【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、第1の発明は、回転筒、回転筒内に火炎を送るバーナー、回転筒を回転させるモータ、回転筒を支持する前後の枠フレームとローラー及びこれらを載せる架台とからなり、回転筒の後方から、使用済中子
砂投入口、排気筒、続いて予備加熱筒があり、前方には再生中子砂の取出口があり、回転筒の前先端部はバーナーと直結し、回転筒の内壁には、回転筒の底部の中子砂を掻揚げ、落下、分散させ、前方へ送る中子砂掻揚板が、前方に向け水平面よりやや下向きに付設され、更に回転筒の前方内側には、中子砂とバーナーからの火炎が通過する通過孔が空けられた燃焼筒が設けられ、使用済中子砂が、使用済中子砂投入口から回転筒内に投入され、中子砂掻揚板により、上昇・落下・分散を繰り返しつつ前方に移動しながら、回転筒内の予備加熱筒を通り、更に燃焼筒にて使用済中子砂の表面に付着したバインダを燃焼・溶融させ再生中子砂の取出口へと送るロータリーキルン型中子砂再生装置である。
【0010】
図1、
図2に中子砂再生装置1の正面図と右側面図の概略図を示す。回転筒3は、前枠フレーム2、後枠フレーム6、ローラー51に支持され、架台7に搭載されている。モータ5の回転がローラー51を介して回転筒3が回転される。回転筒3の前後方向は、中子砂の進行方向にあわせ、使用済中子砂投入口21部分を後方とし、再生中子砂の取出口部分61を前方とした。使用済中子砂投入口21では、中子砂は、使用済中子砂であり、回転筒3内では再生中の中子砂であり、再生中子砂の取出口61では、再生中子砂となっているために、適宜、使用済中子砂、中子砂、再生中子砂と表現した。尚、
図1、
図2は概略図であり、モータとローラーをつなぐ回転軸等の部品は記載されていない(以下同じ)。
【0011】
使用済中子砂投入口21から回転筒3に投入された使用済中子砂は、回転する回転筒3の内壁に付設された中子砂掻揚板33により、掻揚げられ、上方に運ばれ落下し、分散しながら予備加熱筒31内で加熱されつつ、中子砂掻揚板33の前方に向け水平面よりやや下向きの傾斜により前方に移動する。これを繰り返しながら中子砂は、燃焼筒32に進み、中子砂掻揚板33により、上昇・落下・分散を繰り返しながら燃焼筒32の通過孔34あるいは外壁面を複数回通過し、使用済中子砂の表面に付着したバインダを燃焼又は溶融して除去していき、再生中子砂の取出口61へと運ばれる。
【0012】
中子砂掻揚板33は、本願の特徴の1つである。中子砂掻揚板33は、回転筒3の水平面より前方に向けやや下向きに直線状に回転筒3の内壁に付設されている。中子砂掻揚板33は、コの字型となっていて、回転筒3の回転により、回転筒3の底部の中子砂を掻揚げ、上方に運び、落下させ分散させる。使用済中子砂は、既に粉砕されているといっても、細かな砂の1粒づつの表面にはバインダが付着し、触ると粘着性があることが分る。このバインダが付着した使用済中子砂は小さな砂の塊となっている場合もある。
そのため、回転筒3の底部にある使用済中子砂を、回転筒3の回転により、中子砂掻揚板33に掻揚げ、上方に運び、回転筒3の上方から落下し、中子砂を1粒づつの細かな砂に粉砕する。そして、バーナー4の熱が中子砂の表面に効率よく伝わり、表面に付着したバインダが燃焼・溶融される。
図2では、中子砂掻揚板33が、側面から見て、4本あり、断面はコの字型となっているが、中子砂を効率よく掻揚げ、回転筒3の回転にしたがい上方に運ばれ、落下することで足り、コの字型に限定するものではなく形状は問わず、更に中子砂掻揚板33の付設数も問わない。
また、中子砂掻揚板33は、
図1のように回転筒3内で後方から前方まで1本の直線状になっている必要はなく、短く区切った形状であってもよい。
本願の中子砂再生装置を使用して使用済中子砂を再生するには、約20分間必要であった。そのため、中子砂掻揚板33の水平面に対する後方への下向き傾斜角度を約5度で試作したが、その角度は任意である。
【0013】
ロータリーキルン型としたのは、加熱する物質を直接に燃料や加熱ガスと接触させる窯 (キルン) を使用し、キルンを回転しながら、使用済中子砂の再生を行なうためである。ロータリーキルンは、セメントの生産や、ゴミの焼却等に使用される。
本願に係る中子砂再生装置1を使用した場合、有機バインダは燃焼し除去できるが、無機バインダでは、再生中子砂の中に細粒状のシリコンボールが残存してしまう。しかし、このシリコンボールが残存しても中子砂として十分に再利用することができる。
【0014】
続いて、第2発明は、回転筒の内壁に、中子砂が一旦滞留する中子砂保持板を付設した第1発明の中子砂再生装置である。
【0015】
図3及び
図4には、回転筒3の内壁に第2発明の中子砂保持板36が付設した断面と正面からの配置概略図を示す。
使用済中子砂を再生するためには、中子砂掻揚板33による、掻揚げ、落下、分散を繰り返すことが必要であり、前述のように所定時間必要とする。回転筒3内の底部にある中子砂のすべてが、中子砂掻揚板33に掻揚げられるものではなく、底部に残存する中子砂もある。中子砂保持板36は、この残存した中子砂を一旦滞留させ、回転筒3の回転により上方に運び落下させ、中子砂掻揚板33に掻揚げられるようにするために回転筒3の内壁に付設するものである。
中子砂保持板36は、中子砂掻揚板33のような長いものではなく、回転筒3の内壁の中子砂掻揚板33の間に、中子砂の移動方向に対し略垂直に複数付設される。略垂直としたのは、中子砂を前方に移動させるため、緩やかな傾斜をつけてもよいためである。
中子砂保持板36は、中子砂の移動と反対方向すなわち後方に対しU字型とし、中子砂を一旦滞留しやすい形状とすることもよいが、形状は任意である。
【0016】
続いて、第3発明は、通過孔が設けられた燃焼筒を同心円状に多重にする第1発明又は第2発明いずれかの中子砂再生装置である。
【0017】
図5は、各種燃焼筒32と通過孔34の概略図であり、
図6は、バーナー4と燃焼筒32の配置概略図である。
燃焼筒32の通過孔34は、バーナー4からの燃料の完全燃焼を促す機能だけでなく、中子砂掻揚板33により掻揚、落下する中子砂を燃焼筒32の通過孔34に通過させ、あるいは燃焼筒32の表面に接触させて、燃焼・溶融させる機能も有している。この燃焼筒32を1つの筒で構成されるだけでなく、同心円状に2重、3重のように多重にすることにより、よりその効果が増すと考えられるためである。
図6では、バーナー4の近くでは、燃焼筒32は1本であり、その後方にやや径が細い燃焼筒32がつながり、その外側に同心円状に燃焼筒32が設けられ、燃焼筒32は2重となっている。
なお、バーナー4は、気体燃料、液体燃料を問わず使用することができる。
【0018】
続いて、第4発明は、回転筒の回転数を調整することができる第1発明から第3発明までのいずれかの中子砂再生装置である。
【0019】
バインダの種類あるいは付着量によっては、使用済中子砂の再生作業時間が異なってくる。本願の中子砂再生装置1は、使用済中子砂が前方に送られるように、中子砂掻揚板33は、回転筒3の後方より前方に向け水平面よりやや下向きに回転筒3の内壁に付設されている。そのため、回転筒3の回転数の増減により、再生時間は短縮あるいは延長することができる。回転数の調整は、一般にはモータ5に連動した制御盤8にて行なうが、これに限るものではない。
【0020】
続いて、第5発明は、回転筒の傾斜角度を調整することができる第1発明から第4発明までのいずれかの中子砂再生装置である。
【0021】
第4発明のように、回転筒3の回転数の増減により、再生時間を変えることが可能である。しかし、それだけでは再生時間の調整が困難な場合も考えられ、回転筒3そのものの傾斜角度を調整する機能を持たせるものである。
図1において、架台の後方脚部に回転筒3の傾斜を変えるための高さ調整治具72が付けられている。
【0022】
続いて、第6発明は、回転筒の壁面には、断熱材が設けられた第1発明から第5発明までのいずれかの中子砂再生装置である。
【0023】
本願の中子砂再生装置1は、燃焼筒32内部では、約750〜800℃になり、燃焼筒32の入った回転筒3の外面温度もかなりの高温となり、作業者が触れた場合には火傷等の恐れがある。また、エネルギの効率化のためにも、断熱施工をすることは当然である。回転筒3は外壁と内壁のある2重構造となっていてその間に断熱材35が入っている。