特許第5900346号(P5900346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5900346二核金属錯体、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900346
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】二核金属錯体、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20160324BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20160324BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   C07F15/00 ECSP
   C09K11/06 660
   H05B33/14 B
【請求項の数】3
【全頁数】75
(21)【出願番号】特願2012-546961(P2012-546961)
(86)(22)【出願日】2011年12月2日
(86)【国際出願番号】JP2011077979
(87)【国際公開番号】WO2012074111
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】特願2010-269627(P2010-269627)
(32)【優先日】2010年12月2日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-29564(P2011-29564)
(32)【優先日】2011年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】藤村 整
(72)【発明者】
【氏名】福永 謙二
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 貴文
(72)【発明者】
【氏名】田中 康裕
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽師
(72)【発明者】
【氏名】村上 正
(72)【発明者】
【氏名】本間 貴志
(72)【発明者】
【氏名】町田 利一
(72)【発明者】
【氏名】柏原 奈津子
【審査官】 井上 千弥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−139185(JP,A)
【文献】 特表2010−529202(JP,A)
【文献】 特開2003−073388(JP,A)
【文献】 Dalton Trans.,2009年,43,pp. 9625-9636
【文献】 Organometallics,1985年,Vol.4, No.6,1107-1114
【文献】 Inorganic Chemistry,1990年,29,4699−4702
【文献】 Journal of the American Chemical Society,1984年,106,3027−3029
【文献】 Bulletin of the Chemical Society of Japan,2010年12月 2日,83(12),1504−1510
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/00
C09K 11/06
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、M及びMIrを示し、[M(L)]で示される部分は下記一般式(2)で示される構造を示す。
【化2】
(式中、XはCHを示し、YはCHを示し、ZはCHを示し、XはCHを示し、YはCHを示し、ZはCHを示す。)
は金属原子Mに配位する配位子、Lは金属原子Mに配位する配位子を示し、
及びLが、下記一般式(11)で示されるフェニルピリジン化合物、下記一般式(12)で示されるピリジルピリジン化合物、下記一般式(13)で示されるフェニルピラゾール化合物、下記一般式(14)で示されるフェニルイミダゾール化合物、又は下記一般式(15)で示されるフェニルカルベン化合物のいずれかを示す。
【化3】
(式中、R53〜R88はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素あるいは窒素に結合した置換基を示すか、または、これらの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。Qは二価の連結基であり、rは0を示す。)
m及びnはそれぞれL及びLの数であり、を示す。但し、2つの配位子Lは同一であっても異なっていても良く、2つの配位子Lは同一であっても異なっていても良い。
で示される二核金属錯体。
【請求項2】
2つのLが同一であり、2つのLも同一であり、但し、L及びLは同一であっても異なっていても良い請求項記載の二核金属錯体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二核金属錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称することもある。)の材料として有用な二核金属錯体、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、次世代ディスプレイ及び次世代照明として有望視され、国内外で活発に研究開発が行われている。有機EL素子の発光材料として、高効率化・色純度の向上・長寿命化を目的に、種々の金属錯体が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
一方で、非特許文献1、3及び4には、二核金属錯体と、その製造方法が開示されているが、有機EL素子材料としての特性は何ら記載されていない。非特許文献2には、二核イリジウム錯体について、その合成や、有機EL素子の発光材料としての検討が報告されている。特許文献3及び4には、二核金属錯体と、その製造方法が開示されているが、本発明のような、例えば、ビイミダゾールを架橋配位子とする錯体は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2001/8230号公報
【特許文献2】国際公開第2005/19373号公報
【特許文献3】特開2003−73388号公報
【特許文献4】特許第4310077号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Journal of Organometallic Chemistry,695,1237(2010)
【非特許文献2】Chemistry A European Journal,16,9855(2010)
【非特許文献3】Journal of Organometallic Chemistry,259,C21(1983)
【非特許文献4】Organometallics,4,1107(1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に有機エレクトロルミネッセンス素子の材料として有用な新規二核金属錯体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の事項に関する。
【0008】
1. Ru、Os、Rh、Ir及びPdからなる群より選ばれる金属原子を2個含み(但し、2個の金属原子は同一であっても異なっていてもよい。)、
下記一般式(2)〜(10)で示されるいずれかの構造を含むことを特徴とする二核金属錯体。
【0009】
【化1】

(式中、Xは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Yは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Zは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Xは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Yは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Zは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示すか、または、X、Y及びZの2つ以上、X、Y及びZの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。
【0010】
なお、X、Y、Z、X、Y及びZはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【0011】
【化2】

(式中、R、R、R及びR10はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、RとR、RとR10が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環以外の環状構造を形成している。)
【0012】
【化3】

(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R11〜R14の2つ以上、R15〜R18の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。)
【0013】
【化4】

(式中、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R19〜R22の2つ以上、R23〜R26の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。)
【0014】
【化5】

(式中、R27及びR28はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R27とR28が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。)
【0015】
【化6】

(式中、R291及びR301はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は窒素に結合した置換基を示す。または、R291とR301が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共に環状構造を形成している。)
【0016】
【化7】

(式中、R292及びR302はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は窒素に結合した置換基を示す。または、R292とR302が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共に環状構造を形成している。)
【0017】
【化8】

(式中、R31及びR32はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)
【0018】
【化9】

(式中、R33、R34、R35、R36、R37及びR38はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R33〜R35の2つ以上、R36〜R38の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。)
【0019】
【化10】

(式中、R39及びR40はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示し、R41及びR42はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を示し、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51及びR52はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R43〜R47の2つ以上、R48〜R52の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。)
但し、一般式(2)〜(10)において、M及びMは同一であっても異なっていても良く、Ru、Os、Rh、Ir又はPdを示す。
【0020】
2. 一般式(1)
【0021】
【化11】

(式中、M及びMは同一であっても異なっていても良く、Ru、Os、Rh、Ir又はPdを示し、[M(L)]で示される部分は前記一般式(2)〜(10)で示されるいずれかの構造を示す。Lは金属原子Mに配位する配位子、Lは金属原子Mに配位する配位子を示し、m及びnはそれぞれL及びLの数であり、1以上の整数を示す。但し、mが2以上の場合、2つ以上の配位子Lは同一であっても異なっていても良く、nが2以上の場合、2つ以上の配位子Lは同一であっても異なっていても良い。)
で示される前記1記載の二核金属錯体。
【0022】
3. 一般式(1)において、L及びLが二座配位子であり、m及びnが2であり、但し、L及びLは同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良い、前記2記載の二核金属錯体。
【0023】
4. 一般式(1)において、Lのうち少なくとも1つが、下記一般式(11)で示されるフェニルピリジン化合物、一般式(12)で示されるピリジルピリジン化合物、一般式(13)で示されるフェニルピラゾール化合物、一般式(14)で示されるフェニルイミダゾール化合物、又は一般式(15)で示されるフェニルカルベン化合物であり、および/または、Lのうち少なくとも1つが、下記一般式(11)で示されるフェニルピリジン化合物、一般式(12)で示されるピリジルピリジン化合物、一般式(13)で示されるフェニルピラゾール化合物、一般式(14)で示されるフェニルイミダゾール化合物、又は一般式(15)で示されるフェニルカルベン化合物である前記2〜3のいずれかに記載の二核金属錯体。
【0024】
【化12】

(式中、R53〜R88はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素あるいは窒素に結合した置換基を示すか、または、これらの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。Qは二価の連結基であり、rは0又は1を示す。)
5. 一般式(1)において、M及びMがいずれもIrであり、L及びLが前記一般式(11)〜(15)で示される二座配位子のいずれかであり、m及びnが2であり、但し、L及びLは同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良い、前記4記載の二核金属錯体。
【0025】
6. 一般式(1)において、M及びMがいずれもIrであり、L及びLが前記一般式(11)〜(15)で示される二座配位子のいずれかであり、m及びnが2であり、但し、L及びLは同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良く、且つ、[M(L)]で示される部分が下記一般式(16)〜(24)で示されるいずれかの構造(但し、一般式(16)〜(24)において、M及びMはIrである。)である前記5記載の二核金属錯体。
【0026】
【化13】

(式中、R101〜R106はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基、無置換のフェニル基又はハロゲン原子を示す。)
【0027】
【化14】

(式中、R107〜R110はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を示す。)
【0028】
【化15】

(式中、R111〜R118はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子を示す。)
【0029】
【化16】
【0030】
【化17】
【0031】
【化18】

(式中、R119〜R120はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又はアルキル基を示すか、または、R119とR120が互いに結合して環状構造を形成している。)
【0032】
【化19】

(式中、R121〜R122はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子又はアルキル基を示すか、または、R121とR122が互いに結合して環状構造を形成している。)
【0033】
【化20】

(式中、R123〜R124はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を示す。)
【0034】
【化21】
【0035】
【化22】

(式中、R125〜R126はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又は無置換のフェニル基を示す。)
7. 2つのLが同一であり、2つのLも同一であり、但し、L及びLは同一であっても異なっていても良い前記5記載の二核金属錯体。
【0036】
8. 2つのLが同一であり、2つのLも同一であり、但し、L及びLは同一であっても異なっていても良い前記6記載の二核金属錯体。
【0037】
9. 一般式(1a)
【0038】
【化23】

(式中、M、L、X、Y、Z及びmは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を示す。)
で示される二核金属錯体の合成前駆体。
【0039】
10. 一般式(2a)
【0040】
【化24】

(式中、M、L、R、R、R、R10及びmは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を示す。)
で示される二核金属錯体の合成前駆体。
【0041】
11. 前記1〜8のいずれかに記載の二核金属錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子の材料として有用な新規な二核金属錯体を提供することができる。本発明の二核金属錯体を発光層に使用することにより、良好な特性を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成図である。
図2】実施例3の有機EL素子のELスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
〔本発明の二核金属錯体〕
本発明の二核金属錯体は、Ru、Os、Rh、Ir及びPdからなる群より選ばれる金属原子を2個含み(但し、2個の金属原子は同一であっても異なっていてもよい。)、前記の一般式(2)〜(10)で示されるいずれかの構造を含むことを特徴とする。
【0045】
本発明の二核金属錯体は、一般式(2)〜(10)で示されるいずれかの構造に含まれる架橋配位子をさらに1つ以上含むこともできる。
【0046】
本発明の二核金属錯体は、前記の一般式(1)で示されるもの、すなわち一般式(2)〜(10)で示されるいずれかの架橋構造と、1個の金属原子(一般式(1)中のM及びM)に配位する他の配位子(一般式(1)中のL及びL)を含むものが好ましい。
【0047】
他の配位子(一般式(1)中のL及びL)としては、特に限定されないが、例えば、前記の一般式(11)で示されるフェニルピリジン化合物、一般式(12)で示されるピリジルピリジン化合物、一般式(13)で示されるフェニルピラゾール化合物、一般式(14)で示されるフェニルイミダゾール化合物、一般式(15)で示されるフェニルカルベン化合物が好ましい。なお、2つ以上の配位子を含む場合、それらの配位子は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
【0048】
また、他の配位子(一般式(1)中のL及びL)として、一般式(2)〜(10)で示されるいずれかの構造に含まれる架橋配位子を用いることもできる。
【0049】
〔金属原子;一般式(1)〜(10)中のM及びM
本発明の二核金属錯体に含まれる金属原子、すなわち一般式(1)〜(10)中のM及びMはRu、Os、Rh、Ir又はPdであり、好ましくはRh、Ir、更に好ましくはIrである。なお、2個の金属原子、M及びMは同一でも異なっていても良いが、好ましくは同一である。
【0050】
〔一般式(2)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(2)において、Xは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Yは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Zは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Xは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Yは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示し、Zは窒素原子又はCR(Rは水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。)を示す。または、X、Y及びZの2つ以上、X、Y及びZの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。すなわち、置換基R、R及びRの2つ以上、置換基R、R及びRの2つ以上は互いに結合して環状構造を形成しても良い。
【0051】
、Y、Z、X、Y及びZはそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、好ましくはXとXが同一であり、YとYが同一であり、ZとZが同一である。
【0052】
〜Rとしては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0053】
前記炭素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていてもよい);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0054】
前記酸素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0055】
前記窒素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0056】
前記硫黄原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基等のチオアルキル基;チオフェニル基、チオトルイル基、チオナフチル基等のチオアリール基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0057】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0058】
置換基R、R及びRの2つ以上、置換基R、R及びRの2つ以上は互いに結合して環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられるが、ベンゼン環が特に好ましい。
【0059】
一般式(2)で示される構造としては、前記の一般式(16)で示される構造が好ましい。一般式(16)において、R101〜R106は水素原子、アルキル基、無置換のフェニル基又はハロゲン原子を示す。R101〜R106としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基が更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0060】
101〜R106はそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、好ましくはR101とR104が同一であり、R102とR105が同一であり、R103とR106が同一である。
【0061】
〔一般式(3)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(3)において、R、R、R及びR10は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、RとR、RとR10が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環以外の環状構造を形成している。R〜R10は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0062】
〜R10としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0063】
また、RとR、RとR10が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環以外の環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0064】
一般式(3)で示される構造としては、前記の一般式(17)で示される構造が好ましい。一般式(17)において、R107〜R110は水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を示す。R107〜R110としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0065】
107〜R110はそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0066】
〔一般式(4)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(4)において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R11〜R14の2つ以上、R15〜R18の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。R11〜R18は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0067】
11〜R18としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0068】
また、R11〜R14の2つ以上、R15〜R18の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0069】
一般式(4)で示される構造としては、前記の一般式(18)で示される構造が好ましい。一般式(18)において、R111〜R118は水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を示す。R111〜R118としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、メチル基、フッ素原子が更に好ましく、水素原子、メチル基であることが特に好ましい。
【0070】
111〜R118はそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0071】
〔一般式(5)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(5)において、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R19〜R22の2つ以上、R23〜R26の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。R19〜R26は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0072】
19〜R26としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0073】
また、R19〜R22の2つ以上、R23〜R26の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0074】
一般式(5)で示される構造としては、前記の一般式(19)で示される構造が好ましい。
【0075】
〔一般式(6)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(6)において、R27及びR28は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R27とR28が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。R27〜R28は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0076】
27〜R28としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0077】
また、R27とR28が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0078】
一般式(6)で示される構造としては、前記の一般式(20)で示される構造が好ましい。
【0079】
〔一般式(7−1)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(7−1)において、R291及びR301は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は窒素に結合した置換基を示すか、または、R291とR301が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共に環状構造を形成している。R291とR301は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0080】
291とR301としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0081】
また、R291とR301が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共に環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0082】
一般式(7−1)で示される構造としては、前記の一般式(21−1)で示される構造が好ましい。一般式(21−1)において、R119〜R120は水素原子又はアルキル基を示すか、または、R119とR120が互いに結合して環状構造、好ましくは6〜8員環構造を形成している。R119〜R120としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基が更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0083】
119〜R120はそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0084】
〔一般式(7−2)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(7−2)において、R292及びR302は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は窒素に結合した置換基を示すか、または、R292とR302が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共に環状構造を形成している。R292とR302は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0085】
292とR302としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0086】
また、R292とR302が一緒になってそれらが結合する窒素原子と共に環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0087】
一般式(7−2)で示される構造としては、前記の一般式(21−2)で示される構造が好ましい。一般式(21−2)において、R121〜R122は水素原子又はアルキル基を示すか、または、R121とR122が互いに結合して環状構造、好ましくは6〜8員環構造を形成している。R121〜R122としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基が更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0088】
121〜R122はそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0089】
〔一般式(8)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(8)において、R31及びR32は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示す。R31〜R32は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0090】
31〜R32としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0091】
一般式(8)で示される構造としては、前記の一般式(22)で示される構造が好ましい。一般式(22)において、R123〜R124は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を示す。R123〜R124としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基が更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0092】
123〜R124はそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0093】
〔一般式(9)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(9)において、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R33〜R35の2つ以上、R36〜R38の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。R33〜R38は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0094】
33〜R38としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0095】
また、R33〜R35の2つ以上、R36〜R38の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0096】
一般式(9)で示される構造としては、前記の一般式(23)で示される構造が好ましい。すなわち、ピリジン環上の置換基が水素原子である構造が特に好ましい。
【0097】
〔一般式(10)で示される構造;一般式(1)中の[M(L)]〕
一般式(10)において、R39及びR40は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示し、R41及びR42は、同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を示し、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51及びR52は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、R43〜R47の2つ以上、R48〜R52の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成している。R39及びR40は、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。R41及びR42も、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。R43〜R52も、同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0098】
39及びR40としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0099】
41及びR42としては、水素原子、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の、好ましくは炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、例えば、フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の置換もしくは無置換のアリール基、好ましくは無置換のアリール基が挙げられる。
【0100】
43〜R52としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子としては、前記の一般式(2)のR〜Rと同じものを挙げることができる。
【0101】
また、R43〜R47の2つ以上、R48〜R52の2つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0102】
一般式(10)で示される構造としては、前記の一般式(24)で示される構造が好ましい。一般式(24)において、R125〜R126は水素原子、アルキル基又は無置換のフェニル基を示す。R125〜R126としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、無置換のフェニル基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、無置換のフェニル基がより好ましく、無置換のフェニル基であることが特に好ましい。
【0103】
125〜R126はそれぞれ同一であっても異なっていても良いが、同一であることが好ましい。
【0104】
〔その他の配位子;一般式(1)中のL及びL
本発明の二核金属錯体は、前記の一般式(2)〜(10)で示されるいずれかの構造を含み、さらに、他の配位子を含むことができる。
【0105】
一般式(1)においては、他の配位子はL及びLで示され、Lは金属原子Mに配位する配位子、Lは金属原子Mに配位する配位子を示し、m及びnはそれぞれL及びLの数であり、1以上の整数を示す。但し、mが2以上の場合、2つ以上の配位子Lは同一であっても異なっていても良く、nが2以上の場合、2つ以上の配位子Lは同一であっても異なっていても良い。
【0106】
また、他の配位子としては、配座数や価数は特に限定されず、単座配位子、二座配位子、三座配位子、四座配位子のいずれであってもよい。また、1個の金属原子(一般式(1)中のM及びM)に配位する配位子は、例えば、2種以上の単座配位子の組み合わせ、2種以上の二座配位子の組み合わせ、1種または2種の単座配位子と1種の二座配位子の組み合わせ、1種の単座配位子と1種の三座配位子の組み合わせであってもよい。
【0107】
配位子の数の合計は、使用した金属原子の酸化状態と配位数、及び配位子の価数及び配座数に依存する。
【0108】
一般式(1)において、金属原子M及びMがIr等の配位数が6の金属の場合、m及びnは、L及びLが全て単座配位子であれば4、L及びLが全て二座配位子であれば2、L及びLが四座配位子であれば1、L及びLが単座配位子と二座配位子の組み合わせであれば3(単座配位子が2個、二座配位子が1個)、L及びLが単座配位子と三座配位子の組み合わせであれば2(単座配位子が1個、三座配位子が1個)である。金属原子M及びMが4価の金属の場合、m及びnは、L及びLが全て単座配位子であれば2、L及びLが二座配位子であれば1である。
【0109】
他の配位子としては、ホスフィン、ホスホネート、ヒ酸塩、ホスフィット、CO、ピリジン、ニトリル、η−1,4−ジニトリル−1,3−ブタジエン、2、4−ヘキサジエン、ブタジエン、η−シクロオクテン、η−1、3−シクロオクタジエン、及びη−1、5−シクロオクタジエン等の中性の配位子;クロロ、ブロモ、シアノ、アセチルアセトナト、ヘキサフルオロアセチルアセトナト、8−ヒドロキシキノリナート、イミンアセチルアセトナト、テトラメチルヘプタンジオネート、1−(2−ヒドロキシフェニル)ピラゾレート、フェニルピラゾレート、3−(2−ピリジル)−5−t−ブチルピラゾレート、3−(2−ピリジル)−5−トリフルオロメチルピラゾレート、及び2−(2−ピリジル)−4−トリフルオロメチル−1,3,5−トリアゾレート等のアニオン性配位子が挙げられる。
【0110】
他の配位子、すなわち一般式(1)中のL及びLは、好ましくは二座配位子、更に好ましくは1価のアニオン性二座配位子である。これら1価のアニオン性二座配位子となり得る化合物として、フェニルピリジン化合物、ピリジルピリジン化合物、フェニルピラゾール化合物、フェニルイミダゾール化合物及びフェニルカルベン化合物が好適に使用される。
【0111】
一般式(1)において、Lのうち少なくとも1つ、好ましくは全てのLが、前記の一般式(11)で示されるフェニルピリジン化合物、一般式(12)で示されるピリジルピリジン化合物、一般式(13)で示されるフェニルピラゾール化合物、一般式(14)で示されるフェニルイミダゾール化合物、又は一般式(15)で示されるフェニルカルベン化合物であることが好ましい。また、Lのうち少なくとも1つ、好ましくは全てのLが、前記の一般式(11)で示されるフェニルピリジン化合物、一般式(12)で示されるピリジルピリジン化合物、一般式(13)で示されるフェニルピラゾール化合物、一般式(14)で示されるフェニルイミダゾール化合物、又は一般式(15)で示されるフェニルカルベン化合物であることが好ましい。なお、この場合も、L及びLは同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良く、2つのLも同一であっても異なっていても良い。
【0112】
本発明の二核金属錯体において、1個の金属原子に配位する配位子は同一であることが好ましく、すなわち、一般式(1)において、2つのLは同一であることが好ましく、2つのLも同一であることが好ましい。但し、金属原子Mに配位する配位子Lと、金属原子Mに配位する配位子Lは同一であっても異なっていても良い。
【0113】
〔フェニルピリジン化合物(11);一般式(1)中のL及びL
前記フェニルピリジン化合物は、前記の一般式(11)で示される。
【0114】
一般式(11)において、R53〜R60は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、これらの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。
【0115】
53〜R60としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0116】
前記炭素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていてもよい);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0117】
前記酸素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0118】
前記窒素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0119】
前記硫黄原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基等のチオアルキル基;チオフェニル基、チオトルイル基、チオナフチル基等のチオアリール基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0120】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0121】
なお、前記置換基の数や位置は特に限定されない。
【0122】
又、任意の二つ以上の置換基は互いに結合して環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0123】
53〜R60としては、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子又はフッ素原子であることがより好ましい。
【0124】
一般式(11)で示されるフェニルピリジン化合物の特に好ましい態様としては、R53〜R60が全て水素原子であるか、又はR53〜R56、R58及びR60が水素原子であり、且つ、R57及びR59がフッ素原子である。
【0125】
又、Qは二価の連結基を示す。Qとしては、メチル基やフッ素原子で置換されていても良いメチレン基;オキシ基;チオ基;スルホニル基;メチル基やフェニル基で置換されていても良いシリレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基である。rは0又は1を示すが、好ましくは0である。従って、(Q)で示される部分は単結合(rが0であり、二価の連結基Qが存在しない)であることが特に好ましい。
【0126】
〔ピリジルピリジン化合物(12);一般式(1)中のL及びL
前記ピリジルピリジン化合物は、前記の一般式(12)で示される。
【0127】
一般式(12)において、R61〜R67は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、これらの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。
【0128】
61〜R67としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0129】
前記炭素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていてもよい);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0130】
前記酸素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0131】
前記窒素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0132】
前記硫黄原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基等のチオアルキル基;チオフェニル基、チオトルイル基、チオナフチル基等のチオアリール基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0133】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0134】
なお、前記置換基の数や位置は特に限定されない。
【0135】
又、任意の二つ以上の置換基は互いに結合して環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0136】
61〜R67としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、メチル基又はフッ素原子であることがより好ましい。
【0137】
一般式(12)で示されるピリジルピリジン化合物の特に好ましい態様としては、R61〜R64及びR67が水素原子であり、且つ、R65とR66がフッ素原子であるか、又はR61〜R62、R64及びR67が水素原子であり、R63がメチル基であり、且つ、R65とR66がフッ素原子である。
【0138】
又、Qは二価の連結基を示す。Qとしては、メチル基やフッ素原子で置換されていても良いメチレン基;オキシ基;チオ基;スルホニル基;メチル基やフェニル基で置換されていても良いシリレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基である。rは0又は1の整数を示すが、好ましくは0である。従って、(Q)で示される部分は単結合(rが0であり、二価の連結基Qが存在しない)であることが特に好ましい。
【0139】
〔フェニルピラゾール化合物(13);一般式(1)中のL及びL
前記フェニルピラゾール化合物は、前記の一般式(13)で示される。
【0140】
一般式(13)において、R68〜R74は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素に結合した置換基を示すか、または、これらの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。
【0141】
68〜R74としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0142】
前記炭素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていてもよい);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0143】
前記酸素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0144】
前記窒素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0145】
前記硫黄原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基等のチオアルキル基;チオフェニル基、チオトルイル基、チオナフチル基等のチオアリール基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0146】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0147】
なお、前記置換基の数や位置は特に限定されない。
【0148】
又、任意の二つ以上の置換基は互いに結合して環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0149】
68〜R74としては、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子又はフッ素原子であることがより好ましい。
【0150】
一般式(13)で示されるフェニルピラゾール化合物の特に好ましい態様としては、R68〜R74が全て水素原子であるか、又はR68〜R70、R72及びR74が水素原子であり、且つ、R71とR73がフッ素原子である。
【0151】
又、Qは二価の連結基を示す。Qとしては、メチル基やフッ素原子で置換されていても良いメチレン基;オキシ基;チオ基;スルホニル基;メチル基やフェニル基で置換されていても良いシリレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基である。rは0又は1を示すが、好ましくは0である。従って、(Q)で示される部分は単結合(rが0であり、二価の連結基Qが存在しない)であることが特に好ましい。
【0152】
〔フェニルイミダゾール化合物(14);一般式(1)中のL及びL
前記フェニルイミダゾール化合物は、前記の一般式(14)で示される。
【0153】
一般式(14)において、R75〜R81は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素あるいは窒素に結合した置換基を示すか、または、これらの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。
【0154】
75〜R81としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0155】
前記炭素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていてもよい);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0156】
前記酸素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0157】
前記窒素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0158】
前記硫黄原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基等のチオアルキル基;チオフェニル基、チオトルイル基、チオナフチル基等のチオアリール基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0159】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0160】
なお、前記置換基の数や位置は特に限定されない。
【0161】
又、任意の二つ以上の置換基は互いに結合して環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0162】
75〜R81としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、メチル基又はフッ素原子であることがより好ましい。
【0163】
一般式(14)で示されるフェニルイミダゾール化合物の特に好ましい態様としては、R75、R76及びR78〜R81が水素原子であり、且つR77がメチル基である。
【0164】
又、Qは二価の連結基を示す。Qとしては、メチル基やフッ素原子で置換されていても良いメチレン基;オキシ基;チオ基;スルホニル基;メチル基やフェニル基で置換されていても良いシリレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基である。rは0又は1を示すが、好ましくは0である。従って、(Q)で示される部分は単結合(rが0であり、二価の連結基Qが存在しない)であることが特に好ましい。
【0165】
〔フェニルカルベン化合物(15);一般式(1)中のL及びL
前記フェニルカルベン化合物は、前記の一般式(15)で示される。
【0166】
一般式(15)において、R82〜R88は、同一であっても異なっていても良く、水素原子又は炭素あるいは窒素に結合した置換基を示すか、または、これらの2つ以上が互いに結合して環状構造を形成している。
【0167】
82〜R88としては、水素原子、炭素原子を介して結合できる置換基、酸素原子を介して結合できる置換基、窒素原子を介して結合できる置換基、硫黄原子を介して結合できる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0168】
前記炭素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基等のアルケニル基;キノリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基等の複素環基;フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基等のアシル基(アセタール化されていてもよい);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0169】
前記酸素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0170】
前記窒素原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロへキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等の第一アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−メタンスルホニルアミノ基等の第二アミノ基;モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリジノ基、インドリル基等の複素環式アミノ基;イミノ基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0171】
前記硫黄原子を介して結合できる置換基としては、例えば、メルカプト基;チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基等のチオアルキル基;チオフェニル基、チオトルイル基、チオナフチル基等のチオアリール基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0172】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0173】
なお、前記置換基の数や位置は特に限定されない。
【0174】
又、任意の二つ以上の置換基は互いに結合して環状構造を形成しても良く、形成される環状構造としては、6〜8員環構造が挙げられる。
【0175】
82〜R88としては、水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、メチル基又はフッ素原子であることがより好ましい。
【0176】
一般式(15)で示されるフェニルカルベン化合物の特に好ましい態様としては、R83〜R88が水素原子であり、且つ、R82がメチル基であるか、又はR83〜R85及びR87が水素原子であり、R86及びR88がフッ素原子であり、且つ、R82がメチル基である。
【0177】
又、Qは二価の連結基を示す。Qとしては、メチル基やフッ素原子で置換されていても良いメチレン基;オキシ基;チオ基;スルホニル基;メチル基やフェニル基で置換されていても良いシリレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基である。rは0又は1を示すが、好ましくは0である。従って、(Q)で示される部分は単結合(rが0であり、二価の連結基Qが存在しない)であることが特に好ましい。
【0178】
〔本発明の二核金属錯体の製造方法〕
[M(L)]で示されるL部分が単座配位子二分子で構成される場合は、二つのハロゲン原子で架橋された二核金属錯体と一分子の単座配位子と溶媒及び場合によっては塩基の存在下、室温〜加温状態で反応させた後、得られた中間体を溶媒及び塩基の存在下、室温〜加温状態で反応させることにより合成できる。
【0179】
また、[M(L)]で示されるL部分が四座配位子一分子で構成される場合は、二つのハロゲン原子で架橋された二核金属錯体と一分子の四座配位子を、溶媒及び塩基の存在下、室温〜加温状態で反応させることにより、又は、二つのハロゲン原子で架橋された二核金属錯体と一分子の四座配位子を、溶媒及び場合によって塩基の存在下、室温〜加温状態で反応させた後、得られた中間体を溶媒及び塩基の存在下、室温〜加温状態で反応させることにより合成できる。
【0180】
本発明の二核金属錯体で、例えば、前記一般式(1)で示され、M及びMがIrであり、[M(L)]で示される部分が前記一般式(2)で示される構造であって、X、Y、Z、X、Y及びZが−CH−であり、L及びLが同一で前記一般式(11)で表されるフェニルピリジン誘導体であり、m及びnが2である二核金属錯体は、下記式に従って合成することができる。
【0181】
【化25】

(式中、R53〜R60は前記と同義である。)
【0182】
なお、このような前記一般式(1)で示され、[M(L)]で示される部分が前記一般式(2)で示される構造である二核金属錯体の合成前駆体、すなわち前記の一般式(1a)で示される合成前駆体は新規化合物である。
【0183】
前記一般式(1)で示され、M及びMがIrであり、[M(L)]で示される部分が前記一般式(3)で示される構造であり、L及びLが同一で前記一般式(11)で表されるフェニルピリジン誘導体であり、m及びnが2である二核金属錯体は、下記式のように、中間体を単離し2段階で、又は中間体を単離することなく1段階で合成することもできる。
【0184】
【化26】

(式中、R、R、R、R10及びR53〜R60は前記と同義である。)
【0185】
また、このような前記一般式(1)で示され、[M(L)]で示される部分が前記一般式(3)で示される構造である二核金属錯体の合成前駆体、すなわち前記の一般式(2a)で示される合成前駆体は新規化合物である。
【0186】
また、他の本発明の二核金属錯体も、同様にして製造することができる。
【0187】
〔本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子〕
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。本発明の有機EL素子は本発明の二核金属錯体、特にはイリジウム錯体を含有するものである。本発明の二核金属錯体は、通常、発光材料として使用される。
【0188】
本発明の有機EL素子は、本発明の二核金属錯体が例えば発光層等において使用される以外、公知の構造、材料を使用することができる。
【0189】
本発明の有機EL素子は、好ましくは一対の電極間に単層又は多層の有機化合物層を有する有機EL素子であり、本発明の二核金属錯体を、有機化合物薄層のうちの少なくとも1層に含むものである。なお、有機化合物層とは、バッファ層、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等である。
【0190】
単層型の有機EL素子は、陽極と陰極との間に発光層を有する。発光層は、発光材料を含有し、更に、陽極から注入したホール、又は陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるための有機化合物層に用いられる材料、例えば、ホール輸送材料や電子輸送材料を含有してもよい。
【0191】
多層型の有機EL素子としては、例えば、(陽極/バッファ層/ホール輸送層/発光層/ホール阻止層/電子輸送層/陰極)や(陽極/バッファ層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極)等の多層構成が挙げられるが、他に(陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホール阻止層/電子輸送層/金属酸化物層/陰極)、(陽極/ホール注入層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子輸送層/陰極)、(陽極/ホール注入層/発光層/電子輸送層/陰極)等の多層構成も挙げられ、その構成はこれらに限定されるものではない。
【0192】
又、バッファ層、ホール輸送層、電子輸送層、及び発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。又、ホール輸送層、電子輸送層は、それぞれの層で、注入機能を有する層(ホール注入層及び電子注入層)と輸送機能を有する層(ホール輸送層及び電子輸送層)を別々に設けることもできる。
【0193】
以下、本発明の有機EL素子の構成要素に関して、(陽極/バッファ層/ホール輸送層/発光層/ホール阻止層/電子輸送層/陰極)の素子構成を例に詳細に説明する。
【0194】
本発明の有機EL素子において有機層の発光層のホスト材料として使用される材料は、公知のホスト材料の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル(CBP)、1,3−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン(mCP)、2,2’―ジ〔4’’−(N−カルバゾリル)フェニル〕−1,1’−ビフェニル(4CzPBP)、ジフェニルジ(o−トリル)シラン、p−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、4、4’、4’’−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)、49,10−ビス−〔1,1,3’,1’〕ターフェニル−5’−イル−アントラセン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0195】
本発明の二核金属錯体は、通常、発光層においてホスト材料と組み合わせて使用され、その場合、発光材料である本発明の二核金属錯体はホスト材料に対して、好ましくは0.005〜40質量%、より好ましくは0.05〜10質量%の量で使用される。
【0196】
ホール阻止層として使用される材料(以下、ホール阻止材料という)は、公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(トリフェニルシラノラート)アルミニウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0197】
電子輸送層として使用される材料(以下、電子輸送材料という)は、公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、フルオレン、フェナントロリン、バソフェナントロリン、バソクプロイン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、アントラキノジメタン、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等や、それらの化合物、金属錯体化合物もしくは含窒素五員環誘導体を挙げることができる。金属錯体化合物としては、具体的には、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリ(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)−4−フェニルフェノラート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、上記の含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4’−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4ートリアゾール、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4ートリアゾール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、ポリマー有機発光素子に使用されるポリマー材料も使用することができる。例えば、ポリパラフェニレン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0198】
一方、ホール輸送層として使用される材料(以下、ホール輸送材料という)は、公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリアリールアルカン、4,4’,4’−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン、及びポリビニルカルバゾール等の高分子材料が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0199】
又、有機EL素子には、ホールの注入性向上のために、ホール輸送層と陽極との間にバッファ層を設けることができる。バッファ層に用いる材料としては、公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。バッファ層に用いる材料として、より好適には、上記ホール輸送材料に酸化モリブデンを1〜30質量%ドープしたものが使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0200】
陽極に使用される導電性材料としては、仕事関数が4eV前後より大きいもの、例えば、炭素原子、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム及びそれらの合金、ITO(酸化インジウムに酸化スズを5〜10%添加した物質)基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、更にポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂を用いることが出来る。ただし、陽極に使用される導電性材料の仕事関数が当該素子の陰極に使用される導電性材料の仕事関数より0.1eV以上大きなものを用いることが望ましい。
【0201】
陰極に使用される導電性材料としては、仕事関数が4eV前後より小さいもの、例えば、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等又はそれらの合金を用いることが出来る。ここで合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が挙げられる。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、特に限定されない。ただし、陰極に使用される導電性材料の仕事関数が当該素子の陽極に使用される導電性材料の仕事関数より0.1eV以上小さいものを用いることが望ましい。
【0202】
陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていてもよい。
【0203】
本発明の有機EL素子は、電子注入性向上のために、電子輸送層と陰極との間に電子注入層を設けることも出来る。電子注入層に用いる材料として、例えば、LiF等のアルカリ金属フッ化物;BaF、SrF等のアルカリ土類金属フッ化物;LiO等のアルカリ金属酸化物;RaO、SrO等のアルカリ土類金属酸化物を用いることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0204】
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において透明であることが望ましい。又、基板も透明であることが望ましい。
【0205】
透明電極は、例えば、前記の導電性材料を使用して、蒸着又はスパッタリング等の方法で、所定の透光性を確保するように設定して形成することができる。
【0206】
発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。
【0207】
基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば特に限定されるものではないが、ガラス基板又は透明性樹脂フィルムが好適に使用される。
【0208】
透明性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0209】
本発明の有機EL素子は、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けるか、又はシリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護してもよい。
【0210】
又、有機EL素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、又はスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかを適用することができる。各層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.1nm〜10μm、更に好ましくは0.5nm〜0.2μmである。
【0211】
湿式成膜法の場合、各層に使用する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、クロロベンゼン、イオン交換水等の溶媒に溶解又は分散させたものを用いて、薄膜を調製(成膜)することが出来る。
【実施例】
【0212】
以下に実施例を挙げて、更に本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0213】
参考例1(ジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III))の合成
【0214】
【化27】
【0215】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた300mlのガラス製二口フラスコに、2−フェニルピリジン5.10g(32.9mmol)及び2−エトキシエタノール164mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物4.63g(13.2mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で22時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水25mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)60mlで洗浄し、乾燥させ、黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)3.77gを得た(単離収率:53%)。
【0216】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0217】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));9.25(m,4H),7.93(d,4H),7.79(m,4H),7.55(dd,4H),6.90−6.74(m,8H),6.60(m,4H),5.87(dd,4H)
FAB−MS(M/Z);536(M/2),501,499
【0218】
実施例1(クロロビス(2−フェニルピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0219】
【化28】
【0220】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた25mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)161mg(0.15mmol)、ピラゾール20.4mg(0.30mmol)及びテトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し13時間反応させた。反応終了後、テトラヒドロフランを減圧留去し、塩化メチレンを加え、不溶物をセライトを使用し濾別した後、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をヘキサンで洗浄することにより、黄色固体である目的物を148mg得た(単離収率;82%)。
【0221】
なお、クロロビス(2−フェニルピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0222】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));13.05(s,1H),9.73(d,1H),7.91−7.89(m,1H),7.84−7.82(m,1H),7.78−7.70(m,3H),7.65−7.64(m,1H),7.61−7.59(m,2H),7.20−7.17(m,1H),7.06−7.02(m,1H),6.95−6.91(m,1H),6.88−6.84(m,1H),6.80−6.73(m,2H),6.70−6.69(m,1H),6.33−6.30(dd,1H),6.23−6.20(m,2H)
FAB−MS(M/Z);605(M+H)
【0223】
実施例2(テトラキス(2−フェニルピリジナト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(PPy)Pz])の合成
【0224】
【化29】
【0225】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管に実施例1のように合成したクロロビス(2−フェニルピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)302mg(0.50mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))69mg(0.53mmol)、テトラヒドロフラン25mlを加え、室温で攪拌し13時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、得られた固体をトルエンで再結晶することにより、黄色固体である目的物を74mg得た。(単離収率;26%)
なお、テトラキス(2−フェニルピリジナト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0226】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));8.22(m,2H),7.95(d,2H),7.78(d,2H),7.65−7.58(m,7H),7.52−7.48(m,2H)6.86−6.53(m,16H),6.41−6.37(m,2H),6.12−6.10(m,2H),6.03−6.01(m,2H),5.91−5.90(m,1H)
FAB−MS(M/Z):1136(M+H)
【0227】
次に、本発明のイリジウム化合物[Ir(PPy)Pz](実施例2で合成したイリジウム錯体)を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子の製造例を説明する。
【0228】
実施例3(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
図1に示すように、基板側から、硝子基板1、ITO透明電極2、ホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6及びアルミニウム電極7の各層を備える有機EL素子を以下の方法により作製した。
【0229】
イーエッチシー製インジウム錫酸化物(以下、ITOと略す)被膜付きガラスを透明電極基板として用い、アルバック機工製真空蒸着装置を使用して、同基板上に5×10−4Pa以下の真空度で、順次、次のようにホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6、アルミニウム電極7を真空蒸着により成膜して有機EL素子を作製した。
【0230】
なお、真空蒸着は、基板に対向して置かれた坩堝に原料を仕込み、坩堝ごと原料を加熱することによって行った。
【0231】
前記基板上に、ホール輸送材料である1,1−ビス[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]シクロヘキサン(以下、TAPCと略す)を膜厚73nmで成膜し、ホール輸送層3を形成した後、発光層4として9,9’−(2,2’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(9H−カルバゾール)(以下、CDBPと略す):[Ir(PPy)Pz](実施例2と同様な方法で合成)=95:5を膜厚49nmで成膜した。次いで、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと略す)を膜厚19nmで成膜し、電子輸送層5を形成した。更に電子輸送層の上に、フッ化リチウム(以下、LiFと略す)を膜厚0.5nmで成膜し、電子注入層6を形成した。その上にアルミニウム(Al)を膜厚240nmで成膜し、電極7を形成した。
【0232】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: TAPC(73nm)、
発光層4: CDBP:[Ir(PPy)Pz](49nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(19nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(240nm)
である。
【0233】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の緑色発光を開始し、+24Vにおいて14650cd/mで発光した。
【0234】
この素子の発光に係る電流の効率を以下の式で求めた。
【0235】
電流効率=(単位面積当りの発光輝度)/(単位面積当り電流密度)
【0236】
このようにして求めた電流効率は+20Vで14.9cd/Aであった。
【0237】
この素子の発光色を、プレサイスゲージ社製有機EL評価装置EL1003を用いて測定した。電極間電圧+24Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.399,y=0.478であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0238】
参考例2(周知のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例3において発光層に使用した[Ir(PPy)Pz]を、周知のイリジウム錯体であるトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称;Ir(ppy))に変えた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。
【0239】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の緑色発光を開始し、+24Vにおいて14500cd/mで発光した。電流効率は+20Vで14.8cd/Aであった。
【0240】
電極間電圧+24Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.359,y=0.587であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0241】
以上の結果から、本発明の二核金属錯体(二核イリジウム錯体)は、周知のイリジウム化合物と同程度の素子性能を示すことが判明した。
【0242】
参考例3(ジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III))の合成
【0243】
【化30】
【0244】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた300mlのガラス製二口フラスコに、2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン6.29g(32.9mmol)及び2−エトキシエタノール164mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物4.63g(13.2mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で21時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水25mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)60mlで洗浄し、乾燥させ、黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)5.09gを得た(単離収率:63%)。
【0245】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0246】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));9.11(m,4H),8.32(d,4H),7.87(m,4H),6.86(m,4H),6.38(m,4H),5.28(m,4H)
FAB−MS(M/Z);608(M/2),573,571
【0247】
実施例4(テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppy)BIm])の合成
【0248】
【化31】
【0249】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた250mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)486mg(0.40mmol)、2,2’−ビイミダゾール54mg(0.40mmol)、テトラヒドロフラン80mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))111mg(0.84mmol)を加え、攪拌しながら室温で2時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、得られた濃縮物に塩化メチレン、水及び飽和塩化アンモニウム水溶液を加えpHを7とした後に分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後に濾過し、濾液を濃縮した。次いで、得られた濃縮物をヘキサンで洗浄し、黄色固体として二核イリジウム錯体(1)を441mg得た(単離収率;86%)。
【0250】
得られた二核イリジウム錯体(1)は2種の異性体混合物であり、その存在比は60:40であった。主として(60%)得られた二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体(1a)、副として(40%)得られた二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体(1b)と称する。
【0251】
なお、二核イリジウム錯体(1)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0252】
H−NMR(400MHz,CO,δ(ppm));
二核イリジウム錯体(1a);8.17(d,4H),8.13〜8.12(m,4H),7.79〜7.75(m,4H),7.91〜7.15(m,4H),6.49〜6.42(m,4H)6.22(s,4H),5.84〜5.81(m,4H)
二核イリジウム錯体(1b);8.24(d,4H),7.85〜7.81(m,4H),7.74〜7.72(m,4H),6.95〜6.91(m,4H),6.49〜6.42(m,4H)6.24(s,4H),5.77〜5.74(m,4H)
FD−MS(M/Z):1276(M
【0253】
次に、本発明の二核イリジウム錯体(1)(実施例4で合成したイリジウム錯体)を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子の製造例を説明する。
【0254】
実施例5(本発明の二核イリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
図1に示すように、基板側から、硝子基板1、ITO透明電極2、ホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6及びアルミニウム電極7の各層を備える有機EL素子を以下の方法により作製した。
【0255】
イーエッチシー製インジウムスズ酸化物(以下、ITOと略す)被膜付きガラスを透明電極基板として用い、アルバック機工製真空蒸着装置を使用して、同基板上に5×10−4Pa以下の真空度で、順次、次のようにホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6、アルミニウム電極7を真空蒸着により成膜して有機EL素子を作製した。
【0256】
なお、真空蒸着は、基板に対向して置かれた坩堝に原料を仕込み、坩堝ごと原料を加熱することによって行った。
【0257】
前記基板上に、ホール輸送材料であるp,p’−[N,N’−テトラ(p−トルイル)ジアニリノ−o,o’−ビフェニル](以下、3DTAPBPと略す)を膜厚60nmで成膜し、ホール輸送層3を形成した後、発光層4としてトリフェニル(4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル)シラン(以下、TPSiFと略す):二核イリジウム錯体(1)(実施例4と同様な方法で合成)=95:5を膜厚40nmで成膜した。次いで、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと略す)を膜厚40nmで成膜し、電子輸送層5を形成した。更に電子輸送層の上に、フッ化リチウム(以下、LiFと略す)を膜厚0.5nmで成膜し、電子注入層6を形成した。その上にアルミニウム(Al)を膜厚100nmで成膜し、電極7を形成した。
【0258】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体(1)(40nm、95/5)
電子輸送層5: TAZ(40nm)
電子注入層6: LiF(0.5nm)
陰極7: Al(100nm)
である。
【0259】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+15V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+30Vにおいて872.3cd/mで発光した。電流効率は+24Vで1.88cd/Aであった。
【0260】
この素子の発光色を、プレサイスゲージ社製有機EL評価装置EL1003を用いて測定した。電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.249,y=0.200であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0261】
参考例4(周知のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において発光層に使用した二核イリジウム錯体(1)を、周知のイリジウム錯体であるビス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ピコリナトイリジウム(III)(略称;FIrpic)に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0262】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し、電極間電圧を上げていくと、+17V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+27Vにおいて480.8cd/mで発光した。電流効率は+24Vで2.16cd/Aであった。
【0263】
電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.280,y=0.293であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0264】
以上の結果から、本発明の二核金属錯体(二核イリジウム錯体)は、周知のイリジウム化合物と同程度の素子性能を示すことが判明した。
【0265】
参考例5(ジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III))の合成
【0266】
【化32】
【0267】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた100mlのガラス製二口フラスコに、2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジン2.80g(14.6mmol)及び2−エトキシエタノール73mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物2.07g(5.84mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で20時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水25mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)10mlで洗浄し、乾燥させ、黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)1.75gを得た(単離収率:49%)。
【0268】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2,3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0269】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));9.06(m,4H),8.34(m,4H),8.00(m,4H),6.98(m,4H),5.27(m,4H)
FAB−MS(M/Z);1221(M+H),610,575
【0270】
参考例6(ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III))の合成
【0271】
【化33】
【0272】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた300mlのガラス製四口フラスコに、N−メチル−N’フェニルイミダゾリウムヨージド2.82g(9.84mmol)及び2−エトキシエタノール180mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、フラスコをアルミ箔で覆った後、三塩化イリジウム三水和物1.06g(3.00mmol)及び酸化銀1.27g(5.49mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で16時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、溶媒を除去した。得られた固体から塩化メチレン100mlで目的物を抽出し、溶媒を除去した。それに塩化メチレン3mlとメタノール20mlを加えると白色固体が析出したので濾過した。濾液を濃縮した後、再びメタノールを加えると白色固体が析出したので、濾過した。これらの濾物を乾燥させ、白色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)216mgを得た(単離収率:7%)。
【0273】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0274】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));7.58(d,4H),7.16(d,4H),6.98(dd,4H),6.72(dt,4H),6.44(dt,4H),6.09(dd,4H)3.91(s,12H)
【0275】
参考例7(ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III))の合成
【0276】
【化34】
【0277】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた200mlのガラス製二口フラスコに、1−フェニルピラゾール2.81g(19.5mmol)、2−エトキシエタノール100ml及び脱イオン水33mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物2.64g(7.80mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で9時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;3/1)26mlで洗浄し、乾燥させ、淡黄色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)3.44gを得た(単離収率:86%)。
【0278】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0279】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));8.19(m,4H),7.82(m,4H),7.19(m,4H),6.84(m,4H),6.68(m,4H),6.53(m,4H),5.94(m,4H)
FAB−MS(M/Z);1028(M+H),519,479
【0280】
参考例8(ジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III))の合成
【0281】
【化35】
【0282】
温度計、還流冷却器及び攪拌装置を備えた200mlのガラス製二口フラスコに、1−メチル−2−フェニルイミダゾール3.28g(20.7mmol)及び2−エトキシエタノール100mlを加え、混合溶液をアルゴン置換した。次いで、三塩化イリジウム三水和物3.0g(8.3mmol)を加え、攪拌しながら120〜130℃で21時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、脱イオン水100mlを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。濾過後、得られた濾物を2−エトキシエタノール/脱イオン水(容量比;1/1)20mlで洗浄し、乾燥させ、黒色固体を得た。得られた黒色固体に塩化メチレン300mlを加え、攪拌した。濾過後、得られた濾物を塩化メチレン200mlで洗浄した。得られた濾液と洗浄液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を塩化メチレン5mlで洗浄し、黄緑色固体としてジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III)1.69gを得た(単離収率:37%)。
【0283】
なお、ジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0284】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));7.37(m,4H),7.27(d,4H),6.93(d,4H),6.74(dd,4H),6.54(dd,4H),6.05(dd,4H),4.05(s,12H)
FAB−MS(M/Z);542(M/2)、1083、1085(M+1)
【0285】
実施例6(クロロビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0286】
【化36】
【0287】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた25mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ジイリジウム(III)109mg(0.10mmol)、ピラゾール13.6mg(0.20mmol)及び塩化メチレン7mlを加え、室温で攪拌し28時間反応させた。反応終了後、塩化メチレンを減圧留去し、テトラヒドロフランを加え、濾過した。得られた反応粗生成物をテトラヒドロフランで洗浄することにより、黄緑色固体である目的物を106mg得た。(単離収率;86%)
なお、クロロビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0288】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));13.5(brs,1H),7.60(m,1H),7.56(d,1H),7.43(m,2H),6.96(m,1H),6.90−6.77(m,4H),6.72(m,2H),6.43(dd,1H),6.37(dd,1H),6.33(d,1H),6.20(m,1H),4.05(s,6H)
FAB−MS(M/Z);611(M+H)
【0289】
実施例7(クロロビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0290】
【化37】
【0291】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)244mg(0.2mmol)、ピラゾール27.2mg(0.40mmol)、テトラヒドロフラン(20ml)を加え、室温で攪拌し14時間反応させた後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた反応粗生成物をヘキサンで洗浄することにより、薄黄色固体である目的物を252mg得た。(収率;93%)
なお、クロロビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0292】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm);12.89(s,1H),9.74−9.72(m,1H),8.30−8.28(m,1H),8.22−8.20(m,1H),7.94−7.87(m,2H),7.71−7.69(m,2H),7.36−7.32(m,1H),7.21−7.18(m,1H),6.84−6.83(m,1H),6.34−6.32(m,1H),5.79−6.78(m,1H),5.63−5.62(m,1H)
FAB−MS(M/Z):679(M+H)
【0293】
実施例8(クロロビス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0294】
【化38】
【0295】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた30mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)163mg(0.15mmol)、ピラゾール20.4mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン15mlを加え、室温で攪拌し5時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した後、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をヘキサンで洗浄することにより、薄茶色固体である目的物を171mg得た。(収率;93%)
なお、クロロビス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0296】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm);13.13(s,1H),7.53−7.52(m,1H),7.43−7.40(m,2H),7.02−6.95(m,3H),6.89(d,1H),6.84−6.78(m,1H),6.76−6.71(m,1H),6.64(s,1H),6.60−6.54(m,2H),6.44−6.37(m,2H),6.15−6.13(m,1H),4.28(s,3H)3.13(s,3H)
FAB−MS(M/Z):611(M+H)
【0297】
実施例9(クロロビス(1−フェニルピラゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0298】
【化39】
【0299】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)206mg(0.2mmol)、ピラゾール27.2mg(0.4mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、室温で攪拌し5時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた反応粗生物をジエチルエーテルで洗浄することにより、白色固体である目的物を205mg得た。(単離収率;88%)
なお、クロロビス(1−フェニルピラゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0300】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm);12.94(s,1H),8.23−8.22(m,1H),8.10−8.09(m,1H),8.06−8.05(m,1H),7.65−7.64(m,1H),7.22−7.20(m,2H),7.01(m,1H),6.96−6.86(m,3H),6.76−6.69(m,2H),6.65−6.64(m,1H),6.60−6.58(m,1H),6.33−6.31(m,1H),6.25−6.23(m,2H)
FAB−MS(M/Z):583(M+H)
【0301】
実施例10(クロロビス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III))の合成
【0302】
【化40】
【0303】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)243mg(0.2mmol)、ピラゾール(27.2mg,0.4mmol)、テトラヒドロフラン(20ml)を加え、室温で攪拌し5時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した後、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生物をヘキサンで洗浄することにより、黄色固体である目的物を230mg得た。(単離収率;85%)
なお、クロロビス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0304】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm);12.96(s,1H),9.74−9.72(m,1H),8.29−8.27(m,1H),8.21−8.18(m,1H),7.82−7.78(m,2H),7.69−7.66(m,2H),7.25−7.21(m,1H),7.10−7.07(m,1H),6.78−6.77(m,1H),6.51−6.45(m,1H),6.41−6.35(m,1H),6.29−6.27(m,1H),5.80−5.78(m,1H),5.66−5.63(m,1H)
FAB−MS(M/Z):677(M+H)
【0305】
実施例11(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(PPz)Pz])の合成
【0306】
【化41】
【0307】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にクロロビス(1−フェニルピラゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)378mg(0.65mmol)、テトラヒドロフラン33mlを加え、この懸濁液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))90mg(0.68mmol)を加えた後、徐々に昇温し、−15℃で1時間攪拌し反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別し、濾液を減圧留去した。得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、得られた固体を酢酸エチルで洗浄することにより、白色固体である目的物を224mg得た。(単離収率;63%)
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0308】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));8.04−8.03(m,4H),7.26−7.23(dd,4H),7.02(d,4H),6.93−6.89(m,4H),6.71−6.67(m,4H)6.28−6.27(m,8H),6.01−5.99(dd,4H),5.82−5.81(m,2H)
FD−MS(M/Z):1090 M
【0309】
実施例12(テトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(PIm)Pz])の合成
【0310】
【化42】
【0311】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にクロロビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(2−ピラゾリル)イリジウム(III)61mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品)13.2mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し24時間反応させた。反応後、濾過し、得られた濾物を水及びテトラヒドロフランで洗浄し、黄色固体である目的物を23mg得た。(単離収率;37%)
なお、テトラキス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)ビス(μ−ピラゾラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0312】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));7.45(dd,4H),6.97(d,4H),6.82(m,4H),6.65(m,4H),6.52(d,4H)6.12(dd,4H),5.73(t,2H),5.64(d,4H),5.28(s,12H)
FD−MS(M/Z):1146,1148
【0313】
実施例13(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)BIm])の合成
【0314】
【化43】
【0315】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)366mg(0.30mmol)、2,2’−ビイミダゾール40mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン60mlを加え、3.5時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))83mg(0.63mmol)を加え、室温で攪拌し15時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:0.5%トリエチルアミン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を110mg得た。(単離収率;28%)
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0316】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))8.27(dd,4H),7.89−7.84(m,4H),7.67(m,4H),6.89−6.93(m,4H),6.33(s,4H)5.78(t,4H)
FD−MS(M/Z):1280 M
【0317】
実施例14(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)BIm])の合成
【0318】
【化44】
【0319】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)308mg(0.30mmol)、2,2’−ビイミダゾール40mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン60mlを加え、7時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))83mg(0.63mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:0.5%トリエチルアミン)によって精製し、薄黄土色固体である目的物を180mg得た。(単離収率;55%)
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0320】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))8.35(dd,4H),7.29(dd,4H),6.76−6.80(m,8H),6.61−6.56(m,4H),6.50−6.48(m,4H),6.39−6.39(dd,4H),6.18(s,4H)
FD−MS(M/Z):1088 M
【0321】
実施例15(テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppz)BIm])の合成
【0322】
【化45】
【0323】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)ジイリジウム(III)234mg(0.20mmol)、2,2’−ビイミダゾール27mg(0.20mmol)、テトラヒドロフラン40mlを加え、16時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))55mg(0.42mmol)を加え、室温で攪拌し10時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン:0.5%トリエチルアミン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を155mg得た。(収率;63%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=60:40であった。
【0324】
なお、テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0325】
H−NMR(400MHz,CO,δ(ppm))
異性体1;8.38(d,4H),7.24(d,4H),6.65−6.57(m,8H),6.26(s,4H),5.87(dd,4H)
異性体2;8.45(d,4H),6.85(d,4H),6.65−6.57(m,8H),6.29(s,4H),5.83(dd,4H)
FD−MS(M/Z):1232 M
【0326】
実施例16(テトラキス(2−フェニルピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppy)BIm])の合成
【0327】
【化46】
【0328】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−フェニルピリジナト)ジイリジウム(III)322mg(0.30mmol)、2,2’−ビイミダゾール40mg(0.30mmol)、テトラヒドロフラン60mlを加え、13時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))83mg(0.63mmol)を加え、室温で攪拌し24時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;3/1):0.5%トリエチルアミン)によって精製し、黄色固体である目的物を113mg得た。(収率;33%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=61:39であった。
【0329】
なお、テトラキス(2−フェニルピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0330】
H−NMR(400MHz,CO,δ(ppm))
異性体1;8.18(dd,4H),7.86(d,4H),7.70−7.55(m,8H),6.81−6.72(m,8H),6.66−6.62(m,4H),6.38(dd,4H),6.11(s,4H)
異性体2;7.92(d,4H),7.78(dd,4H),7.70−7.55(m,8H),6.81−6.72(m,8H),6.66−6.62(m,4H),6.32(dd,4H),6.13(s,4H)
FD−MS(M/Z):1132 M
【0331】
実施例17(テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)の合成,略称;[Ir(mpi)BIm])の合成
【0332】
【化47】
【0333】
アルゴン雰囲気下、撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)110mg(0.10mmol)、2,2’−ビイミダゾール13mg(0.10mmol)およびテトラヒドロフラン2mlを加え、撹拌しながら室温で4時間反応させた。次いで、水素化ナトリウム8.4mg(0.21mmol)を加え、さらに19時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、溶媒が3ml程度になるまで濃縮した。そこにジエチルエーテル20mlを加え、ろ過を行い、ろ物を回収し、減圧下で乾燥させ、茶白色固体としてテトラキス(1−メチル−3−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム92.6mgを得た(収率;81%)。得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=53:43であった。
【0334】
なお、テトラキス(1−メチル−3−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウムは下記の物性値であった。
【0335】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));
異性体1:7.45(d,4H),7.04(dd,4H),6.93(d,4H),6.80(dt,4H),6.62−6.44(m,8H),6.15(s,4H),3.03(s,12H)
異性体2:7.43(d,4H),7.03(dd,4H),6.91(d,4H),6.79(dt,4H),6.62−6.44(m,8H),6.14(s,4H),3.41(s,12H)
【0336】
実施例18(ビス(1−フェニルピラゾラト)ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)(dfpypy)BIm])の合成
【0337】
【化48】
【0338】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた30mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)61mg(0.05mmol)、2,2’−ビイミダゾール13mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、3時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加え、室温で攪拌し4時間反応させた後、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)51mg(0.05mmol)を加え、室温で攪拌し14時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1)によって精製し、薄黄色固体である目的物を15mg得た。(収率;13%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=88:12であった。
【0339】
なお、ビス(1−フェニルピラゾラト)ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0340】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;8.24(dd,2H),8.09(dd,2H),7.86−7.82(m,2H),7.74−7.72(m,2H),7.23(dd,2H),7.00−6.96(m,2H),6.94−6.90(m,2H),6.76(dd,2H),6.74−6.70(m,2H),6.47−6.46(m,2H),6.37(dd,2H),6.33(d,2H),6.28(d,2H),5.81(m,2H)
異性体2;8.19(dd,2H),8.08(m,2H),8.03(dd,2H),7.80(dd,2H),7.22−7.11(m,6H),6.93−6.88(m,2H),6.74−6.70(m,2H),6.53−6.52(m,2H),6.42(dd,2H),6.32(d,2H),6.28(d,2H),5.85(m,2H)
FD−MS(M/Z):1184 M
【0341】
実施例19(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)BBIm])の合成
【0342】
【化49】
【0343】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール23mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、7時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を22mg得た。(収率;16%)
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0344】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))8.27(d,4H),7.84−7.79(m,4H),7.72−7.70(m,4H),6.85−6.81(m,8H),6.38−6.35(m,4H),5.97−5.96(m,4H)
FD−MS(M/Z):1380 M
【0345】
実施例20(テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppz)BBIm])の合成
【0346】
【化50】
【0347】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)ジイリジウム(III)293mg(0.25mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール59mg(0.25mmol)、テトラヒドロフラン50mlを加え、5時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))69mg(0.53mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1)によって精製し、薄黄色固体である目的物を236mg得た。(収率;71%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=57:43であった。
【0348】
なお、テトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0349】
H−NMR(400MHz,CO,δ(ppm))
異性体1;8.45(d,4H),6.84(d,4H),6.81−6.70(m,8H),6.55−6.53(m,4H),6.36−6.31(m,4H),6.03−6.00(dd,4H)
異性体2;8.39(d,4H),7.22(d,4H),6.81−6.70(m,8H),6.55−6.53(m,4H),6.36−6.31(m,4H),6.08−6.05(dd,4H)
FD−MS(M/Z):1332 M
【0350】
実施例21(ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)(dfppz)BBIm])の合成
【0351】
【化51】
【0352】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール47mg(0.20mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))55mg(0.42mmol)を加え、室温で攪拌し12時間反応させた後、ジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)ジイリジウム(III)117mg(0.10mmol)を加え、室温で攪拌し5時間反応させた.反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、黄色固体である目的物を180mg得た。(収率;66%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=63:37であった。
【0353】
なお、ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(2−(2,4−フルオロフェニル)ピラゾラト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0354】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;8.33(d,2H),8.27−8.25(m,2H),7.80−7.73(m,4H),6.90−6.87(m,2H),6.83−6.80(m,4H),6.75(d,2H),6.70−6.67(m,2H),6.43−6.41(m,2H),6.38−6.33(m,4H),6.06−6.03(m,2H),6.00−5.99(m,2H)
異性体2;8.26(d,2H),8.20−8.21(m,2H),8.00−7.98(m,2H),7.80−7.78(m,2H),7.05(d,2H),7.04−7.00(m,2H),6.83−6.80(m,4H),6.70−6.67(m,2H),6.47−6.46(m,2H),6.38−6.33(m,4H),6.10−6.08(m,2H),6.04−6.02(m,2H)
FD−MS(M/Z):1356 M
【0355】
実施例22(ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(3−メチル−1−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)(dfmpi)BBIm])の合成
【0356】
【化52】
【0357】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)92mg(0.08mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール35mg(0.15mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))42mg(0.32mmol)を加え、室温で攪拌し16時間反応させた後、ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)106mg(0.08mmol)を加え、室温で攪拌し24時間反応させた.反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、黄色固体である目的物を89mg得た。(収率;43%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=51:49であった。
【0358】
なお、ビス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ビス(3−メチル−1−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0359】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;8.26−8.24(m,2H),7.86−7.79(m,4H),7.36(d,2H),6.98−6.96(m,2H),6.88−6.85(m,2H),6.82−6.77(m,4H),6.74−6.73(m,2H)、6.34−6.28(m,4H),6.20−6.16(m,2H),6.02−6.01(m,2H),2.50(s,6H)
異性体2;8.26−8.24(m,2H),8.02−8.00(m,2H),7.83−7.79(m,2H),7.29(d,2H),7.00−6.97(m,2H),6.88−6.85(m,2H),6.82−6.77(m,4H),6.74−6.73(m,2H)、6.34−6.28(m,4H),6.20−6.16(m,2H),5.98−5.97(m,2H),3.04(s,6H)
FD−MS(M/Z):1384 M
【0360】
実施例23(テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppy)DMO])の合成)
【0361】
【化53】
【0362】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、N,N’−ジメチルオキサミド12mg(0.10mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、1時間室温で撹拌した後、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加え、室温で攪拌し3時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1))によって精製し、黄色固体である目的物を59mg得た。(収率;47%)
得られた目的物は少なくとも4種の異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2:異性体3:異性体4=30:29:28:13と考えられた。
【0363】
なお、テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0364】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.52(s,6H)
異性体2;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.53(s,6H)
異性体3;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.56(s,6H)
異性体4;8.70−8.04(m,8H),7.89−7.80(m,4H),7.35−7.06(m,4H),6.41−6.34(m,4H),5.72−5.58(m,4H),2.54(s,6H)
FD−MS(M/Z):1258 M
【0365】
実施例24(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)DMO])の合成
【0366】
【化54】
【0367】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、N,N’−ジメチルオキサミド12mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、室温で攪拌し20時間反応させた。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をメタノールで洗浄した後、再結晶(溶媒:アセトン/ジエチルエーテル(容量比;1/2))によって精製し、黄色固体である目的物を65mg得た。(収率;52%)
得られた目的物は少なくとも3種類の異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2:異性体3=33:27:20と考えられた。
【0368】
なお、テトラキス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0369】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1のN−Me基;2.58(s,6H)
異性体2のN−Me基;2.59(s,6H)
異性体3のN−Me基;2.56(s,6H)
FD−MS(M/Z):1262 M
【0370】
実施例25(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ―1,4−ベンゾキノナト−2,5−ジオラト)ジイリジウム(III)の合成,略称;[Ir(ppz)BQ])の合成
【0371】
【化55】
【0372】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、ベンゾキノン21mg(0.15mmol)、トルエン10mlおよびポタジウムヘキサメチルジシラジド(0.5Mトルエン溶液)0.8ml(0.30mmol)を加え、撹拌しながら100℃で29時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。そこにジクロロメタン30mlを加え、濾過を行い、濾液を濃縮し、減圧下で乾燥し、茶色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ―1,4−ベンゾキノナト−2,5−ジオラト)ジイリジウム(III)を129.7mg(79%)得た。
【0373】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ―1,4−ベンゾキノナト−2,5−ジオラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0374】
H−NMR(400MHz,重DMF,δ(ppm))8.93(d,4H),7.67(d,4H),7.63(d,4H),6.89(t,4H),6.86(t,4H),6.64(t,4H),6.13(d,4H),5.70(s,2H)
FD−MS(M/Z):1096 M
【0375】
実施例26(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)の合成,略称;[Ir(ppz)25PDC])の合成
【0376】
【化56】
【0377】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、2,5−ピラジンジカルボン酸25mg(0.15mmol)、ナトリウムメトキシド16.2mg(0.30mmol)およびメタノール20mlを加え、撹拌しながら室温で4時間反応させた。濾過後、濾物をジエチルエーテルとメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し、暗緑色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)を59.9mg(36%)得た。
【0378】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0379】
H−NMR(400MHz,CDCN,δ(ppm));8.40(s,2H),8.36(d,2H),8.32(d,2H),7.52(d,2H),7.41(d,2H),7.40(td,4H),7.01(td,2H),6.93(td,2H),6.81(td,2H),6.72(td,2H),6.68(t,2H),6.63(t,2H),6.35(dd,2H),6.04(dd,2H)
FD−MS(M/Z):1124 M
【0380】
実施例27(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,3−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)23PDC])の合成
【0381】
【化57】
【0382】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、2,3−ピラジンジカルボン酸25mg(0.15mmol)、ナトリウムメトキシド16mg(0.30mmol)およびメタノール20mlを加え、撹拌しながら室温で24時間反応させた。濾過後、濾物をメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し、暗褐色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,3−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)を97.3mg(58%)得た。
【0383】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(2,3−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0384】
H−NMR(400MHz,CDCN,δ(ppm));8.94(d,2H),8.87(d,2H),8.03(s,2H),7.84(d,2H),7.66(d,2H),7.62(d,2H),7.24(d,2H),6.95−6.85(m,6H),6.74−6.62(m,6H),6.18(dd,2H),6.09(dd,2H)
FD−MS(M/Z):1080(M−44)
【0385】
実施例28(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(イミダゾール−2−カルボキシラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)IC])の合成
【0386】
【化58】
【0387】
撹拌装置を備えた50ml二口ナスフラスコに、アルゴン雰囲気下、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)150mg(0.15mmol)、イミダゾール−2−カルボン酸17mg(0.15mmol)、トルエン30mlおよびポタジウムヘキサメチルジシラジド(0.5Mトルエン溶液)0.6ml(0.30mmol)を加え、撹拌しながら100℃で24時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。そこにジクロロメタン30mlを加え、濾過を行い、濾液を濃縮し、ジエチルエーテルで洗浄した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン−メタノール(30:1)で精製し、白色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(イミダゾール−2−カルボキシラト)ジイリジウム(III)を68mg(42%)得た。
【0388】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(イミダゾール−2−カルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0389】
H−NMR(400MHz,重DMF,δ(ppm))8.92(t,2H),8.83(d,2H),7.69−7.63(m,6H),7.32(d,1H),6.93−6.72(m,9H),6.68−6.58(m,4H),6.46(d,2H),6.34−6.20(m,4H)
FD−MS(M/Z):1068 M
【0390】
実施例29(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体(1)を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)BIm](実施例13と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0391】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)BIm](40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0392】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+13V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+27Vにおいて510.8cd/mで発光した。電流効率は+19Vで1.02cd/Aであった。
【0393】
また、電極間電圧+23Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.128,y=0.183であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0394】
実施例30(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)BBIm](実施例19と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0395】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)BBIm](40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0396】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+26Vにおいて1212cd/mで発光した。電流効率は+17Vで1.71cd/Aであった。
【0397】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.131,y=0.222であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0398】
実施例31(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)(dfppz)BBIm](実施例21と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0399】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)(dfppz)BBIm](40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0400】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+11V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+26Vにおいて429.7cd/mで発光した。電流効率は+19Vで0.81cd/Aであった。
【0401】
また、電極間電圧+22Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.126,y=0.182であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0402】
実施例32(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfppy)DMO](実施例23と同様な方法で合成)=95:5に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0403】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:二核イリジウム錯体[Ir(dfppy)DMO](40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0404】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+8V付近から素子は眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+24Vにおいて3173cd/mで発光した。電流効率は+17Vで5.33cd/Aであった。
【0405】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.203,y=0.494であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0406】
参考例9(周知のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において発光層に使用した二核イリジウム錯体を、周知のイリジウム錯体であるトリス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)イリジウム(III)(略称;Ir(dfpypy))に変えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0407】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3: 3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:Ir(dfppy)(40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0408】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+15V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の水青色発光を開始し、+22Vにおいて142cd/mで発光した。電流効率は+19Vで0.35cd/Aであった。
【0409】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.142,y=0.134であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0410】
実施例33(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)(dfmpi)BBIm](実施例22と同様な方法で合成)とした以外は実施例5と同様に素子を作成した。
【0411】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3:3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:[Ir(dfpypy)(dfmpi)BBIm](40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0412】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+13V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+28Vにおいて569cd/mで発光した。電流効率は+23Vで1.62cd/Aであった。
【0413】
また、電極間電圧+23Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.130,y=0.193であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0414】
実施例34(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)DMO](実施例24と同様な方法で合成)とした以外は実施例5と同様に素子を作成した。
【0415】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3:3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:[Ir(dfpypy)DMO](40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0416】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+12V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+28Vにおいて1705cd/mで発光した。電流効率は+20Vで2.75cd/Aであった。
【0417】
また、電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.226,y=0.211であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0418】
実施例35(本発明のイリジウム錯体を含む有機EL素子の製造)
実施例5において、発光層4に使用した二核イリジウム錯体を二核イリジウム錯体[Ir(dfpypy)TMBBIm](実施例38と同様な方法で合成)とした以外は実施例5と同様に素子を作成した。
【0419】
本素子の層構成を簡略化して示すと、
陽極2: ITO(130nm)、
ホール輸送層3:3DTAPBP(60nm)、
発光層4: TPSiF:[Ir(dfpypy)TMBBIm](40nm、95/5)、
電子輸送層5: TAZ(40nm)、
電子注入層6: LiF(0.5nm)、
陰極7: Al(100nm)
である。
【0420】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+13V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+29Vにおいて579cd/mで発光した。電流効率は+18Vで1.66cd/Aであった。
【0421】
また、電極間電圧+23Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.124,y=0.181であった(CIE(国際照明委員会)表色系より)。
【0422】
実施例36(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−4−メチル−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpyMepy)BBIm])の合成
【0423】
【化59】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−4−メチル−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)191mg(0.15mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール35mg(0.15mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))42mg(0.32mmol)を加えテトラヒドロフラン15mlを加え、室温で攪拌し17時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を60mg得た。(収率;28%)
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−4−メチル−2、3’−ビピリジナト)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0424】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))8.08(s,4H),7.52(d,4H),6.84−6.80(m,4H),6.63−6.61(m,4H),6.37−6.33(m,4H),5.99−5.98(m,4H),2.53(s,12H)
FD−MS(M/Z):1436,1438
【0425】
実施例37(テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(pmi)BBIm])の合成
【0426】
【化60】

アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた100mlシュレンク管に(ジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)108mg(0.10mmol)、2,2’−ビベンズイミダゾール23mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し21時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(容量比;2/1)によって精製し、薄黄色固体である目的物を102mg得た。(収率;82%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=52:48であった。
【0427】
なお、テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ビベンズイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0428】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;7.95(d,4H),7.35−7.32(m,4H),7.23−7.21(m,4H),6.89−6.84(m,4H),6.65−6.51(m,12H),5.94−5.90(m,4H),2.77(s,12H)
異性体2;7.97(d,4H),7.35−7.32(m,4H),7.23−7.21(m,4H),6.89−6.84(m,4H),6.65−6.51(m,12H),5.94−5.90(m,4H),3.14(s,12H)
FD−MS(M/Z):1245,1247
【0429】
実施例38(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−テトラメチルビベンゾイミダゾリル)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)TMBBIm])の合成
【0430】
【化61】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、5,5’,6,6’−テトラメチルビベンゾイミダゾール29mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)を加えテトラヒドロフラン10mlを加え、室温で攪拌し15時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン)によって精製し、薄黄色固体である目的物を87mg得た。(収率;61%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=60:40であった。
【0431】
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−テトラメチルビベンゾイミダゾリル)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0432】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;8.27−8.25(m,4H),7.82−7.78(m,4H),7.70−7.69(m,4H),6.82−6.79(m,4H),6.07(s,4H),5.98−5.97(m,4H),2.02(s,12H)
異性体2;8.21−8.19(m,4H),7.99−7.98(m,4H),7.77−7.73(m,4H),7.01−6.98(m,4H),6.06(s,4H),6.02−6.01(m,4H),2.03(s,12H)
FD−MS(M/Z):1436 M
【0433】
実施例39(テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III),略称;[Ir(mpi)DMO])の合成
【0434】
【化62】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)217mg(0.20mmol)、N,N’−ジメチルオキサミド23mg(0.20mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))55mg(0.42mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、室温で攪拌し22時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をアルミナを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレンによって精製し、薄黄色固体である目的物を113mg得た。(収率;50%)得られた目的物は4種の異性体混合物であった。
【0435】
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2:異性体3:異性体4=55:36:5.4:3.6であった。
【0436】
なお、テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ−ジメチルオキサミデート)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0437】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.96(s,6H),3.82(s,6H),2.47(s,6H)
異性体2;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.75(s,6H),3.56(s,6H),2.48(s,6H)
異性体3;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.92(s,6H),3.88(s,6H),2.48(s,6H)
異性体4;7.50−7.44(m,4H),7.09−6.97(m,8H),6.76−6.73(m,4H)),6.51−6.49(m,4H),6.47−6.13(m,4H),3.82(s,6H),3.66(s,6H),2.49(s,6H)
FD−MS(M/Z):1126 M
【0438】
実施例40(テトラキス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfppy)bpo])の合成
【0439】
【化63】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管に(ジ−μ−クロロテトラキス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)ジイリジウム(III)122mg(0.10mmol)、2,2’−ビピリジン−3,3’−ジオール19mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え室温で攪拌し3時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/酢酸エチル(容量比;10/1〜10/2)によって精製し、黄色固体である目的物を99mg得た。(収率74%)
得られた目的物は異性体混合物で、その生成比は異性体1(主生成物):異性体2=47:27であった。
【0440】
なお、テトラキス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0441】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))
異性体1;9.03(d,2H),8.39(d,2H),8.33(d,2H),8.15(d,2H),7.82(dd,2H),7.64(dd,2H),7.15(dd,2H),6.91(dd,2H),6.74−6.76(m,2H),6.37−6.45(m,6H),6.19−6.16(m,2H),6.00−5.98(m,2H)),3.33−5.32(m,2H)
異性体2;8.59(d,2H),8.39(d,2H),8.14(d,2H),7.85(dd,2H),7.61(dd,2H),7.24(d,2H),7.08−7.04(m,4H),6.84(dd,2H),6.58−6.54(m,2H),6.47−6.35(m,6H),5.76−5.73(m,2H),5.54−5.49(m,2H))
FD−MS(M/Z):
異性体1;1330,1332
異性体2;1330,1332
【0442】
実施例41 テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(mpi)bpo])の合成
【0443】
【化64】
【0444】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)ジイリジウム(III)108mg(0.10mmol)、2,2’−ビピリジン−3,3’−ジオール19mg(0.10mmol)、tert−ブトキシカリウム(t−BuOK(85質量%品))28mg(0.21mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え室温で攪拌し18.5時間反応させた。反応後テトラヒドロフランを減圧留去し、得られた残留物に塩化メチレンを加え不溶物を濾別した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた反応粗生成物をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)によって精製し、黄色固体である目的物を64mg得た。(収率;55%)
なお、テトラキス(3−メチル−1−フェニルイミダゾリン−2−イリデン)(μ―2,2’−ビピリジナド−3,3’−ジオラト)ジイリジウム(III)は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0445】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))7.44(d,2H),7.41(d,2H),7.09−7.06(m,2H)),7.06−7.01(d,2H),6.96−6.95(m,2H),6.90(d,2H),6.80−6.75(m,6H),6.52−6.43(m,6H),6.37−6.34(m,2H),6.23−6.20(m,2H),6.16−6.14(m,2H),3.83(s,6H)),3.13(s,6H)
FD−MS(M/Z):1198
【0446】
実施例42(テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(dfpypy)25PDC])の合成
【0447】
【化65】
【0448】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、2,5−ピラジンジカルボン酸 31mg(0.15mmol)、ナトリウムメトキシド16mg(0.30mmol)およびメタノール20mlを加え、撹拌しながら室温で2時間反応させた。溶媒を減圧下留去した後、ジ−μ−クロロテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)ジイリジウム(III)184mg(0.15mmol)および2−エトキシエタノール25mlを加え、撹拌しながら110度で20時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下留去した。濃縮物にジクロロメタン30mlを加え、濾過した。得られた濾物を純水で洗浄した後、減圧下乾燥し、橙色固体としてテトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)を166mg(84%)得た。
【0449】
なお、テトラキス(2’,6’−ジフルオロ−2、3’−ビピリジナト)(μ−2,5−ピラジンジカルボキシラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0450】
H−NMR(400MHz,重DMF,δ(ppm));8.64(d,2H),8.51(s,2H),8.46−8.24(m,6H),8.17(dt,2H),7.92(dd,2H), 7.73(ddd,2H),7.15(ddd,2H),6.01(s,2H),5.50(s,2H)
FD−MS(M/Z):1316 M
【0451】
実施例43(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−2,5−ビスジフェニルホスフィノ−1,4−ベンゾキノラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)DPPHQ])の合成
【0452】
【化66】
【0453】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、0℃で、2,5−ビスジフェニルホスフィノヒドロキノン9.6mg(0.02mmol)、テトラヒドロフラン2mlおよびn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)38μl(0.06mmol)を加え、撹拌しながら室温で2時間反応させた。次に、ジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)21mg(0.02mmol)を加え、撹拌しながら80度で19時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物にジクロロメタン30mlを加え、濾過した。得られた濾液を減圧下濃縮した後、乾燥し、黄色固体としてテトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−2,5−ビスジフェニルホスフィノ−1,4−ベンゾキノラト)ジイリジウム(III)を18.4mg(64%)得た。
【0454】
なお、テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−2,5−ビスジフェニルホスフィノ−1,4−ヒドロキノラト)ジイリジウム(III)は下記の物性値であった。
【0455】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm));8.03(d,2H),7.79(t,4H),7.67(d,2H),7.44−6.62(m,36H),6.30(dt,4H),6.20(t,2H)
FD−MS(M/Z):1434 M
【0456】
実施例44(テトラキス(1−フェニルピラゾラト)(μ−4,10−ジアザクリセノラト)ジイリジウム(III),略称;[Ir(ppz)DAC])の合成
【0457】
【化67】
【0458】
撹拌装置を備えた30mlシュレンク管に、アルゴン雰囲気下、ビス(1−フェニルピラゾラト)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)45.8mg(0.08mmol)、4,10−ジアザクリセン4.6mg(0.02mmol)、およびグリセリン6mlを加え、撹拌しながら180度で3時間反応させた。反応終了後、イオン交換水20mlを加え、濾過した。得られた濾物をジエチルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥し、目的物を含有する黒色固体を22.0mg得た。
【0459】
FD−MS(M/Z):1186 M
【0460】
実施例45(ビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(ビイミダゾリル)イリジウム(III)クロライド)の合成
【0461】
【化68】
【0462】
アルゴン雰囲気下、攪拌装置を備えた50mlシュレンク管にジ−μ−クロロテトラキス(1−フェニルピラゾラト)ジイリジウム(III)109mg(0.10mmol)、2,2’−ビイミダゾール13mg(0.10mmol)1mg、テトラヒドロフラン20mlを加え室温で5時間、バス温50℃で11時間攪拌しながら反応させた。反応後、反応溶液を濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮し、褐色固体である目的物を25mg得た。(収率;20%)
なお、ビス(1−メチル−2−フェニルイミダゾラト)(ビイミダゾリル)イリジウム(III)クロライドは、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0463】
H−NMR(400MHz,CDCl,δ(ppm))14.1(brs,2H),7.48(dd,2H),7.08(m,2H),6.92(m,2H),6.83(d,2H),6.78(m,2H),6.60−6.52(m,4H),6.30(d,2H),4.05(s,6H)
FD−MS(M/Z):640(M−35)
【産業上の利用可能性】
【0464】
本発明により、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子の材料として有用な二核金属錯体、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが出来る。
【符号の説明】
【0465】
1.硝子基板
2.ITO透明電極
3.ホール輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.電子注入層
7.アルミニウム電極
図1
図2