(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外気導入路を通ってエンジンルーム内へ導入される外気の風圧により、前記フラップに対して開放姿勢への操作力が作用するように、該フラップの回動中心の両側における風圧の受圧面積を設定した請求項1記載の車両用シャッター。
前記回動規制部として、前記一方のフラップへの駆動手段からの動力伝達が遮断されて、該フラップが閉鎖姿勢に保持されているときに、他方のフラップの開放姿勢への回動を規制する開放不良検出用規制部を設けた請求項1又は2記載の車両用シャッター。
前記回動規制部として、前記一方のフラップへの駆動手段からの動力伝達が遮断されて、該フラップが開放姿勢に保持されているときに、他方のフラップの閉鎖姿勢への回動を規制する閉鎖不良検出用規制部を設けた請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用シャッター。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記特許文献1記載の発明においても、駆動手段からフラップへの動力伝達経路の途中部が破断した場合には、一部のフラップは正常に開閉作動するが、残りのフラップへの動力伝達が遮断されて、該フラップが閉鎖姿勢に保持されることがあり、これによりラジエータの冷却性能が低下して、エンジンの焼き付きや熱劣化などの問題が発生することが懸念された。
【0006】
本発明の目的は、動力伝達が遮断されたフラップが閉鎖姿勢に保持されることによる、エンジンの焼き付きや熱劣化などの問題を、簡単な構成で防止可能な車両用シャッターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用シャッターは、エンジンルーム内へ外気を導入するための外気導入路を開閉可能な車両用シャッターであって、前記外気導入路を横断する軸心回りに回動して、前記外気導入路を開閉可能なフラップと、前記フラップを開閉駆動する駆動手段とを備え、前記フラップに対して重力により開放姿勢への操作力が作用するように、前記フラップの重心位置を設定したものである。
【0008】
この車両用シャッターでは、駆動手段によりフラップが回動操作されて、外気導入路がフラップにより開閉され、例えば冷却水温度が低いときには、フラップを閉じて冷却水温度が高くなるように調整し、冷却水温度が高いときには、フラップを開いて冷却水温度が低くなるように調整し、暖機性能を高めたり、冷却水によるエンジンの過冷却による燃焼不良を防止できる。また、前記フラップに対して重力により開放姿勢への操作力が作用するように、前記フラップの重心位置を設定しているので、駆動手段からフラップへの動力伝達経路が破断した場合でも、動力伝達が遮断されたフラップは自重により開放姿勢に回動するので、該フラップが閉鎖姿勢に保持されることによる、エンジンの焼き付きや熱劣化などの問題の発生を未然に防止することができる。
【0009】
前記外気導入路を通ってエンジンルーム内へ導入される外気の風圧により、前記フラップに対して開放姿勢への操作力が作用するように、該フラップの回動中心の両側における風圧の受圧面積を設定することも好ましい実施の形態である。このように構成すると、ゴミや埃などにより、フラップの操作抵抗が大きくなって、フラップが重力だけでは開放姿勢に回動しない場合でも、走行風の風圧によりフラップを強制的に開方姿勢に操作できるので、動力伝達が遮断された際における開放姿勢へのフラップの作動安定性を向上できる。ただし、重力と風圧の双方を利用してフラップを開放姿勢へ操作するように構成することが好ましいが、風圧のみによりフラップを開放姿勢へ操作するように構成することもできる。
【0010】
前記フラップを、前記外気導入路を横断する水平方向の軸心回りに回動自在で且つ外気導入路の高さ方向に複数並列状に設け、前記複数のフラップを連動させて開閉操作する連動操作手段を設け、前記駆動手段により連動操作手段を介して複数のフラップを開閉駆動することが好ましい実施の形態である。この場合には、複数のフラップのうちの一部のフラップへの動力伝達が遮断された場合には、該動力伝達が遮断されたフラップが自重により開放姿勢に回動保持されることになる。また、フラップを水平方向の軸心回りに回動自在に設けているので、回動中心から両側へ突出させるフラップの翼部における、回動中心からの距離と回動中心からの長さを調整することで、フラップに対して容易に重力による開放姿勢への操作力を作用させることができる。
【0011】
前記駆動手段の作動状態に基づいてフラップの異常を検出する異常検出手段を設けるとともに、前記異常検出手段からの出力に基づいて、利用者に異常を報知する異常報知手段を設け、隣接するフラップに、一方のフラップへの駆動手段からの動力伝達が遮断されたときに、他方のフラップの回動を規制する回動規制部を形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、フラップの固着や異物の挟み込みが発生したときには、駆動手段の作動状態に基づいてフラップの作動異常が異常検出手段により検出され、異常報知手段により利用者に報知される。具体的には、フラップの開閉時における駆動手段の負荷が増大したことを、例えばモータへの過電流などにより検出して、フラップの異常を検出し、利用者に報知することができる。また、隣接するフラップに、一方のフラップへの駆動手段からの動力伝達が遮断されたときに、他方のフラップの回動を規制する回動規制部を形成しているので、フラップへの動力伝達経路において軸部材やリンクなどが破断するなどして、フラップへの動力伝達が遮断された場合でも、動力伝達が遮断されたフラップにより、該フラップに隣接するフラップの回動が回転規制部により規制されるので、フラップの固着や異物の挟み込みが発生した場合と同様に、該フラップの回動不良を異常検出手段により検出して、異常報知手段により利用者に報知することができる。
【0012】
前述のように回動規制部を設ける場合には、前記回動規制部として、前記一方のフラップへの駆動手段からの動力伝達が遮断されて、該フラップが閉鎖姿勢に保持されているときに、他方のフラップの開放姿勢への回動を規制する開放不良検出用規制部を設けることができる。この場合には、本発明では、動力伝達が遮断されたフラップは、基本的には自重により開放姿勢に回動することになるが、万一該フラップが閉鎖姿勢に保持された状態となったときでも、該フラップに隣接するフラップの開放姿勢への回動が回動規制部により規制され、異常検出手段により駆動手段の作動状態の異常が検出されて、異常報知手段により利用者に報知されるので、エンジンの焼き付きや熱劣化などの発生を一層効果的に防止することが可能となる。
【0013】
また、前記回動規制部として、前記一方のフラップへの駆動手段からの動力伝達が遮断されて、該フラップが開放姿勢に保持されているときに、他方のフラップの閉鎖姿勢への回動を規制する閉鎖不良検出用規制部を設けることも好ましい実施の形態である。この場合には、動力伝達が遮断されたフラップが開放姿勢に保持されていることを利用者に報知できるので、該フラップをすみやかに修理して、所期のエンジン性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両用シャッターによれば、駆動手段によりフラップが回動操作されて、外気導入路がフラップにより開閉され、例えば冷却水温度が低いときには、フラップを閉じて冷却水温度が高くなるように調整し、冷却水温度が高いときには、フラップを開いて冷却水温度が低くなるように調整し、暖機性能を高めたり、冷却水によるエンジンの過冷却による燃焼不良を防止できる。また、前記フラップに対して重力により開放姿勢への操作力が作用するように、前記フラップの重心位置を設定しているので、駆動手段からフラップへの動力伝達経路が破断した場合でも、動力伝達が遮断されたフラップは自重により開放姿勢に回動するので、該フラップが閉鎖姿勢に保持されることによる、エンジンの焼き付きや熱劣化などの問題の発生を未然に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動車の前部構造について説明すると、自動車の前面部はフロントバンパフェイス1で被覆され、フロントバンパフェイス1の上部と下部とには車幅方向に延びる開口部2、3が形成され、自動車の走行時には、開口部2、3を通ってエンジンルーム6内へ走行風が導入されるように構成されている。フロントバンパフェイス1の後方には車幅方向に延びる閉断面状のバンパレインフォースメント4が設けられ、バンパレインフォースメント4の前側には衝撃吸収材5が全長にわたって設けられ、前面衝突時における衝撃は、衝撃吸収材5及びバンパレインフォースメント4により吸収されるように構成されている。バンパレインフォースメント4の後方においてエンジンルーム6内にはラジエータ7が配置され、バンパレインフォースメント4の下方には下部開口部3からラジエータ7への外気導入路8を開閉可能なシャッター装置10が設けられている。
【0017】
シャッター装置10は、
図1〜
図4に示すように、角筒状のケーシング11と、ケーシング11に連通固定されてフロントバンパフェイス1の下部開口部3側へ延びる角筒状のダクト部材12と、ケーシング11の内側の外気導入路8を横断する水平な回動中心Cを中心に回動して、外気導入路8を開閉可能な複数枚のフラップ13と、複数枚のフラップ13を連動して開閉操作する連動操作手段14と、連動操作手段14を介して複数枚のフラップ13を開閉駆動する駆動手段15と、駆動手段15を制御する制御手段16とを備えている。
【0018】
フラップ13は、
図1〜
図6に示すように、ケーシング11の右部及び左部内に水平な回動中心Cを中心として回動自在に上下に並列状に5枚ずつそれぞれ設けられ、左右のフラップ13は合成樹脂材料を用いて射出成形などによりそれぞれ一体成形したもので、略鏡面対称に構成されている。なお、本実施の形態では、ケーシング11の右部と左部とにそれぞれ5枚を1組とする2組のフラップ13を配置したが、各組のフラップ13の枚数は任意に設定できるし、ケーシング11の内側に配置するフラップ13の組数も1組又は3組以上設けることも可能である。
【0019】
フラップ13の回動中心Cに対応させてフラップ13の両端部には軸部13aが外方へ突出状にそれぞれ設けられ、左側5枚のフラップ13の左端部は、左側の軸部13aをケーシング11の左壁部11aに嵌合させて、ケーシング11に回動自在に支持され、右側5枚のフラップ13の右端部は、右側の軸部13aをケーシング11の右壁部11bに嵌合させて、ケーシング11に回動自在に支持されている。ケーシング11の車幅方向の中央部には連動操作手段14が設けられ、左側5枚のフラップ13の右端部と右側5枚のフラップ13の左端部とは連動操作手段14に連結支持されている。
【0020】
フラップ13にはその回動中心Cから略半径方向の両外方側へ延びる主翼板13bと補助翼板13cとが設けられ、フラップ13は、補助翼板13cを前側にして、両翼板13b、13cを略水平面内に配置した
図6(b)に図示の開放姿勢と、主翼板13bを上側にして、両翼板13b、13cを略鉛直面内に配置した
図6(a)に図示の閉鎖姿勢と、にわたってケーシング11に回動可能に支持されている。
【0021】
連動操作手段14について説明すると、
図3、
図4、
図7〜
図9に示すように、ケーシング11の車幅方向の略中央部にはケーシング11の上壁部と下壁部とを連結する上下方向に細長い横断面略U字状の支持フレーム17が開口を後方へ向けて設けられ、支持フレーム17の後方には横断面略U字状の操作部材18が開口を前側に向けて、支持フレーム17に組み合わされるように上下方向に設けられている。支持フレーム17とケーシング11とは一体成形品で構成することもできるし、別部材で構成することもできる。左側5枚のフラップ13の右端部は、右側の軸部13aを支持フレーム17の左壁部17aに嵌合させて、支持フレーム17に回動自在に支持され、右側5枚のフラップ13の左端部は、左側の軸部13aを支持フレーム17の右壁部17bに嵌合させて、支持フレーム17に回動自在に支持されている。左側5枚のフラップ13の主翼板13bの右端部と、右側5枚のフラップ13の主翼板13bの左端部には閉鎖姿勢において後方へ突出する支持片13dが立設され、支持片13dには軸部13aと略平行に操作ピン部13eが突出状に形成され、左側5枚のフラップ13の操作ピン部13eは操作部材18の左壁部18aに回転自在に嵌合され、右側5枚のフラップ13の操作ピン部13eは、操作部材18の右壁部18bに回転自在に嵌合されている。左側の5枚のフラップ13のうちの下側から2枚目のフラップ13は、ブラシレスDCモータやブラシ付きDCモータやステッピングモータなどからなるモータ25を有する駆動手段15に接続され、駆動手段15により該フラップ13が回動操作されて、
図9(a)に示すように、該フラップ13の軸部13aを中心に操作ピン部13eが上側へ回動すると、操作部材18が上方に移動し、他のフラップ13の操作ピン部13eが上方に移動することで、他のフラップ13も連動して閉鎖姿勢に操作され、
図9(b)に示すように、該フラップ13の軸部13aを中心に操作ピン部13eが下側へ回動すると、操作部材18が下方に移動し、他のフラップ13の操作ピン部13eが下方に移動することで、他のフラップ13も連動して開放姿勢に操作されるように構成されている。ただし、駆動手段15により回動操作するフラップ13は任意に設定可能である。また、連動操作手段14としては、前述した以外の構成のものを採用することも可能である。更に、フラップ13を1枚だけにして、連動操作手段14を省略したものも本発明の範疇である。
【0022】
図6に示すように、フラップ13の重心位置Gは、閉鎖姿勢と開放姿勢とにわたる回動範囲内においてフラップ13の回転中心Cよりも後方に常時配置され、フラップ13に対して重力により開放姿勢への操作力が常時作用するように構成されている。具体的には、フラップ13の主翼板13bの厚さ方向の中心を含む面は回動中心Cを通る面から一定距離tだけ離れた位置に配置され、補助翼板13cの厚さ方向の中心を含む面は回動中心Cを通る面内に配置され、主翼板13bの回転中心からの長さL1は補助翼板13cの回動中心Cからの長さL2よりも長く設定され、フラップ13に対して重力により開放姿勢への操作力が作用するように、フラップ13の重心位置Gが設定され、回動中心Cの上側に主翼板13bを上下方向に配置させた閉鎖姿勢においても、重力により開放姿勢への操作力が作用するように構成されている。ただし、フラップ13としては、閉鎖姿勢と開放姿勢とにわたる回動範囲において、開放姿勢への重力が常時作用するように重心位置Gを設定したものであれば、任意の構成のものを採用でき、例えば主翼板13bと補助翼板13cとを同じ大きさに構成するとともに、両者を同一平面内に配置させた場合でも、主翼板13bに錘部等を形成して、該錘部により開放姿勢への重力が作用するように、フラップ13の重心位置Gを調整することも可能である。
【0023】
また、
図6(a)に示すように、閉鎖姿勢において、主翼板13bの上端部は上側に隣接するフラップ13の補助翼板13cの後面側に一定高さ重複するように配置され、この状態でフラップ13の前側に露出する主翼板13bの前面の露出面の高さH1が補助翼板13cの前面の露出面の高さH2よりも大きくなるように構成され、外気導入路8を通ってエンジンルーム6内へ導入される外気の風圧の受圧面積を、主翼板13bの方が補助翼板13cよりも大きくなるように構成することで、走行風によりフラップ13に対して開放姿勢への操作力が作用するように構成されている。
【0024】
このシャッター装置10では、前述のようにフラップ13の重心位置Gを適正に設定したり、閉鎖姿勢におけるフラップ13の主翼板13bと補助翼板13cに対する風圧の受圧面積を適正に設定したりすることで、例えば操作ピン部13eが破断するなどして、一部のフラップ13への動力伝達が遮断されて、該フラップ13への動力が空転している場合であっても、該一部のフラップ13を自重や走行風により開放姿勢に強制的に回動させて開放姿勢に保持できるので、冷却水温の異常な上昇を防止できる。しかし、一部のフラップ13が開放姿勢に保持された状態では、冷却水温が低下して、エンジン性能が低下することも考えられ、また動力伝達が遮断されたフラップ13が、何らかの原因により自重や走行風により開放姿勢に回動せず、閉鎖姿勢に保持された状態に維持されて、冷却水温が高くなることも考えられる。そこで、このシャッター装置10では、各フラップ13に回動規制部20を形成して、一部のフラップ13への動力伝達が遮断されて、該フラップ13への動力が空転している場合であっても、該フラップ13に隣接するフラップ13が正常に作動している場合には、該正常に作動しているフラップ13の回動を、動力伝達が遮断されているフラップ13の回動規制部20により規制して、駆動手段15の負荷を増大させることで、制御手段16によりフラップ13の作動異常を検出して、運転者に迅速に報知できるように構成されている。
【0025】
具体的には、左側のフラップ13の左端部と右側のフラップ13の右端部とには、次のような構成の回動規制部20が形成されている。ただし、左右の回動規制部20は鏡面対称なので左側のフラップ13の回動規制部20について説明する。
【0026】
図5、
図10〜
図12に示すように、上下に並列状に配置される5枚のフラップ13のうちの中央部の3枚のフラップ13の回動規制部20について説明すると、左側のフラップ13の主翼板13bの左端部には閉鎖姿勢において後方へ突出する突出片13fが形成され、閉鎖姿勢における主翼板13bの上端部(主翼板13bの回動中心Cから離間した側の端部)と突出片13fの上端部とにわたって平板状の当接片13gが形成され、閉鎖姿勢における主翼板13bの高さ方向の途中部と突出片13fとにわたって突出片13fの内倒れを防止する補強リブ13hが形成され、突出片13fには下側に隣接するフラップ13の当接片13gに当接可能な開放不良検出用規制部13jと閉鎖不良検出用規制部13kとが形成されている。
【0027】
そして、
図12(a)に示すように、一部のフラップ13(
図12(a)では下側から3番目のフラップ13)への動力伝達が遮断されて該フラップ13が閉鎖姿勢に保持されたときには、該フラップ13の上側に隣接するフラップ13(
図12(a)では下側から4番目のフラップ13)の開放不良検出用規制部13jが、動力伝達が遮断されたフラップ13の当接片13gに当接して、上側に隣接するフラップ13の開放姿勢側への回動が規制され、また上側に隣接するフラップ13以外のフラップ13(
図12(a)では下側から1番目、2番目、5番目のフラップ13)に関しても、連動操作手段14により、上側に隣接するフラップ13に連動して開放姿勢への回動が規制されることになる。また、
図12(b)に示すように、一部のフラップ13(
図12(b)では下側から4番目のフラップ13)への動力伝達が遮断されて該フラップ13が開放姿勢に保持されたときには、該フラップ13の下側に隣接するフラップ13(
図12(b)では下側から3番目のフラップ13)の当接片13gが、動力伝達が遮断されたフラップ13の閉鎖不良検出用規制部13kに当接して、下側に隣接するフラップ13(下側から3番目のフラップ13)の閉鎖姿勢側への回動が規制され、また下側に隣接するフラップ13以外のフラップ13(1番目、2番目、5番目のフラップ13)に関しても、連動操作手段14により、下側に隣接するフラップ13に連動して閉鎖姿勢への回動が規制されることになる。
【0028】
なお、最も上側のフラップ13の主翼板13bの左端部には、前記回動規制部20における、開放不良検出用規制部13j及び閉鎖不良検出用規制部13kを有し、前記回動規制部20の突出片13fの開放姿勢における上部(主翼板13bの回動中心Cから離間した側の部分)を省略した突出片13fAと、補強リブ13hとを備え、当接片13gを省略してなる、回動規制部20Aが設けられている。また、最も下側のフラップ13の主翼板13bの左端部には、前記回動規制部20における、開放不良検出用規制部13j及び閉鎖不良検出用規制部13kを省略するとともに、前記回動規制部20における突出片13fの開放姿勢における下部(主翼板13bの回動中心C側部分)を省略した突出片13fBと、補強リブ13hとを備え、当接片13gを備えてなる、回動規制部20Bが設けられている。つまり、最も上側のフラップ13は、その上側にフラップ13が配置されないので、当接片13gが不要となり、最も下側のフラップ13は、その下側にフラップ13が配置されないので、開放不良検出用規制部13j及び閉鎖不良検出用規制部13kを設ける必要がないので、上述のように、中央部の3枚のフラップ13の回動規制部20と、上下両側のフラップ13の回動規制部20A、20Bの構成を変更することで、フラップ13の重量を極力少なくできるように構成されている。
【0029】
制御手段16では、
図2に示すように、エンジンの冷却水温を検出する水温センサ30からの信号と、モータ25に付設したエンコーダ31からのパルス信号と、モータ25への電流値を検出する電流値検出手段32(これが異常検出手段に相当する)からの出力に基づいて、モータ25を制御するとともに、電流値検出手段32からの出力に基づいてシャッター装置10の異常を検出したときには、異常報知手段33により警告音や警告表示などにより運転者に警告を発するように構成されている。ただし、制御手段16でなされるシャッター装置10の制御方法は以下に説明する以外の制御方法を採用することも可能である。
【0030】
制御手段16でなされるシャッター装置10の制御について説明すると、先ずイグニッションスイッチ34をON操作すると、フラップ13の初期位置を設定するキャリブレーション処理を行うため、モータ25を駆動して、閉鎖姿勢側へフラップ13を回動操作する。このとき電流値検出手段32では、モータ25からの電流値が順次検出され、制御手段16では、該電流値が予め設定した所定の閾値よりも大きくなったか否かが判定される。そして、フラップ13が回動している状態では、閾値よりも小さな電流値なので、モータ25への通電を継続するが、
図6(a)に示すように、最も上側のフラップ13の主翼板13bの端部と最も下側のフラップ13の補助翼板13cの端部がケーシング11に形成した規制突部11a、11bにそれぞれ当接して、フラップ13が閉鎖姿勢に保持されると、モータ25の負荷が増大して、モータ25への電流値が高くなる。そして、この時の電流値が予め設定した所定の閾値よりも高くなると、モータ25への通電を遮断する。その後、制御手段16では、エンコーダ31からの出力に基づいてモータ25の回転軸の回転角度を順次検出しながら、モータ25によりフラップ13を開放姿勢側へ回動させ、エンコーダ31からの出力に基づいてフラップ13を約90°回転させて開放姿勢に保持し、これをフラップ13の初期位置として記憶することになる。なお、フラップ13の初期位置は、閉鎖姿勢から開放姿勢側へ約90°の角度に設定したが、それ以外の角度、例えば導入した外気がラジエータ7へ向くような角度に設定することもできる。
【0031】
こうしてフラップ13の初期位置を設定した後、水温センサ30からの出力に基づいて、エンジンへの冷却水の温度が適正な温度となるように、冷却水の温度が高いときにはフラップ13を開放姿勢に回動させ、冷却水の温度が低いときには、フラップ13を閉鎖姿勢に回動させて、暖機性能を高めたり、冷却水によるエンジンの過冷却による燃焼不良を防止したりすることになる。
【0032】
一方、飛び石などがフラップ13に引っ掛かって、フラップ13が回動できなくなったり、回動範囲が制限されたりすると、キャリブレーション時やフラップ13の操作時に、電流値検出手段32で検出されるモータ25への電流値が閉鎖姿勢側或いは開放姿勢側への回動途中で閾値よりも高くなるので、電流値検出手段32からの出力に基づいて、フラップ13の作動異常を検出して、異常報知手段33により運転者に報知することになる。また、一部のフラップ13への動力伝達が遮断されて、該一部のフラップ13への動力が空転する場合には、従来のシャッター装置10では、電流値検出手段32からの出力だけではフラップ13の作動異常を検出できなかった。しかし、本発明のシャッター装置10では、重力や風力によりフラップ13が開放姿勢に回動して、冷却水の水温が異常に高温になることを防止できるとともに、
図12(b)に示すように、少なくとも最も下側のフラップ13以外に関しては、動力伝達が遮断されたときに、動力伝達が遮断されたフラップ13(
図12(b)では下側から4番目のフラップ)の下側のフラップ13(
図12(b)では下側から3番目のフラップ)の閉鎖姿勢側への回動が、動力伝達が遮断されたフラップ13の回動規制部20の閉鎖不良検出用規制部13kに下側のフラップ13の回動規制部20の当接片13gが当接することにより規制される。そして、このように、動力伝達が遮断されたフラップ13の下側のフラップ13(
図12(b)では下側から3番目のフラップ)の回動が規制されることで、電流値検出手段32からの出力が閾値以上になって、フラップ13の作動不良を検出して、運転者に報知することができる。また、万一重力や風力によりフラップ13が開放姿勢に回動しなかった場合でも、
図12(a)に示すように、少なくとも最も上側のフラップ13以外に関しては、動力伝達が遮断されたときに、動力伝達が遮断されたフラップ13(
図12(a)では下側から3番目のフラップ)の上側のフラップ13(
図12(a)では下側から4番目のフラップ)の開放姿勢側への回動が、動力伝達が遮断されたフラップ13の回動規制部20の当接片13gに上側のフラップ13の開放不良検出用規制部13jが当接することにより規制される。そして、このように、動力伝達が遮断されたフラップ13の上側のフラップ13(
図12(a)では下側から4番目のフラップ)の回動が規制されることで、電流値検出手段32からの出力が閾値以上になって、フラップ13の作動不良を検出して、運転者に報知することができる。
【0033】
このように、このシャッター装置10では、フラップ13に対して重力により開放姿勢への操作力が作用するように、フラップ13の重心位置Gを設定しているので、駆動手段15からフラップ13への動力伝達経路が破断した場合でも、動力伝達が遮断されたフラップ13は自重により開放姿勢に回動するので、該フラップ13が閉鎖姿勢に保持されることによる、エンジンの焼き付きや熱劣化などの問題の発生を未然に防止することができる。また、自重のみで開放姿勢に回動しない場合でも、走行風の風圧によりフラップ13を強制的に開方姿勢に操作できるので、動力伝達が遮断された際における開放姿勢へのフラップ13の作動安定性を向上できる。更に、フラップ13に回動規制部20を設けることで、動力伝達が遮断されたフラップ13に隣接するフラップ13の開放姿勢や閉鎖姿勢への回動が規制され、これによりフラップ13の作動異常を検出して運転者に報知できるので、フラップ13の修理を迅速に行うことが可能となるし、万一動力伝達が遮断されたフラップ13が自重や風圧により開放姿勢に回動しなかった場合でも、フラップ13の作動異常を運転者が把握できるので、冷却水温の異常上昇を未然に防止することが可能となる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。