(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平行に並んだ複数の扁平管部(31,61)によってそれぞれが構成されて空気の流れ方向に並ぶ風上管列(50)及び風下管列(90)と、上記扁平管部(31,61)に接合されたフィン(32,62)とを備えた熱交換器(23)の製造方法であって、
一方の縁部に一定の間隔で形成された複数の切り欠き部(186)と、該切り欠き部(186)から他方の縁部に向かって形成され扁平管部(31,61)が挿入される管挿入部(187)とを有する上記フィン(32,62)を、風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)を有する複数の扁平管(170)それぞれの一端部と他端部に管挿入部(187)側の縁部を同じ向きにして装着するフィン装着工程と、
上記各扁平管(170)を一端部と他端部の間で折り曲げることにより、フィン(32,62)の管挿入部(187)側の縁部同士が向かい合う状態で風上管列(50)と風下管列(90)を形成する管列形成工程と、
を備え、
上記管列形成工程は、上記扁平管(170)を、風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)の位置が、両扁平管部(31,61)の扁平面に直交する方向にずれるように折り曲げる工程であることを特徴とする熱交換器の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の熱交換器では、フィンの一方の縁部に多数の切り欠き部が一定間隔で形成されており、扁平管は、フィンの切り欠き部側の縁部から他方の縁部に向かって形成されている管挿入部(スリット)に挿入されて固定されている。切り欠き部と切り欠き部の間は突出部になっている場合もあるが、二列構造の熱交換器で例えば各管列のフィンを同じ向きに配置すると、扁平管のフィン挿入側の縁部や突出部が熱交換器の外面に露出してしまう。そうすると、熱交換器の設置時などに、露出している扁平管の保護が不十分になるおそれがあるうえ、上記突出部が形成されている場合には周囲の機器との干渉により突出部が変形したり損傷したりするおそれがある。
【0005】
また、二列構造の熱交換器では、各管列の扁平管を接続部材で連結するようにすると、フィンの向きを誤って組み立ててしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、扁平管とフィンを有する二列構造の熱交換器において、扁平管のフィン挿入側縁部の変形や損傷を防止できる熱交換器及び空気調和機、及び誤組み立てを防止できる熱交換器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、平行に並んだ複数の扁平管部(31,61)によってそれぞれが構成されて空気の流れ方向に並ぶ風上管列(50)及び風下管列(90)と、上記扁平管部(31,61)に接合されたフィン(32,62)とを備えた熱交換器の製造方法を前提としている。
【0008】
そして、この熱交換器の製造方法は、一方の縁部に一定の間隔で形成された複数の切り欠き部(186)と、該切り欠き部(186)から他方の縁部に向かって形成され扁平管部(31,61)が挿入される管挿入部(187)とを有する上記フィン(32,62)を、風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)を有する複数の扁平管(170)それぞれの一端部と他端部に管挿入部(187)側の縁部を同じ向きにして装着するフィン装着工程と、上記各扁平管(170)を一端部と他端部の間で折り曲げることにより、フィン(32,62)の管挿入部(187)側の縁部同士が向かい合う状態で風上管列(50)と風下管列(90)を形成する管列形成工程とを備えていることを特徴としている。
【0009】
この
第1の発明では、フィン(32,62)を、風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)を有する複数の扁平管(170)それぞれの一端部と他端部に管挿入部(187)側の縁部を同じ向きにして装着するフィン装着工程と、上記各扁平管(170)を一端部と他端部の間で折り曲げることにより、フィン(32,62)の管挿入部(187)側の縁部同士が向かい合う状態で風上管列(50)と風下管列(90)を形成する管列形成工程とを行うことにより、2列構造の熱交換器を製造することができる。
【0010】
また、
第1の発明では、上記管列形成工程が、上記扁平管(170)を、風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)の位置が、両扁平管部(31,61)の扁平面に直交する方向にずれるように折り曲げる工程である。
【0011】
この
第1の発明では、形成された熱交換器の風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)がその配列方向(扁平管部(31,61)の扁平面に直交する方向)にずれるので、風上管列(50)の扁平管部(31)と扁平管部(31)の間を扁平管部(31)に接触せずに通過した空気が風下管列(90)の扁平管部(61)に接触する状態で通過する。
【0012】
第2の発明は、
第1の発明において、上記フィン(32,62)が、上記一方の縁部に、隣り合う切り欠き部(186)の間に形成されて上記扁平管部(31,61)から突出する突出部(188)を有するフィンであり、上記管列形成工程において、上記風上管列(50)側のフィン(32)の突出部(188)と風下管列(90)側のフィン(62)の突出部(188)とが互いに向かい合うように上記各扁平管(170)を一端部と他端部の間で折り曲げることを特徴としている。
【0013】
この
第3の発明では、フィン(32,62)の突出部(188)同士が向かい合う状態で風上管列(50)と風下管列(90)を形成する管列形成工程を行うことにより、2列構造の熱交換器を製造することができる。
【0014】
第3の発明は、
第1または
第2の発明において、上記フィン装着工程では、扁平管部(31)の一端部と他端部に複数の上記フィン(32,62)を装着することにより風上管列(50)のフィン群(33)と風下管列のフィン群(63)を形成する一方、両フィン群(33,63)の間にはフィン(32,62)を装着しないギャップ部(140)を形成することを特徴としている。
【0015】
この
第3の発明では、両フィン群(33,63)の間に形成されたギャップ部(140)において各扁平管(170)が折り曲げられ、風上管列(50)と風下管列(90)が形成される。
【0016】
第4の発明は、
第1から
第3の発明の何れか1つにおいて、上記管列形成工程が、上記扁平管(170)を上記一端部と他端部の間でU字状に折り曲げる工程であって、U字状の折り曲げ部(173)を該扁平管(170)の平面から外れる立体的な折り曲げ部(173)にする工程であることを特徴として
いる。
【0017】
上記
第4の発明では、管列形成工程において扁平管(170)を上記一端部と他端部の間でU字状に折り曲げることにより、風上管列(50)と風下管列(90)が形成
される。
【発明の効果】
【0018】
上記第1,第2の発明によれば、二列構造の熱交換器を、フィン(32,62)の管挿入部(187)側の縁部または突出部(188)が互いに向かい合って保護される状態で、容易に形成することができる。
【0019】
また、上記
第1の発明によれば、形成される熱交換器の風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)をその配列方向(両扁平管部(31,61)の扁平面に直交する方向)にずらすことにより、風上管列(50)の扁平管部(31)と扁平管部(31)の間を扁平管部(31)に接触せずに通過した空気が風下管列(90)の扁平管部(61)に接触する状態で通過するので、扁平管部(31,61)と接触しない風量が少なくなり、熱交換効率を高められる。
【0020】
上記
第3の発明によれば、両フィン群(33,63)の間に形成されたギャップ部(140)において各扁平管(170)を折り曲げて風上管列(50)と風下管列(90)を形成することにより、二列構造の熱交換器を容易に製造することができる。
【0021】
上記
第4発明によれば、管列形成工程において扁平管(170)をU字状に折り曲げることにより風上管列(50)と風下管列(90)が形成されるので、二列構造の熱交換器を容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
まず、実施形態の前提技術について説明する。本実施形態の前提技術の熱交換器は、空気調和機(10)に設けられた室外熱交換器(23)である。以下では、先ず空気調和機(10)について説明し、その後に室外熱交換器(23)について詳細に説明する。
【0025】
−空気調和機−
空気調和機(10)について、
図1を参照しながら説明する。
【0026】
〈空気調和機の構成〉
空気調和機(10)は、室外ユニット(11)および室内ユニット(12)を備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)によって、冷媒回路(20)が形成されている。
【0027】
冷媒回路(20)には、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが設けられている。圧縮機(21)、四方切換弁(22)、室外熱交換器(23)、および膨張弁(24)は、室外ユニット(11)に収容されている。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(23)へ室外空気を供給するための室外ファン(15)が設けられている。一方、室内熱交換器(25)は、室内ユニット(12)に収容されている。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(25)へ室内空気を供給するための室内ファン(16)が設けられている。
【0028】
冷媒回路(20)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(20)において、圧縮機(21)は、その吐出管が四方切換弁(22)の第1のポートに、その吸入管が四方切換弁(22)の第2のポートに、それぞれ接続されている。また、冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが配置されている。この冷媒回路(20)において、室外熱交換器(23)は、配管(17)を介して膨張弁(24)に接続され、配管(18)を介して四方切換弁(22)の第3のポートに接続される。
【0029】
圧縮機(21)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機である。四方切換弁(22)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(
図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(
図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(24)は、いわゆる電子膨張弁である。
【0030】
室外熱交換器(23)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(23)については後述する。一方、室内熱交換器(25)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(25)は、円管である伝熱管を備えたいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。
【0031】
〈空気調和機の運転動作〉
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。
【0032】
冷房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第1状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、室内熱交換器(25)の順に冷媒が循環し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)では、圧縮機(21)から流入したガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮し、凝縮後の冷媒が膨張弁(24)へ向けて流出してゆく。
【0033】
暖房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第2状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室内熱交換器(25)、膨張弁(24)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(21)へ向けて流出してゆく。
【0034】
−室外熱交換器−
室外熱交換器(23)について、
図2〜10を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明に示す扁平管(31,61)の本数は、単なる一例である。
【0035】
図2〜4に示すように、室外熱交換器(23)は、二列構造の空気熱交換器であり、風上熱交換器ユニット(30)と風下熱交換器ユニット(60)とを備えている。風上熱交換器ユニット(30)と風下熱交換器ユニット(60)は、室外熱交換器(23)を通過する空気流の方向に重なっている。室外熱交換器(23)を通過する空気の流れ方向において、風上熱交換器ユニット(30)は、風下熱交換器ユニット(60)の上流側に配置されている。
【0036】
図2〜
図7に示すように、風上熱交換器ユニット(30)は、一つの風上ヘッダ集合管(40)と、多数の扁平管部(31)と、多数のフィン(32)とを備えている。風上ヘッダ集合管(40)、扁平管部(31)及びフィン(32)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。風上熱交換器ユニット(30)に設けられた扁平管部(31)は、風上管列(50)を構成している。
【0037】
図2〜
図6,
図8に示すように、風下熱交換器ユニット(60)は、一つの風下ヘッダ集合管(70)と、多数の扁平管部(61)と、多数のフィン(62)とを備えている。風下ヘッダ集合管(70)、扁平管部(61)及びフィン(62)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。風下熱交換器ユニット(60)に設けられた扁平管部(61)は、風下管列(90)を構成している。
【0038】
なお、詳しくは後述するが、風上熱交換器ユニット(30)のフィン(32)と風下熱交換器ユニット(60)のフィン(62)は、
図9に示す各フィン(32,62)の突出部(188)同士が互いに向かい合うように配置されている(
図4(B)参照)。
【0039】
図3及び
図4に示すように、風上管列(50)を構成する扁平管部(31)と風下管列(90)を構成する扁平管部(61)は一体化されている。具体的に、本実施形態の前提技術の室外熱交換器(23)では、U字状に屈曲した多数の一体型の扁平管(170)が上下に配列されている。各扁平管(170)は、真っ直ぐな扁平管をU字状に屈曲させたものであって、上述した二つの扁平管部(31,61)と、これら二つの扁平管部(31,61)を繋ぐ一つの曲管部(折り曲げ部)(173)とによって構成されている。各扁平管(170)において、二つの扁平管部(31,61)は、互いに実質的に平行となっている。また、曲管部(173)は、
図3,
図4及び
図12に示すように、折り曲げの途中で扁平管(170)の扁平部分の向きが変わる立体的なU字形状になっている。つまり、U字状の曲管部(173)は、扁平管(170)の平面から外れる立体的な曲管部(173)になっている。
【0040】
本実施形態の前提技術の室外熱交換器(23)において、上下に隣り合う扁平管(170)は、それぞれの扁平管部(31,61)の扁平面(平坦な面)が互いに向かい合い、それぞれの扁平管部(31,61)の軸方向が互いに実質的に平行となっている。また、各扁平管(170)は、第1の扁平管部(31)の開口端が風上ヘッダ集合管(40)に接続し、第2の扁平管部(61)の開口端が風下ヘッダ集合管(70)に接続する。
【0041】
このように、本実施形態の前提技術の室外熱交換器(23)に設けられた各扁平管(170)では、風上管列(50)と風下管列(90)を構成する二つの扁平管部(31,61)が一つの曲管部(173)を介して接続されている。従って、本実施形態の前提技術の室外熱交換器(23)では、風上管列(50)を構成する扁平管部(31)と風下管列(90)を構成する扁平管部(61)が、一本ずつ互いに接続されている。
【0042】
〈風上熱交換器ユニットの構成〉
詳しくは後述するが、風上熱交換器ユニット(30)は、
図5,6に示すように上下に二つの領域に区分されている。そして、風上熱交換器ユニット(30)は、上側の領域が風上主熱交換領域(35)となり、下側の領域が風上補助熱交換領域(37)となっている。
【0043】
風上ヘッダ集合管(40)は、両端が閉塞された細長い円筒状に形成されている。
図7において、風上ヘッダ集合管(40)は風上熱交換器ユニット(30)の左端に起立した状態で設置されている。つまり、風上ヘッダ集合管(40)は、軸方向が上下方向となる状態で設置されている。
【0044】
図9に示すように、扁平管部(31)は、その断面形状が扁平な長円形となった伝熱管である。
図7に示すように、風上熱交換器ユニット(30)において、複数の扁平管部(31)は、それぞれの軸方向が左右方向となり、それぞれの扁平面(平坦な面)が対向する状態で配置されている。また、複数の扁平管部(31)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配置され、互いの軸方向が実質的に平行となっている。各扁平管部(31)は、その一端(
図7の左側端)が風上ヘッダ集合管(40)に挿入されている。
【0045】
図9に示すように、各扁平管部(31)には、複数の流体通路(175)が形成されている。各流体通路(175)は、扁平管部(31)の軸方向に延びる通路であって、扁平管部(31)の幅方向に一列に並んでいる。各流体通路(175)は、扁平管部(31)の端面に開口している。風上熱交換器ユニット(30)へ供給された冷媒は、扁平管部(31)の流体通路(175)を流れる間に空気と熱交換する。
【0046】
図9に示すように、フィン(32)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。フィン(32)には、フィン(32)の前縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(32)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(186)が、多数形成されている。フィン(32)では、多数の切り欠き部(186)が、フィン(32)の長手方向(図の上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(186)の風下寄りの部分は、管挿入部(187)を構成している。扁平管部(31)は、フィン(32)の管挿入部(187)に挿入され、管挿入部(187)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(32)には、伝熱を促進するためのルーバー(185)が形成されている。そして、複数のフィン(32)は、扁平管部(31)の軸方向に一定の間隔をおいて配列されている。
【0047】
このように、上記フィン(32)は、一方の縁部に一定の間隔で形成された複数の切り欠き部(186)と、該切り欠き部(186)から他方の縁部に向かって形成され扁平管部(31)が挿入される管挿入部(187)とを有し、かつ、隣り合う切り欠き部(186)の間に上記扁平管部(31)から突出する突出部(188)を有している。そして、風上管列(50)の扁平管部(31)に装着された複数のフィン(32)により、風上管列(50)のフィン群(33)が構成されている(
図11(A)参照)。
【0048】
図5及び
図7に示すように、風上熱交換器ユニット(30)は、上下に二つの熱交換領域(35,37)に区分されている。風上熱交換器ユニット(30)は、上側の熱交換領域が風上主熱交換領域(35)であり、下側の熱交換領域が風上補助熱交換領域(37)である。
【0049】
風上熱交換器ユニット(30)に設けられた扁平管部(31)は、風上主熱交換領域(35)に位置するものが風上主列部(51)を構成し、風上補助熱交換領域(37)に位置するものが風上補助列部(54)を構成する。つまり、風上管列(50)を構成する扁平管部(31)は、その一部が風上補助列部(54)を構成し、残りが風上主列部(51)を構成する。詳しくは後述するが、風上補助列部(54)を構成する扁平管部(31)の本数は、風上主列部(51)を構成する扁平管部(31)の本数よりも少ない。
【0050】
風上主熱交換領域(35)は、上下に六つの風上主熱交換部(36a〜36f)に区分されている。一方、風上補助熱交換領域(37)は、上下に三つの風上補助熱交換部(38a〜38c)に区分されている。なお、ここに示した風上主熱交換部(36a〜36f)及び風上補助熱交換部(38a〜38c)の数は、単なる一例である。
【0051】
風上主熱交換領域(35)には、下から上に向かって順に、第1風上主熱交換部(36a)と、第2風上主熱交換部(36b)と、第3風上主熱交換部(36c)と、第4風上主熱交換部(36d)と、第5風上主熱交換部(36e)と、第6風上主熱交換部(36f)とが形成されている。各風上主熱交換部(36a〜36f)には、十二本の扁平管部(31)が設けられている。
【0052】
第1風上主熱交換部(36a)に設けられた十二本の扁平管部(31)は、第1風上主列ブロック(52a)を構成する。第2風上主熱交換部(36b)に設けられた十二本の扁平管部(31)は、第2風上主列ブロック(52b)を構成する。第3風上主熱交換部(36c)に設けられた十二本の扁平管部(31)は、第3風上主列ブロック(52c)を構成する。第4風上主熱交換部(36d)に設けられた十二本の扁平管部(31)は、第4風上主列ブロック(52d)を構成する。第5風上主熱交換部(36e)に設けられた十二本の扁平管部(31)は、第5風上主列ブロック(52e)を構成する。第6風上主熱交換部(36f)に設けられた十二本の扁平管部(31)は、第6風上主列ブロック(52f)を構成する。なお、各風上主列ブロック(52a〜52f)を構成する扁平管部(31)の本数は、互いに一致していなくてもよい。
【0053】
第1風上主列ブロック(52a)及び第2風上主列ブロック(52b)は、第1風上主列ブロック群(53a)を構成する。第3風上主列ブロック(52c)及び第4風上主列ブロック(52d)は、第2風上主列ブロック群(53b)を構成する。第5風上主列ブロック(52e)及び第6風上主列ブロック(52f)は、第3風上主列ブロック群(53c)を構成する。
【0054】
風上補助熱交換領域(37)には、下から上に向かって順に、第1風上補助熱交換部(38a)と、第2風上補助熱交換部(38b)と、第3風上補助熱交換部(38c)とが形成されている。各風上補助熱交換部(38a〜38c)には、三本の扁平管部(31)が設けられている。
【0055】
第1風上補助熱交換部(38a)に設けられた三本の扁平管部(31)は、第1風上補助列ブロック(55a)を構成する。第2風上補助熱交換部(38b)に設けられた三本の扁平管部(31)は、第2風上補助列ブロック(55b)を構成する。第3風上補助熱交換部(38c)に設けられた三本の扁平管部(31)は、第3風上補助列ブロック(55c)を構成する。なお、各風上補助列ブロック(55a〜55c)を構成する扁平管部(31)の本数は、互いに一致していなくてもよい。
【0056】
図7に示すように、風上ヘッダ集合管(40)の内部空間は、仕切板(41)によって上下に仕切られている。風上ヘッダ集合管(40)は、仕切板(41)の上側の空間が上側空間(42)となり、仕切板(41)の下側の空間が下側空間(43)となっている。
【0057】
上側空間(42)は、風上主列部(51)を構成する全ての扁平管部(31)と連通する。風上ヘッダ集合管(40)のうち上側空間(42)を形成する部分には、ガス側接続管(102)が接続されている。このガス側接続管(102)には、冷媒回路(20)を構成する配管(18)が接続される。
【0058】
風上ヘッダ集合管(40)のうち下側空間(43)を形成する部分には、液側接続管(101)が接続される。この液側接続管(101)には、冷媒回路(20)を構成する配管(17)が接続される。詳しくは後述するが、風上ヘッダ集合管(40)のうち下側空間(43)を形成する部分は、冷媒を三つの風上補助熱交換部(38a〜38c)へ分配するための分流器(150)を構成する。
【0059】
〈風下熱交換器ユニットの構成〉
詳しくは後述するが、風下熱交換器ユニット(60)は、
図5,6に示すように上下に二つの熱交換領域(65,67)に区分されている。そして、風下熱交換器ユニット(60)は、上側の領域が風下主熱交換領域(65)となり、下側の領域が風下補助熱交換領域(67)となっている。
【0060】
風下ヘッダ集合管(70)は、両端が閉塞された細長い円筒状に形成されている。
図8において、風下ヘッダ集合管(70)は風下熱交換器ユニット(60)の左端に起立した状態で設置されている。つまり、風下ヘッダ集合管(70)は、軸方向が上下方向となる状態で設置されている。
【0061】
図9に示すように、扁平管部(61)は、風上熱交換器ユニット(30)の扁平管部(31)と同一形状の伝熱管である。風下熱交換器ユニット(60)へ供給された冷媒は、扁平管部(61)の流体通路(175)を流れる間に空気と熱交換する。
【0062】
図8に示すように、風下熱交換器ユニット(60)において、複数の扁平管部(61)は、風上熱交換器ユニット(30)の扁平管部(31)と同様に配列されている。上下に配列された各扁平管部(61)は、その一端(
図8の左側端)が風下ヘッダ集合管(70)に挿入されている。風下管列(90)を構成する扁平管部(61)の本数は、当然ながら、風上管列(50)を構成する扁平管部(31)の本数と等しい。
【0063】
図9に示すように、フィン(62)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。このフィン(62)の形状は、風上熱交換器ユニット(30)のフィン(32)と同じである。つまり、フィン(62)には切り欠き部(186)が形成され、切り欠き部(186)の一部である管挿入部(187)に扁平管部(61)が接合される。また、フィン(62)には、伝熱を促進するためのルーバー(185)が形成されている。そして、複数のフィン(62)は、扁平管部(61)の軸方向に一定の間隔をおいて配列されている。
【0064】
このように、上記フィン(62)は、一方の縁部に一定の間隔で形成された複数の切り欠き部(186)と、該切り欠き部(186)から他方の縁部に向かって形成され扁平管部(61)が挿入される管挿入部(187)とを有し、かつ、隣り合う切り欠き部(186)の間に上記扁平管部(61)から突出する突出部(188)を有している。そして、風下管列(90)の扁平管部(61)に装着された複数のフィン(62)により、風下管列(90)のフィン群(63)が構成されている(
図11(A)参照)。
【0065】
図5及び
図8に示すように、風下熱交換器ユニット(60)は、上下に二つの熱交換領域(65,67)に区分されている。風下熱交換器ユニット(60)は、上側の熱交換領域が風下主熱交換領域(65)であり、下側の熱交換領域が風下補助熱交換領域(67)である。
【0066】
風下熱交換器ユニット(60)に設けられた扁平管部(61)は、風下主熱交換領域(65)に位置するものが風下主列部(91)を構成し、風下補助熱交換領域(67)に位置するものが風下補助列部(94)を構成する。つまり、風下管列(90)を構成する扁平管部(61)は、その一部が風下補助列部(94)を構成し、残りが風下主列部(91)を構成する。詳しくは後述するが、風下補助列部(94)を構成する扁平管部(61)の本数は、風下主列部(91)を構成する扁平管部(61)の本数よりも少ない。また、風下主列部(91)を構成する扁平管部(61)の本数は、風上主列部(51)を構成する扁平管部(31)の本数と等しく、風下補助列部(94)を構成する扁平管部(61)の本数は、風上補助列部(54)を構成する扁平管部(31)の本数と等しい。
【0067】
風下主熱交換領域(65)は、上下に六つの風下主熱交換部(66a〜66f)に区分されている。一方、風下補助熱交換領域(67)は、上下に三つの風下補助熱交換部(68a〜68c)に区分されている。なお、ここに示した風下主熱交換部(66a〜66f)及び風下補助熱交換部(68a〜68c)の数は、単なる一例である。ただし、風下主熱交換部(66a〜66f)は風上主熱交換部(36a〜36f)と同数であり、風下補助熱交換部(68a〜68c)は風上補助熱交換部(38a〜38c)と同数であるのが望ましい。
【0068】
風下主熱交換領域(65)には、下から上に向かって順に、第1風下主熱交換部(66a)と、第2風下主熱交換部(66b)と、第3風下主熱交換部(66c)と、第4風下主熱交換部(66d)と、第5風下主熱交換部(66e)と、第6風下主熱交換部(66f)とが形成されている。各風下主熱交換部(66a〜66f)には、十二本の扁平管部(61)が設けられている。
【0069】
第1風下主熱交換部(66a)に設けられた十二本の扁平管部(61)は、第1風下主列ブロック(92a)を構成する。第2風下主熱交換部(66b)に設けられた十二本の扁平管部(61)は、第2風下主列ブロック(92b)を構成する。第3風下主熱交換部(66c)に設けられた十二本の扁平管部(61)は、第3風下主列ブロック(92c)を構成する。第4風下主熱交換部(66d)に設けられた十二本の扁平管部(61)は、第4風下主列ブロック(92d)を構成する。第5風下主熱交換部(66e)に設けられた十二本の扁平管部(61)は、第5風下主列ブロック(92e)を構成する。第6風下主熱交換部(66f)に設けられた十二本の扁平管部(61)は、第6風下主列ブロック(92f)を構成する。
【0070】
なお、各風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する扁平管部(61)の本数は、互いに一致していなくてもよい。ただし、各風下主列ブロック(92a〜92f)を構成する扁平管部(61)の本数が互いに一致しない場合であっても、第1風下主列ブロック(92a)を構成する扁平管部(61)は第1風上主列ブロック(52a)を構成する扁平管部(31)と同数であり、第2風下主列ブロック(92b)を構成する扁平管部(61)は第2風上主列ブロック(52b)を構成する扁平管部(31)と同数であり、第3風下主列ブロック(92c)を構成する扁平管部(61)は第3風上主列ブロック(52c)を構成する扁平管部(31)と同数であり、第4風下主列ブロック(92d)を構成する扁平管部(61)は第4風上主列ブロック(52d)を構成する扁平管部(31)と同数であり、第5風下主列ブロック(92e)を構成する扁平管部(61)は第5風上主列ブロック(52e)を構成する扁平管部(31)と同数であり、第6風下主列ブロック(92f)を構成する扁平管部(61)は第6風上主列ブロック(52f)を構成する扁平管部(31)と同数であるのが望ましい。
【0071】
第1風下主列ブロック(92a)及び第2風下主列ブロック(92b)は、第1風下主列ブロック群(93a)を構成する。第3風下主列ブロック(92c)及び第4風下主列ブロック(92d)は、第2風下主列ブロック群(93b)を構成する。第5風下主列ブロック(92e)及び第6風下主列ブロック(92f)は、第3風下主列ブロック群(93c)を構成する。
【0072】
風下補助熱交換領域(67)には、下から上に向かって順に、第1風下補助熱交換部(68a)と、第2風下補助熱交換部(68b)と、第3風下補助熱交換部(68c)とが形成されている。各風下補助熱交換部(68a〜68c)には、三本の扁平管部(61)が設けられている。
【0073】
第1風下補助熱交換部(68a)に設けられた三本の扁平管部(61)は、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する。第2風下補助熱交換部(68b)に設けられた三本の扁平管部(61)は、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する。第3風下補助熱交換部(68c)に設けられた三本の扁平管部(61)は、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する。
【0074】
なお、各風下補助列ブロック(95a〜95c)を構成する扁平管部(61)の本数は、互いに一致していなくてもよい。ただし、各風下補助列ブロック(95a〜95c)を構成する扁平管部(61)の本数が互いに一致しない場合であっても、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する扁平管部(61)は第1風上補助列ブロック(55a)を構成する扁平管部(31)と同数であり、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する扁平管部(61)は第2風上補助列ブロック(55b)を構成する扁平管部(31)と同数であり、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する扁平管部(61)は第3風上補助列ブロック(55c)を構成する扁平管部(31)と同数であるのが望ましい。
【0075】
図8に示すように、風下ヘッダ集合管(70)の内部空間は、仕切板(71)によって上下に仕切られている。風下ヘッダ集合管(70)は、仕切板(71)の上側の空間が上側空間(72)となり、仕切板(71)の下側の空間が下側空間(73)となっている。
【0076】
上側空間(72)は、五枚の仕切板(74)によって、六つの主連通空間(75a〜75f)に仕切られている。つまり、風下ヘッダ集合管(70)における仕切板(71)の上側には、下から上へ向かって順に、第1主連通空間(75a)と、第2主連通空間(75b)と、第3主連通空間(75c)と、第4主連通空間(75d)と、第5主連通空間(75e)と、第6主連通空間(75f)とが形成されている。
【0077】
第1主連通空間(75a)には、第1風下主列ブロック(92a)を構成する十二本の扁平管部(61)が連通する。第2主連通空間(75b)には、第2風下主列ブロック(92b)を構成する十二本の扁平管部(61)が連通する。第3主連通空間(75c)には、第3風下主列ブロック(92c)を構成する十二本の扁平管部(61)が連通する。第4主連通空間(75d)には、第4風下主列ブロック(92d)を構成する十二本の扁平管部(61)が連通する。第5主連通空間(75e)には、第5風下主列ブロック(92e)を構成する十二本の扁平管部(61)が連通する。第6主連通空間(75f)には、第6風下主列ブロック(92f)を構成する十二本の扁平管部(61)が連通する。
【0078】
下側空間(73)は、二枚の仕切板(76)によって、三つの補助連通空間(77a〜77c)に仕切られている。つまり、風下ヘッダ集合管(70)における仕切板(71)の下側には、下から上へ向かって順に、第1補助連通空間(77a)と、第2補助連通空間(77b)と、第3補助主連通空間(77c)とが形成されている。
【0079】
第1補助連通空間(77a)には、第1風下補助列ブロック(95a)を構成する三本の扁平管部(61)が連通する。第2補助連通空間(77b)には、第2風下補助列ブロック(95b)を構成する三本の扁平管部(61)が連通する。第3補助連通空間(77c)には、第3風下補助列ブロック(95c)を構成する三本の扁平管部(61)が連通する。
【0080】
風下ヘッダ集合管(70)には、三本の接続用配管(110,120,130)が取り付けられている。各接続用配管(110,120,130)は、一つの主管部(111,121,131)と、主管部(111,121,131)の端部に接続する二つの分岐管部(112a,112b,122a,122b,132a,132b)とを備えている。
【0081】
第1接続用配管(110)は、第1風下補助列ブロック(95a)と第1風下主列ブロック群(93a)とを接続する。具体的に、第1接続用配管(110)は、主管部(111)の開口端が第1補助連通空間(77a)と連通し、一方の分岐管部(112a)の開口端が第1主連通空間(75a)と連通し、他方の分岐管部(112b)の開口端が第2主連通空間(75b)と連通する。従って、第1補助連通空間(77a)は、第1風下主列ブロック(92a)に対応する第1主連通空間(75a)と、第2風下主列ブロック(92b)に対応する第2主連通空間(75b)の両方に接続される。
【0082】
第2接続用配管(120)は、第2風下補助列ブロック(95b)と第2風下主列ブロック群(93b)とを接続する。具体的に、第2接続用配管(120)は、主管部(121)の開口端が第2補助連通空間(77b)と連通し、一方の分岐管部(122a)の開口端が第3主連通空間(75c)と連通し、他方の分岐管部(122b)の開口端が第4主連通空間(75d)と連通する。従って、第2補助連通空間(77b)は、第3風下主列ブロック(92c)に対応する第3主連通空間(75c)と、第4風下主列ブロック(92d)に対応する第4主連通空間(75d)の両方に接続される。
【0083】
第3接続用配管(130)は、第3風下補助列ブロック(95c)と第3風下主列ブロック群(93c)とを接続する。具体的に、第3接続用配管(130)は、主管部(131)の開口端が第3補助連通空間(77c)と連通し、一方の分岐管部(132a)の開口端が第5主連通空間(75e)と連通し、他方の分岐管部(132b)の開口端が第6主連通空間(75f)と連通する。従って、第3補助連通空間(77c)は、第5風下主列ブロック(92e)に対応する第5主連通空間(75e)と、第6風下主列ブロック(92f)に対応する第6主連通空間(75f)の両方に接続される。
【0084】
〈分流器の構成〉
上述したように、風上ヘッダ集合管(40)のうち下側空間(43)を形成する部分は、分流器(150)を構成する。この分流器(150)は、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合に、室外熱交換器(23)へ供給された気液二相状態の冷媒を三つの風上補助熱交換部(38a〜38c)へ分配する。ここでは、分流器(150)について、
図10を参照しながら説明する。
【0085】
下側空間(43)には、二枚の横仕切板(160,162)と、一枚の縦仕切板(164)とが設けられている。下側空間(43)は、二枚の横仕切板(160,162)と一枚の縦仕切板(164)とによって、三つの連通室(151〜153)と一つの混合室(154)と二つの中間室(155,156,)に仕切られる。
【0086】
具体的に、各横仕切板(160,162)は、下側空間(43)を横断するように配置され、下側空間(43)を上下に仕切る。下側横仕切板(160)は、第1風上補助列ブロック(55a)と第2風上補助列ブロック(55b)の間に配置され、上側横仕切板(162)は、第2風上補助列ブロック(55b)と第3風上補助列ブロック(55c)の間に配置される。縦仕切板(164)は、細長い長方形板状の部材である。縦仕切板(164)は、風上ヘッダ集合管(40)の軸方向に沿って配置され、下側空間(43)を扁平管部(31)側と液側接続管(101)側に仕切る。
【0087】
下側空間(43)のうち下側横仕切板(160)の下側の部分は、縦仕切板(164)によって、扁平管(31)側の第1連通室(151)と液側接続管(101)側の下側中間室(155)に仕切られる。第1連通室(151)は、第1風上補助列ブロック(55a)を構成する三本の扁平管(31)と連通する。
【0088】
下側空間(43)のうち下側横仕切板(160)と上側横仕切板(162)の間の部分は、縦仕切板(164)によって、扁平管(31)側の第2連通室(152)と液側接続管(101)側の混合室(154)に仕切られる。第2連通室(152)は、第2風上補助列ブロック(55b)を構成する三本の扁平管(61)と連通する。混合室(154)は、液側接続管(101)と連通する。
【0089】
下側空間(43)のうち上側横仕切板(162)よりも上側の部分は、縦仕切板(164)によって、扁平管(31)側の第3連通室(153)と液側接続管(101)側の上側中間室(156)に仕切られる。第3連通室(153)は、第3風上補助列ブロック(55c)を構成する三本の扁平管(31)と連通する。
【0090】
縦仕切板(164)の上部と下部には、連通孔(165a,165b)が一つずつ形成されている。各連通孔(165a,165b)は、横長の長方形状の貫通孔である。縦仕切板(164)の下部の連通孔(165b)は、縦仕切板(164)のうち下側横仕切板(160)よりも下側の部分の下端付近に形成され、第1連通室(151)を下側中間室(155)と連通させる。縦仕切板(164)の上部の連通孔(165a)は、縦仕切板(164)のうち上側横仕切板(162)よりも上側の部分の下端付近に形成され、第3連通室(153)を上側中間室(156)と連通させる。
【0091】
下側横仕切板(160)は、混合室(154)に面する部分に流量調節孔(161)が形成されている。第1連通室(151)は、この流量調節孔(161)を介して混合室(154)と連通する。上側横仕切板(162)は、混合室(154)に面する部分に流量調節孔(163)が形成されている。第3連通室(153)は、この流量調節孔(163)を介して混合室(154)と連通する。縦仕切板(164)は、混合室(154)に面する部分の下端付近に流量調節孔(166)が形成されている。第2連通室(152)は、この流量調節孔(166)を介して混合室(154)と連通する。
【0092】
分流器(150)において、下側横仕切板(160)の流量調節孔(161)と、上側横仕切板(162)の流量調節孔(163)と、縦仕切板(164)の流量調節孔(166)とは、比較的小径の円形の貫通孔である。分流器(150)は、各風上補助列ブロック(55a〜55c)へ冷媒が所定の割合で分配されるように、これら流量調節孔(161,163,166)の開口面積(具体的には、直径)が設定されている。
【0093】
〈2列構造の室外熱交換器の製造〉
本実施形態の前提技術の2列構造の室外熱交換器(23)は、以下のようにして製造することができる。
【0094】
まず、
図11(A)に示すように、風上管列(50)を構成する扁平管(170)の一端部(扁平管部(31))に多数のフィン(32)を互いに平行になるように装着する。また、風下管列(90)を構成する扁平管(170)の他端部(扁平管部(61))に多数のフィン(62)を互いに平行になるように装着する。このとき、風上管列(50)側のフィン(32)と風下管列(90)側のフィン(62)は、
図11(A)のXIB−XIB線断面図及びXIC−XIC線断面図である
図11(B)及び
図11(C)に示すように、突出部(188)が同じ向き(図においては上向き)になるように扁平管(170)に装着する(フィン装着工程)。
【0095】
また、
図11(A)に示している風上管列(50)のフィン群(33)と風下管列(90)のフィン群(33)との間の部分は、曲管部(173)になる部分であり、この部分にはフィン(32,62)は装着されていない(ギャップ部(140))。
【0096】
そして、上記扁平管(170)を、曲げ型(201)を用いて上記一端部と他端部の間で折り曲げることにより、
図2〜
図4に示すように風上管列(50)と風下管列(90)が平行になるように室外熱交換器(23)を形成する。扁平管(170)を折り曲げる際は、
図11(A)の折り曲げ前の状態で、曲げ型(201)をギャップ部(140)に対して、風上管列(50)側のフィン(32)及び風下管列(90)側のフィン(62)の突出部(188)が形成されている側に配置して行う。
【0097】
扁平管(170)を折り曲げた状態において、風上管列(50)側のフィン(32)と風下管列(90)側のフィン(62)は、
図4(B)に示すように突出部(188)同士が向かい合う(管列形成工程)。以上のように、扁平管(170)を風上管列(50)側のフィン(32)と風下管列(90)側のフィン(62)の間の、扁平管(170)にフィン(32,62)が装着されていない部分で折り曲げることにより、風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)の間にギャップ部(140)を構成するU字状の曲管部(折り曲げ部)(173)が形成され、2列構造の室外熱交換器(23)を製造することができる。
【0098】
なお、上記の扁平管(170)を折り曲げる工程は、扁平管(170)にフィン(32,62)やヘッダ集合管(40,70)をロウ付け接合してから行われる。
【0099】
−実施形態の前提技術の効果−
本実施形態の前提技術によれば、二列構造の室外熱交換器(23)において、風上管列(50)側のフィン(32)の突出部(188)と風下管列(90)側のフィン(62)の突出部(188)が互いに向き合うように配置されている。上記突出部(188)は、複数の扁平管部(31,61)同士の間隔を保つためなどに形成されるものであるが、この突出部(188)が二列構造の室外熱交換器(23)の外面に露出していると、突出部(188)が周囲の機器との干渉により変形したり損傷したりするおそれがあるのに対して、本実施形態の前提技術では、突出部(188)が二列構造の室外熱交換器(23)の内側に位置しているので、突出部(188)が変形したり損傷したりするのを防止できる。
【0100】
そして、本実施形態の前提技術によれば、フィン装着工程と管列形成工程を行うことにより、二列構造の室外熱交換器(23)を容易に製造することができる。
【0101】
《実施形態の前提技術の変形例》
上記実施形態の前提技術については、以下のような構成としてもよい。
【0102】
例えば、上記実施形態の前提技術では、フィン(32,62)の切り欠き部(186)と切り欠き部(186)の間に突出部(188)が形成されている例を説明したが、フィン(32,62)の突出部(188)が形成されていない構成で、風上管列(50)側のフィン(32)の管挿入部(187)側の縁部と風下管列(90)側のフィン(62)の管挿入部(187)側の縁部が互いに向かい合うように配置してもよい。突出部(188)がない場合、管挿入部(187)側の縁部が熱交換器(23)の外側になると扁平管(31,61)が露出するので、扁平管(31,61)が損傷するおそれがあるが、上記のように管挿入部(187)側の縁部同士が向かい合う構成にすると、扁平管(31,61)を保護することができる。
【0103】
また、上記実施形態の前提技術では、管列形成工程において、U字状の折り曲げ部(173)を、
図12に示すように、該扁平管(170)の平面から外れる立体的なU字状の折り曲げ部にしているが、この折り曲げ部(173)は、
図13に示すように、曲げ型(203)を基準として扁平管部(31)側と扁平管部(61)側のそれぞれに約45°の曲げ部(173a)を形成するように折り返すことにより形成しても
よい。
【0104】
また、
図14に示しているのは参考例であるが、この例では、上記風上管列(50)の扁平管である扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管である扁平管部(61)を、接続部材(173,174)を介して互いに接続している。この
図14の例では、接続部材(173,174)として曲管部(173)と管継手(174)とを用いている。そして、この構成では、互いに別部材である第1扁平管部(31)と第2扁平管部(61)と曲管部(173)とを、管継手(174)により接続するようにしている。
【0105】
《本発明の実施形態》
本実施形態では、上記前提技術において、上記風上管列(50)の扁平管である扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管である扁平管部(61)が、
図15に示すように、両扁平管部(31,61)の扁平面に直交する方向(扁平管部(31,61)の配列方向)に位置をずらすように配置されている。いわゆる千鳥配置である。このようにすると、風上管列(50)の扁平管部(31)と扁平管部(31)の間を扁平管部(31)に接触せずに通過した空気が風下管列(90)の扁平管部(61)に接触する状態で通過するので、扁平管部(31,61)と接触しない風量が少なくなり、熱交換効率を高められる。
【0106】
また、本発明は、平行に並んだ複数の扁平管部(31,62)によってそれぞれが構成されて空気の流れ方向に並ぶ風上管列(50)及び風下管列(90)と、上記扁平管部(31,61)に接合されたフィン(32,62)とを備えた二列構造の熱交換器(23)において、風上管列(50)側のフィン(32)の管挿入部(187)側の縁部と風下管列(90)側のフィン(62)の管挿入部(187)側の縁部が互いに向かい合うように配置され、かつ、上記風上管列(50)の扁平管部(31)と風下管列(90)の扁平管部(61)が、両扁平管部(31,61)の扁平面に直交する方向(扁平管部(31,61)の配列方向)に位置をずらすように配置されている限りは、他の構成は適宜変更してもよい。