(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなエアシリンダを駆動部として駆動するクランプ装置では、ワークに対して大きなクランプ力を発生させる場合には、大型のエアシリンダを採用する必要があり、装置の大型化を招くと共に、前記エアシリンダを駆動させるための圧力流体の消費量が増加し、それに伴って、ランニングコストが増加してしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、装置を大型化させることなく所望のクランプ力が得られると共に、省エネルギー化を図ることでランニングコストの低減を図ることが可能なクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、一組のクランプアームを回動させることで、一方のクランプアームと他方のクランプアームとの間にワークをクランプするクランプ装置において、
ボディと、
前記ボディに設けられ、圧力流体の供給作用下に軸方向に沿って変位体を変位させる駆動部と、
前記ボディに対して回動自在に支持され、互いに対向するように配置された一組のクランプアームと、
前記変位体の端部と前記クランプアームの端部とを接続し、前記駆動部の軸方向に沿った駆動力を前記クランプアームへと伝達し、該クランプアームを回動させる駆動力伝達機構と、
を備え、
前記駆動力伝達機構は、一端部に設けられた第1支持部を介して前記変位体に回動自在に支持される第1リンクアームと、前記第1リンクアームの他端部に設けられた第2支持部と前記クランプアームの端部とを接続し、前記第2支持部及び前記端部に対してそれぞれ回動自在に支持される第2リンクアームとを有したトグルリンク機構であり、前記第1支持部が前記軸方向に変位自在に設けられ、前記第2支持部が前記第1支持部の変位方向と直交方向に変位自在に設けられる
と共に、前記第1及び第2支持部は、前記ボディに設けられたガイド手段によって前記軸方向及び直交方向に案内されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、クランプ装置を構成する駆動力伝達機構を、駆動部の変位体に第1支持部を介して回動自在に支持される第1リンクアームと、前記第1リンクアームの他端部に設けられた第2支持部と前記クランプアームの端部とを接続し、前記第2支持部及び前記端部に対してそれぞれ回動自在に支持される第2リンクアームとを有したトグルリンク機構とし、前記第1支持部を前記変位体と共に軸方向に変位自在に設け、一方、前記第2支持部を前記第1支持部の変位方向と直交方向に変位自在に設けている。
【0009】
そして、駆動部の駆動作用下に変位体が変位することで、その駆動力が第1及び第2リンクアームを介してクランプアームの端部へと伝達され、該クランプアームが回動することでワークをクランプする際に、トグルリンク機構として機能する第1及び第2リンクアームによって前記駆動力が増力されてクランプアームへと伝達される。
【0010】
従って、駆動部で出力される駆動力が小さくても、第1及び第2リンクアームからなりトグルリンク機構として機能する駆動力伝達機構によって駆動力を増力して伝達することで、駆動部を大型化させることなく所望のクランプ力が得られ、しかも、駆動部における圧力流体の消費量を抑制できるため省エネルギー化が可能となり、ランニングコストの低減を実現することができる。
【0012】
さらに、ガイド手段は、第1支持部を水平方向に案内する第1ガイド部材と、第2支持部を鉛直方向に案内する第2ガイド部材とを備え、前記第1及び第2支持部には、前記第1及び第2ガイド部材の溝部に挿入される回転ローラを設けるとよい。
【0013】
さらにまた、クランプアームは、ボディに対して支軸を介して回動自在に設けられ、駆動力伝達機構の接続される一端部から前記支軸までの距離を、前記ワークを把持する把持部から前記支軸までの距離に対して長く設定するとよい。
【0014】
また、駆動部は、圧力流体の供給される第1及び第2のポートを有し、内部に変位体が変位自在に設けられたシリンダ本体を備えた流体圧シリンダであり、前記変位体は、一対のピストンからなり、前記第1のポートから前記圧力流体を供給することで前記ピストン同士を互いに離間する方向へと変位させ、前記第2のポートから前記圧力流体を供給することで前記ピストン同士を互いに接近する方向へと変位させるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、一組のクランプアームを回動させワークをクランプする際、駆動力伝達機構を構成し、トグルリンク機構として機能する第1及び第2リンクアームによって駆動部の駆動力を増力してクランプアームへと伝達することができるため、小さな駆動力で所望のクランプ力を得ることが可能となり、駆動部を大型化させることなく所望のクランプ力が得られ、しかも、駆動部における圧力流体の消費量を抑制できるため省エネルギー化が図れ、それに伴って、ランニングコストの低減を実現することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るクランプ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るクランプ装置を示す。
【0019】
このクランプ装置10は、
図1〜
図5に示されるように、ボディ12と、該ボディ12に対して回動自在に軸支される一対の第1及び第2クランプアーム14、16と、前記ボディ12に固定される駆動部18と、前記駆動部18の駆動力を前記第1及び第2クランプアーム14、16へと伝達する駆動力伝達機構20とを含む。
【0020】
ボディ12は、平板状に形成され水平方向に沿って配置されるベース22と、前記ベース22の両側面に対してそれぞれ連結され、互いに所定間隔離間して配置された一組のプレート体24a、24b(
図3参照)とからなり、前記プレート体24a、24bは前記ベース22に対して直交し、上方(矢印A方向)に向かって所定高さで形成される。また、ベース22は、例えば、床面等に載置され、図示しないボルト等によって固定されることにより、クランプ装置10が固定される。
【0021】
また、ボディ12の上部には、一組のプレート体24a、24bの端部同士を接続するように天井部26が設けられ、該天井部26は、前記プレート体24a、24bの延在方向(矢印A、B方向)に対して直交し、且つ、ボディ12における幅方向(矢印C、D方向)の略中央部に配置される。すなわち、天井部26は、ベース22と略平行に設けられる。この天井部26には、後述する第1及び第2クランプアーム14、16と対向する側面にそれぞれキャッチ溝28が形成されると共に、クランプ装置10によってワークWを把持する際、その上面に該ワークWが載置される。
【0022】
第1及び第2クランプアーム14、16は、略同一形状に形成され、駆動部18を中心として互いに対称となるように配置され、且つ、ボディ12における一方のプレート体24aと他方のプレート体24bとの間に設けられる。そして、第1及び第2クランプアーム14、16は、その長手方向に沿った略中央部に挿通され、一組のプレート体24a、24bによって支持されたアームピン(支軸)30を介してそれぞれボディ12に回動自在に支持される。
【0023】
この第1及び第2クランプアーム14、16は、断面略L字状に形成され、ベース22側(矢印B方向)に配置される一端部に、二股状に形成されたヨーク部32が形成され、他端部には前記一端部側に対して略直角に折曲され、ワークWをクランプするための把持部34がそれぞれ形成される。
【0024】
このヨーク部32の端部には、リンクピン36を介して後述する第2リンクアーム76a、76bの一端部が軸支される。
【0025】
把持部34は、例えば、断面略長方形状に形成され、互いに向かい合う把持面が該第1及び第2クランプアーム14、16の長手方向と略平行な鉛直面となるように形成される。
【0026】
また、第1及び第2クランプアーム14、16には、その一端部側に対して他端部側が折曲する部位に孔部を介してアームピン30がそれぞれ挿通される。なお、把持部34の下方には、該把持部34の把持面に対して突出した位置決め部38がそれぞれ形成され、第1及び第2クランプアーム14、16の把持部34が互いに接近してワークWを把持したクランプ時において、それぞれ天井部26のキャッチ溝28にそれぞれ係合される。
【0027】
この第1及び第2クランプアーム14、16において、
図1に示されるように、アームピン30から把持部34におけるワークWの把持中心までの第1距離L1と、前記アームピン30からリンクピン36までの第2距離L2とが所定の比率(長さ比)となるように形成され、前記第2距離L2が前記第1距離L1に対して大きくなるように設定される(L1<L2)。
【0028】
駆動部18は、一組のプレート体24a、24bの間に配置されると共に、ベース22に対して所定間隔離間して水平に設けられ、筒状のシリンダチューブ40と、該シリンダチューブ40の内部に変位自在に設けられる一対の第1及び第2ピストン42、44と、前記第1及び第2ピストン42、44にそれぞれ連結される第1及び第2ピストンロッド46、48と、前記シリンダチューブ40の両端部に設けられ、該第1及び第2ピストンロッド46、48をそれぞれ変位自在に支持する第1及び第2ロッドカバー50、52とを含む流体圧シリンダである。
【0029】
このシリンダチューブ40は、その両端部が取付ブラケット54を介して固定ボルト56でプレート体24bに固定される。そして、シリンダチューブ40の側面には、該シリンダチューブ40の軸方向と直交方向(矢印A、B方向)に貫通した第1〜第3ポート58、60、62が形成され、前記第1〜第3ポート58、60、62を通じて前記シリンダチューブ40の内部と外部とが連通する。
【0030】
第1ポート(第2のポート)58は、第1クランプアーム14側(矢印C方向)となるシリンダチューブ40の一端部近傍に設けられ、第2ポート(第1のポート)60は、シリンダチューブ40の軸方向(矢印C、D方向)の中央部に設けられ、第3ポート(第2のポート)62は、第2クランプアーム16側(矢印D方向)となるシリンダチューブ40の他端部近傍に設けられる。すなわち、第1〜第3ポート58、60、62は、シリンダチューブ40の軸方向(矢印C、D方向)に沿って互いに離間して設けられている。
【0031】
そして、第1〜第3ポート58、60、62には、それぞれ継手64を介して図示しない圧力流体供給源に接続された配管66が接続され、図示しない切換装置による切換作用下に第1及び第3ポート58、62、第2ポート60のいずれか一方に選択的に圧力流体が供給される。なお、第1及び第3ポート58、62には、圧力流体が同時に供給されるように配管66が接続される。
【0032】
第1及び第2ピストン42、44は、例えば、円盤状に形成され、その外周面には環状溝を介してピストンパッキン68が装着され、該ピストンパッキン68がシリンダチューブ40の内壁面に摺接することで、前記第1及び第2ピストン42、44と前記シリンダチューブ40との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。
【0033】
そして、第1ピストン42は、シリンダチューブ40の軸方向に沿った中央から一端部側(矢印C方向)に配置され、第2ピストン44が前記シリンダチューブ40の中央から他端部側(矢印D方向)に配置される。すなわち、第1ピストン42と第2ピストン44は、シリンダチューブ40の内部に並列に設けられ、且つ、前記シリンダチューブ40の一端部及び他端部から同一距離だけ離間した位置に配置される。
【0034】
第1及び第2ピストンロッド46、48は、その一端部が第1及び第2ピストン42、44の中心にそれぞれ挿通され一体的に加締められることでそれぞれ連結され、他端部は、第1及び第2ロッドカバー50、52を通じてシリンダチューブ40の一端部及び他端部において外部へと突出している。換言すれば、第1ピストンロッド46と第2ピストンロッド48とは互いに離間する方向に向かって延在するように配置される。
【0035】
第1及び第2ロッドカバー50、52は、シリンダチューブ40の内部に挿入された後、該シリンダチューブ40の内周面に係合された係止リング70によって係止されると共に、その内周面に装着されたロッドパッキン72が第1及び第2ピストンロッド46、48の外周面にそれぞれ摺接することで、前記第1及び第2ロッドカバー50、52と第1及び第2ピストンロッド46、48との間を通じた圧力流体の漏出を防止している。
【0036】
駆動力伝達機構20は、第1及び第2ピストンロッド46、48の他端部に軸支される第1リンクアーム74a、74bと、該第1リンクアーム74a、74bと第1及び第2クランプアーム14、16の一端部とをそれぞれ接続する第2リンクアーム76a、76bと、前記第1リンクアーム74a、74bの一端部に軸支される第1ローラ(回転ローラ)78と、前記第1リンクアーム74a、74bの他端部及び第2リンクアーム76a、76bの他端部に軸支される第2ローラ(回転ローラ)80とを含む。
【0037】
第1リンクアーム74a、74bは、長手方向に沿って所定長さを有した板状に形成され、
図3に示されるように、第1ピストンロッド46側、第2ピストンロッド48側にそれぞれ一対ずつ設けられる。そして、第1リンクアーム74a、74bの一端部は、第1及び第2ピストンロッド46、48の他端部を間に挟むように平行に設けられ、第1ローラピン(第1支持部)82を介して回動自在に支持される。
【0038】
また、第1リンクアーム74a、74bの外側には、一対の第1ローラ78が第1ローラピン82を介して回転自在に設けられる。この第1ローラ78は、一組のプレート体24a、24bの内壁面にそれぞれ設けられた一対の第1ガイド体(ガイド手段)84のガイド溝(溝部)84aに挿入され、ベース22と平行に延在するガイド溝84aに沿って移動することで前記第1ローラ78が略水平方向(矢印C、D方向)に案内される。すなわち、第1ローラ78の軸支された第1リンクアーム74a、74bの一端部は、第1ガイド体84によるガイド作用下に略水平方向にのみ変位する。
【0039】
一方、第1リンクアーム74a、74bの他端部には第2ローラピン(第2支持部)86が設けられ、該他端部の外側に一対の第2ローラ80が設けられ前記第2ローラピン86によって回動自在に支持されると共に、一対の第1リンクアーム74a、74bの間に、第2リンクアーム76a、76bの他端部が挿入され、第2ローラピン86によって軸支される。
【0040】
この第2ローラ80は、一組のプレート体24a、24bの内壁面にそれぞれ設けられた第2ガイド体(ガイド手段)88のガイド溝(溝部)88aに挿入され、ベース22と直交する鉛直方向に延在するガイド溝88aに沿って移動することで前記第2ローラ80が鉛直方向に案内される。すなわち、第2ローラ80の軸支された第1リンクアーム74a、74b及び第2リンクアーム76a、76bの他端部は、第2ガイド体88によるガイド作用下に鉛直方向(矢印A、B方向)にのみ変位する。
【0041】
このように、第1リンクアーム74a、74bは、駆動部18を構成する第1及び第2ピストンロッド46、48の他端部と第2リンクアーム76a、76bの他端部とをそれぞれ接続し、前記第1及び第2ピストンロッド46、48、第2リンクアーム76a、76bに対して回動自在に支持され、駆動部18からの駆動力を第2リンクアーム76a、76bへと伝達する。
【0042】
第2リンクアーム76a、76bは、第1リンクアーム74a、74bと同様に、長手方向に沿って所定長さを有した板状に形成され、一端部に軸支されるリンクピン36と、他端部に軸支される第2ローラピン86を介して第1リンクアーム74a、74bと第1及び第2クランプアーム14、16とをそれぞれ接続した状態で回動自在に設けられる。そして、第2リンクアーム76a、76bは、第1リンクアーム74a、74bに伝達された駆動力を第1及び第2クランプアーム14、16へと伝達して回動させる。
【0043】
本発明の実施の形態に係るクランプ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、以下の説明においては、
図4に示す第1及び第2クランプアーム14、16の把持部34が互いに離間したアンクランプ状態を初期位置として説明する。この初期位置においては、第1及び第3ポート58、62を通じてシリンダチューブ40の内部に圧力流体が供給され、該圧力流体によって前記第1ピストン42と前記第2ピストン44とが互いに接近するように前記シリンダチューブ40の中央部へそれぞれ変位している状態にある。
【0044】
ここで、上述したクランプ装置10によって把持されるワークWについて簡単に説明する。このワークWは、例えば、
図1及び
図4に示されるように、車両のフレームを構成する断面U字状の第1フレームW1と、該第1フレームW1に組み合わせられる断面U字状の第2フレームW2とからなる。第1フレームW1は、下方(矢印B方向)に向かって開口した状態で第1及び第2クランプアーム14、16における把持部34の間に配置され、一方、第2フレームW2は、側壁が開口部側に向かって徐々に拡幅するように傾斜して形成され、該開口部が上方(矢印A方向)となるように配置され、且つ、その内部に前記第1フレームW1が挿入された状態で天井部26に対して載置される。
【0045】
換言すれば、第1フレームW1に対して第2フレームW2が外側に配置され、該第2フレームW2の側壁が、第1及び第2クランプアーム14、16側に向かって広がるように傾斜している。
【0046】
このようにワークWがクランプ装置10における所定位置にセットされた状態で、先ず、図示しない切換装置の切換作用下に駆動部18の第1及び第3ポート58、62へと供給されていた圧力流体を第2ポート60へと供給する。なお、この場合、第1及び第3ポート58、62は大気開放状態とする。
【0047】
これにより、
図1に示されるように、シリンダチューブ40内に導入された圧力流体によって第1及び第2ピストン42、44が互いに離間する方向へと押圧され、該第1及び第2ピストン42、44と共に第1及び第2ピストンロッド46、48及び第1ローラ78が第1及び第2クランプアーム14、16側へとそれぞれ変位する。
【0048】
これに伴って、第1リンクアーム74a、74bの一端部が、第1ガイド体84のガイド溝84aによる第1ローラ78の案内作用下に駆動部18から離間する方向へと押し出され、第1ローラピン82を支点として回動することで、他端部側に軸支された第2ローラ80が第2ガイド体88のガイド溝88aに沿って下方(矢印B方向)へと移動する。そして、第2ローラ80の下降に伴って第2リンクアーム76a、76bの他端部が下方(矢印B方向)へと移動することで、該第2リンクアーム76a、76bは、リンクピン36を介して第1及び第2クランプアーム14、16の一端部を互いに離間させる方向へと押圧する。
【0049】
これにより、第1及び第2クランプアーム14、16は、アームピン30を支点として把持部34が互いに接近する方向へとさらに回動し、前記把持部34によって第2フレームW2の側壁が互いに接近させるように押圧され変形し、該第2フレームW2の側壁が第1フレームW1の側壁に当接し、且つ、略平行となった状態でクランプが完了したクランプ状態となる(
図1参照)。
【0050】
なお、この際、位置決め部38が、ボディ12のキャッチ溝28にそれぞれ係合されることで、クランプ時において前記第1及び第2クランプアーム14、16が所定の停止位置で位置決めされると共に、前記第1及び第2クランプアーム14、16のさらなる回動が規制される。
【0051】
また、この際、
図2に示されるように、第1リンクアーム74a(74b)が第1ローラピン82の中心を通る垂線S1に対して第1クランプアーム14(第2クランプアーム16)側へ第1トグル角度θ1だけ傾斜しているため、駆動部18から出力された駆動力が増力され、推力T1として第2リンクアーム76a(76b)へと伝達され、該第2リンクアーム76a(76b)が、第2ローラピン86の中心を通る水平線S2に対してベース22側(矢印B方向)へ第2トグル角度θ2だけ傾斜しているため、さらに増力された推力T2として第1クランプアーム14(第2クランプアーム16)の一端部へと伝達される。すなわち、第1リンクアーム74a、74b及び第2リンクアーム76a、76bは、駆動部18からの駆動力を増力して第1及び第2クランプアーム14、16へと伝達可能なトグルリンク機構として機能し、駆動部18で出力された駆動力を、駆動力伝達機構20を構成する第1リンクアーム74a、74b及び第2リンクアーム76a、76bによって増力させることができる。
【0052】
さらに、第1及び第2クランプアーム14、16によってワークWをクランプする際、
図1に示されるように、第1及び第2クランプアーム14、16がアームピン30を中心として一端部側の長さ(第2距離L2)が他端部側の長さ(第1距離L1)に対して長く形成されているため、駆動力伝達機構20によって伝達された駆動力が、第1距離L1と第2距離L2との長さ比(L2/L1)の分だけ増力され、増力されたクランプ力でワークWを把持することができる。
【0053】
すなわち、駆動部18で出力された駆動力を、駆動力伝達機構20を構成する第1リンクアーム74a、74b及び第2リンクアーム76a、76bによって増力させると共に、第1及び第2クランプアーム14、16によってさらに増力させ回動させることでワークWをクランプすることができるため、所定のクランプ力を得るために駆動部18を大型化させる必要がなく、小型の駆動部18で略同等の前記クランプ力を得ることが可能となる。
【0054】
そして、第1及び第2クランプアーム14、16によって第1及び第2フレームW1、W2がクランプされた状態で、例えば、図示しない溶接装置によって前記第1及び第2フレームW1、W2の側壁同士が溶接される。
【0055】
一方、
図1に示される第1及び第2クランプアーム14、16によるワークWのクランプ状態を解除する場合には、図示しない切換装置の切換作用下に駆動部18の第2ポート60へと供給されていた圧力流体を再び第1及び第3ポート58、62へと供給する。なお、この場合、第1及び第3ポート58、62に対する圧力流体の供給量は同一となるように供給すると共に、第2ポート60を大気開放状態とする。
【0056】
これにより、第1及び第2ピストン42、44が圧力流体による押圧作用下に互いに接近する方向へと変位し、第1及び第2ピストンロッド46、48及び第1ローラ78が一体的に変位する。そして、第1ローラ78の変位に伴って第1リンクアーム74a、74bの一端部が駆動部18側へと変位し、他端部に設けられた第2ローラ80が第2ガイド体88の案内作用下に上昇する。それに伴って、第2リンクアーム76a、76bが回動して第1及び第2クランプアーム14、16の一端部を互いに接近させるように引張することで、第1及び第2クランプアーム14、16は、アームピン30を支点として把持部34が互いに離間する方向へと回動し、
図4に示されるようなワークWのクランプが解除されたアンクランプ状態となる。
【0057】
以上のように、本実施の形態では、一対の第1及び第2ピストン42、44を有する駆動部18を備えたクランプ装置10において、駆動部18を構成する第1及び第2ピストン42、44の変位作用下に出力される駆動力が、駆動力伝達機構20を介してそれぞれ第1及び第2クランプアーム14、16へと伝達され、ワークWをクランプする際、第1リンクアーム74a、74bが第1ローラピン82を通る垂線S1に対して第1及び第2クランプアーム14、16側へ第1トグル角度θ1だけ傾斜し、且つ、第2リンクアーム76a、76bが第2ローラピン86を通る水平線S2に対してベース22側へ第2トグル角度θ2だけ傾斜しているため、駆動力が前記第1リンクアーム74a、74b及び第2リンクアーム76a、76bによってそれぞれ増力されて第1及び第2クランプアーム14、16の一端部へと伝達させることが可能となる。
【0058】
その結果、駆動部18で出力される駆動力が小さくても、第1リンクアーム74a、74b及び第2リンクアーム76a、76bからなる2つのトグルリンク機構を用いることで該駆動力を増力することができるため、第1及び第2クランプアーム14、16によって所望のクランプ力でワークWをクランプでき、例えば、大きなクランプ力が必要とされる場合でも、出力の小さな駆動部18(流体圧シリンダ)で対応することが可能となるため、クランプ装置10を大型化させる必要がなく、しかも、前記駆動部18における圧力流体の消費量を抑制できるため省エネルギー化が可能となり、ランニングコストの低減を実現できる。
【0059】
また、第1及び第2クランプアーム14、16は、アームピン30からリンクピン36に接続された一端部側までの長さ(第2距離L2)が、該アームピン30から他端部側の把持部34までの長さ(第1距離L1)に対して長く設定されているため、長さ比(L2/L1)の分だけ前記駆動力をさらに増力させて第1及び第2クランプアーム14、16を回動させワークWをクランプさせることが可能となる。その結果、上述した第1リンクアーム74a、74b及び第2リンクアーム76a、76bからなる駆動力伝達機構20(トグルリンク機構)のみで増力させる場合と比較し、さらに小さな駆動部18で所望のクランプ力を得ることが可能となり、それに伴って、クランプ装置10のさらなる小型化、さらなる省エネルギー化が可能となり、ランニングコストの低減も実現可能となる。
【0060】
さらに、駆動部18を構成するシリンダチューブ40の第1及び第3ポート58、62に対して接続された配管66に、例えば、速度調整弁等をそれぞれ接続し、第2ポート60へ圧力流体を供給することでワークWをクランプする際に、第1ポート58から排気される圧力流体の排気量と、第3ポート62から排気される圧力流体の排気量とを異ならせることにより、第1クランプアーム14の回動速度と第2クランプアーム16の回動速度とを変化させることができる。
【0061】
例えば、第1ポート58からの圧力流体の排気量を多く、第3ポート62からの排気量を少なくすることで、第1クランプアーム14の回動速度を速め、第2クランプアーム16の回動速度を前記第1クランプアーム14の回動速度に対して遅くすることができるため、前記第1クランプアーム14の把持部34のみを先行してワークWの側壁に当接させることで位置決めを行った後、遅れて前記ワークWへと当接する第2クランプアーム16の把持部34との間でワークWをクランプする。これにより、クランプ装置10において、ワークWの位置決め作業を行うことなく、該ワークWを所定の位置で確実にクランプできるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0062】
なお、本発明に係るクランプ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。