【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生体モニタ装置は、
モニタ対象の生体情報を所定周期毎に測定する生体情報測定部と、
前記生体情報測定部により測定された生体情報の時系列データを保持する生体情報保持部と、
前記生体情報保持部に保持された前記時系列データを参照して、所定の測定期間における生体情報のばらつき度合を算出するばらつき度合算出部と、
前記測定期間よりも後の所定時点で前記生体情報測定部により測定された生体情報である判定生体情報について、前記測定期間における
過去の生体情報のばらつき傾向からの
前記所定時点での該判定生体情報の乖離度を、前記ばらつき度合に基づいて算出する乖離度算出部と、
前記乖離度が所定レベル以上となったときに、前記モニタ対象が異常状態であると判断する異常判断部と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
かかる本発明によれば、前記生体情報測定部により、前記モニタ対象の生体情報が前記所定周期毎に測定され、生体情報の時系列データが前記生体情報保持部により保持される。そして、前記ばらつき度合算出部により、前記測定期間における生体情報のばらつき度合が算出される。また、前記乖離度算出部により、前記測定期間よりも後の前記所定時点で測定された判定生体情報について、前記測定期間における生体情報のばらつき範囲から乖離度が前記ばらつき度合に基づいて算出される。
【0009】
ここで、前記ばらつき度合は、過去の測定期間における生体状態の変動の傾向(トレンド)を示すものであるため、前記乖離度は、過去の傾向からの生体情報の逸脱の程度を示すものとなる。そのため、前記異常判断部は、前記乖離度が前記所定レベル以上となったときに、モニタ対象である生体に突発的な異常が生じたと、精度良く判断することができる。
【0010】
また、前記ばらつき度合算出部は、前記ばらつき度合として、前記測定期間における生体情報の標準偏差を算出し、
前記乖離度算出部は、前記乖離度として、前記標準偏差及び前記測定期間における生体情報の平均値を用いて、前記判定生体情報を前記測定期間における生体情報の偏差値に置き換えた値を算出することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、前記ばらつき度合算出部により、前記測定期間における生体情報の標準偏差を算出することによって、前記乖離度合算出部は、前記標準偏差を用いて前記乖離度を容易に算出することができる。
【0012】
また、前記所定時点は、直近の前記所定周期における生体情報の測定時点であり、前記測定期間は、直近の前記所定周期よりも1つ前の前記所定周期から過去数周期分の期間であることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、直近の前記所定周期における生体情報について、直前の前記測定期間における生体情報の変動の傾向からの逸脱の程度を判断することにより、モニタ対象である生体の異常をリアルタイムに判断することができる。
【0014】
また、前記生体情報測定部は、複数種類の生体情報を測定し、
前記生体情報保持部は、前記生体情報測定部により測定された前記複数種類の生体情報の時系列データを保持し、
前記ばらつき度合算出部は、前記生体情報保持部により保持された前記複数種類の生体情報の時系列データを参照して、前記測定期間における前記複数種類の生体情報のばらつき度合を個別に算出し、
前記乖離度算出部は、前記所定時点での前記複数種類の前記判定生体情報について、前記複数種類ごとに、前記測定期間における生体情報のばらつき傾向からの前記判定生体情報の乖離度を、前記ばらつき度合に基づいて算出し、該算出した各乖離度の加重平均を、前記異常判断部により前記所定レベルと比較される前記乖離度として算出することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、前記生体情報測定部により複数種類の生体情報が測定され、前記ばらつき度合算出部は、前記複数種類の生体情報について各々前記ばらつき度合を算出する。そして、前記乖離度算出部は、複数種類の生体情報についての乖離度の加重平均を、前記異常判断部により前記所定レベルと比較される前記乖離度として算出する。この場合、複数種類の生体情報についての過去の変動傾向からの逸脱状況を、一つのパラメータ(複数種類の生体情報についての乖離度の加重平均)に基づいて、判断することができるため、より広範囲の突発的な異常状態を容易に判断することができる。
【0016】
また、前記生体情報測定部は、生体情報として前記モニタ対象の心拍数を測定し、
前記異常判断部は、前記乖離度が前記所定レベル以上となったときに、前記モニタ対象が、発作性心房細動による異常状態であると判断することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、前記乖離度が前記所定レベル以上となったときに、モニタ対象の生体の心拍数が通常のリズムから心房細動のリズムに移行したと認識して、発作性心房細動による異常状態を判断することができる。
【0018】
また、前記生体情報測定部は、生体情報として前記モニタ対象の呼吸数を測定し、
前記異常判断部は、前記乖離度が前記所定レベル以上となったときに、前記モニタ対象が、チェーンストークス(Cheyne-Stokes)呼吸による異常状態であると判断することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、前記乖離度が前記所定レベル以上になったときに、モニタ対象の生体の呼吸状況に低換気と過換気の周期的な切り替わりが生じたと認識して、チェーンストークス呼吸による異常状態を判断することができる。
【0020】
また、前記生体情報測定部は、生体情報としてモニタ対象の呼吸数と姿勢を測定し、
前記異常判断部は、呼吸数についての前記乖離度が前記所定レベル以上となり、且つ、姿勢の測定データから前記モニタ対象の姿勢変化が検出されたときに、前記モニタ対象が、起座呼吸による異常状態であると判断することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、前記乖離度が前記所定レベル以上となり、且つ、前記姿勢の測定データからモニタ対象の姿勢変化が検出されたときに、モニタ対象の姿勢変化に伴って、モニタ対象の呼吸数が過去の変動傾向から逸脱したと認識して、起座呼吸による異常状態を判断することができる。
【0022】
また、前記モニタ対象は、ベッドに寝ている生体であり、
前記生体情報測定部は、生体情報として前記モニタ対象の動きを測定し、
前記異常判断部は、前記乖離度が前記所定レベル以上となったときに、前記モニタ対象がベッドから転落する可能性が高い異常状態であると判断することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、前記乖離度が前記所定レベル以上となったときに、ベッド上の生体の動きが急変したと認識して、ベッドから転落する可能性が高い異常状態になっていると判断することができる。
【0024】
次に、本発明の生体モニタ用プログラムは、
コンピュータを、
モニタ対象の生体情報を所定周期毎に測定する生体情報測定部と、
前記生体情報測定部により測定された生体情報の時系列データを保持する生体情報保持部と、
前記生体情報保持部に保持された前記時系列データを参照して、所定の測定期間における生体情報のばらつき度合を算出するばらつき度合算出部と、
前記測定期間よりも後の所定時点で前記生体情報測定部により測定された生体情報である判定生体情報について、前記測定期間における
過去の生体情報のばらつき傾向からの
前記所定時点での該判定生体情報の乖離度を、前記ばらつき度合に基づいて算出する乖離度算出部と、
前記乖離度が所定レベル以上となったときに、前記モニタ対象が異常状態であると判断する異常判断部と
して機能させることを特徴とする。
【0025】
本発明の生体モニタ用プログラムをコンピュータで実行することにより、上述した生体モニタ装置の構成を実現することができる。