特許第5900317号(P5900317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900317
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】感光性組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20160324BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20160324BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20160324BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20160324BHJP
   G03F 7/032 20060101ALI20160324BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20160324BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20160324BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   G03F7/004 501
   G03F7/033
   G03F7/038 501
   G03F7/027 513
   G03F7/032 501
   G03F7/004 505
   G03F7/004 512
   G02B5/20 101
   H05K3/28 D
   G06F3/041 495
【請求項の数】10
【全頁数】82
(21)【出願番号】特願2012-279091(P2012-279091)
(22)【出願日】2012年12月21日
(62)【分割の表示】特願2012-47368(P2012-47368)の分割
【原出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-68972(P2013-68972A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年11月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-47649(P2011-47649)
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮本 彩子
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 進
(72)【発明者】
【氏名】宮下 知
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 直宏
(72)【発明者】
【氏名】菅野 真樹
(72)【発明者】
【氏名】野城 雅則
(72)【発明者】
【氏名】狩野 貴志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慶一
(72)【発明者】
【氏名】早川 純平
(72)【発明者】
【氏名】桑原 章史
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−285108(JP,A)
【文献】 特開2011−043806(JP,A)
【文献】 特開昭50−095225(JP,A)
【文献】 特開2007−041240(JP,A)
【文献】 特開2011−039165(JP,A)
【文献】 特表2003−505522(JP,A)
【文献】 特開2008−255197(JP,A)
【文献】 特開昭56−067372(JP,A)
【文献】 特開昭51−017970(JP,A)
【文献】 特開昭58−032673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18,
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、カルボキシル基を含有するポリマー(B)と、光重合開始剤(C)と、有機溶剤と、を含有する感光性組成物であって、当該組成物中に光重合性官能基を必須として含むことを特徴とする感光性組成物。
一般式(1)
【化1】

ここで、
Xは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基からなるn価の基であり、
nは2〜6の整数であり、
1およびR2は、一般式(2)で表される基である。
一般式(2)
【化2】

ここで、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、またはヒドロキシル基で置換された炭化水素基を表す
【請求項2】
ルボキシル基を含有するポリマー(B)が、光重合性官能基を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性組成物。
【請求項3】
光重合性単量体(D)を含有する、請求項1または2記載の感光性組成物。
【請求項4】
上記一般式(1)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)が、前記有機溶剤に可溶である請求項1〜いずれか記載の感光性組成物。
【請求項5】
請求項1〜いずれか記載の感光性組成物を含むタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤。
【請求項6】
請求項1〜いずれか記載の感光性組成物と、顔料とを含むカラーフィルタ用感光性組成物。
【請求項7】
請求項1〜いずれか記載の感光性組成物と、難燃剤とを含む感光性ソルダーレジストインキ。
【請求項8】
請求項記載の感光性ソルダーレジストインキから形成されることを特徴とするドライフィルム。
【請求項9】
請求項に記載のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤から形成されたタッチパネル用絶縁膜。
【請求項10】
透明基板上に、請求項に記載のカラーフィルタ用感光性組成物から形成されるフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えることを特徴とするカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光と熱処理を行うことによって耐熱性と耐溶剤性とに優れた膜あるいは微細パターンが得られる感光性組成物に関する。本発明の感光性組成物は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタ、ブラックマトリックス、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、マイクロレンズ、タッチパネル用絶縁膜、フレキシブルプリント配線板周辺などの電子材料用接着剤や接着シートなどに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などには、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、あるいは、マイクロレンズ、タッチパネル用絶縁膜などの膜や微細パターンが設けられている。これらの膜あるいは微細パターンは、透明性などの光学特性が求められる一方、他の部材の形成や組み立てなどの後工程を行う際に、高い耐熱性、耐薬品性などが求められる。そのため、感光性組成物にあらかじめ熱架橋剤を添加して、光硬化と熱硬化を行うことで、耐熱性、耐薬品性などに優れた膜あるいは微細パターンを形成することが知られている。
【0003】
上記感光性組成物としては、アルカリ現像性を付与する観点から、カルボキシル基を有する樹脂を使用する場合がある。樹脂としてカルボキシル基を有する樹脂を使用する場合は、カルボキシル基と反応しうる官能基を有する架橋剤が用いられる。その官能基は、たとえば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、β−ヒドロキシアルキルアミド基などが挙げられる。
【0004】
イソシアネート基を有する架橋剤を使用した場合、イソシアネート基とカルボキシル基は130℃以上で反応すると言われている。しかし、イソシアネート基は樹脂中のOH基や水、アルコールとの反応性がより高いため、配合時に溶剤にアルコールを使用する場合や、水が含まれる溶剤を使用する場合には、カルボキシル基と反応する前に水やアルコールと反応してしまうため使用できない。また、配合後の長期間保存も空気中の水分と反応してしまうため、1液化するのは困難である。
【0005】
上記の問題を解決するためにブロックイソシアネートを使用する例もあるが、ブロック化剤が硬化物に残存することで絶縁性などに悪影響を与えることがある。また、ブロック化剤によっては加熱硬化時にブロック化剤が空気中に飛散し、光学特性が低下したり、作業者あるいは環境に悪影響を与える懸念がある。
【0006】
また、エポキシ基を有する架橋剤はイソシアネートと並んでカルボキシル基を有する樹脂を架橋するときに汎用的に用いられており、多くの種類が市販されている。エポキシ基とカルボキシル基の反応では副生成物が存在せず、ブロックイソシアネートのブロック化剤のような悪影響は起こさないと考えられる。無触媒ではあまり反応が進まないが、3級アミンや4級アンモニウム塩などを触媒として添加することで、150℃以下の温度で硬化させることが可能である。しかし、添加する触媒の影響で室温でも反応が少しずつ進行してしまい、保存安定性が悪いという問題がある。
【0007】
β−ヒドロキシアルキルアミド基もカルボキシル基と反応する架橋剤である。反応時の副生成物は水のみであり、硬化物に与える影響も少なく、作業者や環境にはまったく影響がないメリットがある。また、150℃で硬化させることが可能であり、かつ室温では反応が全く進まず、保存安定性がよい。
【0008】
現在市販されているβ−ヒドロキシアルキルアミド基を有する架橋剤として、エムスケミー社のPrimid XL−552などが挙げられ、主に粉体塗料の架橋剤として用いられている。光重合性官能基を含有する樹脂と組み合わせて感光性組成物とした例(特許文献1)や、β−ヒドロキシアルキルアミドに光重合性官能基を付与し感光性組成物とした例(特許文献2)があるが、いずれの場合も、β−ヒドロキシアルキルアミドは組成物中での溶解性が悪く、均一なコーティング剤にならないため、膜の耐性が一部低下したり、パターンの平滑性が低下したり、光学特性が低下するといった問題がある。
【0009】
感光性組成物は通常有機溶剤系であるが、それに対しての溶解性を高めるためには、元来水溶性であるβ−ヒドロキシアルキルアミドの極性を下げることが有効である。水溶性から非水溶性に変える方法として、β−ヒドロキシアルキルアミドを高分子量化する手法が知られている(特許文献3)。また、本発明者らの検討によると、β−ヒドロキシアルキルアミドをイソシアネート化合物で変性すること(特許文献4)も、有機溶剤への溶解性をあげることに有効である。いずれの例も粉体塗料としての用途のみが知られており、有機溶剤系の感光性組成物に使用した例は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2005−512116号公報
【特許文献2】特表2001−509200号公報
【特許文献3】特開2008−255197号公報
【特許文献4】特開2001−11147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであり、有機溶剤に可溶であるβ−ヒドロキシアルキルアミドを含む感光性組成物を提供することを目的とする。それにより、耐熱性・耐薬品性・平滑性・光学特性を満足する膜あるいは微細パターンを形成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定の構造をもつβ−ヒドロキシアルキルアミドを使用することで有機溶剤への溶解性を付与し、感光性組成物が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願発明は、下記一般式(1)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、カルボキシル基を含有するポリマー(B)と、光重合開始剤(C)と、有機溶剤と、を含有する感光性組成物であって、当該組成物中に光重合性官能基を必須として含むことを特徴とする感光性組成物。
一般式(1)
【化1】

ここで、
Xは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基からなるn価の基であり、
nは2〜6の整数であり、
1およびR2は、一般式(2)で表される基である。
一般式(2)
【化2】

ここで、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、またはヒドロキシル基で置換された炭化水素基を表す
【0013】
また本発明は、カルボキシル基を含有するポリマー(B)が、光重合性官能基を含有することを特徴とする上記感光性組成物に関する。
また本発明は、光重合性単量体(D)を含有する、上記感光性組成物に関する
【0015】
らに本発明は、上記一般式(1)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)が、前記有機溶剤に可溶である上記感光性組成物に関する。
【0016】
さらに本発明は、上記感光性組成物を含むタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤に関する。
さらに本発明は、上記感光性組成物と、顔料とを含むカラーフィルタ用感光性組成物に関する。
さらに本発明は、上記感光性組成物と、難燃剤とを含む感光性ソルダーレジストインキに関する。
さらに本発明は、上記感光性ソルダーレジストインキから形成されることを特徴とするドライフィルムに関する。
さらに本発明は、上記タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤から形成されたタッチパネル用絶縁膜に関する。
くわえて本発明は、透明基板上に、上記カラーフィルタ用感光性組成物から形成されるフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えることを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、有機溶剤に可溶であるβ−ヒドロキシアルキルアミドを含む感光性組成物を提供することができた。それにより、耐熱性・耐薬品性・平滑性・光学特性を満足する膜あるいは微細パターンを形成することができた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0019】
<<感光性組成物>>
まず、本発明の感光性組成物を構成する要素の組み合わせについて説明する。
【0020】
本発明の感光性組成物の特徴は、
1.カルボキシル基によって感光性組成物がアルカリ現像性をもつことで微細パターンが形成できること
2.β−ヒドロキシアルキルアミド基とカルボキシル基とが縮合反応する熱硬化と、光重合開始剤によって光重合性官能基が重合する光硬化とが、均一な組成物中で起こることにより、均質な架橋構造が形成され、耐熱性・耐薬品性に優れた膜およびパターンが形成されることである。
なお、本発明の感光性組成物は、溶剤現像で微細パターンを形成したり、現像することなく膜や成型物として形成したりするのに用いることもできる。その場合、カルボキシル基は特徴2の架橋形成に活用される。
【0021】
それを体現するために、本発明の感光性組成物は、有機溶剤に可溶であるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、カルボキシル基を含有するポリマー(B)と、光重合開始剤(C)とを必須構成要素として含有し、必要に応じて光重合性単量体(D)を構成要素として含有する。これらの構成要素のうち、少なくとも一つの構成要素に光重合性官能基が含まれていなければならない。
【0022】
β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボキシル基を含有するポリマー(B)とが、光重合性官能基を両方含む場合、いずれか片方含む場合、いずれも含まない場合のすべてが、本発明に属する。β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボキシル基を含有するポリマー(B)とが、いずれも光重合性官能基を含まない場合にのみ、光重合性単量体(D)をさらに必須構成要素とする。
【0023】
すなわち、本発明の感光性組成物の構成要素としては、下記(1)〜(7)の組み合わせがある。
【0024】
(1)光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、
光重合性官能基を含有するカルボキシル基を含有するポリマー(B)と、
光重合開始剤(C)
(2)光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、
光重合性官能基を含有するカルボキシル基を含有するポリマー(B)と、
光重合開始剤(C)と、
光重合性単量体(D)
(3)光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、
光重合性官能基を含有しないカルボキシル基を含有するポリマー(B)と、
光重合開始剤(C)
(4)光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、
光重合性官能基を含有しないカルボキシル基を含有するポリマー(B)と、
光重合開始剤(C)と、
光重合性単量体(D)
(5)光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、
光重合性官能基を含有するカルボキシル基を含有するポリマー(B)と、
光重合開始剤(C)
(6)光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、
光重合性官能基を含有するカルボキシル基を含有するポリマー(B)と、
光重合開始剤(C)と、
光重合性単量体(D)
(7)光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、
光重合性官能基を含有しないカルボキシル基を含有するポリマー(B)と、
光重合開始剤(C)と、
光重合性単量体(D)
【0025】
次に、本発明の感光性組成物の各構成要素について説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとはアクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
【0026】
<有機溶剤>
本発明の有機溶剤に可溶であるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)で、有機溶剤に可溶であるとは、イソプロパノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンのうち少なくとも1つの有機溶剤に対して、25℃において、溶解度5重量%以上であることをいう。本発明で使用できる有機溶剤としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、シクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を併用して用いることができる。
中でも、他の構成要素の溶解性が良好であることから、ケトン系、エステル系、エーテル系の溶剤を用いることが好ましい。
【0027】
有機溶剤の使用量は、感光性組成物の固形分濃度を5〜50重量%とする量を使うのが好ましい。感光性組成物の固形分濃度をこのような範囲とすることにより、より均一な厚さの、平滑性の高い膜あるいは微細パターンを提供することができる。すなわち、固形分濃度が50重量%を超えると、感光性組成物を塗工する際のレベリング性や、得られる膜あるいは微細パターンの平滑性、透明性が低下するおそれがあるためであり、一方、固形分濃度が5重量%未満となると、所定の厚さの膜およびパターンが得られなかったりするおそれがあるためである。
【0028】
β−ヒドロキシアルキルアミド(A)の構造については、後に詳細に説明する。
【0029】
<光重合性官能基>
本発明の光重合性官能基は、光重合開始剤によってラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加反応などが起こる官能基や、光照射することで光重合性官能基自身が励起され付加反応が起こる官能基などを意味する。たとえば、
ラジカル重合が起こる光重合性官能基として、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、マレイミド基、アルケニル基、アルキニル基など
カチオン重合が起こる光重合性官能基として、エポキシ基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、水酸基など
アニオン重合が起こる光重合性官能基として、エポキシ基など
付加反応が起こる光重合性官能基として、エン基、メルカプト基(エン−チオール付加)、スチリル基、マレイミド基(光二量化)、ビニル基、マレイミド基(光開始剤フリーシステム)などが挙げられる。
反応性や材料の選択性から、ラジカル重合の場合はアクリロイル基、メタクリロイル基、を使うことが好ましい。カチオン重合の場合はエポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基を使うことが好ましく、エポキシ基、オキセタニル基を使うことがさらに好ましい。
【0030】
<カルボキシル基を含有するポリマー(B)>
本発明のカルボキシル基を含有するポリマー(B)は、感光性組成物にアルカリ現像性を付与することと、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)と熱硬化反応することの二つを目的として用いられる末端および/または側鎖にカルボキシル基を有するポリマーである。光重合性官能基を含んでいても、含まなくてもよい。ポリマーは直鎖、分岐、星状のいずれでもよく、また、熱可塑性、熱硬化性のいずれでもよい。
光重合性官能基を含有しないカルボキシル基を含有するポリマー(B)としては、たとえば、カルボキシ末端のポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、アクリル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、カルボキシル基側鎖のポリウレタン、カルボン酸付与セルロース、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート共重合体、フェノール樹脂のカルボン酸無水物付加体などが挙げられる。
光重合性官能基を含有するカルボキシル基を含有するポリマー(B)の場合、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性の光重合性官能基をいれることができるが、安定性の面からラジカル重合性の光重合性官能基を含有させることが好ましい。その方法としては、たとえば、
(B−1)カルボキシル基を含有するポリマーに光重合性官能基を導入する方法
(B−2)カルボキシル基を含有しないポリマーに光重合性官能基を導入し、カルボキシ
ル基を導入する方法
等が挙げられる。また、これらの官能基を有するポリマーについても限定されず、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、天然ゴム、ブロック共重合体ゴム、シリコーン系などの各ポリマーを用いることができる。
【0031】
(B−1)および(B−2)で用いられる光重合性官能基を導入する方法としては、
(B−11)カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等を含有するポリマー中のカルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等に、エポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等および光重合性官能基を含有する化合物中のエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等を反応させる方法、
(B−12)エポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等を含有するポリマー中のエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等に、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等および光重合性官能基を含有する化合物中のカルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等を反応させる方法
等が挙げられる。
(B−2)で用いられるカルボキシル基を導入する方法としては、
(B−13)水酸基、アミノ基等を含有するポリマー中の水酸基、アミノ基等に、多塩基酸無水物中の酸無水物基を反応させる方法
等が挙げられる。
(B−2)で用いられる、光重合性官能基とカルボキシル基を同時に導入する方法としては、
(B−14)カルボン酸無水物基を含有するポリマー中の酸無水物基に、水酸基等および光重合性官能基を含有する化合物中の水酸基等を反応させる方法
(B−15)水酸基、アミノ基等を含有するポリマー中の水酸基、アミノ基等に、酸無水物基と光重合性官能基を含有する化合物中の酸無水物基を反応させる方法
等が挙げられる。
【0032】
カルボキシル基を含有するポリマー(B)は、単独で、または2種以上混合して用いることができる。またカルボキシル基を含有するポリマー(B)中のカルボキシル基とβ−ヒドロキシルアミド基中のヒドロキシル基との比率は、モル比で10/1〜1/10が好ましく、さらに3/1〜1/3、さらに1.5/1〜1/1.5が好ましい。10/1〜1/10の範囲から外れている場合、硬化後の膜または微細パターン中にカルボキシル基またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基中のヒドロキシル基が余り、耐薬品性や耐熱性が不十分となるおそれがある。
【0033】
カルボキシル基を含有するポリマー(B)中のカルボキシル基の濃度は、酸価10〜250mgKOH/gが好ましく、さらに20〜200mgKOH/g、さらに40〜100mgKOH/gが好ましい。10mgKOH/g未満であると、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)中のヒドロキシル基と反応しうる官能基(カルボキシル基)が少なくなり、耐薬品性や耐熱性を満足に得ることができない場合があり、250mgKOH/gを超えると、コーティング剤の粘度が高く、保存安定性が悪化する場合がある。
【0034】
なお、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)と反応しうる官能基としては、カルボキシル基以外にも、フェノール性水酸基、芳香族メルカプト基、β−ジケトン等の活性メチレン基等を用いることができる。カルボキシル基を含有するポリマー(B)中に、上記官能基を導入することができる。β−ヒドロキシアルキルアミド(A)や光重合性単量体(D)に含有していても良い。
【0035】
<光重合開始剤(C)>
本発明の光重合開始剤(C)は、光照射によりラジカル、カチオン、アニオンが発生し、光重合性官能基の重合を開始する化合物である。
光重合開始剤(C)のうちラジカルを発生するものとしては、
たとえば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン、特願2010−054456に記載のフェニル基上に電子吸引性置換基をもつN−フェニルカルバゾール骨格オキシムエステル等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メチルフェニル)ビイミダゾール、等のイミダゾール系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0036】
光重合開始剤(C)のうちカチオンを発生するものとしては、
オニウム塩系化合物が挙げられる。オニウム塩系化合物の例としては、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、ホスホニウム塩系、ジアゾニウム塩系、ピリジニウム塩系、ベンゾチアゾリウム塩系、スルホキソニウム塩系、フェロセン系の化合物が挙げられ、これらの構造は特に限定されず、ジカチオンなどの多価カチオン構造を有していてもよく、カウンターアニオンも公知のものを適宜、選択して使用することができる。
オニウム塩以外の酸発生剤としては、ニトロベンジルスルホナート類、アルキルまたはアリール−N−スルホニルオキシイミド類、ハロゲン化されていてもよいアルキルスルホン酸エステル類、1,2−ジスルホン類、オキシムスルホナート類、ベンゾイントシラート類、β−ケトスルホン類、β−スルホニルスルホン類、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン類、イミノスルホナート類、イミドスルホナート類、トリハロメチルトリアジン類などのトリハロアルキル基を有する化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
具体例としては、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルホネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルトリフルオロメタンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化砒素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、アデカオプトマーSP−150(株式会社ADEKA社製、対イオン:PF6 )、アデカオプトマーSP−170(株式会社ADEKA社製、対イオン:SbF6 )、アデカオプトマーCP−66(株式会社ADEKA社製、対イオン:SbF6 )、アデカオプトマーCP−77(株式会社ADEKA社製、対イオン:SbF6 )、サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF6)、サンエイドSI−80L(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF6)、サンエイドSI−100L(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF6)、サンエイドSI−150(三新化学工業株式会社製、対イオン:SbF6)、CYRACURE UVI−6974(ユニオン・カーバイド社製、対イオン:SbF6)、CYRACURE UVI−6990(ユニオン・カーバイド社製、対イオン:PF6 )、UVI−508(ゼネラル・エレクトリック社製)、UVI−509(ゼネラル・エレクトリック社製)、FC−508(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製)、FC−509(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製)、CD−1010(サートマー社製)、CD−1011(サートマー社製)およびCIシリーズ(日本曹達株式会社製、対イオン:PF6 、SbF6)、ジフェニルヨードニウム六フッ化砒素、ジ−4−クロロフェニルヨードニウム六フッ化砒素、ジ−4−ブロムフェニルヨードニウム六フッ化砒素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム六フッ化砒素、ゼネラル・エレクトリック社製のUVEシリーズ、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製のFCシリーズ、東芝シリコーン社製のUV−9310C(対イオン:SbF6)およびローディア社製のPhotoinitiator2074(対イオン:(C6F5)4B)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
光重合開始剤(C)のうちアニオンを発生するものとしては、たとえば、o−ニトロベンゾインカルバメート、ベンゾインカルバメート、α,α−ジメチルベンジルオキシカルバモイルアミン、o−アシロキシム、フォルムアニリド誘導体、α−アンモニウムアセトフェノン等が挙げられる。
【0038】
これらの光重合開始剤(C)はラジカル、カチオン、アニオンを発生するものを単独で用いることもできるし、併用することもできる。また、1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤(C)は、感光性組成物中の固形分100重量部中において、0.01〜60重量部が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.03〜7重量部である。0.01重量部未満であると光硬化反応性が悪く重合が進行しない場合があり、10重量部を超える量を用いると開始剤の黄変の影響より透明性の悪化が起きる場合がある。
【0039】
さらに、本発明の感光性組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体等が挙げられる。
【0040】
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。増感剤は、任意の比率で二種以上の増感剤を含んでいてもかまわない。
【0041】
増感剤は、感光性組成物中の光重合開始剤(C)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量を用いることが好ましく、1〜100重量部の量で用いることがより好ましい。
【0042】
<光重合性単量体(D)>
本発明の光重合性単量体(D)は、光重合性官能基を含有する化合物であって、その構造中にはカルボキシル基がなくてもよく、あってもよい。
光重合性単量体(D)のうち、カルボキシル基を有さず、ラジカル重合するものとしては、たとえば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル類、
1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル類、
水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有するポリマーに、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させたポリマー類、
ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル等のビニルエーテル類、
(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0043】
光重合性単量体(D)のうち、カルボキシル基を有さず、カチオン重合するものとしては、たとえば、
エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂(軟化点71℃)等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は常温で液体であっても良いし、固体であっても良い。また、エポキシ基含有オリゴマーも好適に用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマー(例えば、油化シェルエポキシ社製、エピコート1001、1002等)を挙げることができる。さらに、上記エポキシ基含有モノマーやオリゴマーの付加重合体を用いてもよく、例えば、グリシジル化ポリエステル、グリシジル化ポリウレタン、グリシジル化アクリル等が挙げられる。
【0044】
脂環式エポキシ基を有する化合物としては、例えば、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ノルボルネンモノエポキサイド、アダマンチルモノエポキサイド、リモネンモノエポキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0045】
脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、例えば1,4−ブタンジオールジクリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0046】
オキセタニル基を有する化合物としては、例えば、フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等が挙げられる。
【0047】
ビニルエーテル基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル等が挙げられる。その他、エピスルフィド基、エチレンイミン基、水酸基を有する化合物などが挙げられる。
【0048】
光重合性単量体(D)のうち、カルボキシル基を有さず、アニオン重合するものとしては、たとえば、上記エポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
【0049】
また、光重合性単量体(D)のうち、カルボキシル基を有するものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、クロトン酸、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシメチル)メタクリル酸、などを用いることができる。
【0050】
これらの光重合性単量体(D)は、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0051】
<β−ヒドロキシアルキルアミド(A)>
ここから、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)の構造について詳細に説明する。
【0052】
本発明のβ―ヒドロキシアルキルアミド(A)は一般式(1)で表される化合物である。
【0053】
一般式(1)
【化9】
式中、Xは炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、又はハロゲンからなるn価の基であり、nは2〜6の整数である。Xとして、具体的には、炭素数2以上のn価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びヘテロ原子を有する基が挙げられる。
【0054】
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、透明性の観点からはフッ素が好ましい。難燃性を付与する観点からは塩素、臭素が好ましい。
【0055】
n価の基とは化合物からn個の水素原子を取り除くことで得られる基である。以下これを化合物に由来するn価の基という。
【0056】
n価の脂肪族炭化水素基としては、アルカン、アルケン、アルキンに由来するn価の基が挙げられる。
【0057】
アルカンとしては、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ヘンイコサン、ドコサン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、メチルペンタン、ジメチルペンタン、エチルメチルペンタン、ジエチルペンタン、メチルヘキサン、テトラメチルヘプタン、等が挙げられる。アルカンに由来するn価の基として、例えば、1,6−ヘキシル基、1,7−ヘプチル基、1,8−オクチル基、1,9−ノニル基、1,10−デシル基、1,11−ウンデシル基、1,12−ドデシル基、1,13−トリデシル基、1,14−テトラデシル基、1,15−ペンタデシル基、1,16−ヘキサデシル基、1,17−ヘプタデシル基、1,18−オクタデシル基、1,19−ノナデシル基、1,3,6−ヘキシル基、1,4,7−ヘプチル基、1,2,8−オクチル基、1,3,9−ノニル基、1,3,4,6−ヘキシル基、1,4,6,7−ヘプチル基、1,4,5,6,7−ヘプチル基、1,2,3,4,5,6−ヘキシル基が挙げられる。
【0058】
アルケンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドセン、トリデセン、テトラセン、ペンタデセン、ヘプタデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、ノナデセン、イコセン、ヘンイコセン、ドコセン、メチルペンテン、等が挙げられる。アルケンに由来するn価の基としては、例えば、1,6−(2−ヘキセニル)基、1,7−(2−ヘプテニル)基、1,8−(2−オクテニル)基、1,9−(2−ノネニル)基、1,10−(2−デセニル)基、1,11−(2−ウンデセニル)基、1,12−(2−ドデセニル)基、1,13−(2−トリデセニル)基、1,14−(2−テトラデセニル)基、1,15−(2−ペンタデセニル)基、1,16−(2−ヘキサデセニル)基、1,17−(2−ヘプタデセニル)基、1,18−(2−オクタデセニル)基、1,19−(2−ノナデセニル)基、1,3,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,7−(3−ヘプセニル)基、1,2,8−(4−オクテニル)基、1,3,9−(5−ノネニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプセニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプセニル)基が挙げられる。
【0059】
アルキンとしては、エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ペプチン、オクチン、ノニン、デシン、ウンデシン、ドデシン、トリデシン、イコシン、ヘンイコシン、ドコシン、等が挙げられる。アルキンに由来するn価の基としては、例えば、1,6−(2−ヘキシニル)基、1,7−(2−ヘプシニル)基、1,8−(2−オクシニル)基、1,9−(2−ノニル)基、1,10−(2−デシニル)基、1,11−(2−ウンデシニル)基、1,12−(2−ドデシニル)基、1,13−(2−トリデシニル)基、1,14−(2−テトラデシニル)基、1,15−(2−ペンタデシニル)基、1,16−(2−ヘキサデシニル)基、1,17−(2−ヘプタデシニル)基、1,18−(2−オクタデシニル)基、1,19−(2−ノナデシニル)基、1,3,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,7−(3−ヘプシニル)基、1,2,8−(4−オクシニル)基、1,3,9−(5−ノニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプシニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプシニル)基が挙げられる。
【0060】
n価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、トリメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロオクテン、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、ジメチルアダマンタン、等に由来するn価の基が挙げられる。例えば、1,1−シクロヘキシル基、1,2−シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキシル基、1,4−シクロヘキシル基、1,2,4−シクロヘキシル基、1,3,5−シクロヘキシル基、1,2,4,5−シクロヘキシル基、1、2,3,4,5,6−シクロヘキシル基、2,6−デカヒドロナフチル基、1,3−アダマンチル基、1、3、5ーアダマンチル基が挙げられる。
【0061】
n価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、ジフェニルエタン、ジフェニルアセチレン、9,9−ジフェニルフルオレン、等に由来するn価の基が挙げられる。例えば、カルボニル基に結合する炭素原子が芳香環に含まれる基としては、フェニレン基、トリレン基、が挙げられる。カルボニル基に結合する炭素原子が芳香環に含まれない基としては、トルエン−α,α−ジイル基、エチルベンゼン−α,β−ジイル基、エチルベンゼン−β,β−ジイル基、1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジイル基、等が挙げられる。
【0062】
ヘテロ原子(酸素、硫黄、窒素、ハロゲン原子)を有するn価の基としては、エタノール、エチレングリコール、エチレンジアセテート、エチレンジピバレート、エチレンジベンゾエート、エチレンビス(メチルベンゾエート)、エチレンビス(メトキシベンゾエート)、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、エリスリトール、エチレンオキシド、アセトアルデヒド、アセトン、ジプロピルケトン、γ−ペンタデカノラクトン、1,2−シクロヘキサン、γ−ブチロラクトン、エチルアミン、エチルメチルアミン、プロピルアミン、N−プロピルアセトアミド、エタンチオール、エタンジチオール、テトラフルオロエタン、ジブロモエタン、ヘキサフルオロプロパン、オクトフルオロブタン、ドデカフルオロヘキサン、ヘキサデカフルオロオクタン、1,2,3,4,7,7−ヘキサクロロノルボルネン、アニソール、フルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラフロロベンゼン、ブロモベンゼン、テトラブロモベンゼン、ニトロベンゼン、フェノール、アニリン、ベンゼンスルホン酸、アントラキノン、ブタンホスホン酸、トリエチルトリアジン、トリプロピルトリアジン、トリエチルイソシアヌレート、トリプロピルイソシアヌレート、ベンゾフェノン、チオフェン、ジエチルスルフィド、ジフェニルスルホン、2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ジフェニルエーテル、等に由来するn価の基が挙げられる。
【0063】
中でも、Xとして、反応性の観点から、カルボニル基に直接結合するX中の原子が、芳香環に含まれない炭素原子であることが好ましい。さらには、炭素数6〜18の直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは、脂環式炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは、脂環式炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基である。
【0064】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、一般式(2)で表される基、または一般式(3)で表される基を表し、1以上の窒素原子に結合する1以上のR1およびR2のうち、少なくとも1つは一般式(2)で表される基である。(ただし、感光性組成物が有機溶剤を含有し、かつ、一般式(1)における、1以上の窒素原子に結合する1以上のR1およびR2のうち、少なくとも1つは一般式(2)で表される基であって、少なくとも1つは一般式(3)で表される基である場合を除く)
【0065】
一般式(2)
【化10】
【0066】
一般式(3)
【化11】
【0067】
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0068】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
【0069】
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基が挙げられる。
【0070】
アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基が挙げられる。
【0071】
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−インデノ基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、といったシクロアルキル基が挙げられる。
【0072】
芳香族炭化水素基としては、単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の縮合環芳香族炭化水素基が挙げられる。
環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0073】
中でも、式(2)及び式(3)以外のR1およびR2として、好ましくは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素、または、単環芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素であり、さらに好ましくは、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基である。
【0074】
式(2)及び(3)で表される基のR3〜R6はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、またはヒドロキシル基で一部置換された炭化水素基を表し、R7はヒドロキシル基と反応しうる官能基を有する化合物の残基を表す。
【0075】
炭化水素基は、R1およびR2において前述したものと同様である。ヒドロキシル基で置換された炭化水素基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、等が挙げられる。
【0076】
ヒドロキシル基と反応しうる官能基を有する化合物の残基としては、特に限定されないが、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、シラノール、アルコキシシラン、シラノールエステル、アミノ樹脂、エポキシを有する化合物等が挙げられ、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、及びカルボン酸無水物が好ましく、より好ましくは、単官能イソシアネート又は単官能カルボン酸である。
【0077】
中でも、容易に作製できる観点から、一般式(3)中のR7が下記一般式(4)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)が得られることがより好ましい。
【0078】
一般式(4)
【化12】
ここで、
16は単結合、(m1+1)価の炭化水素基、または、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート環のうち少なくとも1つと、炭素原子、水素原子からなる(m1+1)価の基を表し、
1は単結合、ウレタン結合またはウレア結合を表し、
17は2価の炭化水素基を表し、
2はエーテル結合またはエステル結合を表し、
18は1価の炭化水素基を表し、
1は1〜5の整数を表し、
1は0〜100の整数を表す。
【0079】
容易に作製できる観点から、一般式(3)中のR7が下記一般式(5)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)が得られることがより好ましい。
【0080】
一般式(5)
【化13】
ここで、
19は単結合、(m2+1)価の炭化水素基、または炭素原子、水素原子、酸素原子からなる(m2+1)価の基を表し、
3は単結合、エステル結合、アミド結合を表し、
20は2価の炭化水素基を表し、
4はエーテル結合またはエステル結合を表し、
21は1価の炭化水素基を表し、
2は1〜5の整数を表し、
2は0〜100の整数を表す。
【0081】
(β−ヒドロキシアルキルアミド(A)の製造方法)
上記一般式(1)で表される化合物は種々の方法で製造することが可能であるが、以下に主な製造方法[1]〜[4]を挙げる。
【0082】
1およびR2の少なくとも一つが一般式(3)で表される基である場合:
【0083】
[1](a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体と、(a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミンと、をアミド化してなる(a−3)β−ヒドロキシアルキルアミドのヒドロキシル基の一部を、(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物と反応させる。
【0084】
[2](a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミンのヒドロキシル基の一部に、(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物を反応させたのちに、(a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体とアミド化する。
【0085】
[3](a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミンのアミノ基を保護し、(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物を反応させる。この化合物の保護基を外した後に(a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体とアミド化する。
【0086】
製造にかかるコスト、反応の容易さなどを鑑みると、上記[1]の方法が好ましい。
【0087】
(a−3)β−ヒドロキシアルキルアミドが入手可能である場合は、(a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体と、(a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミンの反応を経ずに、(a−3)β−ヒドロキシアルキルアミドのヒドロキシル基の一部を、(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物と反応させる方法であってもよい。
【0088】
1およびR2が一般式(3)で表される基でない場合:
【0089】
[4](a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体と、(a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミンと、をアミド化する。
【0090】
β−ヒドロキシアルキルアミド(A)は、光重合性官能基を含んでいても、含まなくてもよい。(a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体、(a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミン、または(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物に、光重合性官能基を含む化合物を用いることによって、光重合性官能基を導入することができる。合成時の安定性から、(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物中に光重合性官能基を含有することが好ましい。
【0091】
(a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体のうち2価以上のカルボン酸としては以下のものが挙げられる。(以下、同一化合物の別名を表す場合は《 》で表す。)
直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、
【0092】
分岐飽和脂肪族ジカルボン酸:メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、イソプロピルマロン酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、ブチルコハク酸、オクチルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ヘキサデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、メチルグルタル酸、ジメチルグルタル酸、エチルメチルグルタル酸、ジエチルグルタル酸、メチルアジピン酸、テトラメチルピメリン酸、
【0093】
不飽和脂肪族ジカルボン酸:アリルコハク酸、メタリルコハク酸、ヘキセニルコハク酸、オクテニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、ドコセニルコハク酸、デカジエン−1,2−ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、ムコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、
【0094】
脂環式ジカルボン酸:シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、カンファー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、シクロペンチルマロン酸、シクロペンタン二酢酸、シクロヘキサン二酢酸、アダマンタン二酢酸、
【0095】
芳香環を有する脂肪族ジカルボン酸(カルボキシル基に結合する炭素原子が芳香環を形成しない):フェニルマロン酸、ベンジルマロン酸、チオフェンマロン酸、フェニルコハク酸、ジフェニルコハク酸、
【0096】
カルボキシル基以外に酸素原子を含む脂肪族または脂環式カルボン酸:酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジピバロイル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、ジ(p−アニソイル)酒石酸、リンゴ酸、アセチルリンゴ酸、クエン酸、シトラマル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、ガラクタル酸、エポキシコハク酸、オキサル酢酸、オキソグルタル酸、オキソアゼライン酸、4,5−ジカルボキシ−γ−ペンタデカノラクトン、3,6−エポキシ−1,2,3,6−ヘキサヒドロフタル酸、ブチロラクトンジカルボン酸、
【0097】
窒素原子を含む脂肪族または脂環式ジカルボン酸:アスパラギン酸、N−メチルアスパラギン酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)−アスパラギン酸、N−(ベンジルオキシカルボニル)アスパラギン酸、N−カルバモイルアスパラギン酸、N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アスパラギン酸、グリシルアスパラギン酸、3−ヒドロキシアスパラギン酸、グルタミン酸、N−アセチルグルタミン酸、N−(tert−ブトキシカルボニル)−グルタミン酸、N−(ベンジルオキシカルボニル)グルタミン酸、N−ベンゾイルグルタミン酸、N−(4−アミノベンゾイル)グルタミン酸、N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]グルタミン酸、メチルグルタミン酸、グリシルグルタミン酸、グアジニノグルタル酸、N−フタリルグルタミン酸、アミノアジピン酸、アミノピメリン酸、ジアミノピメリン酸、アミノスベリン酸、葉酸、メトトレキサート、
【0098】
硫黄原子を含む脂肪族または脂環式ジカルボン酸:ジメルカプトコハク酸、チオリンゴ酸、
【0099】
ハロゲン原子を含む脂肪族または脂環式ジカルボン酸:テトラフルオロコハク酸、ジブロモコハク酸、ヘキサフルオログルタル酸、オクタフルオロアジピン酸、ドデカフルオロスベリン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、クロレンド酸《ヘット酸》、
【0100】
芳香族ジカルボン酸:フタル酸、メチルフタル酸、tert−ブチルフタル酸、エチニルフタル酸、(フェニルエチニル)フタル酸、メトキシフタル酸、フルオロフタル酸、テトラフルオロフタル酸、トリフルオロメチルフタル酸、クロロフタル酸、ジクロロフタル酸、テトラクロロフタル酸、ブロモフタル酸、テトラブロモフタル酸、ニトロフタル酸、ヒドロキシフタル酸、アミノフタル酸、スルホフタル酸、イソフタル酸、メチルイソフタル酸、tert−ブチルイソフタル酸、メトキシイソフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、ブロモイソフタル酸、ニトロイソフタル酸、ヒドロキシイソフタル酸、アミノイソフタル酸、アミノトリヨードイソフタル酸、スルホイソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、テトラブロモテレフタル酸、ニトロテレフタル酸、ジヒドロキシテレフタル酸、アミノテレフタル酸、スルホテレフタル酸、
ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、アントラキノンジカルボン酸、1,3−ジベンジル−2−オキソ−4,5−イミダゾリジンジカルボン酸、チオフェンジカルボン酸、
【0101】
脂肪族または脂環式トリカルボン酸:1,2,3−プロパントリカルボン酸≪トリカルバリル酸≫、アニコット酸、ブテントリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ペンタントリカルボン酸、トリス(2−カルボキシエチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(3−カルボキシプロピル)−1,3,5−トリアジン、イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)、イソシアヌル酸トリス(3−カルボキシプロピル)、
【0102】
芳香族トリカルボン酸:トリメリット酸、ヘミメリット酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、ベンゾフェノントリカルボン酸、
【0103】
脂肪族または脂環式テトラカルボン酸:ブタンテトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、チオジコハク酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、5−(1,2−ジカルボキシエチル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−(1,2−ジカルボキシエチル)1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、
【0104】
芳香族テトラカルボン酸:ピロメリット酸、ベンゾフェノンンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、オキシジフタル酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸、ナフタレンテトラカルボン酸、フルオレン−9,9−ビスフタル酸、
【0105】
脂肪族または脂環式のペンタカルボン酸またはヘキサカルボン酸:シクロヘキサンヘキサカルボン酸、
【0106】
芳香族ペンタカルボン酸またはヘキサカルボン酸:ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、
【0107】
また2価以上のカルボン酸として、カルボン酸を末端および/または側鎖に有するポリエステル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリルオリゴマー、あるいは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリアクリルポリオール、などのポリオールを酸無水物、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、などで変性して得られる化合物も挙げられる。
【0108】
カルボン酸の誘導体としては上記カルボン酸の酸無水物、酸クロリド、酸ブロミド、メチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル、tert−ブチルエステルなどが挙げられる。
【0109】
(a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミンは以下のような例が挙げられる。
【0110】
1級アミン:エタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール《イソプロパノールアミン》、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−フェニル−エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、イソロイシノール《2−アミノ−3−メチル−1−ペンタノール》、2−イソプロピルアミノ−3−メチル−1−ブタノール、ロイシノール《2−アミノ−4−メチル−1−ペンタノール》、tert−ロイシノール《2―アミノ−3,3−ジメチル−1−ブタノール》、フェニルアラニノール《2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール》、1−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−1−フェニルエタノール、2−アミノ−1−フェニル−1−プロパノール、
【0111】
窒素原子上の置換基の一方が炭化水素基で、もう一方が一般式(2)で表される2級アミン:N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−tert−ブチルエタノールアミン、3−tert−ブチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N−シクロヘキシルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−ベンジルエタノールアミン、
【0112】
窒素原子上の置換基が両方とも一般式(2)で表される2級アミン:ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、
3〜R6の中にヒドロキシル基置換炭化水素基が含まれるもの:2−[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、3−(メチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、N−メチルグルカミン《6−(メチルアミノ)−1,2,3,4,5−ヘキサンペンタオール》、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン、2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、フェニレフリン《1−(3−ヒドロキシフェニル)−2−(メチルアミノ)エタノール》、エチレフリン《2−エチルアミノ−1−(3−ヒドロキシフェニル)エタノール》、
上記以外:2−(2−アミノメチルアミノエタノール)、2−アミノ−1−(4−ニトロフェニル)−1,3−プロパンジオール、セリン、セリンメチルエステル、N−(2,4−ジニトロフェニル)セリン、メチオニノール《2−アミノ−4−メチルチオ−1−ブタノール》、N−(5−ニトロ−2−ピリジル)アラニノール、ピロリノール《2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン》、4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシピペリジン、イソセリン、2−アミノシクロヘキサノール、トレオニン、1−アミノ−2−インダノール、グルコサミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、アテノロール、アドレナリン、α,α−ジフェニル−2−ピロリジンメタノール。
【0113】
(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物の例としてイソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、シラノール、アルコキシシラン、シラノールエステル、アミノ樹脂、エポキシ基を有する化合物が挙げられる。その中でも、反応性の観点から、特にイソシアネート基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸ハロゲン化物基が好ましく、さらにはカルボキシル基とイソシアネート基が好ましい。
【0114】
イソシアネートとしては以下のようなものが挙げられる。
【0115】
単官能イソシアネート:メチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロプロピルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、トシルイソシアネート、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、1,1−ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、
【0116】
二官能イソシアネート:トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリジンイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−(2’−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ダイマージイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、
【0117】
三官能イソシアネート:リジントリイソシアネート、トリス(イソシアナトフェニル)メタン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェート、
【0118】
また、上記多官能のイソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体、も挙げられる。
【0119】
上記の多官能イソシアネート、多官能イソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体から選ばれるイソシアネートと、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メチルアミン、エチルアミン、ジブチルアミン、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリカプロラクトンなどの活性水素化合物とを反応させてなる化合物も挙げられる。
【0120】
上記のうち、溶解性、保存安定性、製造の容易さなどを考慮すると、上記単官能のイソシアネート、もしくは、多官能イソシアネートや多官能イソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体のうち1つのイソシアネート基を残し、残りを活性水素化合物と反応させてできる単官能のイソシアネートを用いることが好ましい。
【0121】
なかでも、光感度が良好になることから、下記一般式(6)で表される化合物を用いてR7が一般式(4)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)を得ることが好ましい。
【0122】
一般式(6)
【化14】
【0123】
[式中、R12は水素原子またはメチル基であり、R13は式
【化15】
[n1は1〜2の整数である。]で表される基、または式
【化16】
[R14は炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、2価の脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、R15は炭素数6〜13の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、2価の脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基である。]で表される基である。]
【0124】
カルボン酸、つまり、カルボキシル基を有する化合物としては以下のようなものが挙げられる。
脂肪族飽和単官能カルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸《ペンタン酸》、2−メチル酪酸、イソ吉草酸《3−メチル酪酸》、ピバル酸《2,2−ジメチルプロピオン酸》、カプロン酸《ヘキサン酸》、メチル吉草酸、ジメチル酪酸、エチル酪酸、エナント酸《ヘプタン酸》、カプリル酸《オクタン酸》、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸《ノナン酸》、カプリン酸《デカン酸》、ウンデカン酸、ラウリン酸《ドデカン酸》、トリデカン酸、ミリスチン酸《テトラデカン酸》、ペンタデカン酸、パルミチン酸《ヘキサデカン酸》、マルガリン酸《ヘプタデカン酸》、ステアリン酸《オクタデカン酸》、イソステアリン酸《2−ヘプチルウンデカン酸》、ノナデカン酸、アラキジン酸《イコサン酸》、ヘンイコサン酸、ベヘン酸《ドコサン酸》、トリコサン酸、リグノセリン酸《テトラコサン酸》、ペンタコサン酸、セロチン酸《ヘキサコサン酸》、ヘプタコサン酸、モンタン酸《オクタコサン酸》、ノナコサン酸、メリシン酸《トリアコンタン酸》、
【0125】
脂肪族不飽和単官能カルボン酸:アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ウンデセン酸、パルミトレイン酸《9−ヘキサデセン酸》、ペトロセリン酸《6−オクタデセン酸》、オレイン酸《9−オクタデセン酸》、エライジン酸《9−オクタデセン酸》、バクセン酸、リノール酸《9,12−オクタデカジエン酸》、リノレン酸《9,12,15−オクタデカトリエン酸》、γ−リノレン酸《6,9,12−オクタデカトリエン酸》、エレオステアリン酸、アラギドン酸《5,8,11,14−エイコサテトラエン酸》、5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸、エルカ酸《13−ドコセン酸》、ドコサヘキサエン酸、22−トリコセン酸、15−テトラコセン酸、ネルボン酸、
【0126】
芳香族単官能カルボン酸:安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、イソプロピル安息香酸、ブチル安息香酸、tert−ブチル安息香酸、ビニル安息香酸、フルオロ安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、ヨード安息香酸、トリフルオロメチル安息香酸、シアノ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、アミノ安息香酸、メルカプト安息香酸、ナフトエ酸、メチルナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸、アントロン酸《アントラセンカルボン酸》、ピレンカルボン酸、
【0127】
脂環式単官能カルボン酸:シクロプロパンカルボン酸、ジメチルシクロプロパンカルボン酸、テトラメチルシクロプロパンカルボン酸、メルカプトメチルシクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロペンチル酢酸、アミノシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、シクロヘキシルプロピオン酸、シクロヘキシル酪酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、tert−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、ノルボルネンカルボン酸、ノルボルナンカルボン酸、ノルアダマンタンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、
【0128】
カルボキシル基以外に酸素原子を有する単官能カルボン酸:グリコール酸、乳酸、ヒドロキシパルミチン酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸、アロイリット酸《トリヒドロキシヘキサデカン酸》、ジャスモン酸《3−オキソ−2−(2−ペンテニル)シクロペンタン酢酸》、ククルビン酸《3−ヒドロキシ−2−(2−ペンテニル)シクロペンタン酢酸》、3−オキソブタン酸、などの1価カルボン酸、および、上記(a−1)2価以上のカルボン酸で列挙した化合物、などが挙げられる。
【0129】
カルボン酸、つまりカルボキシル基を有する化合物としては、2価以上のカルボン酸またはその誘導体で挙げた化合物の一部をアルコールやアミンでエステル化、アミド化した化合物も挙げられる。たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メチルアミン、エチルアミン、ジブチルアミン、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリカプロラクトンなどのアルコール、アミンと、上記(a−1)2価以上のカルボン酸で列挙した化合物を部分エステル化し、分子内にカルボキシル基を1つ残した単官能カルボン酸、などが挙げられる。特に、2価カルボン酸の環状カルボン酸無水物を用いると、ヒドロキシル基またはアミノ基と1:1で反応した上でカルボキシル基が1つ生成するため好ましい。
【0130】
さらに上記カルボキシル基を有する化合物の酸無水物、酸ハロゲン化物、メチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル、tert−ブチルエステルも挙げられる。
【0131】
上記のうち、溶解性、保存安定性、製造の容易さなどを考慮すると、上記単官能のカルボン酸、酸ハロゲン化物、酸無水物、もしくは、多官能のカルボン酸またはその誘導体のうち、一部をアルコールやアミンと反応させてカルボキシル基を1つ残した単官能カルボン酸またはその誘導体、単官能のアルコールまたはアミンと2価カルボン酸の環状酸無水物とを反応させてできる単官能のカルボン酸を用いることが好ましい。
【0132】
なかでも、有機溶剤への溶解性が付与しやすいことから、下記一般式(7)で表される化合物を用いることが好ましく、光硬化性が良好になることから、下記一般式(8)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0133】
一般式(7)
【化17】
[式中、R8は炭素数2〜18の直鎖状、環状または分岐状の飽和または不飽和炭化水素基である。]
【0134】
一般式(8)
【化18】
[式中、R9は水素原子またはメチル基であり、R10は炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、R11は炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基である。]
これらの化合物は、単独で用いてもよいし、併用しても良い。
【0135】
シラノールは分子内にSi−OHの構造を持っている化合物であり、シラノール中のOHとヒドロキシル基が反応する。また、アルコキシシラン、シラノールの硫酸、スルホン酸エステル、ハロゲン化シラン(以下、まとめて「シラノール誘導体」)は加水分解でシラノールを生成するので、シラノールと同様に用いることができる。保存安定性の点から市販されているものはシラノール誘導体である。
【0136】
シラノール誘導体としては以下のものが挙げられる。
【0137】
単官能シラノール誘導体:トリメチルシリルトリフラート、トリエチルシリルトリフラート、tert−ブチルジメチルシリルトリフラート、ジエチルイソプロピルシリルトリフラート、トリプロピルシリルトリフラート、硫酸ビス(トリメチルシリル)、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、トリメチルメトキシシラン、
【0138】
多官能シラノール誘導体:ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリソドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、
【0139】
上記のうち、溶解性、保存安定性、製造の容易さなどを考慮すると、上記単官能のシラノール誘導体を用いることが好ましい。
【0140】
アミノ樹脂は、電子吸引性基が窒素原子に結合したヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物であり、ヒドロキシル基と反応してエーテル結合を形成する。電子吸引性基とは、たとえば、カルボニル基、チオカルボニル基、トリアジン環などが挙げられる。このヒドロキシル基をアルコールでキャップされたアルコキシメチルアミノ基を有する化合物も、加水分解によりヒドロキシル基を生成するので用いることができる。
【0141】
アミノ樹脂としては以下のものが挙げられる。
【0142】
単官能アミノ樹脂:N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアセトアミド、N−ヒドロキシメチル尿素、1−(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、N−(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、
【0143】
多官能アミノ樹脂:N,N’−ジメチロール尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5−[1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ウレイド]ヒダントイン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、など、窒素原子にヒドロキシル基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基が複数個置換された、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルなどが挙げられる。
【0144】
上記のうち、溶解性、保存安定性、製造の容易さなどを考慮すると、上記単官能のアミノ樹脂を用いることが好ましい。
【0145】
エポキシ基を有する化合物として、以下のようなものが挙げられる。
【0146】
単官能エポキシ:アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェニルフェノールグリシジルエーテル、sec−ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルモノグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド、スチレンオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸エステル、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−メタノール、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルバルデヒド、4,5−エポキシ−1,2−ジカルボン酸エステル、
【0147】
多官能エポキシ:ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールポリグリシジルエーテル、ビス(ヒドロキシシクロプロピル)プロパンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、tert−ブチルフェノールグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、テレフタル酸グリシジル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモフェノールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの縮合物、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの縮合物、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの縮合物、N,N,N’,N’−テトラグリシジルビス(アミノフェニル)メタン、ダイマー酸ジグリシジル、水添ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの縮合物、ジ−tert−ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、などが挙げられる。
【0148】
上記のうち、溶解性、保存安定性、製造の容易さなどを考慮すると、上記単官能のエポキシを用いることが好ましい。
【0149】
(アミド化)
(a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体と、(a−2)β位にヒドロキシル基を1つ以上有する1級または2級アミンとをアミド化する方法は様々あるが、(a−1)2価以上のカルボン酸またはその誘導体がカルボン酸の場合は水、カルボン酸エステルの場合はアルコール、カルボン酸無水物またはハロゲン化物の場合は酸を取り除くことで反応を進行させることができる。水やアルコールの場合は加熱により反応系外へ除去することが用意である。酸の場合はトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基性化合物によって取り除くことができる。
【0150】
上記アミド化の際に触媒を使用することができる。たとえば、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基触媒(以下「塩基触媒」とまとめる)、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾールなどのアミン触媒(以下「アミン触媒」とまとめる)、鉄(III)、ジルコニウム(IV)、スカンジウム(III)、チタン(IV)、スズ(IV)、ハフニウム(IV)などの金属イオンを含む塩や錯体、ジフェニルアンモニウムトリフラート、ペンタフルオロフェニルアンモニウムトリフラートなどのアンモニウム塩、などが挙げられる。
【0151】
上記アミド化反応において溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、アルコール、アミン、カルボン酸など反応基質と反応する溶媒以外であれば使用できる。たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0152】
特にカルボン酸とのアミド化において、縮合剤を用いて行うことができる。縮合剤とは、カルボン酸またはアミンを活性化させ、エステル化反応を温和な条件で行うことができると同時に、副生成物の水は縮合剤と結合して別の化合物となるため、触媒作用と水除去作用を兼ね備えた化合物である。このような縮合剤としては、たとえば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、p−トルエンスルホニルクロリド、1−エチル−3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル、2,4,6−トリクロロ安息香酸クロリド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。
【0153】
(変性)
(a−3)β−ヒドロキシアルキルアミドのヒドロキシル基の一部を、(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物と反応させる際は、それぞれの官能基に対して適当な条件で反応させればよい。
【0154】
(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物がイソシアネートの場合は、無触媒あるいは適当な触媒を加えて加熱することで反応が進行する。適当な触媒としては、たとえば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、などのアミン類やその塩、テトラブチルチタネート、ジブチルスズジラウリレート、オクチル酸スズなどの金属塩や錯体などが挙げられる。
【0155】
(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物がカルボン酸の場合は、無触媒で100℃以上、好ましくは140℃以上に加熱することで脱水縮合反応が進行する。あるいは適当な触媒を加えることでさらに低い温度で反応を進行させることができる。上記アミド化反応について記載した触媒、縮合剤などは、この反応に用いることができる。
【0156】
(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物がカルボン酸無水物またはカルボン酸ハロゲン化物の場合は、塩基触媒またはアミン触媒を加えて0〜100℃で反応させるのが好ましい。このとき塩基触媒またはアミン触媒はカルボン酸無水物またはカルボン酸ハロゲン化物1モルに対して、1モル以上使用することが好ましい。
【0157】
(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物がシラノールの場合は、塩基触媒またはアミン触媒を加えて0〜100℃で反応させるのが好ましい。このとき塩基触媒またはアミン触媒はカルボン酸無水物またはカルボン酸ハロゲン化物1モルに対して、1モル以上使用することが好ましい。
【0158】
(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物がアミノ樹脂の場合は、メタンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸、それらのアンモニウム塩またはアミン塩を触媒に使用し、0〜200℃で反応させるのが好ましい。
【0159】
(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物がエポキシ基を有する化合物の場合は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウムなどの強塩基触媒、もしくはテトラフルオロホウ酸、塩化スズ(IV)などの金属触媒を使用し、0〜200℃で反応させるのが好ましい。
【0160】
上記一般式(1)で表される化合物が光重合性官能基を含む場合には、上記反応中に重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりしてもよい。重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりすることにより、付加反応時のゲル化を防ぐことができる。
【0161】
ラジカル重合禁止効果のあるガスとしては、系内物質の爆発範囲に入らない程度の酸素を含むガス、例えば、空気などが挙げられる。
【0162】
ラジカル重合禁止剤としては、公知のものを使用することができ、特に制限はされないが、たとえば、ヒドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,2’―メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノチアジン等が挙げられる。これら重合禁止剤は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。使用する重合禁止剤の量としては、反応系中の固形分の合計100重量部に対して、0.005〜5重量部が好ましく、0.03〜3重量部がさらに好ましく、0.05〜1.5重量部が最も好ましい。重合禁止剤が0.005重量部未満では、重合禁止効果が十分でない場合があり、一方、5重量部を超えると、露光感度が低下する恐れがある。また、重合禁止効果のあるガスと重合禁止剤とを併用すると、使用する重合禁止剤の量を低減できたり、重合禁止効果を高めたりすることができるので、より好ましい。
【0163】
<カルボキシル基を含有しないポリマー>
本発明の感光性組成物は、必要に応じて、カルボキシル基を含有しないポリマーを含有していても良い。カルボキシル基を含有しないポリマーとしては熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0164】
<添加剤>
本発明の感光性組成物は、さらに、必要に応じて、熱硬化性樹脂に併用する硬化剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、界面活性剤、貯蔵安定剤、染料、シランカップリング剤等の密着向上剤等などの添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、樹脂組成物の目的を損なわない範囲で任意の量を加えることができる。
【0165】
<硬化方法>
β−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、カルボキシル基を含有するポリマー(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じて光重合性単量体(D)やその他の成分とを混合、撹拌することによって感光性組成物を作製する。えられた感光性組成物を、各種基材の片面または両面に塗布し、もしくは金型等を用いて成形し、必要に応じて加熱乾燥し、活性エネルギー線を照射し、必要に応じて現像し、100〜200℃において加熱硬化させることで目的の硬化物を得ることができる。
基材としては、たとえば、ガラス、セラミック、ポリカーボネート、ポリエステル、ウレタン、アクリル、ポリアセテートセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリビニルアルコール、ステンレス等の各種金属、などが挙げられる。
活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等が挙げられるが、特に紫外線が好ましい。紫外線を用いる場合には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどの光源を用いることが好ましい。
現像は、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望の微細パターンを形成することができる。
【0166】
<<タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤>>
本発明の感光性組成物は、上記の通り耐熱性・耐薬品性に優れた膜およびパターンが形成できることから、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いることもできる。以下で、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤について説明する。
【0167】
タッチパネル層間絶縁膜は、タッチパネルの部材であるITO電極を保護し、ITO電極間の絶縁性を保つために設けられる。本発明のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤は、本発明の感光性組成物を必須成分として含み、耐薬品性、耐熱性、絶縁性、硬度、密着性などの要求物性を満たすことができる。構成要素については、上記で説明したとおりだが、特に好ましい範囲を下記で説明する。
【0168】
<有機溶剤>
層間絶縁膜は、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。それを容易にするために有機溶剤が用いられる。有機溶剤としては、上記で挙げたものを用いることができる他、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が好ましく用いられる。これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
【0169】
特に有機溶剤の乾燥性を考慮し、ダイコート法やスクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法などにおいては160℃以上の高沸点溶剤を含むことが好ましく、
たとえば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(bp174℃)、1,3−ブタンジオール(bp203℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(bp213℃)、ジイソブチルケトン(bp168.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171.2℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(bp208.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(bp191.5℃)、エチレングリコールジブチルエーテル(bp203.3℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194.0℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp202.0℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(bp188.4℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(bp207.3℃)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(bp170.2℃)、プロピレングリコールジアセテート(bp190.0℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp187.2℃)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(bp197.8℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(bp212.0℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(bp175℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp206.3℃)、3−エトキシプロピオン酸エチル(bp169.7℃)、3−メトキシブチルアセテート(bp172.5℃)、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート(bp188℃)、γ−ブチロラクトン(bp204℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp166.1℃)、N−メチルピロリドン(bp202℃)、p−クロロトルエン(bp162.0℃)、o−ジエチルベンゼン(bp183.4℃)、m−ジエチルベンゼン(bp181.1℃)、p−ジエチルベンゼン(bp183.8℃)、o−ジクロロベンゼン(bp180.5℃)、m−ジクロロベンゼン(bp173.0℃)、n−ブチルベンゼン(bp183.3℃)、sec−ブチルベンゼン(bp178.3℃)、tert−ブチルベンゼン(bp169.1℃)、シクロヘキサノール(bp161.1℃)、シクロヘキシルアセテート(bp173℃)、メチルシクロヘキサノール(bp174℃)等が挙げられ、160℃以上の高沸点溶剤は溶剤の全量を基準として5〜50重量%が好ましい。
有機溶剤は、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤中の固形分合計100重量部に対して、200〜4000重量部の量で用いることができる。
【0170】
<β−ヒドロキシアルキルアミド(A)>
本発明のβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)は、上記で説明したとおりであるが、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いる場合は、耐薬品性、耐熱性、硬度を向上させるために、上記一般式(1)中のX、R1、R2の少なくとも1種に光重合性官能基を含むことが好ましい。
【0171】
<カルボキシル基を含有するポリマー(B)>
本発明のカルボキシル基を含有するポリマー(B)は、上記で説明したとおりであるが、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いられる際には、高い透明性が必要であるため、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のポリマーが用いられる。透明性の点から、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体が好ましく用いられる。
【0172】
(カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体)
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体を得る方法として、(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートをその他のモノマーと共重合する方法や、水酸基を含有する(メタ)アクリレートをその他のモノマーと共重合して得られたポリマー中の水酸基を多塩基酸無水物中の酸無水物基と反応させる方法などがある。
【0173】
また、光重合性官能基とカルボキシル基とを含有する(メタ)アクリレート共重合体を得る方法として、上記(B−1)および(B−2)の方法があり、詳しくは:
(B−16)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体中のカルボキシル基の一部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させる方法;
(B−17)エポキシ基を含有する(メタ)アクリル系共重合体中のエポキシ基を、(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート中のカルボキシル基と反応させ、生成した水酸基に対して、多塩基酸無水物の酸無水物基を反応させる方法;
(B−18)カルボキシル基と水酸基を含む(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基を、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリレートまたは不飽和酸無水物中のイソシアネート基または酸無水物基と反応させる方法などが挙げられる。
【0174】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシメチル)メタクリル酸、p−ビニル安息香酸等も用いることができる。
共重合性、入手の容易さなどの点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0175】
エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジエーテル、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエール、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、
さらに、エポキシ基を含有する芳香族化合物としては、たとえばN−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレンなどが挙げられる。工業品の入手の容易さという点から、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルが好ましく、エチレン性不飽和基の濃度を上げることができ、感光性組成物から形成される塗膜中での紫外線硬化が進みやすい点で、グリシジル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0176】
水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)フタレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、およびグリセロール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
共重合性、入手の容易さなどの点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0177】
多塩基酸無水物としては、たとえば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水トリメリット酸等の多塩基酸無水物が挙げられる。溶剤溶解性という点から、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
【0178】
イソシアネート基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルメチル)エチルイソシアネート、m−(メタ)アクリロイルフェニルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
エチレン性不飽和基の濃度を上げることができ、感光性組成物から形成される塗膜中での紫外線硬化が進みやすく、入手が容易である点から、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
【0179】
不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0180】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体中には、その他の共重合可能な(メタ)アクリレート等の単量体を共重合することができ、公知のものを制限なく用いることができる。
【0181】
透明性の観点から、下記一般式(9)で表される化合物を用いることが好ましい。一般式(9)で表される化合物を含む(メタ)アクリレート等を共重合して樹脂を得る際に、重合と同時に一般式(9)で表される化合物の環化反応が進行してテトラヒドロピラン環構造が形成される。
【0182】
一般式(9)
【化19】
一般式(9)中、R22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
【0183】
置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい炭化水素基が耐熱性の点で好ましい。なお、R22およびR23は、同一でも異なっていても良い。
【0184】
一般式(9)で表される化合物の具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、耐熱性の観点から、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましく、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0185】
一般式(9)で表される化合物を重合する際の割合は、特に制限されないが、重合に用いる全単量体成分100重量部中、2〜60重量部、好ましくは5〜55重量部、さらに好ましくは5〜50重量部であるのがよい。一般式(9)で表される化合物の量が60重量部より多いと、共重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりするおそれがあり、一方、2重量部より少ないと、透明性や耐熱性などの塗膜性能が不充分となるおそれがある。
【0186】
カルボキシル基を含有するポリマー(B)の重量平均分子量(Mw)は、2000〜25000が好ましく、より好ましくは4000〜15000である。重量平均分子量(Mw)が2000未満であると耐熱性が悪化する場合があり、重量平均分子量(Mw)が25000を超えると高粘度となり、塗工が困難になる場合がある。
【0187】
カルボキシル基を含有するポリマー(B)は、密着性、硬度、透過率の観点から、タッチパネル用層間絶縁膜用コーティング剤の固形分の合計100重量部中、10〜60重量部の量で用いることが好ましい。
【0188】
<光重合開始剤(C)>
本発明の光重合開始剤(C)は、上記で説明したとおりであるが、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いられる際には、硬度と密着性の両立が必要であるため、ラジカル重合性の光重合開始剤とカチオン重合性の光重合開始剤を併用することが好ましい。
【0189】
ラジカル重合性の開始剤については、上記で例を挙げたが、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いられる際には、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤は感度が高く、添加量が少なくて良いため、透過率が高くなることから、好ましく用いられる。
また、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤のなかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、とりわけ、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]は、加熱工程時に黄変しないため、絶縁膜としての透過率が高く、特に波長400nm付近の透過率が高い感光性樹脂組成物を提供することができるため、より好ましい。
【0190】
光重合開始剤(C)は、感光性組成物の固形分の合計100重量部中、1〜30重量部の量で用いることが好ましく、透過率の観点から1〜10重量部の量で用いることがより好ましい。
【0191】
さらに増感剤を併用することもでき、上記で例を挙げたものなどを用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤(C)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量で用いることが好ましい。
【0192】
<光重合性単量体(D)>
本発明の光重合性単量体(D)は、上記で説明したとおりであるが、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いられる際には、硬度と密着性の両立が必要であるため、ラジカル重合性の光重合性単量体とカチオン重合性の光重合性単量体を併用することが好ましい。
【0193】
光重合性単量体(D)は、通常、紫外線や電子線を照射することにより[必要に応じ光重合開始剤(C)を添加して]光硬化させるが、本発明では、熱により[必要に応じ熱重合開始剤を添加して]熱硬化させてもよい。
【0194】
ラジカル重合性の光重合性単量体としては、上記で例を挙げたが、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いられる際には、硬度、耐溶剤性を高めるため、1分子中に7個以上のラジカル重合性の光重合性官能基を含有する単量体を含むことが好ましい。また透過率の維持、硬度と密着性のバランスなどの観点から7〜14個、好ましくは8〜10個の光重合性官能基を含有する光重合性単量体を含むことが好ましい。
【0195】
7個以上の光重合性官能基を有する単量体として例えば、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、および下記一般式(10)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0196】
一般式(10)
【化20】
一般式(10)において、R24は酸素原子を除く2価の有機基を示し、R25は水素原子またはメチル基を示す。
【0197】
2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基等のアリーレン基、エーテル基、カルボニル基、スルホニル基、エステル基などが挙げられるが、下記一般式(11)で表される構造であることが好ましい。
【0198】
一般式(11)
【化21】
一般式(11)において、R26は脂肪族、脂環族または芳香族の構造を表す。
【0199】
一般式(10)で表される化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと四塩基酸二無水物を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと多官能エポキシ化合物を反応させて得られる化合物等を挙げることができる。
【0200】
多官能イソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
また、四塩基酸二無水物の具体例としては、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテートモノアセテート)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロヘキシセンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
また、多官能エポキシ化合物の具体例としては、トリス(グリシジルフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0201】
タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いられる際には、光重合性単量体(D)としては、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、またはトリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートが好ましく、これらを混合して含むものであっても良い。このような光重合性単量体(D)として、市販品では、例えば、ビスコート#802(トリペンタエリスリトールオクタアクリレートとトリペンタエリスリトールヘプタアクリレートの混合物、大阪有機化学工業株式会社製)を挙げることができる。
【0202】
光重合性単量体(D)としては、酸性基を有する多官能モノマーを含んでも良く、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレートまたはモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等を挙げることができる。
【0203】
光重合性単量体(D)の含有量としては、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の固形分の合計100重量部中、5〜80重量部が好ましく、より好ましくは10〜50重量部である。5重量部より少ないと、硬度や耐薬品性が不十分になる場合があり、80重量部より多いと透過率の低下、密着性の低下が起こる場合がある。
【0204】
<添加剤>
本発明の感光性組成物には、さらに必要に応じて、上記添加剤を加えてよいが、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として用いられる際には、ガラス基材、ITOなどとの密着性が必要であるため、シランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることが好ましい。
密着向上剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0205】
中でもシラン系の添加剤を含むとガラス基材、ITOなどとの密着性が向上するため好ましく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0206】
密着向上剤は、感光性組成物の固形分の合計100重量部中、0.1〜10重量部の量で用いることが好ましい。密着性の観点から0.1重量部未満では密着促進添加剤量が少ないために密着性改善効果が得られない場合があり、10重量部を超える場合は感光性組成物中のβ−ヒドロキシルアルキルアミド(A)、カルボキシル基を含有するポリマー(B)、光重合開始剤(C)などが相対的に減少するため、硬度などの特性が悪化する場合がある。
【0207】
また、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤には、硬度が必要であるため、無機酸化物微粒子を含有させることが好ましい。無機酸化物微粒子は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子であることが好ましい。なかでも透過率の観点から、ケイ素、ジルコニウム、またはアルミニウムの酸化物粒子が好ましく、とくにケイ素の酸化物粒子が好ましい。
【0208】
無機酸化物微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはカルボキシル基を含有するポリマー(B)や光重合性単量体(D)などのバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。
【0209】
無機酸化物粒子の平均一次粒子径は、1nm〜1000nmが好ましく、3nm〜100nmがさらに好ましく、5nm〜30nmが特に好ましい。平均一次粒子径が1000nmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する場合がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
【0210】
無機酸化物微粒子の平均一次粒子径は、たとえばBET法を用いて測定される。具体的には、BET法にて得られた無機酸化物微粒子の比表面積を得、無機酸化物の比重を用いて体積と表面積の比を算出し、粒子を真球であると仮定して、これらの比から粒子径を求め、平均一次粒子径とする方法がある。
【0211】
無機酸化物粒子は、有機溶媒分散物として用いるのが好ましい。有機溶媒分散物として用いる場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類; アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類; 酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類; エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類; ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類; ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
【0212】
本発明に特に好ましく用いられるケイ素の酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製MA−ST−MS、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−L、MIBK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等、触媒化成工業(株)製中空シリカCS60−IPA等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
【0213】
本発明に好ましく用いられるジルコニアの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製ZR−40BL、ZR−30BS、ZR−30AL、ZR−30AH等、住友大阪セメント(株)製HXU−110JCを挙げることができる。
【0214】
本発明に好ましく用いられるアルミニウムの酸化物微粒子分散液として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製アルミナゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−520、住友大阪セメント(株)製AS−150I、AS−150Tが挙げられる。
【0215】
その他、本発明に好ましく用いられる無機酸化物微粒子分散液を以下に示す。アンチモンの酸化物微粒子分散液では日産化学工業(株)製セルナックスCX−Z330H、アルミニウム、チタニウム、スズ、インジウム、亜鉛等の酸化物微粒子分散液としては、シーアイ化成(株)製ナノテック等を挙げることができる。
【0216】
無機酸化物微粒子の添加量はタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤における固形分合計100重量部中、10〜40重量部が好ましく、15〜35重量部がさらに好ましい。添加量が10重量部未満である場合は硬度の向上などの効果が得られない場合があり、一方で40重量部を超える場合は、密着性が低下するなどの問題のおこる場合がある。
【0217】
タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤には、貯蔵安定剤を含有することができる。貯蔵安定剤を含有することで、組成物の経時粘度を安定化させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)1,3,5−トリアジン等のヒンダードフェノール系、テトラエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルフォスフィン等の有機ホスフィン系、ジメチルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸モリブデン等の亜リン酸塩系、ドデシルスルフィド、ベンゾチオフェンなどのイオウ系、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
貯蔵安定剤の使用量は、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の合計100重量部中、0.1〜5重量部の量で用いることができる。
【0218】
タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−330などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。
【0219】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。
このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0220】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0221】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0222】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0223】
レベリング剤の使用量は、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の合計100重量部中、0.003〜0.5重量部用の量でいることが好ましい。
【0224】
タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤には、加熱工程を経ることによる黄変等による透過率の低下を抑制するため、酸化防止剤を含有させることができる。酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0225】
<タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の製造方法>
本発明のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤は、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)、カルボキシル基を含有するポリマー(B)、光重合開始剤(C)、必要に応じて光重合性単量体(D)、有機溶剤等、および必要に応じて無機酸化物微粒子等を攪拌・混合して得ることが出来る。
本発明のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵、異物の除去を行うことが好ましい。
【0226】
<タッチパネル層間絶縁膜の製造方法>
次に、本発明のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤を用いてタッチパネル層間絶縁膜を製造する方法について説明する。
タッチパネル層間絶縁膜を製造する際の厚さとしては、乾燥状態で0.005〜30μmとするのが好ましく、0.01〜20μmとするのがより好ましく、0.1〜10μmとするのが特に好ましい。厚さをこのような範囲とすることにより、適度な機械的強度や耐熱性が得られるとともに、光の透過率を損なうおそれが少ない。
【0227】
また、本発明のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤をガラス基板、ITO、金属膜、有機膜等に塗布する方法は特に限定されるものでなく、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、ダイコート法、回転塗布法等が使用可能であり、その他、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法によっても塗布可能である。フォトリソグラフィーによりパターン形成することも可能である。
【0228】
さらに、本発明のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤をガラス基板等に塗布した後の乾燥方法についても、特に制限されるものではないが、例えば、オーブンや赤外線加熱機等を使用することが可能である。そして、その加熱条件も、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、通常、温度が50〜300℃の範囲で、0.1〜10時間の条件で加熱硬化するのが好ましく、より好ましくは、温度が100〜250℃の範囲で、0.5〜5.0時間の加熱硬化条件である。
【0229】
光硬化方法についても、特に制限されるものではないが、例えば、光源として高圧水銀灯やメタルハライド灯等を使用して紫外線を照射することが可能である。そして、その照射条件も、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、通常、紫外線の照射量は、10〜500mJ/cm2が好ましく、より好ましくは20〜300mJ/cm2である。光硬化後、さらに加熱することにより熱硬化させてもよい。
【0230】
光硬化後に行う熱硬化に関しては、感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、カルボキシル基を含有するポリマー(B)中のカルボキシル基とβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)中のヒドロキシル基とが架橋反応する温度が好ましく、温度が50〜300℃の範囲で、0.1〜10時間の条件で加熱硬化するのが好ましく、より好ましくは、温度が100〜250℃の範囲で、0.2〜5.0時間、さらに好ましくは100〜200℃の範囲で0.2〜2時間の加熱硬化条件である。
【0231】
本発明のタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤は、絶縁膜用途、保護膜用途、平坦膜用途のいずれで使用されても良い。
【0232】
<<カラーフィルタ用感光性組成物>>
本発明の感光性組成物は、上記の通り耐熱性・耐薬品性に優れた膜およびパターンが形成できることから、カラーフィルタ用感光性組成物として用いることもできる。以下で、カラーフィルタ用感光性組成物について説明する。
【0233】
<顔料>
カラーフィルタ用感光性組成物は、着色が求められるため、本発明の感光性組成物と顔料等の着色剤とを含む。以下に、カラーフィルタ用感光性組成物に好ましく用いられる顔料について説明する。
【0234】
カラーフィルタ用感光性組成物に含有される顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料のなかでは、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
以下に、本発明のカラーフィルタ用感光性組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0235】
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色感光性組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
【0236】
赤色感光性組成物に併用出来る黄色顔料としては、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等を用いることができる。
また、これらの黄色顔料は、単独または2種以上を組み合わせて、イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色感光性組成物に用いることができる。
【0237】
赤色感光性組成物に併用出来るオレンジ色顔料としては、例えばC.I. Pigment orange 36、43、51、55、59、61、71、73等のオレンジ色顔料を用いることができる。
また、これらのオレンジ色顔料は、単独または2種以上を組み合わせて、オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色感光性組成物に用いることができる。
【0238】
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37および58等の緑色顔料を用いることができる。緑色感光性組成物には先述した黄色顔料を併用することができる。
青色フィルタセグメントを形成するための青色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料を用いることができる。青色感光性組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0239】
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Blue15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、80等の青色顔料を用いることができる。
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Violet 1、19、C.I. Pigment Red81、144、146、177、169等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。マゼンタ色感光性組成物には、黄色顔料を併用することができる。
【0240】
ブラックマトリックスを形成するための黒色感光性組成物には、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的には C.I. ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等を用いることができる。黒色感光性組成物には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料の混合物を用いることもできる。黒色顔料としては、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。また、色調を調整するため、黒色感光性組成物には、青色顔料や紫色顔料を併用することができる。
【0241】
また、無機顔料としては、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
カラーフィルタ用感光性組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0242】
カラーフィルタ用感光性組成物の全不揮発成分を基準(100重量%)として、好ましい顔料成分の濃度は、充分な色再現性を得る観点から10重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。また、カラーフィルタ用感光性組成物の安定性が良くなることから、好ましい顔料成分の濃度は90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下であり、最も好ましくは70重量%以下である。
【0243】
<有機溶剤>
カラーフィルタ用感光性組成物は、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。それを容易にするために有機溶剤が用いられる。有機溶剤としては、上記で挙げたものを用いることができ、特に、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の項で記載した溶剤を好ましく用いることができる。
有機溶剤は、カラーフィルタ用感光性組成物中の顔料100重量部に対して、100〜10000重量部、好ましくは500〜5000重量部の量で用いることが好ましい。
【0244】
<β−ヒドロキシアルキルアミド(A)>
本発明のβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)は、上記で説明したとおりであり、カラーフィルタ用感光性組成物として用いる場合は、耐薬品性、耐熱性、硬度を向上させるために、上記一般式(1)中のX、R1、R2の少なくとも1種に光重合性官能基を含むことが好ましい。
【0245】
<カルボキシル基を含有するポリマー(B)>
本発明のカルボキシル基を含有するポリマー(B)は、上記で説明したとおりであるが、カラーフィルタ用感光性組成物として用いられる際には、高い透明性が必要であるため、上記タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤で記載したような、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のポリマーを使うことが好ましい。透明性の点から、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体が好ましく用いられる。
【0246】
β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボキシル基を含有するポリマー(B)の総量は、カラーフィルタ用感光性組成物中の顔料100重量部に対して、1〜400重量部、好ましくは1〜250重量部の量で用いることができる。
【0247】
<カルボキシル基を含有しないポリマー>
また、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のポリマーであれば、必要に応じてカルボキシル基を含有しない熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を併用してもよい。微細パターンの現像時のハガレやカケを改善するため、好ましくは熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が併用して用いられる。
【0248】
エポキシ樹脂としては、公知のものを用いることができ、上記光重合性単量体(D)のうちカチオン重合するものとして記載したエポキシ基を有する化合物、脂環式エポキシ基を有する化合物、脂肪族エポキシ樹脂、オキセタニル基を有する化合物、上記(a−4)ヒドロキシル基と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物の中でエポキシ基を有する化合物として記載した化合物などを用いることができる。カラーフィルタ用感光性組成物として用いられる際に、好ましく用いられる製品には、つぎのようものが挙げられる。
【0249】
エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256、JER 1032H60、JER 157S65、JER 157S70、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H、EPPN−501H、EPPN−201、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、XD−1000、NC−3000、(商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021、EHPE−3150、EHPE−3150CE(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX−901、EX−810、EX−830、EX−851、EX−611、EX−512、EX−421、EX−411、EX−313、EX−201、EX−111(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
【0250】
その含有量は、本発明の効果を損なわない範囲とすることができる。β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボキシル基を含有するポリマー(B)とカルボキシル基を含有しないポリマーの総量は、カラーフィルタ用感光性組成物中の顔料100重量部に対して、1〜400重量部、好ましくは1〜250重量部の量で用いることができる。
【0251】
<光重合開始剤(C)と光重合性単量体(D)>
本発明の光重合開始剤(C)は、上記で説明したとおりであるが、カラーフィルタ用感光性組成物として用いられる際には、反応性の点からラジカル重合性の光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤(C)は、カラーフィルタ用感光性組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは1〜150重量部の量で用いる。
【0252】
本発明の光重合性単量体(D)は、上記で説明したとおりであるが、カラーフィルタ用感光性組成物として用いられる際には、反応性の点からラジカル重合性の光重合性単量体を用いることが好ましい。光重合性単量体(D)は、カラーフィルタ用感光性成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは10〜200重量部の量で用いる。
【0253】
カラーフィルタ用感光性組成物において、光重合開始剤(C)の重量〔Ia〕と光重合性単量体(D)の重量〔M〕との比率〔Ia/M〕は、0.03〜1.00であることが好ましく、0.04〜0.95であることがより好ましい。
さらに、カラーフィルタ用感光性組成物が増感剤を含有する場合には、光重合開始剤(C)および増感剤の合計重量〔Ib〕と光重合性単量体(D)の重量〔M〕との比率〔Ib/M〕は、0.04〜1.50であることが好ましく、0.05〜1.45であることがより好ましい。
〔Ia/M〕が0.03以上、〔Ib/M〕が0.04以上であると感度が高く良好である。また、〔Ia/M〕が1.00以下、〔Ib/M〕が1.50以下のとき、パタ−ン形状の直線性や解像性がより優れている。
【0254】
<添加剤>
カラーフィルタ用感光性組成物には、多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。
多官能チオールは上述の光重合開始剤(C)のうちラジカル重合性のものとともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られるカラーフィルタ用感光性組成物は高感度となる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0255】
多官能チオールの含有量は、顔料100重量部に対して0.05〜100重量部が好ましく、より好ましくは1.0〜50.0重量部である。多官能チオールを0.05重量部以上用いることで、より良い現像耐性を得ることができる。チオール(SH)基を複数有するチオールを用いることにより、現像耐性の向上が得られる。
【0256】
カラーフィルタ用感光性組成物には、紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することができる。紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することで、パターンの形状と解像性を制御することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(トリアセトン−アミン−N−オキシル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]等のヒンダードアミン系等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。また、重合禁止剤としては、例えばメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4−ベンゾキノン、4−メトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、t−ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体およびフェノール化合物、フェノチアジン、ビス−(1−ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅およびマンガン塩化合物、4−ニトロソフェノール、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物およびそのアンモニウム塩またはアルミニウム塩等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0257】
紫外線吸収剤および重合禁止剤は、カラーフィルタ用感光性組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜10重量部である。
紫外線吸収剤または重合禁止剤を0.01重量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
【0258】
カラーフィルタ用感光性組成物には、貯蔵安定剤を含有することができる。貯蔵安定剤としては、上記タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の項で挙げたものなどを用いることができる。
【0259】
貯蔵安定剤は、カラーフィルタ用感光性組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜10重量部の量で用いる。
貯蔵安定剤を0.01重量部以上用いることで、カラーフィルタ用感光性組成物の経時安定性が向上する。
【0260】
カラーフィルタ用感光性組成物には、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることが好ましい。 シランカップリング剤としては、上記タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の項で記載したものを好ましく用いることができる。
シランカップリング剤は、カラーフィルタ用感光性組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部の量で用いる。
【0261】
カラーフィルタ用感光性組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることが好ましい。
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0262】
<カラーフィルタ用感光性組成物の製造方法>
カラーフィルタ用感光性組成物は、顔料、染料を樹脂などの色素担体および/または溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して顔料分散体を製造し、該顔料分散体にβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)、カルボキシル基を含有するポリマー(B)、光重合開始剤(C)、必要に応じて光重合性単量体(D)、有機溶剤、場合によっては増感剤、多官能チオール、紫外線吸収剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、その他成分を混合攪拌して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む感光性着色組成物は、各顔料分散体を別々に色素担体および/または溶剤中に微細に分散したものを混合し、さらにβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)、カルボキシル基を含有するポリマー(B)、光重合開始剤(C)、必要に応じて光重合性単量体(D)、有機溶剤等を混合攪拌して製造することができる。
β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボキシル基を含有するポリマー(B)は、顔料分散体を製造する際の色素担体として使用してもよい。
【0263】
顔料を樹脂などの色素担体および/または溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を樹脂および/または溶剤中に分散してなるカラーフィルタ用感光性組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、顔料100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部の量で用いる。
【0264】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、色素担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の色素担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0265】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0266】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0267】
顔料誘導体とは、有機顔料に置換基を導入した化合物であり、有機顔料には、一般に顔料とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。顔料誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0268】
カラーフィルタ用感光性組成物は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。着色レジスト材は、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)と、カルボキシル基を含有するポリマー(B)と、光重合開始剤(C)と、必要に応じて光重合性単量体(D)と、有機溶剤とを含有する組成物中に顔料を分散させたものである。
【0269】
感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0270】
<カラーフィルタの製造方法>
次に、カラーフィルタ用感光性組成物を用いてカラーフィルタを製造する方法について説明する。
カラーフィルタは、透明基板上に、カラーフィルタ用感光性組成物から形成されるフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えるものであり、一般的なカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備、または少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、および少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを具備する。
【0271】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5μmである。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。加熱条件も、カラーフィルタ用感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、通常、温度が50〜300℃の範囲で、0.1〜10時間の条件で加熱硬化するのが好ましく、より好ましくは、温度が100〜250℃の範囲で、0.5〜5.0時間の加熱硬化条件である。
【0272】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製したカラーフィルタ用感光性組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
【0273】
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメントおよびブラックマトリックスを形成することができる。さらに、現像により形成されたフィルタセグメントおよびブラックマトリックスの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法より精度の高いフィルタセグメントおよびブラックマトリックスが形成できる。
【0274】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、カラーフィルタ用感光性組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0275】
<<感光性ソルダーレジストインキ>>
本発明の感光性組成物は、上記の通り耐熱性・耐薬品性に優れた膜およびパターンが形成できることから、感光性ソルダーレジストインキとして用いることもできる。以下で、感光性ソルダーレジストインキについて説明する。
【0276】
感光性ソルダーレジストインキは、基板上に形成された配線(回路)パターンを外部環境から保護したり、電子部品をプリント配線板に表面実装したりする際に行われる半田付け工程において、不必要な部分に半田が付着しないように保護するために設けられる。感光性ソルダーレジストインキは、本発明の感光性組成物を必須成分として含むことで、活性エネルギー線に対する感光性や、希アルカリ水溶液に対する現像性、後硬化(ポストキュア)工程を経て得られる硬化塗膜のフレキシブル性、絶縁性、密着性、半田耐熱性、塗膜耐性、難燃性などの要求特性を満たすことができる。
【0277】
<難燃剤>
感光性ソルダーレジストインキは、難燃性が求められるため、本発明の感光性組成物と難燃剤とを含む。以下に、感光性ソルダーレジストインキに好ましく用いられる難燃剤について説明する。
【0278】
難燃剤としては、例えば、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸アミドアンモニウム、リン酸カルバメート、ポリリン酸カルバメートなどのリン酸塩系化合物やポリリン酸塩系化合物、赤リン、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホン酸化合物、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、メチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、エチルブチルホスフィン酸アルミニウム、メチルブチルホスフィン酸アルミニウム、ポリエチレンホスフィン酸アルミニウムなどのホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、ホスホルアミド化合物などのリン系難燃剤;
メラミン、メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレートなどのトリアジン系化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール化合物、ジアゾ化合物、尿素などの窒素系難燃剤;
シリコーン化合物やシラン化合物などのケイ素系難燃剤;
ハロゲン化ビスフェノールA、ハロゲン化エポキシ化合物、ハロゲン化フェノキシ化合物などの低分子ハロゲン含有化合物、ハロゲン化されたオリゴマーやポリマーなどのハロゲン系難燃剤;
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;
酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化アンチモン、酸化ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、水和ガラスなどの無機系難燃剤などが挙げられる。
【0279】
近年取り沙汰されている、環境への影響を配慮すると、リン系難燃剤や窒素系難燃剤等のノンハロゲン系難燃剤を使用することが望ましく、中でも本発明の感光性組成物との併用によって、難燃性により効果のあるホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等を用いることが好ましい。これら難燃剤は、単独又は複数を併用して用いることができる。
難燃剤は、感光性ソルダーレジストインキ中のカルボキシル基を含有するポリマー(B)100重量部に対して、5〜200重量部であることが好ましく、20〜150重量部であることがより好ましい。
【0280】
<有機溶剤>
感光性ソルダーレジストインキとする場合、有機溶剤としては、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の項で挙げたものを用いることができるが、保存工程、塗工工程など、基材への塗工が完了するまでの間は、取扱い上、溶剤の揮発が起こらないことが好ましいため、樹脂合成時に用いる溶剤や、インキ作製時の希釈溶剤としては、上記の高沸点のものが好ましい。中でも、カルビトールアセテート、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等を用いることが特に好ましい。又、液状レジストインキの場合、保存安定性やハンドリングを考慮して、予め硬化剤を別にして保存しておき、塗工前に必要に応じて硬化剤を混合して使用する2液型もある。本発明の場合も、必要に応じて、それ以外のものと分けて保存するなど、2液型として使用することもできる。
一方、ドライフィルム型感光性ソルダーレジストとして使用する場合、まずセパレートフィルム等の離形性の良いフィルム基材に、溶剤に溶解させた感光性組成物を塗工後、溶剤を乾燥させることにより、ドライフィルム型レジストを作成する。この場合、使用する溶剤としては、前述の感光性ソルダーレジストインキとは異なり、短時間で完全に溶剤を乾燥させる必要があるため、低沸点の溶剤が好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、トルエン、イソプロピルアルコール等を用いることが特に好ましい。
有機溶剤は、感光性ソルダーレジストインキ中の固形分合計100重量部に対して、100〜1000の重量部の量で用いることができる。
【0281】
<β−ヒドロキシアルキルアミド(A)>
本発明のβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)は、上記で説明したとおりであり、感光性ソルダーレジストインキとして用いる場合は、硬化塗膜のフレキシブル性、密着性と半田耐熱性、塗膜耐性、難燃性とを両立するために、上記一般式(1)中のXが炭素数6以上の炭化水素基であることが好ましい。
【0282】
<カルボキシル基を含有するポリマー(B)>
本発明のカルボキシル基を含有するポリマー(B)は、上記で説明したとおりであるが、感光性ソルダーレジストインキとして使用する場合、活性エネルギー線に対する感光性や、希アルカリ水溶液に対する現像性を満足させるために、光重合性官能基を含有するカルボキシル基を含有するポリマーを使うことが好ましい。より好ましくは、二重結合当量200〜5000g/eq、酸価10〜200mgKOH/gのポリマーを使うことが好ましい。具体的には、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の項で記載したような、(メタ)アクリル系共重合体を使用することもできるが、ウレタン樹脂や、付加型エステル樹脂、フェノキシ樹脂等を使用することもできる。
【0283】
(カルボキシル基を含有するウレタン樹脂)カルボキシル基を含有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、分子中に2個の水酸基を有する化合物と、分子中に2個の水酸基を有するカルボン酸化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法などがある。
また、光重合性官能基とカルボキシル基とを含有するウレタン樹脂を得る方法として、上記(B−1)および(B−2)の方法があり、詳しくは:
(B−19)カルボキシル基含有ウレタン樹脂中のカルボキシル基の一部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させる方法;
(B−20)カルボキシル基含有ウレタン樹脂中のカルボキシル基の一部または全部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させた後、生成する水酸基含有ウレタン樹脂中の水酸基と、多塩基酸無水物とを反応させる方法などが挙げられる。
【0284】
分子中に2個の水酸基を有する化合物としては、分子中に2個の水酸基を有する化合物であれば特に制限はないが、その構造中に重合度2以上の繰り返し単位を有するもの(ポリオール化合物)と有さないもの(ジオール化合物)とに分けることができる。
【0285】
ポリオール化合物としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック共重合体又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのブロック共重合体又はランダム共重合体等のポリエーテルポリオール;
多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;
グリコールまたはビスフェノールと炭酸エステルとの反応、あるいは、グリコールまたはビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを作用させる反応などで得られるポリカーボネートポリオール;
カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール、シリコーン系ポリオール等を挙げることができる。
なかでも、希アルカリ水溶液に対する現像性、硬化塗膜のフレキシブル性の観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0286】
ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、3−ブチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール、水素添加ビスフェノールA、スピログリコール等の脂肪族あるいは脂環族ジオール類;
1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、1,2−インダンジオール、1,3−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。
その他、リン原子含有ジオール、硫黄原子含有ジオール、臭素原子含有ジオール、フッ素原子含有ジオールなども挙げられる。
【0287】
分子中に2個の水酸基を有するカルボン酸化合物としては、分子中に2個の水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物であれば特に制限はないが、例えば、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、およびこれらの誘導体(カプロラクトン付加物、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物など)、3−ヒドロキシサリチル酸、4−ヒドロキシサリチル酸、5−ヒドロキシサリチル酸、2−カルボキシ−1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
中でも、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸は、樹脂中のカルボキシル基濃度を上げることができるという点において、本発明では好ましい。
【0288】
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネ−ト、脂肪族ジイソシアネ−ト、芳香脂肪族ジイソシアネ−ト、脂環族ジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
【0289】
(カルボキシル基を含有する付加型エステル樹脂)
カルボキシル基を含有する付加型エステル樹脂を得る方法としては、例えば、分子中に2個のカルボキシル基を有する化合物と、分子中に2個のエポキシ基を有する化合物とを反応させて側鎖水酸基含有付加型エステル樹脂を合成した後、水酸基を多塩基酸無水物によりカルボキシル基に変性する方法などがある。また、光重合性官能基とカルボキシル基とを含有する付加型エステル樹脂を得る方法として、上記(B−1)および(B−2)の方法があり、詳しくは:
(B−21)カルボキシル基含有付加型エステル樹脂中のカルボキシル基の一部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させる方法;
(B−22)カルボキシル基含有付加型エステル樹脂中のカルボキシル基の一部または全部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させた後、生成する水酸基含有付加型エステル樹脂中の水酸基と、多塩基酸無水物とを反応させる方法
などが挙げられる。
【0290】
分子中に2個のカルボキシル基を有する化合物としては、分子中に2個のカルボキシル基を有する化合物であれば特に制限はなく、上記(a−1)2価以上のカルボン酸で列挙した化合物などが挙げられる。
【0291】
分子中に2個のエポキシ基を有する化合物としては、分子内に2個のエポキシ基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、グリセリン・エピクロロヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジフェニルスルホンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報に開示されている柔軟性に優れたエポキシ化合物や、下記式(12)−(14)で表される構造のエポキシ化合物などが挙げられる。
【0292】
式(12)
【化22】
【0293】
式(13)
【化23】
【0294】
式(14)
【化24】
【0295】
なかでも、硬化塗膜のフレキシブル性の観点では、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましく、硬化塗膜の耐熱性の観点では、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂が好ましい。これらは目的に応じて選択することが可能であり、単独で使用しても良いし、複数を併用することも好ましい。
【0296】
(カルボキシル基を含有するフェノキシ樹脂)
カルボキシル基を含有するフェノキシ樹脂を得る方法としては、例えば、分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物と、分子中に2個のエポキシ基を有する化合物とを反応させて側鎖水酸基含有フェノキシ樹脂を合成した後、水酸基を多塩基酸無水物によりカルボキシル基に変性する方法などがある。
また、光重合性官能基とカルボキシル基とを含有する付加型エステル樹脂を得る方法として、上記(B−1)または(B−2)の方法があり、詳しくは:
(B−23)カルボキシル基含有フェノキシ樹脂中のカルボキシル基の一部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させる方法;
(B−24)カルボキシル基含有フェノキシ樹脂中のカルボキシル基の一部または全部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させた後、生成する水酸基含有フェノキシ樹脂中の水酸基と、多塩基酸無水物とを反応させる方法などが挙げられる。
【0297】
分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物としては、分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン (別名:ビスフェノールA)が代表例であり、その他にも、
ビス(4−ヒドロキシフェノル)メタン(別名:ビスフェノールF)等の中心炭素に水素原子が結合しているビスフェノール類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、等の中心炭素に1つのメチル基が結合しているビスフェノール類;
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールC)等の中心炭素に2つのメチル基が結合しているビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン等のジフェニルメタン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(通称ビスフェノールZ)等のシクロヘキサン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン誘導体であるビスフェノール類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のフルオレン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロペンタン等のシクロアルカン誘導体であるビスフェノール類;
4,4’−ビフェノール等の芳香族環が直接結合したビフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のスルホン誘導体であるビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のエーテル結合を有するビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のスルフィド結合を有するビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のスルホキシド誘導体であるビスフェノール類;
フェノールフタレイン等のヘテロ原子含有脂肪族環を有するビスフェノール類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の炭素−フッ素結合を有するビスフェノール類等を挙げることができる。
さらに、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、メチルヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類;
1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類等を挙げることができる。
【0298】
なかでも、製造にかかるコスト、反応の容易さ、硬化塗膜の耐熱性の観点で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0299】
上記に示した、カルボキシル基を含有するウレタン樹脂、付加型エステル樹脂、フェノキシ樹脂は、感光性ソルダーレジストインキ中、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)100重量部に対して、100重量部〜1000重量部の割合で加えることが好ましく、100重量部〜500重量部の割合で加えることがより好ましい。
【0300】
<カルボキシル基を含有しないポリマー>
また、感光性ソルダーレジストインキの物性を損なわない範囲で、必要に応じてカルボキシル基を含有しない熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を併用してもよい。具体的には、硬化塗膜のフレキシブル性、絶縁性、密着性、半田耐熱性、塗膜耐性、難燃性などの要求特性を満たすため、好ましくは熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂やブロック化イソシアネート基含有化合物が併用して用いられる。
【0301】
エポキシ樹脂としては、上記のエポキシ樹脂を適宜使用することが出来る。たとえば、ポリイミドや銅に対する接着強度を向上させる場合には、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌレート環含有エポキシ化合物を使用するのが好ましい。また、硬化塗膜の耐熱性を向上させる場合には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ化合物を使用するのが好ましい。
【0302】
ブロック化イソシアネート基含有化合物としては、上記イソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基がε−カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等で保護されたブロック化イソシアネート基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。たとえば、保存安定性や、ポリイミドや銅に対する接着強度や半田耐熱性を向上させる場合には、イソシアヌレート環を有し、MEKオキシムやピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体を使用するのが好ましい。
【0303】
この場合、カルボキシル基を含有しない熱硬化性樹脂は、感光性ソルダーレジストインキ中、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボキシル基を含有するポリマー(B)100重量部に対して、1重量部〜50重量部の割合で加えることが好ましく、5重量部〜30重量部の割合で加えることがより好ましい。
【0304】
<光重合開始剤(C)と光重合性単量体(D)>
光重合開始剤(C)は、上記で説明したとおりであるが、感光性ソルダーレジストインキとして用いられる際には、反応性の点からラジカル重合性の光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤(C)は、感光性ソルダーレジストインキ中の固形分100重量部に対して1〜20重量部の範囲で添加されるのが好ましい。
又、増感剤として公知の有機アミンを加えることもできる。光重合性開始剤(C)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量で用いることが好ましい。
【0305】
光重合性単量体(D)は、上記で説明したとおりであるが、感光性ソルダーレジストインキとして用いられる際には、反応性の点からラジカル重合性の光重合性単量体を用いることが好ましい。β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボキシル基を含有するポリマー(B)の合計100重量部に対して、10〜1000重量部が好ましく、より好ましくは50〜800重量部である。
【0306】
<添加剤>
感光性樹脂組成物には目的を損なわない範囲で任意成分として、更に染料、顔料、貯蔵安定剤、シランカップリング剤等の密着向上剤等を添加することができる。これらは、上記カラーフィルタ用感光性組成物およびタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤の項で記載したものを好ましく用いることができる。
貯蔵安定剤は、感光性ソルダーレジストインキの合計100重量部中、0.1〜5重量部の量で用いることが好ましい。
【0307】
<感光性ソルダーレジストインキの製造方法>
次に、本発明の感光性ソルダーレジストインキの製造方法について説明する。
感光性ソルダーレジストインキは、顔料と難燃剤などを、カルボキシル基を含有するポリマー(B)溶液中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して分散体を製造し、該分散体にβ−ヒドロキシアルキルアミド(A)、光重合開始剤(C)、必要に応じてカルボキシル基を含有しないポリマー、光重合性単量体(D)、有機溶剤、場合によっては増感剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、その他成分を混合攪拌して製造することができる。
【0308】
感光性ソルダーレジストインキは、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μ以上の粗大粒子、好ましくは1μ以上の粗大粒子および混入した塵、異物の除去を行うことが好ましい。これにより、感光性ソルダーレジストに求められる、高度な感光性や、硬化塗膜のフレキシブル性、折り曲げ性、絶縁性、難燃性などの要求特性を満たすことができる。
以上のような組成を有する感光性ソルダーレジストインキは、必要に応じて各塗工方法に適した粘度に溶液を調節し、回路形成されたプリント配線板に塗布して用いられる。
塗工方法としては、浸漬法、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター又はスクリーン印刷等が挙げられる。
【0309】
<ドライフィルム型感光性ソルダーレジスト>
次に、ドライフィルム型感光性ソルダーレジストについて説明する。
ドライフィルム型感光性ソルダーレジストは、上記感光性ソルダーレジストインキをセパレートフィルム上に塗工後、溶剤を乾燥させることにより作製することができる。
【0310】
セパレートフィルム上への塗工方法は特に限定されるものではなく、浸漬法、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター又はスクリーン印刷等が挙げられ、塗工方法に適した粘度に溶液を調節し、回路形成されたプリント配線板に塗布して用いられる。
【0311】
セパレートフィルム上に作製したドライフィルムは、ポリイミド上に形成された銅回路等に張り合わせたのち、ラミネートや真空ラミネートによって、気泡等の除去および回路への密着が行われる。この張り合わせ工程の後、セパレートフィルムを介してラジエーション硬化が行われる場合や、セパレートフィルムを剥がしてから現像パターンを接触させてラジエーション硬化を行う場合がある。現像パターンを接触させてラジエーション硬化を行う場合、ドライフィルムにタックがあると、現像パターンを汚染する場合があるため、ドライフィルム型感光性ソルダーレジストとしては、乾燥塗膜のタックが少ないものが要求される。
【0312】
ラジエーション硬化は、公知のラジエーション硬化方法を用いることができ、たとえば、電子線、紫外線、400〜500nmの可視光を使用することができる。照射する電子線の線源には熱電子放射銃、電界放射銃等が使用できる。又、紫外線および400〜500nmの可視光の線源(光源)には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ等を使用することができる。具体的には、点光源であること、輝度の安定性から、超高圧水銀ランプ、キセノン水銀ランプ、メタルハライドランプ、が用いられることが多い。照射する活性エネルギー線量は、5〜2000mJ/cm2の範囲で適時設定できるが、工程上管理しやすい50〜1000mJ/cm2の範囲であることが好ましい。又、これら活性エネルギー線と、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
【0313】
さらに、ドライフィルム型感光性ソルダーレジストは、ラジエーション硬化後、現像することでパターンを形成し、ポストキュアとして熱硬化させることで耐性に優れる皮膜を形成する。ポストキュアは、100℃〜200℃で30分〜2時間が好ましい。また、さらに塗膜の耐性を向上するために、ポストキュアの後にも必要に応じてラジエーション照射することができる。ポストキュアの後にラジエーション照射することで、半田耐熱性などをさらに向上することができる。
【0314】
<<その他の用途>>
本発明の感光性組成物の用途はとくに限定されるものではなく、上記で説明したタッチパネル層間絶縁膜、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、感光性ソルダーレジストのほかに、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、マイクロレンズ、光学ハードコート、UVインキ、感光性平版印刷版、各種コーティング等などを製造するのに用いることができる。
また、フレキシブルプリント配線板に使用される、補強板用接着剤や層間接着剤、コーティング剤、電磁波シールド用接着剤、感光性光導波路、光熱デュアル硬化型ポッティング剤等にも用いることができる。
【実施例】
【0315】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。 また、以下の実施例において、樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0316】
実施例中のNMR測定はすべて、JEOL社製のJNM−ECX400Pを用いて1H−NMR測定をDMSO−d6中で行った。数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)は東ソー社製のGPC−8020によって測定したポリスチレン換算の値である。
【0317】
実施例中のIR測定はすべて、PerkinElmer社製のSpectrum Oneを用いて行った。
【0318】
<<β−ヒドロキシアルキルアミド(A)の合成>>
(ただし、本明細書において、合成例1〜8、13〜37(A2、A3、A6、A7、A23〜A25、A29、A38〜A62)は参考例である。)
合成例1
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド(エムスケミー社製Primid XL−552)320部を入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。この中に2−エチルヘキサン酸144部を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、トルエンをすべて留去した。1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A2を取り出した。
【0319】
合成例2
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ジエタノールアミン210部、水酸化カリウム10部、を入れ、窒素を吹き込みながら100℃に加熱した。この中にジメチルアジペート174部を滴下装置から4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器内を205mmHgに減圧しながら加熱し、生成するメタノールを取り除いた。容器中に生成したスラリー状の生成物を取り出して真空乾燥した。この生成物320部を再度反応容器に入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。この中に2−エチルヘキサン酸216部を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、トルエンをすべて留去した。1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A3を取り出した。
【0320】
合成例3
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ジエタノールアミン210部、水酸化カリウム10部、を入れ、窒素を吹き込みながら100℃に加熱した。この中にジメチルアジペート174部を滴下装置から4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器内を205mmHgに減圧しながら加熱し、生成するメタノールを取り除いた。容器中に生成したスラリー状の生成物を取り出して真空乾燥した。この生成物320部とイソフタル酸83部との混合物を再度反応容器に入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、トルエンをすべて留去した。1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A6を取り出した。
【0321】
合成例4
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ジイソプロパノールアミン266部、水酸化カリウム10部、セバシン酸202部を入れて120℃で4時間加熱した。トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、容器中に生成したスラリー状の生成物を取り出して真空乾燥した。この生成物433部を再度反応容器に入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。この中に2−エチルヘキサン酸72部を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、トルエンをすべて留去した。1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A7を取り出した。
【0322】
合成例5
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド(エムスケミー社製Primid XL−552)320部を入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。乾燥空気を吹き込みながら、この中に2−エチルヘキサン酸144部、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート(共栄社化学社製ライトアクリレートHOA−HH)270部、メトキノン0.4部の混合物を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、トルエンをすべて留去した。1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A23を取り出した。
【0323】
合成例6
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ジエタノールアミン210部、水酸化カリウム10部、を入れ、窒素を吹き込みながら100℃に加熱した。この中にジメチルアジペート174部を滴下装置から4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器内を205mmHgに減圧しながら加熱し、生成するメタノールを取り除いた。容器中に生成したスラリー状の生成物を取り出して真空乾燥した。この生成物320部を再度反応容器に入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。乾燥空気を吹き込みながら、この中に3,5,5−メチルヘキサン酸(協和発酵ケミカル社製キョーワノイック−N)119部、2−アクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学社製HO−MS)173部、メトキノン0.3部の混合物を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、トルエンをすべて留去した。1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A24を取り出した。
【0324】
合成例7
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ジエタノールアミン210部、水酸化カリウム10部、を入れ、窒素を吹き込みながら100℃に加熱した。この中にジメチルアジペート174部を滴下装置から4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器内を205mmHgに減圧しながら加熱し、生成するメタノールを取り除いた。容器中に生成したスラリー状の生成物を取り出して真空乾燥した。この生成物320部を再度反応容器に入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。乾燥空気を吹き込みながら、この中にリカシッドDDSA(新日本理化社製)133部を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後、2−メタクリルロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)78部、メトキノン0.3部の混合物を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌した。1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A25を取り出した。
【0325】
合成例8
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ジイソプロパノールアミン266部、水酸化カリウム10部を入れ、60℃に加熱したのち、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物152部を少しずつ1時間かけて加えた。120℃に昇温し4時間加熱した後、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、容器中に生成したスラリー状の生成物を取り出して真空乾燥した。この生成物401部を再度反応容器に入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。この中にオレイン酸282部を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、1H−NMR測定を行い、目的物が生成していることを確認した。更にIRによっても構造を確認した。60℃に温度を下げ、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A29を取り出した。
【0326】
合成例9
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、スベリン酸ジメチル225部、ジエタノールアミン234部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A34を取り出した。
【0327】
合成例10
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、セバシン酸ジメチル256部、ジエタノールアミン234部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A35を取り出した。
【0328】
合成例11
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ドデカン二酸ジメチル287部、ジエタノールアミン234部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A36を取り出した。
【0329】
合成例12
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、テトラデカン二酸ジメチル319部、ジエタノールアミン234部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A37を取り出した。
【0330】
合成例13
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ヘキサデカンニ酸572部、ジイソプロパノールアミン532部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A38を取り出した。
【0331】
合成例14
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル100部、2−(ブチルアミノ)エタノール117部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A39を取り出した。
【0332】
合成例15
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ドデカン二酸ジメチル319部、2−アミノエタノール151部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A40を取り出した。
【0333】
合成例16
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、セバシン酸ジメチル319部、N−シクロヘキシルエタノールアミン397部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A41を取り出した。
【0334】
合成例17
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ヘキサデカンニ酸ジメチル319部、N−フェニルエタノールアミン278部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成するメタノールを除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A42を取り出した。

【0335】
合成例18
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸319部、N−フェニルエタノールアミン607部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A43を取り出した。
【0336】
合成例19
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸一水和物319部、イソプロパノールアミン412部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A44を取り出した。
【0337】
合成例20
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、2,4−ジエチルグルタル酸188部、N−ブチルエタノールアミン234部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A45を取り出した。
【0338】
合成例21
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ドデシルコハク酸無水物268部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、40℃に保ちながら、2―アミノ−4−メチル−1−ペンタノール234部を滴下装置から2時間かけて滴下した。滴下終了後、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A46を取り出した。
【0339】
合成例22
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、2−ブチルオクタン二酸230.3部、ジイソプロパノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A47を取り出した。
【0340】
合成例23
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、3−メチルアジピン酸160部、N−ベンジルエタノールアミン302部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A48を取り出した。
【0341】
合成例24
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、4−tert−ブチル無水フタル酸204部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、40℃に保ちながら、2―アミノ−3−メチル−1−ペンタノール234部を滴下装置から2時間かけて滴下した。滴下終了後、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A49を取り出した。
【0342】
合成例25
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、無水トリメリット酸クロリド204部、ピリジン79部、トルエン300部を入れ、40℃に保ちながら、N−エチルエタノールアミン267部を滴下装置から2時間かけて滴下した。滴下終了後、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエン溶液を10%塩酸500部、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500部、飽和食塩水500部で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これをロータリーエバポレーターで溶媒のジクロロメタンを除去したのち、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A50を取り出した。
【0343】
合成例26
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸246部、N−メチルアミノエタノール300部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A51を取り出した。
【0344】
合成例27
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)345部、2−ブチルアミノエタノール352部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A52を取り出した。
【0345】
合成例28
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ダイマー酸561部、ジイソプロパノールアミン266部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A53を取り出した。
【0346】
合成例29
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、2−ドデセニルコハク酸無水物226部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A54を取り出した。
【0347】
合成例30
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、テトラプロペニル無水コハク酸226部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A55を取り出した。
【0348】
合成例31
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、2−オクテニル無水コハク酸210部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有するβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A56を取り出した。
【0349】
合成例32
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、クエン酸192部、2−ブチルアミノエタノール352部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A57を取り出した。
【0350】
合成例33
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物166部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A58を取り出した。
【0351】
合成例34
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、オクタフルオロアジピン酸290部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A59を取り出した。
【0352】
合成例35
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ヘット酸無水物370部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A60を取り出した。
【0353】
合成例36
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、テトラブロモフタル酸無水物464部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A61を取り出した。
【0354】
合成例37
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、2,5−チオフェンジカルボン酸172部、ジエタノールアミン210部、硫酸5部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃に冷却したのち、シクロヘキサノンを加え、固形分20%になるよう調整した。得られた均一な黄褐色透明の光重合性官能基を含有しないβ−ヒドロキシアルキルアミド溶液A62を取り出した。
【0355】
<<カルボキシル基を含有するポリマー(B)の合成>>
合成例38
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にシクロヘキサノン100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸20部、メチルメタクリレート10部、n−ブチルメタクリレート55部、ベンジルメタクリレート15部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂溶液を得た。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の光重合性官能基を含有しないカルボキシル基を含有するポリマー溶液P−1を得た。重量平均分子量は40000であった。
【0356】
合成例39
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にシクロヘキサノン100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸25部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、メチルメタクリレート30部、スチレン25部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け共重合体を得た。続いて、反応容器の温度を70℃に冷却し、さらに反応容器内に乾燥空気を導入し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート24部、シクロヘキサノン36部、ジブチル錫ジラウレート0.1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の光重合性官能基とカルボキシル基を含有するポリマー溶液P−2を得た。重量平均分子量は42000であった。
【0357】
合成例40
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にシクロヘキサノン100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸40部、メチルメタクリレート25部、スチレン12.5部、n−ブチルメタクリレート17.5部、2−メトキシエチルアクリレート5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け共重合体を得た。続いて、反応容器内に乾燥空気を導入し、グリシジルメタクリレート25部、シクロヘキサノン37部、ジメチルベンジルアミン1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の光重合性官能基とカルボキシル基を含有するポリマー溶液P−3を得た。重量平均分子量は41000であった。
【0358】
合成例41
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にシクロヘキサノン100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でグリシジルメタクリレート74部、メチルメタクリレート11部、n−ブチルメタクリレート7.5部、ベンジルメタクリレート7.5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け共重合体を得た。続いて、反応容器内に乾燥空気を導入し、アクリル酸37.5部、シクロヘキサノン56部、ジメチルベンジルアミン1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。さらに、無水コハク酸52部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の光重合性官能基とカルボキシル基を含有するポリマー溶液P−4を得た。重量平均分子量は44000であった。
【0359】
合成例42
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(PTG1000sn:保土ヶ谷化学株式会社製:水酸基価=110mgKOH/g、Mw=1020)156部、ジメチロールブタン酸(日本化成株式会社製)129部、溶剤としてシクロヘキサノン375部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコに、イソホロンジイソシアネート215部を投入し、90℃で8時間攪拌し、ウレタン化の反応を行った。反応終了後、少量サンプリングを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が13000、実測による樹脂固形分の酸価98mgKOH/gのカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た。
【0360】
次に、このフラスコに窒素導入管からの窒素を停止し、乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらグリシジルメタクリレート111部、ジメチルベンジルアミン6部、更に重合禁止剤としてヒドロキノン0.3部を投入し、90℃のまま8時間反応させた。反応終了後、少量サンプリングを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が14800、実測による樹脂固形分の酸価8mgKOH/gの水酸基含有ウレタンプレポリマーを得た。次に、このフラスコに無水コハク酸63部を投入し、乾燥空気雰囲気下、90℃のまま更に6時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の光重合性官能基とカルボキシル基を含有するウレタン樹脂を含有するポリマー溶液P−5を得た。重量平均分子量は15400であった。
【0361】
合成例43
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、PEG#250(日油株式会社製、エチレングリコール)40.08部、リカシッドTH(新日本理化株式会社製、テトラヒドロ無水フタル酸)60.84部、触媒としてトリフェニルホスフィン1.66部、N,N−ジメチルベンジルアミン1.66部、溶剤としてシクロヘキサノン100部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃に昇温し4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。次に、このフラスコに、YD8125(新日鐵化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物)65.14部、シクロヘキサノン65部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃に昇温し8時間反応させた。次に、酸無水物としてリカシッドTH(新日本理化株式会社製、テトラヒドロ無水フタル酸)57.94部を投入し、110℃のまま4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。次に、このフラスコに、窒素導入管からの窒素を停止し乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらブレンマーG(日油株式会社製、グリシジルメタクリレート)27.05部、重合禁止剤としてヒドロキノン0.13部を投入し、80℃で8時間反応させた。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の光重合性官能基とカルボキシル基を含有する付加型エステル樹脂を含有するポリマー溶液P−6を得た。重量平均分子量は14500であった。
【0362】
合成例44
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ビスフェノールA64.8部、YD8125(新日鐵化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物)57.1部、EX861(ナガセケムテックス株式会社製:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)128.1部、触媒としてトリフェニルホスフィン1.25部、N,N−ジメチルベンジルアミン1.25部、溶剤としてシクロヘキサノン250部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃に昇温し8時間反応させ、ヒドロキシル基含有樹脂を得た。次に、酸無水物としてリカシッドSA(新日本理化株式会社製:無水コハク酸)54.6部を投入し、110℃のまま4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。次に、このフラスコに、窒素導入管からの窒素を停止し乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらブレンマーG(日油株式会社製:グリシジルメタクリレート)55.2部、重合禁止剤としてヒドロキノン0.18部を投入し、80℃で8時間反応させた。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の光重合性官能基とカルボキシル基を含有するフェノキシ樹脂を含有するポリマー溶液P−7を得た。重量平均分子量は25100であった。
【0363】
比較合成例1
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にシクロヘキサノン100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で2−ヒドロキシエチルメタクリレート55.5部、メチルメタクリレート10部、n−ブチルメタクリレート19.5部、ベンジルメタクリレート15部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂溶液を得た。室温に冷却後、シクロヘキサノンで希釈することにより、固形分20%の水酸基を含有するポリマー溶液P−8を得た。重量平均分子量は38000であった。
【0364】
<タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤>
[実施例1〜4、比較例1〜7]
(ただし、本明細書において、実施例2〜4は参考例である。)
表1、2に示した組成、および配合量の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、実施例1〜4、比較例1〜7にそれぞれ相当する感光性組成物を得た。
表1および表2中、A6〜A44およびP−1〜P−8の配合量は、溶液としての値である。
【0365】
【表1】
【0366】
【表2】
【0367】
表1〜2中の略語について以下に示す。
光重合性単量体(D):
M402:アロニックス M−402(東亜合成社製) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物
光重合開始剤(C):イルガキュアOXE−01(チバ・ジャパン社製) 1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]
PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
XL−552:PRIMID XL−552(エムスケミー社製) N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド
その他の樹脂
XD−1000:日本化薬社製 ジシクロペンタニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂
BL3175:スミジュールBL3175(住化バイエルウレタン社製) イソシアヌレート型MEKオキシムブロックのブロックイソシアネート
DBU:1.8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
【0368】
得られた感光性組成物をタッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤として、透明性、耐薬品性、硬度、密着性、絶縁性、パターニング適性、経時保存安定性を、下記の方法で評価した。結果を表3および4に示す。
【0369】
[透過率の測定]
実施例1〜4および比較例1〜7の感光性組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて150℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した基板を得た。次に、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱、放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた塗膜の波長400nmにおける透過率を求めた。
○;透過率 97%以上 :良好なレベル
△;透過率 95%以上97%未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×;透過率 95%未満 :実用には適さないレベル
【0370】
[薬品耐性評価]
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た基板の膜厚を測定した。基板を王水(硝酸:塩酸=1/3)に5分、室温で浸漬した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。その後、基板を目視観察および膜厚測定し、膜厚の変化率を計算した。なお、膜厚はアルバック社製の触針式膜厚計DEKTAK−3で測定した。評価のランクは次の通りである。
○:外観、色に変化なく、膜厚変化率の絶対値が5%未満で良好
:良好なレベル
△:外観、色に変化なく、膜厚変化率の絶対値が5%から10%未満
:○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:外観、色に変化あり、および/または、膜厚変化率の絶対値が10%以上
:実用には適さないレベル
【0371】
[鉛筆硬度の測定]
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た基板について、JIS K5600−5−4に準じた引っかき硬度(鉛筆法)試験により絶縁膜の表面硬度を測定した。
○;4H以上 :良好なレベル
△;3H :実用可能な最低限の硬度
×;2H以下 :実用には適さないレベル
【0372】
[ガラスに対する密着性の測定]
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た基板について、JIS K5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。
○;碁盤目の剥離個数 2個未満 :良好なレベル
△;碁盤目の剥離個数 2個以上10個以下 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×;碁盤目の剥離個数 10個より多い :実用には適さないレベル
【0373】
[絶縁性評価]
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た基板について、表面抵抗値を、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340A(第一化学社製、プローブURS、印加電圧5V)にて測定した。
○:1×1012〜3×1016Ω/□
×:1×1012Ω/□未満
【0374】
[パターニング時の感度]
実施例1〜4および比較例1〜7の感光性組成物をスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中70℃で15分間加温して溶剤を除去し、約2μmの塗膜を得た。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、100μm幅(ピッチ200μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中150℃で30分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物での塗膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行い、これを適正現像時間とした。塗膜の膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて行った。形成された100μmフォトマスク部分でのパタ−ン膜厚を測定し、塗工後膜厚に対して90%以上となる最小露光量を評価した。最小露光量が小さい程、高感度で良好な感光性組成物となる。評価のランクは次の通りである。
○:50mJ/cm2未満 :良好なレベル
△:50mJ/cm2以上100mJ/cm2未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:100mJ/cm2以上 :実用には適さないレベル
【0375】
[保存安定性評価]
実施例1〜4および比較例1〜7の感光性組成物について、初期および室温1ヵ月後の粘度を測定し、初期粘度に対する粘度増加度合いを算出して評価を行った。評価のランクは次の通りである。
○:粘度増加の割合が5%未満で良好 :良好なレベル
△:粘度増加の割合が5%以上、10%未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:粘度増加の割合が10%以上 :実用には適さないレベル
【0376】
【表3】
【0377】
【表4】
【0378】
表3および4に示すように実施例1〜4の感光性組成物はいずれも透過率、薬品耐性、鉛筆硬度、密着性、絶縁性、パターニング時の感度、保存安定性がいずれも良好であった。
実施例1〜3の感光性組成物は、光重合性単量体(D)を含むため、パターニング時の感度がより優れていた。
実施例4の感光性組成物は、実用レベルではあるものの、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)が有機溶剤に溶解しにくい構造であったため、透過率、薬品耐性、鉛筆硬度、密着性、パターニング時の感度、保存安定性でやや劣った。
比較例1〜7の感光性組成物は、上記の物性のいずれかが不良な結果となり、すべてが実用レベルを満たすものは得られなかった。
比較例1は光重合性官能基が含まれず、比較例2は光重合開始剤(C)が含まれないため、パターニングができなかった。また、光硬化が起こらなかったため、耐熱性・耐薬品性に劣る結果となった。
比較例3は、β−ヒドロキシアルキルアミド構造をもったヒドロキシル基を含まないため、硬化反応が進まず、薬品耐性や鉛筆硬度が劣る結果となった。比較例4は、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)ではなくエポキシ樹脂を添加したが、触媒がないため熱硬化が十分進まず、薬品耐性や鉛筆硬度が劣る結果となった。比較例5は、さらに触媒を添加したため、熱硬化反応は進んだが、保存安定性が下がった。比較例6は、ブロックイソシアネートを添加したため、熱硬化時に発生した脱ブロック剤により、透過率や絶縁性が下がった。比較例7は、カルボキシル基を含有するポリマー(B)が含まれないため、パターニングができなかったうえ、熱硬化反応が進まなかったために薬品耐性や鉛筆硬度が劣る結果となった。
【0379】
<カラーフィルタ用感光性組成物>
[赤色顔料分散体の調製]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し赤色顔料分散体P−Rを作製した。
ジケトピロロピロール系顔料(C.I.Pigment Red 254) 6.82部
(チバ・ジャパン社製「イルガフォーレッドB−CF」)
アントラキノン系顔料(C.I. Pigment Red 177) 1.08部
(チバ・ジャパン社製「クロモフタールレッドA2B」)
ニッケルアゾ錯体系顔料(C.I. Pigment Yellow 150) 0.88部
(ランクセス社製「E4GN」)
樹脂型顔料分散剤
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパース20000」) 1.74部
ジケトピロロピロール系顔料誘導体 2.05部
【0380】
【化25】
【0381】
ポリマー溶液P−1 5.83部
シクロヘキサノン 81.60部
【0382】
[緑色顔料分散体の調製]
下記の組成の混合物を使用し、赤色顔料分散体と同様にして緑色顔料分散体P−Gを作製した。
ハロゲン化銅フタロシアニン系顔料(C.I. Pigment Green 36) 8.93部
(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」)
モノアゾ系顔料(C.I. Pigment Yellow 150) 2.74部
(ランクセス社製「E4GN」)
樹脂型顔料分散剤
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパース20000」) 2.80部
ポリマー溶液P−1 5.53部
シクロヘキサノン 80.00部
【0383】
[青色顔料分散体の調製]
下記の組成の混合物を使用し、赤色顔料分散体と同様にして青色顔料分散体P−Bを作製した。
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue15:6) 12.88部
(BASF製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)
樹脂型顔料分散剤
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパース20000」) 5.62部
ポリマー溶液P−1 1.50部
シクロヘキサノン 80.00部
【0384】
[黒色顔料分散体の調製]
下記の組成の混合物を使用し、赤色顔料分散体と同様にして黒色顔料分散体P−Kを作製した。
カーボンブラック(三菱化学社製「MA77」) 11.67部
樹脂型顔料分散剤
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパース20000」) 2.80部
ポリマー溶液P−1 5.53部
シクロヘキサノン 80.00部
【0385】
[実施例5〜20および比較例8〜14]
(ただし、本明細書において、実施例9〜20は参考例である。)
[カラーフィルタ用感光性組成物の調製]
表5、6に示した組成、および配合量で各材料を混合・攪拌し、1μmのフィルタで濾過して、各色の感光性着色組成物を得た。
【0386】
【表5】
【0387】
【表6】
【0388】
表5、6中の略語について以下に示す。
光重合性単量体(D):アロニックス M−402(東亜合成社製) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物
光重合開始剤(C):イルガキュア907(チバ・ジャパン社製) 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン
有機溶剤:シクロヘキサノン
その他1:「PRIMID XL−552」(エムスケミー社製) N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド
その他2:「XD−1000」日本化薬社製 ジシクロペンタニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂
その他3:BL3175:スミジュールBL3175(住化バイエルウレタン社製) イソシアヌレート型MEKオキシムブロックのブロックイソシアネート
表5、6中のA7〜A62およびP−1〜P−8の配合量は溶液としての値である。
【0389】
得られたカラーフィルタ用感光性組成物について、透明性、耐薬品性、硬度、密着性、絶縁性、パターニング適性、経時保存安定性を、下記の方法で評価した。結果を表7、表8に示す。
【0390】
[透明性の評価(ヘイズ測定)]
実施例5〜20および比較例8〜14のカラーフィルタ用感光性組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて150℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した基板を得た。次に、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を150℃で20分加熱、放冷後、ヘイズメーターNDH−2000(東京電色社製)測定装置を用いて、ヘイズ値を測定した。評価のランクは次の通りである。
○;ヘイズ値 0.5%未満 :良好なレベル
△;ヘイズ値 0.5%以上1.5%未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×;ヘイズ値 1.5%以上 :実用には適さないレベル
【0391】
[薬品耐性評価]
ヘイズの測定用に作製したものと同じ方法で得た基板の色度を測定した。基板をN−メチルピロリドン溶液に30分室温で浸漬した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。その後、基板の色度を測定し、色差ΔEを計算した。なお、色度はC光源を用いた顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)で測定した。評価のランクは次の通りである。
○:ΔE≦1.5 :良好なレベル
△:1.5<ΔE≦3 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:3<ΔE :実用には適さないレベル
【0392】
[耐熱性評価]
ヘイズの測定用に作製したものと同じ方法で得た基板の色度を測定した。さらに基板を250℃60分加熱、放冷後、基板の色度を再び測定し、色差ΔEを計算した。評価のランクは次の通りである。
○:ΔE≦1.5 :良好なレベル
△:1.5<ΔE≦3 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:3<ΔE :実用には適さないレベル
【0393】
[ガラスに対する密着性の測定]
ヘイズの測定用に作製したものと同じ方法で得た基板について、JIS K5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。
○;碁盤目の剥離個数 2個未満 :良好なレベル
△;碁盤目の剥離個数 2個以上10個以下 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×;碁盤目の剥離個数 10個より多い :実用には適さないレベル
【0394】
[パターニング時の感度]
実施例5〜20および比較例8〜14のカラーフィルタ用感光性組成物を用いて、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤と同様に感度を評価した。
【0395】
[パターン剥がれの評価]
上記感度評価に作製した基板について、100μmフォトマスク部分でのパタ−ンについて、光学顕微鏡を用いて観察して評価を行った。評価のランクは次の通りである。
○:剥がれや欠けがなく良好 :良好なレベル
△:剥がれはないが部分的に欠けが発生 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:剥がれや欠けが多数発生 :実用には適さないレベル
【0396】
[保存安定性評価]
実施例5〜20および比較例8〜14のカラーフィルタ用感光性組成物について、タッチパネル層間絶縁膜用コーティング剤と同様に保存安定性を評価した。
【0397】
【表7】
【0398】
【表8】
【0399】
表7、8に示すように実施例5〜20のカラーフィルタ用感光性組成物はいずれも透明性、薬品耐性、耐熱性、密着性、パターニング時の感度、パターン剥がれ、保存安定性がいずれも良好であった。
実施例5〜19の感光性組成物は、光重合性単量体(D)を含むため、パターニング時の感度がより優れていた。
実施例20は実用レベルではあるものの、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)が有機溶剤に溶解しにくい構造であったため、透明性、薬品耐性、密着性、パターニング時の感度、パターン剥がれ、保存安定性でやや劣った。
比較例8〜14の感光性組成物は、上記の物性のいずれかが不良な結果となり、すべてが実用レベルを満たすものは得られなかった。
比較例8は光重合性官能基が含まれず、比較例9は光重合開始剤(C)が含まれないため、パターニングができなかった。また、光硬化が起こらなかったため、耐熱性・薬品耐性に劣る結果となった。
比較例10は、β−ヒドロキシアルキルアミド構造をもったヒドロキシル基を含まないため、硬化反応が進まず、薬品耐性や耐熱性が劣る結果となった。
比較例11は、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)ではなくエポキシ樹脂を添加したが、触媒がないため熱硬化が十分進まず、薬品耐性や耐熱性が劣る結果となった。比較例12は、さらに触媒を添加したため、熱硬化反応は進んだが、保存安定性が下がった。比較例13は、ブロックイソシアネートを添加したため、熱硬化時に発生した脱ブロック剤により、透明性が低下した。比較例14は、カルボキシル基を含有するポリマー(B)が含まれないため、パターニングができなかったうえ、熱硬化反応が進まなかったために薬品耐性や耐熱性が劣る結果となった。
【0400】
<感光性ソルダーレジストインキ>
【0401】
[実施例21〜39、比較例15〜19]
(ただし、本明細書において、実施例23〜39は参考例である。)
表9,10に示した組成、および量で、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)とカルボ
キシル基を含有するポリマー(B)を配合し、さらに、エピコート1031S(三菱化学株式会社製、多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂)5部、BL3175(住化バイエルウレタン株式会社製、イソシアヌレート型ブロックイソシアネート)20部、イルガキュアー907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン)2.5部、DETX−S(日本化薬株式会社製、2,4−ジエチルチオキサントン)0.25部、アロニックスM−310(東亜合成式会社製、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート))8部、グリーンペースト(グリーン顔料/ベース樹脂(フェノール樹脂)/溶剤(カルビトールアセテート)=28/12/60)2部、SPB−100(大塚化学株式会社製、ホスファゼン系難燃剤)8部、PHOSMEL−100(日産化学工業株式会社製、ポリリン酸メラミン)8部、STABIACE MC−5S(堺化学工業株式会社製、メラミンシアヌレート)8部を配合し、混合物を均一になるように3本ロールで混錬した後、1μのフィルタで濾過して、実施例21〜39、比較例15〜19にそれぞれ相当する感光性組成物を得た。
表9,10中のA2〜A62およびP−1〜P−7の配合量は溶液としての値である。
【0402】
【表9】
【0403】
【表10】
【0404】
表9〜10中の略語について以下に示す。
XL−552:PRIMID XL−552(エムスケミー社製) N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド
【0405】
得られた感光性組成物を、感光性ソルダーレジストインキとして、現像性、解像性、半田耐熱性、可撓性、難燃性を、下記の方法で評価した。結果を表11、表12に示す。
【0406】
[サンプルAの作製]
片面が剥離性処理された38μm厚のセパレーターPETフィルムの剥離面上に、乾燥後の膜厚が20μmになるように実施例21〜39、比較例15〜19で得られた感光性ソルダーレジストインキを均一塗工して乾燥させた後、室温まで冷却した。次に、このフィルム上の感光性樹脂組成物面と、25μm厚のPETフィルムとを張り合わせることで、両面がPETフィルムで挟まれた感光性樹脂組成物のドライフィルム型感光性ソルダーレジストを作成した。
次に、このドライフィルムから、セパレーターPETフィルムを剥がし、表面に露出した感光性樹脂組成物面と、銅張り積層板(エッチングにより銅表面を粗化処理したもの)の銅箔面とを張り合わせ、真空ラミネート(60℃、0.2MPa=2Kg/cm2)にて密着させた。続いて、PETフィルム上からレジストパターン[φ70μm穴、21段ステップ、実線/スペース=100/60(μm/μm)]を有するネガフィルムを密着させ、紫外線露光装置(ORC製作所製EXM−1201F、ショートアークランプ)を用いて紫外線を照射(400mJ/cm2)した。次に、PETフィルムを剥がし、1%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて、2Kg/cm2のスプレー圧で60秒間現像した。その後、150℃の熱風乾燥機で1時間加熱硬化を行い、サンプルAを作成した。
【0407】
[現像性]
サンプルAについて、21段ステップを有するネガフィルムを密着させた部分の塗膜が、現像液によって膨潤している段数を膨潤段数とし、塗膜が現像液によってきれいに洗い流されている段数を剥離段数とした。剥離段数が低いほど、現像速度が速く、現像性に優れることが言える。この剥離段数を用いて、現像性を次の基準で判断した。
○・・・剥離段数 ≦ 5
△・・・剥離段数 = 6〜10
×・・・剥離段数 ≧ 11
【0408】
[解像性]
サンプルAについて、φ70μm穴部を拡大鏡にて観察し、レジスト層が現像されて銅表面がむき出しになっている部分(穴の開いている部分)の直径を測定し、次の基準で解像性を判断した。この穴の直径が70μmに近いほど、よりパターンが忠実に形成されており、解像性に優れていることが言える。
○・・・直径60μm以上
△・・・直径40μm以上〜59μm以下
×・・・直径39μm以下
【0409】
[半田耐熱性]
サンプルAに、弱活性ロジン系フラックス(日本アルファメタルズ株式会社製、商品名:RM−615)を塗布し、260℃の半田浴槽(JIS C6481)に10秒間浸漬した。これを1サイクルとして2サイクル繰り返し、塗膜の状態を以下のように判定した。
○…塗膜外観に異常がなく、膨れや剥離のないもの。
△…塗膜に部分的に膨れや剥離のあるもの。
×…塗膜全体に膨れや剥離のあるもの。
【0410】
[サンプルBの作製]
実施例21〜39、比較例15〜19で得られた感光性ソルダーレジストインキを、38μm厚のセパレーターPETフィルム上に、乾燥膜厚が20μmとなるように均一塗工して乾燥させた後、室温まで冷却した。次に、サンプルA作成時に用いたものと同じ紫外線露光装置で積算光量400mJ/cm2の紫外線を照射した後、150℃の熱風乾燥器で1時間熱硬化させた。得られた硬化膜を室温まで冷却し、セパレーターフィルムから硬化塗膜を剥がした。これをサンプルBとする。
【0411】
[可撓性]
サンプルBを180度に折り曲げ、同じ部分を逆側にも180度折り曲げた。その時の塗膜の状態を次の基準で判断した。
○・・・膜面にクラック(ひび割れ)が見られない
△・・・膜面にわずかにクラックが見られる
×・・・膜が割れ、膜面にはっきりとクラックが見られる
【0412】
[サンプルCの作製]
実施例21〜39、比較例15〜19で得られた感光性ソルダーレジストインキについて、サンプルAの作成工程においてレジストパターンを有するネガフィルムを使用せずに紫外線を照射した(全面露光)以外は、サンプルAの作成と同様に行うことで、サンプルCを作成した。
【0413】
[難燃性]
サンプルCについて、UL Subject94V法に準拠し難燃性の評価を行い、結果を次の基準で判断した。
○・・・VTM−0
△・・・VTM−1
×・・・VTM−2以下(完全燃焼など含む)
【0414】
【表11】
【0415】
【表12】
【0416】
表11の結果からわかるように、実施例21〜39の感光性組成物は、いずれも現像性、解像性、半田耐熱性、可撓性、難燃性が良好であり、フレキシブルプリント配線板などに用いられるフレキシブルな絶縁保護膜として優れていることが示された。
実施例39は実用レベルではあるものの、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)が有機溶剤に溶解しにくい構造であったため、現像性、解像性、半田耐熱性、可撓性でやや劣った。
一方、表12の結果からわかるように、比較例では実用レベルを満たすものは得られなかった。例えば、比較例15〜17は、β−ヒドロキシアルキルアミド(A)が含まれないため、硬化塗膜の耐熱性が劣る結果となった。また、比較例18、19は、カルボキシル基を含有するポリマー(B)が含まれないため、現像性と解像性を満足することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0417】
本発明の感光性組成物の用途は、光と熱で硬化させる用途であれば用いることができ、上記で説明したタッチパネル層間絶縁膜、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、感光性ソルダーレジストのほかに、カラーフィルタ保護膜、フォトスペーサー、液晶配向用突起、マイクロレンズ、光学ハードコート、UVインキ、感光性平版印刷版、各種コーティング等などを製造するのに用いることができる。
また、フレキシブルプリント配線板に使用される、補強板用接着剤や層間接着剤、コーティング剤、電磁波シールド用接着剤、感光性光導波路、光熱デュアル硬化型ポッティング剤等にも用いることができる。