【実施例】
【0212】
以下に実施例を挙げて、更に本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0213】
参考例1(ジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III))の合成
【0214】
【化27】
【0215】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた300mlのガラス製二口フラスコに、2−フェニルピリジン5.10g(32.9mmol)及び2−エトキシエタノール164mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物4.63g(13.2mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で22時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水25mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)60mlで洗浄し、乾燥させ、黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)3.77gを得た(単離収率:53%)。
【0216】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0217】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));9.25(m,4H),7.93(d,4H),7.79(m,4H),7.55(dd,4H),6.90−6.74(m,8H),6.60(m,4H),5.87(dd,4H)
FAB−MS(M/Z);536(M/2)
+,501,499
【0218】
実施例1(クロロビス(2−フェニルピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0219】
【化28】
【0220】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた25mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)161mg(0.15mmol)、ピラゾール20.4mg(0.30mmol)及びテトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し13時間反応させた。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、塩化メチレンを加え、不溶物をセライトを使用し濾別した後、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をヘキサンで洗浄することにより、黄色固体である目的物を148mg得た(単離収率;82%)。
【0221】
なお、クロロビス(2−フェニルピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0222】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));13.05(s,1H),9.73(d,1H),7.91−7.89(m,1H),7.84−7.82(m,1H),7.78−7.70(m,3H),7.65−7.64(m,1H),7.61−7.59(m,2H),7.20−7.17(m,1H),7.06−7.02(m,1H),6.95−6.91(m,1H),6.88−6.84(m,1H),6.80−6.73(m,2H),6.70−6.69(m,1H),6.33−6.30(dd,1H),6.23−6.20(m,2H)
FAB−MS(M/Z);605(M+H)
+【0223】
実施例2(テトラキス(2−フェニルピリジナト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(PPy)
2Pz]
2)の合成
【0224】
【化29】
【0225】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管に実施例1のように合成したクロロビス(2−フェニルピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)302mg(0.50mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))69mg(0.53mmol)、テトラヒドロフラン25mlを加え、室温で攪拌し13時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、得られた固体をトルエンで再結晶することにより、黄色固体である目的物を74mg得た。(単離収率;26%)
なお、テトラキス(2−フェニルピリジナト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0226】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));8.22(m,2H),7.95(d,2H),7.78(d,2H),7.65−7.58(m,7H),7.52−7.48(m,2H)6.86−6.53(m,16H),6.41−6.37(m,2H),6.12−6.10(m,2H),6.03−6.01(m,2H),5.91−5.90(m,1H)
FAB−MS(M/Z):1136(M+H)
+【0227】
次に、本発明のイリジウム化合物[Ir(PPy)
2Pz]
2(実施例2で合成したイリジウム錯体)を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子の製造例を説明する。
【0228】
実施例3(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
図1に示すように、基板側から、硝子基板1、ITO透明電極2、ホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6及びアルミニウム電極7の各層を備える有機EL素子を以下の方法により作製した。
【0229】
イーエッチシー製インジウム錫酸化物(以下、ITOと略す)被膜付きガラスを透明電極基板として用い、アルバック機工製真空蒸着装置を使用して、同基板上に5×10
−4Pa以下の真空度で、順次、次のようにホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6、アルミニウム電極7を真空蒸着により成膜して有機EL素子を作製した。
【0230】
なお、真空蒸着は、基板に対向して置かれた坩堝に原料を仕込み、坩堝ごと原料を加熱することによって行った。
【0231】
前記基板上に、ホール輸送材料である1,1−ビス[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン(以下、TAPCと略す)を膜厚73nmで成膜し、ホール輸送層3を形成した後、発光層4として9,9’−(2,2’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(9H−カルバゾール)(以下、CDBPと略す):[Ir(PPy)
2Pz]
2(実施例2と同様な方法で合成)=95:5を膜厚49nmで成膜した。次いで、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと略す)を膜厚19nmで成膜し、電子輸送層5を形成した。更に電子輸送層の上に、フッ化リチウム(以下、LiFと略す)を膜厚0.5nmで成膜し、電子注入層6を形成した。その上にアルミニウム(Al)を膜厚240nmで成膜し、電極7を形成した。
【0232】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: TAPC(73nm)、
発光層4: CDBP:[Ir(PPy)
2Pz]
2(49nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(19nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(240nm)
である。
【0233】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の緑色発光を開始し、+24Vにおいて14650cd/m
2で発光した。
【0234】
この素子の発光に係る電流の効率を以下の式で求めた。
【0235】
電流効率=(単位面積当りの発光輝度)/(単位面積当り電流密度)
【0236】
このようにして求めた電流効率は+20Vで14.9cd/Aであった。
【0237】
この素子の発光色を、プレサイスゲージ社製有機EL評価装置EL1003を用いて測定した。電極間電圧+24Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.399,y=0.478であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0238】
参考例2(周知のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例3において発光層に使用した[Ir(PPy)
2Pz]
2を、周知のイリジウム錯体であるトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称;Ir(ppy)
3)に変えた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。
【0239】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の緑色発光を開始し、+24Vにおいて14500cd/m
2で発光した。電流効率は+20Vで14.8cd/Aであった。
【0240】
電極間電圧+24Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.359,y=0.587であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0241】
以上の結果から、本発明の二核金属錯体(二核イリジウム錯体)は、周知のイリジウム化合物と同程度の素子性能を示すことが判明した。
【0242】
参考例3(ジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III))の合成
【0243】
【化30】
【0244】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた300mlのガラス製二口フラスコに、2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン6.29g(32.9mmol)及び2−エトキシエタノール164mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物4.63g(13.2mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で21時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水25mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)60mlで洗浄し、乾燥させ、黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)5.09gを得た(単離収率:63%)。
【0245】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0246】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));9.11(m,4H),8.32(d,4H),7.87(m,4H),6.86(m,4H),6.38(m,4H),5.28(m,4H)
FAB−MS(M/Z);608(M/2),573,571
【0247】
実施例4(テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppy)
2BIm]
2)の合成
【0248】
【化31】
【0249】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた250mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)486mg(0.40mmol)、2,2’−ビイミダゾール54mg(0.40mmol)、テトラヒドロフラン80mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))111mg(0.84mmol)を加え、攪拌しながら室温で2時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた濃縮物に塩化メチレン、水及び飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを7とした後に分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後に濾過し、濾液を濃縮した。次いで、得られた濃縮物をヘキサンで洗浄し、黄色固体として二核イリジウム錯体(1)を441mg得た(単離収率;86%)。
【0250】
得られた二核イリジウム錯体(1)は2種の異性体混合物であり、その存在比は60:40であった。主として(60%)得られた二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体(1a)、副として(40%)得られた二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体(1b)と称する。
【0251】
なお、二核イリジウム錯体(1)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0252】
1H−NMR(400MHz,C
4D
8O,δ(ppm));
二核イリジウム錯体(1a);8.17(d,4H),8.13〜8.12(m,4H),7.79〜7.75(m,4H),7.91〜7.15(m,4H),6.49〜6.42(m,4H)6.22(s,4H),5.84〜5.81(m,4H)
二核イリジウム錯体(1b);8.24(d,4H),7.85〜7.81(m,4H),7.74〜7.72(m,4H),6.95〜6.91(m,4H),6.49〜6.42(m,4H)6.24(s,4H),5.77〜5.74(m,4H)
FD−MS(M/Z):1276(M
+)
【0253】
次に、本発明の二核イリジウム錯体(1)(実施例4で合成したイリジウム錯体)を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子の製造例を説明する。
【0254】
実施例5(本発明の二核イリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
図1に示すように、基板側から、硝子基板1、ITO透明電極2、ホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6及びアルミニウム電極7の各層を備える有機EL素子を以下の方法により作製した。
【0255】
イーエッチシー製インジウムスズ酸化物(以下、ITOと略す)被膜付きガラスを透明電極基板として用い、アルバック機工製真空蒸着装置を使用して、同基板上に5×10
−4Pa以下の真空度で、順次、次のようにホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6、アルミニウム電極7を真空蒸着により成膜して有機EL素子を作製した。
【0256】
なお、真空蒸着は、基板に対向して置かれた坩堝に原料を仕込み、坩堝ごと原料を加熱することによって行った。
【0257】
前記基板上に、ホール輸送材料であるp,p’−[N,N’−テトラ(p−トルイル)ジアニリノ−o,o’−ビフェニル](以下、3DTAPBPと略す)を膜厚60nmで成膜し、ホール輸送層3を形成した後、発光層4としてトリフェニル(4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル)シラン(以下、TPSiFと略す):二核イリジウム錯体(1)(実施例4と同様な方法で合成)=95:5を膜厚40nmで成膜した。次いで、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと略す)を膜厚40nmで成膜し、電子輸送層5を形成した。更に電子輸送層の上に、フッ化リチウム(以下、LiFと略す)を膜厚0.5nmで成膜し、電子注入層6を形成した。その上にアルミニウム(Al)を膜厚100nmで成膜し、電極7を形成した。
【0258】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体(1)(40nm、95/5)
電子輸送層5: TAZ(40nm)
電子注入層6: LiF(0.5nm)
陰極7: Al(100nm)
である。
【0259】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+15V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+30Vにおいて872.3cd/m
2で発光した。電流効率は+24Vで1.88cd/Aであった。
【0260】
この素子の発光色を、プレサイスゲージ社製有機EL評価装置EL1003を用いて測定した。電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.249,y=0.200であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0261】
参考例4(周知のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において発光層に使用した二核イリジウム錯体(1)を、周知のイリジウム錯体であるビス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ピコリナトイリジウム(III)(略称;FIrpic)に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0262】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+17V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+27Vにおいて480.8cd/m
2で発光した。電流効率は+24Vで2.16cd/Aであった。
【0263】
電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.280,y=0.293であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0264】
以上の結果から、本発明の二核金属錯体(二核イリジウム錯体)は、周知のイリジウム化合物と同程度の素子性能を示すことが判明した。
【0265】
参考例5(ジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III))の合成
【0266】
【化32】
【0267】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた100mlのガラス製二口フラスコに、2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジン2.80g(14.6mmol)及び2−エトキシエタノール73mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物2.07g(5.84mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で20時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水25mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)10mlで洗浄し、乾燥させ、黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)1.75gを得た(単離収率:49%)。
【0268】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0269】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));9.06(m,4H),8.34(m,4H),8.00(m,4H),6.98(m,4H),5.27(m,4H)
FAB−MS(M/Z);1221(M+H)
+,610,575
【0270】
参考例6(ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III))の合成
【0271】
【化33】
【0272】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた300mlのガラス製四口フラスコに、N−メチル−N’フェニルイミダゾリウムヨージド2.82g(9.84mmol)及び2−エトキシエタノール180mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、フラスコをアルミ箔で覆った後、三塩化イリジウム三水和物1.06g(3.00mmol)及び酸化銀1.27g(5.49mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で16時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、溶媒を除去した。得られた固体から塩化メチレン100mlで目的物を抽出し、溶媒を除去した。それに塩化メチレン3mlとメタノール20mlを加えると白色固体が析出したので濾過した。濾液を濃縮した後、再びメタノールを加えると白色固体が析出したので、濾過した。これらの濾物を乾燥させ、白色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)216mgを得た(単離収率:7%)。
【0273】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0274】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));7.58(d,4H),7.16(d,4H),6.98(dd,4H),6.72(dt,4H),6.44(dt,4H),6.09(dd,4H)3.91(s,12H)
【0275】
参考例7(ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III))の合成
【0276】
【化34】
【0277】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた200mlのガラス製二口フラスコに、1−フェニルピラゾール2.81g(19.5mmol)、2−エトキシエタノール100ml及び脱イオン水33mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物2.64g(7.80mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で9時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)26mlで洗浄し、乾燥させ、淡黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)3.44gを得た(単離収率:86%)。
【0278】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0279】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));8.19(m,4H),7.82(m,4H),7.19(m,4H),6.84(m,4H),6.68(m,4H),6.53(m,4H),5.94(m,4H)
FAB−MS(M/Z);1028(M+H)
+,519,479
【0280】
参考例8(ジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III))の合成
【0281】
【化35】
【0282】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた200mlのガラス製二口フラスコに、1−メチル−2−フェニルイミダゾール3.28g(20.7mmol)及び2−エトキシエタノール100mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物3.0g(8.3mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で21時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水100mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;1/1)20mlで洗浄し、乾燥させ、黒色固体を得た。得られた黒色固体に塩化メチレン300mlを加え、攪拌した。濾過後、得られた濾物を塩化メチレン200mlで洗浄した。得られた濾液と洗浄液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を塩化メチレン5mlで洗浄し、黄緑色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III)1.69gを得た(単離収率:37%)。
【0283】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0284】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));7.37(m,4H),7.27(d,4H),6.93(d,4H),6.74(dd,4H),6.54(dd,4H),6.05(dd,4H),4.05(s,12H)
FAB−MS(M/Z);542(M/2)
+、1083、1085(M+1)
【0285】
実施例6(クロロビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0286】
【化36】
【0287】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた25mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III)109mg(0.10mmol)、ピラゾール13.6mg(0.20mmol)及び塩化メチレン7mlを加え、室温で攪拌し28時間反応させた。反応終了後、塩化メチレンを減圧留去し、テトラヒドロフランを加え、濾過した。得られた反応粗生成物をテトラヒドロフランで洗浄することにより、黄緑色固体である目的物を106mg得た。(単離収率;86%)
なお、クロロビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0288】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));13.5(brs,1H),7.60(m,1H),7.56(d,1H),7.43(m,2H),6.96(m,1H),6.90−6.77(m,4H),6.72(m,2H),6.43(dd,1H),6.37(dd,1H),6.33(d,1H),6.20(m,1H),4.05(s,6H)
FAB−MS(M/Z);611(M+H)
+【0289】
実施例7(クロロビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0290】
【化37】
【0291】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)244mg(0.2mmol)、ピラゾール27.2mg(0.40mmol)、テトラヒドロフラン(20ml)を加え、室温で攪拌し14時間反応させた後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた反応粗生成物をヘキサンで洗浄することにより、薄黄色固体である目的物を252mg得た。(収率;93%)
なお、クロロビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0292】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm);12.89(s,1H),9.74−9.72(m,1H),8.30−8.28(m,1H),8.22−8.20(m,1H),7.94−7.87(m,2H),7.71−7.69(m,2H),7.36−7.32(m,1H),7.21−7.18(m,1H),6.84−6.83(m,1H),6.34−6.32(m,1H),5.79−6.78(m,1H),5.63−5.62(m,1H)
FAB−MS(M/Z):679(M+H)
+【0293】
実施例8(クロロビス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0294】
【化38】
【0295】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた30mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)163mg(0.15mmol)、ピラゾール20.4mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン15mlを加え、室温で攪拌し5時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した後、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をヘキサンで洗浄することにより、薄茶色固体である目的物を171mg得た。(収率;93%)
なお、クロロビス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0296】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3,δ(ppm);13.13(s,1H),7.53−7.52(m,1H),7.43−7.40(m,2H),7.02−6.95(m,3H),6.89(d,1H),6.84−6.78(m,1H),6.76−6.71(m,1H),6.64(s,1H),6.60−6.54(m,2H),6.44−6.37(m,2H),6.15−6.13(m,1H),4.28(s,3H)3.13(s,3H)
FAB−MS(M/Z):611(M+H)
+【0297】
実施例9(クロロビス(1−フェニルピラゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0298】
【化39】
【0299】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)206mg(0.2mmol)、ピラゾール27.2mg(0.4mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、室温で攪拌し5時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた反応粗生物をジエチルエーテルで洗浄することにより、白色固体である目的物を205mg得た。(単離収率;88%)
なお、クロロビス(1−フェニルピラゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0300】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm);12.94(s,1H),8.23−8.22(m,1H),8.10−8.09(m,1H),8.06−8.05(m,1H),7.65−7.64(m,1H),7.22−7.20(m,2H),7.01(m,1H),6.96−6.86(m,3H),6.76−6.69(m,2H),6.65−6.64(m,1H),6.60−6.58(m,1H),6.33−6.31(m,1H),6.25−6.23(m,2H)
FAB−MS(M/Z):583(M+H)
+【0301】
実施例10(クロロビス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0302】
【化40】
【0303】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)243mg(0.2mmol)、ピラゾール(27.2mg,0.4mmol)、テトラヒドロフラン(20ml)を加え、室温で攪拌し5時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した後、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生物をヘキサンで洗浄することにより、黄色固体である目的物を230mg得た。(単離収率;85%)
なお、クロロビス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0304】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm);12.96(s,1H),9.74−9.72(m,1H),8.29−8.27(m,1H),8.21−8.18(m,1H),7.82−7.78(m,2H),7.69−7.66(m,2H),7.25−7.21(m,1H),7.10−7.07(m,1H),6.78−6.77(m,1H),6.51−6.45(m,1H),6.41−6.35(m,1H),6.29−6.27(m,1H),5.80−5.78(m,1H),5.66−5.63(m,1H)
FAB−MS(M/Z):677(M+H)
+【0305】
実施例11(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(PPz)
2Pz]
2)の合成
【0306】
【化41】
【0307】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にクロロビス(1−フェニルピラゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)378mg(0.65mmol)、テトラヒドロフラン33mlを加え、この懸濁液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))90mg(0.68mmol)を加えた後、徐々に昇温し、−15℃で1時間攪拌し反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、得られた固体を酢酸エチルで洗浄することにより、白色固体である目的物を224mg得た。(単離収率;63%)
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0308】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));8.04−8.03(m,4H),7.26−7.23(dd,4H),7.02(d,4H),6.93−6.89(m,4H),6.71−6.67(m,4H)6.28−6.27(m,8H),6.01−5.99(dd,4H),5.82−5.81(m,2H)
FD−MS(M/Z):1090 M
+【0309】
実施例12(テトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(PIm)
2Pz]
2)の合成
【0310】
【化42】
【0311】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にクロロビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)61mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品)13.2mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し24時間反応させた。反応後、濾過し、得られた濾物を水及びテトラヒドロフランで洗浄し、黄色固体である目的物を23mg得た。(単離収率;37%)
なお、テトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0312】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));7.45(dd,4H),6.97(d,4H),6.82(m,4H),6.65(m,4H),6.52(d,4H)6.12(dd,4H),5.73(t,2H),5.64(d,4H),5.28(s,12H)
FD−MS(M/Z):1146,1148
【0313】
実施例13(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)
2BIm]
2)の合成
【0314】
【化43】
【0315】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)366mg(0.30mmol)、2,2’−ビイミダゾール40mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン60mlを加え、3.5時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))83mg(0.63mmol)を加え、室温で攪拌し15時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:0.5%トリエチルアミン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を110mg得た。(単離収率;28%)
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0316】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))8.27(dd,4H),7.89−7.84(m,4H),7.67(m,4H),6.89−6.93(m,4H),6.33(s,4H)5.78(t,4H)
FD−MS(M/Z):1280 M
+【0317】
実施例14(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)
2BIm]
2)の合成
【0318】
【化44】
【0319】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)308mg(0.30mmol)、2,2’−ビイミダゾール40mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン60mlを加え、7時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))83mg(0.63mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:0.5%トリエチルアミン)によって精製し、薄黄土色固体である目的物を180mg得た。(単離収率;55%)
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0320】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))8.35(dd,4H),7.29(dd,4H),6.76−6.80(m,8H),6.61−6.56(m,4H),6.50−6.48(m,4H),6.39−6.39(dd,4H),6.18(s,4H)
FD−MS(M/Z):1088 M
+【0321】
実施例15(テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppz)
2BIm]
2)の合成
【0322】
【化45】
【0323】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)ジイリジウム(III)234mg(0.20mmol)、2,2’−ビイミダゾール27mg(0.20mmol)、テトラヒドロフラン40mlを加え、16時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))55mg(0.42mmol)を加え、室温で攪拌し10時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:0.5%トリエチルアミン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を155mg得た。(収率;63%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=60:40であった。
【0324】
なお、テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0325】
1H−NMR(400MHz,C
4D
8O,δ(ppm))
異性体1;8.38(d,4H),7.24(d,4H),6.65−6.57(m,8H),6.26(s,4H),5.87(dd,4H)
異性体2;8.45(d,4H),6.85(d,4H),6.65−6.57(m,8H),6.29(s,4H),5.83(dd,4H)
FD−MS(M/Z):1232 M
+【0326】
実施例16(テトラキス(2−フェニルピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppy)
2BIm]
2)の合成
【0327】
【化46】
【0328】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)322mg(0.30mmol)、2,2’−ビイミダゾール40mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン60mlを加え、13時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))83mg(0.63mmol)を加え、室温で攪拌し24時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;3/1):0.5%トリエチルアミン)によって精製し、黄色固体である目的物を113mg得た。(収率;33%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=61:39であった。
【0329】
なお、テトラキス(2−フェニルピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0330】
1H−NMR(400MHz,C
4D
8O,δ(ppm))
異性体1;8.18(dd,4H),7.86(d,4H),7.70−7.55(m,8H),6.81−6.72(m,8H),6.66−6.62(m,4H),6.38(dd,4H),6.11(s,4H)
異性体2;7.92(d,4H),7.78(dd,4H),7.70−7.55(m,8H),6.81−6.72(m,8H),6.66−6.62(m,4H),6.32(dd,4H),6.13(s,4H)
FD−MS(M/Z):1132 M
+【0331】
実施例17(テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)の合成,略称;[Ir(mpi)
2BIm]
2)の合成
【0332】
【化47】
【0333】
アルゴン雰囲気下、撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)110mg(0.10mmol)、2,2’−ビイミダゾール13mg(0.10mmol)およびテトラヒドロフラン2mlを加え、撹拌しながら室温で4時間反応させた。次いで、水素化ナトリウム8.4mg(0.21mmol)を加え、さらに19時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、溶媒が3ml程度になるまで濃縮した。そこにジエチルエーテル20mlを加え、ろ過を行い、ろ物を回収し、減圧下で乾燥させ、茶白色固体としてテトラキス(1−メチル−3−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム92.6mgを得た(収率;81%)。得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=53:43であった。
【0334】
なお、テトラキス(1−メチル−3−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウムは下記の物性値であった。
【0335】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));
異性体1:7.45(d,4H),7.04(dd,4H),6.93(d,4H),6.80(dt,4H),6.62−6.44(m,8H),6.15(s,4H),3.03(s,12H)
異性体2:7.43(d,4H),7.03(dd,4H),6.91(d,4H),6.79(dt,4H),6.62−6.44(m,8H),6.14(s,4H),3.41(s,12H)
【0336】
実施例18(ビス(1−フェニルピラゾラト)ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)(dfpypy)BIm]
2)の合成
【0337】
【化48】
【0338】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた30mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)61mg(0.05mmol)、2,2’−ビイミダゾール13mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、3時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加え、室温で攪拌し4時間反応させた後、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)51mg(0.05mmol)を加え、室温で攪拌し14時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1)によって精製し、薄黄色固体である目的物を15mg得た。(収率;13%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=88:12であった。
【0339】
なお、ビス(1−フェニルピラゾラト)ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0340】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;8.24(dd,2H),8.09(dd,2H),7.86−7.82(m,2H),7.74−7.72(m,2H),7.23(dd,2H),7.00−6.96(m,2H),6.94−6.90(m,2H),6.76(dd,2H),6.74−6.70(m,2H),6.47−6.46(m,2H),6.37(dd,2H),6.33(d,2H),6.28(d,2H),5.81(m,2H)
異性体2;8.19(dd,2H),8.08(m,2H),8.03(dd,2H),7.80(dd,2H),7.22−7.11(m,6H),6.93−6.88(m,2H),6.74−6.70(m,2H),6.53−6.52(m,2H),6.42(dd,2H),6.32(d,2H),6.28(d,2H),5.85(m,2H)
FD−MS(M/Z):1184 M
+【0341】
実施例19(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)
2BBIm]
2)の合成
【0342】
【化49】
【0343】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール23mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、7時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を22mg得た。(収率;16%)
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0344】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))8.27(d,4H),7.84−7.79(m,4H),7.72−7.70(m,4H),6.85−6.81(m,8H),6.38−6.35(m,4H),5.97−5.96(m,4H)
FD−MS(M/Z):1380 M
+【0345】
実施例20(テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppz)
2BBIm]
2)の合成
【0346】
【化50】
【0347】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)ジイリジウム(III)293mg(0.25mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール59mg(0.25mmol)、テトラヒドロフラン50mlを加え、5時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))69mg(0.53mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1)によって精製し、薄黄色固体である目的物を236mg得た。(収率;71%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=57:43であった。
【0348】
なお、テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0349】
1H−NMR(400MHz,C
4D
8O,δ(ppm))
異性体1;8.45(d,4H),6.84(d,4H),6.81−6.70(m,8H),6.55−6.53(m,4H),6.36−6.31(m,4H),6.03−6.00(dd,4H)
異性体2;8.39(d,4H),7.22(d,4H),6.81−6.70(m,8H),6.55−6.53(m,4H),6.36−6.31(m,4H),6.08−6.05(dd,4H)
FD−MS(M/Z):1332 M
+【0350】
実施例21(ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)(dfppz)BBIm]
2)の合成
【0351】
【化51】
【0352】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール47mg(0.20mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))55mg(0.42mmol)を加え、室温で攪拌し12時間反応させた後、ジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)ジイリジウム(III)117mg(0.10mmol)を加え、室温で攪拌し5時間反応させた.反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、黄色固体である目的物を180mg得た。(収率;66%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=63:37であった。
【0353】
なお、ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0354】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;8.33(d,2H),8.27−8.25(m,2H),7.80−7.73(m,4H),6.90−6.87(m,2H),6.83−6.80(m,4H),6.75(d,2H),6.70−6.67(m,2H),6.43−6.41(m,2H),6.38−6.33(m,4H),6.06−6.03(m,2H),6.00−5.99(m,2H)
異性体2;8.26(d,2H),8.20−8.21(m,2H),8.00−7.98(m,2H),7.80−7.78(m,2H),7.05(d,2H),7.04−7.00(m,2H),6.83−6.80(m,4H),6.70−6.67(m,2H),6.47−6.46(m,2H),6.38−6.33(m,4H),6.10−6.08(m,2H),6.04−6.02(m,2H)
FD−MS(M/Z):1356 M
+【0355】
実施例22(ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(3−メチル−1−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)(dfmpi)BBIm]
2)の合成
【0356】
【化52】
【0357】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)92mg(0.08mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール35mg(0.15mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))42mg(0.32mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた後、ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)106mg(0.08mmol)を加え、室温で攪拌し24時間反応させた.反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、黄色固体である目的物を89mg得た。(収率;43%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=51:49であった。
【0358】
なお、ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(3−メチル−1−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0359】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;8.26−8.24(m,2H),7.86−7.79(m,4H),7.36(d,2H),6.98−6.96(m,2H),6.88−6.85(m,2H),6.82−6.77(m,4H),6.74−6.73(m,2H)、6.34−6.28(m,4H),6.20−6.16(m,2H),6.02−6.01(m,2H),2.50(s,6H)
異性体2;8.26−8.24(m,2H),8.02−8.00(m,2H),7.83−7.79(m,2H),7.29(d,2H),7.00−6.97(m,2H),6.88−6.85(m,2H),6.82−6.77(m,4H),6.74−6.73(m,2H)、6.34−6.28(m,4H),6.20−6.16(m,2H),5.98−5.97(m,2H),3.04(s,6H)
FD−MS(M/Z):1384 M
+【0360】
実施例23(テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppy)
2DMO]
2)の合成)
【0361】
【化53】
【0362】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、N,N’−ジメチルオキサミド12mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加え、室温で攪拌し3時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1))によって精製し、黄色固体である目的物を59mg得た。(収率;47%)
得られた目的物は少なくとも4種の異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2:異性体3:異性体4=30:29:28:13と考えられた。
【0363】
なお、テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0364】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.52(s,6H)
異性体2;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.53(s,6H)
異性体3;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.56(s,6H)
異性体4;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.54(s,6H)
FD−MS(M/Z):1258 M
+【0365】
実施例24(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)
2DMO]
2)の合成
【0366】
【化54】
【0367】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、N,N’−ジメチルオキサミド12mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、室温で攪拌し20時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をメタノールで洗浄した後、再結晶(溶媒:アセトン/ジエチルエーテル(容量比;1/2))によって精製し、黄色固体である目的物を65mg得た。(収率;52%)
得られた目的物は少なくとも3種類の異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2:異性体3=33:27:20と考えられた。
【0368】
なお、テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0369】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1のN−Me基;2.58(s,6H)
異性体2のN−Me基;2.59(s,6H)
異性体3のN−Me基;2.56(s,6H)
FD−MS(M/Z):1262 M
+【0370】
実施例25(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ―1,4−ベンゾキノナト−2,5−ジオラト)ジイリジウム(III)の合成,略称;[Ir(ppz)
2BQ]
2)の合成
【0371】
【化55】
【0372】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、ベンゾキノン21mg(0.15mmol)、トルエン10mlおよびポタジウムヘキサメチルジシラジド(0.5Mトルエン溶液)0.8ml(0.30mmol)を加え、撹拌しながら100℃で29時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。そこにジクロロメタン30mlを加え、濾過を行い、濾液を濃縮し、減圧下で乾燥し、茶色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ―1,4−ベンゾキノナト−2,5−ジオラト)ジイリジウム(III)を129.7mg(79%)得た。
【0373】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ―1,4−ベンゾキノナト−2,5−ジオラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0374】
1H−NMR(400MHz,重DMF,δ(ppm))8.93(d,4H),7.67(d,4H),7.63(d,4H),6.89(t,4H),6.86(t,4H),6.64(t,4H),6.13(d,4H),5.70(s,2H)
FD−MS(M/Z):1096 M
+【0375】
実施例26(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)の合成,略称;[Ir(ppz)
225PDC]
2)の合成
【0376】
【化56】
【0377】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、2,5−ピラジンジカルボン酸25mg(0.15mmol)、ナトリウムメトキシド16.2mg(0.30mmol)およびメタノール20mlを加え、撹拌しながら室温で4時間反応させた。濾過後、濾物をジエチルエーテルとメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し、暗緑色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)を59.9mg(36%)得た。
【0378】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0379】
1H−NMR(400MHz,CD
3CN,δ(ppm));8.40(s,2H),8.36(d,2H),8.32(d,2H),7.52(d,2H),7.41(d,2H),7.40(td,4H),7.01(td,2H),6.93(td,2H),6.81(td,2H),6.72(td,2H),6.68(t,2H),6.63(t,2H),6.35(dd,2H),6.04(dd,2H)
FD−MS(M/Z):1124 M
+【0380】
実施例27(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,3−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)
223PDC]
2)の合成
【0381】
【化57】
【0382】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、2,3−ピラジンジカルボン酸25mg(0.15mmol)、ナトリウムメトキシド16mg(0.30mmol)およびメタノール20mlを加え、撹拌しながら室温で24時間反応させた。濾過後、濾物をメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し、暗褐色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,3−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)を97.3mg(58%)得た。
【0383】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,3−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0384】
1H−NMR(400MHz,CD
3CN,δ(ppm));8.94(d,2H),8.87(d,2H),8.03(s,2H),7.84(d,2H),7.66(d,2H),7.62(d,2H),7.24(d,2H),6.95−6.85(m,6H),6.74−6.62(m,6H),6.18(dd,2H),6.09(dd,2H)
FD−MS(M/Z):1080(M−44)
【0385】
実施例28(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(イミダゾール−2−カルボキシラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)
2IC]
2)の合成
【0386】
【化58】
【0387】
撹拌装置を備えた50ml二口ナスフラスコに、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、イミダゾール−2−カルボン酸17mg(0.15mmol)、トルエン30mlおよびポタジウムヘキサメチルジシラジド(0.5Mトルエン溶液)0.6ml(0.30mmol)を加え、撹拌しながら100℃で24時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。そこにジクロロメタン30mlを加え、濾過を行い、濾液を濃縮し、ジエチルエーテルで洗浄した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン−メタノール(30:1)で精製し、白色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(イミダゾール−2−カルボキシラト)ジイリジウム(III)を68mg(42%)得た。
【0388】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(イミダゾール−2−カルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0389】
1H−NMR(400MHz,重DMF,δ(ppm))8.92(t,2H),8.83(d,2H),7.69−7.63(m,6H),7.32(d,1H),6.93−6.72(m,9H),6.68−6.58(m,4H),6.46(d,2H),6.34−6.20(m,4H)
FD−MS(M/Z):1068 M
+【0390】
実施例29(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体(1)を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)
2BIm]
2(実施例13と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0391】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)
2BIm]
2(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0392】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+13V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+27Vにおいて510.8cd/m
2で発光した。電流効率は+19Vで1.02cd/Aであった。
【0393】
また、電極間電圧+23Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.128,y=0.183であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0394】
実施例30(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)
2BBIm]
2(実施例19と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0395】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)
2BBIm]
2(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0396】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+26Vにおいて1212cd/m
2で発光した。電流効率は+17Vで1.71cd/Aであった。
【0397】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.131,y=0.222であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0398】
実施例31(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)(dfppz)BBIm]
2(実施例21と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0399】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)(dfppz)BBIm]
2(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0400】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+11V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+26Vにおいて429.7cd/m
2で発光した。電流効率は+19Vで0.81cd/Aであった。
【0401】
また、電極間電圧+22Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.126,y=0.182であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0402】
実施例32(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfppy)
2DMO]
2(実施例23と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0403】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfppy)
2DMO]
2(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0404】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+8V付近から素子は眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+24Vにおいて3173cd/m
2で発光した。電流効率は+17Vで5.33cd/Aであった。
【0405】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.203,y=0.494であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0406】
参考例9(周知のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において発光層に使用した二核イリジウム錯体を、周知のイリジウム錯体であるトリス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)イリジウム(III)(略称;Ir(dfpypy)
3)に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0407】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:Ir(dfppy)
3(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0408】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+15V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+22Vにおいて142cd/m
2で発光した。電流効率は+19Vで0.35cd/Aであった。
【0409】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.142,y=0.134であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0410】
実施例33(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)(dfmpi)BBIm]
2(実施例22と同様な方法で合成)とした以外は実施例5と同様に素子を作成した。
【0411】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3:3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:[Ir(dfpypy)(dfmpi)BBIm]
2(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0412】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+13V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+28Vにおいて569cd/m
2で発光した。電流効率は+23Vで1.62cd/Aであった。
【0413】
また、電極間電圧+23Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.130,y=0.193であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0414】
実施例34(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)
2DMO]
2(実施例24と同様な方法で合成)とした以外は実施例5と同様に素子を作成した。
【0415】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3:3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:[Ir(dfpypy)
2DMO]
2(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0416】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+12V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+28Vにおいて1705cd/m
2で発光した。電流効率は+20Vで2.75cd/Aであった。
【0417】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.226,y=0.211であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0418】
実施例35(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)
2TMBBIm]
2(実施例38と同様な方法で合成)とした以外は実施例5と同様に素子を作成した。
【0419】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3:3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:[Ir(dfpypy)
2TMBBIm]
2(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0420】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+13V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+29Vにおいて579cd/m
2で発光した。電流効率は+18Vで1.66cd/Aであった。
【0421】
また、電極間電圧+23Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.124,y=0.181であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0422】
実施例36(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−4−メチル−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpyMepy)
2BBIm]
2)の合成
【0423】
【化59】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−4−メチル−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)191mg(0.15mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール35mg(0.15mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))42mg(0.32mmol)を加えテトラヒドロフラン15mlを加え、室温で攪拌し17時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を60mg得た。(収率;28%)
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−4−メチル−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0424】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))8.08(s,4H),7.52(d,4H),6.84−6.80(m,4H),6.63−6.61(m,4H),6.37−6.33(m,4H),5.99−5.98(m,4H),2.53(s,12H)
FD−MS(M/Z):1436,1438
【0425】
実施例37(テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(pmi)
2BBIm]
2)の合成
【0426】
【化60】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管に(ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)108mg(0.10mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール23mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し21時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1)によって精製し、薄黄色固体である目的物を102mg得た。(収率;82%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=52:48であった。
【0427】
なお、テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0428】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;7.95(d,4H),7.35−7.32(m,4H),7.23−7.21(m,4H),6.89−6.84(m,4H),6.65−6.51(m,12H),5.94−5.90(m,4H),2.77(s,12H)
異性体2;7.97(d,4H),7.35−7.32(m,4H),7.23−7.21(m,4H),6.89−6.84(m,4H),6.65−6.51(m,12H),5.94−5.90(m,4H),3.14(s,12H)
FD−MS(M/Z):1245,1247
【0429】
実施例38(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−テトラメチルビベンゾイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)
2TMBBIm]
2)の合成
【0430】
【化61】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、5,5’,6,6’−テトラメチルビベンゾイミダゾール29mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加えテトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し15時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を87mg得た。(収率;61%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=60:40であった。
【0431】
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−テトラメチルビベンゾイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0432】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;8.27−8.25(m,4H),7.82−7.78(m,4H),7.70−7.69(m,4H),6.82−6.79(m,4H),6.07(s,4H),5.98−5.97(m,4H),2.02(s,12H)
異性体2;8.21−8.19(m,4H),7.99−7.98(m,4H),7.77−7.73(m,4H),7.01−6.98(m,4H),6.06(s,4H),6.02−6.01(m,4H),2.03(s,12H)
FD−MS(M/Z):1436 M
+【0433】
実施例39(テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III),略称;[Ir(mpi)
2DMO]
2)の合成
【0434】
【化62】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)217mg(0.20mmol)、N,N’−ジメチルオキサミド23mg(0.20mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))55mg(0.42mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、室温で攪拌し22時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレンによって精製し、薄黄色固体である目的物を113mg得た。(収率;50%)得られた目的物は4種の異性体混合物であった。
【0435】
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2:異性体3:異性体4=55:36:5.4:3.6であった。
【0436】
なお、テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0437】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.96(s,6H),3.82(s,6H),2.47(s,6H)
異性体2;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.75(s,6H),3.56(s,6H),2.48(s,6H)
異性体3;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.92(s,6H),3.88(s,6H),2.48(s,6H)
異性体4;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.82(s,6H),3.66(s,6H),2.49(s,6H)
FD−MS(M/Z):1126 M
+【0438】
実施例40(テトラキス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppy)
2bpo]
2)の合成
【0439】
【化63】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管に(ジ−μ−クロロテトラキス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、2,2’−ビピリジン−3,3’−ジオール19mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え室温で攪拌し3時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル(容量比;10/1〜10/2)によって精製し、黄色固体である目的物を99mg得た。(収率74%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=47:27であった。
【0440】
なお、テトラキス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0441】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))
異性体1;9.03(d,2H),8.39(d,2H),8.33(d,2H),8.15(d,2H),7.82(dd,2H),7.64(dd,2H),7.15(dd,2H),6.91(dd,2H),6.74−6.76(m,2H),6.37−6.45(m,6H),6.19−6.16(m,2H),6.00−5.98(m,2H)),3.33−5.32(m,2H)
異性体2;8.59(d,2H),8.39(d,2H),8.14(d,2H),7.85(dd,2H),7.61(dd,2H),7.24(d,2H),7.08−7.04(m,4H),6.84(dd,2H),6.58−6.54(m,2H),6.47−6.35(m,6H),5.76−5.73(m,2H),5.54−5.49(m,2H))
FD−MS(M/Z):
異性体1;1330,1332
異性体2;1330,1332
【0442】
実施例41 テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(mpi)
2bpo]
2)の合成
【0443】
【化64】
【0444】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)108mg(0.10mmol)、2,2’−ビピリジン−3,3’−ジオール19mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え室温で攪拌し18.5時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)によって精製し、黄色固体である目的物を64mg得た。(収率;55%)
なお、テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0445】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))7.44(d,2H),7.41(d,2H),7.09−7.06(m,2H)),7.06−7.01(d,2H),6.96−6.95(m,2H),6.90(d,2H),6.80−6.75(m,6H),6.52−6.43(m,6H),6.37−6.34(m,2H),6.23−6.20(m,2H),6.16−6.14(m,2H),3.83(s,6H)),3.13(s,6H)
FD−MS(M/Z):1198
【0446】
実施例42(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)
225PDC]
2)の合成
【0447】
【化65】
【0448】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、2,5−ピラジンジカルボン酸 31mg(0.15mmol)、ナトリウムメトキシド16mg(0.30mmol)およびメタノール20mlを加え、撹拌しながら室温で2時間反応させた。溶媒を減圧下留去した後、ジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)184mg(0.15mmol)および2−エトキシエタノール25mlを加え、撹拌しながら110度で20時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下留去した。濃縮物にジクロロメタン30mlを加え、濾過した。得られた濾物を純水で洗浄した後、減圧下乾燥し、橙色固体としてテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)を166mg(84%)得た。
【0449】
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0450】
1H−NMR(400MHz,重DMF,δ(ppm));8.64(d,2H),8.51(s,2H),8.46−8.24(m,6H),8.17(dt,2H),7.92(dd,2H), 7.73(ddd,2H),7.15(ddd,2H),6.01(s,2H),5.50(s,2H)
FD−MS(M/Z):1316 M
+【0451】
実施例43(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−2,5−ビスジフェニルホスフィノ−1,4−ベンゾキノラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)
2DPPHQ]
2)の合成
【0452】
【化66】
【0453】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、0℃で、2,5−ビスジフェニルホスフィノヒドロキノン9.6mg(0.02mmol)、テトラヒドロフラン2mlおよびn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)38μl(0.06mmol)を加え、撹拌しながら室温で2時間反応させた。次に、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)21mg(0.02mmol)を加え、撹拌しながら80度で19時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物にジクロロメタン30mlを加え、濾過した。得られた濾液を減圧下濃縮した後、乾燥し、黄色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−2,5−ビスジフェニルホスフィノ−1,4−ベンゾキノラト)ジイリジウム(III)を18.4mg(64%)得た。
【0454】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−2,5−ビスジフェニルホスフィノ−1,4−ヒドロキノラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0455】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm));8.03(d,2H),7.79(t,4H),7.67(d,2H),7.44−6.62(m,36H),6.30(dt,4H),6.20(t,2H)
FD−MS(M/Z):1434 M
+【0456】
実施例44(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−4,10−ジアザクリセノラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)
2DAC]
2)の合成
【0457】
【化67】
【0458】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ビス(1−フェニルピラゾラト)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)45.8mg(0.08mmol)、4,10−ジアザクリセン4.6mg(0.02mmol)、およびグリセリン6mlを加え、撹拌しながら180度で3時間反応させた。反応終了後、イオン交換水20mlを加え、濾過した。得られた濾物をジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥し、目的物を含有する黒色固体を22.0mg得た。
【0459】
FD−MS(M/Z):1186 M
+【0460】
実施例45(ビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(ビイミダゾリル)イリジウム(III)クロライド)の合成
【0461】
【化68】
【0462】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)109mg(0.10mmol)、2,2’−ビイミダゾール13mg(0.10mmol)1mg、テトラヒドロフラン20mlを加え室温で5時間、バス温50℃で11時間攪拌しながら反応させた。反応後、反応溶液を濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮し、褐色固体である目的物を25mg得た。(収率;20%)
なお、ビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(ビイミダゾリル)イリジウム(III)クロライドは、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0463】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2,δ(ppm))14.1(brs,2H),7.48(dd,2H),7.08(m,2H),6.92(m,2H),6.83(d,2H),6.78(m,2H),6.60−6.52(m,4H),6.30(d,2H),4.05(s,6H)
FD−MS(M/Z):640(M−35)