特許第5900265号(P5900265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5900265-コイン精米機 図000002
  • 特許5900265-コイン精米機 図000003
  • 特許5900265-コイン精米機 図000004
  • 特許5900265-コイン精米機 図000005
  • 特許5900265-コイン精米機 図000006
  • 特許5900265-コイン精米機 図000007
  • 特許5900265-コイン精米機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900265
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】コイン精米機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20160324BHJP
【FI】
   B02B7/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-207320(P2012-207320)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-61471(P2014-61471A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
(74)【代理人】
【識別番号】100133318
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 向日子
(72)【発明者】
【氏名】加茂 吉博
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−205112(JP,A)
【文献】 特開2001−190967(JP,A)
【文献】 特開2000−136567(JP,A)
【文献】 特開2002−178926(JP,A)
【文献】 特開2002−104576(JP,A)
【文献】 実開平03−061060(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3042003(JP,U)
【文献】 実開平01−120944(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
客室(2)と機械室(30)を仕切壁(31)で仕切り、客室(2)側で精米した米粒を米袋で収容するコイン精米機において、
該米袋を載置し、かつ、客室(2)側に取り出すためのコロコンベア(34)を設け、
コロコンベア(34)の下方の底面(35)に雨水等の水を受ける開口部(35a)を設け
コロコンベア(34)の使用時は、その基端部を仕切壁(31)の下方の空間部に設け、コロコンベア(34)の先端部を仕切壁(31)から客室(2)に突出し、底面(35)に沿って前記開口部(35a)の上面を覆う姿勢とし、
コロコンベア(34)の不使用時は、前記基端部を支点に前記先端部を機械室(30)側に向けて上方に回動して上下方向に延びる姿勢に変更し、前記開口部(35a)の上面が開放する構成とし、
使用時のコロコンベア(34)の載置面より高い位置の載置台とコロコンベア(34)の外側を通過する車輪とを備える台車(36)が移動自在であって、前記台車(36)の載置台がコロコンベア(34)の上方を覆う位置へ客室(2)から挿入する作業、及び、前記台車(36)の載置台がコロコンベア(34)の上方を覆う位置から客室(2)に引出しする作業を可能にすべく客室(2)と前記空間部を連通する構成としたことを特徴とするコイン精米機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の持込み玄米を精米処理するコイン精米機に関する
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、料金を投入して精米する精米設備が記載されているまた、建屋を仕切壁で機械室と客室とに仕切る精米設備は周知である
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−117412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【0005】
本発明の課題は、精米した米粒を収容した米袋を取り出しやすいコイン精米機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は次の解決手段を用いる。
請求項1記載の発明は、客室(2)と機械室(30)を仕切壁(31)で仕切り、客室(2)側で精米した米粒を米袋で収容するコイン精米機において、該米袋を載置し、かつ、客室(2)側に取り出すためのコロコンベア(34)を設け、コロコンベア(34)の下方の底面(35)に雨水等の水を受ける開口部(35a)を設けコロコンベア(34)の使用時は、その基端部を仕切壁(31)の下方の空間部に設け、コロコンベア(34)の先端部を仕切壁(31)から客室(2)に突出し、底面(35)に沿って前記開口部(35a)の上面を覆う姿勢とし、コロコンベア(34)の不使用時は、前記基端部を支点に前記先端部を機械室(30)側に向けて上方に回動して上下方向に延びる姿勢に変更し、前記開口部(35a)の上面が開放する構成とし、使用時のコロコンベア(34)の載置面より高い位置の載置台とコロコンベア(34)の外側を通過する車輪とを備える台車(36)が移動自在であって、前記台車(36)の載置台がコロコンベア(34)の上方を覆う位置へ客室(2)から挿入する作業、及び、前記台車(36)の載置台がコロコンベア(34)の上方を覆う位置から客室(2)に引出しする作業を可能にすべく客室(2)と前記空間部を連通する構成としたことを特徴とするコイン精米機とする
これにより、米粒を収容した米袋を客室側に引きだし易い。
【0007】
また、雨水等の水を開口部(35a)に排出できるので、コロコンベア(34)に載置する米袋が水濡れするのを防止できる。
【0008】
更に、コロコンベア(34)を不要時には奥側に収納できる。また、台車の載置台に米袋を載置して米粒を収容し、台車で米袋を引きだすことができる。
【発明の効果】
【0009】
精米した米粒を収容した米袋を取り出しやすいコイン精米機を提供することができる。
【0010】
また、米袋をコロコンベア(34)上に載置することで、開口部(35a)で受けた雨水等が米袋に付着し、米袋が水濡れになることを防止できる。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例の精米設備の糠小屋の側面図を示す。
図2図1の精米設備の糠小屋の平面図を示す。
図3図1のA方向からの矢視図を示す。
図4図1の糠小屋の操作盤とそれに関係する構造物の説明視図を示す。
図5】客室と機械室からなる精米機の要部側面図を示す。
図6図5の精米機において客室に台車がある状態(図6(a))、精米機から米粒か台車上の米袋に落下している状態(図6(b))、客室に米袋を載せた台車が移動した状態(図6(c))を示す。
図7】コロコンベアが可動式である図5の精米機の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本実施例の精米設備の糠小屋について説明する。
図1は、本発明の一実施例の精米設備の糠小屋の内部構造を示す側面図であり、図2は、図1に示す精米設備の糠小屋の平面図、図3図1のA方向からの矢視図を示し、図4図1の糠小屋の操作盤とそれに関係する構造物の説明視図を示す。
【0014】
精米設備(図示せず)の糠小屋1は前側の客室2と奧側の糠室3からなり、長辺方向に分割して糠小屋1の2/3が糠室スペースであり、1/3が客室スペースである。
糠小屋1の奥側の天井部4に設置されたサイクロン5には図示しない精米設備からの精米時の糠Nが側壁6を貫通して配置された糠流入ダクト7を介して空気搬送され、糠室3に糠Nが落下する構成になっている。なお、糠流入ダクト7のサイクロン5の側壁への取り付け位置を180度反対側のサイクロン側壁に付け替え可能にしている。
【0015】
また、糠小屋1の奥側の天井部4を貫通して配置された互いに反対方向に排風を流す2つの排風ダクト9がサイクロン5に接続している。一方の排風ダクト9aはフィルタ10を介して糠小屋1の外部に出口を有し、他方の排風ダクト9bはフィルタ11を介して糠小屋1の内部に出口を有している。
【0016】
このように糠小屋1を完全に精米設備とは隔離し、しかも糠小屋1から糠Nが外部に漏れることがないように排風ダクト9にはフィルタ10、11を設けているので、客先・精米設備管理所と共に気持ち良く糠小屋1を使用することができる。
【0017】
糠室3の床面3aはホッパ状に形成し、前側に向かって上り傾斜状に形成している。
さらに、糠室3内の前記サイクロン5の真下には糠排出用の螺旋コンベア13の搬送基部側が配置されている。螺旋コンベア13は糠室3の床面3aに沿って前記搬送基部側から客室2側に向けて上り傾斜状に配置され、しかも客室2側に壁面14を貫通して螺旋コンベア13の上端部が臨んでいる。
【0018】
また、糠室3の床面3aと底面35との間に形成される空間には袋供給装置15が配置されている。袋供給装置15には多数の袋16を積載することができる。さらに袋供給装置15の底部には糠袋空検出センサ18が配置されている。糠袋空検出センサ18は糠袋16が袋供給装置15上にないときは、該センサ18が音声などにより注意を喚起させることができる。
【0019】
螺旋コンベア13の搬送基部側の上方の糠室3の底面35と、螺旋コンベア13の搬送終端部側の上方の壁面14にはそれぞれ糠検出センサ19a、19bが配置されているので、糠室3内に糠Nが積載されていることをそれぞれ糠検出センサ19a、19bで検出することができる。
【0020】
客室2と糠室3とを区切る壁14には操作盤20が配置されていて、図4に示すように操作盤20には糠販売用のスイッチ22と糠販売用のコイン挿入口23aを上下に配置し、またそれらと並列位置に糠袋販売用のスイッチ24と糠袋販売用のコイン挿入口24aを上下に配置している。さらに糠販売スイッチ22の上方には糠販売ランプ25があり、糠袋販売スイッチ24の上方には糠袋販売ランプ26がある。
【0021】
上記糠販売スイッチ22と糠袋販売スイッチ24などは客室2側から操作ができるように操作盤20の客室2側に配置されている。
さらに糠販売スイッチ22は客室2内の床に配置された足踏み式のスイッチ27と連動する構成に成っており、前記糠販売スイッチ22は足踏み式のスイッチ27の入力インターフェイスを図4に示している。
【0022】
料金であるコインをコイン挿入口23aに投入し、糠販売スイッチ22を押すことにより、螺旋コンベア13が駆動し、糠を客室2側に取り出すことができる。利用者が袋16を持参していない場合には、糠袋販売用のコイン挿入口24aにコインを投入し、糠袋販売用のスイッチ24を操作すると糠Nを収容するための袋16を袋供給装置15から受けることができる。
【0023】
また、糠袋空検出センサ18が、糠袋16が空であることを検出すると、コインを投入しても糠販売スイッチ22の上方にあるランプ25が点灯するだけで糠袋販売スイッチ24の上方にあるランプ26は点灯しない。
【0024】
糠小屋1は基本的に糠Nを持ち帰る者によって常時、糠が排出可能になっていることが原則であり、糠Nのストック容量は大きくない。もし糠Nの持ち帰りを有料にすると、持ち帰る糠Nの量が少なくなることが考えられ、その場合には、糠小屋が糠Nで満了となり精米ができなくなることが考えられる。
【0025】
そこで、糠Nの持ち帰りを有料とした場合の付帯設備として糠室3の床面3aと糠室3の底面35との間に形成される空間で、糠室上の袋供給装置15を配置した位置に隣接した箇所に糠Nのストックスペース29(図3)とする構成を採用しても良い。
【0026】
操作盤20を糠小屋1内に置き、操作盤20の扉20aを客室2側から開放できるようにし、操作盤20に糠販売スイッチ22を設け、客である利用者が糠販売スイッチ22を押すことにより糠搬送螺旋コンベア13が駆動し、糠販売スイッチ22を押している間だけ糠小屋1内に溜まっている糠Nを糠搬送螺旋コンベア13上で客室2側に搬送し、また糠販売スイッチ22を離すと、そのときから一定時間だけ糠搬送螺旋コンベア13が運転される構成としてもよい。このとき糠販売スイッチ22に代えてフットスイッチ27を足踏みして糠搬送螺旋コンベア13を作動又は作動停止させても良い。
【0027】
客である利用者が糠販売スイッチ22を押すことにより糠搬送螺旋コンベア13が駆動する構成を備えた糠小屋1において、糠小屋1の内部の糠Nの滞留状況を把握できるセンサ19a、19bを2個設ける、該2個のセンサ19a、19bで把握できる糠小屋1内の糠滞留状況から糠Nのコイン販売を可能にした構成としても良い。
【0028】
前記2個のセンサ19a、19bは静電容量から成るセンサであり、その内の1個の19aは糠室3の奥側のサイクロン5の真下に配置し、もう1個のセンサ19bは糠室3の正面側に配置する。こうして2個のセンサ19a、19bがいずれも糠Nを検出しない場合には糠販売可能ランプ25を消灯する。
【0029】
図5には客室2と機械室30からなるコイン精米機の要部側面図を示す。客室2と機械室30は仕切壁31で2分されていて、機械室30の仕切壁31側には精米機械32が設置されている。さらに仕切壁31の下方の底面35にはコロコンベア34が配置され、コロコンベア34が仕切壁31を貫通して客室2と機械室30を連通する構成となっている。
【0030】
精米機械32とコロコンベア34の間には米袋16を配置できる空間があり、精米機械32で精米した米粒が米袋16に入り、米袋16が一杯になるとコロコンベア34上を搬送路として客室2に米袋16を取り出すことができる。
【0031】
そして図5に示すようにコロコンベア34の下方の底面35に開口部35aを設けている。そのため、雨の日などに利用客が客室2の入口のドアを開放したままにしているとき、雨水が客室2に入り込んだり、雪の日に長靴に付着した雪が客室2内の底面35を濡らしてしまうことがあっても、コロコンベア34の下方の底面35の開口部35aから排水できる。こうして客室2内が濡れた状態でなくなり、米袋16などは水濡れになることを防止できる。
【0032】
また、底面35に開口部35aを設けると、ネズミが開口部35aを経由して客室2内に入り込もうとするが、開口部35aにコロコンベア34があると、ネズミの侵入を防ぐことができる。
【0033】
図6には客室2と機械室30を仕切壁31で仕切ったコイン精米機を示し、仕切壁31の下方の床面にはコロコンベア34が配置され、コロコンベア34が仕切壁31を貫通して客室2と機械室30を連通する構成を示している。そして客室2にある台車36の車輪の幅をコロコンベア34のコロの幅以下の幅としておき、コロコンベア34の高さを台車36の載置台下面と同じ高さにしている。
【0034】
図6(a)は客室2に台車36がある状態、図6(b)は客室2と機械室30を仕切る仕切壁31の下側の底面35にあるコロコンベア34の位置に台車36があり、精米機械32から米粒が米袋16に落下している状態、図6(c)は客室2に米袋16を載せた台車36が移動した状態を示す。
【0035】
このように、台車36の車輪の幅をコロコンベア34のコロの幅以下としておき、コロコンベア34の高さを台車36の載置台下面と同じ高さにしていると、台車36を白米台車として使用でき、かつ台車36はコロコンベア34により簡単に引き出すことができる。
【0036】
図7には、図6と同様に、客室2と機械室30を仕切壁31で仕切ったコイン精米機を示し、仕切壁31の下方の底面35にはコロコンベア34が配置され、コロコンベア34が仕切壁31を貫通して客室2と機械室30を連通する構成を示している。しかし図6に示す構成に比べて図7に示す構成は、コロコンベア34が回動可能にしていることが異なり、コロコンベア34が不要時には奥側に収納できる構成である。
【符号の説明】
【0037】
3 糠室
13 糠搬送コンベア
14 壁
22、27 操作具
31 仕切壁
34 コロコンベア
35 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7