(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベーン開度制御器は、酸素燃焼ボイラシステムの立上げ時である空気燃焼時に、前記排ガスクーラ伝熱部側の第1インナーベーンを全閉、上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンを全開に制御し、空気燃焼と酸素燃焼の切替時に、前記排ガスクーラ伝熱部側の第1インナーベーンは全閉から徐々に増開度して全開、上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンは全開から徐々に減開度して最小開度に制御する切り替えを行い、酸素燃焼時に、前記排ガスクーラ伝熱部側の第1インナーベーンを全開、上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンを制御開度に制御する構成を備え、
前記入口温度制御器は、前記空気燃焼時に、前記冷却流体側バイパス弁による排ガスクーラ伝熱部への冷却流体の供給量をミニマム流量、前記循環流体側バイパス弁による上流側GGH伝熱部への循環流体の循環を定格流量に調節した状態において、前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記循環流体側バイパス弁の開度を制御し、前記切替時に、前記冷却流体側バイパス弁による排ガスクーラ伝熱部への冷却流体の供給量を定格流量、前記循環流体側バイパス弁による上流側GGH伝熱部への循環流体の循環を定格流量に予め調節しておき、前記第1及び第2インナーベーンの切り替え過程の中間点を切替点として、該切替点よりも前の段階では前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記循環流体側バイパス弁の開度を制御し、前記切替点よりも後の段階では前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記冷却流体側バイパス弁の開度を制御し、前記酸素燃焼時に、前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記冷却流体側バイパス弁の開度を制御する構成を備え、
前記出口温度制御器は、前記酸素燃焼時に、前記下流側GGH出口の出口温度計の検出温度が出口設定温度になるように前記ベーン開度制御器を介して前記上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンの開度を制御する構成を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の酸素燃焼ボイラシステム。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に実施されているボイラは空気燃焼が殆どであり、このような空気燃焼によるボイラには、特許文献1、2に示したものがある。
【0003】
空気燃焼によるボイラでは、空気中の窒素分による顕熱損失のために熱効率が低下するという問題があった。このため、燃焼による熱効率を向上させる一手法として、酸素富化燃焼が考えられている。酸素富化燃焼では、空気燃焼と比較して相対的に窒素分が減少するため、顕熱損失が低下して熱効率が向上することが分かっている。
【0004】
一方、近年ではボイラ等において、純酸素燃焼や純酸素燃焼+排ガス再循環が提案されている(特許文献3等参照)。このような酸素燃焼方式を採用した場合には、排ガスの殆どが二酸化炭素(CO
2)となるため、分離装置を簡略化して二酸化炭素を回収できることから、有効な方法として注目されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボイラにおいては、ボイラから排出される排ガス中の煤塵の厳しい排出濃度規制をクリアする必要がある。このために、ボイラの下流に、乾式電気集塵器(乾式EPという)、除塵塔を有するスート分離方式の脱硫装置、硫酸腐食の防止及び白煙防止のための上流側及び下流側のガス−ガス熱交換器(上流側GGH及び下流側GGHという)の組合せに、湿式電気集塵器(湿式EPという)を追加設置することにより、所定の除塵性能を達成することが行われていた。
【0007】
しかし、この場合には、排ガスを除塵するための構成が複雑となり排ガス処理装置の設備費及び運転費が増加するという課題があった。
【0008】
そこで、近年、ガス式空気予熱器(Gas Air Heater GAHという)の出口に、排ガスの温度を85℃以上90℃以下程度まで低下させる熱回収器を設置し、この熱回収器の出口に、85℃以上90℃以下程度の排ガスにおいて高い除塵効果を発揮する乾式電気集塵器(低低温EPと言う)を設置した排ガス処理装置が提案されている。前記低低温EPは、灰の電気抵抗率を低下させ、逆電離現象を解消して除塵性能を向上することができる。前記低低温EPを備えた排ガス処理装置によれば、除塵塔と湿式EPが省略できるため、従来よりもコンパクトで経済的なボイラシステムが得られる。
【0009】
一方、酸素燃焼ボイラシステムにおいては、ボイラ本体の出口にガス式空気予熱器を設置し、下流の除塵した排ガスの一部を取り出した再循環排ガスを前記ガス式空気予熱器で予熱して前記ボイラ本体に導く排ガス再循環方式が提案されている。しかし、前記ガス式空気予熱器の出口に前記低低温EPを設置しようとした場合には、酸素燃焼によって排ガス温度が上昇することから、前記熱回収器に加えて、更にもう1つの熱回収のための排ガスクーラを設置して、前記低低温EPに導く排ガスが除塵に適した温度になるように冷却する必要がある。
【0010】
しかし、前記熱回収器に加えて排ガスクーラを設置した場合には、排ガス処理装置の構成が複雑になると共に、設置スペースが増加するという問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、酸素燃焼ボイラにおける排ガス処理装置の簡略化と設置スペースの低減を図るようにした酸素燃焼ボイラシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の酸素燃焼ボイラシステムは、酸素燃焼するボイラ本体からの排ガスを再循環排ガスと熱交換するガス式空気予熱器の出口に、
供給ポンプにより冷却流体が供給される排ガスクーラ伝熱部と、循環ポンプにより下流側GGHとの間で循環流体の循環が行われる上流側GGH伝熱部とを内蔵したコンバインド型熱交換器を設置することで、該コンバインド型熱交換器の出口に低低温EPを設置し、
前記コンバインド型熱交換器の前記排ガスクーラ伝熱部と前記上流側GGH伝熱部における交換熱量を調節して少なくとも低低温EP入口の排ガス温度を入口設定温度に保持する交換熱量調節装置を備え
、
前記交換熱量調節装置は、前記排ガスクーラ伝熱部と前記上流側GGH伝熱部とに区画して流す排ガスの流量を別個に調節可能な第1及び第2インナーベーンと、
前記排ガスクーラ伝熱部に供給する冷却流体をバイパスして下流側に戻す冷却流体側バイパス弁と、
前記上流側GGH伝熱部に供給する循環流体をバイパスして下流側GGHに戻す循環流体側バイパス弁と、
前記低低温EP入口の排ガス温度を検出する入口温度計と、
前記下流側GGH出口の排ガス温度を検出する出口温度計と
前記第1及び第2インナーベーンの開度を個別に制御するベーン開度制御器と、
前記冷却流体側バイパス弁の開度と、前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように、前記冷却流体側バイパス弁及び循環流体側バイパス弁の開度を制御する入口温度制御器と、
前記下流側GGH出口の出口温度計の検出温度が出口設定温度になるように、前記ベーン開度制御器を介して前記第2インナーベーンの開度を制御する出口温度制御器と、
前記ベーン開度制御器、入口温度制御器及び出口温度制御器を運転状態に応じて指令制御する運転制御器と
を有することを特徴とする。
【0014】
上記酸素燃焼ボイラシステムにおいて、前記ベーン開度制御器は、酸素燃焼ボイラシステムの立上げ時である空気燃焼時に、前記排ガスクーラ伝熱部側の第1インナーベーンを全閉、上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンを全開に制御し、空気燃焼と酸素燃焼の切替時に、前記排ガスクーラ伝熱部側の第1インナーベーンは全閉から徐々に増開度して全開、上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンは全開から徐々に減開度して最小開度に制御する切り替えを行い、酸素燃焼時に、前記排ガスクーラ伝熱部側の第1インナーベーンを全開、上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンを制御開度に制御する構成を備え、
前記入口温度制御器は、前記空気燃焼時に、前記冷却流体側バイパス弁による排ガスクーラ伝熱部への冷却流体の供給量をミニマム流量、前記循環流体側バイパス弁による上流側GGH伝熱部への循環流体の循環を定格流量に調節した状態において、前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記循環流体側バイパス弁の開度を制御し、前記切替時に、前記冷却流体側バイパス弁による排ガスクーラ伝熱部への冷却流体の供給量を定格流量、前記循環流体側バイパス弁による上流側GGH伝熱部への循環流体の循環を定格流量に予め調節しておき、前記第1及び第2インナーベーンの切り替え過程の中間点を切替点として、該切替点よりも前の段階では前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記循環流体側バイパス弁の開度を制御し、前記切替点よりも後の段階では前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記冷却流体側バイパス弁の開度を制御し、前記酸素燃焼時に、前記低低温EP入口の入口温度計の検出温度が入口設定温度になるように前記冷却流体側バイパス弁の開度を制御する構成を備え、
前記出口温度制御器は、前記酸素燃焼時に、前記下流側GGH出口の出口温度計の検出温度が出口設定温度になるように前記ベーン開度制御器を介して前記上流側GGH伝熱部側の第2インナーベーンの開度を制御する構成を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガス式空気予熱器の出口に、上流側GGH伝熱部と排ガスクーラ伝熱部を内蔵したコンバインド型熱交換器を介して低低温EPを設置したので、排ガス処理装置が簡略化され設置スペースの低減が図れるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0018】
図1は本発明の酸素燃焼ボイラシステムの一実施例を示しており、図中、1は酸素燃焼を行うボイラ本体であり、該ボイラ本体1の出口には排ガス2の脱硝を行うための脱硝装置3を介してガス式空気予熱器4が配置されている。このガス式空気予熱器4は、排ガス2と後述する再循環排ガスとの熱交換を行って再循環排ガスの予熱を行う。
【0019】
前記ガス式空気予熱器4の出口には、コンバインド型熱交換器5を介して乾式電気集塵器である低低温EP6を設置している。該低低温EP6の出口には、誘引通風機7を介して脱硫装置8が設置されている。該脱硫装置8の出口には下流側GGH9が設置されている。そして、該下流側GGH9の出口には昇圧ファン10を介して二酸化炭素回収装置11が設置されている。
【0020】
前記コンバインド型熱交換器5の内部には、排ガス2を左右の部屋5a,5bに区画して流す区画壁12が設置されている。区画壁12で区画された一方の部屋5aには、供給ポンプ13を備えた供給流路14によって冷却流体15(低圧給水)を供給する排ガスクーラ伝熱部16が配置されている。又、前記区画壁12で区画された他方の部屋5bには、循環ポンプ17を備えた循環流路18により前記下流側GGH9に接続されて循環流体19(循環水)を循環供給するようにした上流側GGH伝熱部20が配置されている。
【0021】
そして、前記コンバインド型熱交換器5には、以下の交換熱量調節装置21が備えられている。
【0022】
前記一方の部屋5aの出口には第1駆動装置22aによって開度が調節可能な第1インナーベーン22が配置されると共に、前記他方の部屋5bの出口には第2駆動装置23aによって開度が調節可能な第2インナーベーン23が配置されている。
【0023】
前記排ガスクーラ伝熱部16に接続される供給流路14の上流側と下流側との間には、冷却流体側バイパス弁24が配置されている。又、前記上流側GGH伝熱部20に接続される循環流路18の上流側と下流側との間には、循環流体側バイパス弁25が配置されている。
【0024】
前記第1及び第2インナーベーン22,23は、ベーン開度制御器27から前記駆動装置22a,23aに送られる信号によって開度が別個に調節されるようになっており、前記ベーン開度制御器27は、運転制御器26からの運転条件(空気燃焼時、空気燃焼・酸素燃焼切替時、酸素燃焼時)に応じた指令26aによって作動するようになっている。
【0025】
前記低低温EP6の入口には入口温度計28が設置されている。該入口温度計28の検出温度は入口温度制御器29に入力されている。前記入口温度制御器29は、運転制御器26からの運転条件に応じた指令26aによって作動され、前記低低温EP6入口の入口温度計28の検出温度が入口設定温度T
1(
図1では85〜90℃の範囲の任意の温度)になるように、前記冷却流体側バイパス弁24の開度及び循環流体側バイパス弁25の開度を調節するようになっている。
【0026】
又、前記下流側GGH9の出口には出口温度計30が設置されている。該出口温度計30の検出温度は出口温度制御器31に入力されている。前記出口温度制御器31は、運転制御器26からの運転条件の指令26aによって作動され、前記下流側GGH9出口の出口温度計30の検出温度が出口設定温度T
2(
図1では45〜75℃の範囲の任意の温度)になるように、前記ベーン開度制御器27を介して前記第2インナーベーン23の開度を調節するようになっている。このとき、前記ベーン開度制御器27は、出口温度制御器31からの信号が入力されると、運転制御器26からの運転条件の指令26aを遮断して、出口温度制御器31からの信号によって前記第2インナーベーン23の開度を調節する。
【0027】
尚、
図1の実施例では、説明を簡略化するために、供給ポンプ13と循環ポンプ17は一定回転で運転する場合について説明するが、前記交換熱量調節装置21の作用に加えて、供給ポンプ13による冷却流体15の流量と循環ポンプ17による循環流体19の流量を同時に制御することもできる。
【0028】
図1の酸素燃焼ボイラシステムでは、前記低低温EP6で除塵された低低温EP6出口の排ガスの一部を、2次昇圧ファン32を備えた2次再循環ライン33により2次再循環排ガス34として取り出す。この2次再循環排ガス34は、前記ガス式空気予熱器4に導いて予熱した後、酸素35(O
2)を混合して前記ボイラ本体1に供給している。
【0029】
又、前記下流側GGH9出口の排ガスの一部を、1次昇圧ファン36を備えた1次再循環ライン37により1次再循環排ガス38として取り出す。そして、1次再循環排ガス38は、2系統に分岐して、一部は前記ガス式空気予熱器4に供給して熱交換により予熱した排ガス38aとする。又、1次再循環排ガス38の他部は前記ガス式空気予熱器4をバイバスして低温排ガス38bのまま前記予熱された排ガス38aとダンパ39a,39b等を介して混合することにより温度が調節された1次再循環ガスとする。温度調節された1次再循環ガスは、図示しない微粉炭ミル等に導いて微粉炭40を同伴して前記ボイラ本体1に供給している。
図1の実施例では、前記低低温EP6出口の排ガスの一部を2次再循環排ガス34として取り出し、又、前記下流側GGH9出口の排ガスの一部を1次再循環排ガス38として取り出す場合について例示したが、前記低低温EP6の下流であれば、2次再循環排ガス34及び1次再循環排ガス38の取り出し位置は任意である。
【0030】
上記した如く、排ガスクーラ伝熱部16と上流側GGH伝熱部20を内部に備えた前記コンバインド型熱交換器5を構成したので、前記ガス式空気予熱器4と前記低低温EP6との間の構成が簡略化され、よって設置スペースも減少することができる。
【0031】
更に、前記運転制御器26からの運転条件に応じて、ベーン開度制御器27は第1及び第2インナーベーン22,23の開度を調節し、且つ、入口温度制御器29は前記冷却流体側バイパス弁24の開度と循環流体側バイパス弁25の開度を調節することで、前記低低温EP6入口の入口温度計28の検出温度が入口設定温度T
1になるように制御するので、前記低低温EP6には除塵に適した85〜90℃に調節された排ガスが供給され、高い除塵性能が発揮される。
【0032】
一方、前記低低温EP6から湿式の脱硫装置8に供給された排ガスは、例えば40〜50℃前後に冷却されるが、この脱硫装置8出口の排ガスには硫酸ミストが含有されているために、このまま排ガスを下流に供給すると、下流の配管、機器が硫酸腐食する問題がある。
【0033】
このため、前記運転制御器26からの運転条件に応じて、出口温度制御器31は、前記下流側GGH9出口の出口温度計30の検出温度が出口設定温度T
2になるように、前記ベーン開度制御器27を介して第2インナーベーン23の開度を制御するので、前記下流側GGH9出口の排ガス温度が45〜75℃前後に調節されて、排ガス中の硫酸ミストにより下流機器が腐食する問題を防止することができる。ここで、脱硫装置8出口の排ガスの温度を、前記下流側GGH9によって5〜25℃程度高めることが有効であることが知られている。しかし、下流側GGH9によって排ガス温度を高めすぎると、下流の二酸化炭素回収装置11での冷却による回収負荷が増加することから、前記5〜25℃の範囲で昇温することで前記45〜75℃の排ガス温度にすることが好ましい。
【0034】
以下に、
図2〜
図4を参照して、酸素燃焼ボイラシステムを説明する。
【0035】
図2は、酸素燃焼ボイラシステムの立上げ時である空気燃焼時の排ガス温度制御方法を示している。酸素燃焼ボイラシステムの立上げ時のボイラ本体は冷缶状態にあることから、オイル又はガスを空気燃焼することによりボイラ本体の温度を高めることが行われる。
<空気燃焼時>
【0036】
図1のボイラ本体1で燃料を空気で燃焼する空気燃焼時は、2次再循環排ガス34と1次再循環排ガス38の再循環を行わず、空気は、2次昇圧ファン32の上流側に位置するエアインテークと1次昇圧ファン36の上流側に位置するエアインテークからそれぞれ取り入れて、2次昇圧ファン32と1次昇圧ファン36でそれぞれ昇圧され、ガス式空気予熱器4で昇温されてボイラ本体1に供給される。上記空気燃焼時には、
図2に示す如く、前記ベーン開度制御器27は、運転制御器26からの運転条件(空気燃焼時)の指令26aを受けて、前記排ガスクーラ伝熱部16側の第1インナーベーン22を全閉、上流側GGH伝熱部20側の第2インナーベーン23を全開に制御する。
【0037】
前記入口温度制御器29は、前記運転制御器26からの運転条件(空気燃焼時)の指令26aを受けて、前記冷却流体側バイパス弁24による排ガスクーラ伝熱部16への冷却流体15の供給量をミニマム流量に制御し、前記循環流体側バイパス弁25による上流側GGH伝熱部20への循環流体19の循環を定格流量に調節した状態において、前記低低温EP6入口の入口温度計28の検出温度が入口設定温度T
1になるように、前記循環流体側バイパス弁25の開度を制御する。このとき、下流側GGH9出口の温度制御は行わずに成り行きとして、前記低低温EP6の入口温度を入口設定温度T
1に保持する制御のみを行う。
<空気燃焼と酸素燃焼の切替時>
【0038】
図3に示す空気燃焼と酸素燃焼の切替時には、前記ベーン開度制御器27は、運転制御器26からの運転条件(切替時)の指令26aを受けて、前記排ガスクーラ伝熱部16側の第1インナーベーン22は全閉から徐々に増開度して全開、上流側GGH伝熱部20側の第2インナーベーン23は全開から徐々に減開度して最小開度に制御する切り替えを行う。
【0039】
この時、前記入口温度制御器29は、前記運転制御器26からの運転条件(切替時)の指令26aを受けて、前記冷却流体側バイパス弁24による排ガスクーラ伝熱部16への冷却流体15の供給量を定格流量、前記循環流体側バイパス弁25による上流側GGH伝熱部20への循環流体19の循環を定格流量に予め調節しておき、前記第1及び第2インナーベーン22,23の切り替え過程の中間点(例えば、第1インナーベーン22の開度が50%、第2インナーベーン23の開度が50%)を切替点として、該切替点よりも前の段階では前記低低温EP6入口の入口温度計28の検出温度が入口設定温度T
1になるように前記循環流体側バイパス弁25の開度を制御し、前記切替点よりも後の段階では前記低低温EP6入口の入口温度計28の検出温度が入口設定温度T
1になるように前記冷却流体側バイパス弁24の開度を制御する。このとき、下流側GGH9出口の温度制御は行わずに成り行きとして、前記低低温EP6の入口温度を入口設定温度T
1に保持する制御のみを行う。
<酸素燃焼時>
【0040】
図4に示す酸素燃焼時には、前記ベーン開度制御器27は、前記運転制御器26からの運転条件(酸素燃焼時)の指令26aを受けて、前記排ガスクーラ伝熱部16側の第1インナーベーン22を全開、上流側GGH伝熱部20側の第2インナーベーン23を制御開度に制御する。
【0041】
前記入口温度制御器29は、前記運転制御器26からの運転条件(酸素燃焼時)の指令26aを受けて、前記低低温EP6入口の入口温度計28の検出温度が入口設定温度T
1になるように前記冷却流体側バイパス弁24の開度を制御する。又、出口温度制御器31は、前記運転制御器26からの運転条件(酸素燃焼時)の指令26aを受けて、前記下流側GGH9出口の出口温度計30の検出温度が出口設定温度T
2になるように前記ベーン開度制御器27を介して前記上流側GGH伝熱部20側の第2インナーベーン23の開度を制御する。
【0042】
これにより、酸素燃焼時には、前記低低温EP6入口の排ガス温度が入口設定温度T
1(例えば85〜90℃)に保持されることで、前記低低温EP6による高い除塵性能が確保され、前記下流側GGH9出口の排ガス温度が出口設定温度T
2(45〜75℃)に保持されることで、下流機器が硫酸腐食する問題を防止することができる。
【0043】
尚、本発明の酸素燃焼ボイラシステムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。