(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、蓄電装置の第1実施形態について
図1〜
図7を用いて説明する。なお、
図4については、各タブ31,32を2点鎖線にて示し、
図6等においては各溶接部分P1,P2をドットハッチで示す。
【0018】
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、直方体形状のケース11を備えている。ケース11は、一方に開口した有底箱状のケース本体12と、ケース本体12の開口部分を塞ぐ長方形平板状の蓋13とを備えている。ケース本体12と蓋13とは、溶接などによって接合されている。
【0019】
二次電池10は、ケース11に収容されている電極組立体14及び電解液(図示略)と、電極組立体14と電力のやり取りを行う正極端子15及び負極端子16とを備えている。各端子15,16は、ケース11の蓋13にあり、蓋13を貫通した状態で配置されている。各端子15,16は、ケース11から外部に露出している。蓋13が、各端子15,16が存在するケース11の壁部に対応する。なお、本実施形態の二次電池10は、例えばリチウムイオン電池である。
【0020】
図2に示すように、電極組立体14は、電極としての正極電極21及び負極電極22が、電気伝導に係るイオンが通過可能な多孔質膜であるセパレータ23を介して交互に積層された構造である。各電極21,22及びセパレータ23は、長方形状のシートである。
【0021】
正極電極21は、長方形状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)21aと、当該正極金属箔21aの両面にある正極活物質層21bと、を有する。負極電極22は、長方形状の負極金属箔(例えば銅箔)22aと、当該負極金属箔22aの両面にある負極活物質層22bと、を有する。電極組立体14を構成している状態において、正極活物質層21bは負極活物質層22bに覆われ、且つ、各電極21,22はセパレータ23によって覆われている。
【0022】
図2に示すように、正極電極21は、当該正極電極21の端部21cから突出した形状の正極タブ31を有する。同様に、負極電極22は、当該負極電極22の端部22cから突出した形状の負極タブ32を有する。負極タブ32の厚さは、正極タブ31の厚さよりも薄い。
【0023】
各電極21,22は、各タブ31,32の同一極性同士が列状に配置されるように積層されている。そして、
図3に示すように、各負極タブ32は電極21,22の積層方向Yの一方に寄せて集められ、その集められた状態で他方に折り返されている。同様に、各正極タブ31は、電極21,22の積層方向Yの一方に寄せて集められた状態で他方に折り返されている。本実施形態においては、負極タブ32と正極タブ31とが折り返される方向は一致する。電極組立体14は、各タブ31,32が存在する端面14aと蓋13の内面13aとが対向する状態でケース11内に収容されている。この場合、端面14aと内面13aとの間には、所定のスペースS1(
図6参照)が存在している。
【0024】
ここで、以降の説明において、電極組立体14の端面14aと、各端子15,16が存在するケース11の壁部としての蓋13とが対向する方向(端面14aと蓋13の内面13aに垂直な線が延びる方向)を対向方向Zとし、当該対向方向Z及び電極21,22の積層方向Yの双方と直交する方向を電極組立体14の幅方向Xとする。
【0025】
また、説明の便宜上、対向方向Zにおける電極組立体14の端面14aから蓋13に向かう方向を単に上方と言い、対向方向Zにおける蓋13から電極組立体14の端面14aに向かう方向を下方と言う。この場合、対向方向Zは上下方向とも言える。
【0026】
図3及び
図4に示すように、二次電池10は、正極タブ31と正極端子15とを電気的に接続するのに用いられる正極導電部材40を備えている。正極導電部材40は、スペースS1内、詳細にはケース11の蓋13と電極組立体14との間に存在し、正極タブ31及び正極端子15の双方に接合されている。
【0027】
正極導電部材40は、一枚の金属板、例えばアルミニウム板で構成されている。正極導電部材40は、相対的に蓋13寄りに配置されたものであって正極タブ31に接合されている正極タブ接合部41と、正極タブ接合部41よりも電極組立体14に近い位置に配置されたものであって正極端子15に接合されている端子接合部42とを有している。そして、正極導電部材40は、正極タブ接合部41及び端子接合部42の双方と連続し、電極21,22の積層方向Yから見てクランク状に湾曲(屈曲)した正極湾曲部43とを有している。正極湾曲部43は、正極タブ接合部41と連続した曲がり始めの部分から、端子接合部42と連続した曲がり終わりの部分までである。正極湾曲部43は全体として対向方向Zに延びている。
【0028】
正極タブ接合部41と正極タブ31との接合態様について説明する。
図4に示すように、正極タブ接合部41は、正極湾曲部43から電極組立体14の幅方向Xの、正極端子15とは反対側に向けて延びた長方形の板状であり、電極組立体14の幅方向Xにおける正極タブ接合部41の先端は正極タブ31における負極タブ32寄りの側面と同一平面上に存在する。
図5及び
図6に示すように、正極タブ接合部41は、蓋13の内面13aと対向する正極上面44と、電極組立体14の端面14aと対向する正極下面45とを有する。正極上面44及び正極下面45は、電極21,22の積層方向Y及び電極組立体14の幅方向Xに延びた面である。正極下面45は、正極タブ31と接触している。正極導電部材40と正極タブ31とは、正極下面45と正極タブ31との接触箇所が溶接されていることによって、電気的に接続されている。
【0029】
端子接合部42と正極端子15との接合態様について、正極端子15の詳細な説明とともに説明する。
図5及び
図6に示すように、正極端子15は、角柱状の正極頭部51と、正極頭部51の上面51aから上方に向けて延び、且つ、外周面にねじ溝を有する正極軸部52とを備えている。
【0030】
図6に示すように、正極軸部52は、蓋13に有る貫通孔13bを介してケース11外に突出している。正極軸部52には、絶縁性のOリング53と、貫通孔13bに嵌合するものであって絶縁性のフランジ付きリング54とが挿通されている。そして、正極軸部52には、フランジ付きリング54の上からナット55が螺合されており、正極端子15と蓋13とはユニット化されている。なお、フランジ付きリング54は、正極軸部52と蓋13の貫通孔13bの周縁部との間、及び、ナット55と蓋13との間に介在している。
【0031】
正極頭部51は、ケース11内の空間であるスペースS1内に存在し、蓋13の内面13aから電極組立体14に向けて突出している。正極頭部51の下面51bには、当該下面51bから下方に向けて突出した正極溶接片56が存在する。
【0032】
図5及び
図6に示すように、正極導電部材40の端子接合部42は、正極湾曲部43から電極組立体14の幅方向Xに延びた長方形の板状であり、正極頭部51と電極組立体14との間に配置されている。また、上方から見て端子接合部42の一部は正極頭部51からはみ出している。
図6に示すように、正極導電部材40の端子接合部42には、正極溶接片56と嵌合可能な溶接孔42aが存在する。正極溶接片56は、溶接孔42aに嵌合している。正極導電部材40と正極端子15とは、正極溶接片56と溶接孔42aの周縁部とが溶接されていることによって電気的に接続されている。なお、正極溶接片56と溶接孔42aの周縁部との溶接部分を正極溶接部分P1という。
【0033】
図5及び
図6に示すように、二次電池10は、正極頭部51の一部を覆うものであって絶縁性を有する第1正極絶縁部材57と、端子接合部42と電極組立体14の端面14aとの間に介在するものであって絶縁性を有する第2正極絶縁部材58とを備えている。
【0034】
第1正極絶縁部材57は、蓋13と正極頭部51との接触を規制するものである。第1正極絶縁部材57は、正極頭部51に対して上方から取り付けられており、正極頭部51の上面51a及び正極頭部51の外周面の一部を覆っている。
【0035】
第2正極絶縁部材58は、端子接合部42及び正極溶接片56と電極組立体14の端面14aとの接触を規制するものである。第2正極絶縁部材58は、長方形の板状のベース部58aと、当該ベース部58aから端子接合部42に向けて起立した4つの係止爪58bを有している。係止爪58bは、端子接合部42における正極頭部51の外周面からはみ出した部分に係止している。なお、正極溶接片56とベース部58aとの干渉を回避するべく、ベース部58aは、正極溶接片56の外周面と同一形状の側壁を有する凹部58aaを備えている。
【0036】
図3に示すように、二次電池10は、負極タブ32と負極端子16とを電気的に接続するのに用いられる負極導電部材60を備えている。負極導電部材60は、スペースS1内、詳細にはケース11の蓋13と電極組立体14との間に存在し、負極タブ32と、負極端子16と一体化された電流遮断部80との双方に接合されている。
【0037】
負極導電部材60は、一枚の金属板、例えば銅板で構成されている。
図6に示すように、負極導電部材60は、相対的に蓋13寄りに配置されたものであって負極タブ32に接合されている負極タブ接合部61と、負極タブ接合部61よりも電極組立体14に近い位置に配置されたものであって電流遮断部80に接合されている遮断接合部62とを有している。そして、負極導電部材60は、負極タブ接合部61及び遮断接合部62の双方と連続し、電極21,22の積層方向Yから見てクランク状に湾曲(屈曲)した負極湾曲部63を有している。負極湾曲部63は、負極タブ接合部61と連続した曲がり始めの部分から、遮断接合部62と連続した曲がり終わりの部分までである。
【0038】
負極湾曲部63は全体として対向方向Zに延びている。また、
図4に示すように、負極湾曲部63は、電極21,22の積層方向Yにくびれている。詳細には、負極湾曲部63の電極21,22の積層方向Yの長さである負極湾曲部63の幅は、負極タブ接合部61の幅よりも狭くなっている。
【0039】
負極タブ接合部61と負極タブ32との接合態様について説明する。
図4に示すように、負極タブ接合部61は、負極湾曲部63から電極組立体14の幅方向Xの、負極端子16とは反対側に向けて延びた長方形の板状であり、電極組立体14の幅方向Xにおける負極タブ接合部61の先端は負極タブ32における正極タブ31寄りの側面と同一平面上に存在する。
図5及び
図6に示すように、負極タブ接合部61は、蓋13の内面13aと対向する負極上面64と、電極組立体14の端面14aと対向する負極下面65とを有する。負極上面64及び負極下面65は、電極21,22の積層方向Y及び電極組立体14の幅方向Xに延びた面である。
【0040】
ここで、
図5及び
図6に示すように、負極タブ接合部61は、板厚が相違する厚肉部61a及び薄肉部61bを有している。厚肉部61aは、負極タブ接合部61の基端側に配置されている。薄肉部61bは、負極タブ接合部61の先端側に配置されている。また、厚肉部61aと薄肉部61bとで板厚が異なる関係上、負極上面64は、対向方向Zにずれた第1面64a及び第2面64bを有する段差状となっている。第1面64aは厚肉部61aの上面であり、第2面64bよりも蓋13に近い。
【0041】
上方から見て、薄肉部61bは負極タブ32の全体に重なっている。そして、負極下面65における薄肉部61bに対応する部分が負極タブ32に接触しており、その接触箇所にて溶接されている。すなわち、負極導電部材60と負極タブ32とは、負極タブ接合部61の薄肉部61bと負極タブ32とが溶接されていることによって、電気的に接続されている。
【0042】
図5及び
図6に示すように、負極端子16は、負極頭部71と、負極頭部71の上面71aから上方に向けて延び、外周面にねじ溝を有する負極軸部72とを備えている。
図6に示すように、負極軸部72は、蓋13に有る貫通孔13bを介してケース11外に突出している。負極軸部72には、絶縁性のOリング73と、貫通孔13bに嵌合するものであって絶縁性のフランジ付きリング74とが挿通されている。そして、負極軸部72には、フランジ付きリング74の上からナット75が螺合されており、負極端子16と蓋13とがユニット化されている。なお、フランジ付きリング74は、負極軸部72と蓋13の貫通孔13bの周縁部との間、及び、ナット75と蓋13との間に介在している。
【0043】
負極頭部71は、ケース11内の空間であるスペースS1内に存在し、蓋13の内面13aから電極組立体14に向けて突出している。負極頭部71の下面71bには、蓋13(上方)に向けてすり鉢状に凹んだ端子凹部71cが有る。
【0044】
負極導電部材60の遮断接合部62は、負極湾曲部63の幅よりも大きい径の円板状であって、負極頭部71よりも電極組立体14寄りに配置されている。遮断接合部62の上面62aと、負極頭部71の下面71bとが対向している。
【0045】
電流遮断部80は、負極端子16と電極組立体14との間に配置されている。電流遮断部80は、負極端子16と負極導電部材60とを電気的に接続し、且つ、ケース11内の圧力が規定圧を超えた場合に、負極端子16と負極導電部材60との電気的な接続を遮断する。つまり、電流遮断部80は、ケース11内の圧力が規定圧以下である場合において負極端子16及び負極タブ32間の通電経路の一部を構成する一方、ケース11内の圧力が規定圧を超えた場合において上記通電経路を遮断する。
【0046】
図6に示すように、電流遮断部80は、負極頭部71の下面71bと遮断接合部62の上面62aとに接合されている接点板81を備えている。接点板81は、導電性材料で構成されたダイヤフラムである。接点板81は円板状であって端子凹部71cを下方からオーバーラップして覆っている。接点板81における端子凹部71cからはみ出している外周部と、負極頭部71の下面71bにおける端子凹部71cの周縁部とは、溶接されている。接点板81における端子凹部71cと対向する部分は、通常状態において下方に凸となっており、この凸部分と遮断接合部62の上面62aとが溶接されている。すなわち、遮断接合部62と負極頭部71とは、接点板81を介して電気的に接続されている。
【0047】
なお、接点板81の外周部と遮断接合部62の上面62aとの間には、絶縁リング82が存在する。接点板81は、絶縁リング82と負極頭部71の下面71bとの挟持によって支持されている。また、絶縁リング82の外側であって負極頭部71と遮断接合部62との間にはシール部材83がある。
【0048】
遮断接合部62の下面62bには、蓋13に向けてすり鉢状に凹んだ遮断凹部62cが存在する。遮断凹部62cの底面は、上方から見て接点板81と遮断接合部62との溶接部分である負極溶接部分P2を含む。遮断凹部62cの底面には、負極溶接部分P2を囲む破断溝84が存在する。破断溝84は、例えば円環状である。
【0049】
電流遮断部80は、遮断接合部62の下方に配置され、ケース11内の圧力によって変形する変形板85を備えている。変形板85は、導電性材料で構成されたダイヤフラムである。変形板85は、円板状であって遮断凹部62cを下方からオーバーラップして覆っており、変形板85の外周部と、遮断接合部62の下面62bとが溶接されている。変形板85は、通常状態において下方に向けて凸となっており、当該凸部分における負極溶接部分P2と対向する箇所には、上方に向けて突出した突起85aが有る。突起85aは、破断溝84で囲まれた負極溶接部分P2と対向している。変形板85は、下方から上方に向けて規定圧よりも大きい圧力が付与された場合には、上方に向けて凸となるように構成されている。
【0050】
電流遮断部80は、変形板85を下方から支持する支持部材86を備えている。支持部材86は、変形板85と電極組立体14の端面14aとの間に配置されている。支持部材86は略円板状であり、支持部材86の上面には、下方に凸となった変形板85に沿うように凹んだ支持凹部86aが存在する。支持凹部86aの底面における突起85aと対向する箇所には、対向方向Zに貫通したガス孔86bが存在する。なお、支持部材86の板厚は、第2正極絶縁部材58の板厚よりも厚い。
【0051】
かかる構成によれば、ガス孔86bを介して、ケース11内の圧力が変形板85に付与されている。この場合、ケース11内の圧力が規定圧を超えた場合には、
図6の2点鎖線に示すように、変形板85が上方に向けて凸となるように変形する。すると、突起85aが破断溝84で囲まれた負極溶接部分P2に衝突し、その結果、接点板81が上方に向けて凸となるように変形する。この際、遮断接合部62における負極溶接部分P2が破断され、遮断接合部62と負極端子16との電気的接続が物理的に遮断される。
【0052】
図5及び
図6に示すように、二次電池10は、負極頭部71の上面71a及び外周面を覆う絶縁性を有する負極絶縁部材87と、負極絶縁部材87、負極頭部71、絶縁リング82、シール部材83、遮断接合部62、変形板85及び支持部材86をユニット化するカシメ部材88とを備えている。
【0053】
負極絶縁部材87は、負極頭部71に対して上方から取り付けられるものであって、蓋13と負極頭部71との接触を規制するものである。詳細には、
図5に示すように、負極絶縁部材87は、円筒部87a、及び、円筒部87aの軸線方向の上端部に有って径方向内側に延びた鍔部87bを有しており、鍔部87bが負極頭部71の上面71aを覆い、且つ、円筒部87aが負極頭部71の外周面を覆っている。
【0054】
カシメ部材88は、円筒部88aと、当該円筒部88aの軸線方向の両端部に有って径方向内側に延びた上鍔部88b及び下鍔部88cとを有する。カシメ部材88は、上鍔部88bが負極絶縁部材87に係止し、且つ、下鍔部88cが支持部材86の外周面に存在する段差部に係止することにより、上記各種部材をユニット化している。
【0055】
ちなみに、
図5に示すように、負極絶縁部材87の円筒部87aにおける軸線方向の下端部において上方から見て負極湾曲部63と重なる位置には第1逃し凹部91が存在する。同様に、カシメ部材88の円筒部88aにおける軸線方向の下端部において上方から見て負極湾曲部63と重なる位置には第2逃し凹部92が存在する。これら各逃し凹部91,92によって、負極絶縁部材87及びカシメ部材88と、負極導電部材60との干渉が回避されている。
【0056】
ここで、
図6に示すように、正極頭部51の対向方向Zの長さである正極頭部51の厚さは、負極頭部71の対向方向Zの長さである負極頭部71の厚さよりも厚くなっている。そして、支持部材86の下面86cと、第2正極絶縁部材58の下面58cとは対向方向Zに揃っており、同一平面上に存在する。詳細には、電極組立体14の端面14aと第2正極絶縁部材58の下面58cとの距離Z1と、電極組立体14の端面14aと支持部材86の下面86cとの距離Z2とは同一に設定されている。
【0057】
また、正極頭部51に対して電極組立体14寄りに配置されている端子接合部42と、負極頭部71に対して電極組立体14寄りに配置されている遮断接合部62とは対向方向Zにずれて配置されている。詳細には、電極組立体14の端面14aと端子接合部42との距離Z3は、電極組立体14の端面14aと遮断接合部62の下面62bとの距離Z4よりも短い。
【0058】
ここで、各導電部材40,60の湾曲部43,63は、対向方向Zにおいて正極タブ接合部41の正極上面44と負極タブ接合部61の負極上面64とが互いに近づくように、異なる湾曲態様で湾曲している。詳細には、正極湾曲部43の対向方向Zの長さは、負極湾曲部63の対向方向Zの長さよりも長い。
【0059】
ここで、「正極湾曲部43の対向方向Zの長さ」とは、例えば正極下面45から端子接合部42の上面42bまでの対向方向Zの距離であり、「負極湾曲部63の対向方向Zの長さ」とは、例えば負極下面65から遮断接合部62の上面62aまでの対向方向Zの距離である。端子接合部42の上面42bとは、端子接合部42において正極頭部51の下面51bと接触している面である。
【0060】
また、各湾曲部43,63の厚さを考慮すれば、「正極湾曲部43の対向方向Zの長さ」とは、正極上面44から端子接合部42における上面42bとは反対側の下面42cまでの対向方向Zの距離であり、「負極湾曲部63の対向方向Zの長さ」とは、負極上面64(第1面64a)から遮断接合部62の下面62bまでの対向方向Zの距離である。
【0061】
そして、正極上面44と、負極上面64において蓋13寄りに配置されている第1面64aとが対向方向Zに揃っており、両者は同一平面上に配置されている。この場合、正極下面45と負極下面65とは同一平面上に配置されている。
【0062】
かかる構成においては、
図6に示すように、電流遮断部80及び負極端子16の一部である負極頭部71と、負極タブ32とは、電極組立体14の幅方向Xに並んで配置されている。同様に、正極端子15の一部である正極頭部51と正極タブ31とは、電極組立体14の幅方向Xに並んで配置されている。
【0063】
なお、本実施形態では、正極端子15が「第1端子」に対応し、負極端子16が「第2端子」に対応し、正極タブ31が「第1タブ」に対応し、負極タブ32が「第2タブ」に対応し、正極導電部材40が「第1導電部材」に対応し、負極導電部材60が「第2導電部材」に対応する。そして、正極タブ接合部41が「第1タブ接合部」に対応し、正極上面44が「第1対向面」に対応し、正極下面45が「第1タブ接合面」に対応し、負極タブ接合部61が「第2タブ接合部」に対応し、負極上面64が「第2対向面」に対応し、負極下面65が「第2タブ接合面」に対応する。また、正極湾曲部43が「第1湾曲部」に対応し、負極湾曲部63が「第2湾曲部」に対応する。
【0064】
図3に示すように、二次電池10は、正極タブ接合部41及び負極タブ接合部61と、蓋13との間に配置される絶縁カバー100を備えている。絶縁カバー100は、例えば樹脂などで構成されている。絶縁カバー100は、長方形の板状の本体部101と、当該本体部101の短手方向の端部から下方に起立した起立部102とを有しており、電極組立体14の幅方向Xから見て逆U字状となっている。
図6に示すように、絶縁カバー100は、正極タブ接合部41及び負極タブ接合部61に跨って配置されている。絶縁カバー100の長手方向の一端部がカシメ部材88の外周面に突き当たり、他端部が第1正極絶縁部材57の外周面に突き当たっている。絶縁カバー100の下面は、正極上面44及び負極上面64の第1面64aの双方に当接している。
【0065】
なお、
図3に示すように、蓋13の中央部には、ケース11内の圧力が開放圧を超えた場合に開放される圧力開放弁103が有り、絶縁カバー100の本体部101における圧力開放弁103と対向する部位には連通孔101aが存在する。圧力開放弁103及び連通孔101aは、上方から見て正極タブ接合部41と負極タブ接合部61との間に配置されている。
【0066】
本実施形態の二次電池10の製造方法について簡単に説明する。まず、ナット55,75の螺合によって端子15,16を蓋13に取り付けることにより、正極端子15及び正極導電部材40等から構成される正極ユニットと蓋13とをユニット化し、負極端子16、電流遮断部80及び負極導電部材60等から構成される負極ユニットと蓋13とをユニット化する。そして、正極タブ31と正極タブ接合部41とを溶接治具で押圧した状態で溶接し、且つ、負極タブ32と負極タブ接合部61の薄肉部61bとを溶接治具で押圧した状態で溶接することによって、正極ユニット、負極ユニット、蓋13及び電極組立体14をユニット化する。そして、
図7に示すように、正極ユニット、負極ユニット、蓋13及び電極組立体14等から構成されるユニット体を、ケース本体12に挿入することによって、二次電池10が製造される。
【0067】
次に本実施形態の作用について説明する。
電極組立体14の幅方向Xに、電流遮断部80、負極タブ32、正極タブ31及び正極頭部51が並んで配置されているため、例えば各タブ31,32が、電流遮断部80及び正極頭部51よりも電極組立体14寄りに配置されている場合と比較して、スペースS1が小さくなっている。
【0068】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)二次電池10は、正極タブ31と正極端子15とに接合されている正極導電部材40と、負極端子16と電極組立体14との間に配置された電流遮断部80と負極タブ32とに接合されている負極導電部材60とを備えている。導電部材40,60は、電極21,22の積層方向Yから見てクランク状に湾曲した湾曲部43,63を有する。そして、電流遮断部80と負極タブ32とは電極組立体14の幅方向Xに並んで配置されており、正極端子15のうちケース11内にあって電極組立体14に向けて突出している正極頭部51と正極タブ31とは電極組立体14の幅方向Xに並んで配置されている。これにより、スペースS1の低減を図ることができる。
【0069】
また、タブ31,32とタブ接合部41,61との溶接時において、溶接治具から各タブ接合部41,61に対して押圧力が付与された場合には、各湾曲部43,63が撓むことによって押圧力に起因する応力が吸収される。これにより、応力が各溶接部分P1,P2に伝達されることを抑制できる。よって、各溶接部分P1,P2に外圧が付与されることに起因する各溶接部分P1,P2の異常、例えば各溶接部分P1,P2の電気抵抗の上昇等を抑制できる。
【0070】
さらに、二次電池10に振動などが付与された場合には、当該振動に対応して各湾曲部43,63が撓むことが想定される。これにより、振動の影響が各溶接部分P1,P2に伝わりにくいため、振動等によって生じ得る各溶接部分P1,P2の異常を抑制できる。
【0071】
特に、各タブ31,32は、電極21,22の積層方向Yに折り曲げられている。この場合、電極21,22の積層方向Y及び対向方向Zの振動は、各タブ31,32にて吸収され易い。一方、各タブ31,32がねじれる方向である電極組立体14の幅方向Xの振動は、各タブ31,32にて吸収されにくい。これに対して、導電部材40,60におけるクランク状に湾曲している部分である湾曲部43,63は、電極組立体14の幅方向Xに撓みやすい。これにより、各湾曲部43,63が、電極組立体14の幅方向Xの振動を好適に吸収できる。よって、電極組立体14の幅方向Xの振動に対して、より好適に対応できる。
【0072】
(2)ここで、電流遮断部80を、負極端子16の下方ではなく、負極端子16と負極タブ32との間に配置することも考えられる。この場合、電流遮断部80の設置スペースを確保するために、負極タブ32を負極電極22の端部22cの中央部に配置し、負極タブ接合部61の長手方向の寸法を長くすることが考えられる。かかる構成においては、圧力開放弁103の下方に、負極タブ32等が配置されることとなるため、これらがガスの流出を阻害する不都合が生じ得る。
【0073】
これに対して、本実施形態では、電流遮断部80が負極端子16の下方の位置に配置されているため、上記不都合を回避できる。しかしながら、この場合、負極端子16の下方に電流遮断部80を配置する関係上、負極端子16及び電流遮断部80等から構成される負極ユニットの対向方向Zの寸法が長くなり易く、スペースS1が大きくなり易い。この点、本実施形態によれば、負極導電部材60を湾曲させて電流遮断部80等と負極タブ32とを横並びにすることにより、電流遮断部80を負極端子16の下方の位置に配置することによって顕著となる不都合であるスペースS1の増大を好適に抑制できる。
【0074】
(3)負極導電部材60におけるクランク状に湾曲している部分である負極湾曲部63はくびれている。これにより、負極湾曲部63が撓み易くなっているため、より好適に負極湾曲部63による応力緩和を図ることができ、それを通じて負極溶接部分P2に付与される応力を、より好適に軽減することができる。
【0075】
特に、負極溶接部分P2は、電流遮断部80によって破断される関係上、正極溶接部分P1よりも脆弱に構成されている。このため、負極溶接部分P2は、応力等によって異常が発生し易い。これに対して、本実施形態では、電流遮断部80と負極タブ32とに接合されている負極導電部材60の負極湾曲部63がくびれているため、比較的脆弱な負極溶接部分P2を、より好適に保護することができる。
【0076】
(4)正極導電部材40は、正極端子15に接合されている端子接合部42と、端子接合部42よりも蓋13寄りに配置されるものであって、正極タブ31に接合されている正極下面45及び蓋13の内面13aと対向する正極上面44を有する正極タブ接合部41とを備えている。同様に、負極導電部材60は、遮断接合部62に接合されている遮断接合部62と、遮断接合部62よりも蓋13寄りに配置されるものであって、負極タブ32に接合されている負極下面65及び蓋13の内面13aと対向する負極上面64を有する負極タブ接合部61とを備えている。端子接合部42と遮断接合部62とは対向方向Zにずれている。
【0077】
かかる構成において、各導電部材40,60の湾曲部43,63は、対向方向Zにおいて正極上面44と負極上面64とが互いに近づくように湾曲している。詳細には、各湾曲部43,63は、正極上面44と負極上面64の第1面64aとが同一平面上に配置されるように、端子接合部42と遮断接合部62との対向方向Zのずれを考慮して異なる湾曲態様で湾曲している。これにより、各タブ接合部41,61の上端が面一となっているため、絶縁カバー100のガタつきを抑制できる。また、正極上面44と絶縁カバー100との間、又は、負極上面64の第1面64aと絶縁カバー100との間にデッドスペースが形成されることを抑制できる。
【0078】
(5)正極ユニットの下面である第2正極絶縁部材58の下面58cと、負極ユニット(電流遮断部80)の下面である支持部材86の下面86cとは、同一平面上に配置されている。これにより、正極ユニット、負極ユニット、蓋13及び電極組立体14等から構成されるユニット体を、ケース本体12に挿入する際に、力の不均衡が生じにくい。よって、ケース11内にて電極組立体14が傾いたり、電極組立体14に局所的な荷重が付与されたり等の不都合を回避できる。
【0079】
ここで、上記のように、第2正極絶縁部材58の下面58cと支持部材86の下面86cとを面一にしようとすると、端子接合部42と遮断接合部62とが対向方向Zにずれる。このため、仮に、各湾曲部43,63の湾曲態様が同一となっている場合には、正極上面44と負極上面64の第1面64aとが対向方向Zにずれてしまう。
【0080】
これに対して、本実施形態によれば、上述した通り、端子接合部42と遮断接合部62との対向方向Zのずれを考慮して、各湾曲部43,63の湾曲態様が異なっている。これにより、ケース11内にて電極組立体14が傾く等といった不都合を回避しつつ、(4)の効果を実現することができる。
【0081】
(6)負極タブ接合部61は、厚さが相違する厚肉部61a及び薄肉部61bを有している。この場合、薄肉部61bは、厚肉部61aと比較して、撓み易いため、負極溶接部分P2に応力が付与されることを、より好適に抑制できる。
【0082】
(7)負極下面65における薄肉部61bに対応する部分と負極タブ32とが溶接されている。これにより、溶接に係る熱拡散を抑制でき、それを通じて負極タブ接合部61と負極タブ32との溶接を好適に行うことができる。
【0083】
(8)特に、負極タブ接合部61が厚肉部61a及び薄肉部61bを有する関係上、負極上面64は、対向方向Zにずれた第1面64a及び第2面64bを有している。かかる構成において、各湾曲部43,63は、第1面64a及び第2面64bのうち蓋13寄りに配置されている第1面64aと正極上面44とが同一平面上に配置されるように湾曲している。これにより、(4),(6),(7)の効果の両立を図ることができる。
【0084】
(第2実施形態)
本実施形態では、負極タブ32の湾曲態様、及び、負極導電部材110の湾曲態様が第1実施形態と異なっている。その異なる点について以下に説明する。
【0085】
図8に示すように、本実施形態の負極導電部材110は、負極タブ接合部61の負極下面65と正極タブ接合部41の正極下面45とが対向方向Zにずれるように湾曲した負極湾曲部111を有している。詳細には、負極タブ32が正極タブ31よりも薄いことに対応させて、負極導電部材110の負極湾曲部111は、負極タブ接合部61の負極下面65が正極下面45よりも電極組立体14寄りに配置されるように湾曲している。この場合、電極組立体14の端面14aと負極下面65との間のスペースであって負極タブ32が配置される負極タブスペースS12は、電極組立体14の端面14aと正極下面45との間のスペースであって正極タブ31が配置される正極タブスペースS11よりも小さい。
【0086】
本実施形態の作用効果について以下に説明する。
(9)各導電部材40,110の湾曲部43,111は、負極下面65が正極下面45よりも電極組立体14に近づくように湾曲している。これにより、各タブ31,32に付与される応力を軽減することができる。
【0087】
詳述すると、仮に、正極タブスペースS11に対応させて、負極タブスペースS12を大きくしようとすると、負極タブ32の厚さが正極タブ31の厚さよりも薄い関係上、負極タブ32は、正極タブ31と比較して、対向方向Zに引っ張られ易い。これに対して、本実施形態では、負極タブスペースS12が、正極タブスペースS11よりも対向方向Zに小さくなっているため、負極タブ32に付与される応力を軽減できる。
【0088】
また、仮に、負極タブスペースS12に対応させて、正極タブスペースS11を小さくしようとすると、正極タブ31に対して対向方向Zから付与される荷重が大きくなることが想定される。これに対して、本実施形態では、正極タブスペースS11が負極タブスペースS12よりも大きくなっているため、正極タブ31に付与される応力を軽減できる。
【0089】
(第3実施形態)
本実施形態では、正極タブ31の湾曲態様、及び、正極導電部材120の湾曲態様が第1実施形態と異なっている。その異なる点について以下に説明する。
【0090】
図9に示すように、各正極タブ31は、電極21,22の積層方向Yの一方に寄せて集められた状態で他方に折り返されているが、第1実施形態のように、他方側に位置するタブ31が一方側に向けて折り返されていない。
【0091】
図10(a)に示すように、本実施形態の正極導電部材120は、正極タブ接合部41の正極下面45と、図示しない負極タブ接合部61の負極下面65とが対向方向Zにずれるように湾曲した正極湾曲部121を有している。
【0092】
本実施形態において、「正極湾曲部121の対向方向Zの長さ(以下、単に湾曲部長さZ8とする)」は、正極湾曲部121の厚みを考慮して、正極上面44から、正極湾曲部121における電極組立体14の端面14aとの対向部(第1対向部121a)までの対向方向Zの距離である。なお、第1対向部121aとは、電極組立体14の端面14aへの正極湾曲部121の対向部のうち、最も端面14aに近い対向部であり、正極湾曲部121と端子接合部42との境界に位置する部位である。ここで、湾曲部長さZ8のうち、正極下面45から正極湾曲部121の第1対向部121aまでの対向方向Zの距離を湾曲部距離Z5とすると、湾曲部長さZ8は、湾曲部距離Z5と、正極タブ接合部41の厚みとの和となる。
【0093】
そして、湾曲部長さZ8は、上述の湾曲部距離Z5を所定の値に設定して調整される。なお、本実施形態では、第2正極絶縁部材58が、端子接合部42と一体化され、かつ端子接合部42と電極組立体14の端面14aとの間に介在する第1絶縁部材に相当する。
【0094】
二次電池10において、例えば、正極端子15に対し、上方から衝撃が加わり、正極端子15及び、正極端子15に一体の正極導電部材120が電極組立体14に向けて変位したとする。この場合、折り返された各正極タブ31は、衝撃を受けて変位した正極タブ接合部41によって電極組立体14に向けて寄せ集められ、複数の正極タブ31同士が対向方向Zに接触し合った状態になる。
【0095】
図10(b)に示すように、このときの、対向方向Zにおける上端の正極タブ31の上面から、下端の正極タブ31の下面までの対向方向Zへの距離を、タブ積層距離Z6とする。タブ積層距離Z6は、各正極タブ31が折り返された状態で積層されていることから、一枚ごとの正極タブ31の厚みを正極タブ31の枚数の2倍、すなわち、電極組立体14を構成する正極電極21の枚数を2倍した値となる。そして、衝撃を受けて正極導電部材120が電極組立体14に向けて変位したとき、正極タブ31が寄せ集められた段階で、正極導電部材120の変位が止められる。
【0096】
二次電池10においては、正極導電部材120の変位が止められたとき、正極導電部材120と電極組立体14とが短絡しないようにする必要がある。この短絡を抑制するには、変位が止められた正極導電部材120において電極組立体14に向けて露出している正極湾曲部121(第1対向部121a)が電極組立体14の端面14aに接触しないことが重要である。
【0097】
また、正極導電部材120の変位が止められたとき、電極組立体14が損傷を受けないようにするため、第2正極絶縁部材58と電極組立体14の端面14aとが接触しないようする必要がある。よって、湾曲部距離Z5は、正極導電部材120の変位が止められたとき、第2正極絶縁部材58の下面58cが電極組立体14の端面14aに接触しないように設定される。ここで、対向方向Zに沿った第2正極絶縁部材58の下面58cと電極組立体14の端面14aとの距離を離間距離Z7とする。
【0098】
正極導電部材120の変位が止められたとき、正極湾曲部121の第1対向部121a及び第2正極絶縁部材58の下面58cと、電極組立体14の端面14aとの間に、クリアランスが確保できるように湾曲部距離Z5が設定される。すなわち、正極タブ31が電極組立体14側に寄せ集められ、正極導電部材120の変位が止まった状態において、タブ積層距離Z6が、湾曲部距離Z5と離間距離Z7との和より長くなるように(関係式1を満たすように)湾曲部距離Z5が設定される。
【0099】
タブ積層距離Z6>湾曲部距離Z5+離間距離Z7…関係式1
そして、関係式1から湾曲部距離Z5は関係式2を満たすように設定される。
湾曲部距離Z5<タブ積層距離Z6−離間距離Z7…関係式2
そして、湾曲部長さZ8は、上記のように設定された湾曲部距離Z5と、正極タブ接合部41の厚みとの和として設定される。
【0100】
本実施形態の作用効果について以下に説明する。
(10)正極端子15及び正極導電部材120が電極組立体14に向けて変位すると、正極導電部材120の変位によって、各正極タブ31が対向方向Zに沿って電極組立体14側に寄せ集められる。このとき、正極導電部材120は、各正極タブ31が対向方向Zに寄せ集められた位置までは変位する。正極湾曲部121の湾曲部距離Z5が、関係式2を満たす長さに設定されていると、正極湾曲部121の第1対向部121a及び第2正極絶縁部材58の下面58cは、電極組立体14の端面14aに接触せず、しかも、第2正極絶縁部材58と電極組立体14の端面14aとの間にクリアランスを確保した状態とすることができる。
【0101】
その結果、正極電極21と負極電極22において、正極活物質層21bを負極活物質層22bで覆うために、負極電極22が正極電極21より一回り大きいサイズであり、負極電極22の方が、正極電極21より蓋13に近くなっていても、正極湾曲部121が負極電極22に接触することを抑制できる。すなわち、変位した正極導電部材120と負極電極22とが短絡してしまうことを抑制できる。
【0102】
また、第2正極絶縁部材58と負極電極22が接触することが抑制され、負極電極22が損傷を受けることが抑制される。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
【0103】
○ 第3の実施形態において、負極導電部材60における負極下面65から、負極湾曲部63における電極組立体14の端面14aとの第2対向部までの対向方向Zの距離を湾曲部距離とする。また、負極端子16に対し、上方から衝撃が加わり、負極端子16及び負極導電部材60が電極組立体14に向けて変位し、負極タブ32が電極組立体14側に寄せ集められたときの、電極組立体14の端面14aと、第2絶縁部材としての支持部材86の下面86cとの対向方向Zに沿った距離を離間距離とする。なお、この離間距離は、負極タブ32の厚みを枚数分だけ加算し、かつ2倍した値である。さらに、寄せ集められた負極タブ32において、上端の負極タブ32の上面から下端の負極タブ32の下面までの対向方向Zへの距離を、タブ積層距離とする。
【0104】
この場合、第3実施形態の関係式2のように、湾曲部距離<タブ積層距離−離間距離が成立するように、負極導電部材60における湾曲部距離を設定してもよい。
○ 電流遮断部80は、正極端子15と電極組立体14との間に配置され、正極端子15と一体化している構成であってもよい。この場合、正極端子15が「第2端子」に対応し、負極端子16が「第1端子」に対応し、正極タブ31が「第2タブ」に対応し、負極タブ32が「第1タブ」に対応し、正極導電部材40が「第2導電部材」に対応し、負極導電部材60,110が「第1導電部材」に対応する。
【0105】
○ 各端子15,16が取り付けられる位置は、蓋13に限られず、ケース本体12の5つの壁部のいずれかであってもよい。この場合、電極組立体14は、各タブ31,32が存在する端面14aと、ケース本体12における各端子15,16が取り付けられた壁部とが対向するようにケース11に収容されているとよい。
【0106】
○ 各実施形態では、負極湾曲部63,111がくびれていたが、これに限られず、正極導電部材40におけるクランク状に湾曲している部分である正極湾曲部43がくびれていてもよいし、正極湾曲部43及び負極湾曲部63,111の双方がくびれていてもよい。また、正極湾曲部43及び負極湾曲部63,111の双方がくびれていなくてもよい。
【0107】
○ 電流遮断部80の具体的な構成は、各実施形態のものに限られず、通電経路を遮断することができれば任意である。
○ 支持部材86の下面86cと、第2正極絶縁部材58の下面58cとが、対向方向Zにずれていてもよい。
【0108】
○ 端子接合部42と遮断接合部62とが対向方向Zに揃っていてもよい。
○ 第1実施形態では、正極上面44と負極上面64の第1面64aとが同一平面上に配置されていたが、これに限られず、両者が互いに近づいていればよい。正極上面44と第1面64aとが互いに近づくとは、例えば正極上面44と第1面64aとの対向方向Zのずれ寸法が、端子接合部42の上面42b(又は下面42c)と遮断接合部62の上面62a(又は下面62b)との対向方向Zのずれ寸法よりも短くなることである。
【0109】
○ 各実施形態では、負極上面64が段差状になっていたが、これに限られず、負極下面65が段差状になっていてもよい。
○ 正極タブ接合部41が、厚肉部と薄肉部とを有する構成であってもよいし、各タブ接合部41,61の双方が厚肉部と薄肉部とを有する構成であってもよい。また、薄肉部を省略してもよい。
【0110】
○ 第2実施形態において、第1面64aと絶縁カバー100の下面とが当接するように、負極導電部材110の厚肉部を厚くしてもよい。この場合、絶縁カバー100のガタつきを抑制できるとともに、断面積の拡大を通じて電気抵抗の低減を図ることができる。
【0111】
○ 正極タブ31の厚さが負極タブ32の厚さよりも薄くてもよい。この場合、正極湾曲部及び負極湾曲部は、正極下面45が負極下面65よりも電極組立体14寄りに配置されるように湾曲しているとよい。要は、正極湾曲部及び負極湾曲部は、正極タブ及び負極タブのうち相対的に厚さが薄い方のタブに接合される接合面が、相対的に厚さが厚い方のタブに接合される接合面よりも電極組立体14寄りに配置されるように湾曲しているとよい。
【0112】
○ 電極組立体14は、帯状の正極電極と負極電極とが、帯状のセパレータを介して捲回されて積層構造となった捲回型であってもよい。
○ 二次電池10は、車両に搭載して走行に用いてもよいし、定置用の電源として用いてもよい。
【0113】
○ ケース11の形状は任意であり、例えば円筒形状であってもよい。
○ 二次電池10は、リチウムイオン電池であったが、これに限られず、他の二次電池であってもよい。要は、正極活物質層21bと負極活物質層22bとの間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。また、蓄電装置として電気二重層キャパシタでもよい。
【0114】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)各タブ接合部と壁部との間に配置されたものであって、第1対向面及び第2対向面の双方に当接している絶縁カバーを備えていてもよい。
【0115】
(ロ)第1湾曲部と第2湾曲部とは、第1タブの厚さが第2タブの厚さよりも薄い場合には、第1タブ接合面が第2タブ接合面よりも電極組立体寄りに配置されるように湾曲している一方、第2タブの厚さが第1タブの厚さよりも薄い場合には、第2タブ接合面が第1タブ接合面よりも電極組立体寄りに配置されるように湾曲しているとよい。