特許第5900801号(P5900801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900801
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】仕切弁の弁蓋撤去工法及び仕切弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 43/00 20060101AFI20160324BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   F16K43/00
   F16L55/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-170466(P2012-170466)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-29195(P2014-29195A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】597033085
【氏名又は名称】岡山市
(73)【特許権者】
【識別番号】397012923
【氏名又は名称】大成機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100144761
【弁理士】
【氏名又は名称】中条 均
(72)【発明者】
【氏名】宗友 信夫
(72)【発明者】
【氏名】矢野 光信
(72)【発明者】
【氏名】安井 忍
(72)【発明者】
【氏名】森 充弘
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−120889(JP,A)
【文献】 国際公開第1998/032996(WO,A1)
【文献】 特開2009−162254(JP,A)
【文献】 特開2008−75675(JP,A)
【文献】 特開2008−69831(JP,A)
【文献】 特開2010−116950(JP,A)
【文献】 特表2006−527832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 43/00
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体配管系に接続される弁箱と、この弁箱の弁体装着口部に設けた第1連結部にボルト・ナットにて固定連結される第2連結部を備えた弁蓋と、当該弁蓋に貫設された弁棒を介して弁箱の弁体装着口部から脱着自在に装着される弁体とを備えた仕切弁のうち、前記弁体及び弁棒を備えた弁蓋を不断水状態で弁箱から撤去する仕切弁の弁蓋撤去工法であって、
前記弁箱の第1連結部に、少なくとも前記第2連結部を含む弁蓋の一部を囲繞する環状取付け枠を水密状態で取付ける工程と、
この環状取付け枠に設けた押え手段により、前記弁蓋の第2連結部を前記弁箱の第1連結部に対して水密状態に押付け固定する工程と、
前記第1・第2連結部を固定連結している前記ボルト・ナットを撤去する工程と、
前記弁箱に設けられた反力受け部に装備の押圧止水手段により、第1連結部のボルト挿通孔を下面側から押圧状態で止水する工程と、
前記環状取付け枠に、作業用開閉弁及び前記弁蓋に連結される昇降搬送手段を備えた作業ハウジングを取付ける工程と、
前記押え手段の押付け固定を解除し、前記昇降搬送手段にて弁蓋を作業ハウジング内の格納空間内に取り出したのち、前記作業用開閉弁を閉弁操作する工程と、
作業ハウジング内の格納空間内に取り出された弁蓋を撤去する工程と、
を備えている仕切弁の弁蓋撤去工法。
【請求項2】
前記押え手段が、前記弁蓋に脱着自在に装着された押え部材を介して前記弁蓋の第2連結部を前記弁箱の第1連結部に対して水密状態に押付け固定するように構成されている請求項1記載の仕切弁の弁蓋撤去工法。
【請求項3】
前記押圧止水手段には、前記第1連結部のボルト挿通孔を通して前記第2連結部のボルト挿通孔に係入する止水ガイド部が設けられている請求項1又は2記載の仕切弁の弁蓋撤去工法。
【請求項4】
前記反力受け部が、前記弁箱のうち、流体配管系に接続される横向き弁箱部の中間部位に対して直交する縦向き弁箱部の外面に突出形成された突起部と、この突起部に挾持固定される分割挾持リングとから構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕切弁の弁蓋撤去工法。
【請求項5】
前記反力受け部が、前記弁箱のうち、流体配管系に接続される横向き弁箱部の中間部位に対して直交する縦向き弁箱部の外面に挾持固定される分割挾持リングと、当該分割挾持リングに作用する反力を横向き弁箱部に受止め支持させる脚部とから構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕切弁の弁蓋撤去工法。
【請求項6】
前記環状取付け枠が、前記弁箱の第1連結部における前記弁蓋の第2連結部よりも径方向外方に突出する部位に水密状態で挾持固定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の仕切弁の弁蓋撤去工法。
【請求項7】
請求項4に記載の仕切弁の弁蓋撤去工法に用いられる仕切弁であって、前記弁箱の縦向き弁箱部の外面に、前記突起部が前記第1連結部と平行又は略平行な姿勢で環状に一体形成されている仕切弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体配管系に接続されている仕切弁のうち、弁箱に比して寿命の短い弁体が設定耐久年数に至ったとき、或いは、弁体の作動不良が発生したときなど、この弁体及び弁棒を備えた弁蓋を不断水状態で弁箱から撤去する仕切弁の弁蓋撤去工法、及び、それに用いられる仕切弁の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
流体配管系に接続される仕切弁としては、一般に、弁箱の弁体装着口部に形成されている第1連結部としてのフランジと弁蓋に形成されている第2連結部としてのフランジとをボルト・ナットで水密状態に締付け固定している仕切弁が用いられている。
【0003】
このような一般的な仕切弁を用いた弁蓋撤去工法として、従来では、
仕切弁の弁箱に連通接続されている上流側及び下流側の両流体管に、当該両流体管の一部を含む状態で仕切弁の略全体を囲繞する分割構造の下部ハウジングを水密状態で取付ける工程、
下部ハウジングに設けたフランジ挾持装置により、弁箱のフランジと弁蓋のフランジとを外方から挟み込み固定して両フランジ間を水密状態に維持する工程、
弁箱のフランジと弁蓋のフランジとを締付け固定しているボルト・ナットを取り外す工程、
仕切弁の弁棒の上端部に、上部ハウジングに装備される昇降搬送装置の昇降軸を構成する複数の分割昇降軸部のうち、下方側の分割昇降軸部の下端部を連結する工程、
下部ハウジングの上側開口部のフランジに、作業用開閉弁の下側フランジをボルト・ナットで水密状態に固定連結する工程、
上部ハウジングに装備されている昇降搬送装置の上方側の分割昇降軸部を、仕切弁の弁棒に連結されている下方側の分割昇降軸部に連結するとともに、作業用開閉弁の上側フランジに、上部ハウジングの下側フランジをボルト・ナットで水密状態に固定連結する工程、
フランジ挾持装置による弁箱のフランジと弁蓋のフランジとの挟み込み固定を解除したのち、昇降搬送装置の昇降軸を上昇操作して、弁体及び弁棒を備えた弁蓋を上部ハウジングの格納空間内に取り出し、作業用開閉弁を閉弁操作する工程、
上部ハウジングの格納空間内に取り出された弁蓋を撤去する工程、
上記工程を備えた弁蓋撤去工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−177945
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の仕切弁の弁蓋撤去工法では、両流体管の一部を含む状態で仕切弁の略全体を囲繞するための大きな分割構造の下部ハウジングが必要で、しかも、これに伴って作業ピットの掘削容積も大きくなるため、工事が大掛かりになり、工事コストが高騰する不都合がある。
【0006】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、弁体及び弁棒を備えた弁蓋の不断水状態での撤去作業を工事コストの低廉化を図りながら、弁箱の第1連結部に形成されているボルト挿通孔からの漏水を確実に防止した状態で能率良く容易に行うことのできる仕切弁の弁蓋撤去工法、及び、その撤去作業の能率化、容易化に貢献する仕切弁を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の特徴構成は、流体配管系に接続される弁箱と、この弁箱の弁体装着口部に設けた第1連結部にボルト・ナットにて固定連結される第2連結部を備えた弁蓋と、当該弁蓋に貫設された弁棒を介して弁箱の弁体装着口部から脱着自在に装着される弁体とを備えた仕切弁のうち、前記弁体及び弁棒を備えた弁蓋を不断水状態で弁箱から撤去する仕切弁の弁蓋撤去工法であって、
前記弁箱の第1連結部に、少なくとも前記第2連結部を含む弁蓋の一部を囲繞する環状取付け枠を水密状態で取付ける工程と、
この環状取付け枠に設けた押え手段により、前記弁蓋の第2連結部を前記弁箱の第1連結部に対して水密状態に押付け固定する工程と、
前記第1・第2連結部を固定連結している前記ボルト・ナットを撤去する工程と、
前記弁箱に設けられた反力受け部に装備の押圧止水手段により、第1連結部のボルト挿通孔を下面側から押圧状態で止水する工程と、
前記環状取付け枠に、作業用開閉弁及び前記弁蓋に連結される昇降搬送手段を備えた作業ハウジングを取付ける工程と、
前記押え手段の押付け固定を解除し、前記昇降搬送手段にて弁蓋を作業ハウジング内の格納空間内に取り出したのち、前記作業用開閉弁を閉弁操作する工程と、
作業ハウジング内の格納空間内に取り出された弁蓋を撤去する工程と、
を備えている点にある。
【0008】
上記構成によれば、設定耐久年数に至った弁体、或いは、作動不良が発生した弁体等を備えた弁蓋を撤去する場合、先ず、弁箱の第1連結部に環状取付け枠を水密状態で取付け、この環状取付け枠に、作業用開閉弁及び前記弁蓋に連結される昇降搬送手段を備えた作業ハウジングを水密状態で取付けるので、両流体管の一部を含む状態で仕切弁の略全体を囲繞する分割構造の下部ハウジングを用いる従来工法に比して、仕切弁の下部側及び両流体管の一部の囲繞に要していたハウジングの削減を図ることができるとともに、それに伴って作業ピットの掘削容積も減少することができる。
【0009】
また、作業ハウジングを取付ける以前の工程において、弁箱の第1連結部に取付けられている環状取付け枠の押え手段によって、弁蓋の第2連結部を弁箱の第1連結部に対して水密状態に押付け固定するから、この状態で第1・第2連結部を固定連結しているボルト・ナットを撤去しても、両連結部の接合面間から第1連結部に形成されているボルト挿通孔を通して漏水することがない。
【0010】
しかも、押え手段による弁蓋の押付け固定を解除操作する場合には、弁蓋に連結されている作業ハウジング側の昇降搬送手段にて弁蓋側に作用する水圧を受止め支持させることができるので、押え手段の押付け固定解除操作を軽い力で容易に行うことができる。
【0011】
さらに、昇降搬送手段にて弁蓋を作業ハウジング内の格納空間内に取り出すときには、第1連結部のボルト挿通孔は、弁箱に設けられた反力受け部に装備の押圧止水手段によって下面側から押圧状態で止水されているので、弁箱の弁体装着口部から流出する水が第1連結部に形成されているボルト挿通孔を通して漏洩することを確実に防止することができる。
【0012】
したがって、弁体及び弁棒を備えた弁蓋の不断水状態での撤去作業を工事コストの低廉化を図りながら、弁箱の第1連結部に形成されているボルト挿通孔からの漏水を確実に防止した状態で能率良く容易に行うことができる。
【0013】
本発明による第2の特徴構成は、前記押え手段が、前記弁蓋に脱着自在に装着された押え部材を介して前記弁蓋の第2連結部を前記弁箱の第1連結部に対して水密状態に押付け固定するように構成されている点にある。
【0014】
上記構成によれば、弁蓋の上面に存在する構成部材に邪魔されることなく、弁蓋に装着された押え部材を介して弁蓋の第2連結部を弁箱の第1連結部に確実、容易に押付け固定することができる。
【0015】
本発明による第3の特徴構成は、前記押圧止水手段には、前記第1連結部のボルト挿通孔を通して前記第2連結部のボルト挿通孔に係入する止水ガイド部が設けられている点にある。
【0016】
上記構成によれば、弁箱に設けられた反力受け部と弁箱の第1連結部との間で押圧止水手段が突っ張り固定されている状態において、例えば、少なくとも新たな弁体が装備された別の弁蓋を取付ける際、別の弁蓋の第2連結部が弁箱の第1連結部に当接したとき、前記押圧止水手段の止水ガイド部が第1連結部のボルト挿通孔を通して第2連結部のボルト挿通孔に係入しているため、ボルト・ナットによる別の弁蓋の第2連結部と弁箱の第1連結部との固定連結作業を確実・容易に行うことができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記反力受け部が、前記弁箱のうち、流体配管系に接続される横向き弁箱部の中間部位に対して直交する縦向き弁箱部の外面に突出形成された突起部と、この突起部に挾持固定される分割挾持リングとから構成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、弁箱に設けられた反力受け部の分割挾持リングと弁箱の第1連結部との間で押圧止水手段が突っ張り固定される際の大きな反力を、分割挾持リングが係合状態で挾持固定されている頑丈な弁箱側の突起部にて確実に受止め支持させることができる。
【0019】
それ故に、分割挾持リングが弁箱の外面に挾持状態で締付け固定されている場合のように、分割挾持リングが弁箱の外面に沿ってずれ落ちないように支えるための荷重支持装置を別途設ける必要がなく、工事費の低減化を促進することができるとともに、施工現場での組付け作業の容易化、能率化を図ることができる。
【0020】
しかも、突起部が弁箱の縦向き弁箱部に形成されているので、この突起部から第1連結部までの距離が短くなり、押圧止水手段のコンパクト化を図ることができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記反力受け部が、前記弁箱のうち、流体配管系に接続される横向き弁箱部の中間部位に対して直交する縦向き弁箱部の外面に挾持固定される分割挾持リングと、当該分割挾持リングに作用する反力を横向き弁箱部に受止め支持させる脚部とから構成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、弁箱の第1連結部と弁箱の縦向き弁箱部の外面に挾持固定された分割挾持リングとの間で押圧止水手段を突っ張り固定したとき、分割挾持リングに作用する大きな反力を、脚部を介して頑丈な弁箱側の横向き弁箱部にて確実に受止め支持させることができる。
【0023】
しかも、分割挾持リングと反力伝達用の脚部とを準備するだけで、既設の一般的な仕切弁に対しても、弁体及び弁棒を備えた弁蓋の不断水状態での撤去作業において、弁箱の第1連結部のボルト挿通孔を下面側から確実、簡単に止水処理することができる。
【0024】
本発明による第6の特徴構成は、前記環状取付け枠が、前記弁箱の第1連結部における前記弁蓋の第2連結部よりも径方向外方に突出する部位に水密状態で挾持固定されている点にある。
【0025】
上記構成によれば、弁蓋側の第2連結部よりも径方向外方に突出する弁箱側の第1連結部の突出部位を利用して環状取付け枠を係合状態で簡単に挾持固定することができるので、環状取付け枠に作用する作業用開閉弁及び昇降搬送手段を備えた作業ハウジングの荷重と昇降搬送手段で取り出される弁蓋の荷重とが作用しても、この大きな荷重を頑丈な弁箱側の第1連結部の突出部位にて確実に受止め支持させることができる。
【0026】
本発明による第7の特徴構成は、第4特徴構成の仕切弁の弁蓋撤去工法に用いられる仕切弁であって、前記弁箱の縦向き弁箱部の外面に、前記突起部が前記第1連結部と平行又は略平行な姿勢で環状に一体形成されている点にある。
【0027】
上記構成によれば、弁箱に設けられた反力受け部の分割挾持リングと弁箱の第1連結部との間で押圧止水手段を突っ張り固定する際の大きな反力を、分割挾持リングが係合状態で挾持固定されている頑丈な弁箱側の突起部にて確実に受止め支持させることができ、しかも、この突起部が第1連結部と平行又は略平行な姿勢で環状に一体形成されているため、押圧止水手段の取付けの容易化と姿勢の安定化を図ることができるとともに、突起部による荷重支持機能を向上することができる。
【0028】
それ故に、分割挾持リングが弁箱の平滑な外面に挾持状態で締付け固定されている場合のように、分割挾持リングが弁箱の外面に沿ってずれ落ちないように支えるための荷重支持装置を別途設ける必要がなく、工事費の低減化を促進することができるとともに、施工現場での組付け作業の容易化、能率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態を示す水道配管系の仕切弁接続箇所の一部切欠側面図
図2】環状取付け枠を取付けたときの一部切欠側面図
図3】押え手段で押付け固定したときの一部切欠側面図
図4】作業ハウジングを取付けたときの一部切欠側面図
図5】弁蓋を作業ハウジングの格納空間に取り出したときの一部切欠側面図
図6】本発明の第2実施形態を示す水道配管系の仕切弁接続箇所の一部切欠側面図
図7】押え手段で押付け固定したときの一部切欠側面図
図8】作業ハウジングを取付けたときの一部切欠側面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
図1は、流体配管系を構成する流体管の一例である水道配管系の水道管1の途中にフランジ接合されている仕切弁V1を示す。
この仕切弁V1は、上流側及び下流側の水道管1に接続される側面視略逆T字状に構成された鋳鉄製の弁箱2と、この弁箱2の上端に開口形成された弁体装着口部3に対して上方から装着される鋳鉄製の弁蓋4と、当該弁蓋4に貫設された弁棒5を介して弁箱2の弁体装着口部3から脱着自在に装着されるゴムライニングが施された弁体6とが備えられている。
【0031】
弁箱2は、両水道管1の連結フランジ1Aに第1締結手段7のボルト7A・ナット7Bで水密状態に固定連結される一対の連結フランジ2Aを備えた横断面形状が円形の横向き弁箱部2Bと、当該横向き弁箱部2Bの流路軸芯方向中央部に対して直交する方向で一体形成される横断面形状が略長方形状(隅丸長方形状)の縦向き弁箱部2Cとから構成されているとともに、縦向き弁箱部2Cの外周面における弁体装着口部3側の開口周縁部には、周方向に所定間隔をおいて複数のボルト挿通孔2aを形成してある環状の第1連結部2Dが径方向外方に張り出す状態で一体形成されている。
【0032】
弁蓋4には、弁箱2の第1連結部2Dに対して上下方向から接合可能で、且つ、第1連結部2Dのボルト挿通孔2aに対応する部位にボルト挿通孔4aを形成してある第2連結部4Aが一体形成されているとともに、弁蓋4の中央部には、弁棒5を水密状態で回転操作自在に貫通支持する軸支承部4Bが設けられている。
【0033】
弁箱2の第1連結部2Dと弁蓋4の第2連結部4Aとは、上下方向で相対向する第1連結部2Dのボルト挿通孔2aと第2連結部4Aのボルト挿通孔4aとに挿通された第2締結手段8のボルト8A・ナット8Bによる締付け操作によって固定連結されているとともに、弁蓋4の第2連結部4Aの下面に形成した環状のシール装着溝4bには、ボルト8A・ナット8Bの締付け操作によって第1連結部2Dと第2連結部4Aとの接合面間を水密状態にするシール材の一例であるガスケット9が装着されている。
【0034】
また、弁棒5のネジ軸部に螺合された弁体6は、弁棒5の上端部に形成されている角軸状の回転操作部5aの回転操作により流路開放位置(開弁位置)と流路遮断位置(閉弁位置)との間で上下方向にスライド移動されるように構成されている。
【0035】
弁箱2の第1連結部2Dは、弁蓋4の第2連結部4Aよりも大径に構成され、この第2連結部4Aよりも径方向外方に突出する環状の突出部位(以下、環状突出部位と記載する)2dが、少なくとも第2連結部4Aを含む弁蓋4の一部を囲繞する後述の環状取付け枠Aを水密状態で挾持固定するための取付け部に構成されている。
【0036】
さらに、弁箱2の縦向き弁箱部2Cの外面には、第1連結部2Dのボルト挿通孔2aを下面側から押圧状態で止水する後述の押圧止水手段Cを支持可能で、且つ、当該押圧止水手段Cの押圧止水時の反力を受止め可能な反力受け部Dの一部を構成する環状の突起部2Eが、第1連結部2Dと平行又は略平行な姿勢で一体的に突出形成されている。
【0037】
次に、水道配管系の上流側及び下流側の水道管1に接続された仕切弁V1のうち、弁箱2に比して寿命の短い弁体6が設定耐久年数に至ったとき、或いは、弁体6の作動不良が発生したときなど、弁体6及び弁棒5を備えた弁蓋4を不断水状態で弁箱2から撤去する弁蓋撤去工法について説明する。
【0038】
[1] 図2は、弁箱2の第1連結部2Dのうち、弁蓋4の第2連結部4Aよりも径方向外方に突出する環状突出部位2dに、少なくとも第2連結部4Aを含む弁蓋4の一部を囲繞する、詳しくは、第1連結部2Dの上面から弁棒5の回転操作部5aの上下中間相当位置にまでの範囲を囲繞する環状取付け枠Aを水密状態で取付ける工程を示す。
【0039】
この環状取付け枠Aは、第1連結部2Dの環状突出部位2dの下方側から当て付けられる分割構造の下側取付け枠材15と、環状突出部位2dの上方側から当て付けられる筒ケース状の上側取付け枠材16と、この両取付け枠材15、16を互いに引き寄せながら締め付けて環状突出部位2dに挾持固定する第3締結手段17とから構成されている。
【0040】
この第3締結手段17は、上側取付け枠材16の下面の周方向複数箇所に形成されるネジ孔(図示せず)と、下側取付け枠材15に形成されているボルト挿通孔(図示せず)を通して下方側から上側取付け枠材16のネジ孔に螺合されるボルト17Aとから構成されている。
【0041】
分割構造の下側取付け枠材15の上面における径方向外方側部位には、上方に突出する位置規制用の環状規制突起15Aが一体形成されているとともに、上側取付け枠材16の下面には、下側取付け枠材15の環状規制突起15Aと第1連結部2Dの外周面との間に係入して、下側取付け枠材15と上側取付け枠材16との水平方向での相対移動を阻止する環状係合突起16Aが一体的に突出形成されている。
【0042】
また、上側取付け枠材16の下面における第1連結部2Dの環状突出部位2dと当接する部位に形成した環状のシール装着溝16aには、第3締結手段17のボルト17Aの締付け操作によって第1連結部2Dと上側取付け枠材16との対向面間を水密状態にするシール材の一例であるガスケット18が装着されている。
【0043】
[2] 図3は、環状取付け枠Aの上側取付け枠材16に設けた押え手段Bにより、弁蓋4に脱着自在に装着された押え部材20を介して弁蓋4の第2連結部4Aを弁箱2の第1連結部2Dに水密状態に押付け固定する工程と、この押え手段Bによる押付け固定時に、第1連結部2Dと第2連結部4Aとを固定連結している第2締結手段8のボルト8A・ナット8Bを撤去する工程と、弁箱2の第1連結部2Dと弁箱2に設けられた反力受け部Dとの間に装着される押圧止水手段Cにより、第1連結部2Dの各ボルト挿通孔2aを下面側から押圧状態で止水する工程とを示す。
【0044】
押え部材20は、弁蓋4の軸支承部4Bに上方から当接する状態で外装さる押えカバー部20Aと、弁蓋4の第2連結部4Aの上面に当接する状態で押えカバー部20Aの下端に連設される環状の鍔部20Bと、弁棒5の回転操作部5aの突出を許容する内径を有するネジ筒状で、且つ、弁体6及び弁棒5を備えた弁蓋4等を昇降搬送する昇降搬送手段E側の連結部36の雌ネジに着脱自在に螺合連結される被連結部20Cとから構成されている。
【0045】
押え部材20の押えカバー部20Aにおける周壁部20bの周方向複数箇所には、昇降搬送手段Eで吊下げられる弁体6及び弁棒5を備えた弁蓋4の荷重に抗して押え部材20の押えカバー部20Aと弁蓋4の軸支承部4Bとを締付け固定する締付け固定手段の一例である止めネジ19が設けられている。
【0046】
押え手段Bは、上側取付け枠材16の上下中間部の周方向複数箇所 (当該実施形態では4箇所)に、上側取付け枠材16の内部空間に連通するネジ筒21を、それのネジ軸芯が押え部材20の鍔部20Bの上面又はその近傍を通る水平軸芯上に位置する状態で固着し、各ネジ筒21には、押え部材20の鍔部20Bの上面側の外周縁部に形成されたテーパー面20aに水平方向から当接するテーパー状押え面22aを備えた押込みボルト22を螺合することにより構成されている。
【0047】
そして、押え手段Bの複数本の押込みボルト22を螺進操作すると、各押込みボルト22のテーパー状押え面22aと押え部材20の鍔部20Bのテーパー面20aとの当接箇所において、押え部材20を弁蓋4の第2連結部4A側に強力に押圧し、さらに、当該弁蓋4の第2連結部4Aが弁箱2の第1連結部2Dを強力に押圧するため、この押え手段Bで強く押付け固定した状態では、第2締結手段8のボルト8A・ナット8Bによる押付け力を解除しても、弁蓋4の第2連結部4Aと弁箱2の第1連結部2Dとの間に介装されているガスケット9を圧縮された水密状態に確実に維持することができる。
【0048】
そのため、押え手段Bによる押付け固定終了後において、第2締結手段8のボルト8A・ナット8Bを撤去して、弁箱2の第1連結部2Dと弁蓋4の第2連結部4Aとの固定連結を解除する。
【0049】
また、弁箱2の縦向き弁箱部2Cに形成された環状の突起部2Eには、当該突起部2Eの上面及び外周面に係合する係合凹部23cを形成してある周方向で複数に分割構成された分割挾持リング23を挾持固定してあり、この分割挾持リング23と弁箱2側の突起部2Eとをもって、押圧止水手段Cを載置支持し、且つ、押圧止水手段Cの押圧止水時の反力を確実に受止め可能な反力受け部Dが構成されている。
【0050】
分割挾持リング23は、図4に示すように、周方向で二分割された分割挾持リング体23A,23Bから構成され、これら両分割挾持リング体23A,23Bの両端部に形成されている連結片23a,23bの相対向するもの同士を第4締結手段24のボルト24A・ナット24Bで締付け操作することにより、突起部2Eに対して径方向外方から外装された両分割挾持リング体23A,23Bを縮径させながら係合状態で挾持固定させるように構成されている。
【0051】
第2締結手段8の撤去後に取付けられる押圧止水手段Cは、分割挾持リング23の両分割挾持リング体23A,23Bと同じ二分割構造又は開閉構造の止水押圧リング体27のうち、弁箱2の第1連結部2Dのボルト挿通孔2aに対応する部位に、各ボルト挿通孔2aに係入可能な止水操作ボルト26を螺合して、各止水操作ボルト26の頭部26aを両分割挾持リング体23A,23Bの上面に載置させた状態で各止水操作ボルト26を押圧側に回転操作することにより、止水押圧リング体27の上面を第1連結部2Dの下面に圧接させるように構成してある。
【0052】
止水押圧リング体27の上面には、第1連結部2Dの下面における各ボルト挿通孔2aの下側開口を水密に閉止するパッキン28が設けられているとともに、各止水操作ボルト26の上端部を円錐状の先細り形状に構成して、第1連結部2Dのボルト挿通孔2aを通して第2連結部4Aのボルト挿通孔4aに係入案内する止水ガイド部26bが構成されている。
【0053】
押圧止水手段Cは、止水押圧リング体27に複数本の止水操作ボルト26を予め螺合してあるものを第1連結部2Dと分割挾持リング23との間に装着することになる。
【0054】
そして、第2締結手段8の撤去後において、第1連結部2Dのボルト挿通孔2aに、押圧止水手段Cの各止水操作ボルト26の止水ガイド部26bを挿入し、弁箱2の突起部2Eに分割挾持リング23を取付け、この分割挾持リング23の上面に各止水操作ボルト26の頭部26aを載置した状態で各止水操作ボルト26を押圧側に回転操作し、止水押圧リング体27の上面に設けられているパッキン28を第1連結部2Dの下面に圧接し、第1連結部2Dの下面における各ボルト挿通孔2aの下側開口を水密に閉止する。
【0055】
[3] 図4は、環状取付け枠Aの上側取付け枠材16に、作業用開閉弁V2及び弁蓋4に連結される昇降搬送手段Eを備えた作業ハウジングHを水密状態で取付けるハウジング取付け工程を示す。
【0056】
作業用開閉弁V2の弁ケース30のうち、環状取付け枠Aの上側取付け枠材16に上方から外嵌状態で装着される嵌合装着筒部30Aの内面には、上側取付け枠材16の上端面に上方から当接する嵌合位置規制用環状突起30aが一体形成されているとともに、弁ケース30の嵌合装着筒部30Aの周方向複数箇所には、上側取付け枠材16の外周面の上端部に突出形成された環状突起16bの下側テーパー面16cに対して水平方向から当接するテーパー状押え面31aを備えた引き寄せボルト31が螺合されている。
【0057】
また、弁ケース30における嵌合装着筒部30Aの内面と嵌合位置規制用環状突起30aとで形成される入隅部と上側取付け枠材16の環状突起16bの上側テーパー面16dとの対向面間には、シール材の一例であるOリング(図示せず)を装着して、引き寄せボルト31の締付け操作により、Oリングを水密状態に圧縮しながら弁ケース30の嵌合位置規制用環状突起30aを環状取付け枠Aの上側取付け枠材16の上端面に引き寄せ固定するように構成されている。
【0058】
作業ハウジングHには、弁ケース30の上側連結フランジ30Bに第5締結手段32のボルト32A・ナット32Bで水密状態に固定連結される下側連結フランジ33Aを有する作業ハウジング本体33が備えられ、この作業ハウジング本体33内には、弁体6及び弁棒5を備えた弁蓋4を収納可能な格納空間Sが形成されている。
【0059】
昇降搬送手段Eは、作業ハウジング本体33の天板部の中心部に摺動自在に貫通支持された昇降軸35の下端部に、押え部材20の被連結部20Cに着脱可能な状態で螺合連結される連結部36を設けて構成されている。
【0060】
尚、このハウジング取付け工程では、押え手段Bの複数本の押込みボルト22の締め込み操作によって弁蓋4が弁箱2側に押付け固定された状態にある。
【0061】
[4] 図5は、押え手段Bによる弁蓋4の押付け固定を解除し、昇降搬送手段Eにて弁蓋4を作業ハウジングHの格納空間S内に取り出したのち、前記作業用開閉弁V2を閉弁操作する工程を示す。
【0062】
具体的には、押え手段Bの複数本の押込みボルト22を緩み操作して、各押込みボルト22のテーパー状押え面22aを押え部材20の鍔部20Bの上面側外周縁部に形成されたテーパー面20aから径方向外方側に離脱させる。
【0063】
その後、弁箱2に装着されている弁蓋4を昇降軸35に連結されているクレーン等で作業ハウジング本体33の格納空間S内の所定格納位置に上昇移動させたのち、作業用開閉弁V2の弁体39を閉弁操作し、作業ハウジングHの格納空間S内に取り出された弁蓋4を撤去する。
【0064】
この弁蓋4の撤去工程では、弁ケース30の上側連結フランジ30Bと作業ハウジング本体33の下側連結フランジ33Aとを固定連結している第5締結手段32のボルト32A・ナット32Bを撤去し、取り外された弁蓋4及び昇降搬送手段Eを備えた作業ハウジング本体33をクレーン等で所定位置に吊下げ搬送して撤去する。
【0065】
[5] 弁蓋4の撤去工程後に、少なくとも新たな弁体6が装備された別の弁蓋4を取付ける場合には、上述の撤去作業工程と略逆の手順を取ることになる。
すなわち、弁蓋4の撤去工程後においては、
作業ハウジングHに設けた昇降搬送手段Eの昇降軸35の連結部36に、少なくとも新たな弁体6が装備された別の弁蓋4の被連結部20Cを連結する工程と、
作業ハウジングHの作業ハウジング本体33の下側連結フランジ33Aと作業用開閉弁V2の弁ケース30の上側連結フランジ30Bとを第5締結手段32のボルト32A・ナット32Bで水密状態に固定連結する工程と、
作業用開閉弁V2の弁体29を開弁操作して、作業ハウジングHの格納空間S内にある別の弁蓋4を昇降搬送手段Eの昇降軸35にて弁箱2側に下降し、別の弁蓋4の第2連結部4Aを弁箱2の第1連結部2Dに接合装着する工程と、
押え手段Bの複数本の押込みボルト22で別の弁蓋4を弁箱2側に押付け固定する工程と、
昇降軸35を螺合解除側に回転操作して当該昇降軸35の連結部36と別の弁蓋4の被連結部20Cとの連結を解除したのち、環状取付け枠Aの上側取付け枠材16と作業用開閉弁V2の弁ケース30とを固定連結している引き寄せボルト31を固定解除操作し、環状取付け枠Aの上側取付け枠材16から作業用開閉弁V2及び昇降搬送手段Eを備えた作業ハウジングHを撤去する工程と、
弁箱2の第1連結部2Dと分割挾持リング23との間に組付けられている押圧止水手段Cを撤去する工程と、
接合された別の弁蓋4の第2連結部4Aと弁箱2の第1連結部2Dとを第2締結手段8のボルト8A・ナット8Bで水密状態に固定連結する工程と、
押え手段Bの複数本の押込みボルト22による別の弁蓋4の押付けを解除し、環状取付け枠Aの上側取付け枠材16と下側取付け枠材15とを固定連結している第3締結手段17を固定解除操作し、上側取付け枠材16を下側取付け枠材15から撤去する工程と、
下側取付け枠材15及び分割挾持リング23を弁箱2から撤去する工程と、
を実行する。
【0066】
尚、上述の第1実施形態では、弁蓋4の撤去工程後に、少なくとも新たな弁体6が装備された別の弁蓋4を取付けたが、この別の弁蓋4に代えて、弁箱2の弁体装着口部3を水密状態で閉止する蓋体を取付けてもよく、さらに、補修弁とこれを弁箱2の第1連結部2Dに取り付ける弁取付け部材との組み物を取付けてもよい。
【0067】
〔第2実施形態〕
図6図8は、弁箱2の第1連結部2Dと弁蓋4の第2連結部4Aとが同径に構成されている仕切弁V1の弁蓋撤去工法を示す。
【0068】
[6] 図6は、弁箱2の第1連結部2Dに、少なくとも第2連結部4Aを含む弁蓋4の一部を囲繞する環状取付け枠Aを水密状態で取付ける工程と、この環状取付け枠Aに設けた押え手段Bにより、弁蓋4の第2連結部4Aを弁箱2の第1連結部2Dに対して水密状態に押付け固定する工程とを示す。
【0069】
環状取付け枠Aは、弁箱2の第1連結部2Dの外周面に弾性シール材40を介して水密状態で挾持固定される分割構造(当該実施形態では二分割構造)の下側取付け枠材41と、当該下側取付け枠材41の連結フランジ41Aに第6締結手段42のボルト42A・ナット42Bで水密状態に固定連結される連結フランジ43Aを備えた上側取付け枠材43とから構成されている。
【0070】
下側取付け枠材41の分割環状枠体41Bの内周面には、弾性シール材40のシール装着溝を構成する上下一対の仕切り突起41C,41Dが形成され、そのうち、下側の仕切り突起41Dが弁箱2の第1連結部2Dの下面に対して下方から当接する突出代に構成されている。
【0071】
上側取付け枠材43は、弁棒5を含む弁蓋4の全体を囲繞する筒状ケース体43Bの下端に連結フランジ43Aを固着して構成されている。
【0072】
押え手段Bは、上側取付け枠材43の筒状ケース体43Bの上下中間部の周方向複数箇所 (当該実施形態では4箇所)に、上側取付け枠材43の内部空間に連通するネジ筒21を、それのネジ軸芯が押え部材20の鍔部20Bの上面又はその近傍を通る水平軸芯上に位置する状態で固着し、各ネジ筒21には、押え部材20の鍔部20Bの上面側の外周縁部に形成されたテーパー面20aに水平方向から当接するテーパー状押え面22aを備えた押込みボルト22を螺合することにより構成されている。
【0073】
そして、押え手段Bの複数本の押込みボルト22を螺進操作すると、各押込みボルト22のテーパー状押え面22aと押え部材20の鍔部20Bのテーパー面20aとの当接箇所において、押え部材20を弁蓋4の軸支承部4B側に強力に押圧し、さらに、当該弁蓋4の第2連結部4Aが弁箱2の第1連結部2Dを強力に押圧するため、この押え手段Bで強力に押付け固定された状態では、第2締結手段8のボルト8A・ナット8Bによる締付け固定力を解除しても、弁蓋4の第2連結部4Aと弁箱2の第1連結部2Dとの間に介装されているガスケット9を圧縮された水密状態に確実に維持することができる。
【0074】
[7] 図7は、弁箱2の第1連結部2Dと弁蓋4の第2連結部4Aとを固定連結している第2締結手段8のボルト8A・ナット8Bを撤去したのち、弁箱2に設けられた反力受け部Dに装備の押圧止水手段Cにより、第1連結部2Dのボルト挿通孔2aを下面側から押圧状態で止水する工程を示す。
【0075】
反力受け部Dは、弁箱2の縦向き弁箱部2Cの外面に挾持固定される分割構造(当該実施形態ではニ分割構造)の分割挾持リング23と、この分割挾持リング23に作用する押圧止水手段Cの反力を頑丈な弁箱2の横向き弁箱部2Bに受止め支持させるための左右一対の半力伝達用の脚部45とをもって、押圧止水手段Cの止水時の反力を確実に受止め可能な反力受け部Dが構成されている。
【0076】
分割挾持リング23は、周方向で二分割された分割挾持リング体23A,23Bから構成され、これら両分割挾持リング体23A,23Bの両端部に形成されている連結片23a,23bの相対向するもの同士を第4締結手段24のボルト24A・ナット24Bで締付け操作することにより、弁箱2の縦向き弁箱部2Cの外面に対して径方向外方から外装された両分割挾持リング体23A,23Bを縮径させながら挾持固定させるように構成されている。
【0077】
左右一対の脚部45は、分割挾持リング23の両分割挾持リング体23A,23Bに取付けられているとともに、各脚部45の下端は、弁箱2の横向き弁箱部2Bの外面における脚部当接相当箇所の横断面形状に沿った円弧状凹部に形成されている。
【0078】
押圧止水手段Cは、分割挾持リング23の両分割挾持リング体23A,23Bと同じ二分割構造又は開閉構造の止水押圧リング体27のうち、弁箱2の第1連結部2Dのボルト挿通孔2aに対応する部位に、各ボルト挿通孔2aに係入可能な止水操作ボルト26を螺合して、各止水操作ボルト26の頭部26aを両分割挾持リング体23A,23Bの上面に載置させた状態で各止水操作ボルト26を押圧側に回転操作することにより、止水押圧リング体27の上面を第1連結部2Dの下面に圧接させるように構成してある。
【0079】
止水押圧リング体27の上面には、第1連結部2Dの下面における各ボルト挿通孔2aの下側開口を水密に閉止するパッキン28が設けられているとともに、各止水操作ボルト26の上端部を円錐状の先細り形状に構成して、第1連結部2Dへの近接移動に伴って当該第1連結部2Dのボルト挿通孔2aに係入案内する止水ガイド部26bが構成されている。
【0080】
[8] 図8は、環状取付け枠Aの上側取付け枠材43に、作業用開閉弁V2及び弁蓋4に連結される昇降搬送手段Eを備えた作業ハウジングHを水密状態で取付けるハウジング取付け工程を示す。
【0081】
作業用開閉弁V2の弁ケース30のうち、上側取付け枠材43の筒状ケース体43Bに上方から外嵌状態で装着される嵌合装着筒部30Aの内面には、上側取付け枠材16の筒状ケース体43Bの上端面に上方から当接する嵌合位置規制用環状突起30aが一体形成されているとともに、弁ケース30の嵌合装着筒部30Aの周方向複数箇所には、筒状ケース体43Bの外周面の上端部に突出形成された環状突起43aの下側テーパー面43bに対して水平方向から当接するテーパー状押え面31aを備えた引き寄せボルト31が螺合されている。
【0082】
また、弁ケース30における嵌合装着筒部30Aの内面と嵌合位置規制用環状突起30aとで形成される入隅部と上側取付け枠材43の環状突起43aの上側テーパー面43cとの対向面間には、シール材の一例であるOリング(図示せず)を装着して、引き寄せボルト31の締付け操作により、Oリングを水密状態に圧縮しながら弁ケース30の嵌合位置規制用環状突起30aを環状取付け枠Aの上側取付け枠材43の上端面に引き寄せ固定するように構成されている。
【0083】
尚、その他の構成及び方法の手順は、第1実施形態で説明した構成及び方法の手順と同一又実質的に同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0084】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、弁箱2の第1連結部2Dと弁蓋4の第2連結部4Aを夫々環状に構成したが、この第1連結部2D及び第2連結部4Aを周方向で断続形成してもよい。
【0085】
(2)上述の第1実施形態では、少なくとも第2連結部4Aを含む弁蓋4の一部を囲繞する環状取付け枠Aを、分割構造の下側取付け枠材15と筒ケース状の上側取付け枠材16とを固定連結して構成したが、この下側取付け枠材15と筒ケース状の上側取付け枠材16とを一体形成して構成してもよい。
【0086】
(3)環状取付け枠Aに設けられる押え手段Bとしては、弁蓋4の第2連結部4Aを弁箱2の第1連結部2Dに対して水密状態に押付け固定することのできるものであれば、如何なる構造のものを用いてもよい。
【0087】
(4)弁箱2に設けられる反力受け部Dとしては、押圧止水手段Cの止水時の反力を確実に受止めることのできるものであれば、如何なる構造のものを用いてもよい。
【0088】
(5)押圧止水手段Cとしては、第1連結部2Dのボルト挿通孔2aを下面側から押圧状態で止水することのできるものであれば、如何なる構造のものを用いてもよい。
【0089】
(6)弁箱2の第1接合部2Dと弁蓋4の第2接合部4Aの形態、ハウジングHの形態、昇降搬送手段Eの形態、作業用開閉弁V2の形態の各々は各種条件に応じて適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、弁体及び弁棒を備えた弁蓋の不断水状態での撤去作業を工事コストの低廉化を図りながら、弁箱の第1連結部に形成されているボルト挿通孔からの漏水を確実に防止した状態で能率良く容易に行うことのできる仕切弁の弁蓋撤去工法、及び、その撤去作業の能率化、容易化に貢献する仕切弁を提供することができる。
【符号の説明】
【0091】
A 環状取付け枠
B 押え手段
C 押圧止水手段
D 反力受け部
E 昇降搬送手段
H 作業ハウジング
S 格納空間
V1 仕切弁
V2 作業用開閉弁
2 弁箱
2D 第1連結部
2E 突起部
2a ボルト挿通孔
2d 突出部位(環状突出部位)
3 弁体装着口部
4 弁蓋
4A 第2連結部
8A ボルト
8B ナット
20 押え部材
23 分割挾持リング
26b 止水ガイド部
45 脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8