(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記携帯端末装置が、応答に応えない状態が一定時間続く場合に、警告することを特徴とする請求項1記載のデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム。
前記制御手段は、前記携帯端末装置の現在の位置のエリアの責任者の携帯端末装置がそのエリアに存在する場合、警告対象から除外することを特徴とする請求項1又は2記載のデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
図2は、
図1の監視装置100が監視する監視対象エリアとそのエリア内の各センサ、端末等を示している。
図1及び
図2に示すように、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム1000は、監視対象エリアの天井等に設置された複数の監視カメラ11(△印参照)と、ロビーを含む監視対象エリアに設置された複数のRFID(Radio Frequency IDentification)リーダ20(●印参照)と、従業員等関係者(以下、「従業員」とも言う)が携帯しRFIDリーダ20が認証する認証カード21と、従業員が携帯する携帯端末装置30と、監視対象エリアにおける従業員の位置を捕捉するGPS(Global Positioning System)40と、開閉センサ50と、iBeacon(登録商標)60(□印参照)と、システム全体を制御する監視装置100と、を備える。なお、A1〜A10は、各担当者とその配置位置、Iはグループ責任管理者である。×印は防犯ベルなどの警報装置である。
【0016】
デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム1000は、ロビーを含む監視対象エリアを撮影するように設置された監視カメラ11で撮影された映像を監視し、不審者による盗難、異物混入、又は情報の漏洩行為を防止するとともに、施設への出入りが可能な者であっても、出入後にさらに行動をリアルタイムに監視して不正行動などを防止することができるシステムである。
【0017】
<監視カメラ11>
監視カメラ11は、人物の顔を撮影する認証用のカメラである。監視カメラ11は、トラックヤードを含む関係者以外無断立入禁止エリアである後方施設などの監視対象エリアの各所に設置され、人物の顔を撮影する。監視カメラ11が撮影した画像は、監視装置100に出力される。監視カメラ11は、動画像を常時撮影していても、一定時間(例えば数秒)おきに1枚の静止画を撮影してもよい。監視カメラ11には、PTZカメラを用いることができる。PTZカメラは、パン・チルト・ズームの3つの機能を持つカメラ(特にCCDカメラやネットワークカメラ)である。パンとは、カメラのレンズの向きを左右に動かすこと。チルトは上下に動かすこと。そしてズームは、望遠にしたり広角にしたりすることである。
【0018】
<RFIDリーダ20>
RFIDリーダ20は、一般には、商品に取り付けられたRFタグへの送信に対して応答があるかないかを検出することで、RFタグが付された商品の決済などを管理するものである。なお、RFタグは、購入するなどして店舗から正当に持ち出しできる状態になった物品からは除去されるか無効化される。
本実施形態では、RFIDリーダ20は、従業員が所持する認証カード21の認証を行う。RFIDリーダ20は、従業員が所持する認証カード21の認証により、認証カード21を携帯する従業員の位置を捕捉する。この認証カード21は、特許請求の範囲で言う携帯端末装置の一例である。
【0019】
また、本実施形態では、監視カメラ11で撮影されているにも拘わらず、認証カード21を所持していない人物を不審者として認定する。
なお、本実施形態では、認証カード21は、RFIDリーダ20との間で認証を行うRFID認証カードを用いた例であるが、どのような認証手段による認証カードであってもよい。また、認証カード21が、カード形状であることは説明の便宜上から呼称しているに過ぎず、認証タグなどカード形状でなくてもよい。
【0020】
<携帯端末装置30>
携帯端末装置30は、複数の従業員がそれぞれ携帯する。携帯端末装置30は、例えばスマートフォン30a、タブレット30b、ノートパソコン30cである。携帯端末装置30は、このほか、携帯電話、PHS(Personal Handy-Phone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、専用端末である。本実施の形態では、携帯端末装置30は、各従業員が様々な場所(すなわち現在位置)で使用可能であり、図示しない電話回線を介して監視装置100からのメール又は動画を含む映像等を受信可能である。
【0021】
本実施の形態では、携帯端末装置30は、スマートフォン30a、タブレット30bの利用を想定しており、各個人が様々な場所(すなわち現在位置)で使用可能である。携帯端末装置30のうちの一つは、図示しない本部・本社に配置される。
携帯端末装置30は、従業員の位置を捕捉するGPS40を備える構成であってもよい。
【0022】
また、携帯端末装置30は、監視装置100の制御部110から「位置情報取得要求」を受信すると、現在の位置情報を送信する。携帯端末装置30は、後記する監視装置100の制御部110(
図5参照)から送信される情報に対して応答ができないことを予め設定する対応不可設定部(対応不可設定手段、図示せず)を有する。携帯端末装置30は、対応不可設定部により対応不可が設定されている場合、監視装置100の制御部110から情報に対する送信があると、当該対応不可の応答を返す。
【0023】
<GPS40>
GPS40は、位置情報の電波をGPS衛星等から受信する。GPS40は、GPSアンテナを介して受信した情報より、現在位置情報を、緯度・経度・高度の3つのパラメータとして算出して位置情報を取得する。取得した位置情報は、適時、監視装置100に送信される。
開閉センサ50は、扉の開閉を検知して人の出入りを検出する。
【0024】
なお、本実施形態では、位置情報を取得する手段として、RFIDリーダ及びGPS衛星を利用した例を示したが、それら以外の、基地局との位置関係を利用した方式でもよい。例えば、モバイル端末である携帯端末装置30として、Android(登録商標)スマートフォンやカメラ付き高機能携帯電話機を使用する場合、GPS40に代えて又は併用して、基地局及び携帯電話通信網(図示省略)を介して携帯電話会社サーバと情報の送受信を行い、接近確認から自端末の現在位置情報を取得することも可能である。
また、Wi-Fi測位による位置情報取得、すなわちWi-Fiアクセスポイントと所定の位置情報サービスを利用した位置情報取得を用いてもよい。
【0025】
また、iBeacon(登録商標)60などのビーコン端末からのBLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)のブロードキャスト電波をスマートフォンによって受信して、その電波強度からスマートフォンの現在位置情報を取得することも可能である。iBeacon60は、RFIDリーダ20に代えて又は併用して、従業員の位置を補足するのに用いることができる。
【0026】
[監視装置100]
監視装置100は、例えば施設の管理室に設置され、施設内の監視対象エリアを集中管理する。監視装置100は、一般的なサーバ計算機、パーソナルコンピュータ等であってよい。
監視装置100は、制御部110(制御手段)と、入力部120と、記憶部130と、表示部140と、出力部150と、顔情報データベース(DB)160と、画像処理部170と、インタフェース(I/F)部180と、通信部190と、を備え、各部はバス195により接続される。
監視装置100は、不審者である人物が施設に現れたことが検出された場合、この人物の情報と施設の情報をネットワークを通して本部・本社や警備会社システムに通知する。また、後記するように、携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」から外れている場合であって、当該携帯端末装置30に警告しているにもかかわらず警告が無視されるような場合、上記不審者の場合と同様に扱い、警備会社システム等に通知する。
【0027】
以降、「○○部は」と主体を記した場合は、制御部110が必要に応じROMから各プログラムを読み出した上でRAMにロードし、各機能(後記)を実行するものとする。各プログラムは、予め記憶部130に記憶されていてもよいし、他の記憶媒体又は通信媒体を介して、必要なときに監視装置100に取り込まれてもよい。
【0028】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、監視装置100全体を制御すると共に、監視プログラムを実行して、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムとして機能させる。制御部110の詳細な構成については、後記する。
入力部120は、キーボード、マウス、表示部140の画面上に設けられたタッチパネル、マイクなど、監視装置100のユーザが監視装置100に指示などを入力するための入力機器である。
記憶部130は、監視カメラ11から受信した静止画や動画、制御部110が用いる各種データ、プログラムなどを記憶する。
表示部140は、監視装置100の動作状況をはじめ、監視カメラ11から受信した画像、監視装置100を操作するためのGUI(Graphical User Interface)などを表示する。
出力部150は、例えばオーディオインタフェースであり、店舗内の音響システム158に対して監視装置100からの音声信号を出力する。監視装置100から音響システム158へ出力する音声信号としては、例えば入力部120に設けられたマイクなどの音声入力装置から入力された音声信号や、記憶部130に記憶された音楽データを制御部110が再生した音声信号であってよい。音響システム158は、アンプや店舗内に配置された複数のスピーカを備え、監視装置100から入力された音声信号を店舗内に放送する。
【0029】
顔情報DB160は、不審者、及び店舗関係者等の顔画像(顔情報)を蓄積する。
画像処理部170は、受信した画像に対して予め定められた処理を行う。予め定められた処理には、輪郭抽出、画像のリサイズ、解像度変換処理などがある。
また、画像処理部170は、従業員の携帯端末装置30に送信する顔画像に、赤枠や黄色枠を付すなどの画像処理を行う。
【0030】
I/F部180は、監視対象エリア内に配置された各監視カメラ11と監視装置100とを接続する。また、I/F部180は、監視対象エリア内に配置された各RFIDリーダ20とを接続し、RFIDリーダ20に近接した従業員が所持する認証カード21の認証の結果を監視装置100に送出する。また、I/F部180は、図示しない本部・本社や警備会社などにネットワーク又は専用回線により接続する。顔情報DB160に登録されている人物の顔などの基礎データは、I/F部180を介して図示しない本部・本社や警備会社などからデータを入手して、顔情報DB160が構築される。また、図示しない本部・本社や警備会社などと情報を交換して、相互の顔情報DBが最新の顔画像(顔情報)に更新可能である。なお、警備会社は、本実施の形態に係るデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの必須構成要素ではない。
【0031】
通信部190は、基地局を介して携帯端末装置30とデータを送受信する。本実施の形態では、通信部190は、基地局を介して携帯端末装置30に一定期間ごとに各携帯端末装置30の位置情報を受信すると共に、不審者(不審者には、警告無視の従業員も含む。以下同様。)の認識時には不審者に関する情報(メール送信、動画を含む映像など)を送信する。
【0032】
[制御部110]
図3は、本発明の実施の形態に係るデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの監視装置100の制御部110のブロック図である。
図3に示すように、制御部110は、顔認証機能部111と、行動パターンを判定する行動パターン判定機能部112(制御手段)と、従業員の位置を判定する位置判定部113(位置情報取得手段)と、監視対象エリアのレイアウト情報を記憶するレイアウト情報記憶部114(レイアウト情報記憶手段)と、人物の行動パターンを蓄積し、通常パターンとして記憶する行動パターンデータベース(DB)115(行動パターン記憶手段)と、取得した位置情報に基づいて不審者に最も近い携帯端末装置30に優先的に不審者に関する情報を送信する送信制御部116とを備える。この場合、不審者との距離が近い携帯端末装置30よりも担当者が急行する時間的に近い携帯端末装置30に送信することが好ましい。
【0033】
制御部110は、顔認証機能部111による照合結果が一致(認証された人物の顔画像と不一致、また不審者の顔画像と一致)した場合、位置判定部113から取得した位置情報に基づいて、照合結果が一致した不審者に最も近い携帯端末装置30の位置を判定し、当該携帯端末装置30に不審者に関する情報を送信する。
制御部110は、携帯端末装置30に不審者に関する情報を送信してから所定時間が経過した場合、又は、対応不可設定部から対応不可の応答が返された場合、照合結果が一致した不審者に次に近い携帯端末装置30の位置を判定し、当該携帯端末装置30に不審者に関する情報を送信する。
ここで、不審者に関する情報は、監視対象エリア上に不審者の位置と従業員の位置を重ねた情報を含む。また、不審者に関する情報は、監視対象エリアにいる不審者の顔画像を含む。
【0034】
<顔認証機能部111>
顔認証機能部111は、監視カメラ11から受信した画像に含まれる人物の顔が、顔情報DB160に登録されている人物の顔であるかどうかを判定する顔認証を行う。顔認証は、受信画像から抽出した顔情報と顔情報DB160に登録されている顔情報との類似度に基づいて行うことができる。具体的には、顔情報がテンプレート画像を含む場合、テンプレート画像同士の相関度を求めることができる。
また、顔認証機能部111は、顔領域から、顔認証に用いるための、人間の顔の特徴を表す情報(顔情報)を取得し、個々の画像と関連付けて顔情報データベース(DB)160に登録する。また、顔認証機能部111は、図示しない本部から送信される人物の画像を受信し、顔情報DB160に登録する。
【0035】
本実施形態では、顔認証機能部111は、下記の顔情報及び関連情報を登録する。
・RFID認証カード発行者の登録
・店舗関係者等の登録
・従業員関係者等の登録
また、場合により、
・RFID認証カード登録者以外の人物の登録
・不審者又は不審車両運転者の顔を登録
【0036】
本実施形態では、顔認証機能部111は、後方施設などの監視対象エリアにおいて認証された人物の顔画像を登録する。本デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムは、監視対象エリアにおいて出入する不審者を監視するものである。不審者の顔情報をある程度事前に蓄積することはできるものの、すべての不審者の顔情報を蓄積しておくことは困難である。仮に、不審者の顔情報のみを認証照合する態様を採ると、見過ごした不審者による盗難行為などを防止することができず、本デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの実効が図れない。
【0037】
そこで、本実施形態では、後方施設などの監視対象エリアにおいて認証された人物(RFID認証カード発行者、店舗関係者、従業員関係者等)の顔画像を登録し、監視対象エリアに出入する人物の顔画像がこの登録した人物の顔画像に一致しない場合は、不審者と判定する。また、顔認証機能部111は、不審者の顔画像を登録することも併用して行い、この場合は不審者の顔画像を認証照合して、不審者を直ちに判定することができる。
【0038】
<行動パターン判定機能部112>
行動パターン判定機能部112は、携帯端末装置30の位置情報を取得した時点における行動パターンが、行動パターンDB115に記憶された「通常パターン」に該当するか否かを判別し、「通常パターン」から外れる場合、当該携帯端末装置30に警告する制御を行う。警告の具体例は後述する。
【0039】
<位置判定部113>
位置判定部113は、監視対象エリア内における従業員の位置情報をGPS位置情報やRFIDリーダ20により取得する。具体的には、位置判定部113は、監視対象エリアに設置された複数のRFIDリーダ20による従業員が携帯する認証タグの認証により監視対象エリアにおける従業員の位置情報を取得する。この場合、位置判定部113は、従業員が各RFIDリーダ20に近接した場合、従業員が所持する認証カード21の各RFIDリーダ20の認証により、従業員が該当RFIDリーダ20に近接していると判定する。RFIDリーダ20の設置位置は、レイアウト情報記憶部114に予め登録されているので、従業員の位置を判定することができる。
また、位置判定部113は、携帯端末装置30が備えるGPS機能部からの位置情報を取得する。
【0040】
<レイアウト情報記憶部114>
レイアウト情報記憶部114は、監視カメラ11の位置、RFIDリーダ20の設置位置、エリア名称等から監視エリアレイアウト情報を予め登録する。
図2に示すように、施設の出入口、通路、エリア、所要室、スペース、位置場所の使用レイアウトに関する情報と担当役員、グループ管理責任者、担当者A1〜A3、担当者A4〜A10が使用するスペースと位置場所は、予めレイアウト情報記憶部114(
図3参照)に記憶されている。また、RFIDリーダ20、GPS、監視カメラ11の設置位置についても、予めレイアウト情報記憶部114(
図3参照)に記憶されている。
図2の例では、施設に出入する来館者をロビーの監視カメラ11がフォーカスし、来館中はモニタリングする。
【0041】
<行動パターンDB115>
行動パターンDB115は、携帯端末装置30のレイアウト上の位置を時間と関連付けて示す行動パターンを蓄積し、通常パターンとして記憶する。
【0042】
<送信制御部116>
送信制御部116は、顔認証機能部111による照合結果が一致(認証された人物の顔画像と不一致、また不審者の顔画像と一致)した場合、位置判定部113から取得した位置情報に基づいて、照合結果が一致した不審者に最も近い携帯端末装置30の位置を判定し、当該携帯端末装置30に不審者に関する情報を送信する。
【0043】
ここで、不審者には、後記するように、携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」から外れている場合であって、当該携帯端末装置30に警告しているにもかかわらず警告が無視されるような場合の人物も含む。
送信制御部116は、不審者の位置に最も近い従業員に、メールにて音声・動画・不審者の位置情報(レイアウト上に印を付した情報)を送信する。複数のフロアの施設の場合、近さはフロアごとに判定する。また、不審行動常習者は例えば赤色表示、単なる不審者は例えば黄色表示と区別して送信する。
送信制御部116は、送信した従業員から所定時間(例えば5秒間)経過してもアンサーバック信号がない場合、第2の従業員関係者を選定し、再送信を行う。第2の従業員関係者は、(1) 不審者に2番目に近い従業員等関係者、(2)警備員、店長、店長代行、(3)本部・本社等である。
【0044】
図4は、監視装置100が監視する監視対象エリアのエリアと担当者(従業員)の業務範囲を表にして示す図である。
図4は、
図2の監視対象エリアに略対応している。A1〜A10は、各担当者とその配置位置である。
担当者(従業員)は、管理権限者に予め提出し定められた業務計画により業務を遂行する。例えば、施設毎に、エリア、スペース、位置場所の使用者が決められている。(各概念の広さ:施設>エリア>スペース>位置場所)
担当者A1〜A10は、予め定められたレイアウトの位置場所で業務行動する。グループ管理責任者(以下、「管理者」ともいう)、管理権限者、担当役員についても同様である。
【0045】
「A担当者」は、「A担当者」の位置場所での業務を許可されているが、「B担当者」の位置場所での業務は許可されていない。すなわち、「施設、エリア、スペース、位置場所」のうち「施設、エリア、スペース」は同じでも、「位置場所」が「A担当者」と「B担当者」とで違う場合、「A担当者」が「B担当者」の「位置場所」で業務を遂行すると、「A担当者」の行動パターンが「通常パターン」から外れている場合に該当する。以上が、行動パターンのうち空間的要素である。また、許可された担当者であっても、年月日、曜日、時間が通常の行動パターンから外れており、又は、事前の業務スケジュールが提出されていない場合も「通常パターン」から外れている場合に該当する。行動パターンのうち時間的要素である。
【0046】
図2に示す監視対象エリアを参照して説明する。A1〜A3担当者は、自己のスペースを使用できるが、担当者A1にとって、担当者A2、担当者A3の位置場所は「通常パターン」から外れる。逆に、担当者A2、担当者A3にとっても、担当者A1の位置場所は「通常パターン」から外れる。担当者A4〜A10も同様で、予め定められた位置場所以外への立入、滞在と業務は「通常パターン」から外れる。また、グループ管理責任者であっても担当者A1〜A10、担当役員の位置場所へは立入、滞在、業務は「通常パターン」から外れる。さらに、担当役員でも管理権限者に予め提出した業務スケジュールの提出がなければ、担当者A1〜A10、グループ管理責任者の位置場所の業務は「通常パターン」から外れる。
【0047】
図5Aは、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの正常管理体制を表にして示す図である。
図5Aに示すように、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムは、正常管理体制時、グループ関係者が使用する施設の共有施設と専用施設の所要室、エリア、スペース、位置場所を業務時間内の時間毎に管理する。なお、
図5Aの管理体制表は、担当者A1〜A10、担当管理者、担当役員が作成・承認し管理権限者に提出される。
【0048】
図5Bは、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの緊急特別管理体制を表にして示す図である。
デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムは、緊急特別管理体制時には、
図5Bに示す緊急特別管理体制をとる。
例えば、緊急特別管理体制は、不審者が、該当施設のエリア、所要室、スペース、位置場所に立入った場合、又は、該当担当者が他の担当者の所要室、位置場所に立入った場合と関係者が時間外に立入った場合である。上記不審者には、後記するように「通常パターン」から外れる行動をした担当者(従業員)も含まれる。なお、
図5Bを用いた動作説明については、後記する。
【0049】
以下、上述のように構成されたデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの動作について説明する。
[登録処理]
まず、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの各種情報の登録処理について説明する。
【0050】
図6は、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの監視装置100の制御部110の人物の登録処理を示すフローチャートである。本フローは、監視装置100の制御部110(
図5)により実行される。
【0051】
ステップS1では、制御部110の顔認証機能部111は、顔情報DB160に、RFID認証カード発行者、店舗関係者、従業員関係者等の顔情報を登録する。具体的には、顔認証機能部111は、顔領域から、顔認証に用いるための、人間の顔の特徴を表す情報(顔情報)を取得し、個々の画像と関連付けて顔情報DB160に登録する。また、顔認証機能部111は、図示しない本部から送信される、人物の画像を受信し、顔情報DB160に登録する。
【0052】
ステップS2では、制御部110の顔認証機能部111は、顔情報DB160に、RFIDリーダ20によって認証する認証カード21を所持する登録者以外の人物の顔情報を登録する。なお、人物の顔情報の登録は、本部・本社や警備会社などからの顔情報DBの更新でもよい。
ステップS3では、制御部110は、RFID認証カード発行者、店舗関係者、及び従業員関係者等の詳細情報、車両ナンバー、関連情報の登録を行う。
【0053】
次に、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの人物の行動パターンの蓄積処理について説明する。
行動パターンの蓄積対象となる関係者は、施設等の従業員である場合を例に採る。この従業員は、担当部署などと関連つけられたID番号を有し、勤務中は自己のID番号と一意に対応する携帯端末装置30を携帯するものとする。
図1及び
図2の例では、従業員は各部署の担当者A1〜A10である。
監視装置100は、従業員の携帯端末装置30にメールや音声などを送信する。また、監視装置100は、携帯端末装置30に、当該携帯端末装置30の現在位置情報を送信するよう指示する位置情報取得要求を送信する。携帯端末装置30は、監視装置100から位置情報取得要求を受信すると、現在の位置情報を送信する。
【0054】
図7は、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの監視装置100の制御部110の人物の行動パターンの蓄積処理を示すフローチャートである。本フローは、監視装置100の制御部110(
図5)により実行される。
まず、ステップS11で、行動パターン判定機能部112は、行動パターンを蓄積する対象の従業員Iを決定する。
ステップS12では、行動パターン判定機能部112は、従業員Iの携帯端末装置30(以下、携帯端末装置30という)に「位置情報取得要求」を送信する。なお、本実施形態では、各従業員Iの携帯端末装置30にユニキャストで「位置情報取得要求」を送信するようにしているが、全従業員Iの携帯端末装置30にブロードキャストで「位置情報取得要求」を送信する態様でもよい。
ステップS13では、「位置情報取得要求」を送信した携帯端末装置30から所定時間内に応答があったか否かを判別する。所定時間経過しても応答がない場合、本フローを終了する。
【0055】
携帯端末装置30からの応答がある場合、ステップS14で行動パターン判定機能部112は、携帯端末装置30から送信された位置情報を取得する。
ステップS15では、行動パターン判定機能部112は、レイアウト情報記憶部114に記憶した施設レイアウト情報と取得した位置情報とを照合して、携帯端末装置30の施設レイアウト上の位置を算出する。
ステップS16では、行動パターン判定機能部112は、位置情報を取得した時点における携帯端末装置30の施設レイアウト上の位置を行動パターンDB115に記録する。本フローが繰り返し実行されることで、行動パターンDB115には、携帯端末装置30がいつ、どこにいたかの情報が蓄積される。行動パターンDB115に蓄積された携帯端末装置30の行動パターン情報が、所定の閾値以上となった場合、「通常パターン」としてフラグを立てる。このようにして、行動パターンDB115には、人・時間・位置(いつ、どこに、誰がいたか)が記録され、所定以上の行動パターンが蓄積されると、参照利用可能な「通常パターン」となる。
【0056】
ステップS17では、行動パターン判定機能部112は、従業員Iの行動パターン取得処理ステップをインクリメント(I=I+1)して本フローを終了する。これにより、全従業員の行動パターンが記憶され、「通常パターン」として行動パターンDB115に蓄積される。
図1及び
図2の例では、各部署の担当者A1〜A10の行動パターン、すなわち、人・時間・位置(いつ、どこに、誰がいたか)が記憶され、通常パターンとして蓄積される。
【0057】
なお、特定の従業員(例えば、重要な情報にアクセスできる人、特に監視が必要とされる人)については、行動パターンの取得頻度をより密にしてもよい。あるいは、時間的に出退時間帯にかかる場合や、レイアウト上で施設の出入り口に近い場所にいる従業員については行動パターンの取得頻度をより疎にしてもよい。このように構成すれば、従業員の「通常パターン」をより正確に蓄積できるとともに、監視装置100の処理負担を軽減することができる。
【0058】
[監視装置100の監視制御]
図8は、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの監視装置100の監視制御処理を示すフローチャートである。
図8は、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの監視装置100の制御部110の人物の行動パターンの警告処理を示すフローチャートである。本フローは、監視装置100の制御部110(
図5)により実行される。
【0059】
まず、ステップS21で、行動パターン判定機能部112は、行動パターンを監視する対象の従業員の携帯端末装置30(以下、携帯端末装置30という)に「位置情報取得要求」を送信する。
図1及び
図2の例では、各部署の担当者A1〜A10の携帯端末装置30に「位置情報取得要求」を送信する。なお、「位置情報取得要求」の送信は、各従業員の携帯端末装置30にユニキャストで送信してもよく、全従業員の携帯端末装置30にブロードキャストで「位置情報取得要求」を送信する態様でもよい。
【0060】
ステップS22では、行動パターン判定機能部112は、「位置情報取得要求」を送信した携帯端末装置30から所定時間内に肯定的応答(Ack)があったか否かを判別する。所定時間経過しても応答がない場合、ステップS28に進み、行動パターン判定機能部112は、該当携帯端末装置30に警告を送信して本フローを終了する。警告の具体例は後述する。
携帯端末装置30からの肯定的応答(Ack)がある場合、ステップS23で行動パターン判定機能部112は、携帯端末装置30から送信された位置情報を取得する。
ステップS24では、行動パターン判定機能部112は、レイアウト情報記憶部114に記憶した店舗レイアウト情報と取得した位置情報とを照合して、携帯端末装置30の店舗レイアウト上の位置を算出する。
ステップS25では、行動パターン判定機能部112は、行動パターンDB115を参照して、該当携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」であるか否かを判別する。
該当携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」である場合、本フローを終了する。この場合、行動パターンDB115に蓄積された該当携帯端末装置30の行動パターン情報を更新するようにしてもよい。このようにすれば、行動パターンDB115の行動パターン情報精度を上げることができる。
【0061】
上記ステップS25で該当携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」でない場合、ステップS26に進む。行動パターンが「通常パターン」である場合、そのまま本フローを終了する。
ステップS26では、行動パターン判定機能部112は、該当携帯端末装置30のエリアに、他の携帯端末装置30が複数存在するか否かを判別する。
該当携帯端末装置30のエリアに、他の携帯端末装置30が複数存在しない場合、ステップS27に進む。携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」から外れている場合であっても複数の人がいる場合は、セキュリティ上問題がないとみなして、警告対象から除外する。
【0062】
ステップS27では、行動パターン判定機能部112は、該当携帯端末装置30のエリアに、所轄の責任者が携帯する携帯端末装置30が存在するか否かを判別する。
該当携帯端末装置30のエリアに、所轄の責任者が携帯する携帯端末装置30が存在しない場合、ステップS28に進む。携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」から外れている場合であっても責任者がいる場合は、セキュリティ上問題がないとみなして、警告対象から除外する。
【0063】
ステップS28では、行動パターン判定機能部112は、該当携帯端末装置30に警告を送信して本フローを終了する。この警告は、不審者に対しては、例えば携帯端末装置30へのメール送信や携帯端末装置30によるアラーム(警告音)であり、担当者に対しては、不審者のレイアウト上の位置場所、監視カメラ11による不審者の顔画像、及び動画などである。ただし、携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」から外れている場合であってもそれだけで直ちに不審な行動とは言えないこともある。そこで、携帯端末装置30への警告に重み付けを行う態様が考えられる。例えば、一回目の警告処理で「通常パターン」から外れている場合には、注意を喚起するメールを送信し、二回目以降の警告処理でも「通常パターン」から外れている状態が継続している場合には、アラーム(警告音)と、より強い警告内容のメールを送るようにする。また、該当携帯端末装置30が、自己の担当部署より明らかに異なる重要領域に入った場合や、通常ではありえない時間帯に入った場合には、より強い警告を行うようにしてもよい。
【0064】
ここで、トイレなどのプライベートエリア、休憩所などの福祉エリアは監視除外エリアとして監視対象から除外する。これにより、プライバシィ侵害とされることを防ぐことができる。
【0065】
上記ステップS22で肯定的応答(Ack)が無いなど完全静止状態が一定時間続く場合は、ステップS28で行動パターン判定機能部112は、携帯端末装置30を放置したとみなして、同様の警告を行う。
【0066】
上記ステップS26で該当携帯端末装置30のエリアに、他の携帯端末装置30が複数存在する場合、該当携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」から外れていても複数の人がいるので、セキュリティ上問題がないとみなして、警告対象から除外して本フローを終了する。
【0067】
上記ステップS27で該当携帯端末装置30のエリアに、所轄の責任者が携帯する携帯端末装置30が存在する場合、携帯端末装置30の行動パターンが「通常パターン」から外れていても責任者がいるので、セキュリティ上問題がないとみなして、警告対象から除外して本フローを終了する。
【0068】
ここで、監視装置100は、通常パターンから外れる携帯端末装置30の行動パターンの場合に、警告に加えて、下記の制御を行う構成でもよい。
すなわち、当該携帯端末装置30から所定時間(例えば5秒間)経過しても肯定的応答ACKがないか、又は、当該携帯端末装置30から否定的応答NCKが返された場合、当該携帯端末装置30に時間移動距離が一番短く早く急行できる担当者の携帯端末装置30の位置を判定し、その携帯端末装置30に警報者に関する情報、すなわち、位置場所の階数、所要室、位置場所名等、及び、監視カメラ11による動画を送信する。この場合、時間移動距離が一番短く早く急行できる管理者の携帯端末装置30にも、警報者に関する情報を送信することが好ましい。本発明において、警告は、不審者、担当者又は管理者のうち少なくとも一人に対して行われる。
【0069】
[適用例1]
例えば、
図1及び
図2の例で説明する。担当者A1〜A3の位置が、セキュリティ上重要な場所であるとする。担当者A1〜A3の行動パターンはこのエリアに集中しており、担当者A1〜A3にとってはこのエリアを中心とする行動パターンが「通常パターン」である。一方、担当者A5は、
図1及び
図2のA5位置が主な配置場所で、担当者A5にとってはこのエリア中心とする行動パターンが「通常パターン」である。
担当者A5が、例えば
図1及び
図2の右上の商品開発室に行ったとすると、「通常パターン」から外れる行動をしたとして本システムは担当者A5の携帯端末装置30に警告することになる(上記ステップS28)。しかし、この商品開発室に、責任者がいる場合には、セキュリティ上問題がないとみなして、警告対象から除外する(上記ステップS27)。
【0070】
また、担当者A5が、例えば
図1及び
図2のA1〜A3位置に行ったとすると、「通常パターン」から外れる行動をしたとして本システムは担当者A5の携帯端末装置30に警告することになる(上記ステップS28)。ここで、このA1〜A3位置に、複数の担当者A1〜A3がいる場合には、セキュリティ上問題がないとみなして、警告対象から除外する(上記ステップS26)。複数の担当者がいない(担当者が1人か誰もいない)場合には、担当者A5の携帯端末装置30に対し、上記警告を実行する。
また、担当者A5が、「通常パターン」から外れる行動をしたとしても、
図1及び
図2のトイレ(WC)や給湯室などの福祉・共用エリアは監視除外エリアとして監視対象から除外される。
【0071】
[適用例2]
図9及び
図10は、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの監視装置100の監視制御を説明する図である。
図9に示すように、施設のフロア500に不審者Xが侵入したとする。
不審者Xは、各種セキュリティチェックをくぐり抜けて不法に当該施設に侵入した侵入者ではなく、身分証明書による確認、パスワード、指紋認証、暗証番号等のセキュリティチェックを受け、かつこれらをクリアした人である。具体的には、
図1及び
図2の各担当者A1〜A10のうち、「通常パターン」から外れる行動をした従業員(担当者)がこれに該当する。施設の従業員である以上、セキュリティチェックはパスしており、従って従来技術では、このように不審者Xに成り変わった従業員を排除することはできない。本実施形態では、行動パターンが「通常パターン」から外れている従業員に警告し、警告に従わない行動をとる場合、不審者Xとみなして別の担当者A,Bが不審者Xまで急行する。この場合、時間移動距離が一番短く早く急行できる担当者Bが所持する携帯端末装置30にまず通知し、当該携帯端末装置30から所定時間(例えば5秒間)経過しても肯定的応答ACKがないか、又は、当該携帯端末装置30から否定的応答NCKが返された場合、次に早く急行できる担当者Aが所持する携帯端末装置30に通知する。
【0072】
同様に、
図10に示すように、施設500の一階フロア520に不審者Xが侵入したとする。
不審者Xは、警告に従わない行動をとる従業員(担当者)である。不審者Xに対して二階フロア530から階段540を降りて担当者Cが、また一階フロア520から直線方向で担当者Dが不審者Xまで急行する。この場合、担当者Cは不審者Xまで空間距離は近いものの階段540を降りなければならないため、時間移動距離は担当者Dの方が小さい。したがって、一番短く早く急行できる担当者Dが所持する携帯端末装置30にまず通知し、当該携帯端末装置30から所定時間(例えば5秒間)経過しても肯定的応答ACKがないか、又は、当該携帯端末装置30から否定的応答NCKが返された場合、次に早く急行できる担当者Cが所持する携帯端末装置30に通知する。
【0073】
[適用例3]
<正常管理体制>
デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムは、施設の定期、不定期、集中管理を行う。例えば、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムは、該当施設の1階建物の業務開始、業務終了、業務中の管理関係者による定期管理、不定期管理、集中管理を行う。
正常管理体制では、
図5Aに示すように、グループ関係者が使用する施設の共有施設と専用施設(1)〜(22)の所要室、エリア、スペース、位置場所を業務開始時間、業務終了時、業務中の時間毎に管理する。
【0074】
<緊急特別管理体制>
デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムは、不審者が、該当施設のエリア、所要室、スペース、位置場所に立入った場合、又は、該当担当者が他の担当者の所要室、位置場所に立入った場合と関係者が時間外に立入った場合、
図5Bに示す緊急特別管理体制に移行する。上述したように、この不審者には、「通常パターン」から外れる行動パターンの担当者(従業員)も含まれる。
例えば、
図2に示す監視対象エリアにおいて、不審者が存在することとなった場合、
図5Bに示す緊急特別管理体制に移行する。
図5Bでは、不審者が、該当施設のエリア、所要室、スペース、位置場所に立入った場合、又は、該当担当者が他の担当者の所要室、位置場所に立入った場合と関係者が時間外に立入った場合の緊急特別管理体制を示す。
【0075】
・部外者Bの立入
図5Bの「S1,K」に示すように、担当者A10の担当者室へ11時に部外者Bが立入った場合、時間移動距離が一番短く早く急行できる管理者S1の携帯端末装置30に部外者Bの位置場所の階数、所要室、位置場所名をメール送信する。この場合、監視カメラ11による動画をあわせて送信してもよい。また、該当施設を管理統括している、管理権限者Kの携帯端末装置30と管理権限者室のPCにこの動画をリアルタイムに送信するようにしてもよい。
【0076】
・担当者A3の位置場所外立入
図5Bの「S,K」に示すように、担当者A4の位置場所に、担当者A3が17時に立入った場合、担当者A3の行動を知らせる情報を、時間移動距離が一番短く急行できる管理者Sの携帯端末装置30に担当者A3の位置場所の階数、所要室、位置場所名をメール送信する。この場合、監視カメラ11による動画をあわせて送信してもよい。また、該当施設を管理統括している、管理権限者Kの携帯端末装置30と管理権限者室のPCにこの動画をリアルタイムに送信するようにしてもよい。
【0077】
・担当者A8の時間外(深夜)立入
図5Bの「S2,K」に示すように、Iグループ管理者室(IG管理者室)に担当者A8が深夜3時の時間外に立入った場合、担当者A8は業務関係者であるが業務終了後の時間外のために、当直の副管理者で時間移動距離が一番短く急行できる副管理者S2の携帯端末装置30に担当者A8の位置場所の階数、所要室、位置場所名をメール送信する。この場合、監視カメラ11による動画をあわせて送信してもよい。また、該当施設を管理統括している、管理権限者Kの携帯端末装置30と管理権限者室のPCにこの動画をリアルタイムに送信するようにしてもよい。
このように、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムは、該当施設への出入りが可能な担当者であっても、人・時間・位置(いつ、どこに、誰がいたか)の行動パターンを「通常パターン」と照合することによって、「通常パターン」から外れた場合には、不正行動として警告することができる。したがって、セキュリティチェックでは排除されない担当者(従業員)の不正行動などを未然に防止することができる。
【0078】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム1000は、携帯端末装置30のレイアウト上の位置を示す行動パターンを蓄積し、通常パターンとして記憶する行動パターンDB115と、携帯端末装置30の位置情報を取得した時点における行動パターンが、行動パターンDB115に記憶された「通常パターン」に該当するか否かを判別し、「通常パターン」から外れる場合、当該携帯端末装置に警告する制御を行う行動パターン判定機能部112とを備える。
【0079】
この構成により、身分証明書による確認、パスワード、指紋認証、暗証番号等によって該当施設への出入りが可能な者であっても、出入後にさらに行動をリアルタイムに監視して不正行動などを防止することができる。
【0080】
また、本実施形態では、制御部110は、携帯端末装置が、応答に応えない状態が一定時間続く場合、当該携帯端末装置に警告することで、「通常パターン」から外れた人が意図的に応答しない場合に、直ちに対応することができ、不正行動などを迅速に防止することができる。
【0081】
また、本実施形態では、制御部110は、携帯端末装置が、福祉エリアを含む監視除外エリアに存在する場合、警告対象から除外することで、プライバシィに配慮したシステムを構築することができる。
【0082】
また、本実施形態では、制御部110は、携帯端末装置の周囲に複数の他の携帯端末装置が存在する場合、警告対象から除外することで、セキュリティ上で問題がない不要な警告を排除して本システムの実効を図ることができる。
【0083】
また、本実施形態では、制御部110は、携帯端末装置の周囲に責任者の携帯端末装置が存在する場合、警告対象から除外することで、セキュリティ上で問題がない不要な警告を排除して本システムの実効を図ることができる。
【0084】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。例えば、本実施の形態では、公衆回線として電話回線を使用する場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば公衆回線として無線通信回線、インターネット又はLAN等を使用してもよい。また、この公衆回線の種類に応じて、公衆回線が無線通信の場合は通信端末装置としてトランシーバーを、公衆回線がインターネット又はLANの場合は通信端末装置としてパーソナルコンピュータ又はパームトップコンピュータを利用してもよい。このように既存の公衆回線を利用してデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムを構築することにより、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの利用態様を拡げることができ、かつ、デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムの構築コストを抑えることができる。
【0085】
また、本実施の形態ではデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム及び方法と言う名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、デジタルスマート・セキュリティ、防犯システム、セキュリティ方法等であってもよい。
【0086】
また、本発明のデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム及び方法は、コンピュータを本デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム又は方法として機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
このプログラムを記録した記録媒体は、本デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステムのROMそのものであってもよいし、また、外部記憶装置としてCD−ROMドライブ等のプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なCD−ROM等であってもよい。
【0087】
また、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであってもよい。
【0088】
本明細書で引用したすべての刊行物、特許及び特許出願は、そのまま参考として、ここにとり入れるものとする。
従来のセキュリティチェックでは排除されない者の不正行動などを防止することができるデジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム、方法及びプログラムを提供する。デジタルフューチャーナウ・セキュリティシステム(1000)は、携帯端末装置(30)のレイアウト上の位置を示す行動パターンを蓄積し、通常パターンとして記憶する行動パターンDB(115)と、携帯端末装置(30)の位置情報を取得した時点における行動パターンが、行動パターンDB(115)に記憶された「通常パターン」に該当するか否かを判別し、「通常パターン」から外れ、かつ、前記位置から所定距離内に他の携帯端末装置(30)が存在しない場合に、警告する行動パターン判定機能部(112)とを備える。