【実施例】
【0121】
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において、各種物性を下記の方法で測定した。
【0122】
〈エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cmの基材の作製〉
・顔料ディスパージョンの作製
分散剤(BASFジャパン社製、「Pig.Disperser MD20」)5.35g、アンモニア水0.50g、プロピレングリコール23.50g、水147.50g、酸化チタン(塩素法ルチル型酸化チタン;石原産業社製、「タイペークCR−97」)333.50g、消泡剤(サンノプコ社製、「SNデフォーマー1310」)2.85gの配合物を、卓上サンドミル(カンペパピオ社製、バッチ式卓上サンドミル)にて20分間分散させて、顔料ディスパージョンを得た。
【0123】
・エナメル塗料の作製
製造例1の重合体エマルジョン109.0gに2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート(チッソ社製、「CS−12」)10.0g、エチレングリコールモノブチルエーテル50質量部と水50質量部の混合液10.0g、上記で得た顔料ディスパージョン51.4g、増粘剤(旭電化工業社製、「アデカノールUH−438」)の10%水溶液0.5gを添加し、1時間混合してエナメル塗料を得た。
【0124】
・エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cmの基材の作製
7cm×15cmの硫酸アルマイト板に上記で得たエナメル塗料を、ワイヤーコーターNo.50を用いて塗装、温度23℃、相対湿度50%で48時間乾燥させ、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cmの基材を得た。
【0125】
1.各成分の含有量及び固形分量
試料2gをアルミ皿にとり、150℃で1時間加熱した。加熱前後の試料の質量を測定し、その差から固形分量(質量%)を計算した。この方法に準拠して、各成分の含有量及び組成物中の固形分量をそれぞれ測定した。
【0126】
2.数平均粒子径
ローディングインデックスが1.5〜3.0となるようイオン交換水を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装社製、「マイクロトラックUPA−9230」)を用いて測定した。
測定条件を以下に示す。
・ローディングインデックス:1.5〜3.0
・測定時間:60秒
・測定回数:3回
【0127】
3.ジメチルジメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン量の測定
固形分量が2質量%となるように試料をイオン交換水で希釈し、そこに内部標準物質として1−ヘキサノールを加えて測定試料とした。シリンジで測定試料1μLをガスクロマトグラフィー(ジーエルサイエンス社製、「GC353B」)に打ち込み、その測定結果からジメチルジメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンの含有量比を求めた。
ガスクロマトグラフィーの測定条件を下記に示す。
・カラム:ジーエルサイエンス社製、「TC−5」(内径0.25mm、長さ30m)
・インジェクション温度:150℃、ディテクタ温度:220℃
・検出器:FID、キャリアガス:窒素(100kPa圧)
・スプリット比:1:20
・昇温条件:50℃×8分間維持+昇温速度8℃/分で170℃まで昇温+170℃×7分間維持
【0128】
4.粘度
BM型粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。測定条件を以下に示す。
・温度
・ローター:No.1
・回転数:60rpm
【0129】
5.ガラス転移温度
セイコーインスツル社、「DCS6220」を用いて、昇温速度10℃/分の測定条件で測定し、得られたDSC曲線の変極点よりガラス転移温度を求めた。
・測定用セル:アルミニウム製容器
・測定用サンプルの作製:アルミニウム製容器に測定試料としてのエマルジョン40mgを入れて、130℃で1時間乾燥させた。
【0130】
6.耐候性試験:1000時間後及び2000時間後の光沢保持率
エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cmの基材に、水性組成物の塗付量が17g/m
2又は50g/m
2の割合となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置し、試験板とした。スガ試験器製、「サンシャインウェザーメーター」を使用して曝露試験(ブラックパネル温度63℃、降雨18分/2時間)を行った。曝露1000時間後及び2000時間後の60°光沢度を、光沢計(BYKガードナー社製、「マイクロトリグロスμ」)を用いてそれぞれ測定した。そして、下記式に基づき、光沢保持率を算出した。なお、エナメル塗料を予め塗装した基材のみで評価した結果は、曝露1000時間後の光沢保持率88%、曝露2000時間後の光沢保持率80%であり、これらの値よりも光沢保持率の値が大きい場合、耐候性は良好であることを示す。
光沢保持率(%)=曝露試験後の60°光沢度/曝露試験前の60°光沢度×100
【0131】
7.耐汚染性
エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cmの基材に、水性組成物の塗付量が17g/m
2又は50g/m
2の割合となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置し、試験板とした。試験板を一般道路(トラック通行量500〜1000台/日程度)に面したフェンスに張り付けて6ヶ月間又は1年間静置した。静置後の試験板の汚染の度合いを、以下の基準に準じて目視で評価した。なお、エナメル塗料を予め塗装した基材のみで評価した結果は、6ヶ月間、1年間共に「×」の評価であった。
○:ほとんど汚れが確認されなかった。
△:多少の汚れが確認された。
×:多量の汚れが確認された。
【0132】
8.湿式分解性能
エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cmの基材に、水性組成物の塗付量が17g/m
2又は50g/m
2の割合となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置し、試験板とした。この試験板について、JIS R1703−2(ファインセラミックス−光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法−第2部:湿式分解性能)に準拠して試験を行い、色素分解活性指数を求めた。色素分解活性指数が高いほど、セルフクリーニング性が良好であることを示す。
【0133】
[製造例1]
重合体エマルジョンの合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水450g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)8.0g、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液15gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、メタクリル酸メチル220g、メタクリル酸シクロヘキシル100g、アクリル酸n−ブチル380g、メタクリル酸n−ブチル280g、メタクリル酸20g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)40g、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液50g、イオン交換水700gからなる乳化混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約4時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。室温まで冷却後、反応器中の反応液の水素イオン濃度を測定したところ、pH2.1であった。25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で反応液を濾過して、エナメル塗料用の重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジョンの固形分量は44.5質量%であった。この重合体エマルジョンに含まれる重合体について、上記した方法に準拠してDSC曲線の変極点より求めたガラス転移温度は、10℃であった。
【0134】
[製造例2]
重合体粒子(A−1)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン93.9g、フェニルトリメトキシシラン73.0g、メチルトリメトキシシラン29.4gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、メタクリル酸メチル22.5g、アクリル酸n−ブチル11.2g、フェニルトリメトキシシラン12.3g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水286.4gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分量を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径155nmの重合体粒子(A−1)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A−1)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.006質量部、0.004質量部であった。すなわち、重合体粒子(A−1)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.01質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A−1)におけるジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、33.3質量%であった。
【0135】
[製造例3]
重合体粒子(A−2)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン93.9g、フェニルトリメトキシシラン124.8g、メチルトリメトキシシラン29.4gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、フェニルトリメトキシシラン12.3g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水286.4gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分量を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径160nmの重合体粒子(A−2)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A−2)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.008質量部、0.007質量部であった。すなわち、重合体粒子(A−2)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.015質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A−2)におけるジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、33.3質量%であった。
【0136】
[製造例4]
重合体粒子(A−3)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン93.9g、フェニルトリメトキシシラン73.0g、メチルトリメトキシシラン29.4gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して4時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、メタクリル酸メチル22.5g、アクリル酸n−ブチル11.2g、フェニルトリメトキシシラン12.3g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水286.4gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分量を10.0質量%に調整して、水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、水分散体中の重合体粒子100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.003質量部、0.002質量部であった。
この水分散体に、新たにオクタメチルシクロテトラシロキサンとデカメチルシクロペンタシロキサンを重合体粒子100質量部に対して、0.004質量部、0.002質量部添加して室温で約2時間攪拌し、重合体粒子として数平均粒子径148nmの重合体粒子(A−3)の水分散体を得た。よって、重合体粒子(A−3)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.011質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A−3)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、33.3質量%であった。
【0137】
[製造例5]
重合体粒子(A−4)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液8.0gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン105.0g、フェニルトリメトキシシラン10.0g、メチルトリメトキシシラン65.7gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液16.8gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、フェニルトリメトキシシラン26.8g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水170.0gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分量を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径133nmの重合体粒子(A−4)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A−4)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.06質量部、0.04質量部であった。すなわち、重合体粒子(A−4)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.1質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A−4)におけるジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、47.8質量%であった。
【0138】
[製造例6]
重合体粒子(A−5)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液8.0gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン131.0g、フェニルトリメトキシシラン10.0g、メチルトリメトキシシラン33.1gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液16.8gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、フェニルトリメトキシシラン26.8g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水170.0gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分量を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径170nmの重合体粒子(A−5)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A−5)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.35質量部、0.3質量部であった。すなわち、重合体粒子(A−5)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.65質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A−5)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、59.2質量%であった。
【0139】
[製造例7]
重合体粒子(A−6)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液10.0gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン154g、フェニルトリメトキシシラン10.0g、メチルトリメトキシシラン5.0gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液16.8gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、フェニルトリメトキシシラン26.8g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水170.0gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径119nmの重合体粒子(A−6)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A−6)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.38質量部、0.38質量部であった。すなわち、重合体粒子(A−6)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.76質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A−6)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、69.2質量%であった。
【0140】
[製造例8]
重合体粒子(A´−7)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン81.0g、フェニルトリメトキシシラン73.0g、メチルトリメトキシシラン40.0gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、メタクリル酸メチル22.5g、アクリル酸n−ブチル11.2g、フェニルトリメトキシシラン12.3g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水286.4gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径157nmの重合体粒子(A´−7)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A´−7)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.005質量部、0.006質量部であった。すなわち、重合体粒子(A´−7)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.011質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A´−7)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、29.2質量%であった。
【0141】
[製造例9]
重合体粒子(A´−8)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン93.9g、フェニルトリメトキシシラン73.0g、メチルトリメトキシシラン29.4gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、メタクリル酸メチル22.5g、アクリル酸n−ブチル11.2g、フェニルトリメトキシシラン12.3g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水286.4gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径155nmの重合体粒子(A´−8)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A´−8)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.55質量部、0.45質量部であった。すなわち、重合体粒子(A´−8)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、1質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A´−8)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、32.4質量%であった。
【0142】
[製造例10]
重合体粒子(A´−9)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン93.9g、フェニルトリメトキシシラン73.0g、メチルトリメトキシシラン29.4gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液5.6gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して4時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、メタクリル酸メチル22.5g、アクリル酸n−ブチル11.2g、フェニルトリメトキシシラン12.3g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)1.2g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水286.4gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応器中に添加して液のpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分量を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径148nmの重合体粒子(A´−9)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.003質量部、0.002質量部であった。すなわち、重合体粒子(A´−9)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.005質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A´−9)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、33.3質量%であった。
【0143】
[製造例11]
重合体粒子(A´−10)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液10.0gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン154g、フェニルトリメトキシシラン10.0g、メチルトリメトキシシラン5.0gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、フェニルトリメトキシシラン26.8g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水170.0gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分量を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径120nmの重合体粒子(A´−10)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A´−10)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、1.5質量部、1.4質量部であった。すなわち、重合体粒子(A´−10)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、2.9質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A´−10)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、68.0質量%であった。
【0144】
[製造例12]
重合体粒子(A´−11)の水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液10.0gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン168.0g、フェニルトリメトキシシラン10.0gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液16.8gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して5時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、フェニルトリメトキシシラン26.8g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水170.0gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径150nmの重合体粒子(A´−11)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A´−11)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.39質量部、0.38質量部であった。すなわち、重合体粒子(A´−11)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、0.77質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A´−11)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、72.3質量%であった。
【0145】
[製造例13]
<重合体粒子(A´−12)の水分散体の合成>
還流冷却器、滴下槽、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水850g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液10.0gを投入した後、攪拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン168.0g、フェニルトリメトキシシラン10.0gからなる混合液を、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下した。その後、反応器中の温度を80℃に維持して30分攪拌を続けた。次に、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液16.8gを投入した後、反応器中の温度を80℃に維持して2時間攪拌を続けた。そこに、2質量%の過硫酸アンモニウム水溶液6.6gを投入した後、フェニルトリメトキシシラン26.8g、テトラエトキシシラン28.6g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液と、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(ADEKA社製、「アデカリアソープSR−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、反応性乳化剤(第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」;固形分量25質量%水溶液)2.3g、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液30g、イオン交換水170.0gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却し、25%アンモニア水溶液を反応液に添加してpHを8に調整した後、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、重合体粒子として数平均粒子径146nmの重合体粒子(A´−12)の水分散体を得た。
この水分散体中のジメチルジメトキシシラン(a)の含有量、オクタメチルシクロテトラシロキサン(m)の含有量、デカメチルシクロペンタシロキサン(n)の含有量は、重合体粒子(A´−12)100質量部に対して、それぞれ0.001質量部以下、0.74質量部、0.81質量部であった。すなわち、重合体粒子(A´−12)100質量部に対する、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量の総量は、1.55質量部であった。
上記した式(I)に基づいて、製造に用いたジメチルジメトキシシランの使用量、上記化合物(a)の含有量、上記化合物(m)の含有量及び上記化合物(n)の含有量から計算した、重合体粒子(A´−12)のジメチルジメトキシシラン由来の構造単位の割合は、71.6質量%であった。
【0146】
[製造例14]
光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)の合成
シリカ修飾ルチル型酸化チタン
TiO
2として200g/Lの濃度の四塩化チタン水溶液700mLと、Na
2Oとして100g/Lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液を、反応液のpHを5〜9に維持しながら、添加した。その後、反応液のpHを7に調整した後、濾過し、濾液の導電率が100μS/cmとなるまで洗浄し、固形分量が28.3質量%である酸化チタン湿ケーキ1を得た。この酸化チタン湿ケーキ1は、ルチル型構造を有する微粒子を含有し、その1次粒子の数平均粒子径は8nmであった。
得られた酸化チタン湿ケーキ1を純水で希釈して、1モル/Lのスラリーを調製した。このスラリー1Lを3Lのフラスコに仕込み、更に、酸化チタン/硝酸のモル比が1/1となるように1規定の硝酸を添加し、95℃の温度に加熱し、この温度で2時間維持して、酸加熱処理を行った。酸加熱処理後のスラリーを室温まで冷却し、28%アンモニア水を用いてpH6.7に中和し、濾過した。その後、濾液の導電率が100μS/cmとなるまで洗浄し、固形分量が25質量%の酸化チタン湿ケーキ2を得た。
得られた酸化チタン湿ケーキ2に、10%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加してリパルプし、その後、超音波洗浄機で3時間分散して、pH10.5、固形分量10質量%のアルカリ性酸化チタンゾルを得た。このアルカリ性酸化チタンゾル2Lを3Lのフラスコに仕込み、70℃の温度に昇温し、SiO
2として432g/Lの濃度のケイ酸ナトリウム水溶液69.4mLを添加し、その後90℃に昇温して1時間維持した後、10%の硫酸を添加してpHを6に調整して、酸化チタンの表面をケイ素の含水酸化物で表面処理された酸化チタンゾルを得た。
得られた酸化チタンゾルを室温まで冷却し、5.4Lの純水を添加し、脱塩濃縮装置を用いて、不純物の除去、及び濃縮を行い、pH7.3、固形分量29質量%、導電率1.18mS/cmの中性ルチル型酸化チタンゾルを得た。この中性ルチル型酸化チタンゾルは、TiO
2に対してSiO
2基準で15質量%のケイ素の含水酸化物を含有していた。このゾル中の酸化チタンの1次粒子の数平均粒子径は9nmであった。
【0147】
[製造例15]
光触媒活性を有する無機酸化物(C−2)の合成
シリカ修飾アナタース型酸化チタン
チタン鉱石を硫酸と反応させて得られた硫酸チタン溶液を加熱加水分解して生成させた凝集メタチタン酸を、TiO
2換算で30質量%の水性スラリーとした。このスラリーにアンモニア水を添加してpH7に中和し、その後濾過・洗浄によって硫酸イオンを除去して、脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキに硝酸を加えることで解膠処理して、アナタース型結晶構造を有する酸化チタン微粒子(1次粒子の数平均粒子径7nm)からなるpH1.5の酸性酸化チタンゾルを得た。
得られた酸性酸化チタンゾルを純水で希釈して、TiO
2換算濃度が200g/Lの酸化チタンゾル600mLとした後、70℃に昇温し、SiO
2換算濃度が432g/Lであるケイ酸ナトリウム水溶液20.8mLを20%硫酸と同時に添加した。その後、30分間熟成した。次いで、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整した後、2%硫酸水溶液でpHを6に調整し、濾過・洗浄を行い、湿ケーキを得た。この湿ケーキを純水中にリパルプした後、超音波分散して、中性域で安定なアナタース型酸化チタンゾル(固形分量20質量%、pH7.5)を得た。これには、酸化チタン微粒子の表面に凝集シリカが多孔質の状態で被着しており、その含有量は、TiO
2100質量部に対してSiO
2換算で7質量部であった。
【0148】
[実施例1]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)60.0gと、エタノール50gと、イオン交換水210.0gを混合し攪拌することにより、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−1)を得た。この水性組成物(G−1)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に水性組成物(G−1)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−1)を得た。この水性組成物(G−1)、塗膜及び試験板(H−1)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0149】
[実施例2]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A−2)の水分散体(AD−2)180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−2)を得た。この水性組成物(G−2)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に水性組成物(G−2)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−2)を得た。この水性組成物(G−2)、塗膜及び試験板(H−2)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0150】
[実施例3]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A−3)の水分散体(AD−3)180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−3)を得た。この水性組成物(G−3)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−3)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−3)を得た。この水性組成物(G−3)、塗膜及び試験板(H−3)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0151】
[実施例4]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A−4)の水分散体(AD−4)180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−4)を得た。この水性組成物(G−4)の粘度は3mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−4)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−4)を得た。この水性組成物(G−4)、塗膜及び試験板(H−4)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0152】
[実施例5]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−5)を得た。この水性組成物(G−5)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−5)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−5)を得た。この水性組成物(G−5)、塗膜及び試験板(H−5)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0153】
[実施例6]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A−6)の水分散体(AD−6)180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−6)を得た。この水性組成物(G−6)の粘度は3mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−6)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−6)を得た。この水性組成物(G−6)、塗膜及び試験板(H−6)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0154】
[実施例7]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)180.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−2)(日産化学工業社製、「スノーテックスS」;固形分量30質量%)40.0gと、エタノール50gと、イオン交換水230.0gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−7)を得た。この水性組成物(G−7)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−7)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−7)を得た。この水性組成物(G−7)、塗膜及び試験板(H−7)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0155】
[実施例8]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)240.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)30.0gと、エタノール50gと、イオン交換水180.0gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−8)を得た。この水性組成物(G−8)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−8)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−8)を得た。この水性組成物(G−8)、塗膜及び試験板(H−8)の各種物性・評価結果を表1に示す。
【0156】
[実施例9]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)210.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)37.5gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)5.2g(固形分量29質量%)と、エタノール50gと、イオン交換水197.5gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−9)を得た。この水性組成物(G−9)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−9)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−9)を得た。この水性組成物(G−9)、塗膜及び試験板(H−9)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0157】
[実施例10]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)210.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)30.0gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)10.3g(固形分量29質量%)と、エタノール50gと、イオン交換水200gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−10)を得た。この水性組成物(G−10)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−10)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−10)を得た。この水性組成物(G−10)、塗膜及び試験板(H−10)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0158】
[実施例11]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)210.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)22.5gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)15.5g(固形分量29質量%)と、エタノール50gと、イオン交換水202.5gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−11)を得た。この水性組成物(G−11)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−11)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−11)を得た。この水性組成物(G−11)、塗膜及び試験板(H−11)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0159】
[実施例12]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)210.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)37.5gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−2)7.5g(固形分量20質量%)と、エタノール50gと、イオン交換水195.0gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−12)を得た。この水性組成物(G−12)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−12)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−12)を得た。この水性組成物(G−12)、塗膜及び試験板(H−12)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0160】
[実施例13]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)210.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)30.0gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)10.3g(固形分量29質量%)と、フルオロカーボン界面活性剤(D−1)(DIC社製、「メガファックF−444」)0.2gと、エタノール50gと、イオン交換水199.8gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−13)を得た。この水性組成物(G−13)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−13)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−13)を得た。この水性組成物(G−13)、塗膜及び試験板(H−13)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0161】
[実施例14]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)210.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)30.0gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)10.3g(固形分量29質量%)と、フルオロカーボン界面活性剤(D−1)(DIC社製、「メガファックF−444」)0.2gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整した退色性色素(E−1)(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)3.0gと、エタノール50gと、イオン交換水196.8gを混合し攪拌することにより固形分量6.0質量%の水性組成物(G−14)を得た。この水性組成物(G−14)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−14)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−14)を得た。この水性組成物(G−14)、塗膜及び試験板(H−14)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0162】
[実施例15]
イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整した退色性色素(E−1)(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)3.0gに変えてイオン交換水により固形分を1.0質量%に調整した退色性色素(E−2)(保土ヶ谷化学工業社製、「アシッドレッド」)3.0gを用いた以外は、実施例14と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−15)を得た。この水性組成物(G−15)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−15)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−15)を得た。この水性組成物(G−15)、塗膜及び試験板(H−15)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0163】
[実施例16]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)60.0g(固形分10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)7.5gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)5.2g(固形分量29質量%)と、フルオロカーボン界面活性剤(D−1)(DIC社製、「メガファックF−444」)0.2gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整した退色性色素(E−1)(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)1.0gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整したセルロース系増粘剤(F−1)(ダイセルファインケム社製、「HECダイセルSP900」)40.0gと、エタノール50gと、イオン交換水336.3gを混合し攪拌することにより固形分量1.9質量%の水性組成物(G−16)を得た。この水性組成物(G−16)の粘度は15mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−16)を塗付量50g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−16)を得た。この試験板(H−16)の各種評価結果を表2に示す。この水性組成物(G−16)、塗膜及び試験板(H−16)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0164】
[実施例17]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)60.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)7.5gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)5.2g(固形分量29質量%)と、フルオロカーボン界面活性剤(D−1)(DIC社製、「メガファックF−444」)0.2gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整した退色性色素(E−1)(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)1.0gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整したセルロース系増粘剤(F−1)(ダイセルファインケム社製、「HECダイセルSP900」)80.0gと、エタノール50gと、イオン交換水296.3gを混合し攪拌することにより固形分量2.0質量%の水性組成物(G−17)を得た。この水性組成物(G−17)の粘度は28mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−17)を塗付量50g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−17)を得た。この試験板(H−17)の各種評価結果を表2に示す。この水性組成物(G−17)、塗膜及び試験板(H−17)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0165】
[実施例18]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)60.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)7.5gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)5.2g(固形分量29質量%)と、フルオロカーボン界面活性剤(D−1)(DIC社製、「メガファックF−444」)0.2gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整した退色性色素(E−1)(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)1.0gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整したセルロース系増粘剤(F−2)(三昌者製「NEOVISCO−MCRM50000S」)70.0gと、エタノール50gと、イオン交換水306.3gを混合し攪拌することにより固形分量2.0質量%の水性組成物(G−18)を得た。この水性組成物(G−18)の粘度は30mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−18)を塗付量50g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−18)を得た。この試験板(H−18)の各種評価結果を表2に示す。この水性組成物(G−18)、塗膜及び試験板(H−18)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0166】
[実施例19]
重合体粒子(A−5)の水分散体(AD−5)60.0g(固形分量10.0質量%)に、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、「スノーテックスOS」;固形分量20質量%)7.5gと、光触媒活性を有する無機酸化物(C−1)5.2g(固形分量29質量%)と、フルオロカーボン界面活性剤(D−1)(DIC社製、「メガファックF−444」)0.2gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整した退色性色素(E−1)(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)1.0gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整したセルロース系増粘剤(F−3)(信越化学工業社製、「メトローズ90SH−30000」)80.0gと、エタノール50gと、イオン交換水296.3gを混合し攪拌することにより固形分量2.0質量%の水性組成物(G−19)を得た。この水性組成物(G−19)の粘度は28mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−19)を塗付量50g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−19)を得た。この試験板(H−19)の各種評価結果を表2に示す。この水性組成物(G−19)、塗膜及び試験板(H−19)の各種物性・評価結果を表2に示す。
【0167】
[比較例1]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A´−7)の水分散体180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−20)を得た。この水性組成物(G−20)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−20)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−20)を得た。この水性組成物(G−20)、塗膜及び試験板(H−20)の各種物性・評価結果を表3に示す。
【0168】
[比較例2]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A´−8)の水分散体180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−21)を得た。この水性組成物(G−21)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−21)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−21)を得た。この水性組成物(G−21)、塗膜及び試験板(H−21)の各種物性・評価結果を表3に示す。
【0169】
[比較例3]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A´−9)の水分散体180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−22)を得た。この水性組成物(G−22)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−22)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−22)を得た。この水性組成物(G−22)、塗膜及び試験板(H−22)の各種物性・評価結果を表3に示す。
【0170】
[比較例4]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A´−10)の水分散体180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−23)を得た。この水性組成物(G−23)の粘度は3mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−23)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−23)を得た。この水性組成物(G−23)、塗膜及び試験板(H−23)の各種物性・評価結果を表3に示す。
【0171】
[比較例5]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A´−11)の水分散体180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−24)を得た。この水性組成物(G−24)の粘度は2mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−24)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−24)を得た。この水性組成物(G−24)、塗膜及び試験板(H−24)の各種物性・評価結果を表3に示す。
【0172】
[比較例6]
重合体粒子(A−1)の水分散体(AD−1)180.0gに替えて重合体粒子(A´−12)の水分散体180.0g(固形分量10.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分量6.0質量%の水性組成物(G−25)を得た。この水性組成物(G−25)の粘度は3mPa・sであった。
次に、エナメル塗料を予め塗装した7cm×15cm基材の片面(エナメル塗料を予め塗装した面)に上記水性組成物(G−25)を塗付量17g/m
2となるようにスプレーを用いて塗装した。塗装した基材を水平に保ち、温度23℃、相対湿度50%で48時間静置して、基材上に塗膜が形成された試験板(H−25)を得た。この水性組成物(G−25)、塗膜及び試験板(H−25)の各種物性・評価結果を表3に示す。
【0173】
【表1】
【0174】
【表2】
【0175】
【表3】
【0176】
以上より、本実施例の水性組成物は、いずれも、外観や耐汚染性を高いレベルで維持できる塗膜が形成可能であることが確認された。