(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5900765
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】配管吊下支持具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/14 20060101AFI20160324BHJP
F16L 3/08 20060101ALI20160324BHJP
H02G 3/22 20060101ALN20160324BHJP
F16B 1/00 20060101ALN20160324BHJP
E04B 9/18 20060101ALN20160324BHJP
【FI】
F16L3/14 B
F16L3/08 C
!H02G3/22 263
!F16B1/00 A
!E04B5/58 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-262509(P2014-262509)
(22)【出願日】2014年12月25日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591021958
【氏名又は名称】株式会社アカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 隆次郎
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3153546(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3153186(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3152657(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3153187(JP,U)
【文献】
特開2004−150452(JP,A)
【文献】
実用新案登録第2524340(JP,Y2)
【文献】
登録実用新案第3153185(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3153545(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/00− 3/26
F16B 1/00
F16B 2/10
E04B 9/18
H02G 3/04
H02G 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を抱持するバンド抱持部と該バンド抱持部の上端部に連接されたバンド端部を有する配管支持具であって、抱持した配管類を、天井スラブ等の取付面から2点又は3点支持する配管吊下支持具において、
2つのバンド抱持部によって配管類を抱持可能であり、該2つのバンド抱持部の下端部分を組式又は蝶番式の如き接続部により拡開可能に接続され、前記バンド端部がタンバックルの如き吊下接続部材に接続されることで吊りボルトからの吊下げが可能な構成の配管支持バンドから成り、
前記2つのバンド抱持部の各々について、
該バンド抱持部の下端部と略中央部との略中間部分を基点として、この略中間部分より上方のバンド抱持部が切起された状態で横方向外側に延伸する上方側係止部が形成され、
且つ、該バンド抱持部の前記上方側係止部の基点部分の下方を基点として、この基点部分より下方のバンド抱持部が切起された状態で横方向外側に延伸する下方側係止部が形成され、
この横方向外側に切起した下方側係止部が上方側係止部の少なくとも一部に重合された状態で重合係止部が形成されており、
更に、前記取付面に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を係合可能な透孔が、前記重合係止部に形成された構成であること、
を特徴とする配管吊下支持具。
【請求項2】
前記重合係止部の各々が、前記基点から外側水平方向に向かって延伸した形状を有する構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項3】
前記重合係止部の各々が、前記基点から外側斜め下方に向かって延伸した形状を有する構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項4】
前記重合係止部の各々が、前記基点から外側斜め上方に向かって延伸した状態であると共に、この延伸した部分の中途部分であって且つ前記透孔よりも基点側の部分から外側斜め下方に向かって折曲された状態又は彎曲された状態の構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項5】
前記重合係止部の各々が、前記基点から外側水平方向に向かって延伸した状態であると共に、この延伸した部分の中途部分であって且つ前記透孔よりも基点側の部分から外側斜め下方に向かって折曲された状態又は彎曲された状態の構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項6】
前記重合係止部の各々が、前記基点から外側水平方向に向かって延伸した状態であると共に、この延伸した部分の中途部分であって且つ前記透孔よりも基点側の部分から内側斜め上方に向かって折曲された状態又は彎曲された状態の構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管吊下支持具。
【請求項7】
前記上方側係止部と前記下方側係止部の各々が、その基点部分から前記バンド抱持部の外周面に沿って折り返し横方向外側に延伸するように折曲された状態で重合させた構成であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【請求項8】
前記取付面に一端が固定された吊りボルトにタンバックルを介して前記バンド端部がボルト・ナット固定され、
前記取付面に一端が固定され、吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端が、前記重合係止部の透孔にナットの如き係合手段を用いて係合された状態で、
前記吊りボルトと1本又は2本の吊下支持杆による2点又は3点吊下支持された状態の構成であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管吊下支持具に関し、詳しくは天井スラブ等の取付面に、水道管、ガス管、冷・暖房管等の各種配管を2点又は3点吊下支持する配管吊下支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井スラブ等の取付面に吊りボルト等の支持部材による吊下支持に加えて前記取付面から斜めに垂設した1本又は2本の吊下支持杆を付加すること等によって2点支持乃至は3点吊下支持したり、或いは2本の吊下支持杆によって2点吊下支持することで防振(防震)構造とした技術としては、例えば、特許文献1〜3に記載のもの等が知られている。
【0003】
特許文献1に示す技術では、従来構成のままの既存のタンバックル及び配管支持具に装着することで3点吊下支持可能な技術であるが、他部材である2枚の板状部材を必要とするため、かかる部品点数の増加によって現場での部品管理の煩雑さや装着時の手間等が新たに加わることとなっている。
【0004】
特許文献2及び3に示す技術は、配管支持具のバンド抱持部の外面に吊下支持杆との係合部が設けられているため、新たな部材の追加の問題はなく部品管理等の煩雑さ等は無いが、配管支持具自体のコストが上昇せざるを得ない。
【0005】
以上のことから、現場での部品管理や装着時の手間等が増すことなく、コストアップを抑制することができる配管吊下支持具の要請があることが判った。
【0006】
更に本発明者が当該技術について鋭意研究を続けたところ、強い横揺れが発生した場合、配管を抱持した状態で取付面から吊下げられる配管支持具は、取付面と吊りボルトとの接続部、吊りボルトとタンバックルとの接続部、タンバックルと配管支持具との接続部からバンド抱持部の上端部分までの部分、等の箇所に負荷がかかり、特に配管を抱持する部分の直上であるバンド抱持部の上端部分に大きな負荷がかかることが判った。
【0007】
本発明者の研究によれば、前記特許文献1〜3に示す技術では強い横揺れが発生した際には、取付面と吊りボルトとの接続部、吊りボルトとタンバックルとの接続部、タンバックルと配管支持具との接続部については防振(防震)性を発揮することができるが、バンド抱持部の上端部分での防振(防震)性については不充分な場合があることが判った。
【0008】
そこで本発明者は、配管を抱持するバンド抱持部の一部を切り起して切起し
て係止部を形成し、この切起し
た係止部に、取付面から吊下げられた1本又は2本の吊下げ支持杆を係合可能とすることにより、2点又は3点吊下げ支持可能な配管吊下支持具を先に提案した(特許文献4〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−150452号
【特許文献2】実用新案登録第2524340号
【特許文献3】登録実用新案第3148361号
【特許文献4】登録実用新案第3153185号
【特許文献5】登録実用新案第3153545号
【特許文献6】登録実用新案第3153546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者はかかる技術について更に研究を進めたところ、切起し
た係止部の強度の点等で改良すべき余地があることを見出した。
【0011】
そこで本発明の課題は、現場での部品管理や装着時の手間等が増すことなくコストアップを抑制することができ、且つ強い横揺れに対しても防振(防震)性を発揮することができ、しかも切起し
た係止部の強度がより向上した配管吊下支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0013】
1.配管を抱持するバンド抱持部と該バンド抱持部の上端部に連接されたバンド端部を有する配管支持具であって、抱持した配管類を、天井スラブ等の取付面から2点又は3点支持する配管吊下支持具において、
2つのバンド抱持部によって配管類を抱持可能であり、該2つのバンド抱持部の下端部分を組式又は蝶番式の如き接続部により拡開可能に接続され、前記バンド端部がタンバックルの如き吊下接続部材に接続されることで吊りボルトからの吊下げが可能な構成の配管支持バンドから成り、
前記2つのバンド抱持部の各々について、
該バンド抱持部の下端部と略中央部との略中間部分を基点として、この略中間部分より上方のバンド抱持部
が切起された状態で横方向外側に延伸する
上方側係止部が形成
され、
且つ、該バンド抱持部の前記
上方側係止部の基点部分の下方を基点として、この基点部分より下方のバンド抱持部
が切起された状態で横方向外側に延伸する
下方側係止部が形成
され、
この横方向外側に切起した
下方側係止部が
上方側係止部の少なくとも一部に重合
された状態で重合係止部が形成されており、
更に、前記取付面に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端を係合可能な透孔が、前記
重合係止部に形成された構成であること、
を特徴とする配管吊下支持具。
【0014】
2.前記
重合係止部の各々が、前記基点から外側水平方向に向かって延伸した形状を有する構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【0015】
3.前記
重合係止部の各々が、前記基点から外側斜め下方に向かって延伸した形状を有する構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【0016】
4.前記
重合係止部の各々が、前記基点から外側斜め上方に向かって
延伸した状態であると共に、この延伸した部分の中途部分であって且つ前記透孔よりも基点側の部分から外側斜め下方に向かって
折曲された状態又
は彎曲された状態の構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【0017】
5.前記
重合係止部の各々が、前記基点から外側水平方向に向かって
延伸した状態であると共に、この延伸した部分の中途部分であって且つ前記透孔よりも基点側の部分から外側斜め下方に向かって
折曲された状態又は
彎曲された状態の構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【0018】
6.前記
重合係止部の各々が、前記基点から外側水平方向に向かって
延伸した状態であると共に、この延伸した部分の中途部分であって且つ前記透孔よりも基点側の部分から内側斜め上方に向かって
折曲された状態又は
彎曲された状態の構成であることを特徴とする上記1に記載の配管吊下支持具。
【0019】
7.前記
上方側係止部と前記
下方側係止部の各々が、その基点部分から前記バンド抱持部の外周面に沿って
折り返し横方向外側に延伸するように
折曲された状態で重合させた構成であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【0020】
(削除)
【0021】
(削除)
【0022】
8.前記取付面に一端が固定された吊りボルトにタンバックルを介して前記バンド端部がボルト・ナット固定
され、
前記取付面に一端が固定され、吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆の他端
が、前記
重合係止部の透孔にナットの如き係合手段を用いて
係合された状態で、
前記吊りボルトと1本又は2本の吊下支持杆による2点又は3点吊下支持
された状態の構成であることを特徴とする上記
1〜7のいずれかに記載の配管吊下支持具。
【発明の効果】
【0023】
請求項1又は
8に示す発明によれば、現場での部品管理や装着時の手間等が増すことなくコストアップを抑制することができ、且つ強い横揺れに対しても防振(防震)性を発揮することができ、しかも
切り起した係止部の強度がより向上した配管吊下支持具を提供することができる。
【0024】
また、吊りボルトによる吊下支持に加えて、横揺れに対する防振(防震)性を発揮する吊下支持杆を、配管支持具のバンド抱持部の略中間部分より下方に位置する
重合係止部に係合する構成によって、配管を抱持する部分であるバンド抱持部を支持することになるので、極めて効果的に横揺れに対する防振(防震)性を発揮させることができる。従って、横揺れ時に生じる、取付面と吊りボルトとの接続部、吊りボルトとタンバックルとの接続部、タンバックルと配管支持具との接続部からバンド抱持部の上端部分までの部分、等の各箇所への負荷を著しく減じることができ、極めて強力な耐震性を発揮させることができる。
【0025】
更に、
重合係止部は、バンド抱持部を切り起こすだけで加工可能であるため、別部材を付加することもないし、切り取り加工等によって廃棄が必要となる部材も生じることもなく、低コスト化が可能なだけでなく、環境適正にも優れている。
【0026】
特に、
重合係止部は、
上方側係止部と
下方側係止部とを重合させた2枚構成を有するので1枚構成に比して強度が増すことになり、横揺れ時の捻りに対する防振(防震)性をより発揮させることができる。
【0027】
請求項2に示す発明によれば、吊りボルトと平行状態に吊下げられる吊下支持杆に係合することができる。
【0028】
請求項3に示す発明によれば、
重合係止部の角度を調整することにより吊下支持杆との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。
【0029】
請求項4に示す発明によれば、
重合係止部の角度を調整することにより吊下支持杆との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。特に、この
重合係止部の角度の調整は、切起し部分の切起し角度と中途部分の折曲角度又は彎曲角度の二箇所で調整することができるので調整の自由度が極めて高い。
【0030】
更に、
重合係止部が中途部分で折曲又は彎曲する構成によって、この折曲又は彎曲した中途部分が横揺れ時に緩衝機能を発揮することになるので振動(震動)を吸収することができる。従って、極めて高い防振(防震)効果を発揮することができる。
【0031】
請求項5に示す発明によれば、
重合係止部の角度を調整することにより吊下支持杆との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。特に、この
重合係止部の角度の調整は、切起し部分の切起し角度と中途部分の折曲角度又は彎曲角度の二箇所で調整することができるので調整の自由度が極めて高い。
【0032】
更に、
重合係止部が中途部分で折曲又は彎曲する構成によって、この折曲又は彎曲した中途部分が横揺れ時に緩衝機能を発揮することになるので振動(震動)を吸収することができる。従って、極めて高い防振(防震)効果を発揮することができる。
【0033】
請求項6に示す発明によれば、
重合係止部の角度を調整することにより吊下支持杆との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。特に、この
重合係止部の角度の調整は、切起し部分の切起し角度と中途部分の折曲角度又は彎曲角度の二箇所で調整することができるので調整の自由度が極めて高い。
【0034】
更に、
重合係止部が中途部分で内側斜め上方に向かって折曲又は彎曲する構成によって、この内側斜め上方に向かって折曲又は彎曲した中途部分が横揺れ時に緩衝機能が強く発揮することになるので振動(震動)を吸収することができる。従って、とりわけ高い防振(防震)効果を顕著に発揮することができる。
【0035】
請求項7に示す発明によれば、
重合係止部の基点部分の強度低下を抑制することができる。
【0036】
(削除)
【0037】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明に係る配管吊下支持具の一実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、A−A断面図)
【
図2】
図1に示す配管吊下支持具の使用例の一例を示す概略正面図
【
図4】本発明に係る配管吊下支持具の第2実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、A−A断面図)
【
図5】
図4に示す配管吊下支持具の使用例の一例を示す概略正面図
【
図6】本発明に係る配管吊下支持具の第3実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、A−A断面図)
【
図7】
図6に示す配管吊下支持具の使用例の一例を示す概略正面図
【
図8】本発明に係る配管吊下支持具の第4実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、A−A断面図)
【
図9】
図8に示す配管吊下支持具の使用例の一例を示す概略正面図
【
図10】本発明に係る配管吊下支持具の第5実施例を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、A−A断面図)
【
図11】
図10に示す配管吊下支持具の使用例の一例を示す概略正面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
【0040】
本発明に係る配管吊下支持具(以下、単に支持具と言うこともある。)1は、
図1に示すような具体的構成を有し、使用に際しては
図2に示すように配管Pを抱持した状態で天井スラブ等の取付面2に固定された吊りボルト3及び吊下支持杆4による防振状態で2点又は3点(
図2は3点)吊下支持する際に用いるものである。
【0041】
支持具1の具体的構成としては、
図1に示すように、配管吊下支持具本体が2つのバンド抱持部11・11によって配管Pを抱持状態で支持する一般的な構成及び素材(金属製)の配管支持バンドを基本構成とし、該2つのバンド抱持部11・11の下端部分を組式又は蝶番式(本実施例では蝶番式)の如き接続部12により拡開可能に接続され、前記2つのバンド抱持部11・11の上端部から連接されているバンド端部13・13がタンバックルの如き吊下接続部材31に接続されることで吊りボルトからの吊下げが可能な構成の配管支持バンドから成り、
前記2つのバンド抱持部11・11の各々について、
該バンド抱持部11の下端部と略中央部との略中間部分を基点として、この略中間部分より上方のバンド抱持部11
が切起された状態で横方向外側に延伸する
上方側係止部14A
が形成
され、
且つ、該バンド抱持部11の前記
上方側係止部14Aの基点部分の下方を基点として、この基点部分より下方のバンド抱持部11
が切起された状態で横方向外側に延伸する
下方側係止部14B
が形成
され、
この横方向外側に切起した
下方側係止部14Aが
上方側係止部14Bの少なくとも一部に重合
された状態で重合係止部14が形成されており、
更に、前記取付面2に一端が固定されて吊下げられる1本又は2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4の他端を係合可能な透孔15が、前記
重合係止部14に形成された構成である。
尚、
図1に示す符号11A・11Bは、
重合係止部14が切り起こされることで孔部となったバンド抱持部11の被切起し孔部である。
【0042】
重合係止部14・14を構成する
上方側係止部14Aと
下方側係止部14Bの各々は、バンド抱持部11の下端部と略中央部との略中間部分を基点として切起してから外側に方向に向かって立ち上げる際に、
図3に示すように、各々の基点部分から前記バンド抱持部
11・11の外周面に沿って折り返してから横方向外側に延伸するように折り曲げて重合される構成とすることが好ましい。
図3に示す符号14Cは、バンド抱持部
11の外周面に沿って折り返した折り返し部である。かかる構成によれば、
重合係止部14・14の基点部分の強度低下を抑制することができる。
【0043】
更に、
重合係止部14・14を構成する
上方側係止部14Aと
下方側係止部14Bの各々について、各々の切起した基点部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強する構成が好ましく、かかる構成によれば、切起し部分の破断や裂けを抑制できるので、この切起した起点部分の強度を高くすることができる。
【0044】
更にまた、
重合係止部14を構成する
上方側係止部14Aと
下方側係止部14Bとは、その重合部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合する構成が好ましく、かかる構成によれば、
重合係止部14の重合部分の強度を高くすることができる。
【0045】
次に、前記
重合係止部14の延伸方向構成について第1実施例〜第5実施例に基づき説明する。
【0046】
図1及び
図2に示す第1実施例では、
重合係止部14・14の各々が、バンド抱持部11・11の各々の下端部と略中央部との略中間部分の基点から外側斜め上方に向かって延伸すると共に、この延伸した部分の中途部分14Dであって且つ前記透孔15よりも基点側の部分から外側斜め下方に向かって折曲又は彎曲する構成となっている。かかる構成によれば、
重合係止部14・14の中途部分14Dの折曲角度又は彎曲角度を調整することにより吊下支持杆4との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。
【0047】
尚、本第1実施例において、
重合係止部14の中途部分14Dから先端部分の彎曲又は折曲方向は、取付面2からの吊下支持杆4(
図2参照)の斜め吊下角度に応じて適宜設定されることが好ましく、具体的な角度としては、好ましくはバンド端部13を下方に延長した線に対して30〜85度、より好ましくは45〜60度の範囲であり、防振(防震)性の観点から吊下支持杆4の斜め吊下角度は概ね45度の角度であることが好ましいことから、
重合係止部14の透孔15が設けられた部分の角度も概ね45度であることがとりわけ好ましい。尚、この角度設定の際、中途部分14Dの角度だけでなく、バンド抱持部11の基点部分における切起し角度も併せて調整することで角度設定することが好ましい。
【0048】
上記構成を有する本発明の配管吊下支持具1の第1実施例の使用に際しては、
図2に示すように、天井スラブ等の取付面2に一端が固定された吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで支持具1を前記取付面2に吊下支持し、更に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4・4の他端を、前記透孔15・15にナットの如き係合手段41を用いて係合することにより、前記吊りボルト3と2本の吊下支持杆4・4による3点吊下支持することができる。
【0049】
図4及び
図5に示す第2実施例では、
重合係止部14・14の各々が、バンド抱持部11・11の各々の上端部と略中央部との略中間部分の基点から外側水平方向に向かって延伸すると共に、この延伸した部分の中途部分14Dであって且つ前記透孔15よりも基点側の部分から外側斜め下方に向かって折曲又は彎曲する構成となっている。かかる構成によれば、
重合係止部14・14の中途部分14Dの折曲角度又は彎曲角度を調整することにより吊下支持杆4との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。
【0050】
尚、本第2実施例において、
重合係止部14の中途部分14Dから先端部分の彎曲又は折曲方向は、取付面2からの吊下支持杆4(
図5参照)の斜め吊下角度に応じて適宜設定されることが好ましく、具体的な角度としては、好ましくはバンド端部13を下方に延長した線に対して30〜85度、より好ましくは45〜60度の範囲であり、防振(防震)性の観点から吊下支持杆4の斜め吊下角度は概ね45度の角度であることが好ましいことから、
重合係止部14の透孔15が設けられた部分の角度も概ね45度であることがとりわけ好ましい。
【0051】
上記構成を有する本発明の配管吊下支持具1の第2実施例の使用に際しては、
図5に示すように、天井スラブ等の取付面2に一端が固定された吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで支持具1を前記取付面2に吊下支持し、更に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4・4の他端を、前記透孔15・15にナットの如き係合手段41を用いて係合することにより、前記吊りボルト3と2本の吊下支持杆4・4による3点吊下支持することができる。
【0052】
図6及び
図7に示す第3実施例では、
重合係止部14・14の各々が、バンド抱持部11・11の各々の上端部と略中央部との略中間部分の基点から外側斜め下方に向かって延伸した形状を有する構成となっている。かかる構成によれば、
重合係止部14・14の基点部分からの切起し角度を調整することにより吊下支持杆4との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。
【0053】
尚、本第3実施例において、
重合係止部14の基点部分からの切起し角度は、取付面2からの吊下支持杆4(
図7参照)の斜め吊下角度に応じて適宜設定されることが好ましく、具体的な角度としては、好ましくはバンド端部13を下方に延長した線に対して30〜85度、より好ましくは45〜60度の範囲であり、防振(防震)性の観点から吊下支持杆4の斜め吊下角度は概ね45度の角度であることが好ましいことから、
重合係止部14の角度も概ね45度であることがとりわけ好ましい。
【0054】
上記構成を有する本発明の配管吊下支持具1の第3実施例の使用に際しては、
図7に示すように、天井スラブ等の取付面2に一端が固定された吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで支持具1を前記取付面2に吊下支持し、更に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4・4の他端を、前記透孔15・15にナットの如き係合手段41を用いて係合することにより、前記吊りボルト3と2本の吊下支持杆4・4による3点吊下支持することができる。
【0055】
図8及び
図9に示す第4実施例では、
重合係止部14・14の各々が、バンド抱持部11・11の各々の上端部と略中央部との略中間部分の基点から外側水平方向に向かって延伸すると共に、この延伸した部分の中途部分14Dであって且つ前記透孔15よりも基点側の部分から内側斜め上方に向かって折曲又は彎曲する構成となっている。かかる構成によれば、
重合係止部14・14の中途部分14Dの折曲角度又は彎曲角度を調整することにより吊下支持杆4との係合角度等を施工現場の状況に合わせて容易に調整することができる。
【0056】
尚、本第4実施例において、
重合係止部14の中途部分14Dから先端部分の彎曲又は折曲方向は、取付面2からの吊下支持杆4(
図9参照)の斜め吊下角度に応じて適宜設定されることが好ましく、具体的な角度としては、好ましくはバンド端部13を下方に延長した線に対して30〜85度、より好ましくは45〜60度の範囲であり、防振(防震)性の観点から吊下支持杆4の斜め吊下角度は概ね45度の角度であることが好ましいことから、
重合係止部14の透孔15が設けられた部分の角度も概ね45度であることがとりわけ好ましい。
【0057】
上記構成を有する本発明の配管吊下支持具1の第4実施例の使用に際しては、
図9に示すように、天井スラブ等の取付面2に一端が固定された吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで支持具1を前記取付面2に吊下支持し、更に、前記取付面2に一端が固定され、斜め吊下げする2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4・4の他端を、前記透孔15・15にナットの如き係合手段41を用いて係合することにより、前記吊りボルト3と2本の吊下支持杆4・4による3点吊下支持することができる。
【0058】
以上の第1実施例〜第4実施例は、吊下支持杆4の斜め吊下げ支持によって3点支持する態様について説明したが、本発明に用いられる吊下支持杆4は斜め吊下げ支持に限らず、吊りボルト3と平行状態に吊下げられる態様も含むものである。
【0059】
即ち、
図10及び
図11に示す第5実施例では、
重合係止部14・14の各々が、バンド抱持部11・11の各々の上端部と略中央部との略中間部分の基点から外側水平方向に向かって延伸した形状を有する構成となっている。かかる構成によれば、吊りボルト3と平行状態に吊下げられる吊下支持杆4に係合することができる。
【0060】
上記構成を有する本発明の配管吊下支持具1の第5実施例の使用に際しては、
図11に示すように、天井スラブ等の取付面2に一端が固定された吊りボルト3にタンバックルの如き吊下接続部材31を介してバンド端部13をボルト・ナット16により固定することで支持具1を前記取付面2に吊下支持し、更に、前記取付面2に一端が固定され、前記吊りボルト3と平行状態で吊下げする2本の吊りボルトの如き吊下支持杆4・4の他端を、前記透孔15・15にナットの如き係合手段41を用いて係合することにより、前記吊りボルト3と2本の吊下支持杆4・4による3点吊下支持することができる。
【0061】
以上、本発明に係る配管吊下支持具の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において種々の他の態様を採ることもできる。
【0062】
例えば、
図2に示す上記実施例では、吊下支持杆4を2本としたが、該吊下支持杆4は施工現場の状況等の諸条件に応じて1本であってもよく、かかる諸条件に応じて2つの
重合係止部14・14のいずれか一方に形成された透孔15のみに吊下支持杆4を係合することで、吊りボルト3と1本の吊下支持杆4による2点吊下支持とすることもできる。
【0063】
また、本発明の支持具1は、基本構成をバンド抱持部11・11によって配管Pを抱持する構成の配管支持具とするが、かかる配管支持具の基本構成としては、この種の配管支持具として公知公用の構成及び素材を有する種々仕様のものを基本構成として採ることができる。例えば、上記実施例では、バンド抱持部11・11の接続部12が蝶番式の構成であるが、組式構成の接続部を有する配管支持具であってもよい。
【0064】
更に、
重合係止部14に形成される透孔15は、
図1に示すように丸孔でもよいが、
重合係止部14の切起し方向(配管軸直交方向でもある方向)に長径を有する長孔であってもよい。長孔とすることで、透孔15に係合する吊下支持杆4の斜め角度を長孔の長径方向に微調整することができる。
【0065】
更にまた、
図3に示す実施例では
重合係止部14・14の切起し構成について、各々の基点部分からバンド抱持部
11・11の外周面に沿って折り返してから横方向に外側に延伸するように折り曲げる構成であったが、本発明はこの構成に限定されず、例えば、
図12に示すように、
重合係止部14・14の基点部分においてバンド抱持部
11・11の外周面に沿わせることなく切起した部分から外側方向に向かって立ち上げ、立ち上がった
下方側係止部14Aを、同様に立ち上がった
上方側係止部14Bの少なくとも一部に重合された構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0066】
1 配管吊下支持具
11 バンド抱持部
11A 被切起し孔部
11B 被切起し孔部
12 接続部
13 バンド端部
14
重合係止部
14A
上方側係止部
14B
下方側係止部
14C 折り返し部
14D 中途部分
15 透孔
16 ボルト・ナット
2 取付面
3 吊りボルト
31 吊下接続部材
4 吊下支持杆
41 係合手段
P 配管
【要約】 (修正有)
【課題】現場での部品管理や装着時の手間等が増すことなくコストアップを抑制でき、強い横揺れに対しても防振(防震)性を発揮することができ、切起し係止部の強度がより向上した配管吊下支持具を提供する。
【解決手段】2つのバンド抱持部11とバンド端部13を有し、配管吊下支持具1において、バンド抱持部の下端部分を組式又は蝶番式の如き接続部12により拡開可能に接続され、バンド端部が吊下接続部材に接続されることで吊りボルトからの吊下げが可能な構成の配管支持バンドから成り、2つのバンド抱持部の各々の下端部と略中央部との略中間部分より上方部分を切起す上方側切起し係止部14Aと、該上方側切起し係止部の基点部分より下方部分を切起す下方側切起し係止部14Bと、を重合してなる重合切起し係止部14が形成されており、少なくとも上方側切起し係止部に、吊下支持杆の他端を係合する透孔15が形成された。
【選択図】
図1