特許第5899092号(P5899092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5899092
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】ヒダントイン誘導体の製造法
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/02 20060101AFI20160324BHJP
【FI】
   C07D235/02 E
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-202818(P2012-202818)
(22)【出願日】2012年9月14日
(62)【分割の表示】特願2002-507789(P2002-507789)の分割
【原出願日】2001年6月22日
(65)【公開番号】特開2012-255028(P2012-255028A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2012年9月14日
【審判番号】不服2014-14221(P2014-14221/J1)
【審判請求日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】100 32 587.4
(32)【優先日】2000年7月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ヒムラー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・フイシヤー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ガレンカンプ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ヨアヒム・クノプス
(72)【発明者】
【氏名】ルベルトウス・ムルダー
【合議体】
【審判長】 井上 雅博
【審判官】 瀬良 聡機
【審判官】 齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1998/005638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C229/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

[式中、
1はOR3を示し、
3はアルキルを示す]
の化合物を溶媒水中で炭酸アンモニウム及びアルカリ金属シアン化と反応させる
ことを特徴とする式(III)
【化2】

[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物の製造法。
【請求項2】
式(II)
【化3】

[式中、
1はOR3を示し、
3はアルキルを示す]
の化合物を水中でアルカリ金属シアン化物及び炭酸アンモニウムと反応させることを特徴とする式(III−a)
【化4】

[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な4−アルコキシ−シクロヘキサン−1−アミノ−カルボン酸エステル、それらの製造のための中間体及び方法ならびに殺虫性、殺ダニ性及び除草性化合物又は製薬学的に活性な化合物の合成における中間体としてのそれらの使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
置換環状アミノカルボン酸は一般にBucherer−Bergs合成により又はStrecker合成により得られ得、それぞれの場合に異なる異性体を生ずる。かくして一般式(I)
【0003】
【化1】
【0004】
の置換環状アミノカルボン酸の製造においてBucherer−Bergs合成の条件を用いると、基R1及びアミノ基が互いにシスに配置されている異性体(I−a)
【0005】
【化2】
【0006】
を主に与えるが、Strecker合成の条件はトランス異性体(I−b)
【0007】
【化3】
【0008】
を主に与える(J.Chem.Soc.1961,4372−4379;Chem.Pharm.Bull.21(1973)685−691;Chem.Pharm.Bull.21(1973)2460−2465;Can.J.Chem.53(1975)3339−3350)。
【0009】
Bucherer−Bergs反応は一般に、溶媒もしくは溶媒混合物中で一般式(II)
【0010】
【化4】
【0011】
の置換環状ケトンを炭酸アンモニウム及びアルカリ金属シアン化物、一般的にはシアン化ナトリウムもしくはシアン化カリウムと反応させ、続いて得られる一般式(III)
【0012】
【化5】
【0013】
のヒダントインを単離することにより行われる。
【0014】
ここで一般式(III)のヒダントインは通常シス異性体(III−a)
【0015】
【化6】
【0016】
及びトランス異性体(III−b)
【0017】
【化7】
【0018】
の混合物として得られる。
【0019】
一般式(III)のヒダントインを続いて既知の方法により、酸性もしくはアルカリ性条件下で加水分解し、一般式(I)の置換環状アミノカルボン酸を得る。
【0020】
次いで一般式(I)の置換環状アミノカルボン酸を有機化学の既知の方法によりエステル化し、一般式(IV)
【0021】
【化8】
【0022】
の置換環状アミノカルボン酸エステルを得ることができる。
【0023】
我々は、新規な式(IV−a)及び(IV−b)
【0024】
【化9】
【0025】
[式中、
1はOR3を示し、
2はアルキルを示し、
3はアルキルを示す]
の化合物を見出した。
【0026】
1がOR3を示し、
2がC1−C6−アルキルを示し、
3がC1−C4−アルキルを示す
式(IV−a)及び(IV−b)の化合物が好ましい。
【0027】
1がOR3を示し、
2がメチル、エチル、n−プロピル又はn−ブチルを示し、
3がメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル又はi−ブチルを示す
式(IV−a)及び(IV−b)の化合物が特に好ましい。
【0028】
いくつかの化合物(例えばEP−A−596298;WO 95/20572、EP−A−668267;WO 95/26954;WO 96/25395;WO 96/35664;WO 97/02243;WO 97/01535;WO 97/36868;WO 98/05638からの)は一般式(IV)の置換環状アミノカルボン酸エステルを前駆体として必要とする。
【0029】
例えばEP−A−596298;WO 95/20572;EP−A−668267;
WO 95/26954;WO 96/25395;WO 96/35664;WO 97/02243;WO 97/01535;WO 97/36868;WO 98/05638で開示されているこれらの化合物のあるものの場合、シス異性体(IV−a)が唯一の又は少なくとも主な異性体である一般式(IV)の置換環状アミノカルボン酸エステルを用いる製造が有利であり得る。
【0030】
Bucherer−Bergs反応のために用いられる溶媒は一般に約50%濃度のメタノール水溶液(J.Org.Chem.53(1988)4069−4074)又は約50%濃度のエタノール水溶液(J.Chem.Soc.1961,4372−4379;Chem.Pharm.Bull.21(1973)685−691;Chem.Pharm.Bull.21(1973)2460−2465;Can.J.Chem.53(1975)3339−3350;Can.J.Chem.57(1979)1456−1461)である。最適化されたBucherer−Bergs反応においても、用いられた溶媒はエタノール水溶液であった(J.Heterocycl.Chem.21(1984)1527−1531)。Bucherer−Bergs反応のために知られているさらに別の溶媒はN,N−ジメチルホルムアミドである(Helv.Chim.Acta 67(1984)1291−1297)。しかしながら、一般式(III)のヒダントインの製造にこれらの溶媒を用いると、不満足な収率が得られる。さらに、単離される生成物は無機画分により有意に汚染されている。追加の精製操作は、シス及びトランス異性体に関して有意に変動する組成を有する生成物を生じ、一定の生成物の質が保証され得ない。
【0031】
式(II)
【0032】
【化10】
【0033】
[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物を溶媒水中で炭酸アンモニウム及びアルカリ金属シアン化物又はトリメチルシリルシアン化物(TMSCN)と反応させることにより、式(III)
【0034】
【化11】
【0035】
[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物が得られることが見出された。
【0036】
驚くべきことに、本発明に従う方法により、式(III)の化合物が高い収率及び純度で且つシス異性体(III−a)
【0037】
【化12】
【0038】
[式中、
1はOR3を示し、
ここで
3はアルキルを示す]
の高くて再現可能な割合を以って得られ得る。
【0039】
一般式(II)、(III)及び(III−a)において、基
1はOR3を示し、
ここで
3は好ましくはC1−C4−アルキルを示す。
特に好ましくは、R3はメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル又はi−ブチルを示
す。
【0040】
特別に好ましくは、R3はメチルを示す。
【0041】
3がメチルを示す式(III−a)の化合物が強調される。
【0042】
式(III)の化合物ならびに式(III−a)及び(III−b)の異性体は新規であり、本発明の主題の一部を成す。
【0043】
一般式(III−b)において、可変のR1は上記で定義したとおりである。
【0044】
式(III)の化合物を既知の方法により加水分解し、式(I)
【0045】
【化13】
【0046】
[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物を得、次いで既知の方法により式(IV)の化合物にエステル化することができる。
【0047】
式(III)の化合物の製造のために用いられ得る好ましいアルカリ金属シアン化物はシアン化リチウム、シアン化ナトリウム及びシアン化カリウムであり;シアン化ナトリウム及びシアン化カリウムが特に好ましい。
【0048】
ケトンに基づいて、アルカリ金属シアン化物又はTMSCNの量はケトンのモル当たり0.9〜3モルである。ケトンのモル当たり1〜2.5モルの量を用いるのが好ましく;ケトンのモル当たり1.1〜2モルの量のアルカリ金属シアン化物が特に好ましい。
【0049】
炭酸アンモニウムの量はケトンのモル当たり0.5〜7モルの炭酸アンモニウムである。ケトンのモル当たり0.8〜5モルの量を用いるのが好ましく;ケトンのモル当たり1〜5モルの量の炭酸アンモニウムが特に好ましい。
【0050】
本発明に従う方法のための反応温度は20〜100℃であり;30〜70℃の温度範囲が好ましい。
【0051】
加圧又は減圧下で反応を行うこともできる。
【0052】
反応生成物は簡単な方法で、反応混合物を濾過し、フィルター残留物を乾燥することにより単離される。濾過は0〜40℃の温度で、好ましくは15〜30℃の温度で行われる。
【0053】
この方法で、式(III)の所望のヒダントインが高い収率及び純度で、再現可能な異性体比を以って得られる。
【0054】
本発明に従う方法を例えば下記のスキームにより示すことができる:
【0055】
【化14】
【0056】
本発明は、式(II)
【0057】
【化15】
【0058】
[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物を水中でアルカリ金属シアン化物及び炭酸アンモニウムと反応させることを特徴とする式(III−a)
【0059】
【化16】
【0060】
[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物の製造法も提供する。
【0061】
4−メトキシシクロヘキサノンを水中でアルカリ金属シアン化物及び炭酸アンモニウムと反応させることを特徴とする、
1がOR3を示し、
ここで
3はメチルを示す
式(III−a)の化合物の製造法が特に好ましい。
【0062】
アルカリ金属シアン化物として用いるのに適しているのは、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム又はシアン化カリウムであり;シアン化ナトリウム及びシアン化カリウムが好ましい。シアン化ナトリウムが特に好ましい。
【0063】
式(II)の化合物に基づいて、アルカリ金属シアン化物の量は式(II)の化合物のモル当たり0.9〜3モルである。式(II)の化合物のモル当たり0.9〜2.5モルの量が好ましく;式(II)の化合物のモル当たり1〜2モルの量のアルカリ金属シアン化物が特に好ましい。
【0064】
同時に、炭酸アンモニウムの量は式(II)の化合物のモル当たり0.8〜2モルの炭酸アンモニウムである。式(II)の化合物のモル当たり1〜1.8モルの量を用いるのが好ましい。
【0065】
溶媒水の量は式(II)の化合物のモル当たり500〜3000mlの水であり;式(II)の化合物のモル当たり1000〜2500mlの水の量が好ましい。
【0066】
本発明に従う方法のための反応温度は20〜100℃であり;30〜70℃の温度範囲が好ましい。
【0067】
反応生成物は簡単な方法で、反応混合物を濾過し、フィルター残留物を乾燥することにより単離される。濾過は0〜40℃の温度で、好ましくは0〜20℃の温度で行われる。
【0068】
本発明は、式(III)の化合物(シス/トランス混合物(III−a)/(III−b))をアンモニア水で処理し、溶解しないで残る固体を既知の方法で単離することを特徴とする、式(III−a)
【0069】
【化17】
【0070】
[式中、
1は上記で定義したとおりである]
の化合物の単離法も提供する。
【0071】
混合物中に存在する式(III−b)のトランス異性体に基づいて、アンモニアの量は式(III−b)のトランス異性体のモル当たり1〜30モルである。
式(III−b)のトランス異性体のモル当たり4〜20モルの量が好ましく;式(III−b)のトランス異性体のモル当たり6〜15モルの量のアンモニアが特に好ましい。
【0072】
溶媒水の量は、式(III)の化合物のモル当たり500〜3000mlの水であり;式(III)の化合物のモル当たり1000〜2500mlの水の量が好ましい。
【0073】
本発明に従う方法のための温度は0〜100℃であり;10〜60℃の温度範囲が好ましい。
【0074】
一般式(III)のヒダントインを既知の方法により一般式(I)のアミノ酸に加水分解することができ、それを次いで既知の方法によりエステル化して式(IV)の化合物を得ることができる。
【0075】
本発明は、一般式(I)
【0076】
【化18】
【0077】
[式中、
1はOR3を示し、
ここで
3はアルキル、好ましくはC1−C4−アルキルを示す]
の置換環状アミノカルボン酸も提供する。
【0078】
一般式(I)の置換環状アミノカルボン酸はシス異性体(I−a)及びトランス異性体(I−b)の混合物としてあるいは純粋な異性体として存在することができる。
【0079】
式(I)の化合物は新規であり、本発明の主題の一部を成す。
【0080】
1がOR3を示し、
ここで
3はメチル又はエチルを示す
一般式(I)の化合物が特に好ましい。
【0081】
1がOR3を示し、
ここで
3はメチル又はエチルを示す
一般式(I−a)の化合物が特別に好ましい。
【0082】
式(I)の置換環状アミノカルボン酸又は式(IV)のアミノカルボン酸エステルは、例えば植物保護における活性化合物として又は製薬学的に活性な化合物として用いられる他の化合物の製造における中間体である。
【0083】
かくして、例えば、EP−A−596 298、WO 95/20572、EP−A−668 267、WO 95/26954、WO 96/25395、WO 96/35664、WO 97/02243、WO 97/01535、WO 97/36868、WO 98/05638は、有害生物防除剤及び除草剤として用いられ得る置換フェニルケトエノール類の製造のために、置換環状アミノカルボン酸が必要であると開示している。
【0084】
本発明の主題を、いかようにもそれを制限することなく、下記の実施例により例示する。
【実施例】
【0085】
製造実施例
比較実施例1
【0086】
【化19】
【0087】
26.9g[280ミリモル]の炭酸アンモニウム及び5.88g[120ミリモル]のシアン化ナトリウムを最初に110mlの水中に入れる。室温で出発して、110mlのエタノール中の7.7g[60ミリモル]の4−メトキシ−シクロヘキサノンの溶液を滴下する。反応混合物を55〜60℃で16時間撹拌し、次いで完全に濃縮する(HPLCに従うと、シス/トランス比は66:34である)。粗生成物を100mlの50%濃度エタノール水溶液と一緒に1時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、0〜5℃で1時間撹拌し、濾過する。フィルター残留物を乾燥し、57.8%の生成物含有率(HPLC、標準と比較)を有する12.07gの固体を得、理論値の58.7%の収率を得た;シス/トランス比は91:9である。元素分析は16%のナトリウム含有率を示す。
比較実施例2
比較実施例1の手順を繰り返した。仕上げに続き、80:20のシス/トランス比を有する生成物が得られた。
実施例1
【0088】
【化20】
【0089】
134.6g[1.4モル]の炭酸アンモニウム及び29.4g[0.6モル]のシアン化ナトリウムを最初に560mlの水中に入れる。室温で出発し、38.5g[0.3モル]の4−メトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で16時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは93.4%(HPLC、標準と比較)の生成物含有率を有する57.88gの固体を与え、理論値の90.9%の収率を生ずる;シス/トランス比は71:29である。元素分析は1.2%のナトリウム含有率を示す。
実施例2
134.6g[1.4モル]の炭酸アンモニウム及び22.05g[0.45モル]のシアン化ナトリウムを最初に560mlの水中に入れる。室温で出発し、38.5g[0.3モル]の4−メトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で4時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは93.7%(HPLC、標準と比較)の生成物含有率を有する57.64gの固体を与え、理論値の90.8%の収率を生ずる;シス/トランス比は72:28である。元素分析は1.3%のナトリウム含有率を示す。
実施例3
134.6g[1.4モル]の炭酸アンモニウム及び16.17g[0.33モル]のシアン化ナトリウムを最初に560mlの水中に入れる。室温で出発し、38.5g[0.3モル]の4−メトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で4時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは94.1%(HPLC、標準と比較)の生成物含有率を有する61.02gの固体を与え、理論値の96.5%の収率を生ずる;シス/トランス比は71:29である。
実施例4
実施例3の手順を繰り返す。これは93.6%(HPLC、標準と比較)の生成物含有率を有する59.54gの固体を与え、理論値の93.7%の収率を生ずる。シス/トランス比は71:29である。
実施例5
134.6g[1.4モル]の炭酸アンモニウム及び16.17g[0.33モル]のシアン化ナトリウムを最初に560mlの水中に入れる。室温で出発し、38.5g[0.3モル]の4−メトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で4時間撹拌し、次いで室温で終夜撹拌する。室温で固体を吸引濾過し、乾燥する。これは95.4%(HPLC、標準と比較)の生成物含有率を有する58.5gの固体を与え、理論値の93.9%の収率を生ずる;シス/トランス比は71:29である。
実施例6
【0090】
【化21】
【0091】
43.2g[0.45モル]の炭酸アンモニウム及び29.4g[0.6モル]のシアン化ナトリウムを最初に560mlの水中に入れる。室温で出発し、38.5g[0.3モル]の4−メトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で4時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは26.4gの固体を与え、理論値の44.4%の収率を生ずる;シス/トランス比は>99.7:0.3である。融点:267〜268℃(昇華)。
1H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.38−1.48(m;2H),
1.57−1.68(m;4H),1.91−1.95(m;2H),3.14−3.17(m;1H),3.23(s;3H),8.37(s;1H)ppm。
実施例7
34.6g[0.36モル]の炭酸アンモニウム及び29.4g[0.6モル]のシアン化ナトリウムを最初に560mlの水中に入れる。室温で出発し、38.5g[0.3モル]の4−メトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で4時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは18.8gの固体を与え、理論値の31.6%の収率を生ずる;シス/トランス比は99.4:0.6である。
実施例8
28.8g[0.3モル]の炭酸アンモニウム及び16.2g[0.33モル]のシアン化ナトリウムを最初に560mlの水中に入れる。室温で出発し、38.5g[0.3モル]の4−メトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で4時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは15.5gの固体を与え、理論値の26.1%の収率を生ずる;シス/トランス比は99.2:0.8である。
実施例9
【0092】
【化22】
【0093】
13.5g[140ミリモル]の炭酸アンモニウム及び1.62g[33ミリモル]のシアン化ナトリウムを最初に56mlの水中に入れる。室温で出発し、4.3g[30ミリモル]の4−エトキシ−シクロヘキサンノンを滴下する。反応混合物を55〜60℃で4時間撹拌し、0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは5.55gの固体を与える(理論値の78.8%);シス/トランス比は72:28である。
1H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.09(t;3H,シス),1.
12(t;3H,トランス),1.3−1.48(m;2H,シス+トランス),1.57−1.64(m;4H,シス+トランス),1.77−1.95(m;2H,シス+トランス),3.25−3.3(m;1H,シス+トランス),3.40(q;2H,トランス),3.45(q;2H,シス),8.40(s,br;1H,シス+トランス)ppm。
【0094】
挙げることができる式(III)
【0095】
【化23】
【0096】
のさらなる例は:
実施例10:1=O−n37 融点>250℃ シス/トランス=87/13
実施例11:1=O−n49 融点>250℃ シス/トランス=85/15
実施例12:1=O−i49 融点>250℃ シス/トランス=51/49である。実施例13
【0097】
【化24】
【0098】
オートクレーブ中で、19.8g[0.1モル]の4−メトキシシクロヘキサン−1−スピロ−5’−ヒダントイン(シス/トランス比 71:29)、4g[0.1モル]の水酸化ナトリウム及び400mlの水を160℃で24時間加熱する。氷−冷しながら塩酸を用いて反応混合物をpH3に調節し、減圧下で実質的に濃縮する。トルエンを用いる共沸蒸留により残りの水を除去する。これは29.6gの固体を与える。
【0099】
GC/MS(シリル化の後)に従うと、3.7%の出発材料及び89.3%の4−メトキシシクロヘキサン−1−アミノカルボン酸が存在する;シス/トランス比は70:30である。
GC/MS(sil.):m/e=302(生成物(ジシリル化)−15)、200(ベースピーク、生成物(ジシリル化)−CO2SiMe3)、168(200−MeOH)。実施例14
【0100】
【化25】
【0101】
オートクレーブ中で、7.9g[40ミリモル]のシス−4−メトキシシクロヘキサン−1−スピロ−5’−ヒダントイン、160mlの水及び1.6g[40ミリモル]の水酸化ナトリウムを160℃で24時間加熱する。氷−冷しながら塩酸を用いて反応混合物をpH3に調節し、減圧下で実質的に濃縮する。トルエンを用いる共沸蒸留により残りの水を除去する。これは11.2gの固体を与える。
融点>400℃
1H−NMR(400MHz,d6−DMSO):δ=3.17(m,1H,COCH3
),3.22(s,3H,OC3)ppm。
実施例15
【0102】
【化26】
【0103】
オートクレーブ中で、1g[5ミリモル]のトランス−4−メトキシシクロヘキサン−1−スピロ−5’−ヒダントイン、20mlの水及び0.2g[5ミリモル]の水酸化ナトリウムを160℃で24時間加熱する。氷−冷しながら塩酸を用いて反応混合物をpH3に調節し、減圧下で実質的に濃縮する。トルエンを用いる共沸蒸留により残りの水を除去する。
これは0.8gの固体を与える。
実施例16
【0104】
【化27】
【0105】
6.9g[40ミリモル]のシス−4−メトキシシクロヘキサン−1−アミノカルボン酸を50mlの無水メタノール中に懸濁させる。混合物を短時間加熱還流し、次いで0℃に冷却する。0〜5℃において、6.9g[58ミリモル]の塩化チオニルを滴下する。混合物を0〜5℃で半時間撹拌し、次いで室温に温め、40℃に加熱し、40℃で終夜撹拌する。反応混合物を濾過し、フィルター残留物を20mlのメタノールで洗浄し、濾液を濃縮する。残留物を50mlのメチルtert−ブチルエーテルと一緒に撹拌し、吸引濾過し、残留物を乾燥する。これは5.6gのシス−4−メトキシシクロヘキサン−1−
アミノカルボン酸メチル塩酸塩を与える(理論値の63%)。
融点 298℃
1H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.64−1.80(m;4H),
1.88−1.96(m;4H),3.23(s;3H),3.29−3.32(m;1H),3.76(s;3H),8.67(s,br;3H)ppm。
実施例17
【0106】
【化28】
【0107】
実施例12で記載したと同じ方法で、トランス−4−メトキシシクロヘキサン−1−アミノカルボン酸メチル塩酸塩が製造される。
融点 173℃
1H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=185−2.37(4m,8H,C
2),3.32(s,3H,CHOC3),3.50(“d”,1H,COCH3
,3.82(s,3H,OC3),8.94(br,3H,NH3)ppm。
【0108】
実施例15に類似して、以下の式(IV)のアミノ酸エステルが得られる。
【0109】
【化29】
【0110】
実施例18:R1=O−C252=Me 融点>220℃
実施例19:R1=O−n372=Me 融点>220℃
実施例20:R1=O−n492=Me 融点183℃
実施例21:R1=O−i492=Me 融点179℃
実施例22:R1=OMe R2=Et
MS(silyl.):m/e=273(M+
実施例23:R1=OMe R2nBu 1H−NMR
1H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=0.88−0.92(t;3H),
1.32−1.41(m;2H),1.57−1.68(m;2H),1.69−2.1(m;10H),3.23(s;3H),3.27−3.31(m;1H),4.14−4.18(m;2H),8.77(s,br;3H)ppm。
実施例24
【0111】
【化30】
【0112】
1=OR3であり、R3がメチルである式(III)の化合物(8−メトキシ−1,3
−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;純度97%、シス/トランス比=75:25)の10.2gを86mlの水及び9.8gの26%濃度アンモニア中で、55℃において4時間撹拌する。混合物を0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは5.37gの固体を与える;シス/トランス比は98.3:1.7である。
実施例25
混合物を室温で4時間撹拌することを除いて、実施例24を繰り返す。これは、97.7:2.3のシス/トランス比を有する5.03gの固体を与える。
実施例26
1=OR3であり、R3がメチルである式(III)の化合物(8−メトキシ−1,3
−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;純度97%、シス/トランス比=75:25)の10.2gを86mlの水及び6.5gの26%濃度アンモニア中で、55℃において4時間撹拌する。混合物を0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは5.73gの固体を与える;シス/トランス比は97.3:2.7である。
実施例27
1=OR3であり、R3がメチルである式(III)の化合物(8−メトキシ−1,3
−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン;純度95.3%、シス/トランス比=98.2:1.8)の10.4gを17mlの水及び0.69gの26%濃度アンモニア中で、55℃において4時間撹拌する。混合物を0〜5℃に冷却し、この温度で2時間撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥する。これは9.58gの固体を与える;シス/トランス比は>99.7:0.3である。