(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トランスファプレスにおけるワーク搬送方向と交差するクロス方向に直動してワークを加工するクロス可動部に動力を付与するために、前記トランスファプレスの側部には、上下方向に延びかつ一端部を回動支点として前記クロス方向に往復回動するように駆動される駆動レバーと、前記駆動レバーと一体に往復回動するように組み付けられたリンク支持部品と、前記クロス方向に延びて一端部が前記リンク支持部品に回動可能に連結され、他端部から前記クロス可動部に前記クロス方向の動力を付与する中継リンクとが備えられ、
そのトランスファプレスに設けられ、前記駆動レバーに対する前記リンク支持部品の位置を変更して前記クロス可動部のストロークを任意に変更可能とするストローク調整機構において、
前記リンク支持部品は、第1と第2のリンク支持部品からなり、
前記駆動レバーの回動半径方向の任意の位置に前記第1のリンク支持部品を配置して固定する第1調整機構と、前記第1のリンク支持部品における前記駆動レバーの回動方向の任意の位置に前記第2のリンク支持部品を配置して固定する第2調整機構とが備えられると共に、その第2のリンク支持部品に前記中継リンクの一端部が回動可能に連結され、
前記第1調整機構及び前記第2調整機構の操作部が、前記駆動レバーのうち前記クロス可動部と反対側を向いた面である正面か、上面か、下面か、又は側面の何れかに配置されたことを特徴とするストローク調整機構。
前記駆動レバーには、幅方向の中央を回動方向に貫通しかつ回動半径方向に延びたスリットが形成され、前記駆動レバーの前記正面における前記スリットの両側の開口縁に前記第1のリンク支持部品の両側部が重ねた状態に固定されると共に、前記支持用螺子孔が前記スリットに対向配置され、
前記第1調整機構には、前記第1のリンク支持部品の両側部を前記駆動レバーの回動半径方向に直動可能に支持する直動ガイド部と、前記第1のリンク支持部品を前記駆動レバーの回動半径方向の任意の位置に固定する位置固定部とが備えられたことを特徴とする請求項2又は3に記載のストローク調整機構。
前記スリットの両側の開口縁に沿って複数の固定用螺子孔を形成すると共に、前記第1のリンク支持部品の両側部に前記固定用螺子孔に対応した複数の長孔を形成して、それら長孔に通した固定ボルトを前記固定用螺子孔に螺合し、
前記直動ガイド部には、前記固定用螺子孔に対する螺合を緩めた前記固定ボルトと前記長孔とが備えられると共に、前記位置固定部には、前記固定用螺子孔に対して締め付けた前記固定ボルトが備えられたことを特徴とする請求項4に記載のストローク調整機構。
前記駆動レバーに設けられて、前記駆動レバーの回動半径方向で前記第1のリンク支持部品を挟んで対峙した1対の螺合支持部と、前記1対の螺合支持部に形成された螺子孔に螺合し、前記第1のリンク支持部品に突き合わされた1対の送り螺子とが、前記第1調整機構に備えられたことを特徴とする請求項5に記載のストローク調整機構。
前記駆動レバーの前記他端部には、駆動源からの動力を伝達する動力伝達部品が回動可能に連結され、その駆動レバーの前記一端部と前記他端部の回動中心同士を連絡する基準線より前記螺合スリーブの先端部を前記クロス可動部から離れる側にずらして配置したことを特徴とする請求項4乃至6のうち何れか1の請求項に記載のストローク調整機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のストローク調整機構では、アジャストボルトに作業者の手が届きにくく、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、作業性の向上が図られるストローク調整機構及びそれを備えたトランスファプレスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るストローク調整機構は、トランスファプレスにおけるワーク搬送方向と交差するクロス方向に直動してワークを加工するクロス可動部に動力を付与するために、トランスファプレスの側部には、上下方向に延びかつ一端部を回動支点としてクロス方向に往復回動するように駆動される駆動レバーと、駆動レバーと一体に往復回動するように組み付けられたリンク支持部品と、クロス方向に延びて一端部がリンク支持部品に回動可能に連結され、他端部からクロス可動部にクロス方向の動力を付与する中継リンクとが備えられ、そのトランスファプレスに設けられ、駆動レバーに対するリンク支持部品の位置を変更してクロス可動部のストロークを任意に変更可能とするストローク調整機構において、リンク支持部品は、第1と第2のリンク支持部品からなり、駆動レバーの回動半径方向の任意の位置に第1のリンク支持部品を配置して固定する第1調整機構と、第1のリンク支持部品における駆動レバーの回動方向の任意の位置に第2のリンク支持部品を配置して固定する第2調整機構とが備えられると共に、その第2のリンク支持部品に中継リンクの一端部が回動可能に連結され、第1調整機構及び第2調整機構の操作部が、駆動レバーのうちクロス可動部と反対側を向いた
面である正面か、上面か、下面か、又は側面の何れかに配置されたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のストローク調整機構において、第1のリンク支持部品には、駆動レバーの回動方向に貫通した支持用螺子孔が形成され、第2のリンク支持部品は、支持用螺子孔に螺合した雄螺子部を外面に有する螺合スリーブと、螺合スリーブに回転可能に嵌合した状態で抜け止めされたコアロッドとを備えてなり、螺合スリーブの基端部を、支持用螺子孔から外側に突出させて第2調整機構の操作部とし、螺合スリーブの先端部からコアロッドを突出させて中継リンクとの連結部としたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のストローク調整機構において、螺合スリーブの基端部の外面に、工具を係合可能な複数の係合平坦面を形成すると共に、螺合スリーブの雄螺子部における操作部寄りの端部を支持用螺子孔から外側に露出させて、そこに割りナットを装着し、割りナットを雄螺子部に締め付けるための締め付けボルトと複数の係合平坦面とで第2調整機構の操作部を構成したところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載のストローク調整機構において、駆動レバーには、幅方向の中央を回動方向に貫通しかつ回動半径方向に延びたスリットが形成され、駆動レバーの正面におけるスリットの両側の開口縁に第1のリンク支持部品の両側部が重ねた状態に固定されると共に、支持用螺子孔がスリットに対向配置され、第1調整機構には、第1のリンク支持部品の両側部を駆動レバーの回動半径方向に直動可能に支持する直動ガイド部と、第1のリンク支持部品を駆動レバーの回動半径方向の任意の位置に固定する位置固定部とが備えられたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のストローク調整機構において、スリットの両側の開口縁に沿って複数の固定用螺子孔を形成すると共に、第1のリンク支持部品の両側部に固定用螺子孔に対応した複数の長孔を形成して、それら長孔に通した固定ボルトを固定用螺子孔に螺合し、直動ガイド部には、固定用螺子孔に対する螺合を緩めた固定ボルトと長孔とが備えられると共に、位置固定部には、固定用螺子孔に対して締め付けた固定ボルトが備えられたところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のストローク調整機構において、駆動レバーに設けられて、駆動レバーの回動半径方向で第1のリンク支持部品を挟んで対峙した1対の螺合支持部と、1対の螺合支持部に形成された螺子孔に螺合し、第1のリンク支持部品に突き合わされた1対の送り螺子とが、第1調整機構に備えられたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項4乃至6のうち何れか1の請求項に記載のストローク調整機構において、駆動レバーの他端部には、駆動源からの動力を伝達する動力伝達部品が回動可能に連結され、その駆動レバーの一端部と他端部の回動中心同士を連絡する基準線より螺合スリーブの先端部をクロス可動部から離れる側にずらして配置したところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明に係るトランスファプレスは、請求項1乃至7のうち何れか1の請求項に記載のストローク調整機構をワーク搬送方向に3つ以上並べて備え、それら3つ以上のストローク調整機構の間で、駆動レバーの駆動源を共通にしたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1の発明]
請求項1の発明では、駆動レバーの回動半径方向の任意の位置に第1のリンク支持部品を配置して固定する第1調整機構の操作部と、第1のリンク支持部品における駆動レバーの回動方向の任意の位置に第2のリンク支持部品を配置して固定する第2調整機構の操作部とが、駆動レバーのうちクロス可動部と反対側を向いた
面である正面か、上面か、下面か、又は側面の何れかに配置されている。この構成によれば、第1調整機構及び第2調整機構の操作部に作業者の手が届き易くなり、ストローク調整の作業性向上が図られる。
【0015】
また、中継リンクの中間部にアジャストボルトを備えた従来のストローク調整機構では、ワーク搬送方向にクロス可動部を連続して3つ以上並べようとしても、ワーク搬送方向の中間に位置するクロス可動部については、ストロークの中心点を調整できないため、実質的に、ワーク搬送方向にクロス可動部を連続して3つ以上並べることができないという問題があったが、本発明によれば、この問題が解消できる。即ち、本発明によれば、ワーク搬送方向の中間に位置するクロス可動部のストロークの中心点も調整することが可能となり、クロス可動部を連続して3つ以上並べることができる。
【0016】
[請求項2の発明]
請求項2の発明では、螺合スリーブを回転させて支持用螺子孔の軸方向に移動させると、コアロッドが螺合スリーブと一体になって駆動レバーの回動方向に移動して、中継リンクをクロス方向に移動させる。これにより、クロス可動部のストロークの中心点を容易に調整することが可能となる。しかも、コアロッドは、螺合スリーブに回転可能に嵌合しているので、螺合スリーブと一体にコアロッドが回転することがなくなり、中継リンクの捻れが防がれる。
【0017】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、係合平坦面に工具を係合させて螺合スリーブを回転させ、締付ボルトにて割りナットを雄螺子部に締め付けることで、第1のリンク支持部品に対する第2のリンク支持部品の駆動レバーの回動方向の位置を任意に調整することができる。また、雄螺子部における操作部寄りの端部に装着された割りナットが第1のリンク支持部品に正面側から当接するので、螺合スリーブがクロス可動部側にずれることが抑えられる。
【0018】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、駆動レバーの幅方向の中間部に第1と第2のリンク支持部品を配置して、ストローク調整機構を駆動レバーの幅方向、即ち、ワーク搬送方向にコンパクトにできる。
【0019】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、固定用螺子孔に対する固定ボルトの螺合を緩めた状態で、第1のリンク支持部品を長孔に沿って移動させることで、駆動レバーの回動半径方向における第1のリンク支持部品の位置を任意に変更し、固定ボルトを固定用螺子孔に締め付けることで、第1のリンク支持部品を駆動レバーに固定することができる。
【0020】
[請求項6の発明]
請求項6の発明では、1対の送り螺子を操作することで、第1のリンク支持部品を駆動レバーの回動半径方向に移動することができる。そして、本発明によれば、1対の送り螺子が第1のリンク支持部品を貫通することがなくなるので、1対の送り螺子の中心軸上に第2のリンク支持部品を配置して、ストローク調整機構を駆動レバーの幅方向、即ち、ワーク搬送方向にコンパクトにすることが可能になる。
【0021】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、中継リンクと第2のリンク支持部品との連結部分を、駆動レバーの一端部と他端部の回動中心同士を連絡する基準線の近くに配置して、クロス可動部のストローク調整を容易にすることが可能となる。
【0022】
[請求項8の発明]
請求項8の発明では、3つ以上のストローク調整機構で駆動レバーの駆動源を共通にしたので、トランスファプレスの駆動源の数を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を
図1〜
図11を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態のトランスファプレス90は、直線状に延びたワーク搬送路91に沿って複数の加工ステージSを並べて備えている。トランスファプレス90は、ワーク搬送方向Xに沿って複数のワークWを間欠的に搬送しながら、昇降ベース92(
図2参照)を鉛直方向Zに上下動させることで、複数の加工ステージSにてワークWを順次加工する。
【0025】
トランスファプレス90は、隣り合った複数の加工ステージSに跨ってクロス加工装置10を備えている。クロス加工装置10では、複数の加工ステージSの側方に配置された動力装置12にて各加工ステージSに設けられたクロス可動部11を、ワーク搬送方向Xと交差するクロス方向Yに直動させて、ワークWに加工を行う。ここで、ワークWは、クロス可動部11により直接加工されてもよいし、クロス可動部11から動力を受けて駆動される別の可動部によって加工されてもよい。
図1には、3つの加工ステージSに跨って配置されたクロス加工装置10と、2つの加工ステージSに跨って配置されたクロス加工装置10とが示されている。
【0026】
なお、本実施形態では、クロス加工装置10で加工される前のワークWは、
図11(A)に示すように、一端有底、他端開放の角筒形状をなし、クロス加工装置10は、ワークWにおける4つの筒壁Waの開口縁をそれぞれ直線状に切断して切り揃えるトリミング加工(
図11(C)参照)や、筒壁Waに凹凸を設ける加工(
図11(B)参照)等を行う。
【0027】
図1に示すように、動力装置12は、複数のクロス可動部11の間で共通の回転駆動源13を有し、動力伝達部14にて回転駆動源13の回転運動をクロス可動部11の直動に変換する。
【0028】
図2に示すように、動力伝達部14は、回転駆動源13により駆動される動力伝達部品28に回動可能に連結しかつ上端部を回動支点にしてクロス方向Yに往復回動する駆動レバー20と、駆動レバー20に組み付けられて一体に往復回動するリンク支持部品30と、クロス方向Yに延びてクロス可動部11と反対側の端部がリンク支持部品30に回動可能に連結された中継リンク16と、中継リンク16のクロス可動部11側の端部に連結されてクロス方向Yに回動可能な従動レバー17とを備え、この従動レバー17にクロス可動部11が連結されている。そして、回転駆動源13により駆動レバー20が駆動されると、従動レバー17がクロス方向Yに往復回動し、クロス可動部11がクロス方向Yに直線往復動する。言い換えれば、中継リンク16は、クロス可動部11側の端部にてクロス可動部11にクロス方向Yの動力を付与するようになっている。
【0029】
なお、詳細には、中継リンク16のクロス可動部11側の端部は、従動レバー17の下端部に連結されている。また、クロス可動部11は、従動レバーの17の上端部、即ち、従動レバー17のうち回動中心P2を挟んで中継リンク16と反対側の端部に連結されている。従って、クロス可動部11は、中継リンク16よりも上方にオフセットされた位置で、駆動レバー20がクロス方向Yに回動する向きと逆向きに直動する。
【0030】
ところで、本実施形態のクロス加工装置10には、
図3に示すように、クロス可動部11のストロークを調整するためのストローク調整機構50が備えられている。ストローク調整機構50は、駆動レバー20に対するリンク支持部品30の回動半径方向の位置を変更してクロス可動部11のストロークを任意に変更する。以下、ストローク調整機構50におけるクロス可動部11と反対側を前側と、クロス可動部11側を後側と称して、ストローク調整機構50について詳説する。
【0031】
図3に示すように、リンク支持部品30は、第1のリンク支持部品31と第2のリンク支持部品32とで構成され、第1のリンク支持部品31が駆動レバー20に固定され、第2のリンク支持部品32が第1のリンク支持部品31に固定されている。そして、ストローク調整機構50は、駆動レバー20の回動半径方向の任意の位置に第1のリンク支持部品31を配置して固定する第1調整機構51と、第1のリンク支持部品31における駆動レバー20の回動方向の任意の位置に第2のリンク支持部品32を配置して固定する第2調整機構52とを備えている。
【0032】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、駆動レバー20は、駆動レバー20の回動軸方向で対向した1対のレバー対向壁21,21の前側の端部同士が連結支持壁22で連結された構造になっていて、第1のリンク支持部品31は、連結支持壁22に前側から重ねた状態に固定されている。
【0033】
図4に示すように、連結支持壁22の両側部には、複数の固定用螺子孔22Nが駆動レバー20の回動半径方向(
図4の上下方向)に沿って設けられている。また、第1のリンク支持部品31は、矩形板状をなし、その四隅を駆動レバー20の回動半径方向に延びた長孔31Aが貫通している。長孔31Aは、第1のリンク支持部品31が駆動レバー20に対して回動半径方向の任意の位置に配置されたときに、何れかの固定用螺子孔22Nと重なる長さになっている。そして、固定用螺旋孔22Nに長孔31Aを重ねた状態で、固定ボルト31B(
図7参照)を長孔31Aに通して固定用螺子孔22Nに締結することで、第1のリンク支持部品31が連結支持壁22に固定される。即ち、第1のリンク支持部品31は、駆動レバー20の回動半径方向の任意の位置で駆動レバー20に固定可能となっている。
【0034】
また、
図4及び
図5に示すように、連結支持壁22の前面には、駆動レバー20の回動半径方向に延びたガイド溝23(本発明の「直動ガイド部」に相当する。)が形成されている。ガイド溝23は、第1のリンク支持部品31の後面から突出した係合突部31Tを受容し、第1のリンク支持部品31を駆動レバー20の回動半径方向に案内する。
【0035】
このように、本実施形態では、第1調整機構51の操作部が、駆動レバー20の前面に設けられた構成になっている。また、本実施形態では、本発明に係る「直動ガイド部」に、長孔31Aと固定ボルト31Bが備えられた構成になっていて、固定ボルト31Bにより本発明の「位置固定部」が構成されている。
【0036】
また、
図3に示すように、連結支持壁22の前面には、駆動レバー20の回動半径方向で第1のリンク支持部品31を挟むように配置された1対の螺合支持部25,25が設けられ、それら螺合支持部25,25を駆動レバー20の回動半径方向に貫通した螺子孔25A,25Aに1対の送り螺子24,24が螺合している。そして、それら1対の送り螺子24,24によって、第1のリンク支持部品31は、ガイド溝23に沿って移動する(
図8参照)。このように、本実施形態では、1対の送り螺子24,24にて第1のリンク支持部品31をガイド溝23に沿って移動させることで、駆動レバー20の回動半径方向における第1のリンク支持部品31の位置変更が容易となる。即ち、本実施形態では、本発明に係る「第1調整機構の操作部」が、1対の螺合支持部25,25と、1対の送り螺子24,24を備えた構成となっている。
【0037】
なお、本実施形態では、1対の送り螺子24,24を、第1のリンク支持部品31を挟むように対にして備えたので、1対の送り螺子24,24が第1のリンク支持部品31を貫通することがなくなる。これにより、1対の送り螺子24,24の中心軸上に第2のリンク支持部品32を配置することができ、ストローク調整機構50を駆動レバー20の幅方向にコンパクトにすることが可能になる。
【0038】
次に、第2のリンク支持部品32及び第2調整機構52について説明する。
図3に示すように、第1のリンク支持部品31の中央部には、第1のリンク支持部品31を駆動レバー20の回動方向(
図3の左右方向)に貫通した支持用螺子孔31Nが備えられ、第2のリンク支持部品32は、支持用螺子孔31Nを貫通した状態に固定されている。なお、
図4に示すように、連結支持壁22の幅方向の中央部、即ち、ガイド溝23の奥面には、駆動レバー20の回動半径方向に長くなったスリット22Aが貫通形成されていて、このスリット22Aを、第2のリンク支持部品32の後端部が貫通している。
【0039】
図5に示すように、第2のリンク支持部品32は、支持用螺子孔31Nと螺合する雄螺子部35Nを外面に有した螺合スリーブ35と、螺合スリーブ35に回転可能に嵌合した状態で抜け止めされたコアロッド32Aとを備えている。詳細には、コアロッド32Aは、螺合スリーブ35を貫通するインナーシャフト部33と、インナーシャフト部33の後端部に固定されて中継リンク16を回動可能に支持するリンク支持部34とを備えている。リンク支持部34は、インナーシャフト33より側方に張り出して螺合スリーブ35の後端面と当接している。また、インナーシャフト部33の前端部には、ボルト37にてワッシャー36が固定され、このワッシャー36が螺合スリーブ35の前端面と当接している。これらにより、コアロッド32Aは、螺合スリーブ35に嵌合した状態で抜け止めされている。
【0040】
リンク支持部34は、中継リンク16の前端部における幅方向の中央部に設けられた受容凹部16Aに突入し、中継リンク16のうち受容凹部16Aを挟む1対の対向突部16T,16Tとリンク支持部34とを連結シャフト18が貫通している。ここで、
図3に示すように、連結シャフト18は、駆動レバー20における上端部の回動中心P1と、上述した動力伝達部品28との回動中心28とを結ぶ基準線L1の近くに配置されている。そして、第1のリンク支持部品31を駆動レバー20の回動半径方向に移動させると、その移動距離分に応じて、連結シャフト18の回動中心P1からの距離が変化する。従って、駆動レバー20の回動半径方向における第1のリンク支持部品31の移動量にほぼ比例して、クロス可動部11のストローク量を変化させることが可能となる。このように、本実施形態では、第1調整機構51によるクロス可動部11のストローク調整が容易となっている。
【0041】
図7に示すように、螺合スリーブ35は、外形が六角形となった六角ナット部35Aを前端部に有し、上述した雄螺子部35Nは、六角ナット部35Aより後側に配置されている。そして、螺合スリーブ35は、六角ナット部35Aが、例えば、スパナ等の工具により回転操作されることで、
図9から
図10への変化に示すように、支持用螺子孔31Nに沿って移動する。螺合スリーブ35が移動すると、第2のリンク支持部品32も、螺合スリーブ35と一体になって支持用螺子孔31Nに沿って移動し、中継リンク16がクロス方向Yに移動する。ここで、上述したように、コアロッド32Aは、螺合スリーブ35に回転可能に嵌合しているので、螺合スリーブ35と一体にリンク支持部34が回転することがなく、中継リンク16の捻れが防がれる。
【0042】
このように、ストローク調整機構50の第2調整機構52では、螺合スリーブ35を回転させて第2のリンク支持部品32を支持用螺子孔31Nに沿って移動させることで、駆動レバー20の回動方向における第2のリンク支持部品32の位置が変更される。そして、本実施形態では、螺合スリーブ35の六角ナット部35Aが本発明に係る「第2調整機構52の操作部」になっていて、六角ナット部35Aの外周面35Mが本発明に係る「係合平坦面」になっている。なお、本実施形態では、第2調整機構52の操作部は、駆動レバー20の正面に設けられた構成になっている。
【0043】
また、
図7及び
図9に示すように、螺合スリーブ35の雄螺子部35Nには、前側から割りナット38が螺合装着されている。そして、この割りナット38が第1のリンク支持部品31の前面と当接することで緩み止めの効果があり、第2のリンク支持部材32に後ろ向きの大きな負荷がかかった場合であっても、螺合スリーブ35が後側にずれることが抑えられる。
【0044】
具体的には、割りナット38は、周方向の一箇所に切れ目38Kを有し、その切れ目38Kを挟んだ両側が締付ボルト39にて締結されるようになっている。これにより、通常のナットを2つ重ねて使用するダブルナット方式にて螺合スリーブ35に装着する場合と比較して、ナットの取り付けが容易となっている。
【0045】
本実施形態に係るストローク調整機構50及びトランスファプレス90の構成に関する説明は以上である。次に、ストローク調整機構50及びトランスファプレス90の作用効果について説明する。
【0046】
トランスファプレス90は、加工ステージSにワークW(
図11参照)が送られてくると、クロス可動部11をクロス方向Yに直線往復動させる。即ち、回転駆動源13により駆動レバー20をクロス方向Yに往復回動させ、中継リンク16を介して従動レバー17をクロス方向Yに往復回動させる。
【0047】
クロス可動部11のストローク量を変更する場合には、
図3から
図8への変化に示すように、駆動レバー20に対する第1のリンク支持部品31の位置を変更して、第1のリンク支持部品31の回動半径の長さを変更する。具体的には、固定用螺子孔22Nに螺合した固定ボルト31B(
図7参照)を緩めた状態で、第1のリンク支持部品31をガイド溝23に沿って移動させて、駆動レバー20の回動半径方向の任意の位置に配置し、固定ボルト31Bを固定用螺子孔22Nに締め付けて、第1のリンク支持部品31を連結支持壁22に固定する。
【0048】
なお、第1のリンク支持部品31をガイド溝23に沿って移動させる際、1対の送り螺子24,24を用いることで、第1のリンク支持部品31の駆動レバー20の回動半径方向の位置を容易に調整することができる。
【0049】
ところで、第1のリンク支持部品31を駆動レバー20の回動半径方向に移動させると、
図9に示すように、従動レバー17が中継リンク16に連動してクロス方向Yに移動して、クロス可動部11のストロークの中心点がずれるという問題が生じる。しかしながら、本実施形態のストローク調整機構50では、第1のリンク支持部品31に対して第2のリンク支持部品32を駆動レバー20の回動方向に移動させることで、クロス可動部11のストロークの中心点のずれを解消することができる。
【0050】
具体的には、
図10に示すように、六角ナット部35Aの操作により螺合スリーブ35を回転させて、第2のリンク支持部品32を駆動レバー20の回動方向に移動させる。これにより、中継リンク16がクロス方向Yに移動し、クロス可動部11のストロークの中心点が変更される。
【0051】
このように、本実施形態のストローク調整機構50では、第1のリンク支持部品31を駆動レバー20の回動半径方向の任意の位置で固定することで、クロス可動部11のストロークが任意に変更されると共に、第1のリンク支持部品31における駆動レバー20の回動方向の任意の位置に第2のリンク支持部品32を配置することで、クロス可動部11のストロークの中心点の位置が任意に変更される。そして、本実施形態では、第1と第2のリンク支持部品31,32を移動させるときの第1調整機構51及び第2調整機構52の操作部が、駆動レバー20の前面、即ち、クロス可動部11と反対側を向く面に配置されているので、それら操作部に作業者の手が届き易くなり、ストローク調整の作業性向上が図られる。
【0052】
また、本実施形態によれば、ワーク搬送方向Xにクロス可動部11を連続して3つ以上並べた場合であっても、ワーク搬送方向Xの中間に位置するクロス可動部11のストロークの中心点も調整することが可能となる。しかも、3つ以上のクロス可動部11で駆動レバー20の回転駆動源13を共通にしたので、トランスファプレス90のコンパクト化が図られる。
【0053】
さらに、本実施形態によれば、1対のレバー対向壁21,21の間に第1と第2のリンク支持部品31,32が配置されているので、ストローク調整機構50を駆動レバー20の幅方向、即ち、ワーク搬送方向Xにコンパクトにすることができる。
【0054】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を、
図12〜
図13に基づいて説明する。本実施形態のストローク調整機構50Vは、第1実施形態のストローク調整機構50を変形したものであり、主として、第1と第2のリンク支持部材の構成が異なっている。
【0055】
具体的には、
図12に示すように、第1のリンク支持部品31Vは、ワーク搬送方向Xの長さが駆動レバー20の幅よりも長くなっている。そして、ワーク搬送方向Xの一端部(
図12の左側の端部)が連結支持壁22の前面に重ねられるレバー固定部41になっていて、他端部が第2のリンク支持部品32を固定する支持部品固定部42になっている。
【0056】
レバー固定部41には、上記第1実施形態の第1のリンク支持部品31と同様に、複数の長孔31Aが設けられていて、この長孔31Aに挿通された固定ボルト31Bにて駆動レバー20の前面に固定される。なお、
図13に示すように、レバー固定部41の後面には、係合突部31Tが突出形成され、駆動レバー20の前面に形成されたガイド溝23と係合している。
【0057】
図13に示すように、支持部品固定部42には、支持用螺子孔31Nが貫通形成されている。そして、この支持用螺子孔31Nに、上記第1実施形態と同じ構成をなす第2のリンク支持部品32が挿通されて、駆動レバー20の側方で中継リンク16に回動可能に連結している。
【0058】
ストローク調整機構50Vのその他の構成については、上記第1実施形態のストローク調整機構50と同様になっているので、同一符号を付すことで説明を省略する。本実施形態のストローク調整機構50Vによれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0059】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0060】
(1)上記実施形態のストローク調整機構50,50Vでは、第1のリンク支持部品31,31Vが駆動レバー20の前面に重ねた状態に固定されていたが、
図14及び
図15に示すストローク調整機構50Wのように、第1のリンク支持部品31Wが駆動レバー20の側面に重ねて固定されてもよい。このストローク調整機構50Wによっても、上記実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。なお、
図14に示すように、駆動レバー20の側部には、1対の送り螺子24,24が第1のリンク支持部品31Wを駆動レバー20の回動半径方向で挟むように備えられている。また、駆動レバー20の側面には、駆動レバー20の回動半径方向に複数の固定用螺子孔22N(
図14には、一部の固定用螺子孔22Nのみ示されている。)が形成され、この固定用螺子孔22Nに固定ボルト31Bを締め付けることで、第1のリンク支持部品31Wは、駆動レバー20の回動半径方向の任意の位置に固定されている。
【0061】
(2)上記実施形態において、ストローク調整機構50の間で、各駆動レバー20に別個の回転駆動源13を備えてもよい。
【0062】
(3)上記実施形態では、中継リンク16の動力が従動レバー17を介してクロス可動部11に伝達されていたが、従動レバー17を介さずに、中継リンク16から直接、クロス可動部11に動力が伝達されてもよい。
【0063】
(4)上記実施形態では、本発明のストローク調整機構を、複数の加工ステージSに跨って配置されたクロス加工装置10に適用した例を示したが、1つの加工ステージSの側方にのみ配置されたクロス加工装置に適用してもよい。