特許第5900819号(P5900819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900819
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ付き二液吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20160324BHJP
   B65D 47/36 20060101ALI20160324BHJP
   B65D 47/06 20060101ALN20160324BHJP
【FI】
   B65D81/32 U
   B65D47/36 M
   !B65D47/06 V
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-18496(P2012-18496)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154936(P2013-154936A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 明彦
(72)【発明者】
【氏名】上村 英夫
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−201592(JP,A)
【文献】 特開2011−251709(JP,A)
【文献】 実開昭60−183056(JP,U)
【文献】 特開昭63−099841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B65D 47/06
B65D 47/08
B65D 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる内容液を収容した一対の容器本体(11)と、両容器本体(11)の口筒部(12)に組付く一対のキャップ本体(3)及び前記一対のキャップ本体(3)を回動自在に連結するヒンジ(2)を有し、両キャップ本体(3)が重なる二つ折り状態と前記二つ折り状態から両キャップ本体(3)が開く展開状態とに設定可能なヒンジキャップ(1)とを備えた二液吐出容器であって、
両キャップ本体(3)の頂壁(4)には、吐出口(5)と、封止栓(6)とがそれぞれ設けられており、前記二つ折り状態で一方のキャップ本体(3)に設けられた封止栓(6)が他方のキャップ本体(3)に設けられた吐出口(5)に嵌合すると共に、他方のキャップ本体(3)に設けられた封止栓(6)が一方のキャップ本体(3)に設けられた吐出口(5)に嵌合して両吐出口(5)が封止されており、
前記ヒンジキャップ(1)を前記二つ折り状態にして前記一対の容器本体(11)が1列に並ぶ縦列姿勢から前記ヒンジキャップ(1)を前記展開状態に至らせて前記一対の容器本体(11)が2列に並ぶ横列姿勢とすることにより、前記封止栓(6)による前記吐出口(5)の封止が解除されて前記両容器本体(11)から異なる内容液がそれぞれ吐出されることを特徴とするヒンジキャップ付き二液吐出容器。
【請求項2】
吐出口(5)を、破断可能な薄膜片(8)でシールした請求項1に記載のヒンジキャップ付き二液吐出容器。
【請求項3】
封止栓(6)の先端に尖形部(9)を形成した請求項に記載のヒンジキャップ付き二液吐出容器。
【請求項4】
ヒンジキャップ(1)が、一方のキャップ本体(3)に形成された掛止凹部(10a)と、他方のキャップ本体に形成された掛止凸部(10b)とを有して構成され、一対の容器本体(11)が縦列姿勢にあるときには前記掛止凸部(10b)と前記掛止凹部(10a)とが離脱不能に掛止し合い、前記縦列姿勢から横列姿勢に移る際には前記掛止凸部(10b)が前記掛止凹部(10a)を切断する不正開封防止機構(10)を備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヒンジキャップ付き二液吐出容器。
【請求項5】
横列姿勢において両容器本体(11)同士を不動に連結する連結部材(16)を、前記両容器本体(11)の胴部(13)に設けた請求項1乃至のいずれか一項に記載のヒンジキャップ付き二液吐出容器。
【請求項6】
一対の容器本体(11)をスクイズ性を備える合成樹脂材で構成した請求項1乃至のいずれか一項に記載のヒンジキャップ付き二液吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の容器本体から異なる内容液を同時に吐出する二液吐出容器、特には一対の容器本体にヒンジキャップを組み付けて構成される二液吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
2種類の内容液をスクイズ性を備えた容器本体にそれぞれ収容し、これらの内容液を混合等するために各容器本体から同時に吐出させる二液吐出容器に関する発明としては、例えば以下の特許文献1に記載された技術が存在している。
【0003】
特許文献1に記載の二液形接着剤用塗布容器は、弾性材料からなる容器本体4の先端部にノズル6を配してなる塗布容器2Aと、同様の構成で対称形状で形成された塗布容器2Bとを有し、これらの両塗布容器2A,2B同士を当接配置させた状態で両側面を押圧することにより、ノズル6,6の吐出口8,8から異なる種類の内容液(接着剤成分)が同時に吐出されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−198344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、一対の塗布容器2A,2Bが1セットとなり販売されるため、例えば梱包箱へ収納されて販売される場合、一対の塗布容器2A,2Bが2列に並べられた横列姿勢の状態で収納されるため、収納スペースの効率化(収納ケース、梱包箱などの小型化)が難しく、収納数の増大や梱包箱の小型化に対して改善の余地があった。
【0006】
また特許文献1に記載の発明では、一対の塗布容器2A,2Bが、未使用(未開封)状態にあるか、使用済み(開封済み)状態であるかを判別することが困難であると云う問題もあった。
【0007】
さらに一対の塗布容器2A,2Bに収容された各内容液を同時に吐出させるためには、一方の塗布容器2Aと他方の塗布容器2Bとを2列に並ぶ横列姿勢の状態で使用する必要があるが、同文献には横列姿勢にした一対の塗布容器2A,2Bの状態を維持する手段が記載されていない。このため、使用中に一対の塗布容器2A,2Bが分離することがあり、この場合には各内容液を同時に吐出させることが困難になるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、一対の容器本体を、流通時には縦列姿勢とすることで収納数の増大または収納ケース、梱包箱などの小型化を図り、使用時には横列姿勢として2液を安定した状態で同時に吐出させことを可能にすると共に、更には不正開封防止機構をも備えたヒンジキャップ付き二液吐出容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる構成は、
異なる内容液を収容した一対の容器本体と、両容器本体の口筒部に組付く一対のキャップ本体及び一対のキャップ本体を回動自在に連結するヒンジを有し、両キャップ本体が重なる二つ折り状態とこの二つ折り状態から両キャップ本体が開く展開状態とに設定可能なヒンジキャップとを備えた二液吐出容器であって、
両キャップ本体の頂壁には、吐出口と、封止栓とがそれぞれ設けられており、二つ折り状態で一方のキャップ本体に設けられた封止栓が他方のキャップ本体に設けられた吐出口に嵌合すると共に、他方のキャップ本体に設けられた封止栓が一方のキャップ本体に設けられた吐出口に嵌合して両吐出口が封止されており、
ヒンジキャップを二つ折り状態にして一対の容器本体が1列に並ぶ縦列姿勢からヒンジキャップを展開状態に至らせて一対の容器本体が2列に並ぶ横列姿勢とすることにより、封止栓による吐出口の封止が解除されて両容器本体から異なる内容液がそれぞれ吐出される、と云うものである。
【0010】
本発明の主たる構成のヒンジキャップ付き二液吐出容器では、ヒンジキャップ1がヒンジを中心に、一対のキャップ本体を二つに折れて重なる二つ折り状態と、一対のキャップ本体が開く展開状態とに設定可能に構成されており、キャップ本体に組み付けられた一対の容器本体の姿勢として、両容器本体が1列に並ぶ縦列姿勢から両容器本体が2列に並ぶ横列姿勢への移行、またはその逆を達成する。
縦列姿勢では一対の容器本体を1列に並べることにより、収納スペースの低減を達成し、横列姿勢では封止栓の離脱による口筒部の封止解除を達成する。
【0011】
本発明の他の構成は、請求項1に記載の発明において、吐出口を破断可能な薄膜片でシールした、と云うものである
【0012】
上記構成では、吐出口が薄膜片によってシールされているため、キャップ本体を容器本体の口筒部に組み付けることで容器本体の封止を達成する。
また、前記のように封止された容器本体では、横列姿勢(初期状態)から縦列姿勢に移行する際に、内容液が漏れ出すことを確実に抑制できる。
【0013】
本発明の他の構成は、請求項1または2に記載の発明において、封止栓の先端に尖形部を形成した、と云うものである。
【0014】
上記構成では、吐出容器の姿勢を、両容器本体が1列に並ぶ縦列姿勢にすると、各封止栓が吐出口にそれぞれ入り込み、尖形部による薄膜片の破断を達成する。
また、薄膜片を設けていない場合においても、前記尖形部が吐出口に封止栓を挿入する際のガイドとなり、操作性に優れる。
さらに前記封止栓が前記吐出口に密嵌合して封止するので、両キャップ本体に設けられた吐出口の封止を同時に達成する。
【0015】
本発明の他の構成は、上記いずれかに記載の発明において、ヒンジキャップが、一方のキャップ本体に形成された掛止凹部と、他方のキャップ本体に形成された掛止凸部とを有して構成され、一対の容器本体が縦列姿勢にあるときには掛止凸部と掛止凹部とが離脱不能に掛止し合い、縦列姿勢から横列姿勢に移る際には掛止凸部が掛止凹部を切断する不正開封防止機構を備える、と云うものである。
【0018】
上記構成では、掛止凸部と掛止凹部とが掛止することで未開封状態となり、掛止凸部が掛止凹部を切断して掛止が解除されることで開封済み状態となる。このため、不正開封防止機構を構成する掛止凸部と掛止凹部との掛止状態から未開封状態にあるか、開封済み状態にあるかを視覚を通じて容易に判別することができるようになり、不正開封の防止を達成する。
【0019】
また本発明の他の構成は、上記いずれかに記載の発明において、横列姿勢において両容器本体同士を不動に連結する連結部材を、両容器本体の胴部に設けたというものである。
【0020】
上記構成では、一対の容器本体における横列姿勢の安定化を達成させる。
【0021】
また本発明の他の構成は、上記いずれかに記載の発明において、一対の容器本体をスクイズ性を備える合成樹脂材で構成した、と云うものである。
【0022】
上記構成では、一対の容器本体の胴部を手で同時に加圧して押しつぶすことによる両内容液の同時吐出を達成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成においては、両容器本体が1列に並ぶ縦列姿勢とすることで収納スペースの効率化を図ることができ、流通コストの低減に寄与することが可能となる。
また従来のように一対の容器本体が互いに分離してしまうことがなくなり、使用時の横列姿勢においても常に一体化した状態とすることができるため、異なる内容液を同時に安定して吐出させることができる。
【0024】
また請求項2に記載の、吐出口を破断可能な薄膜片でシールした構成にあっては、特にヒンジキャップの組付け後に、一対の容器本体を横列姿勢から縦列姿勢に移行させる際に生じやすい液漏れを防止することができる。
【0025】
また請求項3に記載の、封止栓の先端に尖形部を形成した構成にあっては、吐出容器の姿勢を、横列姿勢から縦列姿勢に移行させることにより、尖形部によって両キャップ体に形成された各薄膜片を破断することができると共に、両封止栓が両吐出口に密嵌合することによって両吐出口を強固に封止することができるので、より効果的に縦列姿勢に移行する際に両容器本体で生じやすい液漏れを防止することができる。
【0026】
また請求項4に記載の、ヒンジキャップが、一方のキャップ本体に形成された掛止凹部と、他方のキャップ本体に形成された掛止凸部とを有して構成され、一対の容器本体が縦列姿勢にあるときには掛止凸部と掛止凹部とが離脱不能に掛止し合い、縦列姿勢から横列姿勢に移る際には掛止凸部が掛止凹部を切断する不正開封防止機構を備える構成にあっては、容器の内容液を一度も吐出したことがない未開封の状態にあるか、既に吐出したことがある開封済の状態にあるのかを、簡単に判別できるようになる。
【0027】
た未開封状態と開封済み状態との判断を、視覚を通じて容易に判別することができるようになる。
【0028】
また請求項に記載の、横列姿勢において両容器本体同士を不動に連結する連結部材を両容器本体の胴部に設けた構成にあっては、使用中に両容器本体同士が分離することがなくなるので、一対の容器本体から異なる内容液を同時且つ安定的に吐出させることができる。
【0029】
また請求項に記載の、一対の容器本体をスクイズ性を備える合成樹脂材で構成したものにあっては、一対の容器本体から異なる内容液を同時に且つ容易に吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるヒンジキャップ付き二液吐出容器の第1実施例としての要部を縦断面で示す正面図である。
図2図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の平面図である。
図3】第1実施例におけるヒンジキャップを容器本体に組み付ける第1の組み付け方法の説明図であり、Aは一方の容器本体への組み付け段階、BはAに続く他方の容器本体への組み付け段階を示す。
図4図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用例として流通時(縦列姿勢)を示す図である。
図5図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用例として流通時から吐出時へ至る途中の状態を示す図である。
図6図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用例として吐出時(横列姿勢)を示す図である。
図7】本発明によるヒンジキャップ付き二液吐出容器の第2実施例としての要部を縦断面で示す正面図である。
図8】ヒンジキャップを一対の容器本体に組み付ける第2の組み付け方法を示す説明図である。
図9】第2実施例の使用例として、図4同様の流通時(縦列姿勢)を示す図である。
図10】第2実施例の使用例として、図5同様の流通時から吐出時へ至る途中の状態を示す図である。
図11】第2実施例の使用例として、図6同様の吐出時(横列姿勢)を示す図である。
図12】本発明によるヒンジキャップ付き二液吐出容器の第3実施例としての要部を縦断面で示す正面図である。
図13図12のヒンジキャップ付き二液吐出容器の平面図である。
図14】第3実施例の使用例として、図4同様の流通時(縦列姿勢)を示す図である。
図15】第3実施例の使用例として、図5同様の流通時から吐出時へ至る途中の状態を示す図である。
図16】第3実施例の使用例として、図6同様の吐出時(横列姿勢)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明によるヒンジキャップ付き二液吐出容器の第1実施例としての要部を縦断面で示す正面図、図2図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の平面図、図3は第1実施例におけるヒンジキャップを容器本体に組み付ける第1の組み付け方法の説明図であり、Aは一方の容器本体への組み付け段階、BはAに続く他方の容器本体への組み付け段階を示す。図4図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用例として流通時(縦列姿勢)を示す図、図5図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用例として、流通時から吐出時へ至る途中の状態を示す図、図6図1のヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用例として吐出時(横列姿勢)を示す図である。
【0032】
図1及び図2に第1実施例として示すヒンジキャップ付き二液吐出容器は、一対の容器本体11,11と、ヒンジキャップ1とを有して構成されている。
【0033】
ヒンジキャップ1は、有頂円筒形状に形成された一対のキャップ本体3,3と、これらを回動自在に連結するヒンジ2とを有して構成され、一方のキャップ本体3と他方のキャップ本体3とが左右に開く展開状態(図1参照)と、両キャップ本体3,3がヒンジ2部分で二つに折れて重なる二つ折り状態(図3A参照)とに設定可能となっている。
【0034】
各キャップ本体3の頂壁4には、内部方向に向けて縮径する吐出口5と外部方向に突設する封止栓6とが隣接する状態で形成されている。第1実施例に示す封止栓6は筒状に形成されている。頂壁4の下面には容器本体11の口部内に嵌合される内壁7が周設されており、外壁を形成するキャップ本体3の側壁3aと共に組付き部を構成している。
【0035】
本実施の形態における一対の容器本体11,11は、スクイズ性を備えた合成樹脂材料で形成され、図2に示すように、半円部14,14と平面部15,15とからなる胴部13,13を有して対称形状に形成された有底筒状であり、胴部13,13の上端には口筒部12,12が設けられて構成されている。一方の平面部15と他方の平面部15には、一対の容器本体11,11を2列に並ぶ横列姿勢を維持することが可能な連結部材16,16が設けられている。このような連結部材16,16は、例えば互いに嵌合可能な凸部と凹部との組み合わせによって構成することができる。
【0036】
ヒンジキャップ1を、一対の容器本体11,11に組み付ける第1の組み付け方法について説明する。
図3Aに示すように、ヒンジキャップ1をヒンジ2から折り曲げて両キャップ本体3,3が重なる二つ折り状態とする。この状態では、一方のキャップ本体3に設けられた封止栓6が他方のキャップ本体3に設けられた吐出口5に、他方のキャップ本体3に設けられた封止栓6が一方のキャップ本体3に設けられた吐出口5に挿入されるため、両吐出口5,5が封止される。なお、吐出口5は縮径状に形成されると共に封止栓6は筒状に形成されており、封止栓6が吐出口5に密嵌合して強固に封止する。
【0037】
そして、内容液が充填された一方の容器本体11の口筒部12上に、一方のキャップ本体3の側壁3aと内壁7とからなる組付け部を下方に向けて配置し、この状態から打栓することにより二つ折り状態のヒンジキャップ1の一方のキャップ本体3を一方の容器本体11にアンダーカット嵌合(凹凸嵌合)により組み付ける。なお、打栓に代えて螺合するように構成してもよい。
【0038】
次に、図3Bに示すように、ヒンジキャップ1が組み付けられた一方の容器本体11を倒立状態とする。そして、他方のキャップ本体3側の側壁3aと内壁7とからなる組付け部を、内容液が充填された他方の容器本体11の口筒部12上に配置し、この状態から打栓することにより他方のキャップ本体3を他方の容器本体11に組み付ける。なお、この場合も打栓に代えて螺合するように構成してもよい。
【0039】
以上の第1の組み付け方法により、一方の容器本体11と他方の容器本体11とを、二つ折り状態のヒンジキャップ1を構成する両キャップ本体3,3の両側に組み付け、且つ両容器本体11,11を1列に並ぶ縦列姿勢とすることができる。なお、この縦列姿勢は未開封状態にある。
二つ折り状態のヒンジキャップ1では、吐出口5が封止栓6によって強力に封止されており、一方の容器本体11を倒立姿勢としたときに液漏れが生じることはない。
【0040】
次に、第1実施例として示すヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用方法について説明する。
(流通時)
流通時の形態は、図4に示すように、一方の容器本体11と他方の容器本体11とが1列に並ぶ縦列姿勢で行われる。縦列姿勢にある一対の容器本体11,11をセットとして扱うことにより、収納に要するスペースを小さくすることが可能となるため、例えば1つの梱包箱に収納可能なセット数を増大させることができ、流通コストの低減に寄与することが可能となる。
【0041】
(内容液吐出時)
内容液の吐出は、例えば図4に示すように、縦列姿勢(未開封状態)にある一対の容器本体11,11を水平状態とし、両手で一対の容器本体11,11の各胴部13,13をそれぞれ把持し、続いて図5に示すようにヒンジ2を中心に矢印方向に折り曲げて、ヒンジキャップ1を二つ折り状態から開いて展開状態(図1参照)とすることにより行う。このとき、両容器本体11の各平面部15,15に設けられている連結部材16,16同士が連結し合って、一対の容器本体11,11が2列に並ぶ横列姿勢に設定される(図1参照)。
【0042】
また横列姿勢では、一方(他方)のキャップ本体3に設けられた吐出口5から他方(一方)のキャップ本体3に設けられた封止栓6が離脱するため、両吐出口5,5の封止が解除されて開封済み状態となる。そして、図6に示すように、2列に並ぶ一対の容器本体11,11を傾け、あるいは倒立させた状態で矢印方向にスクイズすることにより、両容器本体11,11から異なる内容液を簡単且つ同時に吐出させることが可能となる。
【0043】
図7は本発明によるヒンジキャップ付き二液吐出容器の第2実施例としての要部を縦断面で示す正面図、図8はヒンジキャップを一対の容器本体に組み付ける第2の組み付け方法を示す説明図、図9は第2実施例の使用例として、図4同様の流通時(縦列姿勢)を示す図、図10は第2実施例の使用例として、図5同様の流通時から吐出時へ至る途中の状態を示す図、図11は第2実施例の使用例として、図6同様の吐出時(横列姿勢)を示す図である。
【0044】
第2実施例と上記第1実施例との相違点はヒンジキャップの構成にあり、その他の構成及び効果は上記第1実施例に示したヒンジキャップ付き二液吐出容器と同様である。このため、以下においては相違点であるヒンジキャップを中心に第2実施例としてのヒンジキャップ付き二液吐出容器について説明する。なお、同一部材については同一の符号を付して説明する。
【0045】
図7に示すように、第2実施例に示すヒンジキャップ付き二液吐出容器のヒンジキャップは、両キャップ本体3,3の吐出口5、5を薄膜片8,8でシールし、さらに封止栓6,6の先端に尖形部9,9を設けた構成としてある。前記薄膜片8,8は、キャップ本体3,3と一体に形成されても、別体のシール部材を装着(貼着など)して設けてもよい。
【0046】
第2実施例におけるヒンジキャップ1の一対の容器本体11,11への組み付けは、以下に説明する第2の組み付け方法で行うことができる。
第2の組み付け方法は、ヒンジキャップ1を左右に展開した状態で行う。すなわち、図8に示すように、あらかじめ異なる内容液がそれぞれ充填された一対の容器本体11,11同士を連結部材16,16を使用して2列に並ぶ横列姿勢の状態で連結しておく。そして、展開状態にあるヒンジキャップ1の一対のキャップ本体3,3を下方に向けて、一対の容器本体11,11の各口筒部12,12の頭上にそれぞれ配置する。そして、この状態からヒンジキャップ1を一度に打栓することにより、口筒部12,12に対する一対のキャップ本体3,3の組み付けが同時に完了し、図7に示すヒンジキャップ付き二液吐出容器となる。このように、第2実施例に示すヒンジキャップ付き二液吐出容器を用いた第2の組み付け方法では、一対のキャップ本体3,3を一対の容器本体11,11の各口筒部12,12に効率良く組み付けることが可能となっている。
【0047】
なお、第2実施例におけるヒンジキャップ1の一対の容器本体11,11への組み付けは、このような第2の方法で行うこともできるし、上述の第1実施例で説明した第1の組み付け方法で行うこともできる。
【0048】
次に、第2実施例として示すヒンジキャップ付き二液吐出容器の使用方法について説明する。
(流通時)
流通時の形態は、上述の第1実施例と同様であり、図9に示すように、一方の容器本体11と他方の容器本体11とが1列に並ぶ縦列姿勢で行う。
図7に示す組み付け後の状態から図9に示す縦列姿勢への移行は、ヒンジキャップ1を展開状態から二つ折り状態にすることにより行う。すなわち一対の容器本体11,11を図7に示す横列姿勢からヒンジ2を中心に互いに逆方向にそれぞれ略90度回動させることによって縦列姿勢とすることができる。
【0049】
図7に示す横列姿勢から図9に示す縦列姿勢に至ると、図9に示すように、一方(他方)のキャップ本体3に設けられた封止栓6先端の尖形部9が、他方(一方)のキャップ本体3に設けられた吐出口5に進入し、この吐出口5をシールしている薄膜片8を破断する。直後に、一方(他方)のキャップ本体3側の封止栓6が、他方(一方)のキャップ本体3側の吐出口5に密嵌合して吐出口5を強固に封止するため、両キャップ本体に設けられた両吐出口5,5からの液漏れ防止が可能となる。したがって、縦列姿勢は未開封状態でもある。
【0050】
このように、第2実施例では、あらかじめ吐出口5,5が薄膜片8,8でそれぞれシールされており、横列姿勢から縦列姿勢に至らせると、薄膜片8,8の破断と吐出口5,5の封止とがほぼ同時に行われる。このため、ヒンジキャップ1の組み付け後の横列姿勢から縦列姿勢への操作中における両吐出口5,5からの液漏れを防止することが可能であり、ヒンジキャップ1を組み付けた後の二液吐出容器を効率良く流通時の姿勢である縦列姿勢にセットすることができる。
【0051】
(内容液吐出時)
内容液の吐出は、図9に示すように、縦列姿勢(未開封状態)にある一対の容器本体11,11を水平状態とし、両手で一対の容器本体11,11の各胴部13,13をそれぞれ把持し、続いて図10に示すようにヒンジ2を中心に矢印方向に折り曲げて、ヒンジキャップ1を二つ折り状態から開いて展開状態(図11参照)とすることにより行う。このとき、両容器本体11の各平面部15,15に設けられている連結部材16,16同士が連結し合って横列姿勢に設定される。
【0052】
また横列姿勢では、一方(他方)のキャップ本体3に設けられた吐出口5から他方(一方)のキャップ本体3に設けられた封止栓6が離脱し、両吐出口5,5が開放されて開封済み状態となる。そして、図11に示すように、横列姿勢の両容器本体11,11を傾け、あるいは倒立させた状態で矢印方向にスクイズすることにより、両容器本体11,11から異なる内容液を同時に吐出させることができる。
【0053】
図12は本発明によるヒンジキャップ付き二液吐出容器の第3実施例としての要部を縦断面で示す正面図、図13図12のヒンジキャップ付き二液吐出容器の平面図、図14は第3実施例の使用例として、図4同様の流通時(縦列姿勢)を示す図、図15は第3実施例の使用例として、図5同様の流通時から吐出時へ至る途中の状態を示す図、図16は第3実施例の使用例として、図6同様の吐出時(横列姿勢)を示す図である。
【0054】
第3実施例に示すヒンジキャップ付き二液吐出容器が、上記第1実施例及び第2実施例と異なる点はヒンジキャップに不正開封防止機構10を設けた点にあり、その他の構成及び効果は上記第1実施例及び第2実施例で説明したヒンジキャップ付き二液吐出容器と同様である。このため、以下においては異なる点である不正開封防止機構10を中心に第3実施例としてのヒンジキャップ付き二液吐出容器について説明する。なお、同一部材については同一の符号を付して説明する。
【0055】
図12及び図13に示すように、第3実施例に示すヒンジキャップ付き二液吐出容器では、ヒンジキャップ1の一方のキャップ本体3の頂壁4のヒンジ2と反対側の端部位置に平面視略C字状の掛止凹部10aが一体形成され、これに対応する他方のキャップ本体3側の頂壁4の端部位置に掛止凸部10bが一体形成されており、これら掛止凹部10aと掛止凸部10bとによって不正開封防止機構10が構成されている。
【0056】
図14に示すように、ヒンジキャップ1を上記第1の方法又は第2の方法により、一対の容器本体11,11の口筒部12,12に組み付けて縦列姿勢にすると、一方のキャップ本体3側の掛止凹部10aと他方のキャップ本体3側の掛止凸部10bとが離脱不能に掛止し合う。これにより、縦列姿勢(未開封状態)にある一対の容器本体11,11が、容易に横列姿勢(開封済み状態)に至ることを防止することができる。よって、流通時等において、誤って一対の容器本体11,11が未開封状態の縦列姿勢から開封済み状態の横列姿勢に至って、内容液が液漏れするといった事故の発生を防止することができる。
【0057】
また掛止凹部10aと掛止凸部10bとを分離させない限り、未開封状態にある縦列姿勢から開封済み状態にある横列姿勢に至らせることは不可能であるため、不正開封による不正使用を防止できる。
【0058】
(内容液吐出時)
内容液の吐出は、第1及び第2実施例同様に、縦列姿勢にある一対の容器本体11,11を、ヒンジ2部分で矢印方向(図15参照)に折り曲げて行うが、このとき一対の容器本体11,11を比較的大きな力で折り曲げると、図15に示すように掛止凸部10bによって掛止凹部10aを切断することができる。これにより、両者の掛止状態が解除され、一対の容器本体11,11を未開封状態の縦列姿勢から開封済み状態の横列姿勢とすることができる。
そして、図16に示すように、横列姿勢の両容器本体11,11を傾け、あるいは倒立させた状態で矢印方向にスクイズすることにより、両容器本体11,11から異なる内容液を同時に吐出させることができる。
【0059】
第3実施例に示すヒンジキャップ付き二液吐出容器では、不正開封防止機構10を構成する掛止凹部10aと掛止凸部10bとの掛止状態を視覚を通じて確認することにより、ヒンジキャップ付き二液吐出容器が未開封状態にあるか、開封済み状態にあるかを容易に判別することができる。
【0060】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0061】
例えば、上記実施例では、容器本体11は,半円部14,14と、平面部15,15とからなる胴部13,13を有して対称形状に形成された筒体からなる構成を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、通常の有底円筒形状または有底角筒形状からなる容器であってもよい。
【0062】
また上記実施例では、両容器本体11,11としてスクイズ可能な合成樹脂製の容器を示して説明したが、粘度が低く傾斜させるだけで容易に吐出する内容液の場合には、両容器本体11,11はスクイズできない剛性の容器(合成樹脂製のみでなく、ガラス容器や金属容器なども含む)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のヒンジキャップ付き二液吐出容器は、2種類の異なる内容液を同時に吐出させて使用する分野、例えば工業用又は医療用の接着剤、発泡材、毛染液、洗浄剤などを入れる容器の分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ; ヒンジキャップ
2 ; ヒンジ
3 ; キャップ本体
3a ; 側壁
4 ; 頂壁
5 ; 吐出口
6 ; 封止栓
7 ; 内壁
8 ; 薄膜片
9 ; 尖形部
10 ; 不正開封防止機構
10a; 掛止凹部
10b; 掛止凸部
11 ; 容器本体
12 ; 口筒部
13 ; 胴部
14 ; 半円部
15 ; 平面部
16 ; 連結部材
図1
図2
図3
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図10
図11
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図16