(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.第1の実施形態>
(1−1.紙幣処理装置の内部構成例)
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る紙幣処理装置10の内部構成例について説明する。
【0022】
図1は、第1の実施形態に係る紙幣処理装置10の内部構成例を示す図である。紙幣処理装置10は、金融機関の営業店等に設置されている。紙幣処置装置10は、装置の操作者である金融機関の受付窓口員等の職員による操作に基づいて、紙幣の取引を行う職員操作型端末である。
【0023】
紙幣処理装置10は、
図1に示すように、入金口12と、出金口18と、紙幣認識部20と、一時保留部22と、搬送部24と、紙幣カセット30A〜30Dと、リジェクト庫付き紙幣カセット35と、表示部40とを有する。なお、紙幣カセット30A〜30D、及びリジェクト庫付き紙幣カセット35が、紙幣を収納する複数の紙幣収納部の一例に該当する。
【0024】
入金口12は、職員が紙幣を投入する投入口である。入金口12には、開口部を開閉するシャッタ(不図示)を設けるようにしてもよい。また、入金口12は、束で投入された紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す分離機能を有する。
【0025】
出金口18は、職員が受け取る紙幣が排出(出金)される排出口である。出金口18は、排出する紙幣を集積する集積機能を有する。出金口18には、開口部を開閉するシャッタ(不図示)を設けるようにしてもよい。出金口18は、一例として、紙幣を100枚(最大集積枚数)集積できる容量を有する。なお、
図1に示す例では、出金口が一つ設けられているが、これに限定されず、例えば出金口が二つ以上であってもよい。
【0026】
紙幣認識部20は、1枚ずつ通過していく紙幣の鑑別を行う。紙幣の進行方向は双方向に対応しており、紙幣認識部20は、入金口12側の方向から搬送される紙幣、およびその逆方向から搬送される紙幣の鑑別を行うことができる。具体的には、紙幣認識部20は、搬送路を通って搬送された紙幣の金種、真偽(真券/偽券)、正損(正券/損券)および走行状態(正常/異常)などを鑑別し、通過する紙幣に対して、正常判定またはリジェクト判定を行う。
【0027】
ここで、本明細書において真券とは紙幣と鑑別されたものをいい、偽券とは紙幣と鑑別されなかったものをいう。また、正券とは真券と鑑別された紙幣のうち入金/出金に適すると鑑別されたものをいい、損券とは真券と鑑別された紙幣のうち入金/出金に適さないと鑑別されたものをいう。また、リジェクト判定は、偽券、損券(汚損、損壊、外形異常等)、走行異常(スキュー紙幣、重走等)といった要因に基づいて行われる。また、リジェクト紙幣には、出金紙幣として取り扱えない紙幣(例えば二千円札や五千円札)を含んでもよいし、外国紙幣を含んでもよい。
【0028】
一時保留部22は、紙幣の分離と集積の両方の機能を有する。例えば、一時保留部22は、入金取引時に入金口12から分離されて紙幣認識部20により正常と鑑別された紙幣を一時的に集積する。一時保留部22に集積された紙幣は、入金した紙幣の口座計上などが確定したなど、取引が成立した場合に繰り出され、紙幣認識部20を経て紙幣カセット30A〜30Dなどに搬送される。なお、一時保留部22は、紙幣を順次重ねて集積する集積式であってもよいし、紙幣を順次巻いて収納するドラム式であってもよい。
【0029】
搬送部24は、搬送路、紙幣を搬送する搬送ローラ、および搬送ローラを駆動する駆動機構を含み、紙幣を一枚ずつ搬送する。駆動機構は、例えばDCサーボモータまたはパルスモータなどが回転することにより、搬送ローラを駆動する。搬送部24は、後述する制御部により制御され、紙幣を目的の搬送先に搬送する。
【0030】
紙幣カセット30A〜30Dは、紙幣を金種毎に収納可能な紙幣収納部であって、紙幣の集積および分離の両方の機能を有する。また、紙幣カセット30A〜30Dは、同一金種のための複数の紙幣カセットを含んでもよい。例えば、紙幣カセット30Aおよび30Cが一万円札用の紙幣カセットであり、紙幣カセット30Bおよび30Dが千円札用の紙幣カセットであってもよい。また、紙幣カセット30A〜30Dは、紙幣処理装置10に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで紙幣カセット30A〜30Dに紙幣を装填することも可能である。
【0031】
リジェクト庫付き紙幣カセット35(以下、紙幣カセット35と称す)は、紙幣処理装置10に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで、紙幣の回収および補充が可能である。また、紙幣カセット35は、上側に紙幣収納庫35a、下側(底部)にリジェクト庫35bを備える。
【0032】
紙幣収納庫35aは、紙幣を集積する集積機能および1枚ずつ繰り出す分離機能を有する。また、紙幣収納庫35aは、カセット計数回収時に各紙幣カセット30A〜30Dから分離された紙幣を集積し、紙幣を回収することができる。また、紙幣収納庫35aは、カセット計数補充時に、紙幣収納庫35a内に集積している紙幣を繰り出し、紙幣カセット30A〜30Dに紙幣を補充することができる。
【0033】
リジェクト庫35bは、紙幣を集積する集積機能のみ有する。リジェクト庫35bは、紙幣認識部20によって異常と鑑別(リジェクト判定)された紙幣(リジェクト紙幣)を集積するための紙幣収納部である。
【0034】
表示部40は、メニュー画面や処理結果画面を表示する。表示部40は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。
【0035】
また、紙幣処理装置10は、職員が操作可能な操作部42(
図2参照)を有する。紙幣処理装置10は、装置の操作者である職員が操作部42を操作することにより、入金や出金の取引に対応する入金処理や出金処理等を行う。なお、紙幣処理装置10は、操作部42の代わりに、
図2に示す紙幣処理装置10に接続された複数の受付端末90a、90bにおける職員の操作に基づいて、処理を行なっても良い。
【0036】
図2は、紙幣処理装置10に接続された複数の操作装置の一例である受付端末90a、90bの構成例を示す図である。
図2では、二つの受付端末90a、90bが有線(ケーブル)で紙幣処理装置10に接続され、紙幣処理装置10は、受付端末90aと受付端末90bの間に配置されている。受付端末90aは職員S1により操作され、受付端末90bは職員S2により操作される。そして、受付端末90a、90bは、職員S1、S2により選択された処理モード(入金/出金処理等)を紙幣処理装置10で実行するように指示を送る。このように、複数の受付端末90a、90bが、一台の紙幣処理装置10を共有する。
【0037】
なお、
図2では、二つの受付端末90a、90bが紙幣処理装置10に接続されているが、これに限定されず、三つ以上の受付端末が紙幣処理装置10に接続されても良い。また、上記では、受付端末90a、90bが有線で紙幣処理装置10と接続されていることとしたが、これに限定されず、無線(LAN等)で接続されても良い。
【0038】
(1−2.紙幣処理装置の基本処理)
紙幣処置装置10は、基本処理として、例えば入金処理、出金処理、補充処理、回収処理を行う。以下では、
図1を参照しながら処理毎に説明する。
【0039】
(入金処理)
入金処理は、入金口12の紙幣を紙幣処理装置10の内部に集積する処理である。紙幣処理装置10は、入金処理として、例えば、入金紙幣を一時保留部22へ退避させた後に一時保留部22から紙幣カセット30A〜30Dに集積する通常入金処理と、入金紙幣を一時保留部22へ退避させないで直接紙幣カセット30A〜30Dに集積するダイレクト入金処理とを行う。なお、紙幣処理装置10は、設定により通常入金処理又はダイレクト入金処理を選択することができる。
【0040】
まず、通常入金処理について説明する。通常入金処理においては、まず、入金口12に投入された紙幣が一枚ずつ分離して繰り出され、繰り出された紙幣は、搬送部24により紙幣認識部20に搬送される。次に、紙幣認識部20が紙幣の鑑別を行い、鑑別結果が正常であった紙幣は、一時保留部22へ搬送されて集積される。その後、入金金額が確定すると、集積処理に移行する。
【0041】
一方で、紙幣認識部20による鑑別結果が異常であった紙幣(リジェクト紙幣)は、出金口18に集積される。出金口18に集積された紙幣は、職員により入金口12に再投入されることで、紙幣認識部20による再鑑別が可能である。なお、以下において、紙幣認識部20により紙幣を鑑別し、鑑別結果に基づき搬送先に紙幣を搬送する処理を計数処理とも呼ぶ。
【0042】
集積処理においては、まず、一時保留部22から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣が紙幣認識部20に搬送される。次に、紙幣認識部20による鑑別結果が正常であった紙幣は、金種に対応する紙幣カセット30A〜30Dに集積される。一方で、汚損券、折れ紙幣、スキュー紙幣などの走行異常紙幣のように、紙幣認識部20による鑑別結果が異常であった紙幣は、紙幣カセット35のリジェクト庫35bに集積される。
【0043】
一方で、入金金額の確定前に入金紙幣の返却(キャンセル)が指示されると、返却処理に移行する。返却処理においては、まず、一時保留部22から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣が紙幣認識部20に搬送される。そして、紙幣認識部20による鑑別結果が正常/異常いずれであっても、全ての紙幣を出金口18へ集積する。
【0044】
次に、ダイレクト入金処理について説明する。入金口12に投入された紙幣は、通常入金処理と同様に、紙幣認識部20により鑑別される。そして、鑑別結果が正常であった紙幣は、金種に対応する紙幣カセット30A〜30Dに集積される。一方で、鑑別結果が異常であった紙幣(リジェクト紙幣)は、出金口18に集積される。出金口18に集積された紙幣は、職員により入金口12に再投入されることで、紙幣認識部20による再鑑別が可能である。
【0045】
(出金処理)
出金処理は、紙幣カセット30A〜30Dの紙幣を出金口18に集積する処理である。
【0046】
出金処理においては、まず、指定された金額に応じて紙幣カセット30A〜30Dから紙幣が1枚ずつ分離して繰り出され、繰り出された紙幣は、搬送部24により紙幣認識部20に搬送される。次に、紙幣認識部20が紙幣の鑑別を行い、鑑別結果が正常であった紙幣は、出金口18に集積される。具体的には、例えば出金する正常紙幣の金種や枚数に応じて、出金口18に集積(集金)される。一方で、鑑別結果が異常であった紙幣、すなわち、顧客に支払いできない紙幣は、紙幣カセット35のリジェクト庫35bに集積される。
【0047】
(補充処理)
補充処理は、紙幣処理装置10に紙幣を補充する処理である。紙幣処理装置10においては、具体的な補充方法として、入金口補充、カセット交換補充、およびカセット計数補充が可能である。以下、各補充方法について説明する。
【0048】
入金口補充は、上述した入金処理における動作と同様である。例えば、入金口12から繰り出され、紙幣認識部20による鑑別結果が正常であった紙幣は、一時保留部22に退避された後、金種に対応する紙幣カセット30A〜30Dに集積される。一方で、鑑別結果が異常であった紙幣は、出金口18に集積される。
【0049】
カセット交換補充は、紙幣カセット30A〜30Dが着脱可能であることを利用するものであり、予め紙幣を装填した紙幣カセットを、既に装着された紙幣カセット30A〜30Dのいずれかと交換することで、紙幣を補充する。なお、カセット交換補充では、補充した紙幣の金種と枚数をオペレータがマニュアルで登録する必要がある。
【0050】
カセット計数補充においては、まず、紙幣カセット35の紙幣収納庫35aに予め紙幣を装填し、紙幣処理装置10にセットする。次に、紙幣収納庫35aから繰り出され、紙幣認識部20による鑑別結果が正常であった紙幣は、金種に対応する紙幣カセット30A〜30Dに集積される。一方で、鑑別結果が異常であった紙幣は、リジェクト庫35bに集積される。なお、カセット計数補充では、紙幣認識部20により計数処理が実行されるので、補充した紙幣の金種および枚数をオペレータがマニュアルで登録する必要はない。
【0051】
(回収処理)
回収処理は、紙幣処理装置10内の紙幣を回収する処理である。紙幣処理装置10においては、具体的な回収方法として、出金口回収、カセット交換回収、およびカセット計数回収が可能である。以下、各回収方法について説明する。
【0052】
出金口回収は、上述した出金処理における動作と同様である。例えば、回収対象の紙幣カセット30A〜30Dから繰り出され、紙幣認識部20による鑑別結果が正常であった紙幣は、出金口18に集積される。一方で、鑑別結果が異常であった紙幣は、リジェクト庫35bに集積される。そして、回収対象の紙幣カセット30A〜30Dに集積された全紙幣に対して行い、職員は、出金口18から、正常判定された紙幣を回収することができる。また、職員は、リジェクト庫35bから異常判定された紙幣を回収することができる。
【0053】
カセット交換回収は、紙幣カセット30A〜30Dのうちの所定の紙幣カセットを紙幣処理装置10から取り外すことで、紙幣の回収を行う。なお、カセット交換回収では、オペレータが、取り外した紙幣カセット30A〜30Dから紙幣を抜き取り、回収した紙幣の金種と枚数をマニュアルで数える必要がある。
【0054】
カセット計数回収においては、紙幣カセット30A〜30Dのうち回収対象の紙幣カセットから繰り出され、紙幣認識部20による鑑別結果が正常であった紙幣は、紙幣カセット35の紙幣収納庫35aに集積される。一方で、鑑別結果が異常であった紙幣は、リジェクト庫35bに集積される。その後、職員が紙幣カセット35のみを紙幣処理装置10から取り外すことで、正常判定された紙幣および異常判定された紙幣を回収することができる。また、カセット計数回収では、紙幣認識部20により計数処理が実行されるので、回収した紙幣の金種および枚数をオペレータがマニュアルで数える必要はない。
【0055】
(1−3.紙幣カセットの運用例)
紙幣処理装置10は、上述したように複数の職員S1、S2がそれぞれ操作する複数の受付端末90a、90bと接続されている。このため、紙幣処理装置10は、受付端末90a、90bを介した各職員の指示に基づき、入金処理や出金処理等の紙幣に関する処理を行う。すなわち、複数の受付端末90a、90bが、一台の紙幣処理装置10を共有することになる。
【0056】
上記の紙幣処理装置10においては、各職員の指示に基づき入出金される紙幣が混在する恐れがある。例えば、職員S1の受付端末90aを介した指示により入金された紙幣が、職員S2の受付端末90bを介した指示により出金される場合がある。かかる場合には、各職員は、紙幣処理装置10の中のどの紙幣が自己の管理すべき紙幣かを判別することが困難である。
【0057】
そこで、第1の実施形態の紙幣処理装置10においては、複数の職員の指示に基づき紙幣の入金処理や出金処理等が行われても、各使用者の管理すべき紙幣を容易に判別するために、
図3に示すように、職員S1、S2毎の指示により処理される紙幣のみを収納する専用の紙幣カセットを設ける運用をしている。
【0058】
図3は、第1の実施形態における紙幣カセットの運用例を説明するための模式図である。
図3に示すように、紙幣カセット30A及び紙幣カセット30Bは、職員S1、S2のうちの職員S1の指示に基づき処理される紙幣のみを収納する専用カセット(第1専用収納部に該当)である。紙幣カセット30C及び紙幣カセット30Dは、職員S1、S2のうちの職員S2の指示に基づき処理される紙幣のみを収納する専用カセット(第2専用収納部に該当)である。紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bは、職員S1の指示に基づき処理される紙幣、及び職員S2の指示に基づき処理される紙幣を収納する共用カセット(共用収納部に該当)である。
【0059】
また、紙幣カセット30A〜30Dは、紙幣を金種別に収納する。紙幣カセット30A及び紙幣カセット30Cが、同じ金種である第1金種(以下では、一例として100元とする)を収納し、紙幣カセット30B及び紙幣カセット30Dが、同じ金種である第2金種(以下では、一例として50元とする)を収納する。また、第1の実施形態で、紙幣カセット30A〜30Dは、それぞれ紙幣の入金処理の際に紙幣を集積すると共に、紙幣の出金処理の際に紙幣を繰り出すリサイクル庫である。
【0060】
紙幣収納庫35aは、第1の実施形態では、紙幣の入金処理の際に紙幣を集積する一方で、紙幣の出金処理の際に紙幣を繰り出さない入金専用庫である。リジェクト庫35bは、前述したように、紙幣認識部20によって異常と鑑別(リジェクト判定)された紙幣(リジェクト紙幣)を集積する機能を有する。
【0061】
(入金処理時の紙幣の搬送例)
図4は、第1の実施形態に係る入金処理時の紙幣の搬送例を説明するための模式図である。
図4(a)は、職員S1による入金処理時の紙幣の搬送例を示し、
図4(b)は、職員S2による入金処理時の紙幣の搬送例を示す。
【0062】
職員S1による入金処理の際には、入金口12に投入された入金対象の紙幣は、
図4(a)に示すように、職員S1の専用カセットである紙幣カセット30A、30Bと、共用カセットである紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bのいずれかに搬送される。具体的には、入金対象の紙幣が100元である場合には、紙幣は紙幣カセット30Aに搬送され、入金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣は紙幣カセット30Bに搬送される。また、入金対象の紙幣が50元、100元以外の場合や、紙幣カセット30A、30Bに収納できない場合には、紙幣は紙幣収納庫35aに搬送される。入金対象の紙幣がリジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0063】
同様に、職員S2による入金処理の際には、入金口12に投入された入金対象の紙幣は、
図4(b)に示すように、職員S2の専用カセットである紙幣カセット30C、30Dと、共用カセットである紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bのいずれかに搬送される。具体的には、入金対象の紙幣が100元である場合には、紙幣は紙幣カセット30Cに搬送され、入金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣は紙幣カセット30Dに搬送される。また、入金対象の紙幣が50元、100元以外の場合や、紙幣カセット30C、30Dに収納できない場合には、紙幣は紙幣収納庫35aに搬送される。入金対象の紙幣がリジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0064】
(出金処理時の紙幣の流れ)
図5は、第1の実施形態に係る出金処理時の紙幣の搬送例を説明するための模式図である。
図5(a)は、職員S1による出金処理時の紙幣の搬送例を示し、
図5(b)は、職員S2による出金処理時の紙幣の搬送例を示す。
【0065】
職員S1による出金処理の際には、出金口18へ搬送される出金対象の紙幣を繰り出す紙幣カセットは、
図5(a)に示すように、職員S1の専用カセットである紙幣カセット30A、30Bである。具体的には、出金対象の紙幣が100元である場合には、紙幣カセット30Aの紙幣が繰り出され、出金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣カセット30Bの紙幣が繰り出される。そして、リジェクト紙幣で無い場合には、紙幣は出金口18に搬送され、リジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0066】
同様に、職員S2による出金処理の際には、出金口18へ搬送される出金対象の紙幣を繰り出す紙幣カセットは、
図5(b)に示すように、職員S2の専用カセットである紙幣カセット30C、30Dである。具体的には、出金対象の紙幣が100元である場合には、紙幣カセット30Cの紙幣が繰り出され、出金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣カセット30Dの紙幣が繰り出される。そして、リジェクト紙幣で無い場合には、紙幣は出金口18に搬送され、リジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0067】
上述したように、第1の実施形態においては、紙幣カセット30A、30Bを職員S1の専用カセットとすると共に、紙幣カセット30C、30Dを職員S2の専用カセットとして運用している。このため、紙幣カセット30A、30Bには、職員S1が管理できる紙幣が収納され、紙幣カセット30C、30Dには、職員S2が管理できる紙幣が収納されることとなる。従って、職員S1、S2は、それぞれ自己が管理すべき紙幣の入金や出金等を把握しやすくなる。また、職員S1、S2は、自己の管理すべき紙幣のみを収納した紙幣カセットを抜き取ったり、自己の管理すべき紙幣のみを紙幣カセットから回収しやすくなる。
【0068】
また、第1の実施形態においては、紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bを、職員S1、S2の共用カセットとして運用している。このため、紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bには、職員S1、S2がそれぞれ管理すべき紙幣が混在することになる。しかし、第1の実施形態では、下記の
図6に示すテーブルと
図7に示すテーブルに基づき、紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bに収納された紙幣を、職員S1、S2のそれぞれが管理すべき紙幣に特定できる。
【0069】
図6は、使用者IDと取引処理との対応関係の一例を説明するための図である。
図6のテーブルT1の使用者ID「T001」は職員S1に対応し、使用者ID「T002」は職員S2に対応する。そして、
図6では、職員S1、S2が受付端末90a、90bで入金処理や出金処理を指示したときの対応関係が示されている。例えば、
図6のテーブルは、職員S1が入金処理(1)を指示した後に、職員S1が入金処理(2)を指示したことを示す。
【0070】
図7は、共用カセット内の紙幣の集積位置情報と紙幣情報との対応関係の一例を説明するための図である。
図7のテーブルT2には、例えばリジェクト庫35bに収納された紙幣の集積順に、紙幣の金種、記番号、取引処理を含む紙幣情報が記憶されている。例えば、
図7のテーブルは、リジェクト庫35bの集積位置が「1」である紙幣の金種は「20元」であり、紙幣の記番号は「0001」であり、紙幣は入金処理(1)で収納されたことを示す。なお、記番号は、個々の紙幣を識別するための通し番号である。
【0071】
そして、上述した
図6のテーブルT1及び
図7のテーブルT2は、紙幣処理装置10の記憶部80(
図9参照)されている。そして、記憶部80に記憶されたテーブルT1とテーブルT2とを参照することで、共用カセットに収納された紙幣が職員S1、S2のいずれの管理対象であるかを特定できる。具体的には、
図8に示す表示画面Sが受付端末90a(90b)の表示部に表示されることで、職員S1(S2)は、自己が管理すべき紙幣を容易に判別できる。
【0072】
図8は、共用カセット内の紙幣の紙幣情報と使用者IDとの対応関係を示す表示画面の一例を説明するための図である。
図8の表示画面Sは、受付端末90a(90b)に表示され、リジェクト庫35bに収納された紙幣の紙幣情報と、使用者IDとを対応関係を示す。例えば、リジェクト庫35bの集積位置が「1」である紙幣が、職員S1の管理すべき紙幣であることを示す。
【0073】
(1−4.紙幣処理装置の機能構成例)
図9を参照しながら、紙幣処理装置10の機能構成例について説明する。
図9は、紙幣処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、紙幣処理装置10は、制御部70と、記憶部80と、検知部82とを備える。
【0074】
制御部70は、紙幣処理装置10の動作全般を制御する。具体的には、制御部70は、上述した入金処理、出金処理、補充処理、回収処理等の基本処理を制御する。例えば、制御部70は、紙幣カセット30A〜30D、35による紙幣の繰り出しや、搬送部24による紙幣の搬送を制御する。
【0075】
記憶部80は、紙幣処理装置10が動作するためのプログラム等を記憶する。また、記憶部80は、紙幣カセット30A〜30Dに収納された紙幣に関する情報(紙幣の枚数や、紙幣の記番号等の情報)を記憶する。例えば、記憶部80は、共用カセット(紙幣収納庫35aやリジェクト庫35b)に収納された紙幣が、職員S1又は職員S2の指示に基づき処理されたかを示す情報を記憶する。
【0076】
検知部82は、例えば光学センサ等を有し、様々な状態を検知する。例えば、検知部82は、紙幣カセット30A〜30Dの紙幣の集積状態(集積枚数等)を検知する。また、検知部82は、紙幣の搬送状態を検知しうる。
【0077】
紙幣カセット30A〜30D、35は、収納した紙幣に関する情報を記憶するカセット記憶部38を有する。制御部70は、例えば紙幣カセット30A〜30D、35の装着の際に、カセット記憶部38に記憶された情報を読み取ったり、カセット記憶部38に情報を書き込む。
【0078】
なお、上述した制御部70、および記憶部80の機能は、CPU(Central Processing
Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random
Access Memory)等から成るハードウェア構成により実現してもよい。CPUは、演算機能および制御機能を有し、各種プログラムに従って紙幣処理装置10の動作全般を制御する。ROMは、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAMは、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。
【0079】
(1−5.第1の実施形態の動作例)
以下では、第1の実施形態に係る紙幣処理装置10の動作例として、紙幣の入金処理や出金処理例を説明する。
【0080】
紙幣処理装置10が入金処理や出金処理を開始する前に、受付端末90a、90bの職員S1、S2は、自己専用の紙幣カセット30A〜30Dに紙幣を装填し、紙幣カセット30A〜30Dと使用者IDとの対応付けを行う。そこで、まず、
図10を参照しながら、第1の実施形態における紙幣カセット30A〜30Dの装填の流れについて説明する。
【0081】
(紙幣カセットの装填の流れ)
図10は、第1の実施形態における紙幣カセット30A〜30Dの装填の流れを示すフローチャートである。ここでは、職員S1が、自己専用の紙幣カセット30A、30Bに紙幣を装填するものとする。
【0082】
職員S1による紙幣カセット30A、30Bの紙幣の補充が、カセット交換補充である場合には(ステップS102:Yes)、職員S1は、自己専用の紙幣カセット30A、30Bに紙幣を装填する(ステップS104)。そして、職員S1は、紙幣が装填された紙幣カセット30A、30Bを紙幣処理装置10にセットする(ステップS106)。
【0083】
次に、職員S1は、紙幣カセット30A、30BのカセットIDと、自己の使用者IDとの対応付けを行い(ステップS108)、自己専用の紙幣カセット30A、30Bを登録する。具体的には、職員S1は、
図11に示す受付端末90aの登録画面210において、自己専用の紙幣カセット毎に使用者IDを登録する。
【0084】
図11は、カセットIDと使用者IDの登録画面210の一例を示す図である。登録画面210では、紙幣カセット毎に使用者IDを入力できる。例えば、
図11では、職員S1は、自己専用の紙幣カセット30Aに対して、使用者IDとして「T001」を入力している。そして、職員S1が登録ボタン212を押下することで、入力されたカセットIDが登録される。なお、
図11では、カセットIDは予め設定されているが、職員が入力できても良い。
【0085】
図10に戻って説明を続ける。職員S1は、使用者IDを登録した後、紙幣の補充方法に応じた作業を行う(ステップS110〜S116)。すなわち、補充方法がカセット交換補充である場合には、職員S1は、例えば受付端末90aの表示画面にて、紙幣カセット30A、30Bに装填した紙幣の金種と、紙幣の枚数を登録する(ステップS112)。紙幣の金種や枚数の登録は、例えば使用者IDの登録直後に行われる。
【0086】
一方で、紙幣の補充方法が入金口補充である場合には、職員S1が入金口12に紙幣を投入することで、入金口12から紙幣が紙幣カセット30A、30Bに集積されて補充される(ステップS114)。また、補充方法がカセット計数補充である場合には、紙幣収納庫35aに収納された紙幣を、紙幣カセット30A、30Bに集積させて補充する(ステップS116)。
【0087】
なお、補充方法が入金口補充やカセット計数補充である場合には、入金口12や紙幣収納庫35aから紙幣カセット30A、30Bに紙幣が搬送される際に、紙幣認識部20により紙幣が鑑別されるので、紙幣処理装置10は、紙幣カセット30A、30Bの補充された紙幣の金種や記番号を取得できる。このため、カセット交換補充の場合と異なり、職員S1が紙幣の金種や枚数を登録する必要が無い。
【0088】
上記では、職員S1の専用カセットである紙幣カセット30A、30Bへの紙幣の装填の流れについて説明したが、職員S2の専用カセットである紙幣カセット30C、30Dへの紙幣の装填についても同様に行われる。
【0089】
(入金処理例)
次に、
図12を参照しながら、第1の実施形態に係る入金処理例について説明する。ここで説明する入金処理は、入金紙幣を一時保留部22へ退避させた後に、一時保留部22から紙幣カセット30A〜30Dに集積する通常入金処理である。
【0090】
図12は、第1の実施形態に係る入金処理例を示すフローチャートであり、具体的には入金処理時の一枚の紙幣に対する処理を示している。
図12のフローチャートは、職員S1(S2)が入金口12に紙幣を投入し、受付端末90a(90b)から紙幣処理装置10の入金処理の指示を送ったところから開始される。この際、紙幣処理装置10には、受付端末のID(使用者ID)も共に送られ、職員S1、S2のいずれの職員が入金処理を指示したかが分かる。なお、取引毎に受付端末90a(90b)のID(使用者ID)が送ることなく、受付端末90a(90b)から初めに使用者IDを登録しておき、その情報を使用することも可能である。
【0091】
図12のフローチャートで、紙幣処理装置10の制御部70は、まず、入金口12から紙幣を繰り出し(ステップS202)、紙幣認識部20で紙幣の鑑別を行う(ステップS204)。
【0092】
次に、制御部70は、紙幣認識部20の鑑別結果により、紙幣がリジェクト紙幣であるか否かを判定する(ステップS206)。ここで、リジェクト紙幣は、金種な不明である紙幣や、走行異常である紙幣等である。ステップS206においてリジェクト紙幣であると判定された場合には(Yes)、制御部70は、紙幣を出金口18に搬送する(ステップS222)。
【0093】
一方で、ステップS206においてリジェクト紙幣で無いと判定された場合には(No)、制御部70は、紙幣を一時保留部22に搬送する(ステップS208)。次に、制御部70は、一時保留部22に搬送された紙幣に関する情報を記憶部80に記憶する(ステップS210)。ここで、前記情報は、例えば、一時保留部22内の紙幣の集積位置に関する情報や、紙幣の金種や記番号に関する情報等である。
【0094】
次に、制御部70は、一時保留部22から紙幣を繰り出し(ステップS212)、紙幣認識部20で紙幣の鑑別を行う(ステップS214)。次に、制御部70は、紙幣の鑑別結果と、入金処理を指示した職員の使用者IDとに基づき、紙幣の搬送先を決定する搬送先決定処理を行う(ステップS216)。
【0095】
図13は、第1の実施形態に係る入金処理時の紙幣の搬送先決定処理を示すフローチャートである。
図13では、職員S1により入金処理が行われた際の紙幣の搬送先決定処理が示されている。なお、職員S1により入金処理が行われる際の搬送先の候補は、職員S1の専用カセットである紙幣カセット30A、30Bと、共用カセットである紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bである。
【0096】
図13のフローチャートで、制御部70は、紙幣がリジェクト紙幣であるか否かを判定する(ステップS242)。そして、ステップS242においてリジェクト紙幣であると判定された場合には(Yes)、制御部70は、紙幣の搬送先を共用カセットであるリジェクト庫35bに決定する(ステップS264)。
【0097】
一方で、ステップS242においてリジェクト紙幣で無いと判定された場合には(No)、制御部70は、紙幣の金種を判定する(ステップS244)。そして、ステップS244において紙幣の金種が100元である場合には、制御部70は、搬送先の候補を、職員S1の専用カセットである紙幣カセット30Aに設定する(ステップS246)。
【0098】
次に、制御部70は、紙幣カセット30Aに紙幣を収納可能か否かを判定する(ステップS248)。すなわち、制御部70は、紙幣カセット30Aに既に最大収納枚数の紙幣が収納されているか否かを判定する。そして、ステップS248において紙幣カセット30Aが紙幣を収納可能である場合には(Yes)、制御部70は、搬送先を紙幣カセット30Aに決定する(ステップS250)。一方で、ステップS248において紙幣カセット30Aが紙幣を収納できない場合には(No)、制御部70は、搬送先を共用カセットである紙幣収納庫35aに決定する(ステップS252)。
【0099】
ステップS244において紙幣の金種が50元である場合には、制御部70は、搬送先の候補を、職員S1の専用カセットである紙幣カセット30Bに設定する(ステップS254)。そして、制御部70は、紙幣カセット30Bが紙幣を収納可能である場合には(ステップS256:Yes)、搬送先を紙幣カセット30Bに決定し(ステップS258)、紙幣カセット30Bが紙幣を収納できない場合には(ステップS256:No)、搬送先を紙幣収納庫35aに決定する(ステップS260)。
【0100】
また、ステップS244において紙幣の金種が、100元、50元以外である場合には、制御部70は、搬送先を紙幣収納庫35aに決定する(ステップS262)。これにより、職員S1の使用者IDと紙幣の鑑別結果とに基づき、紙幣の搬送先が決定される。
【0101】
上記では、職員S1により入金処理が行われた際の紙幣の搬送先決定処理を説明したが、職員S2により入金処理が行われる際の紙幣の搬送先決定処理も同様である。なお、職員S2により入金処理が行われる際の搬送先の候補は、職員S2の専用カセットである紙幣カセット30C、30Dと、共用カセットである紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bである。
【0102】
図12のフローチャートに戻って、入金処理の説明を続ける。制御部70は、搬送先決定処理で搬送先を決定すると(ステップS216)、決定した搬送先に紙幣を搬送して収納する(ステップS218)。次に、制御部70は、収納した紙幣に関する情報を記憶部80に記憶する(ステップS220)。ここで、前記情報は、例えば、収納先における紙幣の収納位置に関する情報や、紙幣の金種や記番号に関する情報等である。
【0103】
そして、制御部70は、上述した処理を入金対象の全ての紙幣に対して行う。全ての紙幣が所定の搬送先に搬送されることで、一連の入金処理は完了する。
【0104】
(出金処理例)
次に、
図14を参照しながら、第1の実施形態に係る出金処理例について説明する。
【0105】
図14は、第1の実施形態に係る出金処理例を示すフローチャートであり、具体的には出金処理時の一枚の紙幣に対する処理を示している。
図14のフローチャートは、職員S1(S2)が受付端末90a(90b)から紙幣処理装置10の出金処理の指示を送ったところから開始される。この際、紙幣処理装置10には、受付端末のID(使用者ID)も共に送られ、職員S1、S2のいずれの職員が出金処理を指示したかが分かる。なお、取引毎に受付端末受付端末90a(90b)のID(使用者ID)が送ることなく、受付端末受付端末90a(90b)から初めに使用者IDを登録しておき、その情報を使用することも可能である。
【0106】
図14のフローチャートで、制御部70は、出金処理を指示した職員の使用者IDと、出金対象の紙幣の金種とに基づいて、紙幣を繰り出す紙幣カセットを決定する(ステップS302)。ここで、紙幣を繰り出す紙幣カセットとしては、職員S1の専用カセットである紙幣カセット30A、30Bと、職員S2の専用カセットである紙幣カセット30C、30Dである。そして、職員S1が100元の紙幣を出金する出金処理を指示した場合には、紙幣を繰り出す紙幣カセットとして紙幣カセット30Aが決定され、職員S1が100元の紙幣を出金する出金処理を指示した場合には、紙幣カセット30Bが決定される。なお、上位端末(受付端末)側で職員専用のカセットを指示してもよい。この場合は、紙幣処理装置10側で金種から紙幣を繰り出す紙幣カセットを特定する必要はなくなる。
【0107】
次に、制御部70は、決定した紙幣カセットから紙幣を繰り出し(ステップS304)、紙幣認識部20で紙幣の鑑別を行う(ステップS306)。次に、制御部70は、紙幣認識部20の鑑別結果により、紙幣がリジェクト紙幣(金種が不明な紙幣、走行異常である紙幣等)であるか否かを判定する(ステップS308)。
【0108】
そして、ステップS308においてリジェクト紙幣であると判定された場合には(Yes)、制御部70は、紙幣をリジェクト庫35bに搬送する(ステップS312)。一方で、ステップS308においてリジェクト紙幣で無いと判定された場合には(No)、制御部70は、出金口18に搬送する(ステップS310)。
【0109】
そして、制御部70は、上述した処理を出金対象の全ての紙幣に対して行う。全ての紙幣が所定の搬送先に搬送されることで、一連の出金処理は完了する。
【0110】
なお、上記では、金種が不明なリジェクト紙幣をリジェクト庫35bに搬送することとしたが、これに限定されない。例えば、金種や枚数が不明なリジェクト紙幣を、一旦一時保留部22に搬送した後に紙幣認識部20で再度鑑別し、紙幣の金種や枚数を確定してからリジェクト庫35bに収納しても良い。これにより、リジェクト庫35bに収納された紙幣の金種や枚数を管理できる。
【0111】
(1−6.第1の実施形態の有効性)
上述した第1の実施形態に係る紙幣処理装置10は、
図1に示すように、紙幣を収納する複数の紙幣カセット30A〜30D、35を備える。そして、複数の紙幣カセットは、職員S1、S2のうちの職員S1の指示に基づき処理される紙幣のみを収納する紙幣カセット30A、30Bと、職員S2の指示に基づき処理される紙幣のみを収納する紙幣カセット30C、30Dと、を含む。すなわち、複数の紙幣カセットは、職員毎の専用カセットを含む。
【0112】
これにより、職員S1の指示に基づき入出金される紙幣と、職員S2の指示に基づき入出金される紙幣とが、それぞれ専用カセットに収納されることで、混在することを抑制できる。このため、複数の職員の指示に基づき紙幣が処理されても、各職員が管理すべき紙幣を容易に判別できる。また、専用カセットを用いることで、カセット単位で回収処理や補充処理を行うことができるので、紙幣処理装置10の利便性が向上する。
【0113】
また、複数の紙幣カセットは、専用カセットに加えて、職員S1の指示に基づき処理される紙幣と、職員S2の指示に基づき処理される紙幣とを収納する紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35b(共用カセット)を含む。共用カセットには、例えばリジェクト紙幣が収納される。かかる場合に、処理状況に応じて紙幣を収納するカセットを選択することで、リジェクト紙幣等を除く紙幣を専用カセットに収納できるので、各職員が管理すべき紙幣を一層容易に判別できる。
【0114】
さらに、第1の実施形態においては、記憶部80は、共用カセットである紙幣収納庫35aに収納された紙幣に関する情報を記憶する。このため、紙幣収納庫35aに収納された紙幣が、職員S1又は職員S2のいずれの指示により収納された紙幣かを特定できる。
【0115】
<2.第2の実施形態>
第2の実施形態における紙幣カセットの運用例について、
図15を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態における紙幣カセット30A〜30D、35以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0116】
図15は、第2の実施形態における紙幣カセット30A〜30D、35の運用例を説明するための模式図である。第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、紙幣カセット30A、30Bを職員S1の専用カセットとし、紙幣カセット30C、30Dを職員S2の専用カセットとし、紙幣カセット35の紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bを職員S1、S2の共用カセットとして運用している。
【0117】
一方で、第1の実施形態では、
図3に示すように、紙幣カセット30A〜30Dは、それぞれ紙幣を集積する機能と紙幣を繰り出す機能を有するリサイクル庫であり、紙幣収納庫35aは、紙幣を集積する機能のみを有する入金専用庫である。これに対して、第2の実施形態では、
図15に示すように、金種が100元である紙幣を収納する紙幣カセット30A、30Cがリサイクル庫であり、様々な金種の紙幣を収納する紙幣カセット30B、30Dが入金専用庫であり、紙幣収納庫35aは、金種が50元である紙幣を繰り出す機能のみを有する出金専用庫である。すなわち、紙幣収納庫35aが、入金処理の際に紙幣を集積しない一方で、出金処理の際に紙幣を繰り出す繰出専用収納部である。
【0118】
次に、
図16及び
図17を参照しながら、上述した構成の紙幣カセット30A〜30D、35を用いた入金処理時と出金処理時の紙幣の搬送例について説明する。
【0119】
図16は、第2の実施形態に係る入金処理時の紙幣の搬送例を説明するための模式図である。
図16(a)は、職員S1による入金処理時の紙幣の搬送例を示し、
図16(b)は、職員S2による入金処理時の紙幣の搬送例を示す。
【0120】
職員S1による入金処理の際に、入金対象の紙幣が100元である場合には、
図16(a)に示すように紙幣は紙幣カセット30Aに搬送される。入金対象の紙幣が100元以外の場合や、紙幣カセット30Aに収納できない場合には、紙幣は紙幣カセット30Bに搬送される。入金対象の紙幣がリジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0121】
同様に、職員S2による入金処理の際に、入金対象の紙幣が100元である場合には、
図16(b)に示すように紙幣は紙幣カセット30Cに搬送される。入金対象の紙幣が100元以外の場合や、紙幣カセット30Cに収納できない場合には、紙幣は紙幣カセット30Dに搬送される。入金対象の紙幣がリジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0122】
図17は、第2の実施形態に係る出金処理時の紙幣の搬送例を説明するための模式図である。
図17(a)は、職員S1による出金処理時の紙幣の搬送例を示し、
図17(b)は、職員S2による出金処理時の紙幣の搬送例を示す。
【0123】
職員S1による出金処理の際に、出金対象の紙幣が100元である場合には、
図17(a)に示すように、紙幣カセット30Aの紙幣が繰り出される。出金対象の紙幣が100元以外の場合には、紙幣カセット30Bの紙幣が繰り出される。そして、リジェクト紙幣で無い場合には、紙幣は出金口18に搬送され、リジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0124】
同様に、職員S2による出金処理の際に、出金対象の紙幣が100元である場合には、
図17(b)に示すように、紙幣カセット30Cの紙幣が繰り出される。出金対象の紙幣が100元以外の場合には、紙幣カセット30Dの紙幣が繰り出される。そして、リジェクト紙幣で無い場合には、紙幣は出金口18に搬送され、リジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫35bに搬送される。
【0125】
上述した第2の実施形態によれば、種々の金種の紙幣を収納する職員毎の入金専用庫(すなわち、職員S1専用の紙幣カセット30Bと、職員S2の専用の紙幣カセット30D)を設けている。これにより、紙幣カセット30B、30Dの紙幣が、職員S1、S2のいずれが管理すべき紙幣かを容易に判別できる。
【0126】
<3.第3の実施形態>
第3の実施形態における紙幣カセットの運用例について、
図18を参照しながら説明する。第3の実施形態では、一つのリジェクト庫付き紙幣カセット35が設けられた第1の実施形態とは異なり、二つのリジェクト庫付き紙幣カセット35、36(以下、紙幣カセット35、36と称す)が設けられている。そして、紙幣カセット35、36は、それぞれ紙幣収納庫35a、36aとリジェクト庫36a、36bを含む。なお、第3の実施形態における紙幣カセット30A〜30D、35、36以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0127】
図18は、第3の実施形態における紙幣カセット30A〜30D、35、36の運用例を説明するための模式図である。第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、職員S1、S2の共用カセットを設けていない。すなわち、紙幣カセットが、専用カセットのみで構成されている。
【0128】
具体的には、
図18に示すように、紙幣カセット30A、30B、紙幣収納庫35a、及びリジェクト庫36aを職員S1の専用カセットとし、紙幣カセット30C、30D、紙幣収納庫35a、及びリジェクト庫36bを職員S2の専用カセットとして運用している。
【0129】
次に、
図19及び
図20を参照しながら、上述した構成の紙幣カセット30A〜30D、35、36を用いた入金処理時と出金処理時の紙幣の搬送例について説明する。
【0130】
図19は、第3の実施形態に係る入金処理時の紙幣の搬送例を説明するための模式図である。
図19(a)は、職員S1による入金処理時の紙幣の搬送例を示し、
図19(b)は、職員S2による入金処理時の紙幣の搬送例を示す。
【0131】
職員S1による入金処理の際に、入金対象の紙幣が100元である場合には、
図19(a)に示すように紙幣は紙幣カセット30Aに搬送され、入金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣は紙幣カセット30Bに搬送される。また、入金対象の紙幣が50元、100元以外の場合や、紙幣カセット30A、30Bに収納できない場合には、紙幣は紙幣収納庫35aに搬送される。入金対象の紙幣がリジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫36aに搬送される。
【0132】
同様に、職員S2による入金処理の際に、入金対象の紙幣が100元である場合には、
図19(b)に示すように紙幣は紙幣カセット30Cに搬送され、入金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣は紙幣カセット30Dに搬送される。また、入金対象の紙幣が50元、100元以外の場合や、紙幣カセット30C、30Dに収納できない場合には、紙幣は紙幣収納庫35aに搬送される。入金対象の紙幣がリジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫36bに搬送される。
【0133】
図20は、第3の実施形態に係る出金処理時の紙幣の搬送例を説明するための模式図である。
図20(a)は、職員S1による出金処理時の紙幣の搬送例を示し、
図20(b)は、職員S2による出金処理時の紙幣の搬送例を示す。
【0134】
職員S1による出金処理の際に、出金対象の紙幣が100元である場合には、
図20(a)に示すように紙幣カセット30Aの紙幣が繰り出され、出金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣カセット30Bの紙幣が繰り出される。そして、リジェクト紙幣で無い場合には、紙幣は出金口18に搬送され、リジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫36aに搬送される。
【0135】
同様に、職員S2による出金処理の際に、出金対象の紙幣が100元である場合には、紙幣カセット30Cの紙幣が繰り出され、出金対象の紙幣が50元である場合には、紙幣カセット30Dの紙幣が繰り出される。そして、リジェクト紙幣で無い場合には、紙幣は出金口18に搬送され、リジェクト紙幣である場合には、紙幣はリジェクト庫36bに搬送される。
【0136】
上述した第3の実施形態によれば、複数の紙幣カセットが専用カセットのみで構成されているので、各カセットに収納された紙幣が、職員S1と職員S2のどちらか管理すべき紙幣かをより一層判別しやすくなる。
【0137】
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態に係る紙幣処理装置10の構成は、第1の実施形態と同様である。すなわち、第4の実施形態でも、
図3に示すように、紙幣カセット30A、30Bを職員S1の専用カセットとし、紙幣カセット30C、30Dを職員S2の専用カセットとし、紙幣収納庫35a及びリジェクト庫35bを職員S1、S2の共用カセットとしている。
【0138】
そして、第4の実施形態では、制御部70は、共用カセットである紙幣収納庫35aの紙幣の出金口18における回収処理の際に、紙幣収納庫35aに収納された紙幣のうちの職員S1又は職員S2の指示に基づき処理された紙幣のみを、出金口18に搬送する。これにより、回収処理の際に、職員S1(又は職員S2)が管理すべき紙幣のみを出金口18に集積できるので、職員は、紙幣収納庫35aから自己の管理すべき紙幣のみを簡易に回収できる。
【0139】
以下では、
図21を参照しながら、紙幣収納庫35aから各職員が管理すべき紙幣を出金口18に回収する回収処理例について説明する。
図21は、第4の実施形態に係る回収処理例を示すフローチャートである。
【0140】
図21のフローチャートは、職員S1(S2)が、自己の使用者IDを指定するところから開始される(ステップS400)。次に、制御部70は、共用カセットである紙幣収納庫35aから紙幣を繰り出し(ステップS402)、紙幣認識部20で紙幣の鑑別を行う(ステップS404)。
【0141】
次に、制御部70は、紙幣認識部20の鑑別結果により、紙幣がリジェクト紙幣(金種が不明な紙幣、走行異常である紙幣等)であるか否かを判定する(ステップS406)。そして、ステップS406においてリジェクト紙幣で無いと判定された場合には(No)、制御部70は、鑑別された紙幣がステップS400で指定された使用者IDに対応した紙幣かを判定する(ステップS408)。例えば、制御部70は、
図7のテーブルT2を参照して判定する。
【0142】
そして、ステップS408において紙幣が使用者IDに対応した紙幣である場合には(Yes)、制御部70は、紙幣を出金口18に搬送する(ステップS410)。これにより、例えば職員S1(S2)が管理すべき紙幣のみが出金口18に搬送されることとなる。
【0143】
ステップS406においてリジェクト紙幣であると判定された場合(Yes)、又はステップS408において紙幣が使用者IDに対応しない紙幣である場合には(No)、制御部70は、紙幣を一時保留部22に搬送する(ステップS412)。次に、制御部70は、一時保留部22の紙幣を繰り出し(ステップS414)、紙幣認識部20で紙幣の鑑別を再度行う(ステップS416)。
【0144】
次に、制御部70は、紙幣認識部20の鑑別結果により、紙幣がリジェクト紙幣であるか否かを判定する(ステップS418)。そして、ステップS418においてリジェクト紙幣で無いと判定された場合には(No)、制御部70は、鑑別された紙幣がステップS400で指定された使用者IDに対応した紙幣かを判定する(ステップS420)。
【0145】
そして、ステップS420において紙幣が使用者IDに対応した紙幣である場合には(Yes)、制御部70は、紙幣を出金口18に搬送する(ステップS422)。一方で、ステップS420において紙幣が使用者IDに対応しない紙幣である場合には(No)、制御部70は、紙幣を紙幣収納庫35aに搬送して収納する(ステップS424)。
【0146】
ステップS418においてリジェクト紙幣であると判定された場合には(Yes)、制御部70は、ステップS404の最初の鑑別結果を代わりに使用できるかを判定する(ステップS426)。例えば、最初の鑑別結果(ステップS404)においてリジェクト紙幣で無く、かつ指定された使用者IDに対応しない紙幣であると判定され、その後二回目の鑑別結果(ステップS416)でリジェクト紙幣であると判定された場合には、最初の鑑別結果を代わりに使用できる。
【0147】
ステップS426において最初の鑑別結果を使用できると判定された場合には(Yes)、制御部70は、紙幣を紙幣収納庫35aに搬送して収納する(ステップS424)。一方で、ステップS426において最初の鑑別結果を使用できないと判定された場合には(No)、制御部70は、紙幣をリジェクト庫35bに搬送して収納する(ステップS428)。
【0148】
上述した第4の実施形態によれば、回収処理の際に、共用カセットである紙幣収納庫35aに収納された紙幣のうちの職員S1(又は職員S2)が管理すべき紙幣のみを出金口18に集積できる。このため、職員は、紙幣収納庫35aから自己の管理すべき紙幣のみを簡易に回収できる。
【0149】
<5.まとめ>
上述した紙幣処理装置10は、
図1に示すように、紙幣を収納する複数の紙幣カセット30A〜30D、35を備える。そして、複数の紙幣カセットは、複数の使用者(
図2に示す職員S1、S2)のうちの第1使用者(例えば、職員S1)の指示に基づき処理される紙幣のみを収納する第1専用収納部(例えば、
図3に示す紙幣カセット30A、30B)と、第2使用者(例えば、職員S2)の指示に基づき処理される紙幣のみを収納する第2専用収納部(例えば、
図3に示す紙幣カセット30C、30D)と、を含む。
【0150】
これにより、第1使用者の指示に基づき入出金される紙幣が第1専用収納部に収納され、第2使用者の指示に基づき入出金される紙幣が第2専用収納部に収納されるので、紙幣が混在することを防止できる。このため、複数の使用者の指示に基づき紙幣が処理されても、各使用者の管理すべき紙幣を容易に判別することが可能となる。
【0151】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0152】
また、上述した紙幣処理装置10の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、紙幣処理装置10の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0153】
また、紙幣処理装置10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した紙幣処理装置10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。
【0154】
また、上述した実施形態では、紙幣処理装置10を職員操作型端末に適用して説明したが、これに限定されない。例えば、顧客操作型端末であって、紙幣を還流させる(リサイクルさせる)タイプのATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置の現金処理部に適用してもよい。自動取引装置は、銀行、駅構内およびコンビニエンスストアなど、多様な場所に設置されている。顧客は、この自動取引装置に表示される表示画面において各種操作を行うことにより、入金、出金および残高照会などの取引を行うことができる。