(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5899188
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】利率設定方法および装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20160324BHJP
G06Q 20/24 20120101ALI20160324BHJP
【FI】
G06Q20/40 110
G06Q20/24
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-236835(P2013-236835)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-97014(P2015-97014A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2013年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老原 里沙
(72)【発明者】
【氏名】松隈 宏司
【審査官】
大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−222312(JP,A)
【文献】
特開2003−016305(JP,A)
【文献】
特開2010−231664(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0031158(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客のクレジットカードに関する申込商品に対する適用利率をリスクランクに応じて設定するためにコンピュータにおいて実行される方法であって、前記コンピュータは、リスクランク毎およびクレジットカード会社毎に、申込商品の契約利率に反映させるべき利率の変動率を示すリスクプライシング変動率を保持したリスクプライシング変動率テーブルを備え、
会員の商品申込情報を受信すると、信用状況情報および前記受信された商品申込情報に含まれるクレジットカード会社種別に基づいて、当該商品の申込に対して、申込およびクレジットカード会社単位でリスクを評価する申込リスクランクを決定するステップと、
前記決定された申込リスクランクに基づいて、会員単位でリスクを評価する顧客リスクランクを決定するステップと、
前記決定された顧客リスクランクに基づいて、前記申込に対する適用リスクランクを決定するステップと、
前記リスクプライシング変動率テーブルを参照して、前記商品の契約利率と、前記適用リスクランクとに基づいて、前記申込に対するリスクプライシング変動率を決定するステップと、
前記契約利率と、前記決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて、前記申込に対する適用利率を算出するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信用状況情報は、前記申込に対する入会時スコアまたは前記コンピュータに接続された外部システムからの外部データであり、
前記申込リスクランクを決定するステップは、
前記申込リスクランクの設定方法を判断するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法がシステム設定方式である場合、前記申込に対する前記入会時スコアを決定し、リスクスコアと申込リスクランクとが対応付けられた申込リスクランクテーブルを参照して、前記入会時スコアに対応する申込リスクランクを決定するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法が外部取込方式である場合、前記外部システムから前記会員に関連する信用状況を示す外部データを取得して、該取得した外部データに基づいて前記申込に対する申込リスクランクを決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記会員に対して、複数の申込が存在するとき、前記顧客リスクランクを決定するステップは、前記複数の申込それぞれに対する申込リスクランクに基づいて前記顧客リスクランクを決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、各会員の商品申込に関する情報を保持する申込情報テーブルを備え、
前記受信した商品申込情報、前記決定された申込リスクランク、前記決定された顧客リスクランク、前記決定された適用リスクランク、前記決定されたリスクプライシング変動率、および前記算出された適用利率を前記申込情報テーブルに格納するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
会員の入会申込から所定の期間が経過したことを検知すると、
前記申込情報テーブルを参照して、見直し対象となる申込を特定するステップと、
信用状況情報に基づいて、前記特定された申込に対する申込リスクランクを再決定するステップと、
前記再決定された申込リスクランクに基づいて、顧客リスクランクを再決定するステップと、
前記会員に関して、月次の信用状況チェックの結果、および延滞回数を確認するステップと、
前記月次の信用状況チェックの結果および延滞回数と、前記再決定された顧客リスクランクとに基づいて適用リスクランクを再決定するステップと、
前記リスクプライシング変動率テーブルを参照して、前記特定された申込の契約利率と、前記再決定された適用リスクランクとに基づいて、前記特定された申込に対するリスクプライシング変動率を再決定するステップと、
前記契約利率と、前記再決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて、前記特定された申込に対する適用利率を再算出するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記信用状況情報は、前記申込に対する途上与信スコアまたは前記コンピュータに接続された外部システムからの外部データであり、
前記申込リスクランクを再決定するステップは、
前記申込リスクランクの設定方法を判断するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法がシステム設定方式である場合、前記特定された申込に対する前記途上与信スコアを決定し、リスクスコアと申込リスクランクとが対応付けられた申込リスクランクテーブルを参照して、前記途上与信スコアに対応する申込リスクランクを決定するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法が外部取込方式である場合、前記外部システムから前記会員に関連する信用状況を示す外部データを取得して、該取得した外部データに基づいて前記特定された申込に対する申込リスクランクを決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記会員に対して、複数の申込が存在するとき、前記顧客リスクランクを再決定するステップは、前記複数の申込それぞれに対する申込リスクランクに基づいて前記顧客リスクランクを再決定することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
顧客のクレジットカードに関する申込商品に対する適用利率をリスクランクに応じて設定するための装置であって、
リスクランク毎およびクレジットカード会社毎に、申込商品の契約利率に反映させるべき利率の変動率を示すリスクプライシング変動率を保持したリスクプライシング変動率テーブルと、
会員の商品申込情報を受信すると、信用状況情報および前記受信された商品申込情報に含まれるクレジットカード会社種別に基づいて、当該商品の申込に対して、申込およびクレジットカード会社単位でリスクを評価する申込リスクランクを決定するステップと、
前記決定された申込リスクランクに基づいて、会員単位でリスクを評価する顧客リスクランクを決定するステップと、
前記決定された顧客リスクランクに基づいて、前記申込に対する適用リスクランクを決定するステップと、
前記リスクプライシング変動率テーブルを参照して、前記商品の契約利率と、前記適用リスクランクとに基づいて、前記申込に対するリスクプライシング変動率を決定するステップと、
前記契約利率と、前記決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて、前記申込に対する適用利率を算出するステップと
を実行する処理部と
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項9】
前記信用状況情報は、前記申込に対する入会時スコアまたは当該装置に接続された外部システムからの外部データであり、
前記申込リスクランクを決定するステップは、
前記申込リスクランクの設定方法を判断するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法がシステム設定方式である場合、前記申込に対する前記入会時スコアを決定し、リスクスコアと申込リスクランクとが対応付けられた申込リスクランクテーブルを参照して、前記入会時スコアに対応する申込リスクランクを決定するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法が外部取込方式である場合、前記外部システムから前記会員に関連する信用状況を示す外部データを取得して、該取得した外部データに基づいて前記申込に対する申込リスクランクを決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記会員に対して、複数の申込が存在するとき、前記処理部は、前記複数の申込それぞれに対する申込リスクランクに基づいて前記顧客リスクランクを決定するように構成されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
各会員の商品申込に関する情報を保持する申込情報テーブルをさらに備え、
前記処理部は、前記受信した商品申込情報、前記決定された申込リスクランク、前記決定された顧客リスクランク、前記決定された適用リスクランク、前記決定されたリスクプライシング変動率、および前記算出された適用利率を前記申込情報テーブルに格納するように構成されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記処理部は、会員の入会申込から所定の期間が経過したことを検知すると、
前記申込情報テーブルを参照して、見直し対象となる申込を特定するステップと、
信用状況情報に基づいて、前記特定された申込に対する申込リスクランクを再決定するステップと、
前記再決定された申込リスクランクに基づいて、顧客リスクランクを再決定するステップと、
前記会員に関して、月次の信用状況チェックの結果、および延滞回数を確認するステップと、
前記月次の信用状況チェックの結果および延滞回数と、前記再決定された顧客リスクランクとに基づいて適用リスクランクを再決定するステップと、
前記リスクプライシング変動率テーブルを参照して、前記特定された申込の契約利率と、前記再決定された適用リスクランクとに基づいて、前記特定された申込に対するリスクプライシング変動率を再決定するステップと、
前記契約利率と、前記再決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて、前記特定された申込に対する適用利率を再算出するステップと
をさらに実行するように構成されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記信用状況情報は、前記申込に対する途上与信スコアまたは当該装置に接続された外部システムからの外部データであり、
前記申込リスクランクを再決定するステップは、
前記申込リスクランクの設定方法を判断するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法がシステム設定方式である場合、前記特定された申込に対する前記途上与信スコアを決定し、リスクスコアと申込リスクランクとが対応付けられた申込リスクランクテーブルを参照して、前記途上与信スコアに対応する申込リスクランクを決定するステップと、
前記申込リスクランクの設定方法が外部取込方式である場合、前記外部システムから前記会員に関連する信用状況を示す外部データを取得して、該取得した外部データに基づいて前記特定された申込に対する申込リスクランクを決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記会員に対して、複数の申込が存在するとき、前記処理部は、前記複数の申込それぞれに対する申込リスクランクに基づいて前記顧客リスクランクを再決定するように構成されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
コンピュータに、顧客のクレジットカードに関する申込商品に対する適用利率をリスクランクに応じて設定するための方法を実行させるプログラムであって、前記コンピュータは、リスクランク毎およびクレジットカード会社毎に、申込商品の契約利率に反映させるべき利率の変動率を示すリスクプライシング変動率を保持したリスクプライシング変動率テーブルを備え、前記方法は、
会員の商品申込情報を受信すると、信用状況情報および前記受信された商品申込情報に含まれるクレジットカード会社種別に基づいて、当該商品の申込に対して、申込およびクレジットカード会社単位でリスクを評価する申込リスクランクを決定するステップと、
前記決定された申込リスクランクに基づいて、会員単位でリスクを評価する顧客リスクランクを決定するステップと、
前記決定された顧客リスクランクに基づいて、前記申込に対する適用リスクランクを決定するステップと、
前記リスクプライシング変動率テーブルを参照して、前記商品の契約利率と、前記適用リスクランクとに基づいて、前記申込に対するリスクプライシング変動率を決定するステップと、
前記契約利率と、前記決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて、前記申込に対する適用利率を算出するステップと
を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利率設定方法および装置に関し、より詳細には、リスクランクに応じて適用利率の設定を可能にする方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードの利用において、ショッピングのリボ払いやキャッシングのカードローンなどの利率は、商品毎に設定される。通常、同じ商品を申し込んだ会員には同じ利率が適用されることになるため、会員の信用度や収益性などは利率に反映されない。例外として、利用実績に応じた優遇利率が適用されることもあるが、このような優遇利率の設定は、特定の商品に限定されるなど、非常に制限的なものである。また、このように例外的に特定の商品に限って優遇利率を設定する場合、各会員に対して、オペレータが1件ずつマニュアルで変更を登録する必要があり、会員の利用実績に応じて自動的に利率を変更することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、このような商品単位での利率設定では、会員の信用度や収益性などのリスク度に応じて会員毎に柔軟な利率を適用することができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、会員毎の信用度や収益性に基づくリスク度に応じて、各会員の申込商品に適用する利率の柔軟かつ機動的な設定を可能にする利率設定方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面に係る方法は、コンピュータにおいて、顧客の申込商品に対する適用利率をリスクランクに応じて設定するための方法である。上記コンピュータは、リスクランク毎に、申込商品の契約利率に反映させるべき利率の変動率を示すリスクプライシング変動率を保持したリスクプライシング変動率テーブルを備え、上記方法は、会員の商品申込情報を受信すると、信用状況情報に基づいて、当該商品の申込に対して、申込単位でリスクを評価する申込リスクランクを決定するステップと、決定された申込リスクランクに基づいて、会員単位でリスクを評価する顧客リスクランクを決定するステップと、決定された顧客リスクランクに基づいて、申込に対する適用リスクランクを決定するステップと、リスクプライシング変動率テーブルを参照して、商品の契約利率と適用リスクランクとに基づいて、申込に対するリスクプライシング変動率を決定するステップと、契約利率と、決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて、申込に対する適用利率を算出するステップとを含む。
【0006】
この構成によれば、各申込商品に対して、会員単位と申込単位の双方のリスクランクを考慮した柔軟な適用利率の設定が可能になる。
【0007】
また、本発明の別の態様では、申込リスクランクを決定するステップにおいて、申込リスクランクの設定方法を判断するステップと、申込リスクランクの設定方法がシステム設定方式である場合、申込に対する入会時スコアを決定し、リスクスコアと申込リスクランクとが対応付けられた申込リスクランクテーブルを参照して、入会時スコアに対応する申込リスクランクを決定するステップと、申込リスクランクの設定方法が外部取込方式である場合、外部システムから会員に関連する信用状況を示す外部データを取得して、該取得した外部データに基づいて申込に対する申込リスクランクを決定するステップとを含む。
【0008】
この構成によれば、任意のグループ毎に(例えば、カード会社単位など)、申込リスクランクをシステム設定方式で決定するか、データバンクや他の信用情報機関などのからの外部データを取り込む外部取込方式で決定するかを選択することが可能になる。
【0009】
さらに、本発明のさらに別の態様では、会員に対して、複数の申込が存在するとき、複数の申込それぞれに対する申込リスクランクに基づいて顧客リスクランクを決定することができる。
【0010】
この構成によれば、複数の申込それぞれに対する申込リスクランクのうち、最新のランクを顧客リスクランクに設定し、あるいは最も低い(または最も高い)ランクを顧客リスクランクに設定することもできる。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、会員の入会申込から所定の期間が経過したことを検知すると、上記方法は、申込情報テーブルを参照して、見直し対象となる申込を特定するステップと、信用状況情報に基づいて、特定された申込に対する申込リスクランクを再決定するステップと、再決定された申込リスクランクに基づいて、顧客リスクランクを再決定するステップと、会員に関して、月次の信用状況チェックの結果、および延滞回数を確認するステップと、月次の信用状況チェックの結果および延滞回数と、再決定された申込リスクランクとに基づいて適用リスクランクを再決定するステップと、リスクプライシング変動率テーブルを参照して、特定された申込の契約利率と再決定された適用リスクランクとに基づいて、特定された申込に対するリスクプライシング変動率を決定するステップと、契約利率と再決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて、特定された申込に対する適用利率を再算出するステップとをさらに含む。
【0012】
この構成によれば、年次など所定の期間毎に定期的にリスクスコアおよびリスクプライシング変動率を見直すことができるため、信用状況の変化に応じて適切な適用利率を用いることが可能になる。
【0013】
本発明は、さらに、顧客の申込商品に対する適用利率をリスクランクに応じて設定するための装置およびプログラムにも関連する。本発明のさらなる態様については、以下の詳細な説明において説明する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、新規入会時のスコアリングや利用実績により会員のリスク度を自動的に判定し、リスク度に応じて会員単位と申込単位の双方を考慮した適切な利率を設定することが可能になる。また、新規入会時に限らず、所定の期間の利用実績等に基づいて定期的に利率を見直すことにより、さらに柔軟な利率の設定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる全体的なシステム構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる入会時のリスクプライシング変動率の算出方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる申込リスクランクテーブルの例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかるリスクプライシング変動率テーブルの例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる申込情報テーブルの例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる利用明細データベースの例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる年次見直しリスクプライシング変動率の再算出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<用語の定義>
上記で簡単に説明したように、本発明は、信用度や収益性を指標として会員をスコアリングし、スコアリングした結果に応じて、申込単位だけでなく会員ごとに利率を変動させることを可能にする。本明細書において、「リスクプライシング」とは、このように信用度や収益性に応じて会員単位および申込単位に利率を変動させる仕組みをいう。
【0017】
また、本明細書において、「リスクスコア」とは、会員の属性、利用状況、延滞実績、収益性、外部信用情報などをスコアリングしたものを指す。本明細書では、「リスクスコア」を、単に「スコア」と称することもあり、また、入会時のリスクスコアを「入会時スコア」と称し、途上与信のリスクスコアを「途上与信スコア」と称することもある。「リスクスコア」は、カードローンなどの商品の申込単位に設定される。一方、「リスクランク」は、リスクスコアに基づいて算出される会員の信用度や収益性を示すランクを指し、顧客単位と申込単位の双方で管理される。本発明では、例えば、商品の申込単位にリスクを評価した「申込リスクランク」、および顧客単位にリスクを評価した「顧客リスクランク」を保持し、申込リスクランクと顧客リスクランクに基づいて、リスクプライシング変動率の算出に用いられる「適用リスクランク」を決定することができる。リスクランクは、入会時スコアまたは途上与信スコアなどのリスクスコアに基づいてシステムが自動的に設定することもでき、あるいは外部のデータバンクや信用情報機関などの外部システムから取得する信用状況情報などの外部データに基づいて設定することもできる。
【0018】
「リスクプライシング変動率」とは、リスクランクと申込商品の契約利率に応じて、契約利率に反映させる利率を指す。リスクランクは、入会申込後、定期的に(例えば、一年毎に)途上与信スコアなどに基づいて見直されるが、このリスクランクの見直しに伴ってリスクプライシング変動率も再算出される。また、本発明では、月次で会員の信用状況をチェックし、チェック結果に応じてリスクプライシング変動率を変更することができる(例えば、優遇したリスクプライシング変動率の取消など)。
【0019】
また、本発明では、リスクプライシング変動率を強制的に変更したい場合に設定する利率として「強制適用リスクプライシング変動率」も保持することができ、この強制適用リスクプライシング変動率は、例外的にマニュアルで設定することができる。
【0020】
なお、以下では、クレジットカードによるショッピングのリボ払い、およびキャッシングのリボ払い(カードローン)などの商品に対する利率を設定するための処理に関連して説明するが、本発明の実施形態にかかるリスクプライシング利率設定方法は、分割払いや他のカードローンなど、所定の契約利率で利息が発生し得る他の商品にも用いることができることに留意されたい。以下、図面を参照しながら本発明の諸実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態にかかる全体的なシステム構成を示す図である。カード会社のホスト100は、インタフェース(I/F)部110を有し、I/F部110により、店舗端末102およびATM端末104とネットワーク106を介して接続される。例えば、オペレータまたは会員が、店舗端末102またはATM端末104からカードローンの入会申込情報を入力すると、ホスト100は、I/F部110によりこれらの情報を受信し、処理部120により各種処理を行う。処理部120は、例えばプロセッサなどとすることができる。カード会社のホスト100は、ネットワーク106を介して外部システムの端末108にも接続される。外部システム108は、会員の利用状況や延滞実績などの信用状況情報を提供する、外部のデータバンクや信用情報機関などのシステムとすることができる。ホスト100は、I/F部110により外部システム108から会員の信用状況情報を受信すると、処理部120によって、受信した信用状況情報から会員のリスクスコアを設定することができる。
【0022】
ホスト100はさらに記憶部130を備える。一実施形態において、記憶部130は、利用明細データベース132、申込リスクランクテーブル133、リスクプライシング変動率テーブル134、および申込情報テーブル135を備える。また、記憶部130は、処理部120に、本発明にかかる各種処理を実行させるためのプログラム(図示せず)を格納することができる。
【0023】
利用明細データベース132は、会員のクレジットカードの利用日時、利用金額、利用店舗、申込商品などのクレジットカードの利用情報に加え、本発明によって設定される適用利率を格納することができる。利用明細データベース132については、以下で
図6に関連して詳述する。
【0024】
申込リスクランクテーブル133は、
図3に示されるように、リスクスコア(入会時または途上与信スコア)と、申込リスクランクとを対応付けて記憶する。これにより、入会時または途上与信スコアに対応する申込リスクランクを決定することができる。なお、申込リスクランクは、クレジットカードがプロパーのカードであるか、提携先会社のカードであるかなどのカード会社種別毎(以下、会社単位という)に管理することができる。したがって、申込リスクランクテーブル133を会社単位で保持することができ、異なるカード会社種別に対して異なるリスクランク体系を適用することもできる。また、上記したように、申込リスクランクは、リスクスコアに基づくシステム設定とすることも、外部システム108からの外部データの取込により設定することもできるが、このような申込リスクランクの設定方法は、会社単位に指定することができる。
【0025】
リスクプライシング変動率テーブル134は、リスクランク毎(例えば、適用リスクランク毎)に、各契約利率に適用すべき利率変動率を保持する。リスクプライシング変動率テーブル134については、以下で
図4に関連して詳述するが、リスクプライシング変動率テーブル134も、リスクランクテーブルと同様に会社単位で保持することができる。
【0026】
申込情報テーブル135は、
図5に示されるように、各会員のクレジットカードの申込情報を保持するテーブルである。申込情報テーブル135は、会員名、クレジットカード番号、カードの有効期限、カード種別、申込日、申込商品、申込商品に対応する契約利率などの入会申込情報に加えて、本発明によって設定されるリスクランク、リスクプライシング変動率、および適用利率などのリスクプライシングに関連する各種項目の情報を格納する。申込情報テーブル135については、以下で
図5に関連して詳述する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態にかかる入会時のリスクプライシング変動率の算出方法を示すフローチャートである。本発明では、会員がショッピング枠でのリボ払いやキャッシング枠でのカードローンの入会申込を行うと、入会時スコアからリスクランクを算出し、算出したリスクランクに基づいて入会時のリスクプライシング変動率を算出する。リスクランクには、申込リスクランク、顧客リスクランク、および適用リスクランクがある。このように算出されたリスクプライシング変動率に基づいて、会員が入会申込をしたカードローンの適用利率が決定される。以下、
図2を参照して、本発明の一実施形態にかかる入会時のリスクプライシング変動率の算出方法を詳細に説明する。
【0028】
まず、ステップS200において、ホスト100のI/F部110は、顧客によって記入されたカード入会申込書を基にパンチ入力された申込情報を受信し、または、オンライン入会画面から顧客によって入力された申込情報を、インターネットを経由して受信する。入会申込情報には、例えば、顧客名、クレジットカード番号、カード有効期限、カード会社種別、申込日、申込商品などが含まれ、これらの情報は、顧客の商品申込情報として申込情報テーブル135に格納される。
【0029】
I/F部110が申込情報を受信すると、ステップS202において、処理部120は、申し込まれた商品の初期の契約利率を特定する。リボ払いやカードローンなどの商品には各々、初期の契約利率が予め設定されているため、ここでは、申込商品に対して設定されている初期の契約利率を特定する。処理部120は、特定された契約利率を申込情報とともに申込情報テーブル135に格納する。
【0030】
ステップS204において、処理部120は、申込リスクランクの設定方法を判断する。上記したように、申込リスクランクは、リスクスコア(例えば、入会時スコア)に基づくシステム設定方式、または外部データ取込方式のいずれかにより設定することができ、このような申込リスクランクの設定方法は、カード会社単位で管理される。したがって、処理部120は、会員のクレジットカードのカード会社種別に基づいて、申込リスクランクの設定方法を判断する。なお、申込リスクランクの設定方法だけでなく、申込リスクランクの設定要否についても、カード会社単位で管理することができる。
【0031】
申込リスクランクの設定方法がシステム設定方式の場合、処理はステップS206に進み、会員の入会時スコアを決定する。入会時スコアは、会員の属性、利用状況、延滞実績、収益性などをスコアリングすることにより決定される。入会時スコアの決定は、カード申込の際に従来から行われていた方法により行うことができるので、詳細な説明はここでは省略する。
【0032】
入会時スコアを決定すると、処理部120は、次いでステップS208において、申込リスクランクテーブル133を参照し、決定された入会時スコアに対応する申込リスクランクを決定する。
【0033】
ここで、
図3を参照する。
図3は、本発明の一実施形態にかかる申込リスクランクテーブルの例を示す図である。申込リスクランクテーブル133は、入会時スコアまたは途上与信スコアと、申込リスクランクとを対応付けて記憶する。したがって、処理部120は、該当するカード会社の申込リスクランクテーブル133から、ステップS206において決定された入会時スコアに対応する申込リスクランクを特定する。なお、
図5では、一例として、カード会社毎に別個の申込リスクランクテーブルを保持するように示しているが、これを、個々のカード会社種別を区別可能な単一のテーブルとして構成することもできる。あるいはまた、全てのカード会社に対して同一の申込リスクランクを適用する場合には、個々のカード会社種別を区別せずに単一のテーブルで管理するように変更することもできる。
【0034】
図2に戻ると、ステップS204においてリスクランクの設定方法が外部取込方式であると判定された場合、処理はステップS210に進み、I/F部110は、外部システム108から、信用状況情報などの外部データを取得する。次いで、ステップS212において、処理部120は、取得した外部データに基づいて申込リスクランクを決定する。
【0035】
ステップS208またはS212において、申込リスクランクが決定されると、処理はステップS214に進み、申込リスクランクに基づいて顧客リスクランクが決定される。上記したように、申込リスクランクは、商品の申込単位にリスクを評価してランク付けするものであるのに対し、顧客リスクランクは、会員単位にリスクを評価してランク付けするものである。会員が単一の商品のみを申し込んでいる場合、顧客リスクランクは、その申込商品に対して決定された申込リスクランクと等しいものとすることができる。複数の商品を申込がある場合は、顧客リスクランクの決定にあたり、それらの複数の商品の申込に対して決定された申込リスクランクを全て考慮する必要がある。したがって、処理部120は、申込情報テーブル135を参照して、同じ会員に対して他の申込があるかどうかを判定する。同一会員に対して1つの申込しか存在しない場合は、その申込に対する申込リスクランクを、その会員に対する顧客リスクランクとすることができる。一方、同一会員に対して複数の申込がある場合は、例えば、複数の申込リスクランクのうちの最も低いランクを顧客リスクランクとし、または最新のランクを顧客リスクランクとしてもよい。あるいはまた、他の条件にしたがって、複数の申込リスクランクから顧客リスクランクを選択することもできる。
【0036】
ステップS216において、処理部120は、決定された顧客リスクランクに基づいて、適用リスクランクを決定する。適用リスクランクは、典型的に、顧客リスクランクとすることができるが、年次の見直し処理などにおいては、過去の延滞回数などに応じて適用リスクランクを変更することもできる。処理部120は、決定された申込リスクランク、顧客リスクランク、および適用リスクランクを申込情報テーブル135に格納する。
【0037】
ステップS218において、処理部120は、リスクプライシング変動率テーブル134を参照し、申込商品の契約利率と適用リスクランクとに基づいて、リスクプライシング変動率を決定する。次いで、ステップS220において、契約利率と、決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて適用利率を算出する。
【0038】
ここで、
図4を参照する。
図4は、本発明の一実施形態にかかるリスクプライシング変動率テーブルの例を示す図である。リスクプライシング変動率テーブル134は、適用リスクランク毎に、契約利率に対して適用すべき変動率を保持する。例えば、会員が利用したクレジットカードがプロパーのカードであり、会員の申込商品(例えば、ショッピングリボ)の契約利率が12.0%、その会員の適用リスクランクが「C」である場合、リスクプライシング変動率は「−2.0%」である。この場合、適用利率は、契約利率「12.0%」にリスクプライシング変動率「−2.0%」を反映させた「10.0%」となる。
【0039】
図2に戻ると、処理部120は、ステップS222において、リスクプライシング変動率と適用利率を申込情報テーブル135に格納するとともに、ステップS224において、算出された適用利率を利用明細データベース132にも格納する。これにより、会員の申込商品に対する利率が決定し、決定した利率により月々の請求額が算出されることになる。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態にかかる申込情報テーブルの例示的な構成を示す図である。上記したように、申込情報テーブル135は、商品の申込毎に、基本的な申込情報(会員名、クレジットカード番号、カード有効期限、カード会社種別、申込日、申込商品、契約利率など)に加え、入会時スコア(年次の見直し時は、途上与信スコア)に基づいて決定された申込リスクランク、申込リスクランクに基づいて決定された顧客リスクランク、顧客リスクランクに基づいて決定された適用リスクランクを含む。申込リスクランクおよび適用リスクランクは申込単位で決定されるため、申込毎に保持される。一方、顧客リスクランクは、会員単位で決定されるため、複数の申込がある場合も、同じ会員の申込に対しては同じ顧客リスクランクが保持される。申込情報テーブル135はさらに、各申込に対して決定されたリスクプライシング変動率、適用利率、およびその利率の適用を開始する適用開始日を含む。また、リスクプライシング変動率を強制的に変更するのに用いられる強制適用リスクプライシング変動率も保持することができる。強制適用リスクプライシング変動率は、例外的にオペレータなどによって手動で設定されるものであり、これが設定された場合には、リスクプライシング変動率の代わりに強制適用リスクプライシング変動率を契約利率に反映することによって適用利率が算出される。さらに、申込情報テーブル135は、年次で見直された(すなわち、翌年の)申込リスクランク、顧客リスクランク、適用リスクランク、リスクプライシング変動率、および適用利率などを含むが、これらを算出する年次の見直し処理については、以下で
図7を参照して説明する。また、本発明では、顧客の信用状況を月次でチェックし、チェックに該当した場合(例えば、資格停止など)は、同一顧客配下の全ての申込に対するリスクプライシング変動率を取り消すことができる。
【0041】
図6は、本発明の一実施形態にかかる利用明細データベースの例示的な構成を示す図である。利用明細データベース132は、会員のクレジットカード番号、利用日時、利用店舗、および利用商品が含まれる。ショッピングのリボ払いや、キャッシングのリボ払いなど、利息が発生する商品の場合には、上記した方法により契約利率から適用利率が算出され、算出された適用利率が利用明細データベース132に格納される。そして、算出された適用利率により支払請求額が算出される。一方、ショッピング枠の一括払いや2回払いなど、利息が発生しない商品の場合には、適用利率は0%となる。
【0042】
図7は、本発明の一実施形態にかかる年次見直しリスクプライシング変動率の再算出方法を示すフローチャートである。本発明では、所定の期間経過毎(例えば、1年経過毎)に申込リスクランクの見直しを行って、該当申込のリスクプライシング変動率の見直しも行う。これにより、会員の信用状況等の推移に応じて適用利率を柔軟に設定することが可能になる。処理は、入会申込から所定の期間(例えば、1年)が経過すると開始する。
【0043】
ステップS702において、処理部120は、申込情報テーブル135を参照して、該当する申込、すなわち見直しの対象となる申込を特定する。次いで、ステップS704において、処理部120は、申込リスクランクの設定方法を判断する。
【0044】
申込リスクランクの設定方法がシステム設定方式の場合、処理はステップS706に進み、会員の途上与信スコアを決定する。途上与信スコアは、会員の属性、利用状況、延滞実績、収益性などをスコアリングすることにより決定される。途上与信スコアの決定は、従来から行われていたものと同様であるので、途上与信スコアの決定方法の詳細な説明はここでは省略する。
【0045】
途上与信スコアを決定すると、処理部120は、次いでステップS708において、申込リスクランクテーブル133を参照し、決定された与信途上スコアに対応する申込リスクランクを決定する。なお、本明細書では、入会時スコアと途上与信スコアの双方に対して共通の申込リスクランクテーブルを用いるものとして説明しているが、別の実施形態では、入会時スコアに対する申込リスクランクテーブルと、途上与信スコアに対する申込リスクランクテーブルを別個にすることもできる。
【0046】
次いで、処理部120は、ステップS710において、同一会員について他の申込があるかどうかを判断し、他の申込がある場合にはステップS704に戻り、他の申込がない場合にはステップS718に進む。
【0047】
一方、ステップS704において、リスクランクの設定方法が外部取込方式であると判定された場合、処理はステップS712に進み、I/F部110は、外部システム108から、信用状況情報などの外部データを取得する。次いで、ステップS714において、処理部120は、取得した外部データに基づいて申込リスクランクを決定する。その後、処理部120は、ステップS716において、ステップS710と同様に同一会員について他の申込があるかどうかを判断し、他の申込がある場合にはステップS704に戻り、他の申込がない場合にはステップS718に進む。
【0048】
会員に対する1つまたは複数の申込リスクランクが再決定されると、ステップS718において、再決定された申込リスクランクに基づいて顧客リスクランクを決定する。処理部120は、同一会員に対して申込が1つのみであるとき、顧客リスクランクを申込リスクランクと等しいものとすることがき、同一会員に対して複数の申込がある場合は、例えば、複数の申込リスクランクのうちの最も低いランクを顧客リスクランクとし、または最新のランクを顧客リスクランクとしてもよい。あるいはまた、上記したように、他の条件にしたがって、複数の申込リスクランクから顧客リスクランクを選択することもできる。
【0049】
ステップS720において、処理部120は、同一会員配下の全申込について、月次の信用状況チェック結果、および延滞状況を確認する。例えば、会員が資格停止になっていた場合など、所定の条件に該当する申込は、信用状況チェック結果にフラグを立てる。月次の信用状況のチェックは、信用状況を示す指標を用いてシステムによる自動設定とすることも、外部システム(例えば、外部システム108)などから取得する外部テータに基づくものとすることもできる。なお、月次の信用状況チェックは、リスクプライシングの対象となっている商品の申込(本例では、ショッピングリボ、およびキャッシングリボ)だけでなく、一括払いや分割払いなどリスクプライシングの対象となっていない商品の申込も含め、同一会員の全申込に対する信用状況を考慮することができる。
【0050】
ステップS722において、処理部120は、月次の信用状況チェックの結果および延滞回数と、再決定した顧客リスクランクに基づいて、適用リスクランクを再決定する。典型的に、適用リスクランクは顧客リスクランクとすることができる。しかしながら、別の実施形態では、月次の信用状況チェックおよび延滞回数に応じて適用リスクランクを変更することができる。例えば、会員が資格停止になっている場合など、月次の信用状況チェックに該当したとき、処理部120は、現在優遇されているリスクプライシング変動率を取り消すように、適用リスクランクを変更する。例えば、リスクプライシング変動率を「0.0%」に設定するランク(例えば、ランク「X」)を設定することができる。別の例では、会員が所定の回数(例えば、2回)以上、支払を延滞したとき、処理部120は、現在優遇されているリスクプライシング変動率を取り消すように、適用リスクランクを変更する。なお、他の実施形態では、月次の信用状況チェックに該当したときには、適用リスクランクだけでなく、申込リスクランクも変更するように構成することもできる。処理部120は、再決定した申込リスクランク、顧客リスクランク、および適用リスクランクを申込情報テーブル135に格納する。
【0051】
適用リスクランクを再決定すると、処理部120は、ステップS724において、リスクプライシング変動率テーブル134を参照し、申込商品の契約利率と適用リスクランクとに基づいて、リスクプライシング変動率を再決定する。次いで、ステップS726において、契約利率と、決定されたリスクプライシング変動率とに基づいて適用利率を再算出する。
【0052】
処理部120は、ステップS728において、リスクプライシング変動率と適用利率を申込情報テーブル135に格納するとともに、ステップS730において、算出された適用利率を利用明細データベース132にも格納する。
【0053】
ここで、再び
図5を参照すると、
図5の例では、山田さんの場合、プロパーカードのショッピングリボの申込に関して、年次見直しにより適用リスクランクが「C」から「B」に変わったため、リスクプライシング変動率も「−2.0%」から「−2.5%」になり、適用利率が「10.0%」から「9.5%」に引き下げられる。同様に、提携先カードのショッピングリボの申込に関しては、年次見直しにより適用リスクランクが「C」から「B」に変わったため、リスクプライシング変動率も「−1.5%」から「−2.5%」になり、適用利率が「13.5%」から「12.5%」に引き下げられる。一方、鈴木さんの場合、入会時は契約利率が「16.0%」のキャッシングリボの申込、および契約利率が「14.0%」のショッピングリボの申込に対して、それぞれ「−3.0%」のリスクプライシング変動率が適用されていたが、その後、「資格停止」となって月次の信用状況チェックに該当したため、適用リスクランクが「X」と決定される。このため、リスクプライシング変動率は「0.0%」となり、それぞれの申込に対して、元の契約利率「16.0%」と「14.0%」が適用されることになる。さらに、佐藤さん場合、契約利率が「16.0%」のキャッシングリボの申込に対して、「−2.0%」のリスクプライシング変動率が適用されていたが、延滞回数が2回あったため、再決定された適用リスクランクが「X」、リスクプライシング変動率は「0.0%」となり、適用利率は、元の契約利率「16.0%」が適用されることになる。なお、延滞回数は、リスクプライシングの対象となる申込(例えば、この例では、プロパーカードによる契約利率「16.0%」のキャッシングリボ)についてのみカウントしてもよく、あるいは、リスクプライシング対象外の申込(例えば、2回払いのショッピングの利用)に対する支払延滞の回数についてカウントすることもできる。さらに、月次の信用状況チェックに関しては、信用コード等による会員の資格停止有無や延滞回数に加えて、追加の信用状況の指標を用いた評価を行うこともできる。
【符号の説明】
【0054】
100 ホスト
102 店舗端末
104 ATM端末
106 ネットワーク
108 外部システム
110 インタフェース部
120 処理部
130 記憶部
132 利用明細データベース
133 申込リスクランクテーブル
134 リスクプライシング変動率テーブル
135 申込情報テーブル