(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステータ孔(28)は、前記内周面(26)よりも前記シャフト(30)に近い位置において、前記ステータ固定部(25)に形成される、請求項4に記載の電動機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では電動機の動作に伴って温度が上昇する。温度上昇は、例えば固定子の巻線の抵抗値の増大を招き、好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、電動機の温度上昇を抑制できる電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電動機の第1の態様は、軸方向に沿って伸びるシャフト(30)と、固定子(20)と、前記シャフトについての径方向において前記シャフトに対して前記固定子よりも遠くに設けられる回転子(10)と、前記シャフトに固定されるとともに前記固定子とも固定されるステータ固定部(25)と、前記軸方向において前記ステータ固定部および前記固定子と空隙を介して対面し、前記シャフトに対して回転可能に固定されるとともに前記回転子に固定されるロータ固定部(15)と
、前記固定子(20)と前記ロータ固定部(15)との間に設けられ、前記固定子および前記ロータ固定部の一方から他方へと突出する突起部(27)とを備え、前記ロータ固定部には自身を貫通して前記空隙と連通するロータ孔(14)が形成され、前記ステータ固定部には自身を貫通し、前記空隙を介して前記ロータ孔と連通するステータ孔(28)が形成され
、前記ロータ孔(14)は前記突起部よりも前記シャフト(30)の近くに位置する。
【0008】
本発明にかかる電動機の第2の態様は、第1
または第2の態様にかかる電動機であって、
突起部は、樹脂で形成される。
【0009】
本発明にかかる電動機の第3の態様は、第2の態様にかかる電動機であって、前記突起部(27)は前記固定子(20)に固定され、前記ロータ固定部(15)と空隙を介して対面する。
【0010】
本発明にかかる電動機の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる電動機であって、前記シャフト(30)と前記ロータ固定部(15)とを回転可能に固定する軸受(41,42)を備え、前記固定子(20)は、前記径方向において、空隙を介して前記シャフト(30)と対面する内周面(26)を有する。
【0011】
本発明にかかる電動機の第5の態様は、第4の態様にかかる電動機であって、前記ステータ孔(28)は、前記内周面(26)よりも前記シャフト(30)に近い位置において、前記ステータ固定部(25)に形成される。
【0012】
本発明にかかる電動機の第6の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる電動機であって、前記ステータ孔(28)は前記径方向において前記ロータ孔(14)よりも前記シャフト(30)の近くに位置する。
【0013】
本発明にかかる送風装置の第1の態様は、第1から第6のいずれか一つの態様にかかる電動機と、前記ロータ固定部(15)に固定され、前記ロータ孔(14)からの空気を吸い込むファン(60)とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる電動機の第1
および第2の態様によれば、ステータ孔およびロータ孔を介して、電動機の内部を空気が通り抜けることができるので、電動機の温度上昇を抑制することができる。
しかもロータ孔とステータ孔との間を流れる空気に磁性粉が混ざっていたとしても、当該磁性粉がエアギャップへと侵入することを、突起部によって抑制することができる。
【0016】
本発明にかかる電動機の第3の態様によれば、固定子およびロータ固定部の間の空隙と、エアギャップとの連通箇所を遠ざけることができる。
【0017】
本発明にかかる電動機の第4の態様によれば、シャフトと固定子との間の空隙が断熱部として機能するので、固定子で発生した熱をシャフトへと伝えにくい。よって、軸受の温度上昇を抑制でき、軸受の残りの寿命の低下を抑制できる。
【0018】
本発明にかかる電動機の第5の態様によれば、シャフトに近い位置を空気が流れるので、軸受の温度上昇をさらに抑制でき、軸受の寿命を向上できる。
【0019】
本発明にかかる電動機の第6の態様によれば、ステータ孔からロータ孔へと空気が流れるときに、入口側(ステータ孔側)の空気がシャフトの近くを流れる。入口側の空気は出口側(ロータ孔側)の空気よりも冷たいので、シャフトの温度上昇を抑制できる。
【0020】
本発明にかかる送風装置の第1の態様によれば、ファンによって電動機の内部に空気が流れるので、電動機の温度上昇を効率的に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は電動機1の概略的な構成の一例を示す断面図であり、仮想的な回転軸Pを含む断面において、電動機1の構成を示している。電動機1は回転子10と固定子20とシャフト30と複数の軸受41,42と軸受ハウジング50とを備えている。
【0023】
シャフト30は回転軸Pに沿って延在する棒状(例えば円柱状)の部材であり、導電性を有する。シャフト30は例えば金属(例えばステンレス鋼など)で形成される。
【0024】
なお以下では、回転軸Pに沿う方向を軸方向と呼び、回転軸Pを中心とした周方向および径方向をそれぞれ単に周方向および径方向と呼ぶ。
【0025】
固定子20は固定子コア21と巻線22とを備えている。固定子コア21は軟磁性体で形成されており、導電性を有する。固定子コア21は複数のティース211とバックヨーク212とを有している。
図2は固定子20と回転子10との概略的な構成の一例を示す断面図である。
図2においては、回転軸Pに垂直な断面であって、ティース211を通る断面が示されている。
【0026】
ティース211は複数設けられており、これら複数のティース211はシャフト30(回転軸P)の周囲に配置される。より具体的には、複数のティース211は周方向に沿って間隔を空けて並んで配置され、回転軸Pを中心として放射状に配置される。
【0027】
バックヨーク212は複数のティース211の一端(
図1では内周側の一端)同士を磁気的に連結する。バックヨーク212は例えば回転軸Pを中心とした筒状(略円筒状)の形状を有している。
【0028】
固定子コア21は例えば軸方向に沿って積層される複数の積層鋼板によって形成されてもよい。これにより、固定子コア21に生じる渦電流を低減することができる。なお固定子コア21は必ずしも積層鋼板によって構成される必要はなく、例えば樹脂を含んで形成される圧粉磁心であってもよい。これによっても、渦電流は低減される。
【0029】
巻線22は例えばインシュレータ23を介してティース211に巻回される。この巻線22は径方向に沿う軸を巻回軸としてティース211に巻回される。インシュレータ23は絶縁性の材料によって形成されており、巻線22とティース211との間を絶縁する。なお、本願で特に断りのない限り、巻線はこれを構成する導線の1本1本を指すのではなく、導線が一纏まりに巻回された態様を指す。これは図面においても同様である。また、巻始め及び巻終わりの引出線、及びそれらの結線も図面においては適宜に省略している。
【0030】
回転子10は磁極部材11を備えている。磁極部材11は固定子20に対して界磁磁束を供給する部材であり、エアギャップを介して固定子20に対面する。
図1の例示では、磁極部材11は固定子20よりも外周側(シャフト30とは反対側)に設けられている。言い換えれば、回転子10は固定子20よりもシャフト30から遠い位置に設けられる。かかる電動機1はいわゆるアウターロータ型の電動機である。
【0031】
磁極部材11は例えば永久磁石によって形成され、周方向において交互に異なる極性の磁極面を固定子20に向けて呈する。磁極部材11は例えばボンド磁石であって、例えば回転軸Pを中心とした略円筒形状を有している。よって磁極部材11には、自身を貫通する孔13が形成され、固定子20はこの孔13の内部に配置されることになる。ボンド磁石における磁石片としては、例えばフェライト磁石を採用することができる。
【0032】
このような回転子10および固定子20において、巻線22へと適切に交流電圧が印加されることにより、固定子20は回転子10へと回転磁界を供給することができる。これに伴って回転子10は固定子20に対して回転することとなる。
【0033】
固定子20はステータ固定部25によってシャフト30に固定される。つまりステータ固定部25は固定子20に固定されるとともに、シャフト30にも固定される。例えばステータ固定部25は樹脂によって形成されており、固定子20およびシャフト30と一体に成形される。
【0034】
ステータ固定部25は例えば軸方向の両側において固定子20を密着して覆っている。また、
図2に示すように、巻線22の周方向における相互間に空隙が存在していれば、ステータ固定部25は当該空隙を埋めていてもよい。なお、巻線22の巻数(層数)を増やして、巻線22の相互間の空隙を狭くしても構わない。これにより、ティース211の間の空隙に対して巻線22が占める体積率(占積率)を向上することができ、ひいては電動機1の効率を向上できる。
【0035】
ステータ固定部25は固定子20を覆うので、固定子20を保護することができる。ただし、
図1の例示では、固定子20の回転子10との対向面(ティース211の外周面)は、ステータ固定部25によって覆われておらず、露出している。これは、固定子20と回転子10との間の磁気抵抗を低減するためである。これにより、電動機1の効率を向上することができる。なお、
図1の例示では、ステータ固定部25はバックヨーク212の内周面26を覆っていないものの、この内周面26を覆ってもよい。これにより、バックヨーク212の内周面26も保護することができる。
【0036】
図1の例示では、バックヨーク212の内周面26は孔を形成しており、この孔は軸方向の一方側(以下、上側と呼ぶ)に開口するものの、軸方向の他方側(以下、下側と呼ぶ)において、ステータ固定部25によって、その一部が塞がれている。そして
図1の例示では、シャフト30が孔を軸方向に貫通し、孔の底面(ステータ固定部25によって形成された面)において、シャフト30の一端部がステータ固定部25に埋め込まれて固定されている。
【0037】
以上のように、ステータ固定部25は固定子20とシャフト30とを固定するので、固定子20とシャフト30とを連結する連結部としても機能する。
【0038】
回転子10はロータ固定部15および軸受41,42によってシャフト30に対して回転可能に固定される。
図1の例示ではシャフト30には複数の軸受41,42が取り付けられる。軸受41は内輪411、外輪412および転動体413を有している。内輪411、外輪412および転動体413は例えば導電性を有している。内輪411はリング形状を有し、その内周面において、シャフト30に接触して固定される。外輪412は内輪411よりも径が大きいリング形状を有し、内輪411に対して外周側から対面する。転動体413は例えば球状の形状を有し、内輪411と外輪412との間で転がり、外輪412と内輪411との間の相対的な回転を実現する。内輪411と転動体413との間、および、外輪412と転動体413との間には、不図示の潤滑油(グリース)が塗布されており、これらの間の摩擦を低減する。
【0039】
軸受42は内輪421と外輪422と転動体423とを備えている。軸受42の構造は軸受41の構造と同じであるので、繰り返しの説明を避ける。
【0040】
軸受41,42はその内輪411,421がシャフト30によって嵌合された状態で、シャフト30に固定される。軸受41,42は軸方向で互いに間隔を空けてシャフト30に取り付けられている。なお
図1の例示では、2つの軸受41,42が設けられているものの、一つの軸受のみが設けられてもよし、3つ以上の軸受が設けられてもよい。
【0041】
ロータ固定部15は、軸方向において空隙を介して固定子20およびステータ固定部25と対面している。このロータ固定部15は軸受41,42を介してシャフト30に回転可能に固定されるとともに、回転子10とも固定される。
【0042】
図1の例示では、ロータ固定部15は軸受ハウジング50と連結部12とを備えている。軸受ハウジング50は例えば導電性の部材であり、例えば金属(例えばアルミ)によって形成される。また軸受ハウジング50は、例えば空隙を介してシャフト30を囲む筒状の形状を有しており、軸受41,42の外輪412,422と接触する。軸受ハウジング50は軸受41,42の間において空隙を介してシャフト30と対面することとなる。
【0043】
図1の例示では、軸受41は固定子20よりも軸方向の上側に配置されており、軸受42が内周面26によって形成される孔の内部に位置している。言い換えれば、軸受42は径方向において固定子20と対向する位置に設けられている。
図1の例示では、軸受ハウジング50は軸受41,42の両方と接触するので、内周面26による孔の内部から固定子20よりも上側に向かって延在することとなる。
【0044】
また
図1の例示では、軸受ハウジング50は、固定子20よりも上側の領域において、外周側に向かって広がって延在している。よって、
図1の例示では、軸受ハウジング50は、軸受41,42と接触する筒状部材51と、筒状部材51の上側の部分から外周側に広がるフランジ部52とを有している、とも説明できる。
【0045】
連結部12は軸受ハウジング50および回転子10と固定して、軸受ハウジング50と回転子10とを連結する。連結部12は例えば内側筒状部123と上面部121と外側筒状部122とを備えている。内側筒状部123は筒状形状を有し、フランジ部52の外周側の端部において軸受ハウジング50と固定されている。上面部121は内側筒状部123の外周側の上端部分から外周側に広がっている。上面部121は例えば板状のリング形状を有している。外側筒状部122は上面部121の外周側の周縁から軸方向の下側へと突出した筒状形状を有している。外側筒状部122は回転子10(磁極部材11)と固定される。
【0046】
この連結部12は例えば樹脂で形成されており、例えば軸受ハウジング50および回転子10と一体で成形される。
【0047】
このような構造によれば、回転子10は軸受ハウジング50および連結部12とともに、シャフト30に対して回転する。
【0048】
また
図1の例示では、軸受42とステータ固定部25との間には、予圧ばね35が設けられている。予圧ばね35は例えば、らせん状に延在した弾性体によって形成されるスプリングであって、シャフト30によって貫通されている。予圧ばね35は軸受42とステータ固定部25とを遠ざける方向に不勢する。
【0049】
また本電動機1において、ロータ固定部15にはロータ孔14が形成される。ロータ孔14はロータ固定部15を貫通して、固定子20およびステータ固定部25の一組と、ロータ固定部15との間の空隙A1に連通する。よって、このロータ孔14は電動機1の外部と、空隙A1とを連通する。
【0050】
図1の例示では、ロータ孔14は連結部12に形成されており、例えば軸方向に沿って連結部12を貫通している。ロータ孔14は例えば複数設けられてもよく、回転軸Pの周りにおいて間隔を空けて設けられてもよい。例えば
図3に示すように、ロータ孔14は軸方向に沿って見て略円状の形状を有していてもよく、あるいは、
図4に例示するように、周方向に長い長尺形状を有していてもよい。また、ロータ孔14が周方向に複数設けられる場合には、互いに略同一の形状を有して等間隔で設けられてもよい。
【0051】
また空隙A1は、径方向における固定子20と軸受ハウジング50との間、および、径方向における固定子20とシャフト30との間にも延在する。
【0052】
図1に示すように、ステータ固定部25にもステータ孔28が形成される。ステータ孔28はステータ固定部25を貫通し、上記空隙A1を介してロータ孔14と連通する。ステータ孔28は、例えば固定子20の内周面26よりも内周側(より具体的には、シャフト30と内周面26との間)に位置しており、例えば軸方向に沿ってステータ固定部25を貫通する。ステータ孔28はロータ孔14と同様に、例えば複数設けられてもよく、回転軸Pの周りにおいて間隔を空けて設けられてもよい。ステータ孔28は軸方向に沿って見て例えば略円状の形状を有していてもよく、あるいは、周方向に長い長尺形状を有していてもよい。また、ステータ孔28が周方向に複数設けられる場合には、互いに略同一の形状を有して等間隔で設けられてもよい。
【0053】
このような電動機1において、巻線22へと適切に交流電圧を印加することによって、固定子20は回転子10へと回転磁界を供給する。これにより、回転子10は固定子20に対して回転することとなる。そして、巻線22に電流が流れると、ジュール熱により電動機1の温度が上昇する。特に固定子20(巻線22および固定子コア21)の温度が高まる。このような温度上昇は例えば巻線22の抵抗値の増大を招き、電動機1の効率を低下させる。
【0054】
しかるに本電動機1によれば、ロータ孔14およびステータ孔28によって、電動機1の内部は外部と連通することとなる。よって、ロータ孔14およびステータ孔28の一方が電動機1の内部への入口として機能し、他方が電動機1の内部からの出口として機能できる。よって、空気が入口から電動機1の内部を通って出口へと流れることができる。これにより、電動機1の内部を流れる空気の流動性を向上することができる。
図1の例示では、この空気の流れの一例を太線の矢印で示している。
【0055】
このように電動機1の内部を空冷することができ、ひいては電動機1の温度上昇を抑制することができる。したがって、例えば巻線22の温度上昇に伴う抵抗値の増大を抑制することができ、電動機1の効率の低下を抑制できる。また、例えば軸受41,42の潤滑油は温度上昇に伴って劣化するところ、かかる劣化も抑制できる。よって軸受41,42の残寿命の低下も抑制できる。
【0056】
本電動機1は例えばファンを駆動する。
図5は、ファン60と電動機1とを備える送風装置の概略的な構成の一例を示す断面図であり、
図6はファン60の概略的な構成の一例を示す平面図である。
【0057】
ファン60は、ロータ固定部15に固定されており、回転子10の回転に伴って回転する。この回転に伴って、ファン60はロータ孔14からの空気を吸い込む。例えば
図5,6の例示では、ファン60は遠心ファンであって、より具体的な一例としてはターボファンである。
【0058】
ファン60は例えば取付板61と、複数の羽根63と、上部板64とを備えている。取付板61は軸方向においてロータ固定部15に対面して固定される。
図5の例示では、取付板61は、ロータ固定部15と対面する部分611と、部分611の外周端部から電動機1を囲むように略軸方向に延在する部分612と、部分612の、部分611よりも遠い側の端部から、外周側へと広がる部分613とを備えている。つまり、取付板61は中央部が盛り上がった板状の形状を有しており、また軸方向に沿って見た外形は回転軸Pに沿う略円形状を有している。
【0059】
複数の羽根63は回転軸Pの周りで互いに空隙を介して並んで配置され、取付板61に固定されている。複数の羽根63は電動機1よりも外周側に取り付けられる。複数の羽根63の各々は、周方向の一方側の端部が、周方向の他方側の端部よりも内周側に配置される姿勢で、設けられている。上部板64は羽根63に対して取付板61とは反対側で固定されている。上部板64は回転軸Pに沿って見て、回転軸Pを中心としたリング状の形状を有している。
【0060】
また取付板61には貫通孔62が形成されている。貫通孔62は取付板61を軸方向において貫通してロータ孔14と連通している。
【0061】
かかる送風装置において、電動機1およびファン60の回転に伴って、ファン60は主として上部板64の開口部を介して上部から空気を吸い込み、径方向の外側へと空気を吹き出す。その一方で、電動機1およびファン60の回転によって、ファン60はロータ孔14からも空気を吸い込む。即ち、ステータ孔28を介して電動機1の内部へと空気が吸い込まれ、続いて、ロータ孔14および貫通孔62を介してファン60の内部へと吸い込まれる。内部へと吸い込まれた空気は径方向の外側へと吹き出される。
【0062】
以上のように、電動機1およびファン60の回転に伴って、電動機1の内部を空気が流れるので、電動機1の温度上昇を抑制することができる。ひいては、温度上昇に伴う巻線22の抵抗値の増大を抑制することができ、電動機1の効率を向上することができる。
【0063】
なお
図5,6の例示では、電動機1がファン60を駆動することによって、電動機1よりも軸方向上側の領域と軸方向下側の領域との間に差圧を生じさせ、これによって、電動機1の内部に空気を流している。しかしながら、必ずしもこれに限らない。自然の風によって電動機1の内部に空気が流れてもよく、他の送風装置によって電動機1の内部に空気を流してもよい。
【0064】
ただし、
図5,6のようにファン60による送風を利用して電動機1の内部に空気を流す場合には、自然の風に比べて強制的に空気を流せるので、電動機1を効率的に冷やすことができる。また別途に送風装置を設ける場合に比して、製造コストを低減できる。
【0065】
また
図1の例示では、例えば突起部27が設けられている。突起部27は、ロータ固定部15と固定子20との間に設けられている。突起部27は、固定子20に固定されており、固定子20から軸方向に突出して、ロータ固定部15に対して空隙を介して対面する。突起部27は例えば回転軸Pを中心とした略円筒状の形状を有している。つまり、突起部27は回転軸Pの周りで全周に渡って設けられる。
【0066】
なお
図1の例示では、突起部27は樹脂で形成されており、ステータ固定部25と一体で成形されている。これにより、突起部27およびステータ固定部25を容易に製造することができる。
【0067】
しかも
図1の例示では、ロータ孔14は突起部27よりも内周側(シャフト30側)に位置する。
【0068】
このような構造によれば、ステータ孔28から電動機1の内部に流れ込んだ空気がエアギャップへと流れ込むことを抑制できる。なぜなら、突起部27によって、エアギャップへの侵入口(ロータ固定部15と突起部27との間の空隙)が狭くなるからである。よってエアギャップ内に、空気中の粉塵が侵入することを防止できる。この点では、ロータ固定部15と突起部27との間の軸方向の間隔は、ロータ孔14の径方向の幅よりも短くてもよい。これによりエアギャップへの侵入口よりもロータ孔14へと空気を導くことができ、ひいては空気(粉塵)がエアギャップ内へと侵入しにくくなる。
【0069】
また、電動機1の内部へと流れ込んだ空気に磁性粉が混在していたとしても、当該磁性粉がエアギャップ内に侵入することも、突起部27によって抑制することができる。磁性粉には、回転子10または固定子20との間で磁気吸引力が作用し、空気の流れとは別にエアギャップ側へと引き付けられる。つまり、外周側かつ軸方向の下方側へと引き付けられる。しかるに、この磁性粉は突起部27に衝突するので、エアギャップ内への侵入が防止、あるいは抑制される。
【0070】
なお
図1の例示とは異なって、突起部27はロータ固定部15に固定され、固定子20(ステータ固定部25)と空隙を介して対面していてもよい。これによっても、突起部27が設けられていない構造に比べて、エアギャップの侵入口を狭くできるからである。
【0071】
その一方で、
図1のように突起部27は固定子20(ステータ固定部25)に固定されていることが望ましい。なぜなら、固定子20およびロータ固定部15の間の空隙とエアギャップとの連通箇所を遠ざけることができるからである。これによって、粉塵がエアギャップへとより侵入しにくくなる。
【0072】
また磁性粉はエアギャップに引き付けられるところ、突起部27に衝突した磁性粉は磁気吸引力によって、軸方向の下側に移動し得る。よってこの観点でも、突起部27は固定子20に固定されることが望ましい。たとえ磁性粉が軸方向の下方側へと移動したとしても、突起部27と固定子20(ステータ固定部25)とが固定されていれば、これらの間の隙間は低減されるので、磁性粉がエアギャップへと侵入しにくいのである。突起部27が全周に渡って固定子20に固定されており、これらの間に隙間が生じていなければ、磁性粉の侵入を防止できる。
【0073】
また
図1の例示では、固定子コア21がシャフト30および軸受41,42と空隙を介して対向している。空隙は断熱部として機能することができるので、巻線22で発生した熱が固定子コア21に容易に伝達したとしても、軸受41,42には伝達しにくい。よって、軸受41,42の温度上昇を抑制でき、軸受41,42の残寿命の低下を抑制できる。
【0074】
また
図1の例示では、ステータ孔28が固定子20の内周面26よりもシャフト30側に位置している。これにより、シャフト30に近い位置で電動機1の内部へと空気が流れ込む。よってシャフト30に取り付けられる軸受41,42の温度上昇を抑制することができ、軸受41,42の残寿命の低下を抑制できる。
【0075】
また
図1の例示では、ステータ孔28はロータ孔14よりもシャフト30側に位置している。よってステータ孔28が空気の入口として機能する場合、外部の空気をシャフト30に近い位置で送り込むことができる。つまり、ロータ孔14から外部へと流れ出る空気は電動機1で温められた空気であるところ、より冷たい空気(ステータ孔28から流れ込む空気)がシャフト30に近い位置を流れるので、シャフト30、ひいては軸受41,42の冷却に資する。これは特にファン60を用いた場合に有効である。なぜなら、ファン60によって、ステータ孔28およびロータ孔14をそれぞれ入口および出口として機能させることができるからである。
【0076】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、相互に矛盾しない限り、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。