(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断手段は、所定の前記検査対象物について、前記色判定値が所定の範囲内である場合、当該検査対象物を、正しい色の検査対象物であると判断し、前記色判定値が所定の範囲内ではない場合、当該検査対象物を、誤った色の検査対象物であると判断する請求項1に記載の検査装置。
前記合成色算出手段は、前記検査対象物の色と、当該検査対象物に隣接する隣接検査対象物の色と、を組み合わせて前記合成色情報を算出する請求項1又は2に記載の検査装置。
前記合成色算出手段は、前記各検査対象物に対して、周方向に異なる角度に配置された前記色検出センサの出力値の統計値を算出し、前記統計値に基づいて、前記合成色情報を算出する請求項4に記載の検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
初めに、
図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
【0018】
上述の通り、作業者の負担を低減することに貢献する検査装置、検査方法及びプログラムが望まれる。
【0019】
そこで、一例として、
図1に示す検査装置100を提供する。検査装置100は、記憶手段101と、合成色算出手段102と、判断手段103と、を備える。
【0020】
記憶手段101は、1又は2以上の教師色情報に、教師色順序を対応付けて記憶する(ステップS1001)。教師色情報とは、予め登録された、正しい色に関する色情報である。ここで、教師色情報は、RGB(R:red 赤色、G:green 緑色、B:blue 青色)の各成分の組み合わせ等の情報であっても良い。また、教師色順序とは、予め登録された、正しい色の順序を意味する。
【0021】
そして、合成色算出手段102は、1又は2以上の検査対象物が配列された状態で、検査対象物毎に合成色情報を算出する。ここで、合成色情報とは、1又は2以上の色を組み合わせた色情報を意味する。例えば、検査対象物の表面が2以上の色で構成される場合、合成色情報は、それらの色を混ぜた(合成した)色を意味する。
【0022】
また、所定の検査対象物の色を検出した際に、隣接する他の物体の色を合わせて検出した場合、合成色算出手段102は、当該検査対象物の色と、隣接する他の物体の色と、を合成して合成色情報とする。つまり、2以上の検査対象物が分離されない場合(2以上の検査対象物の間隔が所定の間隔以下の場合)であっても、合成色情報を算出する。
【0023】
そして、判断手段103は、1又は2以上の検査対象物が配列された状態で、検査対象物の色の正誤を判断する。具体的には、判断手段103は、所定の検査対象物について、合成色情報と、当該検査対象物の順序に対応する、教師色順序の教師色情報と、の色判定値に基づいて、当該検査対象物の色の正誤を判断する。色判定値とは、合成色情報と、対応する教師色情報と、の類似度を示す値である。そして、判断手段103は、色判定値が所定の条件を満たす場合、検査対象物の色が正しいと判断する。
【0024】
そのため、判断手段103は、検査対象物が正確に整列されず、2以上の検査対象物が分離されない場合であっても、色判定値が所定の条件を満たす場合、検査対象物の色が正しいと判断する。従って、検査装置100を用いる場合、作業者は、検査対象物を正確に整列する必要がない。従って、検査装置100は、作業者の負担を低減することに貢献する。
【0025】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る検査装置1の全体構成の一例を示す平面図である。検査装置1は、嵌入部2と、把持部3と、表示部4と、操作部5と、を含んで構成される。なお、
図2は、本実施形態に係る検査装置1を
図2で示す形態に限定する趣旨ではない。検査装置1は、検査対象物を保持でき、検査対象物の色を検査可能な装置であれば、その種類は問わない。
【0027】
嵌入部2は、検査対象物を嵌め入れる開口部21を含むことが好ましい。そして、嵌入部2は、1又は2以上の検査対象物を嵌め入れ、各検査対象物を固定することが好ましい。
【0028】
検査装置1は、支点を介して、把持部3に対する握力が嵌入部2に伝達する構造であっても良い。そして、検査装置1は、把持部3に対する握力に応じて、嵌入部2を開閉可能であっても良い。
【0029】
表示部4は、検査結果等の情報を表示する。具体的には、表示部4は、検査対象物の色の正誤を表示することが好ましい。表示部4は、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等であっても良い。
【0030】
操作部5は、作業者の操作を受け付ける操作キー等である。例えば、作業者は、操作部5を用いて、教師色情報、教師色順序を入力しても良い。
【0031】
図3は、嵌入部2の一例を示す図である。
図3に示すように、開口部21の内壁に色検出センサ群600は配置される。色検出センサ群600は、1又は2以上の色検出センサ6を含む。具体的には、
図3に示す色検出センサ群600において、所定の間隔で、1又は2以上の色検出センサ6が配置される。そして、色検出センサ6は、1又は2以上の検査対象物の色を検出するように配置される。
【0032】
色検出センサ6は、検査対象物の色を検出する。例えば、色検出センサ6は、投光部と受光部の光ファイバを組み合わせた光電センサであっても良い。または、色検出センサ6は、投光部と受光部の光ファイバが一体となった光電センサであっても良い。色検出センサ6は、各種あるがその種類は問わない。
【0033】
そして、色検出センサ6は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の成分の比率を計測しても良い。または、色検出センサ6は、Y(輝度信号)、U(輝度信号と青色成分の差分)、V(輝度信号と赤色成分の差分)の各成分を検出しても良い。なお、色検出センサ6が検出する成分は、RGB、YUVに限定されない。
【0034】
図4は、開口部21の一例を示す図である。
図4の場合、開口部21の内壁に、色検出センサ61a、61b、61c、61d、・・・61m、62a、62b、62c、62d、・・・62mが所定の間隔で配置される。色検出センサ61a〜61mは、検査対象物201a、201b、201c、201d、・・・201mの色を推定するように配置される。また、色検出センサ62a〜62mは、色検出センサ61a〜61mと対になるように、検査対象物201a、201b、201c、201d、・・・201mの色を推定するように配置される。
【0035】
ここで、検査対象物201a、検査対象物201mに示すように、検査対象物は、周方向に、2以上の色で構成される物体を含むとする。その場合、
図4に示すように、色検出センサ6は、各検査対象物に対して、周方向に異なる角度に配置されることが好ましい。
【0036】
具体的には、
図4の場合、色検出センサ61a、及び色検出センサ62aは、検査対象物201aに対して投光し、その反射光を受光する。また、色検出センサ61b、及び色検出センサ62bは、検査対象物201bに対して投光し、その反射光を受光する。また、色検出センサ61m、及び62mは、検査対象物201mに対して、投光し、その反射光を受光する。このように、各検査対象物に関して、1又は2以上の色検出センサ6を用いて、検査装置1は各検査対象物の色を検出することが好ましい。
【0037】
なお、
図4においては、色検出センサ6は、直線上に配置されているが、色検出センサ6は、嵌入部2の内壁に線上に配置されていれば良い。例えば、色検出センサ6は、曲線上に配置されていても良い。
【0038】
図5は、検査装置1の内部構成の一例を示すブロック図である。検査装置1は、表示部4と、操作部5と、色検出センサ6と、記憶部7と、制御部8と、を含んで構成される。制御部8は、合成色算出部81と、判断部82と、を含んで構成される。
図5には、簡単のため、本実施形態に係る検査装置1に関係するモジュールを主に記載する。
【0039】
記憶部7は、検査装置1の動作に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部7は、1又は2以上の教師色情報に、教師色順序を対応付けて記憶する。
【0040】
制御部8は、検査装置1の全体を制御すると共に、
図5に示す各部を制御する。より具体的には、制御部8は、例えば、色検出センサ6の起動、停止に係る制御を行う。また、制御部8は、例えば、検査対象物の色の正誤を判断し、判断結果を表示部4に表示する処理を制御する。
【0041】
合成色算出部81は、1又は2以上の検査対象物の合成色情報を算出する。具体的には、合成色算出部81は、各検査対象物に対して、1又は2以上の色検出センサの出力値に基づいて、各検査対象物の合成色情報を算出する。
【0042】
色検出センサ6が、検査対象物に対して、周方向に異なる角度に配置されているとする。その場合、合成色算出部81は、周方向に異なる角度に配置された2以上の色検出センサ6の出力値の統計値(例えば、平均値)を算出する。そして、合成色算出部81は、色検出センサ6の出力値の統計値を、合成色情報として算出する。なお、以下の説明では、色検出センサ6は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の成分の比率を計測する場合を例示して、説明する。また、以下の説明では、簡単のため、R、G、Bの各成分を0〜255のいずれかの値であるとして説明する。
【0043】
ここで、検査対象物に対して、周方向に異なる角度に、2以上の色検出センサ6を配置し、合成色算出部81が色検出センサ6の出力値の統計値を算出することで、検査対象物の方向変化の影響を低減できる。
【0044】
判断部82は、検査対象物について、合成色情報と、検査対象物の順序に対応する教師色順序の教師色情報と、の色判定値に基づいて、当該検査対象物の色の正誤を判断する。ここで、色判定値とは、合成色算出部81が算出する合成色情報と、対応する教師色情報と、の比較結果(相関値等)を意味する。
【0045】
具体的には、判断部82は、所定の検査対象物について、色判定値が所定の範囲内である場合、当該検査対象物を、正しい色の検査対象物であると判断する。一方、判断部82は、所定の検査対象物について、色判定値が所定の範囲内でない場合、当該検査対象物を誤った色の検査対象物であると判断する。
【0046】
ここで、各検査対象物に対して、単一の色検出センサ6が配置される場合を考える。そして、当該色検出センサ6が、周方向に2色(例えば、白色及び緑色)で構成された検査対象物の色を検出するとする。その場合、検査対象物の向きに応じて、色検出センサ6が検出する色は異なる。具体的には、周方向に白色及び緑色で構成された検査対象物の場合、検査対象物の向きに応じて、色検出センサ6は、
に近接した色、又は、
に近接した色を、検査対象物の色として検出する。そこで、判断部82は、
の合成色情報を許容する必要がある。
【0047】
また、例えば、周方向に白色及び緑色で構成された第1の検査対象物と、周方向に白色及び青色で構成された第2の検査対象物と、を検査対象物とする場合について考える。そして、各検査対象物に対して、単一の色検出センサ6が配置されるとする。その場合、各色検出センサ6は、第1の検査対象物、第2の検査対象物について、ともに白色を検出する恐れがある。つまり、各検査対象物に対して、単一の色検出センサ6が配置される場合、判断部82は、第1の検査対象物(例えば、白色及び緑色)と、第2の検査対象物(例えば、白色及び青色)とを判別できない恐れがある。
【0048】
一方、検査対象物の周方向に、2以上の色検出センサ6が配置されている場合を考える。その場合、周方向に2色で構成された検査対象物に対して、各色検出センサ6は、それぞれ異なる色を検出できる。例えば、周方向に緑色及び白色で構成された第1の検査対象物に対して、一の色検出センサ6は、
に近接した色を検出し、他方の色検出センサ6は、
に近接した色を検出する。
【0049】
そして、合成色算出部81は、色検出センサ6の出力値の平均値を、合成色情報として算出するとする。その場合、判断部82は、各検査対象物に対して、2以上の色検出センサ6が配置される場合、単一の色検出センサ6に配置される場合に比べ、許容する合成色情報の範囲を狭くすることができる。
【0050】
また、
図6を参照して、合成色情報の一例について説明する。
図6に示す色検出センサ61a〜61d、及び色検出センサ62a〜62dは、
図4に示す通りに配置されているとする。つまり、例えば、色検出センサ61a、及び色検出センサ62aは、
図4に示す検査対象物201aに関する色情報を推定するとする。
【0051】
図6(a)は、色検出センサ61a〜61dの出力値を示す。また、また、
図6(b)は、色検出センサ62a〜62dの出力値を示す。色検出センサ61a〜61d、62a〜62dの出力値が、
図6(a)、(b)である場合、合成色算出部81は、
図6(c)に示すように、合成色情報を算出する。
【0052】
例えば、
図4に示す検査対象物201bは、周方向に2色(例えば、白色と緑色)で構成されているとする。そして、
図6(a)に示すように、色検出センサ61bの出力値は
であるとする。また、
図6(b)に示すように、色検出センサ62bの出力値は、
であるとする。その場合、合成色算出部81は、
図6(c)に示すように、色検出センサ61bが検出する色(白色)と、色検出センサ62bが検出する色(緑色)と、のRGB各成分の平均値を算出する。具体的には、
図6(c)に示すように、検査対象物201b(
図6(c)に示す順序2)について、合成色算出部81は、
を、検査対象物201bの合成色情報として算出する。
【0053】
次に、検査装置1の動作について説明する。
【0054】
図7は、検査対象物の色の正誤を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS1において、色検出センサ6は、検査対象物の色を検出する。ステップS2において、合成色算出部81は、合成色情報を算出する。
【0056】
ステップS3において、判断部82は判断対象物を選択する。そして、ステップS4に遷移する。ここで、判断対象物とは、色の正誤の判断対象の検査対象物を意味する。具体的には、判断部82は、色検出センサ6の順序に基づいて、判断対象物を選択しても良い。より具体的には、判断部82は、色検出センサ6の順序に基づいて、色検出センサ6を選択する。そして、判断部82は、選択した色検出センサ6から算出される合成色情報を、判断対象物の合成色情報として算出しても良い。
【0057】
ここで、
図4を参照して、判断対象物について説明する。例えば、判断部82が、
図4に示す色検出センサ61a、及び色検出センサ62aの色検出センサを選択したとする。その場合、判断対象物は、
図4に示す検査対象物201aである。そして、判断部82は、色検出センサ61a、及び色検出センサ62aから算出される合成色情報を、判断対象物(検査対象物201a)の合成色情報として算出する。
【0058】
ステップS4において、判断部82は、判断対象物の色判定値を算出する。具体的には、判断部82は、判断対象物の色情報と、当該判断対象物の順序に対応する、教師色情報と、の色判定値を算出する。
【0059】
ステップS5において、判断部82は、色判定値が所定の範囲内であるか否かを判断する。色判定値が所定の範囲内である場合(ステップS5のYes分岐)には、判断部82は、判断対象物が正しい色の対象物であると判断する。一方、色判定値が所定の範囲内ではない場合(ステップS5のNo分岐)には、判断部82は、判断対象物が誤った色の対象物である、と判断する。
【0060】
ステップS8において、所定の数の色検出センサ6について、対象物の色の正誤を判断したか否かを、判断部82は判断する。判断部82は、所定の数の色検出センサ6について、対象物の色の正誤を判断した場合(ステップS8のYes分岐)には、判断結果を報知する。例えば、判断部82は、表示部4に判断結果を表示しても良い。一方、判断部82は、所定の数の色検出センサ6について、対象物の色の正誤を判断していない場合(ステップS8のNo分岐)には、ステップS3に戻り、判断処理を継続する。
【0061】
図8は、教師色情報と、合成色情報と、の一例を示す図である。
図8(a)は教師色情報、及び対応する教師色順序の一例を示す図である。
図8(b)は、
図4に示す検査対象物201a〜201dに関する合成色情報の一例を示す図である。
図8(c)は、判断結果の表示の一例を示す図である。
【0062】
判断部82は、教師色情報と、合成色情報を比較し、色判定値を算出する。例えば、判断部82は、教師色情報と、合成色情報の差分値を、色判定値として算出するとする。そして、
図8(a)、(b)の場合、教師色情報と、合成色情報の差分値が5以下である場合、判断部82は、正しい色と判断するとする。
【0063】
その場合、検査対象物201a〜検査対象物201cについては、(R、G、B)の各成分の差分値が5以下であるため、判断部82は、正しい色の検査対象物であると判断する。一方、検査対象物201dについては、G、Bの成分の差分値が5を超えるため、判断部82は、誤った色の検査対象物であると判断する。その結果、判断部82は、
図8(c)に示すように、表示部4に判断結果を表示する。具体的には、判断部82は、
図8(c)の場合、順序1〜3については、「OK」と表示し、順序4については、「NG」と表示する。
【0064】
ここで、作業者がLANケーブル等の配線を行う場合を例示して説明する。まず、作業者が、本実施形態に係る検査装置1を使用しない場合を考える。LANケーブル等の場合、作業者は、所定の色の線材を所定の順序で並べる(配列する)必要がある。そこで、作業者は、各線材の色の正誤を目視により確認する必要がある。しかし、目視により各線材の色の正誤を判断する作業は、作業者の負担が大きい。特に、周方向に2以上の色の線材等については、作業者が即座に、色の正誤を判断できない場合がある。そのため、LANケーブル等の配線を行う際、作業者が熟練者であることが求められる場合がある。なお、ここで、線材の色とは、芯線の被膜に塗布、コーティングした色、又は芯線の被膜の樹脂自体の色を意味する。
【0065】
次に、作業者が、本実施形態に係る検査装置1を使用して、LANケーブル等の配線を行う場合を考える。その場合、作業者が、所定の色の線材を所定の順序で並べ、本実施形態に係る検査装置1の嵌入部2に並べた線材を嵌め入れ、線材の色の順序を検査できる。そして、本実施形態に係る検査装置1は、線材の色の順序の正誤を判断し、判断結果を表示部4に表示する。そのため、本実施形態に係る検査装置1を使用する場合、作業者は目視で線材の色を確認する必要がない。また、本実施形態に係る検査装置1を使用する場合、作業者が熟練者である必要がない。
【0066】
また、本実施形態に係る検査装置1が、
図2に示すように携帯可能な装置である場合、作業者はLANケーブル等の配線時に、作業現場で簡単に線材の色の順序の正誤を検査できる。
【0067】
[変形例1]
本実施形態に係る検査装置1の変形例1として、検査装置1は、所定の電圧を印加し、嵌入部2を開閉するように駆動しても良い。その場合、制御部8は、嵌入部2の開閉を判断し、嵌入部2が閉じていると判断した場合、検査対象物がはめ込まれていると判断しても良い。例えば、検査装置1は、ソレノイドを利用して、嵌入部2を開閉するように駆動しても良い。また、検査装置1は、モータとボールネジ等を組み合わせて、嵌入部2を開閉するように駆動しても良い。嵌入部2を開閉するように駆動する方法は各種あるが、その詳細は問わない。
【0068】
[変形例2]
本実施形態に係る検査装置1の変形例2として、検査装置1は、通信部(図示せず)を備えても良い。その場合、検査装置1は、通信部を介して、所定の宛先に判断結果を送信しても良い。
【0069】
[変形例3]
本実施形態に係る検査装置1の変形例3として、光、音を用いて、判断結果を報知しても良い。例えば、検査装置1はLED(Light Emitting Diode)を備えても良い。そして、判断部82は、検査対象物の色が正しいと判断した場合、LEDを点灯し、検査対象物の色が誤っていると判断した場合、LEDを消灯しても良い。その場合、検査装置1は、色検出センサ群600に含まれる、色検出センサ6の数より多いLEDを備えることが好ましい。例えば、
図4に示すように、各検査対象物に対して2以上の色検出センサ6が対応する場合、検査装置1は、各検査対象物に対応する1組の色検出センサ6に対して、1のLEDを備えても良い。
【0070】
図9は、LEDを用いて判断結果を報知する一例を示す図である。
図9(a)は教師色情報、及び対応する教師色順序の一例を示す図である。
図9(b)は、
図4に示す検査対象物201a〜201dに関する合成色情報の一例を示す図である。
図9(c)は、LEDを用いて、判断結果を報知する一例を示す図である。
図9(a)、(b)は、
図8(a)、(b)と同様であるため、更なる説明を省略する。
【0071】
上述の通り、
図9(a)、(b)の場合、判断部82は、検査対象物201a〜201cは正しい色の検査対象物であると判断し、検査対象物201dは誤った色の検査対象物であると判断する。そして、
図9(c)に示すように、判断部82は、検査対象物201a〜201cに対応するLED321〜323を点灯し、検査対象物201dに対応するLEDを消灯する。その結果、作業者は、検査対象物201dは、誤った色の検査対象物であると認識できる。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る検査装置1は、各検査対象物に対して、1又は2以上の色検出センサの出力値を統計的に判断し、各検査対象物の色の正誤を判断する。そのため、本実施形態に係る検査装置1は、表面が異なる色で構成された検査対象物であっても、検査対象物の色の正誤を判断できる。特に、本実施形態に係る検査装置1は、周方向に異なる色で構成された検査対象物の色の正誤判断に貢献する。そのため、本実施形態に係る検査装置1においては、作業者が目視で、検査対象物の色を判断する必要がなく、作業者の負担低減に貢献する。
【0073】
また、本実施形態に係る検査装置1は、作業者が目視で、検査対象物の色を判断する必要が無いため、配線時間の短縮に貢献する。
【0074】
また、本実施形態に係る検査装置1は、検査対象物の色の正誤を判断し、判断結果を報知するため、配線ミスを低減することに貢献する。
【0075】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について詳細に説明する。
【0076】
本実施形態は、色検出センサの配置間隔と、各検査対象物の配置間隔が異なる場合であっても、各検査対象物の色の正誤を判断可能な形態である。なお、本実施形態における説明では、第1の実施形態と重複する部分の説明は省略する。さらに、本実施形態における説明では、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
本実施形態に係る検査装置1の全体構成の一例は、
図2に示す通りである。
【0078】
本実施形態に係る検査装置1の内部構成の一例は、
図5に示す通りである。
【0079】
本実施形態に係る合成色算出部81は、検査対象物と、当該検査対象物に隣接する、隣接検査対象物と、を組み合わせて合成色情報を算出する。そのため、本実施形態に係る合成色算出部81は、色検出センサの配置間隔と、各検査対象物の配置間隔が異なる場合であっても、合成色情報を算出できる。
【0080】
図10は、開口部21の一例を示す図である。
図10の場合、嵌入部2の内壁に、色検出センサ63a、63b、・・・63m、64a、64b、・・・64mが所定の間隔で配置される。そして、
図10の場合、色検出センサ63a、63b、・・・63m、及び色検出センサ64a、64b、・・・64mと異なる間隔で、検査対象物211a、211b、・・・211nが配置されている。
【0081】
図10の場合、色検出センサ63a、及び色検出センサ64aは、検査対象物211a、及び検査対象物211bからの反射光を受光する。そして、合成色算出部81は、検査対象物211a、及び検査対象物211bの色が混在した、合成色情報を算出する。また、色検出センサ63b、及び色検出センサ63bは、検査対象物211b、及び検査対象物211cからの反射光を受光する。そして、合成色算出部81は、検査対象物211b、及び検査対象物211cの色が混在した、合成色情報を算出する。
【0082】
そして、判断部82は、判断対象物を検査対象物211aとする場合、検査対象物211a、及び検査対象物211bの色が混在した、合成色情報に基づいて、色判定値を算出する。そして、判断部82は、算出した色判定値が所定の範囲内である場合、検査対象物211aが正しい色の検査対象物であると判断する。
【0083】
以上のように、本実施形態に係る検査装置1は、色検出センサの配置間隔と、各検査対象物の配置間隔が異なる場合であっても、各検査対象物の色の正誤を判断できる。そのため、本実施形態に係る検査装置1は、検査対象物の太さ、数に依存せず、各検査対象物の色の正誤を判断できる。従って、本実施形態に係る検査装置1は、検査対象物の数等を限定せず、多様な組み合わせの検査対象物を検査することに貢献する。
【0084】
また、本実施形態に係る検査装置1は、検査対象物の位置ずれにより、誤判断を行う可能性を低減できる。そのため、本実施形態にかかる検査装置1は、作業者が検査対象物を嵌め入れる際の、作業者の負担を低減する。従って、本実施形態にかかる検査装置1は、より一層、作業者の負担低減に貢献する。
【0085】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について詳細に説明する。
【0086】
本実施形態は、検査対象物の色、及び順序を推定し、推定した検査対象物の色、及び順序を、教師色情報、及び教師色順序として記憶する形態である。なお、本実施形態における説明では、第1の実施形態と重複する部分の説明は省略する。さらに、本実施形態における説明では、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
本実施形態に係る検査装置1の全体構成の一例は、
図2に示す通りである。
【0088】
図11は、本実施形態に係る検査装置1aの内部構成の一例を示す図である。
図5に示す検査装置1と、
図11に示す検査装置1aと、の相違点は、
図11に示す検査装置1aは、動作モード制御部83を含む点である。
【0089】
動作モード制御部83は、検査装置1aの動作モードを制御する。具体的には、本実施形態に係る検査装置1aは、判断モードと、学習モードの動作モードを含む。
【0090】
判断モードは、嵌入部2に嵌め入れられた、検査対象物の色の正誤を判断する動作モードである。判断モードの詳細は、上記の通りであるため、更なる説明を省略する。
【0091】
学習モードは、検査対象物の合成色情報、及び順序を、教師色情報、及び教師色順序として学習する動作モードである。動作モードが学習モードである場合、制御部8は、嵌入部2に嵌め入れられた対象物の合成色情報、及び順序を、教師色情報、及び教師色順序として記憶部7に記憶させる。
【0092】
動作モード制御部83は、操作部5に対する作業者の操作に基づいて、動作モードを切り替えることが好ましい。
【0093】
次に、本実施形態に係る検査装置1aの動作について説明する。
【0094】
図12は、本実施形態に係る検査装置1aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0095】
ステップS101において、色検出センサ6は、検査対象物の色を検出する。ステップS102において、合成色算出部81は、合成色情報を算出する。
【0096】
ステップS103において、動作モードが学習モードであるか否かを、動作モード制御部83は判断する。動作モードが学習モードである場合(ステップS103のYes分岐)には、ステップS104に遷移する。一方、動作モードが学習モードでない場合(ステップS103のNo分岐)には、ステップS105に遷移する。
【0097】
ステップS104において、制御部8は、合成色算出部81が推定した合成色情報と、色の順序を、教師色情報と、教師色順序として記憶部7に記憶させる。
【0098】
一方、動作モードが学習モードでない場合(ステップS103のNo分岐)には、動作モードが判断モードであるか否かを、動作モード制御部83は判断する(ステップS105)。動作モードが判断モードである場合(ステップS105のYes分岐)には、
図7に示すステップS3に遷移する。一方、動作モードが判断モードでない場合(ステップS105のNo分岐)には、制御部8は処理を終了する。
【0099】
例えば、作業者がLANケーブル等の挿入された装置の修理、及び再配線を行う場合を考える。その場合、作業者は、まずLANケーブル等が挿入された装置から、検査装置1aを用いて、LANケーブル等を取り外す。その際、作業者は、検査装置1aの動作モードを学習モードに設定した状態で、検査装置1aを用いて、LANケーブルを取り外すとする。その場合、検査装置1aは、LANケーブル等の線材の色、及び順序を、教師色情報、及び教師色順序として学習する。
【0100】
その後、作業者は、検査装置1aを用いて、再配線を行うとする。その場合、作業者は配線対象の線材を嵌入部2に嵌め入れる。そして、検査装置1aは、配線対象の線材が、再配線前の線材と、色、及び順序が一致するか否かを判断する。その結果、検査装置1aは、再配線を行う場合に、線材の色、順序の間違いに起因する配線ミスを防止することに貢献する。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る検査装置1aは、検査対象物の色、及び順序を推定し、推定した検査対象物の色、及び順序を、教師色情報、及び教師色順序として記憶する。そのため、本実施形態に係る検査装置1aは、検査対象物の色、及び順序を再現することに貢献する。そして、本実施形態に係る検査装置1aにおいては、作業者が検査対象物の色、及び順序を記憶する必要がない。従って、本実施形態に係る検査装置1aは、より一層、作業者の負担低減に貢献する。
【0102】
なお、上記した実施形態では、携帯可能な検査装置を例示して説明した。しかし、本発明に係る検査装置は、所定の位置に設置する装置(工作機械)等であっても良い。
【0103】
また、上記した実施形態では、検査対象物としてLANケーブル等の線材を例示して説明した。しかし、これは、検査対象物を線材に限定する趣旨ではない。検査対象物は、色の順序が定められた物体であれば、その詳細は問わない。例えば、建物の建材作り等に、本発明に係る検査装置を用いても良い。
【0104】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0105】
(付記1)上記第1の視点に係る検査装置の通りである。
【0106】
(付記2)前記判断手段は、所定の前記検査対象物について、前記色判定値が所定の範囲内である場合、当該検査対象物を、正しい色の検査対象物であると判断し、前記色判定値が所定の範囲内ではない場合、当該検査対象物を、誤った色の検査対象物であると判断する付記1に記載の検査装置。
【0107】
(付記3)前記合成色算出手段は、前記検査対象物の色と、当該検査対象物に隣接する隣接検査対象物の色と、を組み合わせて前記合成色情報を算出する付記1又は2に記載の検査装置。
【0108】
(付記4)前記合成色算出手段は、1又は2以上の色検出センサを含んで構成され、1又は2以上の前記検査対象物を嵌め入れ、前記各検査対象物を固定する嵌入部を備え、前記前記嵌入部の内壁に、所定の間隔で前記色検出センサを配置し、前記色検出センサは、1又は2以上の前記検査対象物の色を検出するように配置される付記1乃至3のいずれか一に記載の検査装置。
【0109】
(付記5)前記各検査対象物に対して、1又は2以上の前記色検出センサを配置し、
前記色検出センサは、前記各検査対象物に対して、周方向に異なる角度に配置される付記4に記載の検査装置。
【0110】
(付記6)前記合成色算出手段は、前記各検査対象物に対して、周方向に異なる角度に配置された前記色検出センサの出力値の統計値を算出し、前記統計値に基づいて、前記合成色情報を算出する付記5に記載の検査装置。
【0111】
(付記7)前記記憶手段は、前記合成色算出手段が推定した前記合成色情報を、前記教師色情報として記憶する付記1乃至6のいずれか一に記載の検査装置。
【0112】
(付記8)ユーザの指定する前記教師色情報、及び前記教師色順序を取得する教師色情報取得手段を備え、前記記憶手段は、前記教師色情報取得手段が取得した前記教師色情報、及び前記教師色順序を記憶する付記1乃至7のいずれか一に記載の検査装置。
【0113】
(付記9)前記判断手段の判断結果を報知する報知手段を備える付記1乃至8のいずれか一に記載の検査装置。
【0114】
(付記10)上記第2の視点に係る検査方法の通りである。
【0115】
(付記11)前記判断工程において、所定の前記検査対象物について、前記色判定値が所定の範囲内である場合、当該検査対象物を、正しい色の検査対象物であると判断し、前記色判定値が所定の範囲内ではない場合、当該検査対象物を、誤った色の検査対象物であると判断する付記10に記載の検査方法。
【0116】
(付記12)前記合成色算出工程において、前記検査対象物の色と、当該検査対象物に隣接する隣接検査対象物の色と、を組み合わせて前記合成色情報を算出する付記10又は11に記載の検査方法。
【0117】
(付記13)前記合成色算出工程において、前記各検査対象物に対して、周方向に異なる角度の1又は2以上の色の統計値を算出し、前記統計値に基づいて、前記合成色情報を算出する付記10乃至12のいずれか一に記載の検査方法。
【0118】
(付記14)前記記憶工程において、前記合成色情報を、前記教師色情報として記憶する付記10乃至13のいずれか一に記載の検査方法。
【0119】
(付記15)ユーザの指定する前記教師色情報、及び前記教師色順序を取得する教師色情報取得工程を含み、前記記憶工程において、前記教師色情報取得工程において取得された前記教師色情報、及び前記教師色順序を記憶する付記10乃至14のいずれか一に記載の検査装置。
【0120】
(付記16)上記第3の視点に係るプログラムの通りである。
【0121】
(付記17)前記判断処理において、所定の前記検査対象物について、前記色判定値が所定の範囲内である場合、当該検査対象物を、正しい色の検査対象物であると判断し、前記色判定値が所定の範囲内ではない場合、当該検査対象物を、誤った色の検査対象物であると判断する付記16に記載のプログラム。
【0122】
(付記18)前記合成色算出処理において、前記検査対象物の色と、当該検査対象物に隣接する隣接検査対象物の色と、を組み合わせて前記合成色情報を算出する付記16又は17に記載のプログラム。
【0123】
(付記19)前記合成色算出処理において、前記各検査対象物に対して、周方向に異なる角度の1又は2以上の色の統計値を算出し、前記統計値に基づいて、前記合成色情報を算出する付記16乃至18のいずれか一に記載のプログラム。
【0124】
(付記20)前記記憶処理において、前記合成色情報を、前記教師色情報として記憶する付記16乃至19のいずれか一に記載のプログラム。
【0125】
(付記21)ユーザの指定する前記教師色情報、及び前記教師色順序を取得する教師色情報取得処理を含み、前記記憶処理において、前記教師色情報取得処理において取得された前記教師色情報、及び前記教師色順序を記憶する付記16乃至20のいずれか一に記載のプログラム。
【0126】
なお、引用した上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。