特許第5900247号(P5900247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900247
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/04 20060101AFI20160324BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20160324BHJP
   H01G 9/12 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   H01M2/04 A
   H01M2/12 101
   H01G9/12 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-188795(P2012-188795)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-49190(P2014-49190A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2014年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
(72)【発明者】
【氏名】松戸 覚央
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0214029(US,A1)
【文献】 特開2009−009868(JP,A)
【文献】 特開2006−012831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00−2/08、2/12
H01G 9/05−9/18、9/22−9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と電解液とを収容する有底筒状のケース本体を板状の蓋体で閉塞した蓄電装置において、
前記蓋体には、前記ケース本体を閉塞した状態のケース内圧が開放圧を越えた場合に開放してケース内外を連通させる円板状の圧力開放弁が溶接されており、
前記蓋体には、該蓋体の一方の面に開口する圧力開放孔と、該圧力開放孔に連設され前記蓋体の他方の面に開口する段差孔とが設けられており、
前記段差孔は、前記圧力開放孔に連設するとともに前記圧力開放孔に比して直径が大きい円形状の小径部と、前記蓋体の前記他方の面に開口するとともに前記小径部に比して直径が大きい円形状の大径部とを有し、
前記圧力開放孔は、前記小径部に収容された前記圧力開放弁にて閉塞されており、
前記圧力開放弁の板厚方向における溶接部、前記蓋体を板厚方向に3分割したときの中央の領域に最も多く形成され、かつ、前記板厚方向における前記圧力開放弁の溶接部の中央が、前記蓋体の板厚方向の中央に位置するように、前記大径部及び前記小径部の深さが設定されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
小径部には、前記蓋体の延設方向に延びる溶接面が連接されている請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記小径部に収容される前記圧力開放弁は、前記ケース本体を前記蓋体で閉塞した状態においてケース内に配置されている請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電装置は、二次電池である請求項1〜請求項のうち何れか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内圧が開放圧を越えた場合に開放する圧力開放弁を有する蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。この種の二次電池は、例えば、特許文献1に開示されている。二次電池は、金属箔に負極活物質を塗布した負極電極と金属箔に正極活物質を塗布した正極電極との間をセパレータで絶縁し、層状に積層した電極組立体を有する。そして、二次電池のケースには、電極組立体と電解液が収容されている。また、二次電池のケースには、ケース内圧が開放圧を超えた場合に開放する圧力開放弁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−12831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池のケースは、電極組立体と電解液を収容するケース本体と、そのケース本体を閉塞する蓋体から構成されている。そして、圧力開放弁は、溶接によって蓋体に取り付けられる場合がある。しかしながら、圧力開放弁を蓋体に溶接する構造では、溶融部の熱収縮による曲げ応力が蓋体に加わることで、蓋体に反りが生じ得る。蓋体に生じた反りは、蓋体とケース本体を溶接する際の不良要因となる。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、ケース本体と蓋体の溶接不良が生じ難い蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、電極組立体と電解液とを収容する有底筒状のケース本体を板状の蓋体で閉塞した蓄電装置において、前記蓋体には、前記ケース本体を閉塞した状態のケース内圧が開放圧を越えた場合に開放してケース内外を連通させる円板状の圧力開放弁が溶接されており、前記蓋体には、該蓋体の一方の面に開口する圧力開放孔と、該圧力開放孔に連設され前記蓋体の他方の面に開口する段差孔とが設けられており、前記段差孔は、前記圧力開放孔に連設するとともに前記圧力開放孔に比して直径が大きい円形状の小径部と、前記蓋体の前記他方の面に開口するとともに前記小径部に比して直径が大きい円形状の大径部とを有し、前記圧力開放孔は、前記小径部に収容された前記圧力開放弁にて閉塞されており、前記圧力開放弁の板厚方向における溶接部は、前記蓋体を板厚方向に3分割したときの中央の領域に最も多く形成され、かつ、前記板厚方向における前記圧力開放弁の溶接部の中央が、前記蓋体の板厚方向の中央に位置するように、前記大径部及び前記小径部の深さが設定されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、圧力開放弁の溶接部が、蓋体の板厚方向に規定する中央の領域に最も多く形成されている。このため、溶接において溶融部の熱収縮によって蓋体に加えられる曲げ応力の偏りを小さくできる。このため、蓋体の反りを抑制できる。したがって、ケース本体と蓋体の溶接不良が生じ難い。
【0008】
また、板厚の中央と溶接部の中央を一致させることで、蓋体の反りをより確実に抑制でき、ケース本体と蓋体の溶接不良をより生じ難くすることができる。
また、小径部が蓋体と段差状に繋がっているので、その段差部位を溶接面とすることができ、溶接が行い易い。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の蓄電装置において、前小径部には、前記蓋体の延設方向に延びる溶接面が連接されていることを要旨とする。これによれば、凹部に溶接面が連接されているので、溶接が行い易い。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置において、前記凹部に収容される前記圧力開放弁は、前記ケース本体を前記蓋体で閉塞した状態においてケース内に配置されていることを要旨とする。
【0011】
これによれば、ケース内の圧力を蓋体で受圧することができる。ケース内の圧力は、圧力開放弁に加われることになるが、その圧力開放弁をケースに配置しておくことで、圧力開放弁に加わる圧力を蓋体で受圧することもできる。したがって、圧力開放弁に加わる圧力によって溶接部が破断するなどの事態を回避することもできる。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のうち何れか一項に記載の蓄電装置において、前記蓄電装置は、二次電池であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケース本体と蓋体の溶接不良を生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】二次電池の外観を示す斜視図。
図2】圧力開放弁を取り付けた蓋体を示す平面図。
図3図2の1−1線断面図。
図4】別例を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース11に電極組立体12が収容されている。また、ケース11には、電極組立体とともに電解液も収容されている。ケース11は、有底筒状のケース本体13と、当該ケース本体13に電極組立体12を挿入する開口部を閉塞する平板状の蓋体14とからなる。ケース本体13と蓋体14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、本実施形態の二次電池10は、ケース本体13が有底四角筒状であり、蓋体14が矩形平板状であることから、その外観が角型をなす角型電池である。また、本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0017】
電極組立体12には、正極端子15と負極端子16が電気的に接続されている。そして、正極端子15及び負極端子16には、ケース11から絶縁するためのリング状の絶縁リング17aがそれぞれ取り付けられている。また、正極端子15と負極端子16は、蓋体14からケース11外に露出している。
【0018】
電極組立体12は、正極電極、負極電極、及び正極電極と負極電極を絶縁するセパレータを有する。正極電極は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を塗布して構成される。負極電極は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を塗布して構成される。そして、電極組立体12は、複数の正極電極と複数の負極電極を交互に積層するとともに、両電極の間にセパレータを介在した積層構造とされている。
【0019】
また、ケース11の蓋体14には、ケース11(ケース本体13)内に電解液を注入するための図示しない注液孔が設けられており、その注入孔は封止部材19によって閉塞されている。封止部材19は、蓋体14の表面14a(ケース外側の面)に固定されており、ケース11外に露出している。また、ケース11の蓋体14には、ケース内圧を外部に開放するための圧力開放孔20が設けられている。圧力開放孔20は、電解液の注液孔とは別に設けられているとともに、注液孔に並設されている。
【0020】
図2に示すように、圧力開放孔20は、圧力開放弁21によって閉塞されている。圧力開放弁21は、蓋体14の裏面14b(電極組立体12側の面)に固定されており、ケース本体13を蓋体14で閉塞した状態においてケース11内に配置されている。本実施形態の圧力開放弁21は円板状であり、アルミニウムやステンレスなどの金属製である。また、圧力開放弁21には、その中央から外周面21aに向かって径方向に延びる複数本(本実施形態では3本)の溝(凹部)22が形成されている。これらの複数本の溝22は、周方向に等間隔をあけて形成されている。そして、圧力開放弁21には、図3に示すように、溝22によって板厚が部分的に薄くなる薄肉部23が設けられている。圧力開放弁21は、常には圧力開放孔20を閉塞しており、ケース内圧が上昇し過ぎないように、ケース内圧が所定の圧力である開放圧を超えた場合に破断して開放することにより、圧力開放孔20を通じてケース内外を連通させる。
【0021】
図3に示すように、蓋体14には、当該蓋体14の裏面14bに開口する段差孔24が設けられている。段差孔24は、蓋体14の表面14aに開口する圧力開放孔20に連設されている。段差孔24は、円形状の大径部25と、その大径部25に比して直径が小さく、かつ圧力開放孔20に比して直径が大きい円形状の小径部26とを有する。
【0022】
大径部25は、蓋体14の裏面14bに連接される周面25aを有し、その周面25aには大径部25と小径部26の直径差によって形成される段差面25bが連接されている。大径部25の周面25aは蓋体14の板厚方向に延びている一方で、段差面25bは蓋体14の板厚方向に直交する方向で、蓋体14の表面14a及び裏面14bと平行に延びている。小径部26は、大径部25の段差面25bに連接される周面26aを有し、その周面26aには小径部26と圧力開放孔20の直径差によって形成される段差面26bが連接されている。小径部26の周面26aは蓋体14の板厚方向に延びている一方で、段差面26bは蓋体14の板厚方向に直交する方向で、蓋体14の表面14a及び裏面14bと平行に延びている。
【0023】
そして、本実施形態において小径部26は、圧力開放弁21を収容する凹部となる。このため、小径部26は、圧力開放弁21の板厚と同程度の深さを有する。具体的に言えば、小径部26は、圧力開放弁21を収容した際、圧力開放弁21と小径部26の周面26aに連接される大径部25の段差面25bとが面一となる深さを有する。そして、小径部26は、周面26aと大径部25の段差面25bとが連接されることにより、蓋体14の裏面14bと段差状に繋がっている。
【0024】
圧力開放弁21は、蓋体14に対して溶接固定されている。本実施形態では、圧力開放弁21の外周面21aと小径部26の周面26aとが溶接されている。つまり、本実施形態では、圧力開放弁21の外周面21aと小径部26の周面26aとの間に、圧力開放弁21を蓋体14に固定する溶接部27が位置している。また、溶接部27は、蓋体14の板厚方向、すなわち圧力開放弁21の板厚方向に延びている。そして、本実施形態において溶接部27は、図2に示すように、圧力開放弁21と大径部25の段差面25bとの境界に沿って円環状に形成されており、段差面25bが溶接面となる。また、段差面25bは、蓋体14の延設方向、すなわち矩形状の蓋体14の長辺方向及び短辺方向のそれぞれに延びる面となっている。
【0025】
本実施形態において溶接部27は、図3に示すように、蓋体14を板厚方向に3分割し、その板厚方向に3つの領域Z1,Z2,Z3を規定したとき、領域Z2に最も多く形成されている。つまり、領域Z2において圧力開放弁21の板厚方向における溶接部27の占める割合が最も多くなっている。領域Z1は、蓋体14の裏面14b側に位置する蓋体14の板厚を3分の1した領域であり、領域Z3は、蓋体14の表面14a側に位置する蓋体14の板厚を3分の1した領域である。領域Z2は、領域Z1と領域Z3の間の領域、すなわち蓋体14の板厚を3分割した時に板厚方向において中央に位置する領域である。
【0026】
また、本実施形態において圧力開放弁21の板厚方向における溶接部27の中央が、蓋体14の板厚方向の中央に位置している。溶接部27の中央は、前述した領域Z2に位置する。このように本実施形態においては、溶接部27の中央が蓋体14の板厚方向の中央に位置するように、段差孔24を構成する大径部25及び小径部26の深さがそれぞれ設定されている。つまり、大径部25及び小径部26の深さが浅かった場合、溶接部27の中央は、蓋体14の板厚の中央に位置せず、蓋体14の裏面14b寄りに位置してしまう。一方、大径部25及び小径部26の深さが深かった場合、溶接部27の中央は、蓋体14の板厚の中央に位置せず、蓋体14の表面14a寄りに位置してしまう。
【0027】
次に、圧力開放弁21の溶接方法を説明する。
圧力開放弁21は、ケース本体13に蓋体14を取り付ける前に、蓋体14の小径部26に収容する。そして、溶接は、例えばレーザ溶接などで行い、大径部25側、すなわち大径部25の段差面25b側から行う。また、溶接は、圧力開放弁21の外周面21aと小径部26の周面26aとの間を、圧力開放弁21の周縁に沿って溶接部27が円形状となるように行う。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
蓋体14には、その板厚方向の中央に溶接部27の中央が位置するように圧力開放弁21が溶接される。そして、溶接後の蓋体14においては、溶接部27の中央が蓋体14の中央に位置することにより、蓋体14の表面14a及び裏面14bの何れかに偏った曲げ応力が発生し難い。つまり、溶接部27の熱収縮による加重が蓋体14の中央に作用することで、曲げ応力が発生し難い。このため、圧力開放弁21を蓋体14に溶接する構造であっても、蓋体14に反りが生じ難い。
【0029】
そして、本実施形態の二次電池10は、ケース本体13に電極組立体12を収容した後、ケース本体13の開口部に圧力開放弁21を取り付けた蓋体14をセットして蓋体14を溶接固定する。このため、蓋体14が反り難い構造であるから、ケース本体13と蓋体14を適切に溶接固定することが可能となる。なお、電解液は、ケース本体13の開口部を蓋体14で閉塞した後、注液孔からケース11内に注入する。そして、電解液の注入後、注液孔は封止部材19で閉塞する。
【0030】
また、本実施形態の圧力開放弁21は、蓋体14の段差孔24を構成する小径部26に収容されることで、ケース11内に配置された状態となる。また、圧力開放弁21は、小径部26の段差面26bに接触した状態で固定されている。そして、ケース内圧は、圧力開放弁21に加わることになるが、その圧力は圧力開放弁21が小径部26に収容されていることで、小径部26の段差面26bによって受けることもできる。つまり、小径部26の段差面26bは、ケース内圧を受圧する受圧面としても機能する。これにより、ケース内圧によって溶接部27が破断するなどの事態も回避し得る。
【0031】
前述のように蓋体14に取り付けた圧力開放弁21は、部分的に薄肉部23を有することにより、ケース内圧が開放圧を越えた場合に薄肉部23が破断することによって開放される。これにより、ケース11は、圧力開放弁21の開放によって内圧が下げられることにより、破裂などが防止される。
【0032】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)圧力開放弁21の溶接部27が、蓋体14の板厚方向に規定する領域Z1〜Z3のうち、中央の領域Z2に最も多く形成されている。このため、溶接において溶融部の熱収縮による曲げ応力の偏りを小さくできる。このため、蓋体14の反りを抑制できる。したがって、ケース本体13と蓋体14の溶接不良が生じ難い。
【0033】
(2)蓋体14の板厚方向の中央と溶接部27の中央を一致させている。これにより、蓋体14の反りをより確実に抑制でき、ケース本体13と蓋体14の溶接不良をより生じ難くすることができる。
【0034】
(3)凹部となる小径部26に、溶接面となる大径部25の段差面25bを連接しているので、段差面25bと圧力開放弁21を溶接するためのスペースを確保できる。したがって、溶接を行い易くすることができる。
【0035】
(4)そして、段差孔24を大径部25と小径部26で構成し、小径部26を蓋体14の裏面14bに対して段差状に繋げているので、その段差部位である段差面25bを溶接面とすることができ、溶接を行い易くすることができる。
【0036】
(5)圧力開放弁21をケース11内に配置している。これによれば、ケース11内の圧力を蓋体14で受圧することができる。ケース内の圧力は、圧力開放弁21に加われることになるが、その圧力開放弁21をケース11内に配置しておくことで、圧力開放弁21に加わる圧力を蓋体14(段差面26b)で受圧することもできる。したがって、圧力開放弁21に加わる圧力によって溶接部27が破断するなどの事態を回避することもできる。
【0037】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
図4に示すように、蓋体14に対して大径部25と圧力開放孔20を実施形態とは逆の位置となるように設けても良い。つまり、蓋体14の表面14a側に大径部25を設ける一方で、裏面14b側に圧力開放孔20を設けても良い。この場合、小径部26に収容される圧力開放弁21は、蓋体14の表面14a側から溶接する。この場合、ケース本体13に電解液を注入した後に、圧力開放弁21を蓋体14に溶接することも可能であるから、圧力開放孔20を注液孔として兼用することもできる。
【0038】
○ 圧力開放弁21の板厚を蓋体14の板厚と同一に設定しても良い。この場合は、蓋体14の板厚方向全体に亘って溶接部27が形成されることになるので、蓋体14の表面14a及び裏面14bに偏った曲げ応力が発生し難い。
【0039】
○ 大径部25の周面25aは、小径部26に向かって径が小さくなる斜状に形成しても良い。
○ 圧力開放弁21の溝22の形状や薄肉部23の形状を変更しても良い。
【0040】
○ 圧力開放弁21の外観形状を変更しても良い。例えば、平面視四角形の板状でも良い。また、平面視楕円形の板状でも良い。
○ 圧力開放弁21が開放するのは、開放圧以上の場合であっても良い。あるいは、設計上、開放圧以下の場合に開きうるものであるからといって、本件の圧力開放弁21とは異なることにはならない。
【0041】
○ 実施形態のような積層型の二次電池10に限らず、帯状の正極電極と帯状の負極電極を捲回して層状に積層した捲回型の二次電池に適用しても良い。
○ 実施形態の二次電池10は、車両として自動車に搭載しても良いし、産業用車両に搭載しても良い。また、定置用の蓄電装置に適用しても良い。
【0042】
○ 本実施形態の構成を、電気二重層コンデンサ等の他の蓄電装置に適用しても良い。
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であっても良い。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであれば良い。
【符号の説明】
【0043】
10…二次電池、11…ケース、12…電極組立体、13…ケース本体、14…蓋体、14b…裏面、21…圧力開放弁、25…大径部、25b…段差面、26…小径部、27…溶接部、Z1〜Z3…領域。
図1
図2
図3
図4