【実施例1】
【0016】
まず、本発明であるソーラーパネルの構成について説明する。
図1は、本発明であるソーラーパネルの全体構造を示す分解斜視図である。
【0017】
ソーラーパネル100は、太陽電池で発電を行う装置である。ソーラーパネル100は、
図1に示すように、太陽電池の集合であるセル300と、セル300の表面を覆うガラス200と、セル300を保持するフレーム400とを有する。なお、セル300の表面は、太陽電池が光を取り込む側であり、裏面はその反対側である。
【0018】
セル300は、光を電力に変換する太陽電池であるが、複数の太陽電池をまとめたものであっても良い。
図1に示すように、シート状の各マス目に太陽電池が存在する。各太陽電池の起電力は小さいが、多数の太陽電池を直列に接続することにより、電圧を上げても良い。
【0019】
ガラス200は、セル300を保護するために、セル300の表面に被せるものである。なお、太陽光などの光をセル300に到達させるために、ガラス200は透明にして光を透過させる必要がある。ガラス200があることにより、ソーラーパネル100を屋外に設置しても、雨、雪、又は雹など天候による落下物だけでなく、石などその他の飛来物から、セル300が保護される。なお、ガラス200以外の材質、例えば、合成樹脂などを使用しても良いが、硬質のものが好ましい。
【0020】
なお、ガラス200の表面には汚れなどが付着することもあり、セル300の発電効率を妨げる。そのため、ガラス200の表面に汚れ防止用の被膜をコーティングしても良い。ただし、被膜は経年劣化して剥がれると汚れが付着しやすくなる。数年ごとにコーティングし直すとメンテナンスに手間が掛かるため、凹凸を付けて汚れとの接触面を減らすなどその他の手段により汚れを付きにくくすることが好ましい。
【0021】
フレーム400は、セル300を保持するために、セル300の裏面に当てられる板である。また、フレーム400は、セル300が発電した電力を出力するためのジャンクションボックス500を有する。
【0022】
ジャンクションボックス500は、電線を結合、分岐、又は中継すると共に、その部分を保護するために箱である。ジャンクションボックス500は、電力を供給するために、端子510、511を備える。なお、端子510、511などの接続部分のある箱内に湿気が侵入しないように、ゴムパッキン等でシールしても良い。
【0023】
次に、本発明であるソーラーパネルの表面構造について説明する。
図2は、本発明であるソーラーパネルの表面構造の一例を示す拡大斜視図である。
図3は、本発明であるソーラーパネルの表面構造による光の屈折を説明する拡大側面図である。
図4〜7は、本発明であるソーラーパネルの表面構造の一例を示す拡大斜視図である。
【0024】
ガラス200の表面には、複数の大凸部が縦横に配列され、さらに、一の大凸部と、縦に隣接する大凸部と、横に隣接する大凸部と、斜めに隣接する大凸部との間に、小凸部が配置される。大凸部は、同一の所定の形状で大きく突出させたもので、小凸部は、同一の所定の形状で小さく突出させたものである。なお、大凸部と小凸部とは、形状は異なっていても良い。
【0025】
図2に示す表面構造200aの例では、角錐の大凸部210と角錐の小凸部211とが配列される。具体的には、大凸部(角錐)210が縦方向及び横方向に繰り返され、その間に小凸部(角錐)211が介される。すなわち、一の大凸部(角錐)210に対して、縦方向に隣接する大凸部(角錐)210a、横方向に隣接する大凸部(角錐)210b、斜め方向に隣接する大凸部(角錐)210cとしたとき、それぞれの角が接触する中心の位置に小凸部(角錐)211が設けられる。なお、大凸部(角錐)210cは、大凸部(角錐)210aと大凸部(角錐)210bの両方に隣接する側のものとする。
【0026】
角錐は、四角錐に限られず、三角錐や六角錐などでも良い。また、四つの大凸部の中心だけでなく、二つの大凸部の間に、小凸部を設けても良い。すなわち、その場合、大凸部(角錐)210と大凸部(角錐)210aとが、辺で接触する位置に小凸部(角錐)211が設けられ、大凸部(角錐)210と大凸部(角錐)210bとが、辺で接触する位置にも小凸部(角錐)211が設けられる。
【0027】
大凸部だけの繰り返しの場合、ガラス200の表面に縦方向に等間隔で切り込みを入れ、同様に、横方向に等間隔で切り込みを入れることにより、容易に突起状の形状に加工することが可能である。しかしながら、間に小凸部が存在するように加工することは、非常に困難である。そのため、精密に形状を計算した上で3Dプリンター又はその他の手段を用いて表面構造200aを成形する。
【0028】
表面構造200aを有するガラス200に太陽光が入射した場合、垂直に近い方向からであれば、ガラス200内で屈折又は反射したとしても、多くの光はセル300に取り込まれる。しかし、水平に近い方向からの場合、大きく屈折しないと反対側に抜けてしまうこともあり、あまり光をセル300に取り込ませることができない。
【0029】
そこで、大凸部210aと隣接する大凸部210bの間に小凸部211を介すことにより、光の屈折回数を多くする。なお、ガラス200の屈折率は、光の波長によっても異なるが、真空を1としたとき、約1.4〜2.1である。
図3に示すように、角錐などテーパ状の形状に対して複数回通すことにより、光の方向を徐々に曲げていく。
【0030】
例えば、水平に近い光(高い位置)600の場合、大凸部210aへの入射時と出射時、さらに大凸部210bへの入射時と出射時に、それぞれ屈折することで下方に向けられる。また、水平に近い光(低い位置)601の場合、大凸部210aへの入射時と出射時、さらに小凸部211への入射時と出射時に、それぞれ屈折することで下方に向けられる。これにより、ガラス200の下方にあるセル300に光600、601が取り込まれやすくなる。
【0031】
ガラス200の表面構造、すなわち大凸部と小凸部の形状の組合せには、様々なものが考えられる。
図4に示す表面構造200bは、角錐の大凸部210と半楕円体(楕円半球)の小凸部212を組み合わせたものである。なお、角錐は、例として四角錐を示したが、三角錐などであっても良い。また、角錐の頂部を切り取った角錐台であっても良い。さらに、半楕円体は、球や楕円体を半分に切ったものだけでなく、球や楕円体の一部を切り取ったものも含む。
【0032】
図5に示す表面構造200cは、角錐の大凸部210と円錐の小凸部213を組み合わせたものである。なお、円錐については円錐台も含む。
図6に示す表面構造200dは、半楕円体(楕円半球)の大凸部220と角錐の小凸部221を組み合わせたものである。
図7に示す表面構造200eは、円錐の大凸部230と角錐の小凸部231を組み合わせたものである。
【0033】
表面構造を大凸部と小凸部を組み合わせた形状とすることで、太陽光を効率良くセルに照射することができる表面構造を有するソーラーパネルを提供することができる。すなわち、太陽が高い位置にあるときは勿論、太陽が昇り始めてから太陽が沈む寸前まで、太陽光を取り込んで発電することが可能である。
【0034】
さらに、一の大凸部と隣接する大凸部との間に凹みがあると、そこに汚れ等の異物が溜まりやすくなるが、小凸部を介すことで凹みを減らすことができ、被膜等をコーティングすることなく、半永久的に汚れを抑制することができる。
【実施例2】
【0035】
次に、本発明であるソーラーパネルの別の表面構造について説明する。
図8は、本発明であるソーラーパネルの表面構造を凹状にした場合の一例を示す拡大斜視図である。
【0036】
ガラス200の表面構造は、テーパ状に上方に突出させるだけでなく、逆に下方に陥没させても良い。
図8に示す表面構造200fは、平板状の下層ガラス250に、複数の角錐の大凹部260が縦方向及び横方向に配列されるように陥没させたものである。
図8に示すように、下層ガラス250の上に記載した大凸部260の配列を、そのまま反対側である下層ガラス250に向かって凹ました形状となる。
【0037】
さらに、
図2等と同様に、表面構造200fの場合についても、複数の大凹部が縦横に配列され、さらに、一の大凹部と、縦に隣接する大凹部と、横に隣接する大凹部と、斜めに隣接する大凹部との間に、小凹部が配置されるようにしても良い。なお、大凹部及び小凹部の形状については、角錐だけでなく、半楕円体や円錐などの形状であっても良い。
【0038】
表面構造を凸部に代えて大凹部と小凹部を組み合わせた形状としても、太陽光を効率良くセルに照射することができる表面構造を有するソーラーパネルを提供することができる。
【実施例3】
【0039】
さらに、本発明であるソーラーパネルの別の表面構造について説明する。
図9、10は、本発明であるソーラーパネルの表面構造を二層にした場合の一例を示す拡大図である。
【0040】
ガラス200の表面構造は、テーパ状に上方に突出させると共に、下方に陥没させても良い。
図9に示す表面構造200gは、上層ガラスである大凸部(角錐)260の配列と、下層ガラス250に形成した半楕円体の大凹部270の配列とを、
図10に示すように、上下に重ねたものである。すなわち、表面構造200gは、複数の大凸部が縦横に配列された上層ガラスと、複数の大凹部が縦横に配列された下層ガラス250とからなる。
【0041】
表面構造を上層ガラスの大凹部と下層ガラス250の大凹部を組み合わせた形状としても、太陽光を効率良くセルに照射することができる表面構造を有するソーラーパネルを提供することができる。
【実施例4】
【0042】
さらに、本発明であるソーラーパネルの別の表面構造について説明する。
図11、12は、本発明であるソーラーパネルの表面構造を二層にした場合の一例を示す拡大図である。
【0043】
図11に示す表面構造200hは、上層ガラスである大凸部(半楕円体)220の配列と、下層ガラス250に形成した半楕円体の小凹部271の配列とを、上下に重ねたものである。なお、上層ガラスにおける一の大凸部(半楕円体)220と、縦に隣接する大凸部(半楕円体)220aと、横に隣接する大凸部(半楕円体)220bと、斜めに隣接する大凸部(半楕円体)220cとの間に相当する位置に、下層ガラス250における小凹部271が配置される。すなわち、
図2における小凸部211を上方に突出させるのではなく、
図12に示すように、下方に陥没させた状態に相当する。なお、上層ガラスに小凸部とし、下層ガラス250に大凹部としても良い。
【0044】
表面構造を上層ガラスの大凹部と下層ガラスの小凹部を組み合わせた形状としても、太陽光を効率良くセルに照射することができる表面構造を有するソーラーパネルを提供することができる。
【0045】
これらの表面構造を採用することにより、ソーラーパネル100の方角が南向きに限定されず、北以外の方向であれば効率良く光を取り込んで発電することが可能となる。また、時間帯においても、正午前後だけでなく、早朝又は夕方の太陽の角度が低い時間から発電することが可能となる。
【0046】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、屈折率の異なる材質や形状を組み合わせても良い。また、同じ屈折率でも大きさの異なるものを組み合わせても良い。これにより集光率が変わり、より広い角度範囲から光を取り込むことが可能となる。