(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記各特許文献で提案されている各装置では、以下のような問題が生じる恐れがあった。
図24(a)に示すように、短縮状態とされたピストンロッド142を伸長させる場合は、シリンダケーシング内のピストン141の背面側空間に向けて後端側の空気流入出管路144から圧縮空気を導入する。これにより、ピストン141が圧縮空気によって前方に向けて移動し、ピストンロッド142が伸長されてスライド弁体110が前方に向けてスライド移動する。この際、
図24(b)に示すように、シリンダケーシング内では、ピストン141の背面側空間へは圧縮空気が導入されるとともに、ピストン141の前面側では、前面側空間に存在していた空気がピストン141の移動に伴い圧縮される。この前面側空間で圧縮される空気は、シリンダケーシングの前端側に接続された空気流入出管路145に設けられたオリフィス等によって流出量が調整されて徐々に流出する。また、この前面側空間で圧縮される空気による抵抗を受けながらピストン141が前方に向けて移動する。
【0008】
上記のように前方に向けてピストン141が移動するに伴って、スライド弁体110は、前方に向けて移動する。この移動中において、
図24(c)に示すように、スライドカバー130の上流側開口部131の前端部下流側開口縁(閉塞方向終端側端部の下流側開口縁)と、スライド弁体110の透孔部112の後端部上流側開口縁(閉塞部側端部の上流側開口縁)との間に、粉粒体材料pを噛み込む恐れがあった。このような噛み込みは、図示省略しているが、下流側、すなわち、スライドベース120の下流側開口部121の前端部上流側開口縁(閉塞方向終端側端部の上流側開口縁)と、スライド弁体110の透孔部112の後端部下流側開口縁(閉塞部側端部の下流側開口縁)との間にも、粉粒体材料pを噛み込む恐れがあった。
【0009】
粉粒体材料pを上記箇所において噛み込むと、スライド弁体110のスライド移動が停止される。このスライド弁体110のスライド移動が停止された状態では、エアシリンダ140内のピストン141の移動も停止されている。この際、ピストン141の前面側空間は、上記したオリフィス等からの空気の流出によって大気圧に近い雰囲気となる。このような状態で、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン141の停止中においても、その背面側空間へは、圧縮空気が導入されており、また、前面側空間は、上述のように大気圧に近い雰囲気となっているため、上記のような空気が圧縮されることによる十分な抵抗が生じず、ピストン141が高速で前方に移動してシリンダケーシングの前端内壁に衝突する恐れがあった。
尚、説明は省略するがスライド弁体を、図例のものとは透孔部と閉塞部とが逆に形成されたスライド弁体とした場合において、該スライド弁体が逆側(ロッド引側)に移動する際も同様、ピストン141が高速で後方に移動してシリンダケーシングの後端内壁に衝突する恐れがある。
【0010】
このようなピストン141の高速移動は、ピストン141の上記停止位置からシリンダケーシングの前端又は後端までの残ストローク量(移動量)st1(
図24(c)、(d)参照)が比較的大きい場合においては、ピストン141の前面側空間あるいは背面側空間に存在する空気がピストン141の移動により圧縮されて、その圧縮された空気による抵抗が生じるので、上記のようなピストン141の高速移動は低減される。
従って、ピストン141の高速移動を防止するために、スライド弁体110を収容するスライドカバー130及びスライドベース120からなるスライド弁体ハウジングを、スライド方向に沿って大きく形成するとともに、ストローク量の大きいエアシリンダとすることで、粉粒体材料の噛み込みによるピストン141の停止位置からシリンダケーシングの前端又は後端までの残ストローク量を大きくすることが考えられる。しかし、このような構成とすると、装置が大型化してしまう。
一方、噛み込む粉粒体材料の大きさ(粒径)は、通常、5mm以下程度の小さいものであるため、噛み込んで停止された状態における上記残ストローク量st1は、必然的に小さくなる。その結果、上記のようにピストン141の前面側空間又は背面側空間では、空気が圧縮されることによる十分な抵抗が生じず、ピストン141が高速で前方又は後方に移動してシリンダケーシングの前端又は後端内壁に衝突する恐れがあった。
【0011】
上記衝突の際に生じる衝撃荷重は、主に、エアシリンダ140のピストンロッド142とスライド弁体110とを連結する連結部143に対して、引張荷重(押側で開口部を閉塞する場合)或いは圧縮荷重(引側で開口部を閉塞する場合)として作用するが、上述のように、噛み込みが解除されるとピストン141が高速移動するため、その衝撃荷重が連結部143の許容応力を超えてしまい、該衝撃荷重によって連結部143が破断してしまう恐れがあった。
あるいは、上記のような噛み込みと噛み込みの解除が繰り返されて、連結部143に繰り返し衝撃荷重が作用すると、該連結部143が疲労破壊を起こす恐れがあった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、装置の耐久性を向上し得るスライド式弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の第1発明に係るスライド式弁装置は、粉粒体材料の輸送路の途中に組み込まれ、該輸送路内を輸送される粉粒体材料の輸送制御を行うスライド式弁装置であって、透孔部と閉塞部とを有した板状のスライド弁体と、該スライド弁体を往復移動可能に収容する空所を有し、上流側開口部が開設されたスライド弁体ハウジングと、前記スライド弁体に連結され、前記スライド弁体ハウジング内に収容された前記スライド弁体を往復移動させて前記透孔部、前記閉塞部を前記上流側開口部に位置合わせさせるエア式スライド弁駆動手段とを備え、前記スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部の上流側縁部、前記スライド弁体ハウジングの上流側開口部の閉塞方向終端側端部の下流側縁部のうち、少なくともいずれか一方には、スライド方向に沿って延出する上流側切込み部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記第1発明においては、前記上流側開口部及び前記透孔部を、平面視略円形状とし、前記上流側切込み部を、平面視で、これら上流側開口部及び透孔部の半径よりもその曲率半径が小とされた小円弧形状に形成してもよい。この構成においては、前記上流側切込み部の曲率半径を、前記粉粒体材料の粒径の2倍以上、かつ前記上流側開口部及び透孔部の半径の2/3以下としてもよい。
あるいは、上記第1発明においては、前記上流側切込み部を、平面視で、先細り形状に形成してもよい。
【0015】
また、上記第1発明においては、前記スライド弁体ハウジングに、前記スライド弁体の透孔部を介して前記上流側開口部と連通される下流側開口部が開設されたものとし、前記スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部の下流側縁部、前記スライド弁体ハウジングの下流側開口部の閉塞方向終端側端部の上流側縁部のうち、少なくともいずれか一方に、スライド方向に沿って延出する下流側切込み部を形成したものとしてもよい。
この下流側切込み部を形成したものにおいては、前記下流側開口部及び前記透孔部を、平面視略円形状とし、前記下流側切込み部を、平面視で、これら下流側開口部及び透孔部の半径よりもその曲率半径が小とされた小円弧形状に形成してもよい。この構成においては、前記下流側切込み部の曲率半径を、前記粉粒体材料の粒径の2倍以上、かつ前記下流側開口部及び透孔部の半径の2/3以下としてもよい。
或いは、この下流側切込み部を形成したものにおいては、前記下流側切込み部を、平面視で、先細り形状に形成してもよい。
【0016】
また、前記目的を達成するために、本発明の第2発明に係るスライド式弁装置は、粉粒体材料の輸送路の途中に組み込まれ、該輸送路内を輸送される粉粒体材料の輸送制御を行うスライド式弁装置であって、透孔部と閉塞部とを有した板状のスライド弁体と、該スライド弁体を往復移動可能に収容する空所を有し、上流側開口部が開設されたスライド弁体ハウジングと、前記スライド弁体に連結され、前記スライド弁体ハウジング内に収容された前記スライド弁体を往復移動させて前記透孔部、前記閉塞部を前記上流側開口部に位置合わせさせるエア式スライド弁駆動手段とを備え、前記スライド弁体の透孔部の上流側縁部の閉塞部側端部、及び、前記スライド弁体ハウジングの上流側開口部の下流側縁部の閉塞方向終端側端部には、面取り部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0017】
上記第2発明においては、前記スライド弁体ハウジングに、前記スライド弁体の透孔部を介して前記上流側開口部と連通される下流側開口部が開設されたものとし、前記スライド弁体の透孔部の下流側縁部の閉塞部側端部、及び、前記スライド弁体ハウジングの下流側開口部の上流側縁部の閉塞方向終端側端部に、面取り部をそれぞれ形成するようにしてもよい。
【0018】
上記第2発明においては、前記面取り部を、R面取り状としてもよい。
あるいは、上記第2発明においては、前記面取り部を、C面取り状としてもよい。
【0019】
また、上記第1発明及び上記第2発明においては、前記スライド弁体ハウジングと、前記エア式スライド弁駆動手段とを、手動操作部を有した係止緊締具で連結固定するようにし、前記手動操作部を操作して前記スライド弁体ハウジングと前記エア式スライド弁駆動手段との連結固定が解除されたときには、前記スライド弁体を、前記スライド弁体ハウジングからスライド方向に沿って抜き出して取外し出来る構造としてもよい。
【0020】
また、ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、これに限らず、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。
また、上記材料は、主に、合成樹脂材等の樹脂ペレットや、樹脂繊維片等を指すが、これに限らず、金属材料や木質材料、薬品材料、食品材料等であってもよい。
また、上記粉粒体材料の輸送路は、吸引手段等による吸引空気輸送を行う輸送路或いは圧縮空気導入手段等による圧送により空気輸送を行う輸送路、粉粒体材料の自重により輸送、供給(投入、排出)を行う輸送路等、粉粒体材料を輸送できるものであればどのようなものでもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の上記第1発明及び第2発明に係る前記スライド式弁装置では、前記スライド弁体に連結され、前記スライド弁体ハウジング内に収容された前記スライド弁体を往復移動させて前記透孔部、前記閉塞部を前記上流側開口部に位置合わせさせる駆動手段を、エア式スライド弁駆動手段としている。従って、駆動手段をコンパクトなものとでき、装置全体のコンパクト化が図れるとともに、低コストの装置となる。
【0022】
また、上記第1発明に係るスライド式弁装置では、前記スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部の上流側縁部、前記スライド弁体ハウジングの上流側開口部の閉塞方向終端側端部の下流側縁部のうち、少なくともいずれか一方に、スライド方向に沿って延出する上流側切込み部を形成している。すなわち、粉粒体材料が輸送、或いは投入されて、該粉粒体材料を受ける側である粉粒体材料を噛み込みやすい上流側に、上記上流側切込み部を形成している。
このように上流側切込み部を形成することで、上記のように粉粒体材料を噛み込む場合に、該粉粒体材料は、上記上流側切込み部へと誘導されて噛み込まれる。これにより、粉粒体材料を噛み込む箇所が、上記従来のスライド式弁装置と比べて、スライド弁体のスライド方向終端側に移動する。これにより、噛み込んでいる粉粒体材料が、外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込みが解除された場合にも、その噛み込みによって停止されたピストンの停止位置からシリンダ前端又は後端までのピストンの残ストローク量(移動量)を小さく出来る。
従って、ピストンが上記したような残ストローク量を移動してシリンダケーシングの内壁に衝突して生じるピストンロッドとスライド弁体とを連結する連結部に作用する上記したような衝撃荷重を低減できる。よって、連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0023】
また、上記第1発明において、前記上流側開口部及び前記透孔部を、平面視略円形状とし、前記上流側切込み部を、平面視で、これら上流側開口部及び透孔部の半径よりもその曲率半径が小とされた小円弧形状に形成すれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、上記上流側切込み部が、小円弧形状に形成されているので、スライド弁体が、その閉塞部により上流側開口部を閉塞する閉塞方向にスライドされる際、スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部と、上流側開口部の閉塞方向終端側端部との平面視における整合面積が、前記スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部の上流側縁部、前記スライド弁体ハウジングの上流側開口部の閉塞方向終端側端部の下流側縁部のうち、少なくともいずれか一方に形成された上記上流側切込み部によって、例えば、単にそれぞれ円形状とされた透孔部と上流側開口部とが整合する場合と比べて小さくなる。よって、粉粒体材料の噛み込み率を効果的に低減できる。
さらに、前記上流側切込み部の曲率半径は、輸送される粉粒体材料や上流側開口部及び透孔部の径に応じて、適宜、設定可能であるが、前記粉粒体材料の粒径の2倍以上、かつ前記上流側開口部及び透孔部の半径の2/3以下とすることで、より効果的に噛み込み率を低減できる。
【0024】
あるいは、上記第1発明において、前記上流側切込み部を、平面視で、先細り形状に形成すれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、上記上流側切込み部が先細り形状に形成されているので、スライド弁体が上記同様の閉塞方向にスライドされる際、スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部と、上流側開口部の閉塞方向終端側端部との平面視における整合面積が、前記スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部の上流側縁部、前記スライド弁体ハウジングの上流側開口部の閉塞方向終端側端部の下流側縁部のうち、少なくともいずれか一方に形成された上記上流側切込み部によって、例えば、単にそれぞれ円形状とされた透孔部と上流側開口部とが整合する場合と比べて小さくなる。よって、粉粒体材料の噛み込み率を効果的に低減できる。
【0025】
また、上記第1発明において、前記スライド弁体ハウジングに、前記スライド弁体の透孔部を介して前記上流側開口部と連通される下流側開口部が開設されたものとし、前記スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部の下流側縁部、前記スライド弁体ハウジングの下流側開口部の閉塞方向終端側端部の上流側縁部のうち、少なくともいずれか一方に、スライド方向に沿って延出する下流側切込み部を形成したものとすれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、粉粒体材料を輸送、或いは排出する下流側において、上記のように粉粒体材料を噛み込む場合にも、上記上流側切込み部と同様、該粉粒体材料は、上記下流側切込み部へと誘導されて噛み込まれる。従って、上記同様、ピストンロッドとスライド弁体とを連結する連結部に作用する上記したような衝撃荷重を低減でき、該連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0026】
上記下流側切込み部を形成したものにおいて、前記下流側開口部及び前記透孔部を、平面視略円形状とし、前記下流側切込み部を、平面視で、これら下流側開口部及び透孔部の半径よりもその曲率半径が小とされた小円弧形状に形成したもの、或いは、この構成において、前記下流側切込み部の曲率半径を、前記粉粒体材料の粒径の2倍以上、かつ前記下流側開口部及び透孔部の半径の2/3以下としたもの、或いは、上記下流側切込み部を形成したものにおいて、前記下流側切込み部を、平面視で、先細り形状に形成したものとすれば、上記同様、粉粒体材料の噛み込み率を効果的に低減できる。
【0027】
また、上記第2発明に係るスライド式弁装置では、前記スライド弁体の透孔部の上流側縁部の閉塞部側端部、及び、前記スライド弁体ハウジングの上流側開口部の下流側縁部の閉塞方向終端側端部に、面取り部をそれぞれ形成している。すなわち、粉粒体材料が輸送、或いは投入されて、該粉粒体材料を受ける側である粉粒体材料を噛み込みやすい上流側に、それぞれ面取り部を形成している。
このように面取り部を形成することで、スライド弁体の透孔部の閉塞部側端部の上流側縁部と、上流側開口部の閉塞方向終端側端部の下流側縁部との間に、上記したように粉粒体材料を噛み込む場合に、該粉粒体材料は、上記スライド弁体の透孔部に形成された面取り部と、上記スライド弁体ハウジングの上流側開口部に形成された面取り部との間に捕捉されるようにして噛み込まれる。これにより、該粉粒体材料が当該噛み込み箇所において、せん断又は破断されることが、これら面取り部を形成していないものと比べて、低減される。
従って、上記したように粉粒体材料の噛み込みの解除により生じる、ピストンロッドとスライド弁体とを連結する連結部への衝撃荷重の発生が低減される。よって、連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0028】
また、上記第2発明において、前記スライド弁体ハウジングに、前記スライド弁体の透孔部を介して前記上流側開口部と連通される下流側開口部が開設されたものとし、前記スライド弁体の透孔部の下流側縁部の閉塞部側端部、及び、前記スライド弁体ハウジングの下流側開口部の上流側縁部の閉塞方向終端側端部に、面取り部をそれぞれ形成するようにすれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、粉粒体材料を輸送、或いは排出する下流側において、上記のように粉粒体材料を噛み込む場合にも、上記上流側にそれぞれ形成した面取り部と同様、該粉粒体材料は、上記スライド弁体の透孔部に形成された面取り部と、上記スライド弁体ハウジングの下流側開口部に形成された面取り部との間に捕捉されるようにして噛み込まれる。
従って、上記同様、連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0029】
また、上記第2発明において、前記面取り部を、R面取り状とすれば、上記したように、面取り部間に粉粒体材料を噛み込んだ場合に、該粉粒体材料のせん断又は破断が効果的に低減される。従って、連結部の破断や疲労破壊をより効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0030】
あるいは、上記第2発明において、前記面取り部を、C面取り状とすれば、上記したように、面取り部間に粉粒体材料を噛み込んだ場合に、該粉粒体材料のせん断又は破断が効果的に低減されるとともに、その噛み込んだ粉粒体材料を面取り部間に効果的に捕捉させることができる。すなわち、その噛み込んだ粉粒体材料が、これら面取り部間から外れることを効果的に防止でき、よって、噛み込みの解除を効果的に防止できる。
従って、連結部の破断や疲労破壊をより効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0031】
また、上記第1発明及び上記第2発明において、前記スライド弁体ハウジングと、前記エア式スライド弁駆動手段とを、手動操作部を有した係止緊締具で連結固定するようにし、前記手動操作部を操作して前記スライド弁体ハウジングと前記エア式スライド弁駆動手段との連結固定が解除されたときには、前記スライド弁体を、前記スライド弁体ハウジングからスライド方向に沿って抜き出して取外し出来る構造とすれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、上記スライド弁体ハウジングと上記エア式スライド弁駆動手段との連結を手動操作で容易に解除でき、該エア式スライド弁駆動手段に連結されたスライド弁体を、上記スライド弁体ハウジングからスライド方向に沿って抜き出して、容易に取外すことができる。よって、上記スライド弁体に付着、堆積した粉粒体材料を容易に除去、清掃できる。また、上記スライド弁体ハウジングの清掃も上記スライド弁体を抜き出す方向に形成されている開口から容易に清掃できる。
また、例えば、スライド弁体ハウジングやスライド弁体に粉粒体材料が付着、堆積すると、スライド弁体の摺動性が悪くなり、また、駆動手段への負荷も大きくなるが、本発明によれば、容易に清掃できることから、定期的に清掃が可能となり、このような問題を防止できる。
また、上記のようにスライド弁体及びスライド弁体ハウジングに粉粒体材料が付着、堆積した状態で、例えば、輸送する粉粒体材料を他の異種材料に替える材料替えがなされた場合には、新たに輸送される粉粒体材料に、上記スライド弁体及びスライド弁体ハウジングに付着、堆積した材料が混入して、その新たに輸送される粉粒体材料へのコンタミネーションが生じる恐れがあるが、本発明によれば、容易に清掃できることから、定期的に清掃が可能となり、このような問題を防止できる。
【0032】
また、エア式スライド弁駆動手段に連結されたスライド弁体を取外してスライド弁体ハウジングを清掃できるので、例えば、取外さずに清掃する場合は、スライド弁体により手指等を負傷する恐れがあるが、そのようなことを確実に防止でき、安全面において優れたスライド式弁装置となる。
さらに、前記係止緊締具は、手動操作部を有しているので、上記エア式スライド弁駆動手段を、上記スライド弁体ハウジングへ組み付ける際にも手動操作により行うことができ、組み付け時の作業性も良い。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1(a)、(b)は、いずれも第1実施形態に係るスライド式弁装置を用いた粉粒体材料の計量輸送装置の一例を示す概略縦断面図、
図2は、同スライド式弁装置の要部を模式的に示す分解概略斜視図、
図3(a)は、
図1(a)におけるX1−X1線矢視概略縦断面図、(b)は、スライド弁体の概略平面図、(c)は、(b)におけるY1−Y1線矢視概略縦断面図、
図4(a)〜(d)は、いずれも同スライド式弁装置のスライド弁体の動作を説明するための説明図であり、(a)、(b)、(d)は、概略縦断面図、(c)は、粉粒体材料を噛み込んだ状態を示す概略縦断面図及びその概略平面図である。
尚、以下の各実施形態において示す前後方向は、エアシリンダ(エア式スライド弁駆動手段)のピストンロッドの伸長方向前方を前方として説明する。
【0035】
本実施形態に係るスライド式弁装置1は、
図1に示すように、大略的に、スライド弁体ハウジングの上面側部を構成するスライドベース10と、該スライドベース10にスライド自在に収容された板状の切替え弁(スライド弁体)20と、該切替え弁20の下面(下流側面)に固着された計量容器80と、前記切替え弁20を連結し、スライド制御するエアシリンダ40とを備えている。
このスライド式弁装置1は、本実施形態では、粉粒体材料の計量輸送装置101に用いた例を示しており、該粉粒体材料の計量輸送装置101は、
図1(a)、(b)に示すように、上記スライドベース10の上面(上流側面)に固着された材料供給部70及び材料排出管73を備えている。
【0036】
前記材料供給部70は、材料貯留ホッパー(材料貯留部、材料投入部)72と、その下端の排出口に連設され、上流側輸送路を構成する材料投入管71とを備えている。該材料投入管71は、後記するスライドベース10の後方側開口部13に連通されている。
前記材料排出管73は、下流側空気輸送路を構成し、その始端部が後記するスライドベース10の前方側開口部14に連通される一方、その終端部が空気輸送管等を介して吸引手段が連接された捕集機等の輸送先に連接されている。
【0037】
前記スライドベース10は、スライド弁体ハウジングを構成し、切替え弁20の上面(上流側面)が当接、摺接される天板部11と、該天板部11の幅方向(スライド方向と直交する方向)両端部に下方に向けて垂設された側壁部12,12と、該側壁部12,12の下端部に固設された一対の弁体ガイド部30とを備えている。
前記天板部11には、
図2に示すように、スライド方向に沿って上流側開口部を構成する後方側開口部13と、下流側開口部を構成する前方側開口部14とが開設されている。
これら後方側開口部13及び前方側開口部14は、いずれも平面視で同径の略円形状とされ、その径は、それぞれ上記材料投入管71及び材料排出管73の内径と略同径とされている。
また、これら後方側開口部13と前方側開口部14とは、一定の間隔を隔てて、スライド方向に沿って近接して開設されている。これら後方側開口部13と前方側開口部14との間隔は、前記材料投入管71及び材料排出管73の両者を気密的に分離した輸送路とするために形成される隣接側の隔壁の厚さに合わせた間隔とされるとともに、後記する切替え弁20が切替えられる際に、後方側開口部13側で粉粒体材料を噛み込んで停止した状態とされた場合にも、前方側開口部14と、切替え弁20の透孔部22とが平面視して少なくとも、それらの一部が整合するような間隔とされている。これにより、後記するように計量容器80に貯留させた粉粒体材料を輸送する際に、その輸送が阻害されることがない。
【0038】
前記側壁部12,12は、スライド方向に沿って設けられており、これら両側壁部12,12と天板部11とによって、切替え弁20をスライド自在に収容する空所となるスライド溝15が構成される。
これら側壁部12,12の天板部11からの高さは、後記する切替え弁20の板状弁体21の厚さに合わせた高さとされ、切替え弁20を収容した状態では、側壁部12,12の下面と、板状弁体21の下面とが略面一となるよう構成されている。
また、これら側壁部12,12間の幅は、後記する切替え弁20の板状弁体21の幅に合わせて、該板状弁体21をスライド自在に収容する幅とされている。
また、上記両側壁部12,12の下端部にスライド方向に沿って、それぞれ設けられた弁体ガイド部30は、
図3(a)に示すように、切替え弁20の下面に固着された計量容器80が後記するように切替え弁20とともにスライド移動される際に、その移動が可能なよう切替え弁20の両端部下面をスライド自在に保持している。
【0039】
前記切替え弁20は、
図2及び
図3(b)に示すように、透孔部22が略中央部に開設され、平面視で略矩形状の板状体からなる板状弁体21と、該板状弁体21の下面に固着された計量容器80と、該板状弁体21の後端部に設けられた連結部とを備えている。
上記透孔部22は、平面視略円形状とされており、上記スライドベース10の略円形状とされた後方側開口部13及び前方側開口部14の径と略同径とされている。
また、該透孔部22の上記後方側開口部13を閉塞する閉塞部24側端部の上流側縁部には、後記するスライド方向に沿って延出する上流側切込み部28が形成されている。
また、上記透孔部22の下側縁部(下流側縁部)には、計量容器80が該切替え弁20とともにスライド自在に固着されている。
上記透孔部22を挟んでスライド方向に沿って前方側と後方側との板状部位が、スライドベース10の後方側開口部13及び前方側開口部14をそれぞれ閉塞する閉塞部24,23を構成する。
【0040】
上記上流側切込み部28は、
図3(b)に示すように、本実施形態では、平面視で、前記後方側開口部13及び透孔部22の半径よりもその曲率半径が小とされた小円弧形状に形成されている。
該上流側切込み部28の上記曲率半径は、輸送される粉粒体材料の粒径や前記後方側開口部13及び透孔部22の径に応じて、適宜、設定可能であるが、本実施形態では、粉粒体材料の粒径の2倍以上、かつ前記後方側開口部13及び透孔部22の半径の2/3以下としている。
本実施形態では、粉粒体材料p(
図4(c)参照)の平均粒径が3mmとされている場合において、前記後方側開口部13及び透孔部22の直径をそれぞれ42mmとし、上記上流側切込み部28の曲率半径を12.5mmとしているが、これに限らず、上記範囲内とすればよい。
【0041】
また、小円弧形状とされた上流側切込み部28の最大幅、すなわち、透孔部22の閉塞部24側端部縁から上流側切込み部28の後端部側縁までの幅は、輸送される粉粒体材料の粒径等に応じて、適宜、設定可能であるが、粉粒体材料の粒径の1/4〜5倍程度となるようにすることが好ましい。これにより、後記するように、粉粒体材料の噛み込み率を効果的に低減できる。より好ましくは、上記最大幅を、粉粒体材料の粒径の1/2〜2倍程度となるようにしてもよい。これにより、より効果的に噛み込み率を低減できるとともに、装置を大型化させることもない。本実施形態では、上記のように、粉粒体材料pの平均粒径が3mmとされている場合において、上記上流側切込み部28の上記最大幅を3mmとしている。
上記透孔部22及び上流側切込み部28のそれぞれの円心は、スライド方向に沿って同一直線上に位置されており、上流側切込み部28の円心が透孔部22の円心よりも後端部側(閉塞部24側)となるような位置とされている。
【0042】
また、上記上流側切込み部28は、本実施形態では、切替え弁20の厚さ方向の全体に亘って形成されておらず、該切替え弁20の板状弁体21の上流側(上方側)のみを切込むようにして、スライドベース10の天板部11側にのみ凹所を形成した構造にしている。このように上流側切込み部28を凹所構造とすることで、
図3各図に示すように、その下流側部位には、段差部28aが形成される。
すなわち、切替え弁20の裏面側からは、上流側切込み部28が視認できない構成とされ、略円形状の透孔部22のみが視認できる構成とされている。
さらに、上記段差部28aの段差上面は、それぞれ下流側(下方)に向けて傾斜する傾斜面とされている。
【0043】
上記計量容器80は、大略的に、上記透孔部22の下側縁部に、その上端開口の縁部が固着された材料計量本体筒81と、該材料計量本体筒81の内部に上下動自在に設けられた内筒82と、上記材料計量本体筒81の外周に上下動自在に設けられた外筒85とを備えている。
上記内筒82は、その上端開口部に設けられ、空気の流通が可能で粉粒体材料の通過を阻止する空気流通網83と、その下端開口部に設けられ、空気の流通が可能とされたフィルタ部(空気流通部)84とを備えている。
上記外筒85は、上記材料計量本体筒81に対して、この外筒85の上下位置を位置決め保持するための上端部に設けられた調節ネジ86と、この外筒85に対して、上記内筒82の上下位置を位置決め保持するための下端部に設けられた調節ネジ87とを備えている。
前記構成とされた計量容器80では、上記材料計量本体筒81に対して、上記外筒85及び/又は上記内筒82を上下動させ、上記調節ネジ86,87でそれぞれを位置決め保持させることで、上記材料計量本体筒81内の粉粒体材料の貯留量が適宜、変更可能とされている。
【0044】
前記切替え弁20の連結部は、
図1及び
図2に示すように、エアシリンダ40のピストンロッド43の先端部と螺合して連結される連結ボルト25と、該連結ボルト25の軸部が挿通されてボルト頭を保持する連結部材27と、該連結部材27を板状弁体21の後端面に固着するための一対のボルト26とを有している。
尚、切替え弁20とエアシリンダ40のピストンロッド43とを連結する連結部の構成は、上記に限らず、ピストンロッドの連結構造に応じて、適宜、変更可能である。
【0045】
前記エアシリンダ40は、上記スライドベース10の後端部に固着されたシリンダケーシング41と、該シリンダケーシング41内を前後移動されるピストン42(
図4参照)と、該ピストン42の前方面に連結され、シリンダケーシング41内から伸縮されるピストンロッド43と、該シリンダケーシング41の前後端部にそれぞれ接続された空気流入出管路44,45とを備えている(尚、
図1では、空気流入出管路44,45の接続部のみを図示している。)。
該エアシリンダ40のピストンロッド43のストローク量は、上記のように切替え弁20が連結された状態において、
図1(a)及び
図4(a)に示すように、最大限短縮された状態で、切替え弁20の透孔部22とスライドベース10の後方側開口部13とが平面視で整合するとともに、
図1(b)及び
図4(d)に示すように、最大限伸長された状態で、切替え弁20の透孔部22とスライドベース10の前方側開口部14とが平面視で整合するようなストローク量とされている。
このように、本実施形態では、切替え弁20をスライド制御する駆動手段を、エアシリンダ40としているので、駆動手段をコンパクトなものとでき、装置全体のコンパクト化が図れるとともに、低コストである。
尚、
図1において、符号46は、エアシリンダ40のシリンダケーシング41の前面に固着され、該シリンダケーシング41とスライドベース10とを連結するための連結板、符号46aは、該連結板に開設され、ピストンロッド43が伸縮可能に挿通される挿通孔である。
【0046】
上記構成とされた粉粒体材料の計量輸送装置101では、上記板状弁体21がエアシリンダ40によってスライドされることで、前記透孔部22が後方側開口部13、前方側開口部14のうちのいずれか一方と連通されたときには、他方が前記閉塞部23,24によって閉塞される構成とされている。
すなわち、エアシリンダ40のピストンロッド43が最大限短縮された状態では、
図1(a)に示すように、切替え弁20の透孔部22とスライドベース10の後方側開口部13とが平面視で整合する。この状態では、上記材料供給部70と上記計量容器80とが連通し、該計量容器80内及び透孔部22内に、材料供給部70からの材料が一時的に貯留される。また、この状態では、スライドベース10の前方側開口部14が切替え弁20の前方側閉塞部23によって閉塞される。
【0047】
一方、上記捕集機等に連接された輸送先としての成形機等からの材料要求信号を受けると、
図1(b)に示すように、エアシリンダ40のピストンロッド43を伸長させる。この最大限伸長された状態では、切替え弁20の透孔部22とスライドベース10の前方側開口部14とが平面視で整合する。この状態では、上記材料排出管73と上記計量容器80とが連通し、該計量容器80内及び透孔部22内に一時的に貯留された上記材料が、材料排出管73に捕集機等を介して連通された吸引手段等の吸引によって、材料排出管73に向けて空気輸送される。また、この状態では、スライドベース10の後方側開口部13が切替え弁20の後方側閉塞部24によって閉塞される。
このように、上記粉粒体材料の計量輸送装置101によれば、粉粒体材料の輸送路を経て輸送、供給される粉粒体材料を計量するとともに、輸送先に向けて輸送できる。従って、例えば、次工程において、計量された所定量の粉粒体材料が必要とされるシステム等において、上記粉粒体材料の計量輸送装置101を該輸送システムに組み込むことで、粉粒体材料の計量と輸送とをスムーズに行うことができる。
【0048】
尚、本実施形態では、スライドベース10に開設された各開口部13,14、及び切替え弁20に開設された透孔部22を、それぞれ平面視略円形状としているが、平面視楕円形状としたり、平面視略四角形状あるいは他の多角形状としたりしてもよい。
さらに、材料投入管71及び材料排出管73、材料計量本体筒81の横断面形状も上記同様、どのような形状としてもよい。
また、上記のように粉粒体材料として樹脂ペレットを輸送先である成形機に向けて空気輸送するものに限られず、輸送先を成形機ではなく、粉粒体材料を貯留する貯留槽としたり、粉粒体材料を乾燥する乾燥ホッパーとしたりしてもよい。
また、上記では、粉粒体材料として樹脂ペレットを輸送先である成形機に向けて空気輸送する例を示したが、これに限らず、他の材料、例えば、金属材料や木質材料、薬品材料、食品材料等の材料を成形機あるいは加工機等に向けて空気輸送するシステムに上記粉粒体材料の計量輸送装置101を適用するようにしてもよい。
【0049】
次に、上記構成とされた粉粒体材料の計量輸送装置101に用いられる上記スライド式弁装置1における切替え弁20の切替え動作、及び該切替え弁20の切替え動作時におけるエアシリンダ40の動作について、
図4に基づいて説明する。
図4(a)に示すように、短縮状態とされたピストンロッド43を伸長させる場合は、シリンダケーシング41内のピストン42の背面側空間に向けて後端側空気流入出管路45から圧縮空気を導入する。これにより、ピストン42が圧縮空気によって前方に向けて移動し、ピストンロッド43が徐々に伸長される。
この際、
図4(b)に示すように、シリンダケーシング41内では、ピストン42の背面側空間へは圧縮空気が導入されるとともに、ピストン42の前面側では、前面側空間に存在していた空気がピストン42の移動に伴い圧縮される。この前面側空間で圧縮される空気は、シリンダケーシング41の前端側空気流入出管路44に設けられたオリフィス等によって流出量が調整されて徐々に流出する。また、この前面側空間で圧縮される空気による抵抗を受けながらピストン42が前方に向けて移動する。
上記のようにピストン42が前方に向けて移動することで、
図4(d)に示すように、ピストンロッド43が最大限伸長され、切替え弁20が前方位置となる。
尚、詳細な説明は省略するが、逆側、すなわち、ピストン42を後方に向けて移動させる場合は、シリンダケーシング41内のピストン42の前面側空間に向けて前端側空気流入出管路44から圧縮空気を導入して、上記同様、ピストン42を後方に向けて移動させる。
【0050】
一方、ピストンロッド43が伸長されて、
図4(a)、(b)に示すように、切替え弁20が前方位置に向けてスライド移動される際に、
図4(c)に示すように、切替え弁20の透孔部22の後端部上流側開口縁(閉塞部24側端部上流側開口縁)に形成された上記上流側切込み部28と、スライドベース10の後方側開口部13の前端部下流側開口縁(閉塞方向終端側端部下流側開口縁)との間に、粉粒体材料pを噛み込んだ場合には、シリンダケーシング41内のピストン42の移動が停止される。
このようにピストン42が停止すると、ピストン42の前面側空間は、上記した前端側空気流入出管路44に設けられたオリフィス等からの空気の流出によって大気圧に近い雰囲気となる。
上記状態において、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン42の停止中においても、その背面側空間へは、後端側空気流入出管路45より圧縮空気が導入されており、また、前面側空間では、上述のように大気圧に近い雰囲気となっているため、上記のような空気が圧縮されることによる十分な抵抗が生じず、ピストン42が高速で前方に移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突して停止する。
【0051】
上記のように、ピストン42が高速移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突すると、上記従来例にて説明したように、衝撃荷重が連結ボルト25に作用するが、本実施形態によれば、上記上流側切込み部28を、透孔部22に形成しているので、噛み込まれる粉粒体材料pが上流側切込み部28へと誘導され、粉粒体材料pを噛み込む箇所が、上記従来のスライド式弁装置と比べて、切替え弁20のスライド方向終端側(本例では後方側)に移動する。これにより、噛み込んでいる粉粒体材料pが、外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込みが解除された場合にも、その噛み込みによって停止されたピストン42の停止位置からシリンダケーシング41の前端内壁までのピストン42の残ストローク量st2(
図4(c)、(d)参照)を、上記従来例と比べて小さく出来る。
従って、ピストン42が上記したような残ストローク量st2を移動してシリンダケーシング41の内壁に衝突して生じるピストンロッド43と切替え弁20とを連結する連結ボルト25に作用する衝撃荷重を低減できる。よって、連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0052】
また、特に、上記したような粉粒体材料の計量輸送装置101に、本実施形態に係るスライド式弁装置1を用いることで、該粉粒体材料の計量輸送装置101の耐久性を向上させることができる。すなわち、上記粉粒体材料の計量輸送装置101では、計量容器80へは、材料投入管71に連設された材料貯留ホッパー72からの粉粒体材料が、自重により計量容器80内のみならず、切替え弁20の透孔部22内、及びスライドベース10の後方側開口部13等にも満たされることになる。このような状態で、上記したように切替え弁20をスライドさせると、上記したような噛み込みが頻繁に発生する恐れがある。このような噛み込みが頻繁に発生しやすい粉粒体材料の計量輸送装置101に、本実施形態に係るスライド式弁装置1を用いることで、その耐久性を高めることができる。
【0053】
また、特に、本実施形態では、上記上流側切込み部28が、上記のように、平面視で、小円弧形状に形成されているので、切替え弁20がスライドされて切替え弁20の透孔部22が前方側開口部14に向けてスライド移動する際に透孔部22の閉塞部24側端部と、後方側開口部13の閉塞方向終端側端部との平面視における整合面積が、透孔部22の閉塞部24側端部の上流側縁部に形成された上記上流側切込み部28によって、例えば、単にそれぞれ円形状とされた透孔部と後方側開口部13とが整合する場合と比べて小さくなる。よって、粉粒体材料pの噛み込み率を効果的に低減できる。
また、上流側切込み部28の曲率半径を、粉粒体材料pの粒径の2倍以上、かつ後方側開口部13及び透孔部22の半径の2/3以下としているので、より効果的に噛み込み率を低減できる。
さらに、上記のように、上流側切込み部28を、それぞれ平面視で小円弧形状としているので、上記したような箇所に粉粒体材料pが噛み込まれる際に、切替え弁20の透孔部22がスライドする逆方向に、該粉粒体材料を、該小円弧に沿って上流側切込み部28内に向けて誘導しやすいものとなる。すなわち、粉粒体材料が上流側切込み部28の途中で噛み込まれて、切替え弁20の移動が停止されるようなことがなく、該粉粒体材料を該小円弧に沿って上流側切込み部28の後端部側縁まで誘導しやすいものとなる。
さらにまた、本実施形態では、上流側切込み部28を、上記のように凹所構造とし、その上記段差部28aの段差上面を、それぞれ下流側(下方)に向けて傾斜する傾斜面としているので、粉体等の付着、堆積を低減できる。尚、このような傾斜面とせず、水平面としてもよい。
【0054】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5(a)〜(c)は、いずれも第2実施形態に係るスライド式弁装置を示し、(a)は、スライド弁体ハウジングの概略平面図、(b)は、(a)におけるY2−Y2線矢視概略縦断面図、(c)は、(a)におけるZ1−Z1線矢視概略縦断面図、
図6(a)〜(d)は、いずれも同スライド式弁装置のスライド弁体の動作を説明するための説明図であり、それぞれ
図4に対応させた図である。
尚、上記第1実施形態との相違点は、主に、スライドベース及び切替え弁の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Aも上記第1実施形態に係るスライド式弁装置1と同様、
図1に基づいて説明した粉粒体材料の計量輸送装置101に適用可能である。
【0055】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Aでは、切替え弁20A(
図6参照)には、上記上流側切込み部を設けておらず、スライドベース10Aに上流側切込み部16を設けている点が、上記第1実施形態と主に異なる点である。
すなわち、スライドベース10Aは、
図5各図に示すように、上流側開口部を構成する後方側開口部13Aの閉塞方向終端側端部(切替え弁20Aの閉塞部24によって閉塞される方向の終端側端部、前方側端部)の下流側縁部に、スライド方向に沿って延出する上流側切込み部16を形成している。
【0056】
上記上流側切込み部16は、上記第1実施形態で説明した小円弧形状とされた上流側切込み部28と同様、平面(底面)視で小円弧形状とされており、その曲率半径は、略円形状とされた後方側開口部13A及び透孔部22Aの半径よりも小とされている。
また、該上流側切込み部16は、上記上流側切込み部28と同様、凹所構造としている。すなわち、スライドベース10Aの天板部11の厚さ方向の全体に亘って形成されておらず、該天板部11の下流側のみを切込むようにして、切替え弁20A側にのみ凹所を形成した構造にし、その上流側部位には、段差部16aが形成されている。つまり、スライドベース10Aの上面側からは、上流側切込み部16が視認できない構成とされ、略円形状の後方側開口部13Aのみが視認できる構成とされている。また、上記段差部16aの段差面は、上流側(上方)に向けて傾斜する傾斜面とされている。
上記後方側開口部13A及び上流側切込み部16のそれぞれの円心は、スライド方向に沿って同一直線上に位置されており、上流側切込み部16の円心が後方側開口部13Aの円心よりも閉塞方向終端側(前方側)となるような位置とされている。
尚、この上流側切込み部16の上記曲率半径、及び最大幅等は、上記上流側切込み部28と同様であり、説明を省略する。
また、上記切替え弁20Aは、
図6各図に示すように、上流側切込み部28を形成していないことを除いては、上記第1実施形態の切替え弁20と同様の構成であり、説明を省略する。
【0057】
次に、上記構成とされた上記スライド式弁装置1Aにおける切替え弁20Aの切替え動作、及び該切替え弁20Aの切替え動作時におけるエアシリンダ40の動作について、
図6に基づいて説明する。
尚、正常動作時、すなわち粉粒体材料を噛み込んでいない状態における切替え弁20Aの切替え動作、及び該切替え弁20Aの切替え動作時におけるエアシリンダ40の動作については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0058】
図6(a)、(b)に示すように、ピストンロッド43が伸長されて、切替え弁20Aが前方位置に向けてスライド移動される際に、
図6(c)に示すように、切替え弁20Aの透孔部22Aの後端部上流側開口縁と、スライドベース10Aの後方側開口部13Aの前端部下流側開口縁に形成された上流側切込み部16との間に、粉粒体材料pを噛み込んだ場合には、シリンダケーシング41内のピストン42の移動が停止される。
このようにピストン42が停止した場合において、上記第1実施形態において説明したように、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン42が高速で前方に移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突して停止する。
【0059】
本実施形態によれば、上記上流側切込み部16を、後方側開口部13Aに形成しているので、上記第1実施形態と同様、噛み込まれる粉粒体材料pが上流側切込み部16へと誘導され、粉粒体材料pを噛み込む箇所が、上記従来のスライド式弁装置と比べて、後方側開口部13Aの閉塞方向終端側(本例では前方側)に移動する。これにより、噛み込んでいる粉粒体材料pが、外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込みが解除された場合にも、その噛み込みによって停止されたピストン42の停止位置からシリンダケーシング41の前端内壁までのピストン42の残ストローク量st2(
図6(c)、(d)参照)を、上記従来例と比べて小さく出来る。
従って、ピストン42が上記したような残ストローク量st2を移動してシリンダケーシング41の内壁に衝突して生じるピストンロッド43と切替え弁20Aとを連結する連結ボルト25に作用する衝撃荷重を低減できる。よって、連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
また、上記第1実施形態と同様、上記後方側開口部13Aに形成された上流側切込み部16は、上記したように平面視(底面視)で小円弧形状とし、上記したような曲率半径等としているので、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図7(a)〜(d)は、いずれも第3実施形態に係るスライド式弁装置を示し、それぞれ
図4に対応させた図である。
尚、上記第1実施形態及び第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Bも上記第1実施形態に係るスライド式弁装置1と同様、
図1に基づいて説明した粉粒体材料の計量輸送装置101に適用可能である。
【0061】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Bは、上記第1実施形態で説明した切替え弁20と、上記第2実施形態で説明したスライドベース10Aとを備えている。
すなわち、該スライド式弁装置1Bでは、切替え弁20の透孔部22の閉塞部24側端部の上流側縁部、及び、スライドベース10Aの後方側開口部13Aの閉塞方向終端側端部の下流側縁部のいずれにも、それぞれ上流側切込み部28,16を形成している。
【0062】
上記構成とされたスライド式弁装置1Bでは、上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した各スライド式弁装置1,1Aと同様、
図7(a)、(b)に示すように、ピストンロッド43が伸長されて、切替え弁20が前方位置に向けてスライド移動される際に、
図7(c)に示すように、切替え弁20の透孔部22の後端部上流側開口縁に形成された上流側切込み部28と、スライドベース10Aの後方側開口部13Aの前端部下流側開口縁に形成された上流側切込み部16との間に、粉粒体材料pを噛み込んだ場合には、シリンダケーシング41内のピストン42の移動が停止される。
このようにピストン42が停止した場合において、上記各実施形態において説明したように、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン42が高速で前方に移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突して停止する。
【0063】
本実施形態によれば、上記したように、その噛み込み箇所に、それぞれ上流側切込み部16,28を形成しているので、粉粒体材料pがこれら上流側切込み部16,28へと誘導され、粉粒体材料pを噛み込む箇所が、上記従来のスライド式弁装置及び上記第1実施形態、第2実施形態と比べて、切替え弁20のスライド方向終端側及び後方側開口部13Aの閉塞方向終端側に移動する。これにより、噛み込んでいる粉粒体材料pが、外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込みが解除された場合にも、その噛み込みによって停止されたピストン42の停止位置からシリンダケーシング41の前端又は後端内壁までのピストン42の残ストローク量st3(
図7(c)、(d)参照)を、上記従来例と比べて格段に小さく出来るとともに、上記第1実施形態及び第2実施形態よりも小さくできる。
従って、ピストン42が上記したような残ストローク量st3を移動してシリンダケーシング41の内壁に衝突して生じるピストンロッド43と切替え弁20とを連結する連結ボルト25に作用する衝撃荷重を低減できる。よって、連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0064】
尚、上記各実施形態で説明した各上流側切込み部28,16は、それぞれ上記のように凹所構造とした例を示しているが、以下の構成としてもよい。すなわち、上記上流側切込み部28を、切替え弁20の板状弁体21の厚さ方向の全体に亘って形成するようにしてもよい。また、上記上流側切込み部16を、スライドベース10Aの天板部11の厚さ方向の全体に亘って形成するようにしてもよい。
【0065】
次に、上記第1実施形態又は第3実施形態に係る各スライド式弁装置に適用される切替え弁の変形例について、
図8に基づいて説明する。
図8(a)〜(c)は、いずれも本変形例に係る切替え弁を示し、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるY3−Y3線矢視概略縦断面図、(c)は、(a)におけるZ2−Z2線矢視概略縦断面図である。
尚、本例における切替え弁20Bと、上記第1実施形態で説明した切替え弁20との相違点は、主に、切込み部の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、
図8(a)では、透孔部の仮想的な後端部開口縁を二点鎖線で図示している。
【0066】
本例における上記切替え弁20Bでは、板状弁体21の透孔部22Bの後端部に設けられた上流側切込み部28Aは、板状弁体21の厚さ方向の全体に亘って切込み形成されている。
また、本例では、上流側切込み部28Aの形状が上記第1実施形態で説明した上流側切込み部28とは異なる。すなわち、この上流側切込み部28Aは、平面視で、先細り形状とされている。この先細り形状とされた上流側切込み部28Aの先細り頂点がスライド方向に沿って外方に向かうように切込み形成されている。
すなわち、本例では、透孔部22Bの後端部の円弧を切欠くようにして、外方に向けて先細りとなるよう形成している。換言すれば、この先細り形状とされた上流側切込み部28Aの先細り頂点に向かう両方辺が、それぞれ透孔部22Bの後端側の半円に接するようにして、該透孔部22Bの後端部開口縁の円弧を切欠くように形成されている。
また、上流側切込み部28Aの上記先細り頂点と、透孔部22Bの円心とは、それぞれスライド方向に沿って同一直線上となるよう形成されている。
【0067】
また、上流側切込み部28Aの最大幅、すなわち、透孔部22Bの仮想的な後端部開口縁から上流側切込み部28Aの上記先細り頂点までの幅は、上記第1実施形態と同様、輸送される粉粒体材料の粒径等に応じて、その最大幅を3mmとしている。
また、上記先細り形状とされた上流側切込み部28Aの一方辺と、上記先細り頂点に接するスライド方向直交線とのなす角(以下、切込み角と略す場合がある。)θ1は、輸送される粉粒体材料の滑り角度以上となるよう設定されている。ここに、該滑り角度は、上記先細り頂点に接するスライド方向直交線を水平面とし、該水平面側を鉛直下方に例えて規定している。
尚、
図8(a)では、上流側切込み部28Aの一方辺と、その先細り頂点に接するスライド方向直交線とのなす角θ1のみを図示しているが、その他方辺と、その先細り頂点に接するスライド方向直交線とのなす角θ1も同様である。
【0068】
上記のように本変形例では、上流側切込み部28Aを、平面視で先細り形状としているので、上記第1実施形態で説明した段差部28aを備えたことによる効果を除いて、上記同様の効果を奏する。
また、上記のように、上流側切込み部28Aの上記切込み角θ1を、輸送される粉粒体材料の滑り角度以上となるようにしているので、上記したような箇所に粉粒体材料が噛み込まれる際に、切替え弁20Bの透孔部22Bがスライドする逆方向に、該粉粒体材料を、上流側切込み部28Aのいずれか一方辺に沿って、上記先細り頂点に向けて誘導しやすいものとなる。すなわち、粉粒体材料が上流側切込み部28Aの途中で噛み込まれて、切替え弁20Bの移動が停止されるようなことがない。
尚、本例では、切替え弁20Bの板状弁体21の厚さ方向の全体に亘って切込み形成された上流側切込み部28Aとしているが、上記第1実施形態に係る切替え弁20の上流側切込み部28と同様に、スライドベース側にのみ凹所を切込み形成した段差形状として、段差部を設けるようにしてもよい。この場合においては、上記同様、段差部の段差面を傾斜面とするようにしてもよい。
【0069】
次に、上記第2実施形態又は第3実施形態に係る各スライド式弁装置に適用されるスライドベースの変形例について、
図9に基づいて説明する。
図9(a)〜(c)は、いずれも本変形例に係るスライドベースを示し、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるY4−Y4線矢視概略縦断面図、(c)は、(a)におけるZ3−Z3線矢視概略縦断面図である。
尚、本例におけるスライドベース10Bと、上記第2実施形態で説明したスライドベース10Aとの相違点は、主に、切込み部の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、
図9(a)では、後方側開口部の仮想的な前端部開口縁を二点鎖線で図示している。
【0070】
本例における上記スライドベース10Bでは、天板部11の後方側開口部13Bの前端部に設けられた上流側切込み部16Aは、スライドベース10Bの底部11の厚さ方向の全体に亘って切込み形成されている。
また、本例では、上流側切込み部16Aの形状が上記第2実施形態で説明した上流側切込み部16とは異なる。すなわち、この上流側切込み部16Aは、上記切替え弁20Bの上流側切込み部28Aと同様、平面視で、先細り形状とされている。この先細り形状とされた上流側切込み部16Aの先細り頂点がスライド方向に沿って外方に向かうように切込み形成されている。
すなわち、本例では、後方側開口部13Bの前端部の円弧を切欠くようにして、外方に向けて先細りとなるよう形成している。換言すれば、この先細り形状とされた上流側切込み部16Aの先細り頂点に向かう両方辺が、それぞれ後方側開口部13Bの後端側の半円に接するようにして、該後方側開口部13Bの前端部開口縁の円弧を切欠くように形成されている。
また、上流側切込み部16Aの上記先細り頂点と、後方側開口部13Bの円心とは、それぞれスライド方向に沿って同一直線上となるよう形成されている。
【0071】
また、上流側切込み部16Aの最大幅、すなわち、後方側開口部13Bの仮想的な前端部開口縁から上流側切込み部16Aの上記先細り頂点までの幅は、上記第2実施形態と同様、輸送される粉粒体材料の粒径等に応じて、その最大幅を3mmとしている。
また、上記切込み角θ1と同様、上記先細り形状とされた上流側切込み部16Aの一方辺と、上記先細り頂点に接するスライド方向直交線とのなす角θ2は、輸送される粉粒体材料の滑り角度以上となるよう設定されている。
尚、
図9(a)では、上流側切込み部16Aの一方辺と、その先細り頂点に接するスライド方向直交線とのなす角θ2のみを図示しているが、その他方辺と、その先細り頂点に接するスライド方向直交線とのなす角θ2も同様である。
【0072】
上記のように本変形例では、上流側切込み部16Aを、平面視で先細り形状としているので、上記第2実施形態で説明した段差部16aを備えたことによる効果を除いて、上記同様の効果を奏する。
また、上記のように、上流側切込み部16Aの上記切込み角θ2を、輸送される粉粒体材料の滑り角度以上となるようにしているので、上記したような箇所に粉粒体材料が噛み込まれる際に、上記各切替え弁の透孔部がスライドする方向に、該粉粒体材料を、上流側切込み部16Aのいずれか一方辺に沿って、上記先細り頂点に向けて誘導しやすいものとなる。すなわち、粉粒体材料が上流側切込み部16Aの途中で噛み込まれて、切替え弁の移動が停止されるようなことがない。
尚、本例では、スライドベース10Bの底部11の厚さ方向の全体に亘って切込み形成された上流側切込み部16Aとしているが、上記第2実施形態に係るスライドベース10Aの上流側切込み部16と同様に、切替え弁側にのみ凹所を切込み形成した段差形状として、段差部を設けるようにしてもよい。この場合においては、上記同様、段差部の段差面を傾斜面とするようにしてもよい。
【0073】
また、上記第1実施形態〜第3実施形態及び上記各変形例では、上記のように前方側に材料排出管73及び後方側に材料投入管71をそれぞれ形成した粉粒体材料の計量輸送装置101に合わせて、各上流側切込み部28,16,28A,16Aを形成した例を示しているが、上記材料排出管73が後方側、材料投入管71が前方側とされた場合には、上記各スライドベース10A,10Bの各開口部は、それぞれ、その前方側が上流側開口部、後方側が下流側開口部として把握される。この場合には、該上流側開口部、すなわち、前方側開口部14の閉塞方向終端側端部(切替え弁20の閉塞部23によって閉塞される方向の終端側端部、後方側端部)の下流側縁部に上記したような各上流側切込み部16,16Aを形成するようにすればよい。また、この場合には、切替え弁20,20Bの各透孔部22,22Bに形成する上流側切込み部28,28Aは、その上流側開口部である前方側開口部14を閉塞する閉塞部23側端部の上流側縁部に形成するようにすればよい。
【0074】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図10(a)〜(d)は、いずれも第4実施形態に係るスライド式弁装置を用いた粉粒体材料の計量供給装置の一例を示し、(a)、(c)は、概略縦断面図、(b)は、(a)におけるX2−X2線矢視概略縦断面図、(d)は、(c)におけるX3−X3線矢視概略縦断面図、
図11(a)〜(d)は、いずれも同スライド式弁装置のスライド弁体の動作を説明するための説明図であり、それぞれ
図4に対応させた図である。
尚、上記各実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
【0075】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Cは、
図10に示すように、大略的に、スライド弁体ハウジングの下流側部を構成するスライドベース10Cと、該スライドベース10Cにスライド自在に収容された板状の開閉弁(スライド弁体)20Cと、該開閉弁20Cの上流側に設けられ、スライド弁体ハウジングの上流側部を構成するスライドカバー30Aと、前記開閉弁20Cを連結し、スライド制御するエアシリンダ40とを備えている。
このスライド式弁装置1Cは、本実施形態では、粉粒体材料の計量供給装置102に用いた例を示しており、該粉粒体材料の計量供給装置102は、
図10(a)、(b)に示すように、上記スライドカバー30Aの上面に固着された材料供給部72と、スライドベース10Cの下面に固着された材料計量部を構成する計量容器80Aとを備えている。
【0076】
前記材料供給部72は、本実施形態では、材料貯留ホッパー(材料貯留部、材料投入部)72とされ、その下端の排出口は、後記するスライドカバー30Aに開設された上流側開口部31に連通されている。本実施形態では、この材料貯留ホッパー72の下端排出口が上流側輸送路を構成する。
前記計量容器80Aは、上記第1実施形態で説明した計量容器80と大略的には同様の構成であり、その相違点についてのみ説明する。
すなわち、該計量容器80Aは、その材料計量本体筒81Aの上端開口の縁部が後記するスライドベース10Cに開設された下流側開口部13Cの下側縁部に固着されている。また、該材料計量本体筒81Aの上部近傍部位には、この材料計量本体筒81Aと連通する材料排出管88が横向き或いはやや上向きに接続されている。該材料排出管88は、下流側空気輸送路を構成し、その終端部が空気輸送管等を介して上記したような吸引手段が連接された捕集機等の輸送先に連接されている。
【0077】
前記スライドベース10Cは、開閉弁20Cの下面が当接、摺接される底部11Aと、該底部11Aの幅方向(スライド方向と直交する方向)両端部に上方に向けて立設された側壁部12A,12Aとを備えている。
前記底部11Aには、下流側開口部13Cが開設されている。
この下流側開口部13Cは、平面視で略円形状とされ、その径は、材料計量本体筒81Aの内径と略同径とされている。
また、該底部11Aの下流側開口部13Cの閉塞方向終端側端部(開閉弁20Cの閉塞部24によって閉塞される方向の終端側端部、前方側端部)の上流側縁部には、上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した各上流側切込み部28,16と同様の下流側切込み部16Bが形成されている。
すなわち、該下流側切込み部16Bは、平面視で上記同様の小円弧形状とされるとともに、下流側部位に段差部16Baを有した構造とされている。
【0078】
前記側壁部12A,12Aは、スライド方向に沿って設けられており、これら両側壁部12A,12Aと底部11Aとによって、開閉弁20Cをスライド自在に収容する空所となるスライド溝15Aが構成される。
これら側壁部12A,12Aの底部11Aからの高さは、後記する開閉弁20Cの板状弁体21Aの厚さに合わせた高さとされ、開閉弁20Cを収容した状態では、側壁部12A,12Aの上面と、板状弁体21Aの上面とが略面一となるよう構成されている。
また、これら側壁部12A,12A間の幅は、後記する開閉弁20Cの板状弁体21Aの幅に合わせて、該板状弁体21Aをスライド自在に収容する幅とされている。
【0079】
前記開閉弁20Cは、前方側部に透孔部22Cが開設され、平面視で略矩形状の板状体からなる板状弁体21Aと、該板状弁体21Aの後端部に設けられたエアシリンダ40との連結部とを備え、上記透孔部22Cの後方側の板状部位が、後記するスライドカバー30Aの上流側開口部31及びスライドベース10Cの下流側開口部13Cを閉塞する閉塞部24を構成する。
すなわち、本実施形態に係る開閉弁20Cは、前記各切替え弁20,20A,20Bとは異なり、その前方側には、閉塞部が設けられていない構成とされている。
また、該板状弁体21Aに開設された上記透孔部22Cの上流側開口部31を閉塞する閉塞部24側端部の上流側縁部には、上記同様の上流側切込み部28が形成されており、また、該透孔部22Cの下流側開口部13Cを閉塞する閉塞部24側端部の下流側縁部には、上記同様の下流側切込み部29が形成されている。
すなわち、これら上流側切込み部28及び下流側切込み部29は、それぞれ平面視で上記同様の小円弧形状とされるとともに、それぞれ下流側部位、上流側部位に段差部28a,29aを有した構造とされている。
【0080】
前記スライドカバー30Aは、平面視で略矩形状とされた薄板で構成されており、その略中央部には、材料貯留ホッパー72の下端排出口と略同径とされた上流側開口部31が開設されている。
このスライドカバー30Aは、上記したスライドベース10Cの両側壁部12A,12Aにボルト等によって固着されて該スライドベース10Cとによって、スライド方向両端部が開口した四角筒状体を形成し、開閉弁20Cを収容するスライド弁体ハウジングを構成する。
前記上流側開口部31は、スライドベース10Cにスライドカバー30Aが固着された状態では、平面視して、上記スライドベース10Cに開設された下流側開口部13Cと整合し、連通する構成とされている。
また、該スライドカバー30Aの上流側開口部31の閉塞方向終端側端部(開閉弁20Cの閉塞部24によって閉塞される方向の終端側端部、前方側端部)の下流側縁部には、上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した各上流側切込み部28,16と同様の上流側切込み部32が形成されている。
すなわち、該上流側切込み部32は、平面視で上記同様の小円弧形状とされるとともに、上流側部位に段差部32aを有した構造とされている。
【0081】
上記構成とされた粉粒体材料の計量供給装置102では、上記板状弁体21Aがエアシリンダ40によってスライドされることで、前記上流側開口部31及び下流側開口部13Cの開閉がなされる構成とされている。
すなわち、エアシリンダ40のピストンロッド43が最大限短縮された状態では、
図10(a)に示すように、開閉弁20Cの透孔部22Cとスライドカバー30Aの上流側開口部31及びスライドベース10Cの下流側開口部13Cとが平面視で整合する。この状態では、上記材料貯留ホッパー72と上記計量容器80Aとが連通し、該計量容器80A内及び透孔部22C内に、材料貯留ホッパー72からの材料が一時的に貯留される。
一方、上記したような輸送先としての成形機等からの材料要求信号を受けると、エアシリンダ40のピストンロッド43を伸長させる。この最大限伸長された状態では、開閉弁20Cの閉塞部24によって、上記スライドカバー30Aの上流側開口部31及びスライドベース10Cの下流側開口部13Cが閉塞される。この状態では、材料貯留ホッパー72と計量容器80Aとの連通が遮断され、所定量の材料が計量容器80A内に貯留された状態となる。次いで、この状態で、材料排出管88に捕集機等を介して連通された吸引手段等を作動することにより、上記計量容器80A内に貯留された材料は、材料排出管88に向けて空気輸送される。
この粉粒体材料の計量供給装置102においても、上記粉粒体材料の計量輸送装置101と同様、粉粒体材料の計量と供給とが可能となり、上記同様の輸送システム等に組み込むことが出来る。
【0082】
上記構成とされたスライド式弁装置1Cでは、上記第1実施形態〜第3実施形態で説明した各スライド式弁装置1,1A,1Bと同様、
図11(a)、(b)に示すように、ピストンロッド43が伸長されて、開閉弁20Cが前方位置に向けてスライド移動される際に、
図11(c)に示すように、開閉弁20Cの透孔部22Cの後端部上流側開口縁に形成された上流側切込み部28と、スライドカバー30Aの上流側開口部31の前端部下流側開口縁に形成された上流側切込み部32との間、及び/又は、開閉弁20Cの透孔部22Cの後端部下流側開口縁に形成された下流側切込み部29と、スライドベース10Cの下流側開口部13Cの前端部上流側開口縁に形成された下流側切込み部16Bとの間に、粉粒体材料pを噛み込んだ場合には、シリンダケーシング41内のピストン42の移動が停止される。
このようにピストン42が停止した場合において、上記各実施形態において説明したように、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン42が高速で前方に移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突して停止する。
【0083】
本実施形態によれば、上記したように、その噛み込み箇所に、それぞれ上流側切込み部32,28、及び下流側切込み部16B,29を形成しているので、粉粒体材料pがこれら上流側切込み部32,28、及び下流側切込み部16B,29へと誘導され、粉粒体材料pを噛み込む箇所が、上記従来のスライド式弁装置及び上記第1実施形態、第2実施形態と比べて、開閉弁20Cのスライド方向終端側及び各開口部31,13Cの閉塞方向終端側に移動する。これにより、噛み込んでいる粉粒体材料pが、外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込みが解除された場合にも、その噛み込みによって停止されたピストン42の停止位置からシリンダケーシング41の前端又は後端内壁までのピストン42の残ストローク量st4(
図11(c)、(d)参照)を、上記従来例と比べて格段に小さく出来るとともに、上記第1実施形態及び第2実施形態よりも小さくできる。
従って、ピストン42が上記したような残ストローク量st4を移動してシリンダケーシング41の内壁に衝突して生じるピストンロッド43と開閉弁20とを連結する連結ボルト25に作用する衝撃荷重を低減できる。よって、連結部の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
特に、上記粉粒体材料の計量輸送装置101と同様、本実施形態に係るスライド式弁装置1Cを、上記粉粒体材料の計量輸送装置101と同様に噛み込みが発生しやすい粉粒体材料の計量供給装置102に用いることで、粉粒体材料の計量供給装置102の耐久性を向上させることができる。
すなわち、粉粒体材料の計量供給装置102においても、計量容器80Aへ粉粒体材料が投入される際には、計量容器80Aのみならず、透孔部22C内、スライドカバー30Aの上流側開口部31内にも自重により粉粒体材料が満たされる。このような状態で、開閉弁20Cを前方(閉塞方向)に向けて移動させると、上流側及び下流側のいずれにおいても粉粒体材料の噛み込みが頻繁に発生する恐れがあるが、本実施形態に係るスライド式弁装置1Cを用いることで、粉粒体材料の計量供給装置102の耐久性を高めることができる。
【0084】
尚、本実施形態では、各切込み部32,16B,28,29の形状を小円弧形状とした例を示したが、
図8或いは
図9に基づいて説明した上記各変形例のような先細り形状の切込み部としてもよい。
また、本実施形態では、後方側に閉塞部24、前方側に透孔部22Cを有した開閉弁22C(押側で閉塞するタイプ)に合わせて、上記各切込み部32,16B,28,29を形成しているが、前方側に閉塞部、後方側に透孔部を有した開閉弁(引側で閉塞するタイプ)の場合には、以下のようにすればよい。
すなわち、スライドベースの底部の下流側開口部の後方側端部の上流側縁部に下流側切込み部を形成し、スライドカバーの上流側開口部の後方側端部の下流側縁部に上流側切込み部を形成し、開閉弁の透孔部の閉塞部側端部(前方側端部)の上流側縁部及び下流側縁部に、それぞれ上流側切込み部、下流側切込み部を形成するようにすればよい。
【0085】
さらに、本実施形態では、下流側切込み部16B,29を形成しているが、上記第1実施形態〜第3実施形態で説明したように、上流側切込み部32,28のうちの少なくともいずれか一方のみを形成するようにしてもよい。さらに、この場合は、これに加えて、下流側切込み部16B,29のうちのいずれか一方のみを形成するようにしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、開閉弁20Cの透孔部22Cの閉塞部側の上流側縁部及び下流側縁部にそれぞれ形成した各切込み部28,29を、それぞれ段差部28a,29aを有したものとしたが、板状弁体21Aの厚さ方向の全体に亘って形成された切込み部とした場合には、該切込み部を上流側切込み部及び下流側切込み部として把握してもよい。
また、本実施形態では、スライド式弁装置1Cを、粉粒体材料の計量供給装置102に用いた例を示したが、これに限られず、粉粒体材料が輸送される上流側輸送路と下流側輸送路との間に組み込むようにしてもよい。或いは、材料投入部等に設置して、粉粒体材料の供給装置を構成するようにしてもよい。
【0086】
尚、上記各実施形態及び変形例においては、上流側切込み部、下流側切込み部を、平面視で小円弧形状又は平面視で先細り形状とされたものを例示しているが、これに限らず、粉粒体材料を噛み込んだ場合において、該粉粒体材料の噛み込み箇所が、透孔部に形成した場合は、その閉塞部側に移動するように、或いは、上・下流側開口部に形成した場合は、閉塞方向終端側に移動するような形状としてもよい。
また、上記先細り形状とされた切込み部の先細り頂点付近を小円弧形状としてもよい。例えば、該先細り頂点付近の小円弧形状を、輸送される粉粒体材料の平均粒径と略同じ曲率半径とされた半円形状とすれば、噛み込み率をより効果的に低減できる。
【0087】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図12(a)〜(d)は、いずれも第5実施形態に係るスライド式弁装置を示し、(a)は、同スライド式弁装置のスライド弁体の概略平面図、(b)は、(a)におけるY5−Y5線矢視概略縦断面図、(c)は、同スライド式弁装置のスライド弁体ハウジングの概略平面図、(d)は、(c)におけるY6−Y6線矢視概略縦断面図、
図13は、同スライド式弁装置におけるスライド弁体の動作、及び粉粒体材料を噛み込んだ状態を示す概略縦断面図及びその概略平面図である。
尚、上記第1実施形態〜第3実施形態との相違点は、主に、スライドベース及び切替え弁の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Dも上記第1実施形態に係るスライド式弁装置1と同様、
図1に基づいて説明した粉粒体材料の計量輸送装置101に適用可能である。
【0088】
本実施形態に係るスライド式弁装置1D(
図13参照)が備える切替え弁20Dは、
図12(a)、(b)に示すように、上記したような上流側切込み部に代えて、その透孔部22Dの上流側縁部(上面側縁部)に、面取り部17を形成している。該面取り部17は、少なくとも後記するスライドベース10Dの上流側開口部を構成する後方側開口部13Dを閉塞する閉塞部24側端部に形成するようにすれば良いが、本実施形態では、透孔部22Dの上流側縁部の全周に亘って面取り部17を形成している。
また、該面取り部17は、R面取り状とされている。該R面の曲率半径は、輸送される粉粒体材料の粒径(平均粒径)等に応じて、適宜、設定可能であるが、例えば、粉粒体材料の平均粒径が3mmとされている場合に、その曲率半径を2mm〜3mm程度としてもよい。
【0089】
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Dが備えるスライドベース10Dは、
図12(c)、(d)に示すように、上記したような上流側切込み部に代えて、その上流側開口部を構成する後方側開口部13Dの下流側縁部(下面側縁部)に、面取り部18を形成している。該面取り部18は、少なくとも上記切替え弁20Dの閉塞部24によって閉塞される閉塞方向終端側端部に形成するようにすれば良いが、本実施形態では、後方側開口部13Dの下流側縁部の全周に亘って面取り部18を形成している。
また、該面取り部18は、上記面取り部17と同様、R面取り状とされている。該R面の曲率半径は、上記面取り部17と同様としてもよい。
【0090】
上記構成とされたスライド式弁装置1Dでは、上記第1実施形態〜第3実施形態で説明した各スライド式弁装置1,1A,1Bと同様、ピストンロッド43が伸長されて、切替え弁20Dが前方位置に向けてスライド移動される際に、
図13に示すように、切替え弁20Dの透孔部22Dの後端部上流側開口縁と、スライドベース10Dの後方側開口部13Dの前端部下流側開口縁との間に、粉粒体材料pを噛み込んだ場合には、シリンダケーシング41内のピストン42の移動が停止される。
このようにピストン42が停止した場合において、上記各実施形態において説明したように、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン42が高速で前方に移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突して停止する。
【0091】
本実施形態によれば、上記したように、その噛み込み箇所に、それぞれ面取り部17,18を形成しているので、当該箇所に噛み込まれた粉粒体材料pは、これら面取り部17,18間に、捕捉されるようにして噛み込まれる。これにより、該粉粒体材料pが当該噛み込み箇所において、せん断又は破断されることが、これら面取り部17,18を形成していないものと比べて、低減される。特に、本実施形態では、上記各面取り部17,18を、R面取り状としているので、これら面取り部17,18間に粉粒体材料pを噛み込んだ場合に、該粉粒体材料pのせん断又は破断が効果的に低減される。
従って、上記したように粉粒体材料pの噛み込みの解除により生じる、ピストンロッド43と切替え弁20Dとを連結する連結部(連結ボルト25)への衝撃荷重の発生が低減される。よって、該連結ボルト25の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0092】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図14(a)〜(d)は、いずれも第6実施形態に係るスライド式弁装置を示し、(a)は、同スライド式弁装置のスライド弁体の概略平面図、(b)は、(a)におけるY7−Y7線矢視概略縦断面図、(c)は、同スライド式弁装置のスライド弁体ハウジングの概略平面図、(d)は、(c)におけるY8−Y8線矢視概略縦断面図、
図15は、同スライド式弁装置におけるスライド弁体の動作、及び粉粒体材料を噛み込んだ状態を示す概略縦断面図及びその概略平面図である。
尚、上記第1実施形態〜第3実施形態、第5実施形態との相違点は、主に、スライドベース及び切替え弁の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Eも上記第1実施形態に係るスライド式弁装置1と同様、
図1に基づいて説明した粉粒体材料の計量輸送装置101に適用可能である。
【0093】
本実施形態に係るスライド式弁装置1E(
図15参照)が備える切替え弁20Eは、
図14(a)、(b)に示すように、上記第5実施形態と同様、上記したような上流側切込み部に代えて、その透孔部22Eの上流側縁部(上面側縁部)に、面取り部17Aを形成している。該面取り部17Aは、少なくとも後記するスライドベース10Eの上流側開口部を構成する後方側開口部13Eを閉塞する閉塞部24側端部に形成するようにすれば良いが、本実施形態では、透孔部22Eの上流側縁部の全周に亘って面取り部17Aを形成している。
また、該面取り部17Aは、C面取り状とされている。本実施形態では、該縁部を45°に切削したC面取りとしており、該C面取りは、輸送される粉粒体材料の粒径(平均粒径)等に応じて、適宜、設定可能であるが、例えば、粉粒体材料の平均粒径が3mmとされている場合に、C=1mm〜2mm程度としてもよい。
【0094】
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Eが備えるスライドベース10Eは、
図14(c)、(d)に示すように、上記第5実施形態と同様、上記したような上流側切込み部に代えて、その上流側開口部を構成する後方側開口部13Eの下流側縁部(下面側縁部)に、面取り部18Aを形成している。該面取り部18Aは、少なくとも上記切替え弁20Eの閉塞部24によって閉塞される閉塞方向終端側端部に形成するようにすれば良いが、本実施形態では、後方側開口部13Eの下流側縁部の全周に亘って面取り部18Aを形成している。
また、該面取り部18Aは、上記面取り部17Aと同様、C面取り状とされている。該C面取りは、上記面取り部17Aと同様、C=1mm〜2mm程度としてもよい。
【0095】
上記構成とされたスライド式弁装置1Eでは、上記第1実施形態〜第3実施形態、第5実施形態で説明した各スライド式弁装置1,1A,1B,1Dと同様、ピストンロッド43が伸長されて、切替え弁20Eが前方位置に向けてスライド移動される際に、
図15に示すように、切替え弁20Eの透孔部22Eの後端部上流側開口縁と、スライドベース10Eの後方側開口部13Eの前端部下流側開口縁との間に、粉粒体材料pを噛み込んだ場合には、シリンダケーシング41内のピストン42の移動が停止される。
このようにピストン42が停止した場合において、上記各実施形態において説明したように、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン42が高速で前方に移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突して停止する。
【0096】
本実施形態によれば、上記したように、その噛み込み箇所に、それぞれ面取り部17A,18Aを形成しているので、当該箇所に噛み込まれた粉粒体材料pは、これら面取り部17A,18A間に、捕捉されるようにして噛み込まれる。これにより、該粉粒体材料pが当該噛み込み箇所において、せん断又は破断されることが、これら面取り部17A,18Aを形成していないものと比べて、低減される。特に、本実施形態では、上記各面取り部17A,18Aを、C面取り状としているので、これら面取り部17A,18A間に粉粒体材料pを噛み込んだ場合に、該粉粒体材料pのせん断又は破断が効果的に低減されるとともに、その噛み込んだ粉粒体材料pを、これら面取り部17A,18A間に効果的に捕捉させることができる。すなわち、その噛み込んだ粉粒体材料pが、これら面取り部17A,18A間から外れることを効果的に防止でき、よって、噛み込みの解除を効果的に防止できる。
特に、このようなC面取り状の面取り部17A,18Aとすることで、例えば、輸送される粉粒体材料pが、略球状(ビーズ状)等の場合においても、これら面取り部17A,18A間に効果的に捕捉でき、その噛み込みの解除を効果的に防止できる。
従って、上記したように粉粒体材料pの噛み込みの解除により生じる、ピストンロッド43と切替え弁20Eとの連結部(連結ボルト25)への衝撃荷重の発生が低減される。よって、該連結ボルト25の破断や疲労破壊を効果的に低減でき、装置の耐久性を向上させることができる。
【0097】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図16(a)、(b)は、いずれも第7実施形態に係るスライド式弁装置を示し、(a)は、概略分解縦断面図、(b)は、同スライド式弁装置におけるスライド弁体の動作、及び粉粒体材料を噛み込んだ状態を示す概略縦断面図及び概略平面図である。
尚、上記第4実施形態との相違点は、主に、スライドカバー、スライドベース及び開閉弁の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Fも上記第4実施形態に係るスライド式弁装置1Cと同様、
図10に基づいて説明した粉粒体材料の計量供給装置102に適用可能である。
【0098】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Fが備えるスライドカバー30Bは、
図16(a)に示すように、上記第4実施形態で説明した切込み部に代えて、その上流側開口部31Aの下流側縁部(下面側縁部)に、面取り部33を形成している。該面取り部33は、少なくとも後記する開閉弁20Fの閉塞部24によって閉塞される閉塞方向終端側端部に形成するようにすれば良いが、本実施形態では、上流側開口部31Aの下流側縁部の全周に亘って面取り部33を形成している。
該面取り部33は、上記第6実施形態で説明した各面取り部17A,18Aと同様のC面取り状とされている。
【0099】
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Fが備える開閉弁20Fは、
図16(a)に示すように、上記第4実施形態で説明した上・下流側切込み部に代えて、その透孔部22Fの上流側縁部(上面側縁部)及び下流側縁部(下面側縁部)に、それぞれ面取り部17A,17Bを形成している。該面取り部17A,17Bは、少なくとも上記スライドカバー30Bの上流側開口部31A、及び、後記するスライドベース10Fの下流側開口部13Fを閉塞する閉塞部24側端部に形成するようにすれば良いが、本実施形態では、透孔部22Fのそれぞれ上流側縁部、下流側縁部の全周に亘って各面取り部17A,17Bを形成している。
これら面取り部17A,17Bは、上記第6実施形態で説明した各面取り部17A,18Aと同様のC面取り状とされている。
【0100】
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Fが備えるスライドベース10Fは、
図16(a)に示すように、上記第4実施形態で説明した下流側切込み部に代えて、その上流側開口部13Fの上流側縁部(上面側縁部)に、面取り部18Bを形成している。該面取り部18Bは、少なくとも上記開閉弁20Fの閉塞部24によって閉塞される閉塞方向終端側端部に形成するようにすれば良いが、本実施形態では、上流側開口部13Fの下流側縁部の全周に亘って面取り部18Bを形成している。
該面取り部18Bは、上記第6実施形態で説明した各面取り部17A,18Aと同様のC面取り状とされている。
【0101】
上記構成とされたスライド式弁装置1Fでは、上記第4実施形態で説明したスライド式弁装置1Cと同様、ピストンロッド43が伸長されて、開閉弁20Fが前方位置に向けてスライド移動される際に、
図16(b)に示すように、開閉弁20Fの透孔部22Fの後端部上流側開口縁と、スライドカバー30Bの上流側開口部31Aの前端部下流側開口縁との間、及び/又は、開閉弁20Fの透孔部22Fの後端部下流側開口縁と、スライドベース10Fの下流側開口部13Fの前端部上流側開口縁との間に、粉粒体材料pを噛み込んだ場合には、シリンダケーシング41内のピストン42の移動が停止される。
このようにピストン42が停止した場合において、上記各実施形態において説明したように、上記箇所に噛み込まれている粉粒体材料pが外れたり、せん断又は破断されたりして噛み込み状態が解除されると、ピストン42が高速で前方に移動してシリンダケーシング41の前端内壁に衝突して停止する。
【0102】
本実施形態によれば、上記したように、その噛み込み箇所に、それぞれ面取り部33,17A,17B,18Bを形成しているので、当該箇所に噛み込まれた粉粒体材料pは、これら面取り部間(面取り部33と面取り部17Aとの間及び/又は面取り部17Bと面取り部18Bとの間)に、捕捉されるようにして噛み込まれる。これにより、該粉粒体材料pが当該噛み込み箇所において、せん断又は破断されることが、これら面取り部33,17A,17B,18Bを形成していないものと比べて、低減される。特に、本実施形態では、上記各面取り部33,17A,17B,18Bを、上記第6実施形態と同様、C面取り状としているので、その噛み込んだ粉粒体材料pを、これら面取り部間に効果的に捕捉させることができる。すなわち、その噛み込んだ粉粒体材料pが、これら面取り部間から外れることを効果的に防止でき、よって、噛み込みの解除を効果的に防止できる。
【0103】
尚、本実施形態では、上記各面取り部33,17A,17B,18Bの形状を、C面取り状とした例を示したが、上記第5実施形態で説明したようなR面取り状のものとしてもよい。
また、本実施形態では、粉粒体材料を輸送、或いは排出する下流側にも面取り部17B,18Bを形成しているが、上記第5実施形態及び第6実施形態で説明したように、粉粒体材料が輸送、或いは投入される上流側、すなわち、面取り部33,17Aのみを形成するようにしてもよい。
さらに、本実施形態に係るスライド式弁装置1Fは、上記第4実施形態と同様、粉粒体材料が輸送される上流側輸送路と下流側輸送路との間に組み込むことも可能である。或いは、材料投入部等に設置して、粉粒体材料の供給装置を構成するようにしてもよい。
さらにまた、上記第5実施形態〜第7実施形態では、面取り部の形状を、縁部の角に、丸みを付けたR面取り状、或いは、縁部の角を45°に切削して斜面としたC面取り状のものとしているが、これに限られず、例えば、異なる角度で切削して斜面とするようにしてもよい。その場合には、上流側の各面取り部同士、及び下流側の各面取り部同士のその斜面が平行となるような角度とすることが好ましい。
【0104】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図17は、第8実施形態に係るスライド式弁装置を示し、その要部を模式的に示す分解概略斜視図、
図18(a)は、同スライド式弁装置を模式的に示す概略平面図、(b)は、スライド弁体の取外し動作を説明するための(a)と同様図、
図19は、同取外し動作を説明するための
図18(a)と同様図、
図20(a)、(b)は、いずれも同スライド式弁装置を示し、(a)は、スライド弁体を取外した状態を示す概略側面図、(b)は、(a)におけるX4矢視図である。
尚、上記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Gも上記第1実施形態に係るスライド式弁装置1と同様、
図1に基づいて説明した粉粒体材料の計量輸送装置101に適用可能である。
【0105】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Gでは、上記各実施形態とは異なり、
図17に示すように、スライドベース10Gと、エアシリンダ40Aとを、手動操作部を構成するハンドル部61を有した係止緊締具を構成する一対の操作ハンドル60及び一対の連結固定具50によって、連結固定している。
【0106】
前記スライドベース10Gは、
図17に示すように、上記各実施形態とは異なり、その側壁部12B,12Bの後端部近傍の外壁には、該側壁部12B,12Bの高さ方向に沿って略V字状の切欠溝9がそれぞれ形成されている。この切欠溝9の後端部側が後記する連結固定具50の係止爪部52の傾斜面54に対応した傾斜面9aを有した係止傾斜部を構成する。
この切欠溝9は、
図18(a)に示すように、連結固定具50の傾斜面54が当接或いは圧接した状態で、該連結固定具50の係止爪部52の先端が切欠溝9の最深部に達しないような深さとされている。
また、上記スライドベース10Gの側壁部12B,12Bには、該切欠溝9の更に後端部側に、後記する操作ハンドル60の雄ネジ部63と螺合する雌ネジ孔19が設けられている。
尚、図例では、雌ネジ孔19は、各側壁部12B,12Bのスライド方向と直交する方向(側壁部の厚さ方向)に沿って貫通して設けた例を示しているが、貫通させないようにしてもよい。すなわち、雌ネジ孔19は、少なくとも後記するように操作ハンドル60の操作による連結固定具50の連結固定と解除とができるだけの深さとすればよい。
【0107】
前記エアシリンダ40Aは、上記各実施形態とは連結板の構成が異なる。
すなわち、シリンダケーシング41の前端面に固着された連結板46Aは、
図17及び
図18に示すように、上記シリンダケーシング41の幅よりも大とされるとともに、上記スライドベース10Gの幅と略同幅とされており、そのシリンダケーシング41から幅方向(スライド方向と直交する方向)外方に向けて延出した両端部47には、高さ方向に沿って面取りするように形成されるとともに、後方側かつ中央部に向けて傾斜する傾斜面47aがそれぞれ形成されており、該両端部47が係止傾斜部を構成する。また、この傾斜面47aが、後記する連結固定具50の傾斜面54に対応して設けられた傾斜面を構成する。
【0108】
前記一対の連結固定具50は、
図17に示すように、それぞれ平面視で略コ字状とされており、凹所53を挟んで対向する面がそれぞれ先側に向けて拡開するように傾斜面54とされた係止爪部52,52を対向して有している。
本実施形態では、該連結固定具50は、後記する操作ハンドル60の雄ネジ部63が挿通される挿通孔55が開設された基部51を備え、前記係止爪部52,52は、該基部51の両端部から突設されている。
また、前記係止爪部52,52の基端部には、
図18(a)に示すように、傾斜面54,54が、後記するようにスライドベース10Gの切欠溝9の傾斜面9a及びエアシリンダ40Aの連結板46Aの傾斜面47aと当接或いは圧接した状態で、スライドベース10Gの側壁部12Bの外面及び連結板46Aの端部47の端面と、連結固定具50の基部51の内側面との間に僅かな空隙が形成されるよう傾斜面とされていない立ち上がり部が形成されている。
該連結固定具50は、後記するように、上記スライドベース10Gの後端部と、上記エアシリンダ40Aの前端部に固着された連結板46Aとの連結部に跨って配置され、該連結固定具50によって、これらを挟持するように連結固定がなされる。
【0109】
前記操作ハンドル60は、手動操作部を構成し、
図17に示すように、平面視で略L字状とされており、棒状のハンドル部61と、該ハンドル部61の一端部に突設されたネジ部とからなる。該ネジ部は、先端部が上記連結固定具50の基部51の外側面に当接する規制面となる規制部62と、該規制部62の先端に連設された雄ネジ部63とからなる。
尚、手動操作部を構成するハンドル部61の構成は、図例のような略棒状とされたものに限られず、該ハンドル部61に代えて、蝶ネジ状のものや、ローレット摘み状のもの等、手動で操作可能なものとすればよい。
【0110】
上記構成とされた連結固定具50及び操作ハンドル60を用いて、スライド弁体ハウジングを構成するスライドベース10Gと、エア式スライド弁駆動手段を構成するエアシリンダ40Aとを連結固定する際は、
図18(a)に示すように、操作ハンドル60の雄ネジ部63を、連結固定具50の挿通孔55に挿通させた状態で、上記スライドベース10Gの雌ネジ孔19に、操作ハンドル60の雄ネジ部63を螺入する。
この際、上記連結固定具50の傾斜面54,54のそれぞれと、スライドベース10Gの切欠溝9の傾斜面9a及びエアシリンダ40Aの連結板46Aの傾斜面47aのそれぞれとが対面するように一対の連結固定具50をそれぞれ配置した状態で、上記操作ハンドル60を回動させて、その雄ネジ部63を、スライドベース10Gの雌ネジ孔19に螺入する。これにより、上記連結固定具50が、上記操作ハンドル60の規制部62に規制されて、雄ネジ部63の軸方向先端(スライドベース10Gと連結板46Aとの連結部側)に向けて移動する。該連結固定具50の移動により、その傾斜面54,54がスライドベース10Gの切欠溝9の傾斜面9a及びエアシリンダ40Aの連結板46Aの傾斜面47aに押し付けられて圧接される。
この連結固定具50の傾斜面54,54の圧接により、スライドベース10Gの後端部と、エアシリンダ40Aの前端部に固着された連結板46Aとの連結固定が、これら各傾斜面のテーパ作用により強固になされる。
【0111】
一方、上記のようにスライドベース10Gに連結固定されたエアシリンダ40Aを、該スライドベース10Gから取外す際には、
図18(b)に示すように、操作ハンドル60を回動させて、該操作ハンドル60の雄ネジ部63とスライドベース10Gの雌ネジ孔19との螺合を緩める。これにより、操作ハンドル60の規制部62が後退し、その雄ネジ部63に挿通されている連結固定具50の後退が可能となる。この状態で、該連結固定具50の係止爪部52と、スライドベース10Gの切欠溝9及びエアシリンダ40Aの連結板46Aの両端部47との係止を、該連結固定具50を回転或いは離間させる等して解除する。これらの係止が解除されると、
図19に示すように、切替え弁20がスライドベース10Gのスライド溝15の後端開口からスライド方向に沿って抜き出し可能となる。
【0112】
上記のように、切替え弁20を抜き出して取外した状態では、
図20(a)に示すように、切替え弁20は、エアシリンダ40Aに連結された状態ではあるが、その表面が露出しており、清掃を容易にできる。また、スライド弁体ハウジングを構成するスライドベース10Gは、
図20(b)に示すように、スライド溝15の前後端部が開口しているので、高圧エアーの噴き付けや、ブラシ等により、容易かつ確実に清掃ができる。また、エアシリンダ40Aにより往復移動される切替え弁20を取外してスライドベース10Gを清掃できるので、例えば、取外さずに清掃する場合は、切替え弁により手指等を負傷する恐れがあるが、そのようなことを確実に防止でき、安全面において優れたスライド式弁装置1Gとなる。
【0113】
上記したようにスライドベース10Gから切替え弁20を抜き出して取外した後に、組み付ける際には、上記とは逆の手順で行うようにすればよい。すなわち、切替え弁20をスライドベース10Gのスライド溝15に、その後端部の開口から挿入し、連結板46Aの前面をスライドベース10Gの後端部に当接させる。次いで、操作ハンドル60を回動させるとともに、連結固定具50の係止爪部52のそれぞれを、上述のとおり切欠溝9及び連結板46Aの両端部47に係止させ、さらに操作ハンドル60を回動させて締め付けることにより容易に連結固定がなされる。
【0114】
尚、本実施形態では、連結固定具50をスライドベース10Gと連結板46Aとの連結部に向けて押し付ける態様として、操作ハンドル60に形成した雄ネジ部63とスライドベース10Gの側壁部12Bに設けられた雌ネジ孔19との螺合によりなされる態様を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、両操作ハンドル60をカムレバーとし、該カムレバーの軸に連結固定具50を挿通するとともに、該軸の先端部をスライドベース10Gの側壁部12Bに設けた孔等に固着して、これらカムレバーのカム作用により連結固定具50を上記連結部に向けて押し付けるような態様としてもよい。或いは、これら一対のカムレバーを連結軸で連結するとともに、該連結軸をスライドベース10Gの幅方向に貫通させた貫通孔及び上記一対の連結固定具50に挿通して、該カムレバーのカム作用により連結固定具50を上記連結部に向けて押し付けるような態様としてもよい。
また、本実施形態では、上記傾斜面47aを備えた連結板46Aをエアシリンダ40Aに設けるとともに、上記切欠溝9をスライドベース10Gの側壁部12Bに設け、該スライドベース10G側に雌ネジ孔19を設けた態様を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、これらを逆に設けるようにしてもよい。すなわち、エアシリンダ40Aの前端部に設ける連結板を肉厚のものとし、該連結板側に切欠溝を設けるとともに、該連結板に雌ネジ孔を設けるようにしてもよい。或いは、スライドベース10Gに切欠溝9を設ける態様に代えて、上記のような雌ネジ孔を設けた連結板をスライドベース10Gの後端部に設けるようにしてもよい。
さらに、スライドベース10Gと連結板46Aとの位置決め用に、いずれか一方にガイドピン等をスライド方向に沿って突設するとともに、他方に該ガイドピンに対応した位置決め穴等を設けるようにしてもよい。
【0115】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図21(a)、(b)は、いずれも第9実施形態に係るスライド式弁装置を示し、(a)は、
図18(a)に対応させた図、(b)は、
図20(b)に対応させた図である。
尚、上記第8実施形態との相違点は、主に、係止緊締具の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Hも上記第1実施形態に係るスライド式弁装置1と同様、
図1に基づいて説明した粉粒体材料の計量輸送装置101に適用可能である。
【0116】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Hは、係止緊締具を構成する連結固定具及び操作ハンドルが上記第8実施形態のものとはそれぞれ異なる。
すなわち、連結固定具のうち、操作ハンドル60Aの雄ネジ部63Aの先端部側に配置される連結固定具50Aの基部51には、上記挿通孔55に代えて、雌ネジ孔55Aが設けられている。
また、操作ハンドル60Aは、上記第8実施形態のように一対の連結固定具50に合わせて設けられた一対の操作ハンドル60ではなく、一対の連結固定具に対して、一つの操作ハンドル60Aとされている。
【0117】
この操作ハンドル60Aは、上記操作ハンドル60と同様、略L字状であり、ハンドル部61及び規制部62を備えている。また、この規制部62の先端には、上記操作ハンドル60とは異なり、長尺の雄ネジ部63Aが連設されている。
該雄ネジ部63Aは、その雄ネジ部63Aの基端側に配置された連結固定具50の基部51の挿通孔55に挿通されるとともに、スライドベース10Hの天板部11Cの幅方向に貫通して設けられた貫通孔19Aに挿通され、スライドベース10Hを挟んで、その雄ネジ部63Aの先端側に配置された連結固定具50Aの雌ネジ孔55Aに螺合可能な長さとされている。
すなわち、このスライド式弁装置1Hでは、操作ハンドル60Aの雄ネジ部63Aを、基端側に配置される連結固定具50の挿通孔55に挿通するとともに、上記スライドベース10Hの貫通孔19Aに挿通し、該スライドベース10Hの外壁面から突出した雄ネジ部63Aを、上記連結固定具50Aの雌ネジ孔55Aに螺合する。この状態で、各連結固定具50,50Aのそれぞれ係止爪部52,52を上記同様、切欠溝9及び連結板46Aの端部47に係止させ、操作ハンドル60Aを締め付け方向に回動させることで、雄ネジ部63Aに挿通され、螺合された各連結固定具50、50Aは、互いに近接する方向、すなわち、スライドベース10Hと連結板46Aとの連結部に向けて押し付けられる。これにより、上記同様、スライドベース10Hとエアシリンダ40Aとの連結固定が強固になされる。
【0118】
尚、上記雄ネジ部63Aは、規制部62の先端からネジ切りする必要は無く、少なくとも先端部、すなわち、連結固定具50Aの雌ネジ孔55Aと螺合する部位にのみネジ切りするようにしてもよい。
また、上記第8実施形態と同様、操作ハンドル60Aを連結固定具50Aに螺合して各連結固定具50,50Aを上記連結部に向けて押し付ける態様に代えて、操作ハンドルをカムレバーとし、該カムレバーの軸を基端側の連結固定具50に挿通するとともに、上記スライドベース10Hの貫通孔19Aに挿通して、その先端部に上記同様の連結固定具50を回転自在に保持させるようにしてもよい。この場合は、一つのカムレバーのカム作用により、上記連結部への各連結固定具50,50の押し付けがなされる。
【0119】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図22(a)〜(c)は、いずれも第10実施形態に係るスライド式弁装置を示し、(a)は、
図18(a)に対応させた図、(b)は、スライド弁体を取外した状態の(a)におけるX5矢視図、(c)は、取外した状態のエア式スライド弁駆動手段の(a)におけるX5矢視図である。
尚、上記第8実施形態との相違点は、主に、係止緊締具の構成であり、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Jも上記第1実施形態に係るスライド式弁装置1と同様、
図1に基づいて説明した粉粒体材料の計量輸送装置101に適用可能である。
【0120】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Jの係止緊締具は、スイングボルト部56と、摘み操作部64とから構成されている。
該スイングボルト部56は、スライドベース10Jの側壁部12,12の後端部近傍の外壁にそれぞれ固着された保持部59と、該保持部59に回動自在(スイング自在)に支持されたボルト連結軸57と、該ボルト連結軸57に固着された雄ネジ部58とを備えている。
上記摘み操作部64は、ローレット加工された摘み部65と、その一端部に連設された規制部66とを備えるとともに、規制部66側から雌ネジ穴が形成されている。
【0121】
また、スライドベース10Jは、上記切欠溝9に代えて、その側壁部12,12の後端部外壁に幅方向外方に向けて延出する鍔部9Aがそれぞれ形成されており、該鍔部9Aには、上記スイングボルト部56の雄ネジ部58を受入れる切欠部9Aaが形成されている。
さらに、エアシリンダ40Aのシリンダケーシング41の前端面に固着された連結板46Bは、その両端部47A,47Aが上記鍔部9Aの延出幅に合わせて延出されており、これら両端部47A,47Aにも上記同様の切欠部48,48がそれぞれ整合する位置に形成されている。
【0122】
前記構成とされた本実施形態に係るスライド式弁装置1Jでは、上記スライドベース10Jの切欠部9Aaと連結板46Bの切欠部48とを整合させた状態で、上記スイングボルト部56の雄ネジ部58を回動させ、これら切欠部9Aa,48内に収容させる。この状態で、該雄ネジ部58の先端に螺合された摘み部65を締め付け側に回動操作することで、該摘み操作部64の規制部66によって連結板46Bが、スライドベース10Jの後端部に押し付けられ、これらスライドベース10Jとエアシリンダ40Aとの連結固定がなされる。すなわち、本実施形態においても、上記一対のスイングボルト部56と一対の摘み操作部64とにより、スライドベース10Jとエアシリンダ40Aとの連結部に跨って配置される一対の連結固定具が構成され、手動操作部となる摘み部65を締め付け側に操作することで、スライドベース10Jの鍔部9Aと、連結板46Bの端部47Aとを挟持するようにして連結固定がなされる。
尚、手動操作部を構成する摘み部65の態様は、図例のようなローレット加工されたローレット摘みに限らず、ハンドル状や蝶ナット状等のものとしてもよい。
また、上記態様に代えて、上記保持部に連結軸が回動自在に支持されたカムレバーによるカム作用により、スライドベース10Jの鍔部9Aと、連結板46Bの端部47Aとを挟持して、これらを連結固定する態様としてもよい。
【0123】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図23(a)、(b)は、いずれも第11実施形態に係るスライド式弁装置を示し、(a)は、
図20(a)に対応させた図、(b)は、
図20(b)に対応させた図である。
尚、上記第4実施形態及び第8実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、本実施形態に係るスライド式弁装置1Kも上記第4実施形態に係るスライド式弁装置1Cと同様、
図10に基づいて説明した粉粒体材料の計量供給装置102に適用可能である。
【0124】
本実施形態に係るスライド式弁装置1Kは、
図23に示すように、上記第4実施形態とは異なり、スライドベース10Kと、エアシリンダ40Aとを、上記第8実施形態と同様の手動操作部を構成するハンドル部61を有した係止緊締具を構成する一対の操作ハンドル60及び一対の連結固定具50によって、連結固定している。
また、該スライドベース10Kの側壁部12D,12Dの後端部近傍の外壁には、上記第8実施形態と同様の切欠溝9がそれぞれ形成され、該切欠溝9の更に後端部側には、前記同様の雌ネジ孔19が設けられている。
このものでも、上記第8実施形態〜第10実施形態と同様、上記スライドベース10Kから開閉弁20Cを、清掃等のために取外す際には、
図23に示すように、操作ハンドル60を回動させ、連結固定具50による連結固定を解除し、上記開閉弁20Cを、スライド溝15Aの後端開口からスライド方向に沿って抜き出して取外すことができる。
これにより、上記スライドベース10K及び開閉弁20Cの清掃を、上記第8実施形態〜第10実施形態と同様、容易かつ確実、安全にできる。
尚、本実施形態に係るスライド式弁装置1Kが備える係止緊締具50,60に代えて、上記第9実施形態で説明したスライド式弁装置1Hが備える係止緊締具50,50A,60Aを設けるようにしてもよく、或いは、上記第10実施形態で説明したスライド式弁装置1Jが備える係止緊締具56,64を設けるようにしてもよい。これらの場合は、これら係止緊締具に応じて、スライドベース10K及び連結板46Aを、適宜、上記のように変形すればよい。
【0125】
以上のように上記第8実施形態乃至第11実施形態では、各係止緊締具の構成を、スライドベースとエアシリンダとの連結部に跨って配置される一対の連結固定具を備え、各手動操作部を操作することで、該連結固定具によりスライドベースとエアシリンダとを挟持するように連結固定する構造とされた態様を例示しているが、これらに限られず、スライドベースと、エアシリンダとを、手動操作部を有した係止緊締具で連結固定し、該手動操作部を操作してスライドベースとエアシリンダとの連結固定が解除されたときには、スライド弁体(切替え弁、開閉弁)を、スライドベースからスライド方向に沿って抜き出して取外し出来る構造とすればよい。
また、上記第8実施形態乃至第10実施形態では、上記第1実施形態で説明した切替え弁20と同様の上流側切込み部28を有した切替え弁20を適用した例を示しているが、上記第2実施形態、第3実施形態、第5実施形態又は第6実施形態或いはそれらの変形例等に、上記第8実施形態乃至第10実施形態を組み合わせて適用するようにしてもよい。
さらに、上記第11実施形態においても、上記第7実施形態或いはその変形例等に組み合わせて適用するようにしてもよい。