(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900864
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】燃料電池の耐凍結型凝縮器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/06 20160101AFI20160324BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20160324BHJP
【FI】
H01M8/06 W
H01M8/04 N
H01M8/04 J
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-509271(P2014-509271)
(86)(22)【出願日】2011年5月4日
(65)【公表番号】特表2014-517987(P2014-517987A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】US2011000789
(87)【国際公開番号】WO2012150917
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2014年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 和夫
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミー,シタラム
(72)【発明者】
【氏名】ヨコセ,マサキ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,リチャード,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マイケル,エル.
(72)【発明者】
【氏名】グッドリッチ,キャサリン,エム.
【審査官】
相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−525989(JP,A)
【文献】
特開2002−313376(JP,A)
【文献】
特開平05−041230(JP,A)
【文献】
特開平09−120831(JP,A)
【文献】
特開平06−074670(JP,A)
【文献】
特開2010−249388(JP,A)
【文献】
特開2010−255916(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/116194(WO,A1)
【文献】
特開2011−025191(JP,A)
【文献】
実開昭56−144271(JP,U)
【文献】
実開平01−123075(JP,U)
【文献】
特開平06−194093(JP,A)
【文献】
特表2007−523316(JP,A)
【文献】
特開2010−025478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00− 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の動作時に、蒸発した冷媒水を有したカソード排出物を供給する燃料電池スタック(50)と、
冷媒流体流路(13)と、該冷媒流体流路と熱伝導し、前記カソード排出物を運ぶように構成された凝縮流体流れ通路(18)と、を有した少なくとも1つのフィン型凝縮器(12,12a,49)であって、プレート(16,17)の間に配置された波形フィン(14,15)のセットを有してなるプレート状フィン型熱交換器(12,12a)を備えた少なくとも1つのフィン型凝縮器(12,12a,49)と、
を備え、
前記少なくとも1つのフィン型凝縮器は、a)凝縮流体流れ通路(18)の流体出口端部にある前記少なくとも1つのフィン型凝縮器の端部面(31)の大部分であって、前記少なくとも1つのフィン型凝縮器の前記流体出口端部から水を取り除くように構成された実質的に透水性のウィック(32)と連通した、親水性である端部面(31)の大部分と、b)プレート状フィン型熱交換器に関連したプレートを越えて延びる前記プレート状フィン型熱交換器の少なくとも数個の波形フィン(14)と、によって、流体流れが少ないときに凝縮物の溜まりを防止するように構成されることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
前記凝縮流体流れ通路(18)の前記流体出口端部の前記端部面(31)は、少なくとも1つの凝縮器(49)の前記流体出口端部から水を取り除くように構成された実質的に透水性のウィック(32)と連通し、かつ親水性であり、
少なくとも数個の前記凝縮流体流れ通路が、前記少なくとも1つの凝縮器の親水性端部面(31)と連通し、かつ親水性であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記凝縮流体流れ通路(18)の前記流体出口端部の前記端部面(31)は、少なくとも1つの凝縮器(49)の前記流体出口端部から水を取り除くように構成された実質的に透水性のウィック(32)と連通し、かつ親水性であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
少なくとも1つの凝縮器(49)の前記端部面(31)は、重力方向に対し0〜20度だけ傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項5】
少なくとも1つの凝縮器(49)の前記端部面(31)は、17度だけ傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
少なくとも1つの凝縮器(12)が、前記燃料電池スタック(50)が地球の重力に対し前記燃料電池スタック(50)の通常の動作姿勢にあるときに、実質的に垂直に前記カソード排出物を運ぶように、前記燃料電池スタック(50)に対し向けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの凝縮器が、前記燃料電池スタックが地球の重力に対し前記燃料電池スタックの通常の動作姿勢にあるときに、実質的に水平に前記カソード排出物を運ぶように、前記燃料電池スタックに対し向けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
凝縮型熱交換器、例えば、蒸発冷却を用いる燃料電池システムで使用するのに適した熱交換器は、燃料電池システムのシャットダウン時または低電力動作時にカソード排出物流れが減少したときに蓄積する溜まった凝縮物によって塞がれる傾向を有している。寒い環境では、少ないカソード流量において凝縮物通路を塞ぐ水が凍結することがあり、したがって、カソードを通る空気流れの通路を塞ぎ、次の起動が妨げられる。凝縮物の溜まりは、a)プレートを越えて拡張されたプレート状フィン型熱交換器のフィンを用いて、b)形状づけられた端部を有したチューブを備えてなるフィン付チューブ型熱交換器を用いて、またはc)水を放出するウィッキングに接触する親水性面をカソード排出物用流れ通路の端部に提供することによって、防止される。
【背景技術】
【0002】
(本願の参照となる)米国特許第7,504,170号明細書のように蒸発冷却を用いた燃料電池システムが、小型でかつ効率的な凝縮型熱交換器を必要とする。これは、移動式の用途、例えば、燃料電池によって給電される電気車両で用いられる燃料電池システムにおいて特に必要である。プレート状フィン型熱交換器およびフィン付チューブ型熱交換器が、上記の使用に適している。しかし、これらの熱交換器は、制限された空間内において凝縮流れ側の伝熱領域を最大化するために、非常に密集した伝熱フィンおよびチューブまたはプレートを有してなる非常に狭い流れチャネルから一般に構成されている。
【0003】
凝縮チャネルが非常に狭いので、燃料電池システムがシャットダウンされたときに、水が、凝縮物を運ぶ作動流体用の容積が十分に無いために流れチャネル内に留まり易くなる。凝縮物が、シャットダウン後に狭いチャネルを横切って溜まり易くなり、氷点下の環境で凍結する。空気流れチャネルが氷によって部分的または全体的に塞がれるので、次の起動が妨げられる。さらに、氷による塞がりは、構造的な応力を生じさせることになり、これにより、凝縮器が、損傷し得る。ある状況、特に、凝縮物流れおよび冷却流れの双方を水平にする必要がある場合には、凝縮水が、燃料電池システムの動作中、特に、低電力での動作中に溜まり、流れチャネルの一部を塞ぐことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施例では、凝縮型熱交換器が、凝縮物用流れチャネルの流出端部に親水性排水部を備えている。熱交換器の少なくとも流出端部面が、親水性とされ、ウィックと連通している。ここで、このウィックは、端部面から、例えば、凝縮物用アキュムレータへと水を案内する。そして、水は、重力によって流されるか、または可能な処理のためにポンプ輸送され、冷媒として燃焼電池スタックに戻され得る。ウィッキングが、適切に処理された親水性金属プレート、ロッド、カーボンシートまたは他の透水性ウィッキングとされ得る。親水性端部面およびウィッキングは、燃料電池システムがシャットダウンされたときに水の溜まりを防止し、通常の動作中に、流れチャネルが塞がれるのを防止する。
【0005】
親水性端部面およびウィッキングは、水平の凝縮物流れまたは垂直の凝縮物流れ(またはこれらの間)を有して、プレート状フィン型凝縮器またはフィン付チューブ型凝縮器と共に用いられ得る。凝縮物用流れ通路は、中央通路の水の溜まりを防止するように一部または完全に親水性とされ得る。フィンの一方の側または双方の側、プレートまたはこれらの双方、もしくはチューブの内側が、親水性とされ得る。
【0006】
他の実施例では、流れ通路の端部において流れの完全な塞がりが無く、凝縮物がフィンから必然的に滴り落ち、通路が水で塞がれないように、プレート状フィン型熱交換器のフィンが、プレートを越えて延びる。同様の実施例では、フィン付チューブ型熱交換器の代替的なフィンが、少ない流量が溜まるのを防止するために、隣接したフィンを越えて延びる。凝縮物がフィン付チューブ型熱交換器のチューブ内を流れる実施例では、チューブがフィンを越えて延び、チューブの端部におけるチューブの下方にぶら下がった部分が、完全な塞がりが生じないように取り除かれる。
【0007】
他の実施例が、動作中、特に、シャットダウン時に凝縮物の流出量を高めるように、ある程度傾斜した凝縮熱交換器を提供する。この実施例では、凝縮物を運ぶ通路の端部が例えば、平面または直線を画定し、この平面または直線は、燃料電池スタックに対し約0〜20度の角度で燃料電池発電装置内に取り付けられている。この角度は、約17度であることが好ましい。
【0008】
本発明の種々の実施例は、移動式の用途、例えば、燃料電池によって駆動される電気モータを有した車両での使用に非常に適している。しかし、本発明の実施例は、固定式燃料電池発電装置でも非常に役に立つ。
【0009】
他の変更が、添付の図面に示されているように、例示的な実施例の発明を実施するための形態に照らして、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本技術分野で知られるプレート状フィン型熱交換器の部分的に拡大した斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に従って拡張されたフィンを有する、
図1に示した形式のプレート状フィン型熱交換器の断片的な斜視図である。
【
図3】本発明の他の実施例に従って延びる垂直凝縮物チューブを有したフィン付チューブ型熱交換器の断片的な斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施例に従って延びる水平凝縮物チューブを有したフィン付チューブ型熱交換器の断片的な斜視図である。
【
図5】本発明の別の実施例に従って、凝縮物案内チューブの端部面全てが親水性であり、凝縮物用アキュムレータへと導くウィッキングと連通する、水平プレートフィン型熱交換器の斜視図である。
【
図6】シャットダウン時に液体の流れを向上させる傾斜した凝縮器を備えた燃料電池スタックの様式化された概略図である。
【
図7】燃料電池スタックが垂直なときに、傾斜した1つの凝縮器を備えた燃料電池スタックの様式化された概略図である。
【
図8】燃料電池スタックが傾斜しているときの、
図7の燃料電池スタックの様式化された概略図である。
【
図9】本発明の他の実施例に従って拡張された交互の垂直フィンを備えたフィン付チューブ型熱交換器の断片的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、従来技術で知られているプレート状フィン型熱交換器12が、複数の波形フィン14,15を備えており、フィン14は、垂直であり、フィン15は、水平である。各フィン14,15は、薄いプレート16またはより厚い端部プレート17の間に配置されている。薄いプレート16は、側壁19と側壁20との間で波形部14,15上に置かれており、波形部14の左方向および右方向の双方へと広がる垂直波形部14と薄いプレート16(または端部プレート17)との間の空間18が、カソードからの排出物の流れのために用いられ、この流れから、水蒸気が凝縮される。薄いプレート16(または端部プレート17)の間の水平波形部15の右方向および左方向に広がる水平流れ13は、冷媒流れ、つまり、垂直流れからの必要な水分を凝縮するためにプレートおよび垂直フィン14を十分に冷却することになる流れのためのものである。
【0012】
垂直波形部14の両側において、加湿されたガスの下方への流れが十分にある限りは、波形部14の周囲で凝縮された水の全てが、(
図5に示した従来の)アキュムレータへと下方に流れることになる。しかし、燃料電池発電装置をシャットダウンした際に流れが弱まるときはいつでも、(例えば)ステンレス鋼側に対する水の接触角度が比較的高いので、波形部の間の(およそミリメータである)非常に細い空間内の水が溜まり、流れが止まったときには、垂直波形部の端部の多くまたは全てが、水の障害物を有することになる。燃料電池発電装置が、水の凍結温度よりも低くなる環境にある場合には、氷が形成され、通路を妨害し、カソードから(およびカソードへの)空気の流れを阻止することになり、これにより、起動動作が妨げられる。
【0013】
図2を参照すると、一実施例21では、垂直フィン14は、流路の端部が完全に塞がれないように、プレート16,17を越えて延びる。これにより、水が溜まることが防止され、凍結が回避される。実施例21は、図示したように垂直カソード排出物通路を備えることができ、または水平カソード排出物通路を備えることもできる。
【0014】
図3を参照すると、実施例23では、拡張されたフィン付チューブが、フィン25を貫通して延びる複数の垂直中空チューブ24を備えている。実際には、多くのフィンおよびチューブが必要であるが、簡潔のために、3つのみのフィンおよびチューブが示されている。チューブは、中空であり、少なくとも部分的に凝縮すべきカソード排出物の流れのために意図されている。チューブ28の端部は、完全に塞がれない適切なチューブ面があり、これにより、例えば燃料電池スタックのシャットダウン時に流体の流れが減少したときに溜まりを防止するように、例えば、適切な小さい角度で切断することによって形状づけられる。冷媒は、チューブの間の空間26内を流れる。
【0015】
図4には、同様の実施例23aが示されているが、実施例23aは、水平の凝縮チューブ24aを備えており、端部28aが、下方に開口し、これにより、液体による塞がりおよび溜まりが回避されるように形状づけられている。
【0016】
熱の均衡を考慮するために、
図9について後述されているように、カソード排出物がフィンの間を流れる状態で、チューブを通る冷媒(例えば、グリコール)の流れを備えることが好ましい。
【0017】
図5を参照すると、他の実施例12aが示されており、他の実施例12aでは、(
図5に示した右方向への)凝縮物用流れ通路の出口端部およびこれの付近に設けられた熱交換器の端部面31の全ての大部分(おおよそ半分よりも大きい)を生じさせることによって凝縮物フィン14から水が除去される。ここで、熱交換器の端部面31の全ては、親水性であり、実質的に透水性なウィッキング32と連通しており、透水性ウィッキング32は、アキュムレータ34へと水を導く。単一のウィックを用いる代わりに、所定の場合に適切であると思われるときには、ウィッキング32を垂直ストリップに取り替えることができる。ウィッキングは、親水性面を有した適切な金属、またはより親水性になるように処理されたカーボンペーパ、もしくは他の適切なウィッキングとすることができる。実施例12aは、図示したように、水平のカソード排出物用流れ通路を備えるか、または垂直のカソード排出物用流れ通路を備えることができる。
【0018】
アキュムレータ34は、出口マニホールド、例えば、簡潔のために仮想線で部分的にのみ示されたカソード排出物用出口マニホールド37の部分とされ得る。マニホールド37は、上部39および正面部40を備えることができ、正面部40は、排出物出口を有しており、この排出物出口の詳細は、本実施例では重要ではない。
【0019】
凝縮物は、適切な場合にはポンプ45により推進して、アキュムレータ34から導管41,42に沿って出口40を通して流れることができる。凝縮物は、必要であれば、例えば脱イオン装置を通過することによって処理され、加熱され、または冷却され、冷媒として燃料電池スタックへと戻される。
【0020】
所定の実施において必要であるか、または望ましい場合には、凝縮物用流れチャネルの全てが、親水性の面を有してもよい。フィン14の上面または下面もしくはこれらの双方、プレート16(
図1)の上面または下面もしくはこれらの双方、および端部プレート17の内側面が、親水性とされ得る。凝縮物用流れチャネルの一方の半分が氷によって塞がれていたとしても、少ない空気流量で燃料電池スタックの起動が容易に生じるように、一般に凝縮物用流れチャネルの他方の半分のみにおいて熱交換器の親水性の端部面へと液体を運ぶことが十分であることが分かる。その後、燃料電池の反応によって生じる熱が、流れチャネルの上記一方の半分を溶かし、これにより、流れチャネルの残りの半分は塞がれない。
【0021】
図5に示した熱交換器の端部面は、フィン14の最も右側の縁部、
図5に見られる側部プレート20の最も右側の面、および側部プレート19の最も右側の端部面を意味する。任意選択的に、底部プレート17の最も右側の縁部も親水性とされ得る。
【0022】
実施例12aは、親水性チューブまたはフィン出口縁部を有したフィン付チューブ凝縮器と共に実施され得る。
【0023】
垂直カソード排出物用通路と共に適応される場合には、実施例12aは、
図6に示したように縁に沿って傾斜させることによって高められた性能を必要とし得る。一対の凝縮器49が、約0度よりは大きいが約20度よりは小さい角度、好ましくは約17度で水平の燃料電池スタック50の下方に配置される。単一のアキュムレータ52が、凝縮器21の双方から凝縮物を受ける。傾斜させることにより、接触角度により生じる泡圧力の一部を克服しつつ、拡張されたフィン14の底部の縁部が、この縁部上の水を容易に放出することができる。
【0024】
本明細書で定義されるように、「縁に沿って」という用語は、フィン15の周囲に形成された冷媒流れチャネルの排出端部が、地球の垂直感覚において、フィン15によって形成された冷媒チャネルの入口端部よりも高いかまたは低いことを意味する。
【0025】
2つの凝縮器21を傾斜させる代わりに、
図7および
図8に示したように、1つのみの凝縮器を傾斜させる必要がある。これは、フィン14によって形成された全てではないカソード排出物用チャネルが適切に開状態にされていないとしても、傾斜した凝縮器のカソード排出物用チャネルが適切に開状態となるからである。その後、次の起動時には、傾斜した凝縮器21のチャネルの全てが、開状態となり、燃料電池スタック50の次の初期の起動用のためのかなりの空気流れが生じる。初期の起動時には、燃料電池の反応によって生じた熱が、傾斜していない凝縮器21内の氷を解かすのに十分なカソード排出部の暖かさを提供し、その次に、完全な空気流れが生じる。
【0026】
1つのみの凝縮器が傾斜している状態で、
図8に示したように、車両が、特定の地域ついての動作により傾斜した場合には、2つの凝縮器の役割が、単に逆転するであろう。
【0027】
図9には、フィン付チューブの代替的な実施例23bが示されており、実施例23bでは、冷媒、例えば、グリコール溶液が、(矢印60で示したように)チューブ24bを通して流れており、カソード排出物が、(矢印62で示したように)フィン25とフィン25aとの間の空間62に流れる。フィン25aは、流体流れが少ないときに、例えば、燃料電池発電装置のシャットダウン時に凝縮物の溜まりを防止するようにフィン25を越えて延びる。
【0028】
解決すべき問題は、氷が流れチャネルの出口に形成されることなく、したがって、燃料電池スタックの次の起動時に空気流れを妨害しないように、凝縮流体流れ通路内の水の溜まりを防止することである。これは、カソード排出物用流れ通路を通る流れが燃料電池スタックのシャットダウン時に減少したときに、蒸発冷却型燃料電池スタックのカソード排出物用流れ通路で特に確かである。水の溜まりを防止する一般的な方法は、チャネルの端部面および周囲の面を含む、反応流体流れチャネルの出口端部からの水の除去を向上させることである。これは、種々の手段、例えば、拡張されたチャネルと、チャネルの形状づけられた端部と、チャネル内だけでなく凝縮器の出口端部の縁部面の全てにおける親水性コーティングと、凝縮器を傾斜させることによって達成される。
【0029】
本明細書で用いられているように、「実質的に垂直な」という用語は、関連した燃料電池スタックが地球の重力に対し通常の動作位置に向けられているときに、20度よりも小さい程度に垂直であることを意味する。
【0030】
本発明の真意を逸脱することなく、本発明の実施例の修正および変更を加えることができるので、付記の特許請求の範囲によって要求される以外に、本発明を限定することを意図していない。