(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
冬季において、路面に雪が積もったり霜が発生したり水分が凍結して氷が発生したりすると、路面が滑りやすくなる。そのため、道路を通行する車が、路面で滑って他の車や通行者に衝突すると、交通に障害が生じる。また、通行者が路面で滑って転倒すると、通行者が怪我をするおそれがある。
【0003】
そこで、従来、上記のような問題の発生を防止するために、凍結防止剤の散布、除雪車による積雪の除去、融雪装置による雪・霜・氷などの融解などが行われている。
【0004】
従来の融雪装置には、道路の上側から赤外線を照射して路面を加熱するものがあった(例えば、特許文献1を参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の融雪装置901を、
図1に示すように、壁面102にアーム103を介して取り付けることで、融雪装置901の2つの赤外線ヒータ911,912から放射された赤外線を筐体902の底面から地面101の領域921に対してそれぞれ放射状に照射させることが可能である。この場合、融雪装置901の真下の領域922や領域921の中心の領域923は、領域922や領域923は、赤外線ヒータ911,912からの距離が近く、また領域923は2つの赤外線ヒータ911,912により赤外線が照射される。そのため、領域922や領域923は、融雪装置901から照射される赤外線のエネルギーが大きく、雪・霜・氷は確実に融解され、降雪や気温低下などがなければ乾燥状態になることもある。
【0007】
一方、融雪装置901から離れた、赤外線の照射領域921の端部付近である領域924は、赤外線ヒータ911,912からの距離が遠く、1つの赤外線ヒータ912により赤外線が照射される。そのため、領域924では、領域922や領域923と比較して、融雪装置901から照射される赤外線のエネルギーが小さく、この領域の雪・霜・氷はあまり溶けない。また、領域924は、降雪や気温低下があれば、雪・霜・氷が凍結した状態のままのこともある。
【0008】
また、融雪装置901から照射される赤外線のエネルギーが同じでも、地面が舗装されたアスファルトの部分と、地面が舗装されていない枯れ草や土の部分とでは、舗装されていない部分の方が雪・霜・氷は溶けにくい。これは、アスファルトの部分では、雪・霜・氷が溶けた地面に浸透せずに水分がたまり、地面の熱がこの水分を介して雪・霜・氷に伝わりやすいためである。一方、舗装されていない枯れ草や土の部分は、雪・霜・氷が溶けると地面に浸透して水分がたまらないので、地面の熱は雪・霜・氷に伝わりにくいためである。そのため、地面の舗装されていない部分に赤外線を照射しても、地面の舗装されている部分よりも雪・霜・氷は溶けにくいという問題があった。
【0009】
そこで、この発明は、赤外線を照射しても雪・霜・氷が溶けにくい領域を効率良く溶かすことができる融雪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の融雪装置は、筐体と、第1照射ユニットと、第2照射ユニットと、を備えている。筐体には、第1照射ユニットと第2照射ユニットが設けられている。第1照射ユニットは、放射状に第1の赤外線を放射する。第2照射ユニットは、平行光として第2赤外線を放射する。
【0011】
第1照射ユニットの赤外線源と第2照射ユニットの赤外線源が放射する赤外線の放射エネルギーが等しく、かつ赤外線源からの距離が等しい場合、赤外線を平行に放射する第2照射ユニットの方が、赤外線を放射状に放射する第1照射ユニットよりも、照射される赤外線の密度が高く、単位面積あたりの赤外線の照射エネルギーが大きい。この構成では、放射状に第1の赤外線を照射しても雪・霜・氷が溶けにくい領域に、さらに平行光として第2の赤外線を照射するので、この領域の雪・霜・氷を溶かすことができる。
【0012】
上記発明において、筐体の底面を、地面から一定距離離れた位置に、地面に対して一定角度傾斜して固定した場合、第1照射ユニットは、地面の第1照射領域に赤外線を照射し、第2照射ユニットは、地面の第1照射領域のうち、筐体から離れた側の端部の領域である第2照射領域に赤外線を照射する。
【0013】
地面の第1照射領域のうち、筐体から離れた側の端部の領域は、第1照射領域の中で第1照射ユニットから最も離れており、第1照射ユニットから照射される第1の赤外線のエネルギーが最も小さく、雪・霜・氷が溶けにくい。融雪装置は、筐体から離れた側の端部の領域に、第1の赤外線と第2の赤外線を照射するので、この領域の赤外線のエネルギーが大きくなり、この領域の雪・霜・氷を溶かすことができる。
【0014】
上記発明において、第1照射ユニットは、第1赤外線放射手段と、第1反射手段と、を備えている。第1赤外線放射手段は、第1の赤外線を放射する管状の手段である。第1反射手段は、断面形状が第1の放物線であり、第1赤外線放射手段から放射される第1の赤外線を反射する。第1赤外線放射手段は、第1反射手段の第1の放物線の焦点と異なる位置に配置されている。第2照射ユニットは、第2赤外線放射手段と、第2反射手段と、を備えている。第2赤外線放射手段は、第2の赤外線を放射する管状の手段である。第2反射手段は、断面形状が第2の放物線であり、第2赤外線放射手段から放射される第2の赤外線を反射する。第2赤外線放射手段は、第2反射手段の第2の放物線の焦点に配置されている。
【0015】
第1反射手段は、反射面の断面形状が放物線で、放物線の焦点と異なる位置に第1赤外線放射手段が配置されているので、第1反射手段が反射した赤外線は、第1照射ユニットから放射状に放射される。一方、第2反射手段は、反射面の断面形状が放物線で、放物線の焦点に第2赤外線放射手段が配置されているので、第2反射手段が反射した赤外線は、第2照射ユニットから平行光として放射される。また、第1赤外線放射手段と第2赤外線放射手段は、管状なので、管の長さを長くすることで、広い領域に赤外線を照射できる。
【0016】
上記発明において、第2赤外線放射手段は、第1赤外線放射手段と長さが等しく、第1赤外線放射手段と平行に配置されている。
【0017】
この構成では、地面の第1照射領域の筐体から離れた側の端部と第2照射領域とを一致させることができる。すなわち、第2照射領域に第1の赤外線と第2の赤外線を照射できる。したがって、第2照射領域における赤外線の放射強度が大きくなるので、第2照射領域が筐体から離れた端部や舗装されていない部分でも、雪・霜・氷を溶かすことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、赤外線を照射しても雪・霜・氷が溶けにくい領域を効率良く溶かすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2(A)〜
図2(C)に示すように、融雪装置1は、筐体2の内部に、2つの照射ユニットである第1照射ユニット3と第2照射ユニット4を備えた構成である。第1照射ユニット3と第2照射ユニット4は、筐体2の底面21の長手方向に沿って並列に配置されており、筐体2の底面21から遠赤外線を放射する。筐体2の上面22には、固定金具5が取り付けられている。ネジで固定金具5を固定することで、軒先や壁面に取り付けたアームに融雪装置1を固定することができる。
【0021】
第1照射ユニット3は、第1赤外線放射手段である赤外線発生器31、第1反射手段である反射板32、側面反射板33、側面反射板34、仕切り反射板35、及び防護網36を備えている。第2照射ユニット4は、第2赤外線放射手段である赤外線発生器41、第2反射手段である反射板42、側面反射板43、側面反射板44、仕切り反射板45、及び防護網46を備えている。なお、防護網36と防護網46を一体的に構成してもよい。
【0022】
第1照射ユニット3において、赤外線発生器31は、管状(棒状)のハロゲンランプに黒色の遠赤外線放射セラミックスがコーティングされたものである。ハロゲンランプは、石英ガラスで作られたバルブ内のほぼ中央部に、タングステンを材料とするフィラメントが配置され、ハロゲンガスと、アルゴンや窒素などの不活性ガスと、が封入されている。ハロゲンランプにコーティングされた遠赤外線放射セラミックスは、ハロゲンランプから放射された可視光線や近赤外線を吸収して発熱し、2.5μmから15μmの波長領域にピークを有する遠赤外線を放射する。例えば、約3μm及び約6μmがピーク値である遠赤外線を放射する。また、雪・霜・氷の融解に好適な遠赤外線の波長は、約3μm及び約10μmである。赤外線発生器31が放射する遠赤外線は、上記のように約3μm及び約6μmにピーク値を有しているので、約3μm及び約10μmの遠赤外線の放射輝度も高い。したがって、雪・霜・氷の融解を行うのに好適な遠赤外線を大量に照射して、雪・霜・氷の融解を効率良く行うことができる。また、遠赤外線放射セラミックスは、ハロゲンランプのフィラメントと同様に熱容量が小さいので、短時間で昇温を行うことができる。赤外線発生器31と赤外線発生器41のハロゲンランプには、例えば2kW〜4kWのものを使用するとよい。赤外線発生器31と赤外線発生器41には、定格が同じハロゲンランプを使用する。
【0023】
以下の説明では、記載を簡略化するために、赤外線発生器31から放射される遠赤外線、及び赤外線発生器41から放射される遠赤外線を、単に赤外線と称する。
【0024】
反射板32は、反射面の断面形状が第1の放物線であり、筐体2の内側において、赤外線発生器31の周囲を囲んでおり、赤外線発生器31から放射された赤外線を反射して、筐体2の底面21の開口部から地面に照射する。反射板32の形状の詳細については後述する。側面反射板33及び側面反射板34は、赤外線発生器31の長手方向の両端部に傾斜して設けられている。また、仕切り反射板35は、断面がV字型で、赤外線発生器31のほぼ中央部に設けられている。赤外線発生器31は、側面反射板33、側面反射板34、及び仕切り反射板7を貫通しており、赤外線発生器31の一部が側面反射板33、側面反射板34、及び仕切り反射板35によって被覆されている。側面反射板33、側面反射板34、及び仕切り反射板35は、赤外線発生器31から放射された赤外線を反射して、筐体2の底面21の開口部から地面に照射する。
【0025】
防護網36は、鉄線を格子状に配置したものであり、筐体2の底面21の開口部に取り付けられている。防護網36は、人が赤外線発生器31に触れるのを防止するためのものである。
【0026】
第2照射ユニット4の構成は、第1照射ユニット3と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
次に、第1照射ユニット3と第2照射ユニット4の相違点について説明する。第1照射ユニット3と第2照射ユニット4は、反射板の形状と、赤外線発生器の配置位置が異なっている。
【0028】
図3に示すように、第1照射ユニット3において、反射板32は、反射面の断面形状が放物線(第1の放物線)であり、赤外線発生器31は、この放物線の焦点と異なる位置に配置されている。具体的には、赤外線発生器31は、放物線の軸上の焦点と異なる位置に配置されており、反射板32の放物線の軸321が、反射板32で反射後に第1照射ユニット3から放射される赤外線の光軸となる。筐体2の底面21は平面であり、反射板32の放物線の軸(赤外線の光軸)321は、底面21と直交している。このような構成により、第1照射ユニット3は、
図4(A)及び
図5に示すように、筐体2の底面21から反射板32で反射された赤外線(反射光)を放射状に放射し、赤外線発生器31から反射板32で反射せずに直接放射された赤外線(第1の赤外線:以下、直接光とも称する。)を放射状に放射する。
【0029】
一方、第2照射ユニット4において、反射板42は、反射面の断面形状が放物線(第2の放物線)であり、赤外線発生器41は、この放物線の焦点に配置されている。反射板42の放物線の軸421が、反射板42で反射後に第2照射ユニット4から放射される赤外線の光軸となる。反射板42の放物線の軸(赤外線の光軸)421は、底面21に対して20°傾斜している。第2照射ユニット4は、
図4(A)及び
図5に示すように、筐体2の底面21から反射板42で反射された赤外線(反射光)を平行光として、光軸に平行な赤外線(第2の赤外線)を放射し、赤外線発生器41から反射板42で反射せず直接放射された赤外線(以下、直接光とも称する。)を放射状に放射する。第2照射ユニット4が平行光として放射した赤外線は、底面21に対して傾斜している。
【0030】
赤外線発生器31と赤外線発生器41は、長さが等しく、両端部が揃っており、平行に配置されている。また、赤外線発生器31が放射する第1の赤外線の光軸321と、赤外線発生器41が放射する第2の赤外線の光軸421と、の距離は、筐体2の底面21からの距離に比例する。すなわち、第2の赤外線の光軸421は、筐体2の底面21から離れるほど、第1の赤外線の光軸321から離れる。
【0031】
図4(A)及び
図5に示すように、融雪装置1は、地面101に対して垂直な壁面102にアーム103を介して取り付ける場合、固定金具5の側面において、円周上に配置した孔を使用してネジで固定するとよい。このとき、融雪装置1の第1照射ユニット3が壁面102に近く、第2照射ユニット4が壁面102から遠くなるように、融雪装置1をアーム103に取り付ける。また、融雪装置1は、筐体2の底面21を地面101に向けて、地面101に対して底面21を一定角度傾斜させる。例えば、筐体2の底面21を地面101(アーム103)に対して20°傾斜させる。
【0032】
ここで、
図4(B)に示す融雪装置1Aは、筐体2Aの底面21Aと、第2照射ユニット4Aの光軸421Aと、が直交し、底面21Aに対して第1照射ユニット3Aの光軸321Aが20°傾斜するように構成している。この融雪装置1Aの底面21Aを地面101(アーム103)に対して40°傾斜して取り付けることで、融雪装置1Aが放射する反射光の放射領域が、
図4(A)に示す融雪装置1と同様になる。
【0033】
図4(B)に示した融雪装置1Aにおいて、第1照射ユニット3Aは、直接光として赤外線を、点線331Aから点線331Bまでの間に放射する。第2照射ユニット4Aは、直接光として赤外線を、点線441Aから点線441Bまでの間に放射する。一方、
図4(A)に示した融雪装置1において、第1照射ユニット3は、直接光として赤外線を、点線31Aから点線31Bまでの間に放射する。第2照射ユニット4は、直接光として赤外線を、点線41Aから点線41Bまでの間に放射する。
【0034】
融雪装置1と融雪装置1Aの直接光として放射する赤外線の放射範囲を比較すると、第1照射ユニット3と第1照射ユニット3Aの直接光の放射範囲は、ほぼ同様である。一方、第2照射ユニット4と第1照射ユニット3Aの直接光の放射範囲については、第2照射ユニット4の方が、
図4(B)に示す第2照射ユニット4Aよりも広い。すなわち、融雪装置1のように構成することで、第1照射ユニット3と第2照射ユニット4の2つのユニットから赤外線を照射される領域を広くすることができる。これにより、赤外線の照射範囲において、雪・霜・氷をより確実に融解できる。
【0035】
図5に示すように、筐体2の底面21の中央部に直交する直線1Lに沿って、地面101から一定距離離れた位置、例えば、地面101と底面21の距離が3.0mとなる位置に、融雪装置1を設置した場合、第1照射ユニット3及び第2照射ユニット4が地面101に対して照射する赤外線の照射領域は、
図5及び
図6に示すようになる。すなわち、第1照射ユニット3が赤外線を照射する第1照射領域130は、地面101において、壁面102からの距離が約0.2m〜約3mの範囲である楕円形の領域である。
【0036】
一方、第2照射ユニット4が赤外線を照射する第2照射領域140は、第1照射領域130内の領域であり、筐体2から離れた側の端部130Tに沿った領域である。すなわち、第2照射領域140は、地面101において、壁面102からの距離が約2.8m〜約3mの範囲である楕円形の領域である。
【0037】
第1照射ユニット3の赤外線発生器31と第2照射ユニットの赤外線発生器41は、サイズが等しく、放射する赤外線のエネルギーがほぼ同じである。融雪装置1では、赤外線を平行光として放射する第2照射ユニット4の方が、赤外線を放射状に放射する第1照射ユニット3よりも、照射される赤外線の密度が高い。そのため、放射状に放射された赤外線だけを照射しても雪・霜・氷が溶けにくい、第1照射領域130の筐体2から離れた側の端部の領域に、さらに平行光として放射した赤外線を照射することで、この領域の雪・霜・氷を確実に溶かすことができる。
【0038】
次に、融雪装置1を用いて融雪実験を行った結果を説明する。
図7と
図8は、融雪装置が地面に赤外線を照射したときの融雪領域を示す図である。
図7(A)〜
図7(F)には、気温−7℃、湿度70%、融雪装置1の地面からの高さ3.0mのときに、融雪装置1の底面の傾斜角をパラメータとして変更したときの融雪面積を示すグラフである。
図7(A)が傾斜角0°、
図7(B)が傾斜角10°、
図7(C)が傾斜角15°、
図7(D)が傾斜角20°、
図7(E)が傾斜角25°、及び
図7(F)が傾斜角30°である。また、各グラフにおいて、最外周の線が1時間あたりの融雪量が1cmの領域、その内側の線が1時間あたりの融雪量が2cmの領域、その内側の線が1時間あたりの融雪量が3cmの領域、その内側の線が1時間あたりの融雪量が4cmの領域、及びその内側の線が1時間あたりの融雪量が5cmの領域を示している。
【0039】
図8(A)〜
図8(F)には、気温−7℃、湿度70%、融雪装置1の底面の傾斜角が20°のときに、融雪装置1の地面からの高さをパラメータとして変更したときの融雪面積を示すグラフである。
図8(A)が高さH=1.0m、
図8(B)が高さH=2.0m、
図8(C)が高さH=2.5m、
図8(D)が高さH=3.0m、
図8(E)が高さH=3.5m、及び
図8(F)が高さH=4.0mである。
【0040】
また、各グラフにおいて、最外周の線が1時間あたりの融雪量が1cmの領域、その内側の線が1時間あたりの融雪量が2cmの領域、その内側の線が1時間あたりの融雪量が3cmの領域、その内側の線が1時間あたりの融雪量が4cmの領域、及びその内側の線が1時間あたりの融雪量が5cmの領域を示している。但し、
図8(F)については、1時間あたりの融雪量が5cmの領域を得ることができなかったため、1時間あたりの融雪量が4cmまでの領域を示している。
【0041】
図7(A)〜
図7(F)に示すように、1時間あたりの融雪量が1cmの領域は、角度が急になるのにしたがって広くなる。一方、1時間あたりの融雪量が5cmの領域が最も広いのは、融雪装置1の底面21の傾斜角が15°〜25°のときである。したがって、融雪装置1は、底面21の傾斜角が15°〜25°にして取り付けるのが好ましい。
【0042】
また、
図8(A)〜
図8(F)に示すように、融雪装置1の底面21の傾斜角を、地面に対して20°傾斜して固定したときには、1時間あたりの融雪量が1cmの領域、及び1時間あたりの融雪量が5cmの領域として、広い領域が得られるは、融雪装置1を高さ2.5m〜3.0mに取り付けたときである。この高さよりも低くても、高くても、融雪領域が狭くなる。したがって、融雪装置1は、底面21の高さが地面101から2.5m〜3.0mにして取り付けるのが好ましい。
【0043】
第1照射領域において、筐体2から離れた側の端部である第2照射領域に、平行光として赤外線を照射する。そのため、融雪装置1は、
図7及び
図8に示したように、第2照射領域は、第1照射領域において第1の赤外線のみが照射される領域よりも広い範囲において、雪・霜・氷を融解することができる。また、融雪装置1は、第1照射領域において第1の赤外線のみが照射される領域においても、雪・霜・氷を確実に融解できる。
【0044】
なお、融雪装置1には、地面101上の雪・霜・氷の有無を検出する氷センサを備えていてもよい。そして、氷センサにより地面101上の雪・霜・氷を検出すると、融雪装置1が赤外線を地面に照射するように構成するとよい。氷センサとしては、反射率計または距離計の機能と、放射温度計の機能と、を備えたものが好適である。地面上の雪・霜・氷の有無により、地面の反射率やセンサから地面までの距離が異なるので、氷センサの反射率計または距離計の機能により地面の反射率または地面までの距離を計測することで、雪・霜・氷の有無を検出できる。なお、地面の反射率及び地面までの距離を計測することで、雪・霜・氷の検出精度を向上できる。また、氷センサの放射温度計の機能により地面の温度を計測することで、水と氷の反射率が同じでも温度は異なるので、水を誤検出することなく、雪・霜・氷を正確に検出できる。
【0045】
また、以上の説明では、第1照射ユニット3が放射状に放射した赤外線の第1照射領域の端部に、第2照射ユニット4が平行に放射した赤外線を照射するように構成したが、これに限るものではない。例えば、地面101の一部が舗装されておらず、枯れ草や土の部分がある場合、第1照射ユニット3が放射した赤外線だけでは、雪・霜・氷が溶けにくいことがある。このような場合には、この舗装されていない領域に、さらに、第2照射ユニット4が平行に放射する赤外線が照射されるように構成してもよい。これにより、照射される赤外線のエネルギーが大きくなるので、放射状に放射された赤外線を照射しても雪・霜・氷が溶けにくい非舗装領域でも、雪・霜・氷を効率良く溶かすことができる。