(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリエステルフィルムが、重量平均分子量が6万以上のポリエチレンテレフタレートからなるポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項2に記載の量子ドット保護フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0020】
(量子ドット保護フィルム)
図1は、本発明の実施形態に係る第1量子ドット保護フィルムの模式断面図である。第1量子ドット保護フィルム(量子ドット保護フィルム)1は、第1バリアフィルム(バリアフィルム)10、第1拡散フィルム20、及び接着剤層30を備える。接着剤層30は、第1バリアフィルム10と第1拡散フィルム20との間に位置し、接着剤層30を介して、第1バリアフィルム10と第1拡散フィルム20とが貼り合わされる。
【0021】
第1バリアフィルム10は、第1ポリエステルフィルム11を含む基材、第1密着層(密着層)12、第1シリカ蒸着層(シリカ蒸着層)13、第1複合被膜層(複合被膜層)14、第2シリカ蒸着層15、及び第2複合被膜層16を備える。第1ポリエステルフィルム11を含む基材上に、第1密着層12、第1シリカ蒸着層13、第1複合被膜層14、第2シリカ蒸着層15、及び第2複合被膜層16が、この順に設けられる。第2複合被膜層16は、接着剤層30に接着する。
【0022】
第1拡散フィルム20は、第2ポリエステルフィルム21を含む基材と第1拡散層22とを備え、第1拡散層22は、第2ポリエステルフィルム21を含む基材上に設けられる。第2ポリエステルフィルム21では、第1拡散層22と接する面とは反対側の面が、接着剤層30に接着する。
【0023】
(第1バリアフィルム)
<第1ポリエステルフィルム>
本発明で用いられる第1ポリエステルフィルム11は、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー(COC)、及びシクロオレフィンポリマー(COP)等からなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、6,6−ナイロン等からなるポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、及びポリイミドフィルム等のエンジニアリングプラスティックフィルム等であることができる。第1ポリエステルフィルム11としては、特に、二軸方向に任意に延伸された二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。二軸延伸ポリエステルフィルムは、寸法安定性、耐熱性、及び透明性に優れる。
【0024】
第1ポリエステルフィルム11の厚みは、特に限定されないが、3μm〜200μmの範囲であることが好ましく、6μm〜50μmの範囲であることがより好ましい。この第1ポリエステルフィルム11の厚みは、第1密着層12、第1シリカ蒸着層13、第1複合被膜層14、第2シリカ蒸着層15、及び第2複合被膜層16が積層されるときの加工性を考慮した値である。なお、各層の積層にあたっては、各層の密着性を向上させるために、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、オゾン処理、及びグロー放電処理その他の前処理が任意に施される。
【0025】
第1ポリエステルフィルム11として、酸価(樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数)が25mgKOH/g以下のポリエチレンテレフタレート系フィルムを用いることが特に好ましい。ここで、第1ポリエステルフィルム11の酸価が25mgKOH/gを超えると、特に高温高湿環境下での基材安定性が損なわれ、バリア性の低下がおこるために好ましくない。一方、酸価が25mgKOH/g以下であると、基材安定性が増し、高温高湿環境下でもバリア性が低下せず安定しているために好ましい。なお、酸価の測定方法としては、カットした第1ポリエステルフィルム11を秤量し、例えば、クレゾールに加熱溶解後冷却、その後水酸化カリウムエタノール溶液などで滴定して酸価を定量することができる。指示薬としては、例えば、フェノールフタレイン溶液を用いることができる(JIS K0070参照)。
【0026】
第1ポリエステルフィルム11では、例えば60℃/90%RH及び85℃/85%RHなどの過酷な環境下でのディスプレイ機能の加速劣化試験において第1ポリエステルフィルム11のバリア性が安定して発現されるために、耐加水分解性能に優れることが好ましい。耐加水分解性能に優れるために、例えば、第1ポリエステルフィルム11としてのPETフィルムでは、重量平均分子量として6万以上であることが好ましい。PETフィルムは、その重量平均分子量が6万未満では、通常、加水分解を起こし易くなるので、PETフィルムのバリア性が劣化しやすい。PETフィルムでは、耐加水分解性能に優れるために、末端カルボキシ基の濃度が25当量/10
6g以下にまで減少することが好ましい。末端カルボキシ基の濃度が25当量/10
6g以下にまで減少すると反応点が減るので、PETフィルムの耐加水分解性能が向上する。ポリエステル中の末端カルボキシル基の濃度は、文献(ANALYTICAL CHEMISTRY 第26巻、1614頁)に記載された方法によって測定されることができる。重量平均分子量は、常温GPC分析といった方法によって測定される。
【0027】
PETフィルムは、光透過性と平滑性に優れたフィルムであることが好ましい。このため、PETフィルムの光透過性が向上するには、PETフィルムに用いられる滑剤を低減することが望ましい。また、PETフィルムに対して第1シリカ蒸着層が積層される際に、第1シリカ蒸着層に割れ等が発生せず、また、第1シリカ蒸着層が均一な薄膜になるようにするために、PETフィルムの中心線表面粗さ(Ra)は30nm以下であることが望ましい。中心線表面粗さ(Ra)が30nm以下であれば、PETフィルムは優れた平滑性を有していると言える。PETフィルムの表面粗さは、JIS B0601に準じた方法で測定されることができる。
【0028】
<第1密着層>
第1ポリエステルフィルム11の上に、第1密着層12が設けられる。第1密着層12は、第1シリカ蒸着層との密着を得るために適宜設けられる。第1密着層12は、第1ポリエステルフィルム11の延伸時に塗布されるインライン方式、及び第1ポリエステルフィルム11が製膜された後のオフラインで塗布されるオフライン方式のいずれか一の方法、或いは、インライン方式及びオフライン方式の双方によって形成されることができる。第1密着層12としては、特に限定されないが、インライン方式による第1密着層12を形成するための密着層用組成物は、例えば、アクリル材料やウレタン材料であることができる。オフラインによる第1密着層12を形成するための密着層用組成物は、例えば、アクリルポリオールなどの水酸基をもつ化合物とイソシアネート基をもつイソシアネート化合物との2液反応複合物であることができる。第1ポリエステルフィルム11では、その片面のみならず両面に、第1密着層12が設けられてもよい。
【0029】
<第1シリカ蒸着層及び第2シリカ蒸着層>
第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15は、バリア性を発現する層である。蒸着層としてバリア性を発現する無機化合物としては、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、或いはそれらの混合物などがあり、本実施形態では、酸化ケイ素を含むシリカ蒸着層が選択される。第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15は、60℃/90%RH及び85℃/85%RHなどの過酷な環境下でのディスプレイ機能の加速劣化試験での耐湿性を有している。シリカ蒸着層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などといった方法により作製される。
【0030】
第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15を構成する酸素及びケイ素のO/Si比はいずれも、原子比で1.7以上2.0以下であることが好ましい。O/Si比が原子比で1.7未満であると、第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15内のSi−Si結合の割合が多くなり有色の金属を多く含むので、第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の透過率が低下する。また、O/Si比が原子比で2.0を超えると、第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15はバリア性能を発現しない。ディスプレイ用途に好適な第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15のO/Si比としては、原子比で1.85〜2.0であることがより好ましい。
【0031】
シリカ蒸着層のO/Si比は、例えば、X線光電子分光法(XPS)により測定される。XPS測定装置としては、具体的には、例えばX線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製JPS−90MXV)であることができる。X線源には、非単色化MgKα(1253.6eV)が用いられ、X線出力値は、例えば100W(10kV−10mA)であることができる。O/Si比を求めるための定量分析には、例えば、Oの1s軌道に対して2.28の相対感度因子、Siの2p軌道に対して0.9の相対感度因子が用いられる。
【0032】
第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15と接する第1複合被膜層14などの第1量子ドット保護フィルム1を構成する有機層(第1複合被膜層14、第2複合被膜層16)の屈折率は、好ましくは1.5〜1.7である。このため、第1量子ドット保護フィルム1内での光学干渉を防ぐために、第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の屈折率は、1.5以上1.7以下である。第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の屈折率としては、バリア性に加えてディスプレイ用途のために、透明性の点から、より好ましくは1.6〜1.65である。なお、シリカ蒸着層の屈折率の測定に際しては、物理気相成長(PVD)法によってPETフィルム上に屈折率の異なるいくつかのシリカ蒸着膜が形成される。シリカ蒸着層の屈折率は、シリカ蒸着層の厚みと光干渉によって生じた透過率曲線とから算出される。
【0033】
第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の厚みは、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の厚みが5nm未満であると、均一な膜が得られ難く、また、ガスバリア材としての機能を十分に果たし難い。第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の厚みが300nmを超えると、第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15にフレキシビリティを保持させることが難しく、また、蒸着膜の成膜後に、折り曲げ及び引っ張りなどの外的要因により、蒸着膜に亀裂が生じ易い。第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の厚みは、インライン製膜による生産性を考慮すると、より好ましくは10〜50nmの範囲内である。
【0034】
第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、及びプラズマ気相成長法(CVD)などのいずれであってもよい。真空蒸着法に必要な加熱手段としては、電子線加熱方式、抵抗加熱方式、及び誘導加熱方式のいずれか一の方式を用いることができる。第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15の光透過性を上げるために、例えば酸素等の各種ガスなどが吹き込まれる反応蒸着法が用いられてもよい。
【0035】
<第1複合被膜層及び第2複合被膜層>
第1複合被膜層14及び第2複合被膜層16は、ガスバリア性を持った被膜層であり、コーティング剤を用いて形成される。コーティング剤は、例えば、水溶性高分子、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解物、及び、シランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも一種を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とする。
【0036】
コーティング剤は、具体的には、例えば、水溶性高分子の水溶液、或いは水/アルコール混合溶液に、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解物、及び、シランカップリング剤が直接混合されて作られる。或いは、コーティング剤は、例えば、水溶性高分子の水溶液、或いは水/アルコール混合溶液に、予め加水分解など処理が行われた金属アルコキシドとシランカップリング剤とが混合されて作られる。コーティング剤の溶液は、第1密着層12の上にコーティング後、加熱乾燥されることで第1複合被膜層14及び第2複合被膜層16を形成する。また、コーティング剤の溶液は、第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15上に、それぞれコーティング後、加熱乾燥されることで第1複合被膜層14及び第2複合被膜層16を形成する。
【0037】
コーティング剤に用いられる水溶性高分子としては、例えば、水酸基含有高分子化合物が挙げられる。水酸基含有高分子化合物は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸ナトリウム等であることができる。コーティング剤としては、PVAが特に好ましい。PVAから作られた複合被膜層は、ガスバリア性に優れる。
【0038】
金属アルコキシドは、一般式、M(OR)
n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH
3,C
2H
5等のアルキル基、n:Mの価数に対応する数)で表される化合物である。金属アルコキシドとしては、具体的に、例えば、テトラエトキシシラン〔Si(OC
2H
5)
4〕、及びトリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C
3H
7)
3〕などがある。金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムが特に好ましい。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後、水系溶媒中において比較的安定である。
【0039】
シランカップリング剤は、一般式、R
1mSi(OR
2)
4−m(R
1:有機官能基、R
2:CH
3,C
2H
5等のアルキル基、m:1〜3の整数)で表される化合物である。シランカップリング剤としては、具体的に、例えば、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤などであることができる。シランカップリング剤の溶液中には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、或いは、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、及び着色剤などの公知の添加剤が必要に応じて加えられることも可能である。
【0040】
コーティング剤の塗布方法としては、例えば、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、及びグラビア印刷法などの従来公知の方法が用いられる。乾燥後の第1複合被膜層14及び第2複合被膜層16の厚みは、好ましくは0.01〜50μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。乾燥後の複合被膜層の厚みが0.01μm未満の場合は、均一な塗膜が得られないので、十分なガスバリア性を得られない場合がある。また、乾燥後の複合被膜層の厚みが50μmを超える場合は、複合被膜層にクラックが生じ易くなる。
【0041】
<接着剤層>
第1バリアフィルム10と第1拡散フィルム20とを貼り合わせるために、接着剤層30が用いられる。接着剤層30の材料としては、例えば、アクリル系材料或いはポリエステル系材料などを含む接着剤及び粘着剤であることができる。第1量子ドット保護フィルム1の厚みを薄くするために、接着剤層30の厚みは10μm以下であることが望ましい。
【0042】
(第1拡散フィルム)
<第2ポリエステルフィルム>
第2ポリエステルフィルム21を含む基材は、第2ポリエステルフィルム21を含む基材と同様に、例えばPET及びPENなどのポリエステルフィルム等であることができる。第2ポリエステルフィルム21は、特に、二軸方向に任意に延伸された二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。二軸延伸ポリエステルフィルムは、寸法安定性、耐熱性、及び光透過性に優れる。第2ポリエステルフィルム21に用いられるPETフィルムも、光透過性と平滑性とに優れたフィルムであることが望ましい。
【0043】
<第1拡散層>
第1拡散層22では、その表面に凹凸形状が設けられ、光の拡散性が付与されている。また、干渉縞(モアレ)防止機能および反射防止機能なども付与されている。第1拡散層22では、例えば、粒子などを分散させた有機層を被膜する方法、及び被膜後の有機層にエンボス加工を更に施す方法などによって、凹凸形状が形成される。粒子などを分散させた有機層を被膜する方法では、例えば、微粒子が、有機層の表面から微粒子の一部が露出するように埋め込まれる。それにより、第1拡散層22の表面には微細な凹凸が生じて、第1拡散層22においてニュートンリングの発生が防止される。
【0044】
有機層は、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、及びウレタン系樹脂等の高分子樹脂を含む層であることができる。
【0045】
また、有機層は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂等の高分子樹脂を含む層であることができる。
【0046】
熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタアクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0047】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0048】
紫外線硬化型樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等の光重合性プレポリマーが挙げられる。また、紫外線硬化型樹脂を、上記の光重合性プレポリマーを主成分とし、希釈剤として単官能や多官能のモノマーを使用して構成することもできる。
【0049】
有機層の厚さ(膜厚)は、0.1〜20μmの範囲内とすることが好ましく、0.3〜10μmの範囲内にすることが特に好ましい。ここで、有機層の膜厚が0.1μm未満であると、膜厚が薄すぎるために均一な膜が得られない場合や、光学的機能を十分に果たすことができない場合が生じるために好ましくない。一方、膜厚が20μmを越える場合は、第1拡散層22の表面へ微粒子が表出せず、凹凸付与効果が得られないおそれがあり、また、透明性の低下や少しでも薄膜化というディスプレイのトレンドとの不整合といった理由から好ましくない。
【0050】
有機層に分散される粒子は、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイト、及びジルコニアなどの無機微粒子であることができる。また、有機層に分散される粒子は、例えば、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、及びエポキシ樹脂などからなる有機微粒子などであることができる。これらのうち、いずれか一種類のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0051】
微粒子の平均一次粒径は、0.5〜30μmであることが好ましい。本実施形態では、レーザー回折法により、平均一次粒径を測定することができる。微粒子の平均粒径が0.5μm未満であると、第1拡散層22の表面への凹凸の付与効果が得られないために好ましくない。一方、平均粒径が30μmを超えると、有機層の膜厚よりもかなり大きな粒子を使用することになり、光線透過率の低下を招くという不具合があるために好ましくない。これに対して、平均粒径が上記範囲内であると、高い光線透過率を維持したまま、表面に凹凸形状をつけることができる。
【0052】
なお、
図1の第1量子ドット保護フィルム1としては、その反射率が、青色領域の波長450nm、緑色領域の波長540nm、赤色領域の波長620nmのそれぞれにおいて、10%以上20%以下であることが望ましい。反射率は、第1バリアフィルム10による光学干渉と相関がある。反射率が各波長において20%を超えると、第1量子ドット保護フィルム1が導光板(
図2を参照)の上に拡散シートとして用いられた場合でも、光学干渉による色ムラが大きく現れて外観不良が生じる。反射率が各波長において10%未満では、第1バリアフィルム10中の第1シリカ蒸着層13及び第2シリカ蒸着層15のO/Si比と屈折率とが上述の好ましい値の範囲から逸脱するので、第1バリアフィルム10のバリア性が発現しない可能性がある。
【0053】
また、第1量子ドット保護フィルム1の透過率は青色の450nm波長、緑色の540nm波長、赤色の620nm波長のそれぞれにおいて80%以上95%以下であることが望ましい。80%未満の透過率は、その透過率が低く量子ドット層の光変換効率を低下させるので好ましくない。
【0054】
(バックライトユニット)
図2は、本発明の実施形態に係るバックライトユニットの模式断面図である。バックライトユニット40は、第1量子ドットフィルム2、LED光源41、及び導光板42を備える。第1量子ドットフィルム2は、量子ドット層3を含む(
図3を参照)。導光板42は、第1側面42A及び第1側面42Aに直交又は交差する第2側面42Bを有し、LED光源41は、導光板42の第1側面42Aの近くに設置される。LED光源41は、例えば一又は複数のLED素子を含む。LED素子の発光色は、青色、紫色、又は紫色よりも低波長であることができる。LED光源41は、導光板42の第1側面42Aに向かってLED光L1を出射する。このLED光L1は、導光板42を経て、第2側面42Bから第1量子ドットフィルム2に向かって照射される。第1量子ドットフィルム2では、LED光L1の照射を受けて、量子ドット層3が白色光L2を発生させる。例えば、第1量子ドットフィルム2の近くに液晶パネルが設けられると、白色光L2は、その液晶パネルに提供される。
【0055】
(第1量子ドットフィルム)
図3は、本発明の実施形態に係る第1量子ドットフィルムの模式断面図である。第1量子ドットフィルム2は、量子ドット層3を備え、第1量子ドットフィルム2は、量子ドット層3を第1量子ドット保護フィルム1、及び第1量子ドット保護フィルム1と同様の方法により作製される第2量子ドット保護フィルム4によって挟む構造を有している。第2量子ドット保護フィルム4は、第2バリアフィルム51、第2拡散フィルム52、及び第2接着剤層53を備える。第2接着剤層53は、第2バリアフィルム51と第2拡散フィルム52との間に位置し、第2接着剤層53を介して、第2バリアフィルム51と第2拡散フィルム52とが貼り合わされる。この第1量子ドットフィルム2の構造により、量子ドット層3にバリア性が付与される。量子ドット層3は、第1量子ドット保護フィルム1の第1バリアフィルム10及び第2量子ドット保護フィルム4の第2バリアフィルム51と貼り合わされる。
【0056】
量子ドット層3は、量子ドット化合物と、例えばアクリルやエポキシといった感光性樹脂等との量子ドット層用混合物から形成される。量子ドット層3に形成にあたって、量子ドット層用混合物は第1バリアフィルム10及び第2バリアフィルム51の上に塗布される。量子ドット層用混合物にUV照射がなされると、量子ドット層用混合物に含まれる感光性樹脂が硬化する。これにより、量子ドット層3が第1量子ドット保護フィルム1及び第2量子ドット保護フィルム4によって挟まれた第1量子ドットフィルム2が形成される。なお、量子ドット層用混合物には、例えば熱硬化性樹脂或いは化学硬化性の樹脂等が更に含まれてもよく、量子ドット層用混合物には、UV硬化の後に、例えば熱硬化が施されてもよい。
【0057】
量子ドット層3では、量子ドット化合物を含む蛍光体が2種類用いられ、例えば、2種類の蛍光体が、互いに混合されて感光性樹脂などに封止される。或いは、量子ドット層3では、1種類の蛍光体が封止された蛍光体層と別の1種類の蛍光体が封止された蛍光体層とが2層積層される。1種類の蛍光体の励起波長は、ほぼ同一であり、その励起波長は、LED光源41の波長によって決められる。2種類の蛍光体の蛍光色は相互に異なっており、2種類の蛍光体は、例えば赤色及び緑色の蛍光色を有する。蛍光体の蛍光の波長、及びLED光源41の波長は、液晶モジュールのピクセルにおけるカラーフィルタの分光特性に基づいて選択される。蛍光体における蛍光のピーク波長としては、例えば赤色領域が610nmであり、緑色領域が550nmであることができる。
【0058】
量子ドット層3では、例えば、発光するコアと、コアを被膜する保護膜のシェルにより構成されるコア・シェル構造を有する。コアは、例えばセレン化カドミウム(CdSe)を含むことができ、また、シェルは、硫化亜鉛(ZnS)を含むことができる。例えば、CdSeコアとZnSシェルとを含む量子ドットでは、CdSe粒子の表面欠陥が、バンドギャップの大きいZnSによって被膜されるので、量子ドットの量子収率が向上する。蛍光体は、コアが二つのシェルによって二重に被膜された構造を有してもよい。二重に被膜されたコア・シェル構造は、例えばコアがCdSeを含み、二つのシェルは、それぞれセレン化亜鉛(ZnSe)及びZnSを別々に含むことができる。
【0059】
第1量子ドットフィルム2は、導光板42と、例えば液晶パネルとの間に設けられるので、プラスチックフィルム同士が積層することによって起こるニュートンリング等の不具合を避けるために、第1量子ドットフィルム2の両端には、例えば拡散層が設けられる。量子ドット層3の厚みは、例えば数十μm〜数百μmである。
【0060】
第1量子ドット保護フィルム1において、第1シリカ蒸着層13と第1複合被膜層とが積層され、第2シリカ蒸着層15と第2複合被膜層とが積層されていると、ガスバリア性が向上する。即ち、第1バリアフィルムでは、シリカ蒸着層と複合被膜層とが交互に2層ずつ以上積層された構造を有すると、量子ドットを用いた蛍光体の性能が最大限に発揮されることが可能になり、結果として高効率かつ高精細、長寿命のディスプレイが得られる。
【0061】
(第3量子ドット保護フィルム)
図4は、本発明の実施形態に係る第3量子ドット保護フィルムの模式断面図である。第3量子ドット保護フィルム5は、第1バリアフィルム10、第3バリアフィルム60、接着剤層30、及び第2拡散層31を備える。接着剤層30は、第1バリアフィルム10と第3バリアフィルム60との間に位置し、第1バリアフィルム10と第3バリアフィルム60とを貼り合わせる。第2拡散層31は、第3バリアフィルム60において、第3バリアフィルム60が接着剤層30と接する面とは反対側の面上に設けられる。第3量子ドット保護フィルム5は、第2拡散層31を備えることによって、光の拡散性を有している。
【0062】
第1バリアフィルム10は、第1ポリエステルフィルム11を含む基材、第1密着層12、第1シリカ蒸着層13、第1複合被膜層14、第2シリカ蒸着層15、及び第2複合被膜層16を備える。第1ポリエステルフィルム11を含む基材上に、第1密着層12、第1シリカ蒸着層13、第1複合被膜層14、第2シリカ蒸着層15、及び第2複合被膜層16が、この順に設けられる。第2複合被膜層16は、接着剤層30に接着する。
【0063】
第3バリアフィルム60は、第2ポリエステルフィルム61を含む基材、第2密着層62、第3シリカ蒸着層63、第3複合被膜層64、第4シリカ蒸着層65、及び第4複合被膜層66を備える。第2ポリエステルフィルム61を含む基材上に、第2密着層62、第3シリカ蒸着層63、第3複合被膜層64、第4シリカ蒸着層65、及び第4複合被膜層66が、この順に設けられる。第4複合被膜層66は、接着剤層30に接着する。
【0064】
なお、第1量子ドット保護フィルム1及び第2量子ドット保護フィルム4の替わりに、第3量子ドット保護フィルム5及び第3量子ドット保護フィルムと同様の第4量子ドット保護フィルムを用いると、第1量子ドットフィルム2と同様の方法により、第2量子ドットフィルムが作製されることができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
【0066】
[実施例1]
(第1バリアフィルムの作製)
重量平均分子量6万のPETを用いて形成された厚み16μmのPETフィルムの基材の片面に、密着層用組成物を塗工して、厚み0.1μmの第1密着層を積層した。次に、第1密着層の上に、第1シリカ蒸着層をその厚みが30nmとなるように物理蒸着法によって積層した。第1シリカ蒸着層の上に、コーティング剤を含む複合被膜層用組成物を用いたウエットコーティング法によって、厚み1μmの第1複合被膜層を形成した。更に、第1複合被膜層の上に、第2シリカ蒸着層をその厚みが30nmとなるように積層した。続いて、第2シリカ蒸着層の上に、複合被膜組成物を用いたウエットコーティング法によって、厚み1μmの第2複合被膜層を形成し、第1バリアフィルムを作製した。第1シリカ蒸着層及び第2シリカ蒸着層におけるO/Si比は原子比で1.8とし、屈折率は1.61とした。
【0067】
密着層用組成物は、アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとの酢酸エチル溶液とした。アクリルポリオールのOH基とトリレンジイソシアネートのNCO基とは互いに等量とした。酢酸エチル溶液におけるアクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを合わせた固形分の濃度は5質量%とした。
【0068】
複合被膜層用組成物の作製においては、テトラエトキシシラン10.4gを0.1N(規定濃度)の塩酸89.6gに加え、この塩酸溶液を30分間撹拌して、テトラエトキシシランを加水分解した。加水分解後の固形分の濃度は、SiO2換算で3質量%とした。テトラエトキシシランの加水分解溶液と、ポリビニルアルコールの3質量%水溶液とを混合して複合被膜層用組成物とした。テトラエトキシシランの加水分解溶液と、ポリビニルアルコールとの配合比は、質量%換算で50対50とした。
【0069】
第1及び第2シリカ蒸着層の形成においては、その形成前に、蒸着する材料の種類などの蒸着条件を変更して好適な蒸着条件を決めた。シリカ蒸着層のO/Si比は、X線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製、JPS−90MXV)を用いて調べた。X線源は非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、X線出力100W(10kV−10mA)で測定した。シリカ蒸着層のO/Si比を求めるための定量分析は、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用いて行った。シリカ蒸着層の屈折率は、シリカ蒸着層の厚みと光干渉によって生じた透過率曲線のピークの波長を利用してシミュレーションによって算出した。
【0070】
(第1拡散フィルムの形成)
厚み50μmのPETフィルム基材の上に、粒子径3μmのオレフィン系粒子がウレタンバインダー中に分散された拡散層を、その厚みが5μmになるように塗工した。これにより、ヘイズ値60%(JIS K7136)の第1拡散フィルムを得た。
【0071】
(第1量子ドット保護フィルムの作製)
第1バリアフィルムの第2複合被膜層と、第2ポリエステルフィルムの拡散層と接する面とは反対側の面とを、接着剤層によって接着させて、第1量子ドット保護フィルムを作製した。2液硬化型のウレタン接着剤によって接着剤層を作製した。接着後の接着剤層の厚みは5μmであった。
【0072】
(第1量子ドットフィルムの作製)
CdSe/ZnSのコア・シェル構造をもつ蛍光体を以下の方法で得た。初めに、オクタデセンに、オクチルアミン及び酢酸カドミウムを添加した溶液と、トリオクチルホスフィンにセレンを溶解させた溶液とを質量比1:1で混合し、加熱したマイクロ流路を通過させて、核微粒子としてのCdSe微粒子溶液を得た。続いて、CdSe微粒子溶液と、[(CH
3)
2NCSS]
2Znをトリオクチルホスフィンに溶解させた溶液とを質量比で1:1となるように混合し、加熱されたマイクロ流路を通過させて、CdSe/ZnS構造の蛍光体を得た。得られた蛍光体を感光性樹脂(エポキシ樹脂)に混合し、量子ドット層用混合物を得た。続いて、第1量子ドット保護フィルムの第1バリアフィルム上に量子ドット層用混合物を塗布し、この量子ドット層用混合物が塗布された第1バリアフィルムの面と、第1量子ドット保護フィルムと同様の方法で作製した第2量子ドット保護フィルムの第2バリアフィルムの面とを合わせるようにして、第1量子ドット保護フィルムに第2量子ドット保護フィルムを積層した。量子ドット層用混合物にUV照射を行い、量子ドット層用混合物に含まれる感光性樹脂を硬化させた。これにより、量子ドット層が第1及び第2量子ドット保護フィルムによって挟まれた第1量子ドットフィルムを形成した。
【0073】
(バックライトユニットの作製)
得られた量子ドットフィルムに、LED光源と導光板とを組み合わせて、バックライトユニットを作製した。
【0074】
[実施例2]
実施例1と同様の工程により第1バリアフィルムと第3バリアフィルムとを作製した。実施例2では、接着剤層を介して、第1バリアフィルムと第3バリアフィルムとを貼り合せた。第3バリアフィルムのPETフィルムの上に、粒子径3μmのオレフィン系粒子がウレタンバインダー中に分散された拡散層を、その厚みが5μmになるように塗工した。ヘイズ値60%(JIS K7136)の第3量子ドット保護フィルムを得た。第3量子ドット保護フィルムを二つ用いて、実施例1と同様の方法によって、第2量子ドットフィルムを得た。
【0075】
[比較例1]
SiO蒸着材料のO/Si比を変更し、物理蒸着の条件を調整することにより、シリカ蒸着層のO/Si比を原子比で1.4、屈折率を1.75として、第1及び第2シリカ蒸着層を作製した。シリカ蒸着層のO/Si比と屈折率との値以外は、実施例1と同様の方法によって、第1量子ドットフィルムを得た。
【0076】
[比較例2]
SiO蒸着材料のO/Si比を変更し、物理蒸着の条件を調整することにより、シリカ蒸着層のO/Si比を原子比で2.1、屈折率を1.42として、第1及び第2シリカ蒸着層を作製した。シリカ蒸着層のO/Si比と屈折率との値以外は、実施例1と同様の方法によって、第1量子ドットフィルムを得た。
【0077】
<量子ドット保護フィルム及びバックライトユニットの評価>
表1は、実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2において作製した量子ドット保護フィルムの反射率及び透過率の評価結果を示す表である。
【0078】
表2は、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2において作製した量子ドット保護フィルムの水蒸気透過度、及び、バックライトユニットの輝度及び外観の評価結果を示す表である。
【0079】
表1及び表2において、第1量子ドット保護フィルムを用いた実施例及び比較例について、量子ドット保護フィルムの構成を第1と表記した。表1及び表2において、第3量子ドット保護フィルムを用いた実施例について、量子ドット保護フィルムの構成を第3と表記した。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
量子ドット保護フィルムの反射率及び透過率は、分光光度計(商品名:SHIMAZU UV−2450)を用い、波長450nm、540nm、及び620nmにおいて測定した。測定にあたっては、量子ドット保護フィルムの拡散層とは反対側の面から測定光を照射した。量子ドット保護フィルムの水蒸気透過度(g/m
2・day)は、水蒸気透過度測定装置(Modern Control社製のPermatran3/33)を用い、40℃/90%RH雰囲気下において測定した。
【0083】
バックライトユニットの輝度の測定、及び外観の評価は、60℃/90%RH雰囲気下での1,000時間保存実験の前後で実施された。表2において、初期とは、保存実験前を示し、保存後とは、保存実験後を示す。バックライトユニットの輝度は、輝度計(コニカミノルタ社製のLS−100)を用いて測定された。バックライトユニットの外観は、バックライトユニットとしてのディスプレイ用途に耐えうる外観を有する場合に「A」と評価し、ディスプレイに色のムラなどによる色調変化が見られ黒点などの色再現不良がある場合に「B」と評価した。表2において、「−」は評価不要を示す。
【0084】
表2に示されるように、実施例1及び実施例2のバリアフィルムを用いたバックライトユニットでは、量子ドットディスプレイの特長である高輝度が初期に備えられる上に、60℃/90%RH雰囲気の過酷な保存実験後においても、高輝度が維持することが確認された。バリアフィルムのバリア性が過酷な環境下でも維持されることが示された。バリア性が低いと、過酷な環境下に置かれた後のバックライトの輝度は低下する。
【0085】
比較例1では、シリカ蒸着層の屈折率が高いので、量子ドット保護フィルムの反射率が高く、同時に透過率が低い。透過率が低いと輝度は低く、外観も不透明となるので、ディスプレイ用途としての仕様を満たし難い。比較例2は、シリカ蒸着層の反射率が低いので、量子ドット保護フィルムの透明性(光透過性)が高い。その一方で、比較例2では、シリカ蒸着層のO/Si比が原子比で2.0を超えるので、バリア性が十分に発現せず、輝度が短期間で失われることが確認された。比較例2のバックライトユニットは、ディスプレイ用途としての信頼性に乏しいことが示された。
第1量子ドット保護フィルムは、シリカ蒸着層を含む第1バリアフィルムと、第1拡散層とを備える。シリカ蒸着層のO/Si比が原子比で1.7以上2.0以下であり、シリカ蒸着層の屈折率が1.5以上1.7以下であり、波長450nm、波長540nm及び波長620nmの全ての波長での第1量子ドット保護フィルムの反射率が10%以上20%以下であり、透過率が80%以上95%以下である。