52を介してNC装置5により制御されている。
【0005】
加工しようとするガラス基板の側辺11をY軸方向にしてテーブル2に固定し、NC装置5の制御の下で昇降台41及び工具台4を移動することにより、ガラス基板の側辺11に対する砥石3のZ軸及びX軸方向の相対位置を設定して定位置に保持し、その状態でテーブル2をY軸方向に走行することにより、砥石3でガラス基板の側辺11を加工する。図の例では、テーブル2を走行させているが、テーブル2を固定して工具台4を支持しているコラムをY軸方向に走行させても良い。また、工具台4側に昇降台41を設ける代わりに、テーブル2を昇降する昇降装置を設けても良い。
【0006】
砥石3としては、
図12に示したような外周に台形溝33を設けた総形砥石と呼ばれる砥石や、
図11に示すような、ガラス基板の側辺11と平行な上下の砥石軸32、32にそれぞれ複数枚の円板砥石34を取り付けたマルチ砥石と呼ばれるものが多く用いられている。
【0007】
このようにテーブル2に対して工具である回転砥石3をその相対送り方向であるY軸方向と直交するZ軸方向及びX軸方向に位置を固定して側辺加工を行えば、割断によって生じた凹凸や鋭いエッジを除去して面取された正確な直線の側辺に加工することができる。
【0008】
なお、側辺の割断面12の加工は、総形砥石であれば、その台形の溝33の底面で行い、マルチ砥石であれば、円板砥石34を上方又は下方に偏倚して円板砥石34の外周の上下方向となる部分をガラス基板の割断面12に接触させることによって行われる。
【0009】
なお、以上は矩形のガラス基板についてであるが、角丸台形や側辺がカーブした異形のガラス基板については、定位置に固定したガラス基板の周囲を周回するように砥石を動かして加工するか、ガラス基板を固定したテーブルの鉛直軸回りの旋回に同期させて砥石のX軸方向(テーブルの旋回中心を中心とする放射方向となる。)の位置を制御して加工している。
【0010】
一方、携帯電話は、スマートフォンが主流になりつつあり、軽量であることが特に重要視される小型の携帯端末においてもディスプレイパネルが大型化している。また、iPad(登録商標)に代表される表示面積の大きな携帯端末や電子書籍、パソコンのディスプレイなどもタッチセンサ付きのタッチパネルが主流となってきている。このような傾向の中で携帯電話やスマートフォンなどの小型の携帯端末は、軽量化やデザインが重要視され、ディスプレイパネルの薄型化が進められていることから、基板の薄肉化が要求され、薄肉化による強度低下をいかに避けるかが重要視されている。また、タッチセンサ付きのディスプレイパネルにおいては、ディスプレイパネルを直接触れることから、パネル基板の強度が必要となり、携帯性を損なわないで、すなわち基板を厚くしないでパネルの強度を高くすることが重要な課題となってきている。
【0011】
更にタッチパネルにおいては、タッチセンサを設けたカバーガラスを廃止して、直接ディスプレイパネルにタッチセンサを設ける方向で技術進歩が図られており、補強の要素を持っていたカバーガラスがなくなることから、ディスプレイパネル自体の基板に要求される強度がより大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−113855号公報
【特許文献2】特開2000−52233号公報
【特許文献3】特開2006−305661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のような要求に応えるために、ディスプレイパネル用のガラス基板の薄肉化、タッチパネル化、更にはカバーガラスの廃止を進めると、基板の材質の改良によって強度を上げることにも限界があり、機器の製造時におけるディスプレイパネルの搬送時や組み付け時、更にはユーザーによる使用時にパネルに割れなどの損傷が発生する危険が増大する。
【0014】
この発明は、ディスプレイパネルの薄型化などによる割れの増大を可及的に減少させることを課題としてなされたものであり、従来看過されていたディスプレイパネル用のガラス基板の側辺加工に起因する強度低下を防止する技術手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、硬質脆性板、特にディスプレイパネル用のガラス基板の側辺加工における砥石3の位置設定(位置決めないし送り)について、ワークに向けて押圧ないし進出するX軸方向の推力(位置決め力ないし送り力)を制限することにより、上記課題を解決したものである。砥石3に作用するX軸方向の加工反力(加工反力のX軸方向の分力)が制限した推力を超えるとその負荷に倣って砥石3がワークから離れる方向(後退方向)に押し戻されるようにする。そして負荷が制限した推力を下回ると、制御器5によって指令された元の位置に復帰し、当該位置を保持する。
【0016】
この発明の側辺加工装置は、被加工物(ワーク)となる硬質脆性材の板材1を固定するテーブル2と、テーブル2の上面と略同一高さにしてテーブル2の側方に配置した回転砥石3と、回転砥石3を加工しようとするワークの側辺11と直交するX軸方向に位置設定する位置設定手段と、テーブル2と工具台4とをワークの側辺11と平行な向に相対移動するY軸送り装置22、23とを備えている。
【0017】
位置設定手段は、NC装置5で回転角ないしストロークを制御されているX軸送りモータ43を駆動源としてワーク1に対する砥石3の位置を設定している。この発明における位置設定手段は、NC装置5の指令値に対応する位置に砥石3の進出位置を規制すると共に、砥石3を当該規制した位置に向けて所定の付勢力で押圧することにより、砥石3の位置を設定している。所定の付勢力は、加工するワークの材質、板圧、加工態様に応じて、予めNC装置5に登録するか、圧力設定器や電流設定器などで付勢装置6の付勢力を設定するか、スプリングや弾性体35、36の弾性力を選択するか等により定められ、これにより、ワークに向く進出方向の砥石の推力が所定の値に制限される。
【0018】
なお、X軸は、現に加工されている板材の側辺に直交する方向であり、ガラス板材を固定したテーブルの鉛直軸回りの旋回に同期させて砥石を1方向に移動して加工する装置では、板材の旋回中心を中心とする放射方向である。
図10に示すように、砥石3を複数設けてそれらの位置や送りを個別制御する場合、一方の砥石のX軸方向に対応する他方の砥石の制御方向をU軸方向ということもあるが、この明細書でいうX軸は、このような場合のU軸を含むものである。
【0019】
加工される基板1を固定したテーブル2と基板の側辺11を加工する砥石3との相対位置関係を設定位置に保持して側辺加工を行う従来の装置では、割断によって生じている基板側辺の微細な凹凸の凸の部分や欠けの角の部分が砥石3との接触部に進入したとき、急激な加工抵抗の変動が起り、側辺加工した後の研削面に加工力の変動、特に加工力が急激に増加した部分に視認できないような微小なクラックが生じていたと推測される。そして、その微小なクラックが搬送や組み付け時に基板に作用する曲げ応力や使用時に基板に触れることによって生ずる曲げ応力によって成長し、基板の損傷に繋がる大きなクラックになったと考えられる。
【0020】
これに対してこの発明によれば、加工負荷が急激に増大するような凸の部分や欠けの角の部分が砥石3との接触部に進入してきたとき、その加工負荷の増大を緩和するように砥石3が基板から離れる方向に押し戻されることから、加工負荷の急激な変化に起因する微小なクラックの発生が防止されて、見かけ上の基板の強度が増加し、ディスプレイパネルの薄肉化やタッチパネル化の要求に対応することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、基板側辺が付勢装置やNC装置に設定した所定の加工負荷以下で加工されるため、加工される基板側辺に凹凸や欠けなどがあっても所定の加工負荷以上の力を基板に作用させることが無いため、研磨加工に近い加工となり、加工面の面粗度が向上し、微小なクラックの発生も防止される。
【0022】
この発明の装置で側辺加工された基板は、従来装置で側辺加工された同じ材質の同じ厚さの基板に比べて見かけ上の強度が増大する。そのため、側辺加工後の基板の搬送や組立中、あるいは使用時に触れることによって生ずる外力に対する強度を向上させることができ、ディスプレイパネルの薄肉化による携帯端末の軽量化やディスプレイパネルのタッチパネル化に対応するパネル強度の向上を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
以下、
図1を参照して、この発明の
実施形態について具体的に説明する。なお、
図12において既に説明した構成要素には、
図12と同一の符号を付してその説明を省略する。この発明の側辺加工装置は、制御器5で加工する基板1に対する相対位置や相対移動を設定された砥石3に予め制御器5に登録した所定値を超えるX軸方向の加工反力が加わったとき、砥石3がワーク1から離れる方向に移動するように構成されている。
【0025】
図1に示す側辺加工装置は、X軸送りモータ43に砥石3の進出方向と後退方向とで異なるトルクないし推力の制限をかけて砥石3の位置を制御している。加工反力に対抗して砥石3をどの程度の力で設定位置に保持するかは、当該位置を保持しているときにX軸送りモータ43に付与される電流値で決定される。従って、砥石3を後退させる方向に対しては弱い電流値で抵抗し、進出させる方向に対しては強い電流値で抵抗するようにフィードバック信号を設定する。
【0026】
NC装置5は、サーボアンプ51を介してX軸送りモータ43を制御しており、X軸送りモータ43の回転角のフィードバック信号bは、サーボアンプ51に与えられている。サーボアンプ51は、フィードバック信号bがNC装置5からの指令値aに一致するように、X軸送りモータ43に与える電流を制御することにより、X軸送りモータ43の回転角、従って砥石3の位置を保持している。基板1の加工中に砥石3を後退させる方向の加工反力が作用すると、サーボアンプ51は、X軸送りモータ43に砥石3を前進させる方向のトルクを付与して砥石3を指令された位置に保持しようとする。
【0027】
そこで、X軸送りモータ43に与える電流を制限する最大電流設定器53を設け、砥石3を進出させる方向に流れる電流の最大値を制限することにより、X軸送りモータ43の最大トルクを制限してやれば、指令された位置に設定した砥石3に当該最大トルクに対応する所定の値以上の加工反力が作用すると、X軸送りモータ43はその加工反力に抵抗するだけのトルクを発生することができないので、X軸送りモータ43が加工反力により強制的に回転させられて、砥石3が基板1から離れる方向に移動して、基板1に過大な加工負荷が作用するのが防止されて、研削面にクラックが発生するのを防止することができる。
【0028】
図2〜9は、参考例を示す図である。
図2〜6に示す参考例では、X軸方向の送りモータ43から砥石3に至る位置ないし送り伝達系の途中に遊隙δを設けると共に、砥石3を所定の力で基板1に向けて付勢する付勢装置6を設けている。
【0029】
図7〜9に示す参考例では、砥石を搭載する工具台4から砥石3に至る伝達系の途中に砥石3がワーク1から離れる方向の移動を可能にする弾性体35、36を介在させる。この場合、砥石3として剛性及び耐摩耗性に優れたメタル砥石を用いることができる。また、弾性体35、36として、砥石3の進出方向の変形を防止ないし低減した異方性の弾性体を用いるか、砥石3の進出方向の変形を防止するストッパを設けるのが好ましい。
【0030】
以下の参考例の説明においても、
図12において既に説明した構成要素には、
図12と同一の符号を付してその説明を省略する。
図2〜4は、参考例1を示した図である。
【0031】
参考例1では、X軸方向の送りねじ44に螺合するボールナット45と、工具台4に固定したブラケット55との間に、X軸送りねじ44の軸方向の遊隙δを設けている。X軸送りねじ44に隙間無く螺合しているボールナット45は、ブラケット55に設けたX軸送りねじ44と平行な方向の嵌合孔56に軸方向移動自在に嵌挿され、かつ両者の相対回動を固定するキー57ないしスプラインが設けられている。そして、ボールナット45側の鍔58とブラケット55側のストッパ59との間に遊隙δが形成されている。すなわち、工具台4に固定したブラケット55とボールナット45とを、X軸送りねじ44の軸方向に遊隙δの隙間分だけ軸方向移動自在かつ相対回動不能に連結している。遊隙δは、加工されるワークの側辺11に発生する可能性のある凹凸の大きさより十分に大きな遊隙とする。
【0032】
このようにしてX軸送りねじ44に連結した工具台4を基板1に向けて付勢するエアシリンダ6が設けられている。エアシリンダ6は、そのロッド61の進退方向をX軸送りねじ44の軸方向にして昇降台41に搭載され、シリンダロッド61の先端が工具台4に連結され、シリンダのヘッドエンド側に工具台、従って砥石3を基板1に向けて付勢する加圧空気が供給されている。シリンダロッド61のストロークは、X軸送りモータ43による工具台4の移動ストロークより余裕分だけ大きい。
【0033】
上記のように構成された参考例1では、エアシリンダ6の付勢力でブラケット55が基板1側に押されてブラケット55のストッパ59とボールナット45の鍔58とが押接された状態で、工具台4、従って砥石3が位置設定される。そして、この状態で基板1を砥石3に対して相対移動させて基板の側辺11を加工する。この加工中に基板1から砥石3にエアシリンダ6に供給されている加圧空気の圧力で決まる所定の力以上の加工反力が作用すると、シリンダロッド61が押し戻されて、工具台4、従って砥石3が基板の側辺11から離れる方向に動き、基板に作用する加工負荷が緩められる。これにより、基板の研削面に大きな加工負荷が作用するのが防止されて、加工負荷の急激な増大によるクラックの発生が防止される。
【0034】
図5、6は、この発明の参考例2を示した図である。この参考例2は、遊隙δを工具台4と砥石モータ31との間に設けた例で、砥石モータ31が、工具台4に設けたX軸方向の遊隙δに相当する短いストロークの直線ガイド48を介して工具台4に装着されている。砥石モータ31は、工具台4に搭載した短いストロークのエアシリンダ6のロッド61に連結され、このエアシリンダのヘッドエンド側に供給された加圧空気により、所定の付勢力で砥石モータ31、従って砥石3が基板1に向けて付勢されている。
【0035】
上記のように構成された参考例2では、エアシリンダ6の付勢力で砥石モータ31が直線ガイド48の基板1側のストローク端まで押された状態で砥石モータ31、従って砥石3が位置設定されて基板の側辺11が加工される。この加工中に基板1から砥石3にエアシリンダ6に供給されている加圧空気の圧力で決まる所定の力以上の加工反力が作用すると、シリンダロッド61が押し戻されて、砥石モータ31、従って砥石3が基板の側辺11から離れる方向に動き、基板に作用する加工負荷が緩められ、加工負荷の急激な増大によるクラックの発生が防止される。
【0036】
なお、上記参考例1及び2では付勢装置としてエアシリンダを用いたが、スプリングなどの弾性体や磁石の吸引力を用いることもできる。
【0037】
また、上記参考例1及び2では、X軸送りモータとして回転モータ43を用いる例を示したが、リニアモータを用いて砥石3のX軸方向の位置を設定することもでき、その場合も上記と同様な手段を採用することにより、上記と同様な作用効果が得られる。
【0038】
図7は、この発明の参考例3を示した図である。この参考例3では、砥石モータ31が板状の弾性体35を介して工具台4に装着されている。その他の構造は、
図12に示した従来装置と同じである。X軸送りモータ43で所定位置に位置設定された砥石3に基板1から過大な加工反力が作用すると弾性体35が変形し、その変形に伴って砥石3が基板1から離れる方向に移動する。この移動により、基板1に過大な加工負荷が作用するのが防止され、基板の研削面にクラックが発生するのが防止される。なおこの参考例3では、過大な加工負荷が作用したときに砥石が離れる方向は、X軸送りモータ43による砥石3の送り方向であるX軸方向とは必ずしも一致しない。弾性体35が等方性の弾性体であれば、加工反力が作用する方向に砥石3が移動して加工負荷が低減される。
【0039】
図8は、参考例4を示した図である。この参考例4及び
図9に示す参考例5では、砥石軸32に弾性体36を介装している。
図8に示した参考例4では、砥石3を砥石モータ31の回転子軸と一体の砥石軸32に片持ち状態で装着し、その砥石軸32に弾性体36を介装している。
【0040】
一方、
図9の参考例5では、砥石3をその両側に設けた軸受で軸支して、弾性体36をその軸受と砥石3との間に介装している。すなわち砥石3は、砥石軸32の両側に弾性体36を介した状態で、両端を軸支されている。
【0041】
参考例4、5のいずれの場合においても、砥石3に過大な加工反力が加わると、弾性体36が変形して、砥石3が基板1から離れる方向に移動して、基板の側辺11に局部的な過大な加工負荷が作用するのを防止して、研削面にクラックが発生するのを防止する。
【符号の説明】
【0042】
1 ワーク(基板)
2 テーブル
3 回転砥石
4 工具台
5 NC装置
6 エアシリンダ
11 ワークの側辺
22,23 Y軸送り装置
31 砥石モータ
35,36 弾性体
43 X軸送りモータ
44 X軸送りねじ
45 ボールナット
48 直線ガイド
51 サーボアンプ
53 最大電流設定器