【実施例1】
【0026】
(1)機械的な構造
a.遊技機の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、
図1を参照して説明する。この遊技機1は外枠2と、外枠2に装着された遊技機本体Hとを備える。この遊技機本体Hは、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けられている。
【0027】
遊技機本体Hは、遊技機1のうち外枠2を除く部分であって、本体枠3と、前面枠4と、前面枠4に一体化された皿部4Vと、遊技盤10(
図7を参照)と、裏機構盤102等を主要部としている。なお、裏機構盤102は中枠3に開閉可能に軸支されているとともに、この裏機構盤102には、「遊技球が蓄えられる遊技球タンク105」、「遊技球を上皿部5に、払い出すための払出装置109(
図2を参照)」、「各種制御基板(後述する主制御基板200)を収納したケース」等が搭載されている。なお、払出装置109は「排出手段」の具体例を構成する。
【0028】
本体枠3は遊技盤10を保持可能な枠状体によって構成され、外枠2に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。そして、この本体枠3が遊技盤10(
図7を参照)を保持したとき、「遊技盤10の盤面(表面)に構成される遊技領域11」が、本体枠3の前方から視認可能とされる。なお、本体枠3の前面部左端側には、遊技球を後述する上皿部5の方向(前方)に向かって排出するための排出口35が設けられている(
図2を参照)。
【0029】
図1に示すように、前面枠4は、本体枠3の前面側に配置され、本体枠3の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠4は、前後に貫通する視認窓41aを具備する枠本体41と、視認窓41aに填め込まれたガラス板43とを備える。そして、遊技盤10に形成された遊技領域11が前面枠4を閉じたときにその背後に位置するため、遊技領域11は視認窓41aを介して前面枠4の前方から視認可能とされる。
【0030】
また、「上皿部5および下皿部6を一体化した皿部4V」は前面枠4に一体化され、本体枠3に対して前面枠4と一体で開閉可能とされている。ここで、前面枠4のうち、皿部4Vが突出している部位を皿背板部5Wと称することとする。また、
図6は皿背板部5Wの背面図を示している。なお、皿部4Vを、本体枠3における前面枠4の装着部位よりも下方に装着し、前面枠4とは別に開閉可能としてもよい(前面枠4とは別体の皿部材として前面枠4に対して開閉可能としてもよい)。また、上皿部5及び下皿部6を別体に設け、本体枠3における前面枠4の装着部位よりも下方に配置し、上方に配置される上皿部5を前面枠4とは別に開閉可能とし、下方に配置される下皿部6を開閉不可能としてもよい。
【0031】
図6に示すように、皿背板部5Wは略板形状に構成され、上方側(以下、上皿背板部5Aという。)の前面から上皿部5が前方に突出し、上皿背板部5Aの下方側(以下、下皿背板部5Bという。)の前面から下皿部6が前方に突出している。また、
図2および
図3に示すように、上皿背板部5Aの左端寄りであって、「本体枠3の排出口35」と前後に位置合わせ可能な位置(皿部4Vの閉鎖時に位置合わせ可能な位置)からは球受入部5dが突出している。この球受入部5dは、略筒形状とされると共に、その軸心を後方に向かって上がり傾斜状としている。
【0032】
図2及び
図3に示すように、上皿背板部5Aの左端部寄りには、上皿導入口5bが前後に貫通する状態に設けられている。また、
図2に示すように、上皿部5は、上皿背板部5Aから前方に膨出しつつ上方および後方で開口する上皿本体5Hを備える。そして、上皿本体5Hと、その後方の開口部を封止する上皿背板部5Aとが協働して、上方に開口する略容器形状の貯留部5Gを構成する。そして、上皿導入口5bの前端部は、貯留部5Gの内部左端側において開放される。そして、皿部4V(前面枠4)が本体枠3に対して閉鎖された状態となると、上皿導入口5bの後端部が球受入部5dに接続されるため、払出装置109(後述する。)から払い出される遊技球は、払出通路109a、排出口35、球受入部5d、上皿導入口5bを、この順に通過して貯留部5G内に導入される。
【0033】
図2に示すように、貯留部5Gは多数の遊技球を貯留可能な皿形状を備えている。また、貯留部5Gの底部5Tの上面(貯留部5Gに進入した遊技球を貯留し、転動させる面)は右方向に緩やかに下る下り傾斜を備えるため、貯留部5G内に導入された遊技球を右方向に転動するような挙動を示す。また、貯留部5Gの左端部側は1球の遊技球のみが進入して転動可能な前後幅を備える遊技球整列部5fとされ、この遊技球整列部5fは上皿本体5Hに略トンネル状に設けられた連絡路5rを介して、皿背板部5Wの背面の球送り通路5e(
図6を参照)に連絡されている。
【0034】
ここで、
図5(b)に示すように、連絡路5rは略U字状の経路を描いており、連絡路5rは始端部51rが遊技球整列部5fの端末に接続され、終端部52rが球送り通路5eの始端部に接続されている。そして、連絡路5rは始端部51rから終端部52rに向かう下り傾斜を有し、遊技球整列部5fはその左端から右端(終端)に向かう下り傾斜を有しているため、遊技球整列部5fに進入した遊技球は、遊技球整列部5fおよび連絡路5rの転動し、球送り通路5e(
図6を参照)に到達する。
【0035】
図4に示すように、貯留部5Gの底部5Tであって、遊技球整列部5fの左側に位置する部位には、開口形状が略矩形の孔部5P(
図2および
図3を参照)が設け設けられ、底部5Tの下面において孔部5Pの周縁からは筒状部5Jが突出している。この筒状部5Jの横断面は略矩形の枠形状とされ、この筒状部5J内に平面形状が略矩形の可動部材5Kが挿入されている。この可動部材5Kには、ソレノイド5Lのプランジャ5Nが接続されている。このソレノイド5Lの動作は、後述する「サブ制御部220A」から送信される制御信号を用いて制御されている。
【0036】
このソレノイド5Lは、外郭体5Mと、外郭体5Mに設けられた軸受(図示を省略)によって上下にスライド可能に支持されたプランジャ5Nと、外郭体5Mの内側においてプランジャ5Nの外周位置に配置されたソレノイドコイル(図示を省略する。)と、プランジャ5Nを下方へ付勢する(外郭体5Mからの突出量が多くなるように付勢する)付勢手段(コイルバネであって、図示を省略する。)と、を備える。そして、プランジャ5Nの突端(上端)が可動部材5Kと一体化されている。ここで、可動部材5Kは阻止手段の具体例を構成する。尚、阻止手段は、本発明の特定手段に相当する。
【0037】
ソレノイドコイルへ(図示を省略する。)の通電を行わないときに、プランジャ5Nは付勢手段の付勢力によって下方に移動し、プランジャ5Nの外郭体5Mからの突出量が最小となり、プランジャ5Nは下限位置に到達する。このとき、
図4に示すように、可動部材5Kの上面部51Kは、底部5Tの上面(貯留部5Gの底面を構成する面)において孔部5Pの周囲に位置する部位と略面一となる。つまり、可動部材5Kの上面部51Kは右方向に向かって下る傾斜面とされるが、当該傾斜面の傾斜度(傾斜角)と底部5T上面(貯留部5Gの底面を構成する面)において孔部5Pの周囲に位置する部位の傾斜(傾斜角)とが略等しくされているため、貯留部5Gにおいて可動部材5Kの右側から孔部5Pに到達する遊技球は上面部51Kを通過して(転動して)、遊技球整列部5fに到達することができる。ここで、このときの可動部材5Kの高さ位置(上面部51Kを底部5Tの上面と略面一とする位置、つまり、可動部材5Kを底部5Tの上方に到達させない高さ位置)を「下降位置」と称することとする。
【0038】
一方、ソレノイドコイル(図示を省略する。)への通電を行うと、ソレノイドコイル(図示を省略する。)からプランジャ5Nへ、電流に比例した大きさの牽引力が与えられる。このため、プランジャ5Nは、付勢手段の付勢力に対抗しつつ、上方に移動し、プランジャ5Nの外郭体5Mからの突出量が最大となり、プランジャ5Nは上限位置に到達する。このとき、
図5(a)に示すように、可動部材5Kがプランジャ5Nと一体で上昇し、底部5Tの上方に突出する。これにより、貯留部5Gにおいて可動部材5Kの左側から到達する遊技球は、可動部材5Kによってせき止められ、可動部材5Kの右側(ひいては、遊技球整列部5f)に到達することができなくなる。ここで、このときの可動部材5Kの高さ位置(上面部51Kを底部5Tよりも突出させる位置)を「上昇位置」と称することとする。
【0039】
なお、本実施例では、可動部材5Kの高さ位置が「上昇位置」となると、貯留部5Gの内部が可動部材5Kで左右に分断され、可動部材5Kの左側から右側に向かって遊技球が通過することが不可能となる。但し、可動部材5Kの高さ位置が「上昇位置」となった場合においても、貯留部5Gの内壁と可動部材5Kとの間に遊技球の直径を超える幅の隙間を設け、誘導量を絞り込んだ状態で、発射ユニット90に向かって遊技球を供給可能としつつも可動部材5Kの左側に所定数の遊技球を停留させることとしてもよい。つまり、本発明では、誘導経路における遊技球の通過を完全に阻止する必要はなく、一部の遊技球の通過が阻止されれば足りる。通過が阻止される遊技球が少量であっても、当該少量の遊技球を用いて、大当り遊技を円滑に進行できるからである。
【0040】
次に、皿背板部5Wの構造について
図6を用いて説明する。なお、
図6における「左」、「右」の表記は正面視での方向を基準としたものを示している。皿背板部5Wの左端側の背面(背面視で右端側)には、球送り装置80が装着されている(
図2および
図3を参照)。また、皿背板部5Wの背面には、遊技球整列部5fから皿背板部5Wの後方に送り出される遊技球を、球送り装置80に到達させるための球送り通路5eが設けられている。この球送り通路5eは、皿背板部5Wの背面部に設けられる溝部を用いて構成され、皿背板部5Wの左端側(背面視で右端側)に向かう下り傾斜を有している。そして、球送り通路5eの下端部は、球送り装置80の取入口81a(後述する。)に連通されている。なお、球送り装置80の詳細については後述する。また、皿背板部5Wの背面部には、球抜き通路5gを構成する溝部と、後述する第2球抜き通路5mを構成する溝部が設けられている。
【0041】
なお、球送り通路5e、球抜き通路5gおよび第2球抜き通路5mを構成する各溝部としては、皿背板部5Wの前方に凹み、皿背板部5Wの後面部で後方に開口し、遊技球が1球ずつ順次通過可能な幅(遊技球の直径を僅かに超える前後幅および上下幅)を備える溝部(この場合、溝部の後方を向く開口部を、封止部材で封止してもよい)を例示できる。また、上方に開口し、遊技球が1球ずつ順次通過可能な幅(遊技球の直径を僅かに超える前後幅および上下幅)を備える溝部等を例示することもできる。また、皿背板部5Wに略樋状の経路を構成する経路部材(例えば、樹脂を用いた一体成形品で構成される経路部材)を装着して、球送り通路5e、球抜き通路5gおよび第2球抜き通路5mを構成してもよい。例えば、前方に開口する略樋状の経路が設けられた経路部材を皿背板部5Wの後面部に装着し、略樋状の経路の前面部を皿背板部5Wの後面部で封止する。そして、経路部材の略樋状の経路と、皿背板部5Wの後面部とが協働して、球送り通路5e、球抜き通路5gや第2球抜き通路5mを構成することとしてもよい。
【0042】
皿背板部5Wの背面であって、球送り通路5eの下端部側(取入口81aとの連通部分よりも上流側)には、皿背板部5Wの略中央に向かって下り傾斜となる第2球抜き通路5mが設けられている。この第2球抜き通路5mと球送り通路5eとの連通及び遮断は、弁体B2を操作することで選択される。そして、弁体B2が、第2球抜き通路5mと球送り通路5eを遮断すると、球送り通路5e内の遊技球は、球送り装置80に送り出され、第2球抜き通路5mと球送り通路5eを連通させると、球送り通路5e内の遊技球は、第2球抜き通路5mに進入する。但し、通常時において、第2球抜き通路5mと球送り通路5eは、弁体B2によって遮断された状態とされる。
【0043】
皿背板部5Wの背面であって、球送り通路5eの上流側(右端側の下部)には球抜き通路5gが設けられている。また、連絡路5rの終端部52r側の底面には球抜口54rが設けられている。但し、通常、球抜口54rは弁体B1によって遮断されているため、貯留部5G内において球送り通路5eに進入した遊技球は、球送り通路5eの左端部へ到達する。一方、弁体B1を操作し、球抜口54rを開放し、連絡路5rと球抜き通路5gを連通させると、連絡路5rを通過した遊技球は球送り通路5eに進入せずに、球抜き通路5gに進入(流入)することになる。
【0044】
図1に示すように、下皿背板部5Bには、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられ、下皿部6の底面には球抜き孔6dが設けられている。この球抜き孔6dは、通常時には、閉鎖されているが、下皿部6に貯留された遊技球を遊技機1から排出する際に開放状態とされる。なお、
図6に示すように、球抜き通路5gと、第2球抜き通路5mは排出口6aに連通しているため、球抜き通路5gに流入した遊技球と、第2球抜き通路5mに流入した遊技球は、各々、下皿部6に向かって排出される。
【0045】
なお、上皿部5の貯留部5Gに貯留される遊技球が、その上限量に到達した場合、その上限量を超える遊技球は、遊技機1の裏側において、払出通路109a(払出装置109から払い出される遊技球を上皿部5等に向かって誘導する払出通路109a)から、下皿部用球通路部材(図示を省略)に移行した後、本体枠3前面側の通路ボックス3B(
図2を参照)を通過して、下皿部6に到達する。また、上皿部5が開放状態とされ、上皿導入口5bと球受入部5dとの接続が解除された状態で排出口35から排出される遊技球も、通路ボックス3B(
図3を参照)に回収され、下皿部6に到達する。
【0046】
図1に示すように、本遊技機1では、前面部の上方側および下方側の左右にスピーカSP1〜SP4を内蔵し、これらのスピーカSP1〜SP4を用いて遊技状態に応じた効果音や、その他の音(音声)を発生させる。また、上皿背板部5Aの裏側には、球貸表示基板410(
図19を参照)および演出ボタン基板228(
図19を参照)が設けられ、上皿部5の上面部には「演出ボタンSW」が配置されている。
【0047】
また、
図1に示すように、下皿部6の右端側には発射ハンドル9が設けられている。そして、本体枠3の前面部裏側であって、遊技盤10よりも下方の左端側に位置する部位には、発射ハンドル9が接続された発射装置ユニット90(
図7を参照)が配設されている。なお、発射ハンドル9には、遊技者が触れていることを検知するタッチスイッチ(タッチセンサ)9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。
【0048】
図7および
図8に示すように、本体枠3の前面部下方側(本体枠3の内部)であって、遊技盤10よりも下方の左端側に位置する部位には、発射装置ユニット90が配設されている。この発射装置ユニット90は、球送り装置80(
図9を参照)から送り出される遊技球を略鉛直上方に発射して、遊技領域11に到達させるためのものである。そして、
図9及び
図10に示すように、上皿背板部5Aの背面部に装着される球送り装置80と、本体枠3の前面部に装着される発射装置ユニット90は、上皿部5を本体枠3に対して閉鎖したときに、前後に略重ね合わされた状態(互いに対向した状態)となるように配置される。次に、球送り装置80及び発射装置ユニット90について詳細に説明する。
【0049】
球送り装置80は、
図9〜
図11に示されるように、ハウジング81と、ハウジング81の内部に揺動可能な状態に支持された整流カム82と、ハウジング81の内部に配置された電磁コイル85と、を備えている。また、ハウジング81は、略容器形状に構成されるベース体81aと、ベース体81の開口部に装着される蓋体81bとを備える。また、本実施例では、ベース体81aの開口部を前方に向け、蓋体81bでハウジング81の前面部を構成する状態で用いている。
【0050】
図14に示すように、蓋体81bには、「球送り通路5eの端末部(左端部)から遊技球を1球ずつ受け入れるための受入口81c」が設けられている。また、ベース体81aの奥壁部には、遊技球を1球ずつ送り出すための送り出し口81vが設けられている。更に、
図11に示すように、ベース体81aの内部であって、受入口81cの後方に位置する部位には、受入口81cから受け入れた遊技球を受け取って保持するための保持壁81eが設けられており、その保持壁81eの上方には調整壁81fが設けられている。
【0051】
図11に示すように、整流カム82は、略L字状に構成される本体部82aと、本体部82aの底部から垂下する保持部82bと、を備えている。また、本体部82aにおいて、上下方向に配置される部分(以下、「第1の部分82c」という。)と、水平方向に配置される部分(以下、「第2の部分82d」という。)の境界位置においては、前後(肉厚方向)に縦断する状態の支持軸82vを備える。そして、
図14に示すように、この支持軸82vにおいて、整流カム82の前面側に突出する端部が、蓋体81bに設けられた軸受部81mによって回転可能に支持されている。また、支持軸82vにおいて、整流カム82の後面側に突出する端部が、ベース体81aに設けられた軸受部81hによって回転可能に支持されている。このため、整流カム82は、ハウジング81内において、支持軸82vを基準に揺動可能とされている。
【0052】
図11に示すように、第1の部分82cの上端面(以下、「受け取り面」という。)82eは、保持壁81eの方向に(図中の右方向)向かう下り傾斜を有しており、「第1の部分82cにおいて第2の部分82d側に位置する側面(図中の左側面)」と、「第2の部分82dの上面」とが、その境界部分で連続しつつ略円弧状に凹む凹面(以下、「受け渡し面」という。)82gを構成している。そして、受け渡し面82gの下端側は、後方(
図10において奥方向、
図12において手前方向)に向かう下り傾斜を有している。なお、
図11における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。
【0053】
図11に示すように、保持部82bは永久磁石82xを保持するとともに、電磁コイル85は、その一端面(磁着面)を保持部82bに対向させた状態で配置されている。そして、電磁コイル85への通電を行うと、電磁コイル85と保持部82b(永久磁石82x)との間に反発力(斥力)を生ずる構成とされている。
【0054】
この球送り装置80において、電磁コイル85への通電を行わない場合、第1の部分82cを上下に向けるとともに第2の部分82dを略水平に向け、保持部82bを垂下させる状態(以下、「初期状態」という。)となるように、整流カム82の重量バランス(重心位置)が設定されている。このように、整流カム82が初期状態にあると、保持部82bと電磁コイル85の一端面(磁着面)とは僅かな隙間を挟んで対向した状態となるとともに、受け取り面82eと保持壁81eの上面部とが、左右に位置合わせされる。
【0055】
このとき、
図11に示すように、保持壁81eの上面部が左方向(受け取り面82eの方向)に下り傾斜を有するとともに、受け取り面82eが右方向(保持壁81eの方向)に下り傾斜を構成しつつ、保持壁81eの上面部よりも僅かに下方に位置する。このため、受入口81cから受け入れた遊技球は、保持壁81eを左方向に転動した後、受け取り面82eに移行する。但し、受け取り面82の左端側においては、調整壁81fの下面との間に遊技球の直径よりも小さな隙間が存在するのみであるため、受け取り面82e上の遊技球は、その左側部を調整壁81fに当接させた状態で、受け取り面82eに停留する。そして、受け取り面82eでは、1球の遊技球のみを保持可能であるため、受け取り面82eに停留する遊技球に後続する遊技球は、保持壁81eの上面部で停留する。
【0056】
一方、電磁コイル85への通電を行うと、
図13に示すように、電磁コイル85と保持部82b(永久磁石82x)との間に生ずる反発力(斥力)によって、整流カム82が、保持部82b(永久磁石82x)を電磁コイル85の一端面(磁着面)から遠ざけるように回動する。これにより、第1の部分82cが右方向に傾動し、第2の部分82dが左上がり傾斜となる。これにより、受け取り面82の左端側において、調整壁81fの下面との隙間が、遊技球の直径以上に拡大されるため、受け取り面82eで保持されていた遊技球は、受け渡し面82gの中心方向に転動する。
【0057】
そして、この遊技球は受け渡し面82gの後方向かう下り傾斜を用いて後方(
図13において奥方向)に転動し、送り出し口81vを通じて球送り装置80外へと排出され、発射装置ユニット90へ供給される。但し、電磁コイル85への通電は、受け取り面82eで保持されていた遊技球が、受け渡し面82gに移行する毎に(移行すると略同時に)停止されるため、当該移行した遊技球に後続する遊技球(保持壁81e上で待機していた遊技球)は受け取り面82eで停留する。そして、本実施例の球送り装置80では、電磁コイル85への通電と、通電の停止(遮電)とを遊技球の発射に連動して繰り返すことで、発射装置ユニット90に対して遊技球を間欠的に1球ずつ供給することとなる。なお、
図13における「左」、「右」の表記は正面視での方向を指している。
【0058】
次に、発射装置ユニット90について説明する。この発射装置ユニット90は、
図15に示すように、本体枠3の前面側に配置されるもので、発射装置91と、遊技球を発射待機位置に保持するために発射装置91に装着された保持部材93と、ガイド部材94と、球通路部材96とを備える。なお、発射装置91は発射手段の具体例を構成する。
【0059】
発射装置91は、
図16に示すように、取付基板91aと、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bと、ハンマー91cと、ストッパー92a、92bとを備える。また、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bは、固定子92fと、可動子92gとを備えるとともに、ハンマー91cは可動子92gに一体化されている。
【0060】
固定子92fは、筒状のコイル92eの筒内に配置される内鉄心92hと、この内鉄心92hの基端に連接される外鉄心92jとを備え、内鉄心92hの先端部には、開口磁極面を構成する凹部92kが設けられている。なお、内鉄心92h及び外鉄心92jは、軟質磁性体(珪素鋼板)を多数枚積層した構成を備える。また、固定子92fは、取付基板91aの前面部にピン、ネジ等を用いて固定されている、
【0061】
可動子92gも、珪素鋼板等の磁性体(珪素鋼板)を多数枚積層した構成を備え、一端部がピン92mを用いて回転可能な状態に支持されている。また、可動子92gの中間部には、突出部92nが設けられている。この突出部92nは、凹部92kよりも一回り小さな相似形状に構成され、コイル92eへの通電がなされると、凹部92kに吸引され、凹部92kに進入する。このとき、凹部92kの内壁面と、突出部92nとの間には隙間(クリアランス)が設けられる。
【0062】
ハンマー91cは、可動子92gにおいて突出部92nの形成部位よりも先端側に一体化されている。また、可動子92gには、その自重によって、「突出部92nを凹部92kから離させる方向への回転力」が作用する。このため、コイル92eへの通電を行わない場合には、可動子92gは、この回転力によって、図中矢印B方向に回転する。そして、可動子92gにおいて、ハンマー91cの形成位置の裏側(対向外面側)に位置する部位921gが、取付基板91aに装着されたストッパー92aに当接して、下方から支持された状態とされる。
【0063】
なお、以下の説明において、「ストッパー92aで支持された状態にあるときの可動子92gの姿勢」を「後退姿勢」と称する。また、可動子92gの動作の円滑化を図るために、付勢手段(圧縮コイルスプリング等)を用いて可動子92gを付勢してもよい。例えば、付勢手段の付勢力を可動子92gに負荷し、「突出部92nが凹部92kから離れるように回転させる回転力」を可動子92gに負荷してもよい。また、本実施例と異なり、「突出部92nを凹部92kから離させる方向への回転力」が作用しない状態で、可動子92gを配置する場合(例えば、上方に配置されるピン92mによって、可動子92gが吊り下げられた状態で配置される場合)には、この付勢手段が必要となる。
【0064】
保持部材93は、
図16に示すように、取付基板91aの前面部に装着されることで、取付基板91aの前面部に「遊技球の発射待機位置」を形成するとともに、ガイド部材94と協働して、遊技球の発射方向を規制する部材である。この保持部材93は、右上がり傾斜状に配置される受け部93aと、受け部93aの左端部から左上がり傾斜状に延設される左側板部93bと、受け部93aの右端部から左上がり傾斜状に延設される右側板部93cとを備えている。また、受け部93aは遊技球の直径よりも大きな幅を有するとともに、その肉厚方向を貫通する貫通孔93dを備える。
【0065】
球送り装置80から送られる遊技球は、保持部材93上部の開口(左側板部93bの上端部と、右側板部93cの上端部との間に設けられる開口)から、保持部材93内に落下した後、貫通孔93dに嵌り込む。つまり、貫通孔93dの直径は、遊技球の直径よりも小さくされているため、保持部材93内に落下して、受け部93aに到達した遊技球は、その下方側の「約1/3」の部分を受け部93aの下方に突出させた状態で、受け部93aに保持される。そして、このときの遊技球の位置が発射待機位置である。
【0066】
ガイド部材94は、取付基板91aの前面部に装着され、保持部材93と球通路部材96との間に遊技球の通路を構成する部材である(
図15参照)。つまり、左側板部93bの斜め上方に配置される左レール部94bと、右側板部93cの斜め上方に配置される右レール部94cとを備えている。
【0067】
発射装置ユニット90においては、コイル92eに通電を行わないと、可動子92gは後退姿勢となり、ハンマー91cは受け部93aの下方に位置する状態となる(
図16を参照)。そして、コイル92eに通電を行うと、突出部92n(磁性体で構成)が凹部92kに吸引されるため、「突出部92nを凹部92kに近接させる方向に回転するための回転力」が可動子92gに負荷される(
図15を参照)。そして、ハンマー91cが、受け部93aの下方に突出する遊技球の下端側を打撃し、この遊技球を発射した後、可動子92gの先端部922gが、「取付基板91aの前面部に装着されたストッパー92b」に、その下方から当接する。このとき、突出部92nと凹部92kとの間には微少隙間が維持された状態となる。なお、先端部922gがストッパー92bに当接したときの可動子92gの姿勢を、前進姿勢という。
【0068】
本遊技機では、球送り装置80の球送り動作(電磁コイル85のON/OFF制御)は、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bの作動と同期制御されており、
図14に示すように、発射ハンドル9の回転操作に基づき、発射装置ユニット90から遊技球が発射される毎に、送り出し口81vから受け部93aに向かって、遊技球が1球ずつ落下する。
【0069】
球通路部材96は、略樋形状を備え、
図8および
図17(a)に示すように、本体枠3の前面部における左下方側に装着されている。そして、発射装置ユニット90と、「遊技盤10の前面(盤面左端側)の誘導経路11Y(
図7を参照)」との間を連絡する通路を形成する。そして、
図8に示すように、球通路部材96が、本体枠3の前面部に装着されると、この前面部における左下方側に、発射用連絡通路96Aと、回収用連絡通路96Bとが形成される。また、発射用連絡通路96Aと回収用連絡通路96Bとは球通路部材96の上端で合流し、出口部96jによって上方に開放されている。また、発射用連絡通路96Aの下端部は入口部96hに向かって開放されている。
【0070】
発射装置ユニット90から発射される遊技球は、
図8に示すように、発射用連絡通路96Aの下端の入口部96hから発射用連絡通路96Aに進入した後、発射用連絡通路96Aを通過して、発射用連絡通路96Aの上端の出口部96jから排出されて誘導経路11Yに進入し、更に、誘導経路Y(
図7を参照)を上昇し、球進入口11S(
図7を参照)から遊技領域11に進入する。但し、発射装置ユニット90から発射される遊技球の中には、球進入口11Sを通過できない(進入口11Sに到達しない)ファール球も存在する。このファール球は、誘導経路11Yを下降した後、球通路部材96に進入する。ここで、誘導経路11Yの下端部側(始点側)は開放しており、その鉛直下方に回収用連絡通路96Bが存在し、その右側に位置する発射用連絡通路96Aは、誘導経路Yの下端部側との間に遊技球1個分以上の間隔をあけた位置から、斜め右下り傾斜状に配置されている。このため、誘導経路11Yを逆進(落下)するファール球は、誘導経路Yの下端部(始点部)の直下に位置する回収用連絡通路96Bに進入するようになっており、回収用連絡通路96Bに進入したファール球(遊技球)は、図示しない通路を通過して下皿部6に誘導される。
【0071】
本実施例において払出装置109から払い出される遊技球は、払出通路109a、排出口35、球受入部5d、上皿導入口5bを、この順に通過して貯留部5G内に導入される。そして、貯留部5Gを左端側から右端側に下り、貯留部5Gの右端側に設けられた遊技球整列部5fで、1球ずつに整列した後、連絡路5rを転動し、球送り通路5e(
図6を参照)に進入する。そして、正面視で左下り傾斜となる球送り通路5eを転動した後、受入口81cを通じて球送り装置80に受け入れられる。そして、球送り装置80から送り出される遊技球が、発射装置ユニット90の受け部93a(発射待機位置)に到達し、当該遊技球が発射可能な状態とされる。
【0072】
ここで、
図17(b)に示すように、払出通路109a、排出口35、球受入部5d、上皿導入口5b、貯留部5G(遊技球整列部5f)、連絡路5r、球送り通路5e、球送り装置80によって、払出装置109から払い出される遊技球を、発射手段(発射装置ユニット90)へ誘導する「誘導通路」を構成する。そして、本実施例では、貯留部5Gに阻止手段(可動部材5K)を設けているが、「誘導通路」を構成する他の部分に対して、阻止手段を設けることもできる。例えば、払出通路109aや球送り通路5eの通路途中に通路を遮断可能な弁体を設け、この弁体を所定のアクチュエータ(ソレノイド、モータ等)で駆動して、誘導通路の遊技球が発射手段に供給される第1状態と、発射手段に供給されるのを阻止する第2状態とを択一的に実行可能としてもよい。
【0073】
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について
図7を用いて説明する。この遊技盤10は、正面視で略矩形状の樹脂製(アクリル製)の透明板若しくは合板を用いて構成される遊技盤本体10Aを備え、遊技盤本体10Aの前面部には樹脂製若しくは金属性の帯状体で構成される外側レール12及び内側レール13が配設されている。また、遊技盤本体10Aの前面部のうち、外側レール12および内側レール13が形成する略円形若しくは略楕円形の周壁で略包囲された部位によって遊技領域11が構成されている。
【0074】
遊技盤本体10Aの前面部に形成される遊技領域11には、中央装置20と、第1始動口17aと、第2始動口17bと、大入賞口31aと、一般入賞口45、46、47と、普通図柄作動ゲート16と、風車19等が設けられている。また、遊技盤本体10Aの前面部のうち遊技領域11から外れた遊技領域外側の部位には情報表示装置60が設けられている。ここで、大入賞口31aは大入賞装置31の入口部分によって構成されている。また、多数の障害釘(図示を省略)は各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく配設されている。なお、以下の説明において、遊技領域11のうち、中央装置20の左側に位置する部位(遊技領域11の左側領域)を左領域11L、右側に位置する部位(遊技領域11の右側領域)を右領域11Rと、それぞれ称することがある。また、左領域11Lを流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と称し、右領域11Rを流下するように遊技球を発射することを「右打ち」と称する。
【0075】
図7に示すように、内側レール13は略U字形状に配置されつつ、左端部が遊技盤10の左上部に配設され、その左側方に位置する「外側レール12の左上部」との間に「遊技球が通過可能な隙間」を設け、球進入口11Sを形成している。また、外側レール12の左端部は、発射装置ユニット90の球出口96jの斜め左上に近接配置されている。そして、発射装置ユニット90から発射され、外側レール12の内側を転動しつつ上昇する遊技球(符号Yを参照)は球進入口11Sを通じて遊技領域11に放出される。
【0076】
中央装置20は、枠部材21と演出表示装置27とを備えている。このうち、枠部材21は、演出表示装置27の外縁を囲む盤面装飾用の部材を構成している。また、演出表示装置27は液晶表示装置を用いて構成され、情報表示装置60における特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて図柄変動演出を実行する。また、演出表示装置27の表示画面27aは、
図18(a)に示すように、その略全体が表示領域となり、この表示領域に背景を示す図柄(背景図柄)や背景色(白、青、赤等の画面の地色)等を表示可能である。そして、この背景図柄や背景色の前面に重ね合わせた状態で3つ(3桁)の演出図柄を表示する演出図柄表示領域27bが、表示画面27a上に設けられる。
【0077】
図18(a)に示すように、表示画面27aの縁部側には第1保留表示領域27Dと、第2保留表示領域27Eが設けられる。このうち、第1保留表示領域27Dでは、第1始動口17aへの入球に基づいて生ずる「第1特別図柄」に関する取得情報(第1保留情報)の数(以下、「第1保留数」という。)が、「4個」を上限個数として表示され、第2保留表示領域27Eでは、第2始動口17bへの入球に基づいて生ずる「第2特別図柄」に関する取得情報(第2保留情報)の数(以下、「第1保留数」という。)が「4個」を上限個数として表示される。ここで、以下の説明において、第1始動口17aに遊技球が入球することを「第1始動入賞(第1始動入球)」と称し、第2始動口17bに遊技球が入球することを「第2始動入賞(第2始動入球)」と称することがある。また、特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)に関する未消化の取得情報(乱数、変動に関する情報)とは、始動口(17a、17b)に入球したが、当該入球に伴う当否判定(後述する第1当否判定若しくは第2当否判定)と、特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の変動表示とがなされていない情報であり、始動入賞時(第1始動入賞時若しくは第2始動入賞時)に取得した取得情報であって、未だ消化(当否判定、変動表示)が保留されている(変動表示が未実行の)ものを指す。そして、何れの保留表示領域27D、27Eも、始動口17a、17bへの入球に基づき取得されたが、未消化の取得情報(乱数、変動に関する情報)の数が「保留図柄の表示数」によって示され、未消化の取得情報が消化される毎に「保留図柄の表示数」が順次、デクリメントして表示される。
【0078】
第1始動口17aは非可変式の始動口であり、大きさが不変の開口部(遊技球受入口)を上方に開口させている。また、第1始動口17aの開口部の大きさは、1球の遊技球の通過を許容する大きさとされ、その大きさが拡大されたり縮小されたりすることはない。そして、第1始動口17aに入球した遊技球は、遊技盤本体10Aの後面に装着された通路部材(図示を省略)の第1始動口通路に流入し、この第1始動口通路に配置された第1始動口入球検知スイッチ17s(
図19参照)によって検知される。
【0079】
第2始動口17bは第1始動口17aの下方に配置されている。この第2始動口17bは普通電動役物17dとして設けられるものであり、いわゆるチューリップ式で左右に一対の可動翼片17e、17eが開閉するべく形成され、一対の可動翼片17e、17eを作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(
図19参照)を備える。また、第2始動口17bの内部には、当該第2始動口17bに入球した遊技球を検知するための第2始動口入球検知スイッチ17tが配置されている(
図19参照)。そして、普通電動役物ソレノイド17cに通電を行わないと、一対の可動翼片17e、17eが立設状態(
図7の実線を参照)とされ、一対の可動翼片17e、17e間に1球の遊技球の通過を許容する大きさの遊技球受入口が設けられ、第2始動口17bへの遊技球の入球可能性が低い閉鎖状態(第1の態様)となる。一方、普通電動役物ソレノイド17cに通電を行うと、一対の可動翼片17e、17eが、下端部側を支点として互いの上端部間の間隔を拡大するように傾動し(
図7の破線を参照)、遊技球の入球可能性が高くなる開放状態(第2の態様)となる。
【0080】
ここで、本遊技機1で開放延長機能を備え、遊技状態が、開放延長機能が作動する開放延長状態(高頻度状態)である場合、第2始動口17bが開放状態(第2の態様)となる時間が長くなる(例えば、「5秒」)。一方、開放延長機能が作動しない非開放延長状態(始動口への遊技球の入球頻度が所定の遊技状態)である場合には、第2始動口17bが開放状態(第2の態様)となる時間が短くなる(例えば、「0.2秒」)。なお、本実施例では、第2始動口17bの上方に第1始動口17aが配置されているため、第2始動口17bが閉鎖状態(第1の態様)であるとき、第1始動口17aが邪魔になり、第2始動口17bに遊技球が入球することはできない(第2始動口17bが開放状態になる場合に限って、第2始動口17bに遊技球が入球することができる)。但し、第1始動口17aと第2始動口17bとを離間して配置することで(第1始動口17aが邪魔にならないようにすることで)、第2始動口17bが閉鎖状態(第1の態様)であるときにも、第2始動口17bへの遊技球の入球を可能としてもよい。
【0081】
第2始動口17bの右斜め上方には大入賞装置31が配置されている。この大入賞装置31は、遊技盤10の前面部で開口する大入賞口31aと、この大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイド31c(
図19参照)と、大入賞装置31に入球した遊技球を検知するための大入賞口入球検知スイッチ31s(
図19参照)とを備えている。この大入賞装置31は、開閉板31bが起立姿勢となると、開閉板31bによって大入賞口31aが閉鎖され、大入賞口31aへの遊技球の入球が不可能となり、開閉板31bが前傾姿勢となると、大入賞口31aが開放され、大入賞口31aへの遊技球の入球が可能となる。なお、大入賞口31aは「可変入球口」の具体例を構成する。
【0082】
遊技領域11において第1始動口17aの左側方には、一般入賞口45、46、47が設けられている。そして、何れの一般入賞口45、46、47に入球した遊技球も、遊技盤本体10Aの背面に装着された裏樋部(図示を省略)に流入し、当該裏樋部に設けられた一般入球検知スイッチ45s(
図19参照)で検知される。また、中央装置20の右側方には普通図柄作動ゲート16が設けられている。この普通図柄作動ゲート16は、遊技盤本体10Aの前面部から突出する状態に配置され、通過検知スイッチ16s(
図19を参照)を備え、普通図柄作動ゲート16を上方から下方に通過する遊技球を検知可能である。
【0083】
情報表示装置60は、遊技盤10の表面部であって、遊技領域11の外側(遊技盤10の表面外縁)に該当する外縁部10Bのうち左下部位(左下外縁部)に配置されている。この外縁部10Bの左下部位は視認窓41aの左下方側を介して前方から視認可能な部位であるため、情報表示装置60は前面枠4の前方からガラス板43を通じて視認可能とされている(
図1を参照)。この情報表示装置60は、
図18(c)に示すように基板60Aを備え、この基板60Aに対して、第1特別図柄表示部62aと、第2特別図柄表示部62bと、普通図柄表示部63と、第1特別図柄保留表示部64aと、第2特別図柄保留表示部64bと、普通図柄保留表示部65等が設けられている。
【0084】
第1特別図柄表示部62a、第2特別図柄表示部62bおよび普通図柄表示部63は、何れも「7セグメント表示体」を用いて構成されている。このうち、第1特別図柄表示部62aでは、「第1始動入賞」に基づいて第1特別図柄の変動表示を行い、変動表示の実行時間が経過すると、第1特別図柄に関する当否判定の結果が一定時間(例えば0.6秒)表示される。また、第2特別図柄表示部62bでは「第2始動入賞」に基づいて第2特別図柄の変動表示を行い、変動表示の実行時間が経過すると、第2特別図柄に関する当否判定の結果が一定時間(例えば0.6秒)表示される。そして、特別図柄に関する当否判定の結果が「外れ」である場合には、特別図柄表示部(62a若しくは62b)に外れ図柄が表示され、特別図柄に関する当否判定の結果が「大当り」である場合には、大当り図柄が表示される。
【0085】
普通図柄表示部63も、
図18(c)に示すように「7セグメント表示体」によって構成され、普通図柄作動ゲート16を遊技球が通過することに基づいて図柄変動開始条件が成立すると普通図柄の変動表示を開始する。この普通図柄の変動表示は、普通図柄表示部63において「0」〜「9」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「0」〜「9」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示」によって構成される。そして、普通図柄の変動表示の実行時間が経過すると、普通図柄の変動表示の結果(普通図柄に関する当否判定の結果)が一定時間(例えば、0.5秒)表示される。このとき、停止表示された普通図柄が「奇数数字」である場合、その図柄が普通図柄の当り図柄に該当し、停止図柄が「偶数数字」である場合、その図柄が普通図柄の外れ図柄に該当する。
【0086】
第1特別図柄保留表示部64a、第2特別図柄保留表示部64bおよび普通図柄保留表示部65は何れも2個のLEDを備え、対応する図柄(第1特別図柄、第2特別図柄、普通図柄)に関する保留数をLEDの点灯数、駆動態様によって表示する。例えば、消灯状態のLEDは「ゼロ」を表示し、点灯状態のLEDは「1」を表示し、点滅状態のLEDは「2」を表示することとすれば、2個のLEDを用いて「ゼロ」〜「4」の整数を表示できる。
【0087】
(2)制御回路の構成
次に、
図19を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御基板200を用いて構成されるとともに遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、222A、240A、260A)を備える。また、副制御部としては、(a)サブ制御基板220を用いて構成され、遊技上の演出の制御を司るサブ制御部220Aと、(b)演出表示制御基板222を用いて構成され、演出表示装置27の制御を司る演出表示制御部222Aと、(c)払出制御基板240を用いて構成され、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(d)発射制御基板260を用いて構成され、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。
【0088】
これらの制御部(200A、220A、222A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、222、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、
図19〜
図21中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。
【0089】
主制御部200Aは、通過検知スイッチ16s、第1始動口入球検知スイッチ17s、第2始動口入球検知スイッチ17t、一般入賞口入球検知スイッチ45s、大入賞口入球検知スイッチ31s等から遊技球の検知信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御部220Aや、払出制御部240A、発射制御部260A等に向かって、後述する各種の信号(コマンド)を出力する。また、主制御部200A(主制御基板200)を構成するCPU201により決定された所定の信号(コマンド)は、サブ制御基板220や払出制御基板240に対してそれぞれ送信される。なお、主制御部200Aは「当否判定手段」、「特定遊技実行手段」の具体例を構成する。
【0090】
サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの各種信号(コマンド)を受け取ると、信号(コマンド)の内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。つまり、サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。このサブ制御部220A(サブ制御基板220)には、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)と、アンプ基板224と、装飾駆動基板226と、演出ボタン基板228と、にそれぞれ電気的に接続され、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)には演出表示装置27が電気的に接続されている。また、サブ制御基板220は、CPU220aと、RAM220bと、ROM220cとを備えている。
【0091】
サブ制御基板220のCPU220aは、主制御基板200からの制御信号を受けて演出表示制御基板222、アンプ基板224、装飾駆動基板226及び演出ボタン基板228などの各基板を制御する。また、ROM220bには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。また、CPU220aは、主制御部200A(主制御基板200)から送出された表示制御コマンド(つまり、表示制御信号)を受信すると共に、ROM220bに記憶されたプログラムに従って解析する。そして、サブ制御部220A(サブ制御基板220)を構成するCPU220aは、このCPU220aにより決定された所定の表示制御コマンドや、主制御部200A(主制御基板200)から送信されたままの表示制御コマンドを演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に対して送信する。
【0092】
次に、サブ制御部220A(サブ制御基板220)に対する信号或いはコマンドの入出力関係について説明する。前述のように、サブ制御部220A(サブ制御基板220)には、演出表示制御基板222と、アンプ基板224、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228などの各種基板が接続されている。また、サブ制御部220Aは、前述のように、主制御部200Aから各種の演出用のコマンド(表示制御コマンドなど)を受け取ると、コマンドの内容を解釈して、(a)演出表示装置27の具体的な表示内容、(b)スピーカSP1〜4で出力する効果音、更には、(c)各種LED基板4b〜4h等に搭載された各種LEDや、その他のランプ類の点灯若しくは点滅の具体的な態様を決定する。
【0093】
次いで、演出表示装置27の駆動信号(各種の図柄制御コマンド)を演出表示制御部222Aに出力して、演出図柄の変動表示及び停止表示や背景図柄、キャラクタ図柄の表示等を行う。このとき、表示される演出用の各種図柄(演出図柄、背景図柄、キャラクタ図柄、実写映像等)の表示データ(静止画像データ、動画像データなど)については、演出表示装置27、或いは、演出表示制御基板222に内蔵された表示用ROM(図示を省略)に格納されているデータを使用する。
【0094】
演出図柄の変動表示及び停止表示に合わせて、音声信号をアンプ基板224に出力することによって、スピーカSP1〜SP4から効果音を出力する。加えて、装飾駆動基板226に信号を供給し、装飾駆動基板226から、各種LEDランプの駆動信号を出力することによって、各LEDランプの点灯・点滅動作等を制御する。また、演出ボタンSWを遊技者が操作すると(指示入力を行うと)、この操作信号(指示入力信号)がサブ制御部220Aに供給される。そして、サブ制御部220Aは、供給された操作信号に基づいて、演出表示装置27を初めとする各種の演出内容に操作結果を反映させることが可能に構成されている。
【0095】
次に、
図20を用いて「取得情報記憶手段」等について説明する。主制御基板200に搭載されたRAM202には、第1判定用乱数値メモリ202aと、第2判定用乱数値メモリ202bと、第1保留数メモリ202cと、第2保留数メモリ202dと、第1事前判定結果メモリ(図示を省略)と、第2事前判定結果メモリ(図示を省略)とが設けられている。また、サブ制御基板220に搭載されたRAM220bには、第1事前判定結果情報メモリ221bと、第2事前判定結果情報メモリ222bと、第1保留数情報メモリ223bと、第2保留数情報メモリ224bとが設けられている。以下、「有効な始動入賞」とは、対応する保留数(第1保留数若しくは第2保留数)が上限個数でない状態で生じた始動入賞を指す。
【0096】
第1始動口17aに対する有効な始動入賞を生ずると、これに対応する判定用乱数値(以下、「第1判定用乱数値」ということがある。)が取得され、第1判定用乱数値メモリ202aにシフトメモリ形式で記憶されるとともに、第1保留数を示す値が第1保留数メモリ202cに累積的に記憶(加算記憶)される。ここで、「第1判定用乱数値」には「大当りか否かを当否判定するための当否判定用乱数値(大当り抽選乱数値)」、「大当り図柄(特別図柄)を決定するための図柄決定乱数値」等が含まれる。
【0097】
また、第1判定用乱数が第1判定用乱数値メモリ202aに記憶されると、主制御基板200を構成するCPU201が、当否判定に関する事前判定および大当り図柄(特別図柄)に関する事前判定(大当りを発生する旨の事前判定の結果を得た場合)を行うとともに、これらの事前判定(以下、「第1事前判定」という。)の結果を第1事前判定結果(図示を省略)にシフトメモリ形式で記憶する。これに伴い、第1始動入賞時コマンドが主制御基板200からサブ制御基板220に送信される。
【0098】
ここで、第1始動口17aに対する始動入賞に基づく第1始動入賞時コマンドは、「第1事前判定の結果を特定可能な情報(以下、「第1事前判定結果情報」という。)」、「当該始動入賞後の第1保留数を特定可能な情報(以下、「第1保留数情報」という。)」等を示すコマンドである。そして、サブ制御基板220は、第1始動入賞時コマンドを受信すると、「第1事前判定結果情報」を第1事前判定結果情報メモリ221bにシフトメモリ形式で記憶するとともに、第1保留数情報メモリ223bに記憶されている第1保留数の値を「+1」する。そして、サブ制御基板220のCPU220aは、第1事前判定結果情報メモリ221bに記憶された第1事前判定結果情報に基づいて、第1判定用乱数値メモリ202a(取得情報記憶手段)に「第1当否判定の結果が、大当りとなる当否判定用乱数値」が記憶されているか否かを判断する。以下、当否判定(第1当否判定、第2当否判定)の結果が大当りとなると事前判定(第1事前判定、第2事前判定)される当否判定用乱数値を「当り保留」と称し、当否判定(第1当否判定、第2当否判定)の結果が外れとなると事前判定(第1事前判定、第2事前判定)される当否判定用乱数値を「外れ保留」と称する。
【0099】
第2始動口17bに対する有効な始動入賞を生ずると、これに対応する判定用乱数値(以下、「第2判定用乱数値」ということがある。)が取得され、第2判定用乱数値メモリ202bにシフトメモリ形式で記憶されるとともに、第2保留数を示す値が第2保留数メモリ202dに累積的に記憶(加算記憶)される。ここで、「第2判定用乱数値」には、第1判定用乱数値と同様に「大当りか否かを当否判定するための当否判定乱数値(大当り抽選乱数値)」、「大当り図柄(特別図柄)を決定するための図柄決定乱数値」等が含まれる。
【0100】
また、第2判定用乱数値が第2判定用乱数値メモリ202bに記憶されると、主制御基板200を構成するCPU201が、当否判定に関する事前判定および大当り図柄(特別図柄)に関する事前判定(大当りを発生する旨の事前判定の結果を得た場合)を行うとともに、これらの事前判定(以下、「第2事前判定」という。)の結果を第2事前判定結果メモリ(図示を省略)にシフトメモリ形式で記憶する。これに伴い、第2始動入賞時コマンドが主制御基板200からサブ制御基板220に送信される。
【0101】
ここで、第2始動口17bに対する始動入賞に基づく第2始動入賞時コマンドは、「第2事前判定の結果を特定可能な情報(以下、「第2事前判定結果情報」という。)」、「当該始動入賞後の第2保留数を特定可能な情報(以下、「第2保留数情報」という。)」等を示すコマンドである。そして、サブ制御基板220は、第2始動入賞時コマンドを受信すると、第2事前判定の結果を示す情報(第2事前判定結果情報)を第2事前判定結果情報メモリ222bにシフトメモリ形式で記憶するとともに、第2保留数情報メモリ224bに記憶されている第2保留数の値を「+1」する。そして、サブ制御基板220のCPU220aは、第2事前判定結果情報メモリ222bに記憶された第2事前判定結果情報に基づいて、第2判定用乱数値メモリ202b(保留記憶手段)に当り保留(第2当否判定の結果が、大当りとなる当否判定用乱数値)が記憶されているか否かを判定することができる。
【0102】
なお、第1判定用乱数値メモリ202aおよび第2判定用乱数値メモリ202bは、始動入賞に基づき取得される判定用乱数値(取得情報)を記憶する「取得情報記憶手段」の具体例を構成する。また、「第1判定用乱数値」は第1始動口17aに対する有効な始動入賞に基づき取得される判定用乱数値(取得情報)の総称であり、「第2判定用乱数値」は第2始口17bに対する有効な始動入賞に基づき取得される判定用乱数値(取得情報)の総称である。また、第1判定用乱数値メモリ202aと、第2判定用乱数値メモリ202bと、第1事前判定結果メモリ(図示を省略)と、第2事前判定結果メモリ(図示を省略)と、第1事前判定結果情報メモリ221bと、第2事前判定結果情報メモリ222bには、有効な始動入賞(有効な第1始動入賞、有効な第2始動入賞)を生ずる毎に、対応するデータがシフトメモリ形式で記憶される。そして、対応する判定用乱数値(第1判定用乱数値メモリ202a、第2判定用乱数値メモリ202b)に記憶されている判定用乱数値を最先に記憶されたものから順に読み出し、その読み出した判定用乱数を基に当否判定やこの当否判定に基づく図柄変動遊技を行うことを「判定用乱数値を消化する」と称する。
【0103】
次に
図21を用いて、払出制御部240A、発射制御部260A等について説明する。
図21に示すように、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240には、発射制御部260Aを構成する発射制御基板260が接続され、発射制御基板260には、発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)と、タッチスイッチ9aと、発射停止スイッチ9b等が接続されている。そして、タッチスイッチ9aは、遊技者が発射ハンドル9に接触している場合に接触検知信号(オン信号)を発射制御部260Aに出力し、遊技者が発射ハンドル9に接触していない場合に接触非検知信号(オフ信号)を発射制御部260Aに出力する。また、発射停止スイッチ8bは、遊技者が操作していない(押していない)場合に発射非停止信号(オン信号)を発射制御部260Aに出力し、遊技者が操作している(押している)場合に発射停止信号(オフ信号)を発射制御部260Aに出力する。
【0104】
発射制御部260Aは、タッチスイッチ9aが接触検知信号(オン信号)を出力するとともに発射停止スイッチ9bが発射非停止信号(オン信号)を出力している状態で、発射ハンドル9が回転操作されると、発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)を構成するコイル92eへの通電を行う。このとき、遊技者が発射ハンドル9に加えた回転量に応じた電圧でコイル92eが通電されるため(発射ハンドル9の回転量に応じて凹部92kに生ずる吸引力が制御されるため)、発射ハンドル9に加えた回転量に応じた打撃力がハンマー91cから「発射待機位置の遊技球」に加えられる。そして、この打撃力が十分である場合、ハンマー91cで打撃された遊技球は遊技領域11に到達する。また、ハンマー91cからの打撃力が十分でなく、遊技領域11に到達できなかった遊技球は、ファール球として回収される。一方、発射ハンドル9が回転操作された状態であっても、遊技者が発射停止スイッチ9bを操作すると(発射停止スイッチ9bが発射停止信号(オフ信号)を出力すると)、発射制御部260Aは発射装置91(クラッパー型ソレノイド91b)の駆動を停止させる。
【0105】
また、
図21に示すように、発射制御部260Aを構成する発射制御基板260には、球送り装置80(電磁コイル85)が接続されている。そして、電磁コイル85への通電と、通電の停止(遮電)とを繰り返すことで、球送り装置80から発射待機位置に対して、遊技球が間欠的に1球ずつ送り出される。つまり、球送り装置80の球送り動作(電磁コイル85のON/OFF制御)は、クラッパー型ソレノイド(電磁石)91bの作動と同期制御されており、発射ハンドル9の回転操作に基づき、発射装置ユニット90から遊技球が発射される毎に、送り出し口81vから受け部93aに向かって、遊技球が1球ずつ落下する。
【0106】
ここで、上述のように本遊技機1では、遊技者が発射ハンドル9に加えた回転量に応じた打撃力がハンマー91cから「発射待機位置の遊技球」に加えられるため、発射ハンドル9の回転量(右回転方向への回転量)に応じて遊技球の発射態様を選択できる。つまり、発射ハンドル9はバネを用いて基準回転位置に付勢されているが、発射ハンドル9を右回転方向に回転させると、ハンマー91cが遊技球に打撃力を加える動作を行う。この際、発射ハンドル9を右回転方向への回転量が多くなるほど、ハンマー91cが遊技球に負荷する打撃力が大きくなる。このため、遊技者が後述する「左打ち」を行う場合には、発射ハンドル9を右回転方向への回転量を少なくし、後述する「右打ち」を行う場合には、発射ハンドル9を右回転方向への回転量を多くすることになる。なお、本遊技機1は、その時点の発射態様(発射ハンドル9を右回転方向への回転量が、左打ちための回転量であるか、右打ちための回転量であるか)を検知する発射態様検知手段を備えてもよい。この点に関しては後述する(後述する変形例5を参照)。
【0107】
(3)遊技機1による遊技の概要
次に、本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について、
図22等を用いて簡単に説明する。前述のように、本遊技機1では、始動入賞(第1始動入賞若しくは第2始動入賞)に基づいて行われる当否判定の結果を示す図柄の停止表示と、この停止表示の前段階に行われる変動表示とを情報表示装置60および演出表示装置27の2種類の図柄表示装置で実行する。ここで、情報表示装置60の第1特別図柄表示部62aで表示される第1特別図柄と、情報表示装置60の第2特別図柄表示部62bで表示される第2特別図柄は「本図柄」であり、主制御部200Aによって「停止表示させる図柄(停止図柄)」と「変動時間(変動パターン)」が決定される。但し、本実施例では、始動入賞(第1始動入賞若しくは第2始動入賞)に基づく、判定用乱数値(入球情報)を取得した時点で当否判定の結果等が事前判定される。
【0108】
一方、演出表示装置27の表示画面27aにおいては「演出図柄」が表示され、主制御部200Aの制御の下で遊技上の演出を制御するサブ制御部220Aによって、その変動態様と停止図柄とが決定される。そして、通常、これらの「演出図柄」の図柄変動は「本図柄」と同一の時間だけ実行され、これらの「演出図柄」の停止図柄の表示内容(大当り、外れ)は、第1特別図柄表示部62a若しくは第2特別図柄表示部62bにおける「本図柄」の表示内容(大当り、外れ等)と矛盾を生じないものとされる。
【0109】
ここで、本遊技機1では第1始動入賞に基づいて第1特別図柄表示部62aにおいて「第1特別図柄に係る図柄変動遊技」が実行され、第2始動入賞に基づいて第2特別図柄表示部62bにおいて「第2特別図柄に係る図柄変動遊技」が実行される。また、「第1特別図柄に係る図柄変動遊技」若しくは「第2特別図柄に係る図柄変動遊技」の実行に伴って演出表示装置27において図柄変動演出が実行される。以下、「図柄変動遊技」と「図柄変動演出」の概要について説明する。なお、本図柄および演出図柄は何れも「識別情報」の具体例を構成するが、本遊技機1において使用する「識別情報」を本図柄および演出図柄のうち何れか一方に一本化してもよい。
【0110】
a.図柄変動遊技
第1特別図柄に係る図柄変動遊技(変動表示)と、第2特別図柄に係る図柄変動遊技(変動表示)は、
図18(b)に示すように、対応する特別図柄表示部(62a若しくは62b)を構成する7セグメント表示体によって、算用数字を構成できない不完全な図柄(以下、不完全図柄という。)の「循環表示」を行うことを内容とする。具体的には、算用数字に比べて遊技者にとって馴染みが無く、識別や記憶が困難な不完全図柄を「循環表示」することを内容とする。ここで、第1特別図柄および第2特別図柄は識別情報の具体例を構成する。
【0111】
そして、第1特別図柄に係る変動表示における停止表示態様によって「第1始動入賞」に基づいて実行される特別図柄に関する当否判定(以下、「第1当否判定」という。)の結果が表示され、第2特別図柄に係る変動表示における停止表示態様によって「第2始動入賞」に基づいて実行される特別図柄に関する当否判定(以下、「第2当否判定」という。)の結果が表示される。
【0112】
図22に示すように、遊技機1の確率状態が通常確率状態(低確率状態)である場合には、第1当否判定および第2当否判定の何れにおいても大当りを示す判定結果が導出される確率は約「1/315」とされ、遊技機1の確率状態が高確率状態である場合には、第1当否判定および第2当否判定の何れにおいても、大当りを示す判定結果が導出される確率は約「1/31.5」とされる。そして、何れかの特別図柄表示部62a、62bに大当りを示す判定結果が停止表示されると「大当り」が発生し、大当り遊技実行手段(つまり、特定遊技実行手段)が駆動して大当り遊技が実行される。ここで、「大当り」は「特定結果」の具体例を構成し、「大当り遊技」は「特定遊技」の具体例を構成する。
【0113】
本実施例では、当否判定の結果が大当りの場合、特別図柄表示部62a(62a若しくは62b)に停止表示される大当り図柄が乱数抽選を用いて決定される。具体的には、第2当否判定の結果が大当りの場合、乱数抽選(振分抽選)によって、大当り図柄が「16R確変大当りの発生を示す大当り図柄(以下、確変図柄Aという。)」若しくは「16R通常大当りの発生を示す大当り図柄(以下、通常図柄Aという。)」に決定される。また、第1当否判定の結果が大当りの場合、乱数抽選によって、大当り図柄が「通常図柄A」、「4R確変大当りの発生を示す大当り図柄(以下、確変図柄Bという。)」および「4R通常大当りの発生を示す大当り図柄(以下、通常図柄Bという。)」のうち何れかに決定される。
【0114】
なお、第1特別図柄表示部62a若しくは第2特別図柄表示部62bを構成する「7セグメント表示体」のうち、3個のセグメントを発光させたものが「確変大当り」を示し、「確変大当り」の種類(16R確変大当り、4R確変大当り)を発光させるセグメントの組合わせ態様で特定する。また、2個のセグメントを発光させたものが「通常大当り」を示し、「通常大当り」の種類を発光させるセグメントの組合わせ態様で特定する(16R通常大当り、4R通常大当り)。但し、本明細書では、説明を簡略化するため、大当り図柄を「確変A」、「確変B」、「通常A」および「通常B」のように「アルファべット」を用いて表現する。また、当否判定の結果が外れの場合、第1特別図柄表示部62a若しくは第2特別図柄表示部62bを構成する「7セグメント表示体」のうち、1個のセグメントが発光する。
【0115】
大当り図柄が停止表示され、大当りを発生し、ファンファーレ時間が経過すると(演出表示装置27等でファンファーレ演出が実行されると)、大当り遊技を開始する。この大当り遊技を開始すると、主制御部200Aが大入賞口ソレノイド31cの駆動及び駆動停止を行うことで「大入賞口31aを開閉する開閉動作」が実行される。そして、大当り遊技中の各ラウンド遊技においては、大入賞装置31に対して、大入賞口31aを1回だけ開放状態(入球可能状態)に変化させる開閉動作が施される。なお、大入賞口31aに規定入賞数(10個)の遊技球が入球するか、或いは、大入賞口31aの開放時間が開放限度時間(30秒)に到達すると、ラウンド終了条件が成立して、実行中のラウンド遊技(大当りラウンド)を終了する。そして、大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバルを挟みつつ複数回繰り返されると大当り遊技を終了する。
【0116】
図22に示すように、「16R確変大当り」若しくは「16R通常大当り」を生ずると「ラウンド遊技」の実行回数が「16回」の大当り遊技Aが実行され、「4R確変大当り」若しくは「4R通常大当り」を生ずると「ラウンド遊技」の実行回数が「4回」の大当り遊技Bが実行される。また、「16R確変大当り」若しくは「4R確変大当り」を生ずると、対応する大当り遊技の終了後には確率変動手段(後述する。)が作動し、当否判定の結果が大当りとなる確率(大当り確率)が高確率とされる状態(高確率状態)となる。また、「16R確変大当り」若しくは「4R確変大当り」を生ずると大当り遊技の終了後には開放延長手段(後述する。)が作動し、第2始動口17bの開放時間が延長される状態(開放延長状態)となる。この高確率状態および開放延長状態は、大当り遊技の終了後に大当りを生ずることなく実行される特別図柄変動遊技の累積回数が「10,000回」になるまで(実質的に、次回の大当りを生ずるまで)継続される。
【0117】
「16R通常大当り」若しくは「4R通常大当り」を生ずると、対応する大当り遊技の終了後には、確率変動手段が作動を開始しないため、遊技機1の確率状態が通常確率状態(低確率状態)とされる。また、当該大当り遊技の終了後に開放延長手段(後述する。)が作動し、第2始動入賞装置17bの開放時間が延長される状態(開放延長状態)となる。この開放延長状態は、大当り遊技の終了後に大当りを生ずることなく実行される特別図柄変動遊技の累積回数が「100回」になるまで継続される。以上、
図22を用いて説明したように、第2当否判定の結果が「大当り」である場合の「振分抽選」においては、第1当否判定の結果が「大当り」である場合の「振分抽選」に比べて遊技者にとってより有利な振り分けがなされる。
【0118】
b.図柄変動演出
図柄変動演出も、第1始動入賞若しくは第2始動入賞に基づいて開始される。そして、図柄変動演出の実行時間(変動時間)も、図柄変動遊技(図柄変動演出)の開始時に決定される変動パターン(後述する。)によって特定される。この図柄変動演出では、
図23(a)〜(c)に示すように、演出表示装置27の表示画面27aの所定の部位において演出図柄表示領域27bが出現し、演出図柄の変動表示(演出図柄を用いた図柄変動演出)を開始する。そして、演出図柄の変動表示の実行時間(変動時間)が経過すると、演出図柄の停止表示が一定時間(約0.6秒間)実行される。この演出図柄の停止表示は、前述の下部表示装置60(特別図柄表示部(62a若しくは62b))による停止表示と同様に、当否判定の結果を表示するものである。
【0119】
図23(a)〜(c)に示すように、演出表示装置27の表示画面27aでは、演出図柄表示領域27bに3つ(3桁)の演出図柄を表示しつつ演出図柄の変動表示と停止表示がなされる。この演出図柄の変動表示は、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示(スクロール変動表示)」によって構成される。つまり、演出図柄として装飾化された「1」〜「9」までの算用数字を用いつつ、この算用数字を循環表示(スクロール変動表示)することで、演出図柄を用いた変動表示が実現される。また、演出図柄の停止図柄には「大当りを示す図柄(大当り図柄)」と「外れを示す図柄(外れ図柄)」とがある。そのうち、「16R確変大当り」若しくは「4R確変大当り」の発生を示す図柄は3つの演出図柄がすべて同一の奇数数字とされる組み合わせによって構成され、「16R通常大当り」若しくは「4R通常大当り」の発生を示す図柄は3つの演出図柄がすべて同一の偶数数字とされる組み合わせによって構成される(
図22を参照)。なお、
図23(c)に示すように、演出表示装置27において「大当り図柄」を表示する場合、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行うが、「外れ図柄」を表示する場合、
図23(b)に示すように、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行う場合と、
図23(a)に示すように、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行わない場合がある。
【0120】
(4)主制御部200Aによる遊技制御の概要
図24は、主制御基板200に搭載されたCPU201が実行する遊技制御処理の大まかな流れを示すフローチャートである。この遊技制御処理では、賞球払出処理(S80)、普通図柄遊技処理(S100)、普通電動役物遊技処理(S200)、特別図柄遊技処理(S300)、大当り遊技処理(S600)等の各処理が繰り返し実行されている。尚、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、電源投入後、4msec周期のタイマ割込みが発生する毎に、
図24のS80〜S600の処理を実行するように構成されている。
【0121】
以下では、
図24に示す遊技制御処理を構成する各処理のうち、普通図柄遊技処理(S100)および普通電動役物遊技処理(S200)について詳しく説明する。なお、普通図柄遊技処理(S100)は、普通図柄表示部63において普通図柄の変動表示と、普通図柄の停止表示(当り図柄若しくは外れ図柄の停止表示)とを行うための処理である。また、普通電動役物遊技処理(S200)は第2始動口17bの開閉に関する処理である。
【0122】
A.賞球払出処理(S80)
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技球を賞球として払い出す処理(賞球払出処理)を行う(S80)。すなわち、
図25に示すように、「始動口入球検知スイッチ17s、17t」、「一般入球検知スイッチ45s」、「大入賞口入球検知スイッチ31s」によって遊技球を検知したか否かを判断する(S82、S83、S86、S90)。そして、遊技球を検知していた場合は、生じた入賞の種類(検知スイッチの種類)に対応する入賞情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶する(S84、S85、S88、S92)。
【0123】
具体的には、第1始動入賞を生じた場合には(S82;YES)、第1始動入賞に対応する入賞情報を記憶し(S84)、第2始動入賞(第2始動口17bへの遊技球の入球)を生じた場合には(S83;YES)、第2始動入賞に対応する入賞情報を記憶する(S85)。また、一般入賞(一般入賞口45〜47のうちの何れかへの遊技球の入球)を生じた場合には(S83;YES)、一般入賞に対応する入賞情報を記憶し(S88)、大入賞(大入賞口31aへの遊技球の入球)を生じた場合には(S90;YES)、大入賞に対応する入賞情報を記憶する(S92)。
【0124】
そして、CPU201はRAM202上に記憶されている入賞情報に基づいて、賞球の払出信号(賞球指定コマンド)を払出制御基板240に向かって出力する。また、RAM202上に、始動口入球検知スイッチ17s等への入賞情報が既に記憶されていた場合には、先に記憶されていた情報を含めて適切な払出個数を指定して、払出信号を出力する。ここで、第1始動入賞若しくは第2始動入賞を生じた場合には「3個の払出個数を指定する払出信号(賞球3指定コマンド)」が出力され、一般入賞を生じた場合には「10個の払出個数を指定する払出信号(賞球10指定コマンド)」が出力される。また、大入賞を生じた場合には「15個の払出個数を指定する払出信号(賞球15指定コマンド)」が出力される。
【0125】
主制御部200Aから払出制御部240Aへ払出信号を出力するに際しては、先ず、払出制御部240A(払出制御基板240)に向かってストローブ信号を出力し、続いて信号データを出力する。これに対して、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240に搭載されたCPUは、払出信号を受け取ると信号の内容を解釈し、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行う。そして、払出装置109には、払い出された遊技球を検知する2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)が設けられているので、これらスイッチで遊技球を1球ずつ検知しながら、払出信号で指定された個数の賞球を払い出す処理を行う。
【0126】
ここで、賞球払出処理に関連して、「払出制御部240Aを構成する払出制御基板240に搭載されたCPU」は、
図26に示す「払出制御処理(S5000)」を行う。
図26は、払出制御基板240に搭載されたCPUが実行する払出制御(S5000)の大まかな流れを示すフローチャートである。この払出制御基板240では、賞球コマンド受信処理(S5100)、エラー関連処理(S5200)、賞球制御処理(S5500)、球貸し制御処理(S5600)等の各処理が繰り返し実行されている。
【0127】
図27(a)に示すように、払出制御基板240に搭載されたCPUは、賞球コマンド受信処理(S5100)を起動すると、主制御基板200から賞球コマンド(払出信号)を受信したか否かを判断する(S5105)。ここで、賞球コマンドとは、主制御基板200から払出制御基板240に出力されるコマンドであり、賞球として払い出すべき遊技球の個数を示すコマンドである。
【0128】
この賞球コマンド(払出信号)を受信した場合(S5105;YES)、この賞球コマンド(払出信号)で指定される遊技球数を、獲得遊技球数に加算(払出カウンタのカウント値を加算、獲得遊技球数1個につき「1」を加算)して、払出制御基板240に搭載されたRAMの所定領域に記憶する処理を行った後(S5110)、賞球コマンド受信処理(S5100)を終了し、払出制御処理(S5000)に復帰する。ここで、獲得遊技球数(未払出遊技球数)とは、賞球コマンド(払出信号)によって払出を指示されていながら、未だ払い出せていない遊技球数である。この獲得遊技球数(未払出遊技球数)は、賞球として遊技球を1球払い出すたびに「1」ずつ減算されて行くが、賞球コマンド(払出信号)を受信すると、このコマンドによって指定された個数だけ遊技球数が加算される。
【0129】
図示を省略するが、払出制御基板240に搭載されたCPUは、エラー関連処理(S5200)を起動すると、払出に関する異常が発生していないかどうかを確認する。つまり、主制御基板200や払出装置(払出モータ109m)との間で通信異常が発生していないか、払出装置(払出装置)109に異常が発生していないか、球切れ状態になっていないか、下受け皿が満杯になっていないか、払出モータ109mの空切りを生じていないか等が判断される。そして、何らかの異常が発生していた場合は、異常(エラー)を報知する処理等を行い、エラー関連処理(S5200)を終了して、払出制御処理(S5000)に復帰する。また、払い出しに関する異常が発生していないと判断された場合は、エラー関連処理(S5200)を終了して、払出制御処理(S5000)に復帰する。
【0130】
図27(b)に示すように、払出制御基板240に搭載されたCPUは、賞球制御処理(S5500)を起動すると、獲得遊技球数(未払出遊技球数)が残っているか否か(払出カウンタのカウント値が正数であるか否か)を判断し(S5505)、残っていれば(S5505;YES)、払出モータ109mを回転させて遊技球を1球ずつ払い出し、この遊技球を払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)で検出して、その度に獲得遊技球数(未払出遊技球数)を「1」ずつ減算する(S5510、S5515)。そして、S5515の処理を実行すると一旦賞球払出処理(S5500)を終了して、賞球制御処理(S5000)に復帰する。この賞球制御処理(S5500)は、獲得遊技球数(未払出遊技球数)が「0」になるか、主制御基板200から新たな賞球コマンド(払出信号)が送信されるまで継続する。なお、球貸制御処理(S5600)は、遊技者の貸出操作に基づいて遊技球を貸し出すための処理であるが、その詳細な説明を省略する。
【0131】
B.特別図柄遊技処理(S300)
特別図柄遊技処理(S300)が起動すると、
図28に示すように、先ず、第1始動入賞若しくは第2始動入賞が発生したか否かが判断される(S301a、S301b)。そして、S301aの処理及びS301bの処理において否定的な判断がなされる場合(S301a;NO、S301b;NO)、そのまま
図29に示すS308以降の処理に移行する。
【0132】
CPU201によって第1始動入賞が発生したと判断されると(S301a;YES)、第1保留数が所定数未満(本実施例は4未満)であるか否かが判断される(S302a)。このS302aの処理において所定数未満と判断されると(S302a;YES)、これに応じて判定用乱数値を取得する(S303a)。この第1始動入賞に基づき取得される判定用乱数値は、主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレス(
図20に示す第1判定用乱数値メモリ202a)にシフトメモリ形式で記憶されるとともに、第1保留数が
図20に示す第1保留数メモリ202cに累積的に記憶(加算記憶)される(S303a)。ここで、S303aの処理で取得される判定用乱数値としては、(a)第1始動入賞に基づいて実行される第1当否判定に際して用いる当否判定乱数値、(b)第1特別図柄表示部62aに停止表示される当り図柄を決定するための図柄決定乱数値、(c)「図柄変動演出においてリーチを演出するか否かを決定するためのリーチ乱数値」等が含まれる。
【0133】
CPU201は、S303aの処理に続いて、S303aの処理で取得した当否判定用乱数値(特
図1大当り抽選乱数値)を用いて、第1当否判定(特
図1大当り抽選)に関する事前判定(第1事前判定)を行い、その結果を示す情報を第1事前判定結果メモリ(
図20で図示を省略)に記憶する(S304a)。そして、第1始動入賞時コマンドをサブ制御基板220に送信した後(S305a)、
図22のS308の処理に移行する。ここで、第1始動入賞時コマンドは前述のように、第1事前判定の結果を特定可能な情報と、第1始動入賞後の第1保留数等を示すコマンドである。但し、本実施例と異なり、第1始動入賞後の第1保留数を特定するコマンドと、その他の情報を特定するコマンドとを別コマンドとしてもよい。また、第1事前判定において第1当否判定の結果が大当りとなる場合には、この第1事前判定において、「特
図1図柄決定乱数値」を用いた「大当り図柄に関する事前判定」も実行する。この大当り図柄に関する事前判定の結果を特定可能な情報も第1始動入賞時コマンドに含まれる。
【0134】
ここで、第1始動入賞に基づいて取得される判定用乱数値と、第2始動入賞に基づいて取得される判定用乱数値とが記憶された状況の下では後者が優先的に処理される(後述する。)。また、
図28〜
図30においては、CPU201によって行われる処理のうち、第1始動入賞に基づいて実行される各処理(以下、特
図1に関する処理という。)と、第2始動入賞に基づいて実行される各処理(以下、特
図2に関する処理という。)のうち同様な処理に関しては、同一のステップ数(算用数字)を付している。そして、この同一のステップ数を付した処理は基本的には同一の処理であるため、以下の説明においては「特
図1に関する処理」及び「特
図2に関する処理」のうちの一方を説明し、他方の説明を省略することがある。なお、「特
図1に関する処理」については「ステップ数」にアルファベットの「a」を付し、「特
図2に関する処理」について「ステップ数」にアルファベットの「b」を付して区別することがある。
【0135】
また、CPU201によって第2始動入賞が発生したと判断されると(S301b;YES)、第2始動入賞に対応する第2特別図柄の保留数(第2保留数)が所定数未満(本実施例は4未満)であるか否かが判断される(S302b)。このS302bの処理において所定数未満と判断されると(S302b;YES)、これに応じて判定用乱数値を取得する(S303b)。この第2始動入賞に基づき取得される判定用乱数値は、主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレス(
図20に示す第2判定用乱数値メモリ202b)にシフトメモリ形式で記憶されるとともに、第2保留数が、
図20に示す第2保留数メモリ202dに累積的に記憶(加算記憶)される(S303b)。ここで、S303bの処理で取得される判定用乱数値としては、(a)第2始動入賞に基づいて実行される第1当否判定に際して用いる当否判定乱数値、(b)第2特別図柄表示部62bに停止表示される当り図柄を決定するための図柄決定乱数値、(c)「図柄変動演出においてリーチを演出するか否かを決定するためのリーチ乱数値」等が含まれる。
【0136】
CPU201は、S303bの処理に続いて、S303bの処理で取得した当否判定用乱数値(特
図2大当り抽選乱数値)を用いて、第2当否判定(特
図2大当り抽選)に関する事前判定(第2事前判定)を行い、その結果を示す情報を第2事前判定結果メモリ(
図20で図示を省略)に記憶する(S304b)。そして、第2始動入賞時コマンドをサブ制御基板220に送信した後(S305b)、
図22のS308の処理に移行する。ここで、第2始動入賞時コマンドは前述のように、第2事前判定の結果を特定可能な情報と、第2始動口17bへの始動入賞後の第2保留数等を示すコマンドである。但し、本実施例と異なり、第2始動口17bへの始動入賞後の第2保留数を特定するコマンドと、その他の情報を特定するコマンドとを別コマンドとしてもよい。また、第2事前判定において第2当否判定(特
図2大当り抽選)の結果が大当り(当選)となる場合には、この第2事前判定において、「特
図2図柄決定乱数値」を用いた「大当り図柄に関する事前判定」も実行する。
【0137】
S308の処理では、
図29に示すように、大当り遊技を実行しているか否かが判断される(S308)。具体的には、大当り遊技フラグ(
図30のS378の処理を参照)がセット(ONに設定)されていると、S308の処理において肯定的な判断がなされる。そして、CPU201は、大当り遊技を実行中であると判断すると(S308;YES)、特別図柄遊技処理を終了して
図24の遊技制御処理に復帰する。
【0138】
一方、S308の処理で、大当り遊技を実行中でないと判断すると(S308;NO)、特別図柄が変動中か否か(第1特別図柄および第2特別図柄のうちの何れかが変動中であるか否か)を判断する(S310)。そして、特別図柄が変動中でない場合は(S310;NO)、特別図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄で停止表示されているかの、いずれかであると考えられる。そこで、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S312)。そして、特別図柄が変動表示されておらず(S310;NO)、且つ、特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間中でもない場合は(S312;NO)、変動表示を開始できるか否かを判断する(S314a、S314b)。なお、本実施例では、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間を0.6秒とする。
【0139】
この「特別図柄の変動表示を開始できる条件」は「第1保留数」と「第2保留数」とのうちの何れかが「ゼロ」でないことである。そして、本実施例のCPU201は、「第2保留数」が「ゼロ」であるか否かを優先して判断する(S314b)。つまり、「第2保留数」が「ゼロ」でない場合、前述の第2判定用乱数値メモリから、最も古い判定用乱数値を読み出し(S316b)、第2特別図柄に関する当否判定処理(第2当否判定処理)を行う(S320b)。なお、S316bで読み出す判定用乱数値はS303bで取得したものであって、当否判定乱数値、図柄決定乱数値、リーチ乱数値等が含まれる。
【0140】
この第2当否判定処理(S320b)では、第2当否判定に関する処理が行われる。この第2当否判定処理(S320b)では遊技機1の遊技状態が高確率状態であるか否か(確変フラグがセットされているか否か)が判断され、高確率状態であるときには、「高確率用のデータテーブル」と「S316bの処理で読み出した判定用乱数値(大当り用判定乱数値)」とを用いて「大当り判定」が行われ、低確率状態であるときには、「低確率用のデータテーブル」と「S316bの処理で読み出した判定用乱数値(大当り用判定乱数値)」とを用いて「大当り判定」が行われる。
【0141】
CPU201は第2当否判定処理(S320b)に続いて特
図2図柄変動開始処理(S330b)を実行する。この特
図2図柄変動開始処理(S330b)においてCPU201は、第2当否判定処理(S320b)の結果に基づいて第2特別図柄の停止図柄(大当りの場合は大当り図柄、外れの場合は外れ図柄)を決定する処理と、変動パターンを乱数抽選によって決定する処理を行う。そして、第2特別図柄の変動表示を開始させた後、サブ制御基板220に向かって所定のコマンドを送信することで、特
図2図柄変動開始処理(S330b)が終了するため、CPU201は一旦特別図柄遊技処理(S300)を終了して
図24の遊技制御処理に復帰する。ここで、第2特別図柄の停止図柄(大当り図柄、外れ図柄)は第2特別図柄表示部62bに停止表示される図柄であり、前述のS316bの処理で読み出した判定用乱数値に含まれる図柄決定乱数値を用いて決定される。また、第2特別図柄の変動表示を開始させた後にサブ制御基板220に向かって送信されるコマンドは「変動パターン指定コマンド」や「特別図柄停止情報指定コマンド」である。なお、特
図2図柄変動開始処理(S330b)で決定する変動パターンによって第2特別図柄の変動時間が特定され、後述する特
図1図柄変動開始処理(S330a)で決定する変動パターンによって第1特別図柄の変動時間が特定される。
【0142】
図29に戻り、「第2保留数」が「ゼロ」であるとともに(S314b;YES)、「第1保留数」が「ゼロ」でない場合(S314a;NO)には、第1判定用乱数値メモリから最も古い判定用乱数値を読み出し(S316a)、第1当否判定処理を行う(S320a)。そして、特
図1図柄変動開始処理(S330a)を行った後、特別図柄遊技処理(S300)を終了して、
図24の遊技制御処理に復帰する。ここで、S320aの処理として行われる第1当否判定処理はS320bの処理として行われる第2当否判定処理と同様に行われ、S330aの処理として行われる特
図1図柄変動開始処理はS330bの処理として行われる特
図2図柄変動開始処理と同様に行われる。この特
図1図柄変動開始処理(S330a)においてCPU201は、第1当否判定処理(S320a)の結果に基づいて第1特別図柄の停止図柄(大当りの大当り図柄、外れの場合は外れ図柄)を決定する処理と、変動パターンを乱数抽選によって決定する処理を行う。そして、第1特別図柄の変動表示を開始させた後、サブ制御基板220に向かって所定のコマンドを送信することで、特
図1図柄変動開始処理(S330a)が終了するため、CPU201は一旦特別図柄遊技処理(S300)を終了して
図24の遊技制御処理に復帰する。
【0143】
なお、上述のように、特
図2図柄変動開始処理(S330b)および特
図1図柄変動開始処理(S330a)において、変動パターンを乱数抽選によって決定する処理を行うが、その際、変動時間短縮機能(変動短縮フラグ)が機能しているか否か(セットされているか否か)によって、異なる変動パターン決定用テーブルが用いられる。つまり、変動時間短縮機能(変動短縮フラグ)が機能していない場合(セットされていない場合)には、変動時間短縮機能非作動時の変動パターン決定用テーブルを用いた乱数抽選によって、通常の変動時間(例えば、15秒)が特定される「通常変動パターン」が設定される。また、変動時間短縮機能(変動短縮フラグ)が機能(セット)されている場合には、変動時間短縮機能作動時の変動パターン決定用テーブルを用いた乱数抽選によって、通常の変動時間よりも短い(例えば、5秒)が特定される「短縮変動パターン」が設定される。このように、S330b若しくはS330aの処理で決定される変動パターンのうち、変動短縮機能が作用しているときに選択される変動パターンによって特定される変動時間は、変動短縮機能が作用していないときに選択される変動パターンによって特定される変動時間に比べて短くされる可能性が高くされる。
【0144】
また、変動時間短縮機能非作動時の変動パターン決定用テーブルと、変動時間短縮機能作動時の変動パターン決定用テーブルとにはそれぞれ複数の変動パターンが乱数に対応づけて記憶されている。更に、変動時間短縮機能非作動時の変動パターン決定用テーブルと、変動時間短縮機能作動時の変動パターン決定用テーブルとしては、当否判定(S320b、320a)の結果が大当りである場合の大当り用の変動パターン決定用テーブルと、外れである場合の外れ用の変動パターン決定用テーブルとがそれぞれ用意されている。そして、大当り用の変動パターン決定用テーブルには、リーチ演出を行うための変動パターン(リーチ演出を行う上で十分な変動時間を特定する)のみが複数記憶されている。更に、外れ用の変動パターン決定用テーブルとしては、「リーチ演出の有無」と、「変動開始時の保留数」を考慮した変動パターンテーブルが用意されている。
【0145】
つまり、当否判定(S320b、320a)の結果が外れである場合には、S303b若しくはS303aの処理において取得される判定用乱数値からリーチ乱数値を読み出し、この読み出したリーチ乱数値に基づいてリーチ演出の実行の有無が決定される。そして、リーチ演出を行う場合には、リーチ演出を行うときに使用する変動パターンを記憶した変動パターン決定用テーブルのうち、変動開始時の保留数に対応するものが用いられ、リーチ演出を行わない場合には、リーチ演出を行わないときに使用する変動パターンを記憶した変動パターン決定用テーブルのうち、変動開始時の保留数に対応するものが用いられる。このとき、リーチ演出を行わないと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間は、リーチ演出を行うと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間に比べて短くされる。また、特別図柄の保留数が少ない場合には、長めの変動時間を特定する変動パターンが選択され、保留数が多い場合には短めの変動時間を特定する変動パターンが選択される。
【0146】
次に、特別図柄遊技処理(S300)のS310の処理(
図29参照)で、第1特別図柄又は第2特別図柄が変動中であると判断された場合は(S310;YES)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動表示が開始されていることとなる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S341)。その際、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S341;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を終了して
図24の遊技制御処理に復帰する。
【0147】
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S341;YES)、変動している第1特別図柄又は第2特別図柄を停止させ(S344)、停止図柄を表示するとともに、図柄停止コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S346)。なお、図柄停止コマンドは、サブ制御基板220を介して演出表示制御基板222に転送される。そして、特別図柄を停止表示させる停止表示時間を設定した後(S348)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S350)。
【0148】
S350の処理で、特別図柄の停止表示時間が経過していないと判断されれば(S350;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を終了して、
図24の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S350;YES)、特別図柄表示部(62a若しくは62b)に大当り図柄が停止表示されたか否かを判断する(
図30のS352)。
【0149】
図30のS352の処理で肯定的な判断がなされると、主制御基板200のCPU201は、後述する「大当り遊技」の終了時に参照するためのバッファに、現在の遊技進行状況を示す情報をセット(記憶)する(S354)。具体的には、「大当りの種類(確変大当り、通常大当り)」、「遊技状態フラグの状態」をセット(記憶)する(S354)。また、主制御基板200に搭載されたRAM202の特定領域がS354の処理で用いるバッファとして機能する。ここで、「遊技状態フラグ」とは「遊技機1の遊技状態」を示すフラグ、具体的には、「変動短縮フラグ」、「開放延長フラグ」などであり、S354の処理においては、これらのフラグが「ON」「OFF」の何れに設定されているかを示すデータ(現在の遊技状態を示すデータ)がセットされる。
【0150】
なお、「変動短縮フラグ」は特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮される状態(短縮変動状態)にあること(時短機能が作動していること)を示すフラグである。また、「開放延長フラグ」は第2始動口17b(普通電動役物17d)の開放時間が延長される状態にあること(開放延長機能が作動していること)を示すフラグである。更に、後述する「確変フラグ」は特別図柄の当否判定の結果が大当りとなる確率が高確率に設定される状態(高確率状態)にあること(確率変動機能が作動していること)を示すフラグである。なお、本実施例では、「変動短縮フラグ」および「開放延長フラグ」のON/OFF切り換わりタイミングが同一となっており、両フラグは一体的に扱われるものである。このように短縮変動状態であるときは開放延長状態でもあり、短縮変動状態が終了すると、それとともに開放延長状態も終了する。
【0151】
主制御基板200のCPU201はS354の処理に続いて、発生させる大当りの種類に応じて大入賞装置31の開閉パターンをセットする処理を行う(S370)。つまり、「16R確変大当り」若しくは「16R通常大当り」を発生させる場合には、大入賞口31aの開放限度時間を「30秒」とするラウンド遊技を「16ラウンド」行う開閉パターンがセットされ、「4R確変大当り」若しくは「4R通常大当り」を発生させる場合には、大入賞口31aの開放限度時間を「30秒」とするラウンド遊技を「4ラウンド」行う開閉パターンがセットされる。そして、S370の処理に続いて、大当り遊技フラグをセット(ONに設定)する処理を行う(S378)。この「大当り遊技フラグ」のセットにより、大当り遊技実行手段が作動を開始して遊技機1の遊技状態は「大当り遊技状態」に移行する。
【0152】
S378の処理に続いてS380以降の処理に移行する。ここで、S378の処理で「大当り遊技フラグ」がセットされると、大当り遊技実行手段が作動を開始して遊技機1の遊技状態は「大当り遊技状態」に移行するが、本遊技機1では、「大当り遊技フラグ」の設定中(大当り遊技実行手段の作動中)は、確変機能、時短機能、開放延長機能は働かないこととしている。このため、S380以降の一連の処理を以下のように行った後、特別図柄遊技処理(S300)を終了する。具体的には、S380の処理において、確変フラグがセット(ONに設定)されているか否かを判断し(S380)、セットされていない場合は(S380;NO)、そのままS384の処理に移行し、セットされている場合は(S380;YES)、確変フラグを解除(OFFに設定)する処理(S382)を行った後、S384の処理に移行する。なお、S382の処理によって大当り確率が通常確率に設定される。
【0153】
S384の処理においては、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されているか否かを判断し、セットされていない場合は(S384;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて
図24の遊技制御処理に復帰する。一方、S384の処理において、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されていると判断される場合は(S384;YES)、変動短縮フラグと開放延長フラグとを解除(OFFに設定)した後(S386、S387)、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて
図24の遊技制御処理に復帰する。そして、
図24の遊技制御処理に復帰すると後述する大当り遊技処理を行う。
【0154】
次に、
図30のS352の処理で否定的な判断がなされる場合の処理について説明する。つまり、第1特別図柄表示部62a若しくは第2特別図柄表示部62bにおいて停止表示された特別図柄が「外れ図柄」の場合には(S352;NO)、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されているか否かが判断される(S398)。そして、変動短縮フラグがセットされていない(OFFに設定されている)場合には(S398;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて
図24の遊技制御処理に復帰する。一方、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されている場合(S398;YES)、変動短縮カウンタの値を「−1」した後(S400)、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったか否かを判断する(S404)。そして、「ゼロ」になっていない場合には(S404;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて
図24の遊技制御処理に復帰する。
【0155】
これに対して、S404の処理で変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったと判断される場合には(S404;YES)、遊技機1の遊技状態が短縮変動状態から通常変動状態に切り換わることになる。このため、変動短縮フラグを解除(OFFに設定)する処理(S410)と、開放延長フラグを解除(OFFに設定)する処理(S416)とを行った後、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて
図24の遊技制御処理に復帰する。ここで、「変動短縮カウンタ」は変動短縮状態で行われる特別図柄の変動表示の上限実行回数を示すものであり、その値が「ゼロ」になると、今回の特別図柄の変動表示で短縮変動状態(特別図柄の変動表示を通常よりも短くされた変動時間で行う状態)が終了して、次回の変動表示から通常変動状態(特別図柄の変動表示を通常の変動時間で行う状態)に切り換わり、次回以降の特別図柄の変動表示は通常変動状態で行われる。
【0156】
C.大当り遊技処理(S600)
主制御基板200に搭載されたCPU201が、
図24の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、
図31に示す大当り遊技処理(S600)において「大当り遊技フラグ」がセットされていると判断すると(S602;YES)、大当り遊技の実行に係る処理が行われる。
【0157】
図31は、大当り遊技処理(S600)の流れを示すフローチャートである。大入賞口31aが開放されると、前述のように、所定の開放時間が経過するか、所定数の遊技球が大入賞口31aに入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開放状態となる。ここで、閉鎖状態(入球不能状態)の大入賞装置31が開放状態(入球可能状態)となり、再び開放状態となることを内容とする遊技を「単位動作」と称することとする。この単位動作を所定回数(16回若しくは4回)行うと、所定のエンディング期間を経て大当り遊技が終了する。そして、大当り遊技が終了すると、特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の変動表示が実行可能な状態となる。以下、この
図31および
図32を参照しながら、詳細な処理内容について説明する。
【0158】
大当り遊技(大当り遊技A若しくは大当り遊技B)を開始すると、先ず、大入賞口31aが開放中か否かを判断する(S604)。ここで、大入賞口31aは「大当り遊技状態ではない通常の遊技状態」では閉鎖されており、従って、大当り遊技の開始直後には大入賞口31aは閉鎖状態となっている。このため、大当り遊技の開始直後は、大入賞口31aは開放中ではないと判断され(S604;NO)、続いて、大当り遊技の終了条件が成立したか否かが判断される(S612)。具体的には「大当り遊技開始後に実行された単位動作の回数」が対応する大当り遊技の設定回数に達したか否かを判断する(S612)。
【0159】
但し、大当り遊技が開始された直後は大当り遊技の終了条件が成立しないため、S612の処理では必然的に否定的な判断がなされる(S612;NO)。このため、S614の処理に移行してインターバル時間(例えば、2秒)が経過したか否かを判断する(S614)。具体的には、大入賞口31aの閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S614)。ここで、大入賞口31aの閉鎖時間(インターバル時間)とは、単位動作と単位動作との間で大入賞口31aが閉鎖状態となっている時間である。そして、大当り遊技が開始された直後には大入賞口31aは閉鎖状態となっているから、必然的に大入賞口の閉鎖時間が経過していると判断され(S614;YES)、大入賞口31aを開放させた後(S616)、
図31に示した大当り遊技処理を一旦終了して
図24の遊技制御処理に復帰する。
【0160】
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、
図24に示す一連の各種処理を行った後、再び大当り遊技処理(S600)を開始する。この際、前述のように、
図24に示した遊技制御処理を主制御基板200のCPU201が一回実行するために要する時間は約4msecとなっている。従って、
図31に示す大当り遊技処理(S600)も約4msec毎に繰り返して実行される。そして、S604の処理で肯定的な判断がなされると、大入賞口31aの開放時間(30秒)が経過したか否かを判断する(S606)。
【0161】
大入賞口31aの開放時間が経過していれば(S606;YES)、大入賞口31aを閉鎖した後(S610)、
図31に示した大当り遊技処理(S600)を抜けて
図24の遊技制御処理に復帰する。一方、大入賞口31aの開放時間が経過していない場合は(606;NO)、大入賞口31aに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S608)。そして、遊技球の入球数が規定数に達した場合も(S608;YES)、大入賞口31aを閉鎖する(S610)。つまり、遊技球の入球数が規定数に達すると開放時間の経過を待たずに大入賞口31aを閉鎖する。
【0162】
大入賞口31aの開放時間が経過せず(S606;NO)、入球数が規定数に達していない場合は(S608;NO)、大入賞口31aを開放させたまま、
図31の大当り遊技処理を抜けて
図24の遊技制御処理に復帰する。
【0163】
遊技機1の遊技状態が「大当り遊技状態」である場合、
図24の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31aの開放時間が経過するか(S606;YES)、若しくは、大入賞口31aに所定数の遊技球が入球して(S608;YES)、大入賞口31aが閉鎖される(S610)。こうして、1回の単位動作を終了する。
【0164】
遊技機1の遊技状態が「大当り遊技状態」にあるときに、再度、大当り遊技処理(S600)が実行され、S604において大入賞口31aが閉鎖中と判断されると(S604;NO)、当該「大当り遊技」の終了条件が成立したか否かが判断される(S612)。ここで、「大当り遊技」が「大当り遊技A」の場合は、その当り遊技中に実行した単位動作の回数(ラウンド数)が「16」に達したか否かが判断され、「大当り遊技B」の場合は、その当り遊技中に実行した単位動作の回数(ラウンド数)が「4」に達したか否かが判断される。そして、単位動作の回数(ラウンド数)が設定回数に到達していなければ(S612;NO)、インターバル時間(例えば、2秒)が経過したことを確認した後(S614;YES)、再び大入賞口31aを開放状態とする新たな単位動作を実行する(S616)。一方、S612の処理において、当該「大当り遊技」の終了条件が成立したと判断される場合(S612;YES)、以下に示す「大当り遊技終了時処理(S800)」を行った後、大当り遊技処理(S600)を終了し、
図24の遊技制御処理に復帰する。次に、
図32を用いて大当り遊技終了時処理(S800)」について説明する。
【0165】
この大当り遊技終了時処理(S800)が起動すると、CPU201は、
図32に示すように、大当り遊技フラグを解除(OFFに設定)した後(S805)、前述の「大当り終了時参照用バッファ(
図30のS354を参照)」を参照することによって、今回の大当り遊技の前提となった大当り図柄(以下、「今回の当り図柄」という。)の種類に関する情報を取得し(S810)、この情報に基づいて、大当り遊技終了後の遊技状態を設定する処理等を行う。まず、今回の大当り図柄(
図24のS344の処理で停止した図柄)が、確変大当り図柄であるか否かを判断する(S820)。ここで、本実施例において「確変大当り図柄」は「4R確変大当りの発生を示す大当り図柄」若しくは「16R確変大当りの発生を示す大当り図柄」である。
【0166】
今回の大当り図柄が確変大当り図柄でない場合(S820;NO)、すなわち、今回の大当り図柄が通常大当り図柄である場合には、CPU201は変動短縮カウンタに「100」をセットする処理(S840)と、変動短縮フラグをセットする処理(S850)と、開放延長フラグをセットする処理(S855)とを行った後、大当り遊技終了時処理(S800)を終了する。
【0167】
また、今回の大当り図柄が確変大当り図柄である場合にも(S820;YES)、確変フラグをセット(ONに設定)する(S822)。そして、CPU201は変動短縮カウンタに「10,000」をセットする処理(S835)と、変動短縮フラグをセットする処理(S850)と、開放延長フラグをセットする処理(S855)とを行った後、大当り遊技終了時処理(S800)を終了する。
【0168】
次に、
図33を用いて大当り遊技関連コマンド出力処理(S900)の概要を説明する。大当り遊技関連コマンド出力処理(S900)は、大当り遊技の進行に伴って行われるもので、特別図柄遊技処理(S300)および大当り遊技処理(S600)のサブルーチンとして、主制御部200A(主制御基板200に搭載されたCPU201)が行う処理である。この処理では、大当り遊技の進行に伴って、後述する「大当り遊技演出処理」(
図38を参照)の実行を制御するためのコマンドがサブ制御部220Aに向けて送信される。
【0169】
図33に示すように、主制御基板200に搭載されたCPU201は、大当り遊技の開始タイミングが到来したと判断すると(S910;YES)、「大当り遊技開始指定コマンド」をサブ制御基板220に向かって送信した後(S920)、大当り遊技関連コマンド出力処理(S900)を終了する。ここで、大当り遊技の開始タイミングは、主制御基板200のCPU201が「大当り遊技フラグ」をONに設定するとともに大入賞口の開放態様をセットするタイミング(
図30のS378を参照)で到来する。なお、「大当り遊技開始指定コマンド」は、サブ制御部220Aに「大当り遊技の開始を示す演出(所謂「ファンファーレ演出」)」の開始を指示するためのコマンドである。
【0170】
主制御基板200に搭載されたCPU201が、大当りラウンドの開始タイミングが到来したと判断すると(S910;NO、S925;YES)、「開放指定コマンド(ラウンド数指定コマンド)」をサブ制御基板220に向かって送信した後(S930)、大当り遊技関連コマンド出力処理(S900)を終了する。つまり、本実施例では、大当りの種類によって、「大当りラウンドの実行回数」が「4回」若しくは「16回」となっている。このため、CPU201は、発生した大当りの種類に応じて「開放指定コマンド(ラウンド数指定コマンド)」、つまり「開始される各ラウンド数を指定するラウンド数指定コマンド」を、「4回」若しくは「16回」出力する。なお、第1大当りラウンド(大当り遊技において最初に実行される大当りラウンド)の開始タイミングは、主制御基板200のCPU201が
図31に示す大当り遊技処理において最初の「S616の処理(第1ラウンドのS616の処理)」行うタイミングで到来する。
【0171】
また、CPU201が、大当りラウンドの終了タイミングが到来したと判断すると(S910;NO、S925;NO、S935;YES)、「大入賞口閉鎖指定コマンド(ラウンド終了コマンド)」をサブ制御基板220に向かって送信した後(S940)、大当り遊技関連コマンド出力処理(S900)を終了する。「大入賞口閉鎖指定コマンド(ラウンド終了コマンド)」は、サブ制御部220Aに「インターバル表示」を開始させるためのコマンドである。なお、大当りラウンドの終了タイミングは、CPU201が
図31に示す大当り遊技処理の「S610の処理」を行うタイミングで到来する。
【0172】
CPU201が、大当り遊技終了タイミングが到来したと判断すると(S910;NO、S925;N0、S935;N0、S945;YES)、「大当り遊技終了指定コマンド」をサブ制御基板220に向かって送信した後(S950)、大当り遊技関連コマンド出力処理(S900)を終了する。ここで、大当り遊技終了タイミングは、主制御基板200のCPU201が「大当り遊技の終了条件」の成立を判断するタイミング(
図31のS612;YES)で到来する。なお、サブ制御部220Aに「大当り遊技終了指定コマンド」が送信されると、サブ制御部220Aは演出表示装置27等において「大当り終了演出(大当りエンディング演出)」を実行する(
図28のS1850を参照)。
【0173】
(5)演出制御処理(S980)
次に、
図34を用いて、サブ制御部220A(サブ制御基板220のCPU220a)が、演出表示制御部222Aと協働して行う「演出制御処理(S980)」の概要について説明する。なお、
図34には、演出制御処理を構成する各処理のうちで主要な処理のみを図示している。この演出制御処理(S980)では、保留発生時処理(S1100)、阻止動作開始処理(S1200)、図柄変動演出処理(S1300)、保留消化時処理(S1600)、大当り遊技演出処理(S1800)、阻止動作終了処理(S1900)などの主要な処理が繰り返し実行される。また、
図34の一周の処理に要する時間は、ほぼ2msecとなっているため、これらの処理は約2msec毎に繰り返し実行される。
【0174】
a.保留発生時処理(S1100)
保留発生時処理(S1100)においては、
図35(a)に示すように、サブ制御基板220のCPU220aが始動入賞時コマンドを受信すると(S1105;YES)、この始動入賞時コマンドによって特定される事前判定(第1事前判定若しくは第2事前判定)の結果を示す情報と、保留数に関する情報等を記憶し(S1110)、保留図柄を表示する処理を行った後(S1120)、保留発生時処理(S1100)を終了する。ここで、S1110の処理において、第1始動入賞に基づく始動入賞時コマンドを受信すると(S1105;YES)、「第1事前判定の結果に関する情報」を第1事前判定結果情報メモリ221bにシフトメモリ形式で記憶し、第1保留数情報メモリ223bに記憶されている第1保留数の値を「+1」する。また、第2始動入賞に基づく始動入賞時コマンドを受信すると(S1105;YES)、「第2事前判定の結果に関する情報」を第2事前判定結果情報メモリ222bに記憶し、第2保留数情報メモリ224bに記憶されている第2保留数の値を「+1」する。
【0175】
b.阻止動作開始処理(S1200)
図36(a)に示すように阻止動作開始処理(S1200)を起動すると、サブ制御基板220のCPU220aは、始動入賞時コマンドを受信したか否かを判断する(S1205)。そして、始動入賞時コマンドを受信した場合には(S1205;YES)、当該受信した始動入賞時コマンドによって特定される事前判定(第1事前判定若しくは第2事前判定)の結果を示す情報に基づいて、今回発生した保留が当り保留であるか否かを判断する(S1210)。そして、当り保留でなければ(S1210;NO)、そのまま阻止動作開始処理(S1200)を終了する。これに対して、当り保留であれば(S1210;YES)、ソレノイド5L(ソレノイドコイル)への通電を行い、可動部材5Kをプランジャ5Nと一体で上昇させ、可動部材5Kの高さ位置を「上昇位置」とし、貯留部5Gの底部5Tの上方に突出させる。これにより、
図5(a)に示すように、貯留部5Gにおいて可動部材5Kの左側から到達する遊技球は、可動部材5Kによってせき止められ、可動部材5Kの右側(ひいては、遊技球整列部5f)に到達することができなくなる。
【0176】
c.図柄変動演出処理(S1300)
図柄変動演出処理(S1300)においては、
図37に示すように、サブ制御基板220のCPU220aが、図柄変動開始時のコマンドを受信すると(S1305;YES)、S1310以降の処理が実行される。
【0177】
CPU220aは、受信した「特別図柄停止情報指定コマンド」に基づき、主制御部200Aにおいて実行された当否判定の結果を判断することができる。そして、当否判定の結果が大当りである場合には(S1310;YES)、受信した変動パターン指定コマンドに基づき、大当り用の演出パターンを設定する処理を行い(S1320)、当否判定の結果が外れである場合には(S1310;NO)、受信した変動パターン指定コマンドに基づき、外用の演出パターンを設定する処理を行う(S1325)。
【0178】
S1320およびS1325の処理では、受信した変動パターン指定コマンドに基づいて設定される演出パターンを設定する。そして、1320の処理で決定された演出パターンによって、演出表示装置27の表示画面27aで実行される演出表示の態様やリーチ演出の態様、演出図柄の変動表示の開始から終了(確定表示)までの表示パターンが決定される。また、S1325の処理で決定された演出パターンによって、演出表示装置27の表示画面27aで実行される演出表示の態様、リーチ演出の実行有無、リーチ演出を実行する場合のリーチ演出態様等、演出図柄の変動表示の開始から終了(確定表示)までの表示パターンが決定される。ここで、大当り用の演出パターンが設定されると、図柄変動演出の途中でリーチ表示がされ、その後、リーチ演出(発展型のリーチ演出、ノーマルリーチ演出)が実行される。そして、大当り用の演出パターンにおいては、図柄変動演出の実行時間が長くなり易い。
【0179】
CPU220aはS1320の処理若しくはS1325の処理を行うと、演出図柄の停止図柄(確定表示する図柄)をセットする処理を行った後(S1345)、S1350の処理に移行する。ここで、S1320の処理を経て実行されるS1345の処理では、「大当り停止図柄」として「大当りを確定表示する演出図柄」の具体的な態様等が選択・セットされ、S1325の処理経て実行されるS1345の処理では、「外れ停止図柄」として「外れを確定表示する演出図柄」の具体的な態様等が選択・セットされる。
【0180】
S1350の処理では、S1320の処理若しくはS1325の処理で決定した「演出パターン」と、S1345の処理で決定した「演出図柄の停止図柄」を指定するコマンド(演出表示詳細コマンド)を演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に送信し、演出図柄の変動表示を開始させる(S1350)。この後、S1390の処理において、CPU220aは、主制御部200A(主制御基板200)から送信される図柄停止コマンドを受信したと判断すると(S1390;YES)、受信した図柄停止コマンドを演出表示制御部222Aに転送し、演出表示装置27における演出図柄の変動表示を停止させ(S1395)、図柄変動演出を終了させる。
【0181】
d.保留消化時処理(S1600)
保留消化時処理(S1600)においては、
図35(b)に示すように、サブ制御基板220のCPU220aが図柄変動開始時コマンドを受信すると(S1605;YES)、保留図柄によって示す保留数を「−1」する処理(S1630)を行い、S1650の処理に移行する。そして、S1650の処理では、当該消化される保留に対応する事前判定(第1事前判定若しくは第2事前判定)の結果を示す情報を対応する事前判定結果情報メモリ(221b、222b)から消去するとともに当該事前判定結果情報メモリの下位の記憶領域に記憶されている事前判定の結果に関する情報を1個上位の記憶領域にシフトさせる処理を行う。また、対応する保留数情報メモリ(223b、224b)に記憶されている保留数の値を「−1」する処理を行い、保留消化時処理(S1600)を終了する。
【0182】
e.大当り遊技演出処理(S1800)
大当り遊技演出処理(S1800)は、本遊技機1が大当り遊技を行うときになされるものである。この大当り遊技演出処理(S1800)では、
図38に示すように「大当り遊技開始指定コマンド」を受信すると(S1805;YES)、ファンファーレ演出を実行する(S1810)。ここで、本遊技機1においては、大当りを生ずると、主制御部200Aからサブ制御部220Aに大当り遊技開始指定コマンドが送信される。つまり、主制御部200Aは、大入賞口31aの開放態様をセットし、「大当り遊技フラグ」をセット(ONに設定)するタイミングで(
図30のS370、378)、サブ制御部220Aに大当り遊技開始指定コマンドを送信する。
【0183】
また、サブ制御部220Aは、ラウンド開始指定コマンドを受信する度に、演出表示装置27の表示画面27a等においてラウンド演出を実行する。つまり、大当りが発生した場合、主制御部200Aは大当り遊技開始指定コマンドを送信した後、大当りラウンドの開始タイミングで「ラウンド開始指定コマンド」をサブ制御部220Aに送信する。これにより、サブ制御部220Aは「第1ラウンドの開始を指定するラウンド開始指定コマンド」を受信することになるため(S1815)、表示画面27aにおいて「1ラウンドであることを示す演出」を行う(S1820)。そして、以降のラウンドを開始する場合にも、サブ制御部220Aはラウンド開始指定コマンドを受信するため、サブ制御部220Aはラウンド開始指定コマンドを受信する度に(S1815;YES)、演出表示装置27の表示画面27a等においてラウンド演出を実行する(S1820)。
【0184】
また、前述のように、主制御部200Aは、大当りラウンドを終了させるタイミングでサブ制御部220Aに向かって「ラウンド終了指定コマンド」を送信する。そして、サブ制御部220Aは、この「ラウンド終了コマンド」を受信すると(S1830;YES)、実行中のラウンド演出を終了するとともに、演出表示装置27等において「インターバル演出」を開始する(S1835)。更に、サブ制御部220Aは、後続する「ラウンド開始指定コマンド」を受信する毎に「インターバル演出」を終了して「ラウンド演出」を開始し、後続する「ラウンド終了コマンド」を受信する毎に「インターバル演出」を開始する。このように、「ラウンド演出」は「インターバル演出)」を挟みつつ、最終ラウンドに係る「ラウンド演出」を行うまで繰り返される。
【0185】
このように、大当り遊技演出を実行するなか、最終ラウンドが終了するタイミングで主制御部200Aからサブ制御部220Aに向かって「大当り遊技終了指定コマンド」が送信されると、サブ制御部220Aは、その「大当り遊技終了指定コマンド」を受信する(S1840;YES)。そして、「大当り遊技終了指定コマンド」を受信したサブ制御部220Aは、エンディング演出を実行した後(S1850)、大当り遊技演出(S1800)を終了する。
【0186】
f.阻止動作終了処理(S1900)
図36(b)に示すように阻止動作終了処理(S1900)を起動すると、サブ制御基板220のCPU220aは可動部材5Kが阻止動作を行っているか否かを判断する(S1905)。そして、可動部材5Kが阻止動作を行っていない場合(S1905;NO)、つまり、
図4に示すように可動部材5Kの高さ位置が「下降位置」にある場合(S1905;NO)、そのまま阻止動作開始処理(S1900)を終了し、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。
【0187】
これに対して、可動部材5Kが阻止動作を行っている場合には(S1905;YES)、大当り遊技の第1ラウンドを開始するタイミングか否か、つまり、開始する大当り遊技において大入賞口31aを初めて開放するタイミングか否かを判断する(S1910)。ここで、CPU220aは、「第1ラウンドの開始を指定するラウンド開始指定コマンド」を受信することによって「第1ラウンドの開始タイミングになった」と判断することができる。そして、大当り遊技の第1ラウンドを開始するタイミングとなっていない場合には(S1910;NO)、そのまま阻止動作開始処理(S1900)を終了し、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。
【0188】
一方、大当り遊技の第1ラウンドを開始するタイミングとなった場合には(S1910;YES)、可動部材5Kによる阻止動作を終了させた後(S1915)、阻止動作開始処理(S1900)を終了し、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。つまり、ソレノイド5L(ソレノイドコイル)への通電を停止し、プランジャ5Nと下降させ、可動部材5Kの高さ位置を「上昇位置」から「下降位置」に戻し、可動部材5Kの上面部51Kと、底部5Tにおいて孔部5Pの周囲に位置する部位を略面一とする。これにより、貯留部5Gにおいて可動部材5Kの右側から孔部5Pに到達する遊技球は上面部51Kを通過して(転動して)、遊技球整列部5fに到達することができるようになる。
【0189】
(6)実施例の効果
本遊技機1では、当否判定の結果が特定結果となることに基づいて誘導通路の遊技球のうちの少なくとも一部の遊技球を、発射ユニット90(発射手段)に供給するのを阻止する状態とするため、大当り遊技の開始時に持ち球が「ゼロ」になることを極力防止可能である。従って、大当り開始前に存在する(当り変動中に残存している)持ち球が、当該変動中に無駄に減少することを防ぎ、大当り遊技の開始後において、大当り遊技開始前から存在する持ち球を用いて(新たな投資をすることなく)、大当り遊技を円滑に進行させることができる。このため、折角、大当り遊技が開始したのにもかかわらず、遊技球の貸出を受けるという行為、つまり、遊技興趣の低下を招く行為を行う可能性を排除できる。
【0190】
また、本遊技機1では、当否判定の結果が特定結果になることを事前判定すると、当該事前判定に係る判定用乱数値(取得情報)に基づく識別情報(特別図柄、演出図柄)の変動表示が開始される以前に、可動部材5Kが阻止動作を行うため(特定手段を第2状態とするため)、当り変動中(当否判定の結果が大当りとなる識別情報の変動表示中)は、持ち球の減少を抑制することができ、大当り遊技の開始時に持ち球が「ゼロ」になることを極力防止できる。また、可動部材5Kが阻止動作を開始することで(特定手段の状態が第1状態から第2状態に変化することで)、大当り遊技が近く開始されることが事前に報知されるため、可動部材5K(特定手段)の動作が予告演出としても機能し、遊技興趣を高めることができる。
【0191】
次に、実施例1の変形例について説明する。実施例1では、当り保留の発生時に可動部材5Kが阻止動作を開始する態様を例示したが、阻止動作の開始タイミングは実施例1に示す態様に限定されない。例えば、
図39(a)に示す変形例1のように、当り変動の開始時(大当りを報知するための図柄変動演出の開始時)に、可動部材5Kが阻止動作を開始することとしてもよい。
【0192】
図39(a)に示すように変形例1の阻止動作開始処理(S1200)を起動すると、サブ制御基板220のCPU220aは、図柄変動開始時のコマンドを受信したか否かを判断する(S1206)。そして図柄変動開始時のコマンドを受信した場合には(S1206;YES)、受信した「特別図柄停止情報指定コマンド」に基づき、主制御部200Aにおいて実行された当否判定の結果が大当りであると判断する(S1211)。つまり、今回開始する図柄変動演出が当り変動であるか否かを判断する(S1211)。
【0193】
そして、当り変動(当否判定の結果が大当り)でなければ(S1211;NO)、そのまま阻止動作開始処理(S1200)を終了する。これに対して、当り変動(当否判定の結果が大当り)であれば(S1211;YES)、ソレノイド5L(ソレノイドコイル)への通電を行い、可動部材5Kをプランジャ5Nと一体で上昇させ、可動部材5Kの高さ位置を「上昇位置」とし、貯留部5Gの底部5Tの上方に突出させる。これにより、貯留部5Gにおいて可動部材5Kの左側から到達する遊技球は、可動部材5Kによってせき止められ、可動部材5Kの右側に到達することができなくなる。
【0194】
実施例1では当り保留を発生することによって可動部材5Kが阻止動作を開始する態様を例示し、変形例1では当り変動が開始することによって可動部材5Kが阻止動作を開始する態様を例示したが、可動部材5Kが阻止動作を開始するための条件に更に他の条件が加重されてもよい。例えば、
図40(a)および(b)に示す変形例2のように、貯留部5Gに貯留された遊技球の量が所定量以下(例えば、100個以下)となったことを検知するための検出手段(センサS1)を設け、遊技球の量が所定量以下となった場合には可動部材5Kが阻止動作を開始するが、所定量を超えている場合には可動部材5Kが阻止動作を開始しないこととしてもよい。なお、このセンサS1としては、発光部S11と受光部S12とを備える光学センサSを例示できる。この場合、発光部S11から発光される光が遊技球で遮られ、受光部S12に到達しない場合には、遊技球の量が所定量を超えると判断でき、発光部S11から発光される光が遊技球で遮られることなく、受光部S12に到達する場合には、遊技球の量が所定量以下と判断できる。
【0195】
次に、
図39(b)を用いて、変形例2の阻止動作開始処理(S1200)について説明する。変形例2の阻止動作開始処理(S1200)においては、S1210までの処理を実施例1と同様に行う。そして、S1210の処理で肯定的に判断されると(S1210;YES)、貯留部5Gに貯留されている遊技球の個数(貯留数)がN個以下(例えば、100個以下)となったか否かを判断する(S1213)。そして、貯留部5Gに貯留されている遊技球の個数(貯留数)がN個を超える場合には(S1213;NO)、可動部材5Kの阻止動作を開始することなく、阻止動作開始処理(S1200)を終了する。
【0196】
これに対して、貯留部5Gに貯留されている遊技球の個数(貯留数)がN個以下の場合には(S1213;YES)、可動部材5Kの阻止動作を開始してから阻止動作開始処理(S1200)を終了する。この変形例2においては、貯留部5Gに十分な個数の遊技球が貯留されている場合には、誘導通路の遊技球をそのまま発射装置ユニット90に誘導し続けても、発生した当り保留にかかる大当りの開始時に持ち球が「ゼロ」になる可能性が低い。これに対して、貯留部5Gに十分な個数の遊技球が貯留されていない場合には、誘導通路に遊技球をそのまま発射装置ユニット90に誘導し続けると、大当り遊技の開始時に持ち球が「ゼロ」になる可能性がある。このため、貯留部5Gに十分な個数の遊技球が貯留されていない場合に限り、可動部材5Kの阻止動作を開始することとしている。
【0197】
なお、変形例2を実施例1の変形例として説明するが、変形例2を変形例1の変形例とすることもできる。つまり、図柄変動演出が、当り変動(当否判定の結果が大当り)として開始されたとき、貯留部5Gに貯留されている遊技球の個数(貯留数)がN個以下(例えば、100個以下)となったか否かを判断する。そして、貯留部5Gに貯留されている遊技球の個数(貯留数)がN個を超える場合には、可動部材5Kの阻止動作を開始することなく、阻止動作開始処理(S1200)を終了し、貯留部5Gに貯留されている遊技球の個数(貯留数)がN個以下の場合には、可動部材5Kの阻止動作を開始してから阻止動作開始処理(S1200)を終了することとしてもよい。
【0198】
また、実施例1では、大当り遊技開始時(第1ラウンドの開始時)に可動部材5Kの阻止動作を終了する態様を例示したが、大当り遊技開始時(第1ラウンドの開始時)よりも先に可動部材5Kの阻止動作を終了する変形例を例示することもできる。例えば、
図41(a)の変形例3のように、大当り図柄が停止されたときに、可動部材5Kの阻止動作を終了することとしてもよい。
【0199】
図41(a)に示すように、変形例3の阻止動作終了処理(S1900)を起動すると、サブ制御基板220のCPU220aは可動部材5Kが阻止動作を行っているか否かを判断する(S1905)。そして、可動部材5Kが阻止動作を行っていない場合には(S1905;NO)、そのまま阻止動作開始処理(S1900)を終了し、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。
【0200】
これに対して、可動部材5Kが阻止動作を行っている場合には(S1905;YES)、当り変動に関する図柄停止コマンドを受信したか否か(S1911)、つまり、大当り図柄の停止表示のタイミングか否かを判断する(S1911)。そして、当り変動に関する図柄停止コマンドを受信していない場合には(S1911;NO)、そのまま阻止動作開始処理(S1900)を終了し、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。
【0201】
一方、当り変動に関する図柄停止コマンドを受信した場合には(S1911;YES)、可動部材5Kによる阻止動作を終了させた後(S1915)、阻止動作開始処理(S1900)を終了し、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。この変形例3によると、大当り図柄から停止表示されてから大当り遊技が開始されるまでの間に(大入賞口31aが開くよりも少し早めに)、誘導経路の遊技球を発射装置ユニット90に向かって誘導することが可能となる。
【0202】
また、実施例1では大当り遊技開始時(第1ラウンドの開始時)に可動部材5Kの阻止動作を終了する態様を例示し、変形例3では大当り図柄が停止されたときに、可動部材5Kの阻止動作を終了する態様を例示した。但し、図示しない変形例4に示すように、「大当り図柄の停止時から大当り遊技開始時の間の期間から選択される所定時期」に可動部材5Kによる阻止動作を終了させる態様を例示することもできる。例えば、ファンファーレ演出の実行中に可動部材5Kの阻止動作を終了する態様を例示することもできる。更に具体的に述べると、大当り図柄が停止すると、N秒間(例えば、18秒間)ファンファーレ演出を行った後、第1ラウンドが開始される場合には、大当り図柄が停止した後、「N/3」秒経過後に可動部材5Kの阻止動作を終了する態様、「N/2」秒経過後に可動部材5Kの阻止動作を終了する態様等を例示することもできる。この場合、ファンファーレ演出に合わせて可動部材5Kが下降させるという、効果的な演出を行うことができる。
【0203】
更に、可動部材5Kの阻止動作を終了するための条件を、実施例1、変形例3若しくは変形例4に示す条件に加重してもよい。例えば、
図41(b)に示す変形例5に示すように、発射ハンドル9に「右打ち」のための操作が施されることを可動部材5Kの阻止動作を終了するための条件に加えてもよい。なお、変形例5を変形例3の変形例として説明するが、変形例5を実施例1若しくは変形例4の変形例とすることもできる。
【0204】
図41(b)に示すように、変形例5の阻止動作終了処理(S1900)においてS1911の処理で肯定的な判断がされると(S1911;YES)、「右打ち」が開始された否かを判断し(S1912)、「右打ち」が開始されていない場合には(S1912;NO)、一旦、阻止動作終了処理(S1900)を終了して、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。これに対して、「右打ち」が開始された場合には(S1912;YES)、可動部材5Kによる阻止動作を終了させた後(S1915)、阻止動作開始処理(S1900)を終了し、
図34の演出制御処理(S980)に復帰する。
【0205】
ところで、変形例5(実施例1)の遊技機1においては、大入賞口31aを右領域11Rに設けているため、右領域11Rを流下する遊技球のみが大入賞口31aに入球可能となる。このため、大入賞口31aが開放され、大入賞口31aに遊技球を入球させようとすると、遊技者は「右打ち」を行うこととなる。また、遊技者が「左打ち」を行う場合には、発射ハンドル9を右回転方向への回転量を少なくし、「右打ち」を行う場合には、発射ハンドル9を右回転方向への回転量を多くすることになる。従って、発射ハンドル9を右回転方向への回転量が、所定量以下であるか(左打ちための回転量であるか)、所定量を超えるか(右打ちための回転量)を判断することで、S1912の処理を実行することができる。
【0206】
この場合、発射ハンドル9の右回転方向への回転量が「右打ち」を行う回転量となると、可動部材5Kが下降するため、「右打ち」を円滑に行うことができる。つまり、発射ハンドル9の右回転方向への回転量が「左打ち」を行う回転量にあるときに発射ユニット90に遊技球が供給されていて、この状態で発射ハンドル9を右回転方向への回転量を増やそうとすると、遊技球の発射強度を「左打ちのための弱打ち強度」、「左打ちと右打ちの間の中打ちの強度」、「右打ちのための強打ちの強度」に順に変化させることが必要となるため、「左打ち」から「右打ち」に発射態様を切り換える際に、「右打ち」に至らない発射球(弱打ち強度や中打ちの強度で発射された遊技球)が「数球」生ずることになる。これに対して、可動部材5Kの阻止動作の作用で、発射ユニット90の遊技球が空になった状態で、発射ハンドル9の右回転方向への回転量を「右打ち」を行う回転量に切り換え、それを待って可動部材5Kの阻止動作を終了することとすれば、貯留部5Gで供給が阻止されていた遊技球が、右打ち状態(強打ちを行う状態)の発射ユニット90のところへ誘導されるので、最初から上手く右打ちを行うことができる。
【0207】
なお、
図41(b)の「S1911の処理」を排除してもよい。つまり、大当り図柄が停止表示されたり、大当り遊技が開始されていることを条件とせずに、可動部材5Kが阻止動作を行っているときに、「右打ち」が開始されると、可動部材5Kが阻止動作を終了することとしてもよい