【実施例】
【0026】
本発明を実施例、試験例により更に詳しく説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。なお、下記に示す%はすべて重量%である。
【0027】
(ダニアレルゲン水溶液)
飼育したコナヒョウヒダニより抽出したアレルゲンをpH7.2のリン酸緩衝液でDer f2が約900ng/mL(総タンパク量として)となるように希釈し、以下の試験に使用した。
【0028】
(スギ花粉アレルゲン水溶液)
pH7.2のリン酸緩衝液を用いて、スギ花粉アレルゲンCry j1(アサヒフードアンドヘルスケア株式会社製)を、濃度が約12.5ng/mLとなるように希釈し、以下の試験に使用した。
【0029】
(ダニアレルゲン濃度測定方法)
酵素免疫測定法(Der f2サンドイッチELISA法)
まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN
3含有)で2μg/mLに希釈したDer f2 モノクローナル抗体15E11を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり200μLずつ添加し、4℃にて3日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN
3含有)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。
【0030】
次に、ダニアレルゲン測定試料液を1ウェルに100μL滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したDer f2モノクローナル抗体を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1000倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で、次いで蒸留水でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(SIGMA CHEMICAL CO.製:26mg Tablet)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L H
2SO
4を50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)で吸光度(OD490nm)を測定した。既知濃度のDer f2水溶液を用いて同様に測定した検量線より測定試料のDer f2濃度を求めた。
【0031】
(スギ花粉アレルゲン濃度測定方法)
酵素免疫測定法(Cry j1サンドイッチELISA法)
まず、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1重量%NaN
3含有)で2μg/mLに希釈したCry j1 モノクローナル抗体013を、F16 MAXISORP NUNC−IMMUNO MODULEプレート(NUNC社製)の1ウェルあたり100μLずつ添加し、4℃にて1日以上感作させた。感作後、液を捨て、ブロッキング試薬{1重量%牛血清アルブミン+リン酸緩衝液(pH7.2、0.1重量%NaN
3含有)}を1ウェルあたり200μLずつ添加し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。
【0032】
次に、スギ花粉アレルゲン測定試料液を1ウェルに100μL滴下し、37℃、60分間反応させた。反応後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}にてプレートを洗浄した。ペルオキシダーゼ標識したCry j1モノクローナル抗体053を蒸留水で200μg/mLに溶解し、それをリン酸緩衝液{pH7.2、1重量%牛血清アルブミンおよび0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}で1200倍希釈した液を、1ウェルあたり100μLずつ添加した。37℃、60分間反応させた後、リン酸緩衝液{pH7.2、0.1重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート含有}でプレートを洗浄した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH6.2)13mLにオルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(SIGMA CHEMICAL CO.製:26mg Tablet)と過酸化水素水13μLを加えたものを1ウェルあたり100μLずつ添加し、37℃、5分間反応させた。その後直ちに、2mol/L H
2SO
4を50μLずつ入れて反応を停止させ、マイクロプレート用分光光度計(テカンジャパン株式会社製)で吸光度(OD490nm)を測定した。既知濃度のCry j1水溶液を用いて同様に測定した検量線より測定試料のCry j1濃度を求めた。
【0033】
(アレルゲン低減化剤加工壁紙の評価)
アレルゲン低減化剤として炭酸ジルコニウムカリウム20%水溶液(日本軽金属株式会社製)を添加したコーティング剤を表面に加工した壁紙、およびアレルゲン低減化剤未加工の壁紙について、アレルゲン低減化効果を測定した。
【0034】
実施例1
試験基材の壁紙を直径8cmの円形に切り取り、アレルゲン低減化剤を加工した面が凹となるように壁紙試料のふちの部分約5mmを折り曲げた。これにダニアレルゲン水溶液(Der f2濃度900ng/mL)1mLを広げ、上からアレルゲン低減化剤を加工した面が凸となるようにふちの部分約5mmを折り曲げた壁紙試料を、加工面を合わせるようにして挟んだ。これをアレルゲン水溶液の揮発を防ぐためにチャックつきポリ袋内に入れて、1時間、室温にて保管し、アレルゲン水溶液を、ピペットマンを用いて100μL回収し、アレルゲン濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。試験は3反復で行った。
【0035】
比較例1
試験基材の壁紙を直径8cmの円形に切り取り、チャックつきポリ袋に入れ、これにダニアレルゲン水溶液(Der f2濃度900ng/mL)1mLを加えて揉みこんだ。室温で1時間経過後、アレルゲン水溶液の回収を試みたが、アレルゲン水溶液のほとんどが壁紙試料に吸収されていたため万力を用いて絞り、100μLの回収を行った。この液についてアレルゲン濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。試験は3反復で行った。
【0036】
比較例2
試験基材の壁紙を直径8cmの円形に切り取り、その加工面にダニアレルゲン水溶液(Der f2濃度900ng/mL)1mLを広げ、上から直径7cmの円形のポリエチレンシートを被せた。これをチャックつきポリ袋内に1時間、室温にて保管し、アレルゲン水溶液を、ピペットマンを用いて100μL回収し、アレルゲン濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。試験は3反復で行った。
【0037】
実施例1、比較例1〜2のアレルゲン濃度測定結果を表1に示す。実施例1は未加工品、加工品ともに再現性の高い測定結果が得られた。
【0038】
【表1】
【0039】
(アレルゲン低減化剤加工フロアー材の評価)
アレルゲン低減化剤として光触媒酸化チタン(石原テクノ株式会社製ST−01)を表面コーティング層に含有したフロアー床材合板、及びアレルゲン低減化剤未加工の合板についてアレルゲン低減化効果を測定した。
【0040】
実施例2
試験基材のフロアー床材を一辺の長さが8cmとなるように正方形に切断した。空隙保持具として直径0.3mmのステンレス製針金を5mmの長さに切り取ったものを4つ、フロアー床材の4隅に置き、スギ花粉アレルゲン水溶液(Cry j1濃度12.5ng/mL)1mLを広げて、上からもうひとつのフロアー床材を、加工面を合わせるようにして上から被せた。これをチャックつきポリ袋内に室温にて保管し、18時間経過後、アレルゲン水溶液を、ピペットマンを用いて100μL回収し、アレルゲン濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。保管時には水を含ませた脱脂綿をポリ袋内に入れ、アレルゲン水溶液からの水分の揮発を抑えた。試験は3反復で行った。
【0041】
実施例3
試験基材のフロアー床材を一辺の長さが8cmとなるように正方形に切断した。空隙保持具として厚さ0.15mmの顕微鏡用カバーガラスの破片を4つ、フロアー床材試料の4隅に置き、スギ花粉アレルゲン水溶液(Cry j1濃度12.5ng/mL)0.6mLを広げて、上からもうひとつのフロアー床材試料を、加工面を合わせるようにして上から被せた。これをチャックつきポリ袋内に室温にて保管し、18時間経過後、アレルゲン水溶液を、ピペットマンを用いて100μL回収し、アレルゲン濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。保管時には水を含ませた脱脂綿をポリ袋内に入れ、アレルゲン水溶液からの水分の揮発を抑えた。試験は3反復で行った。
【0042】
比較例3
試験基材のフロアー床材を一辺の長さが8cmとなるように正方形に切断した。その加工面にスギ花粉アレルゲン水溶液(Cry j1濃度12.5ng/mL)1mLを広げ、上から一辺7cmの正方形のポリエチレンシートを被せた。これをチャックつきポリ袋内に18時間、室温にて保管し、アレルゲン水溶液を、ピペットマンを用いて100μL回収し、アレルゲン濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。試験は3反復で行った。
【0043】
実施例2〜3、比較例3のアレルゲン濃度測定結果を表2に示す。実施例2〜3は未加工品、加工品ともに再現性の高い測定結果が得られた。
【0044】
【表2】