特許第5901043号(P5901043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 遠州鉄工株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社 松下工業の特許一覧

<>
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000002
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000003
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000004
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000005
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000006
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000007
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000008
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000009
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000010
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000011
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000012
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000013
  • 特許5901043-中子砂再生装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5901043
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】中子砂再生装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 5/00 20060101AFI20160324BHJP
【FI】
   B22C5/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-231682(P2015-231682)
(22)【出願日】2015年11月27日
【審査請求日】2015年12月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315017122
【氏名又は名称】遠州鉄工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】310017389
【氏名又は名称】株式会社 松下工業
(74)【代理人】
【識別番号】100132218
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木寿
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−117856(JP,A)
【文献】 実開平04−125043(JP,U)
【文献】 特表昭60−500945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転筒、回転筒内に火炎を送るバーナー、回転筒を回転させるモータ、回転筒を支持する前後の枠フレームとローラー及びこれらを載せる架台とからなり、回転筒の後方から、使用済中子砂投入口、排気筒、続いて予備加熱筒があり、前方には再生中子砂の取出口があり、回転筒の前先端部はバーナーと直結し、回転筒の内壁には、回転筒の底部の中子砂を掻揚、落下、分散させ、前方へ送る中子砂掻揚板が、前方に向け水平面よりやや下向きに付設され、更に回転筒の前方内側には、中子砂とバーナーからの火炎が通過する通過孔が空けられた燃焼筒が設けられ、使用済中子砂が、使用済中子砂投入口から回転筒内に投入され、中子砂掻揚板により、上昇・落下・分散を繰り返しつつ前方に移動しながら、回転筒内の予備加熱筒を通り、更に燃焼筒にて使用済中子砂の表面に付着したバインダを燃焼・溶融させ再生中子砂の取出口へと送るロータリーキルン型中子砂再生装置。
【請求項2】
回転筒の内壁に、中子砂が一旦滞留する中子砂保持板を付設した請求項1の中子砂再生装置。
【請求項3】
通過孔が設けられた燃焼筒を同心円状に多重にする請求項1又は請求項2いずれかの中子砂再生装置。
【請求項4】
回転筒の回転数を調整することができる請求項1から請求項3までのいずれかの中子砂再生装置。
【請求項5】
回転筒の傾斜角度を調整することができる請求項1から請求項4までのいずれかの中子砂再生装置。
【請求項6】
回転筒の壁面には、断熱材が設けられた請求項1から請求項5までのいずれかの中子砂再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済の中子砂を再生する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中子(なかご)とは、特に複雑な空洞が内部にある鋳物を造る時、空洞にあたる部分として、鋳型の中に挿入する砂型をいい、砂を型枠に入れ造られる。
主型と呼ばれる鋳型の中に、中子を入れ、鉄等の溶融金属を流し込むことによって金属を固化形成し、最後に砂型を崩壊することによって複雑な形状が造られる。例えば、鉄の溶融温度は、約1500℃であるが、こうした高熱に耐えられるように特殊な配合の砂を使用し、半冷却後、衝撃を与えて中子を崩壊し砂を取り出す。そのため、中子1個1個がすべて消耗品となる。
中子に使用される砂は、所定の種類・大きさ等に限定され、中子に求められる特性、(イ)耐熱性が高いこと(ロ)ガス発生量が少なく、ガス抜きがあること(ハ)砂崩壊性に優れていること(ニ)コストが安いことなどである。中子砂は、現在主にオールトラリアから輸入されている。
【0003】
中子は、所定の砂を粘結剤(以下、バインダとする)と混合し型枠に入れ、加熱等して成形して造られる。中子は消耗品であり、使用した中子は、粉砕され砂状になっているが、中子に使用する砂は、所定の種類や粒度を必要とし、その単価もある程度高価であるため、一度中子として使用した砂は、再利用換言すれば再生することが必要となる。しかし、使用済中子砂には、その表面にバインダが付着しているため、再生するためには、付着したバインダを除去する必要がある。バインダの除去は、後述するように機械的・物理的作用による方法あるいは、燃焼等による方法がある。バインダには有機系のものと無機系のものがあり、現在は有機系のバインダが多く使用されているが、揮発性有機化合物(VOC)の影響から、無機系バインダも使用され始めている。
燃焼させてバインダを除去する方法では、無機系のバインダは、有機系のものより、融点も高く、燃焼により無機系バインダは、有機系のそれに比較し、除去することが難しく、これまでの中子砂の再生装置では、砂間にシリコンの糸が生じ、再生とは、いえない状態になってしまう場合があった。
【0004】
本願発明者の居住地域は、輸送機メーカが多く存在し、その周辺技術も培養されてきた。こうした環境下、本願発明者は、業として、中子砂とバインダを攪拌し混合するいわゆる混練ミキサーの製造販売等を行なってきた。
そこで、本願発明者は、これまでの経験を踏まえ、有機バインダだけでなく無機バインダの使用済中子砂の再生装置の試作を行なった。
本願発明者は、無機バインダの融点が、有機バインダのそれより高いことに注目し、燃焼温度を高くすること、粉砕した使用済中子砂の表面が均等に燃焼されること、バーナーの直火があたらないようにすることに留意した。
そして、試行錯誤の結果、本願発明者は、ロータリーキルン型の中子砂再生装置を発明するに至った。
【0005】
中子砂の再生方法に関する先行技術文献としては、以下のようなものが見受けられる。
使用済鋳物砂を、鋳造後鋳型を解砕し更に粉砕して個々の砂粒子に分離した後に、該砂粒子にその外面を覆っている粘結剤分を破砕しうるのに十分な機械的衝撃を与え、更にそれを水洗浄してなおも静電気による帯電で砂粒子に付着していた部分を実質的に全て該砂粒子から除去することにより再生する使用済鋳物砂の再生方法(特許文献1)、
黒砂を焙焼してその黒砂の表面に付着している未然焼のベントナイト等の無機物を磁性体に変性する焙焼工程と、前記焙焼工程で処理された黒砂の表層の磁性体層を砥石で剥離する剥離工程と、前記剥離工程で剥離された磁性体に磁力を用いて黒砂から分離し、再生砂を得る磁選工程からなる鋳物砂の再生方法(特許文献2)、
砂中子を備えた金型によって鋳造されたアルミニウム鋳造品を溶体化する溶体化炉において、鋳造後の砂落とし前の鋳造品を投入する投入口が設けられた第一熱処理炉と、排出口が設けられた第二熱処理炉と、第一熱処理炉と第二熱処理炉との間に設けられたシャッターと、投入口から排出口まで鋳造品を搬送する鋳造品搬送用コンベヤと、第一熱処理炉内の鋳造品搬送用コンベヤの下方に設けられた砂搬送用コンベヤとを備え、鋳造品搬送用コンベヤは、鋳造品を載置する面がメッシュ状構造を有し、砂中子が崩壊された際の中子砂を下方へ通過させ、砂搬送用コンベヤ上に落下させるよう構成された溶体化炉(特許文献3)、
ロータとその中に配置した打撃手段をもつドラムを準備し、砂を上記ドラム内に各バッチ量を装填し、砂を高密度の打撃、剪断及び摩擦の力に曝し、力の強さを石英粒子の洗浄するために必要な力に適合させるために、ドラムとロータのうちの少なくとも1方の可変回転速度を調節する工程を含むことを特徴とする製造プロセスに使われた鋳物砂の再生方法(特許文献4)、等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−243682号公報
【特許文献2】特開平6−170485号公報
【特許文献3】特開2013−146741号公報
【特許文献4】特開平6−63691号公報
【0007】
特許文献1、特許文献2は、機械的、物理的作用による使用済鋳物砂の再生方法であり、中子砂やバインダの種類によっては再生することが難しい場合があり、特許文献3は、鋳造品を載置する面がメッシュ状構造を有し、砂中子が崩壊された際の中子砂を下方へ通過させ、砂搬送用コンベヤ上に落下させるよう構成された溶体化炉であり、使用済中子砂の具体的な再生方法は示されていない。また、特許文献4は物理的の作用による使用済中子砂の再生方法であり、有機あるいは無機バインダの両方を兼ねた使用済中子砂の再生装置ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、無機系あるいは有機系バインダを使用した使用済中子砂を効率よく再生する設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、第1の発明は、回転筒、回転筒内に火炎を送るバーナー、回転筒を回転させるモータ、回転筒を支持する前後の枠フレームとローラー及びこれらを載せる架台とからなり、回転筒の後方から、使用済中子砂投入口、排気筒、続いて予備加熱筒があり、前方には再生中子砂の取出口があり、回転筒の前先端部はバーナーと直結し、回転筒の内壁には、回転筒の底部の中子砂を掻揚げ、落下、分散させ、前方へ送る中子砂掻揚板が、前方に向け水平面よりやや下向きに付設され、更に回転筒の前方内側には、中子砂とバーナーからの火炎が通過する通過孔が空けられた燃焼筒が設けられ、使用済中子砂が、使用済中子砂投入口から回転筒内に投入され、中子砂掻揚板により、上昇・落下・分散を繰り返しつつ前方に移動しながら、回転筒内の予備加熱筒を通り、更に燃焼筒にて使用済中子砂の表面に付着したバインダを燃焼・溶融させ再生中子砂の取出口へと送るロータリーキルン型中子砂再生装置である。
【0010】
図1図2に中子砂再生装置1の正面図と右側面図の概略図を示す。回転筒3は、前枠フレーム2、後枠フレーム6、ローラー51に支持され、架台7に搭載されている。モータ5の回転がローラー51を介して回転筒3が回転される。回転筒3の前後方向は、中子砂の進行方向にあわせ、使用済中子砂投入口21部分を後方とし、再生中子砂の取出口部分61を前方とした。使用済中子砂投入口21では、中子砂は、使用済中子砂であり、回転筒3内では再生中の中子砂であり、再生中子砂の取出口61では、再生中子砂となっているために、適宜、使用済中子砂、中子砂、再生中子砂と表現した。尚、図1図2は概略図であり、モータとローラーをつなぐ回転軸等の部品は記載されていない(以下同じ)。
【0011】
使用済中子砂投入口21から回転筒3に投入された使用済中子砂は、回転する回転筒3の内壁に付設された中子砂掻揚板33により、掻揚げられ、上方に運ばれ落下し、分散しながら予備加熱筒31内で加熱されつつ、中子砂掻揚板33の前方に向け水平面よりやや下向きの傾斜により前方に移動する。これを繰り返しながら中子砂は、燃焼筒32に進み、中子砂掻揚板33により、上昇・落下・分散を繰り返しながら燃焼筒32の通過孔34あるいは外壁面を複数回通過し、使用済中子砂の表面に付着したバインダを燃焼又は溶融して除去していき、再生中子砂の取出口61へと運ばれる。
【0012】
中子砂掻揚板33は、本願の特徴の1つである。中子砂掻揚板33は、回転筒3の水平面より前方に向けやや下向きに直線状に回転筒3の内壁に付設されている。中子砂掻揚板33は、コの字型となっていて、回転筒3の回転により、回転筒3の底部の中子砂を掻揚げ、上方に運び、落下させ分散させる。使用済中子砂は、既に粉砕されているといっても、細かな砂の1粒づつの表面にはバインダが付着し、触ると粘着性があることが分る。このバインダが付着した使用済中子砂は小さな砂の塊となっている場合もある。
そのため、回転筒3の底部にある使用済中子砂を、回転筒3の回転により、中子砂掻揚板33に掻揚げ、上方に運び、回転筒3の上方から落下し、中子砂を1粒づつの細かな砂に粉砕する。そして、バーナー4の熱が中子砂の表面に効率よく伝わり、表面に付着したバインダが燃焼・溶融される。
図2では、中子砂掻揚板33が、側面から見て、4本あり、断面はコの字型となっているが、中子砂を効率よく掻揚げ、回転筒3の回転にしたがい上方に運ばれ、落下することで足り、コの字型に限定するものではなく形状は問わず、更に中子砂掻揚板33の付設数も問わない。
また、中子砂掻揚板33は、図1のように回転筒3内で後方から前方まで1本の直線状になっている必要はなく、短く区切った形状であってもよい。
本願の中子砂再生装置を使用して使用済中子砂を再生するには、約20分間必要であった。そのため、中子砂掻揚板33の水平面に対する後方への下向き傾斜角度を約5度で試作したが、その角度は任意である。
【0013】
ロータリーキルン型としたのは、加熱する物質を直接に燃料や加熱ガスと接触させる窯 (キルン) を使用し、キルンを回転しながら、使用済中子砂の再生を行なうためである。ロータリーキルンは、セメントの生産や、ゴミの焼却等に使用される。
本願に係る中子砂再生装置1を使用した場合、有機バインダは燃焼し除去できるが、無機バインダでは、再生中子砂の中に細粒状のシリコンボールが残存してしまう。しかし、このシリコンボールが残存しても中子砂として十分に再利用することができる。
【0014】
続いて、第2発明は、回転筒の内壁に、中子砂が一旦滞留する中子砂保持板を付設した第1発明の中子砂再生装置である。
【0015】
図3及び図4には、回転筒3の内壁に第2発明の中子砂保持板36が付設した断面と正面からの配置概略図を示す。
使用済中子砂を再生するためには、中子砂掻揚板33による、掻揚げ、落下、分散を繰り返すことが必要であり、前述のように所定時間必要とする。回転筒3内の底部にある中子砂のすべてが、中子砂掻揚板33に掻揚げられるものではなく、底部に残存する中子砂もある。中子砂保持板36は、この残存した中子砂を一旦滞留させ、回転筒3の回転により上方に運び落下させ、中子砂掻揚板33に掻揚げられるようにするために回転筒3の内壁に付設するものである。
中子砂保持板36は、中子砂掻揚板33のような長いものではなく、回転筒3の内壁の中子砂掻揚板33の間に、中子砂の移動方向に対し略垂直に複数付設される。略垂直としたのは、中子砂を前方に移動させるため、緩やかな傾斜をつけてもよいためである。
中子砂保持板36は、中子砂の移動と反対方向すなわち後方に対しU字型とし、中子砂を一旦滞留しやすい形状とすることもよいが、形状は任意である。
【0016】
続いて、第3発明は、通過孔が設けられた燃焼筒を同心円状に多重にする第1発明又は第2発明いずれかの中子砂再生装置である。
【0017】
図5は、各種燃焼筒32と通過孔34の概略図であり、図6は、バーナー4と燃焼筒32の配置概略図である。
燃焼筒32の通過孔34は、バーナー4からの燃料の完全燃焼を促す機能だけでなく、中子砂掻揚板33により掻揚、落下する中子砂を燃焼筒32の通過孔34に通過させ、あるいは燃焼筒32の表面に接触させて、燃焼・溶融させる機能も有している。この燃焼筒32を1つの筒で構成されるだけでなく、同心円状に2重、3重のように多重にすることにより、よりその効果が増すと考えられるためである。
図6では、バーナー4の近くでは、燃焼筒32は1本であり、その後方にやや径が細い燃焼筒32がつながり、その外側に同心円状に燃焼筒32が設けられ、燃焼筒32は2重となっている。
なお、バーナー4は、気体燃料、液体燃料を問わず使用することができる。
【0018】
続いて、第4発明は、回転筒の回転数を調整することができる第1発明から第3発明までのいずれかの中子砂再生装置である。
【0019】
バインダの種類あるいは付着量によっては、使用済中子砂の再生作業時間が異なってくる。本願の中子砂再生装置1は、使用済中子砂が前方に送られるように、中子砂掻揚板33は、回転筒3の後方より前方に向け水平面よりやや下向きに回転筒3の内壁に付設されている。そのため、回転筒3の回転数の増減により、再生時間は短縮あるいは延長することができる。回転数の調整は、一般にはモータ5に連動した制御盤8にて行なうが、これに限るものではない。
【0020】
続いて、第5発明は、回転筒の傾斜角度を調整することができる第1発明から第4発明までのいずれかの中子砂再生装置である。
【0021】
第4発明のように、回転筒3の回転数の増減により、再生時間を変えることが可能である。しかし、それだけでは再生時間の調整が困難な場合も考えられ、回転筒3そのものの傾斜角度を調整する機能を持たせるものである。図1において、架台の後方脚部に回転筒3の傾斜を変えるための高さ調整治具72が付けられている。
【0022】
続いて、第6発明は、回転筒の壁面には、断熱材が設けられた第1発明から第5発明までのいずれかの中子砂再生装置である。
【0023】
本願の中子砂再生装置1は、燃焼筒32内部では、約750〜800℃になり、燃焼筒32の入った回転筒3の外面温度もかなりの高温となり、作業者が触れた場合には火傷等の恐れがある。また、エネルギの効率化のためにも、断熱施工をすることは当然である。回転筒3は外壁と内壁のある2重構造となっていてその間に断熱材35が入っている。
【発明の効果】
【0024】
第1発明は、無機系あるいは有機系バインダを使用した使用済中子砂を効率よく再生する設備を提供するものである。特に、回転筒内に設けられた中子砂掻揚板と燃焼筒によりその効果が発揮される。第2発明は、中子砂の掻揚板33の作用をより効率化するものである。
第3発明は、バーナーの完全燃焼化と使用済中子砂の燃焼・溶融に効果がある。第4発明は、バインダの種類により、再生作業時間を適切にできることであり、第5発明は、第4発明だけでの再生作業時間の調整が困難な場合に傾斜角度を変化させて再生作業時間を調整するものである。第6発明は、作業の安全、作業環境の向上、更には省エネのためである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、中子砂再生装置の正面概略図である。
図2図2は、中子砂再生装置の右側面概略図である。
図3図3は、回転筒の中子砂保持板が付設した断面の配置概略図である。
図4図4は、回転筒の中子砂保持板が付設した正面からの配置概略図である。
図5図5は、各種燃焼筒と通過孔の概略図である。
図6図6は、バーナーと燃焼筒の概略図である。
図7図7は、中子砂再生装置の試作品の図である。
図8図8は、回転筒を回転させるためのモータとローラの図である。
図9図9は、後枠フレームとバーナーの図である。
図10図10は、バーナーを外したときの後枠フレームの図である。
図11図11は、後枠フレームから見た回転筒の内部の図である。
図12図12は、図11と同じ後枠フレームから見た回転筒の内部の図である。
図13図13は、使用済中子砂と再生済の中子砂の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本願の実施例を示す。
【実施例1】
【0027】
図7に本願の中子砂再生装置の試作品を示す。図7は、図1の正面概略図に対し、背面から見た図であり前後が逆となる。ホッパー71内に準備された使用済中子砂が、使用済中子砂投入口21から前枠フレーム2内の回転筒3に投入される。使用済中子砂は、図7の左側から、バーナー4のある右側に回転筒3内で、中子砂掻揚板33により、上昇・落下・分散を繰り返しながら回転筒3内にある燃焼筒32の通過孔34あるいは外壁面を通過し、使用済中子砂の表面に付着したバインダが燃焼又は溶融して除去され、後枠フレーム6内から再生中子砂の取出口61へと運ばれる。制御盤8は、中子砂再生装置の始動、停止、回転筒3の回転数等を制御する。この装置が架台7上に搭載されている。尚、排気筒22は、図示していないがその延長上に多段の除塵装置を設け環境に配慮している。
【0028】
図8は回転筒を回転させるためのモータ5とローラー51の図である。モータ5は、前方に向かい左側の架台上にあるため、図1では表示されても図7では表示されない。モータ5の回転力は、ローラー51に伝達され回転筒3が回転される。なお、モータの一部には商標が付されていたのでその部分は消去した。
【実施例2】
【0029】
図9は、後枠フレーム6とバーナー4の配置図である。後枠フレーム6の下方には再生中子砂の取出口61がある。
【0030】
図10は、バーナー4を外したときの後枠フレーム6の図であり、図11は、後枠フレーム6から見た回転筒3の内部の図である。回転筒3の内部には、通過孔34がある燃焼筒3が設けられている。更に、図12は、回転筒3内部の中子砂掻揚板33と中子砂保持板36の配置が示されている。中子砂掻揚板33は、C形鋼が使用され、回転筒3の後方から前方に複数本延びている。また、中子砂保持板36は、回転筒3内壁に対し垂直に固定され、U字型の形状が使用されている。
【実施例3】
【0031】
図13は、Aが使用済中子砂であり、Bが本願の中子砂再生装置を通した再生中子砂である。図13からではその相違がはっきり分からないが、指の感触では、前者は粘着性があるのに対し、後者はサラサラしているのでその異同は容易に分る。
【産業上の利用可能性】
【0032】
中子は、一般には知られていない分野ではあるが、輸送機器等の精密部品の生産には欠かせない技術である。中子砂は、粒度、材質だけでなく、1粒1粒の砂が丸みを帯びていることが必要であり、中子1個1個はすべて消耗品であるが、使用済中子砂の再生が必要である。本願の中子砂再生装置は、無機バインダを使用した使用済中子砂も再生することができるという利点があり、バインダが異なる中子砂をロット毎に再生することが可能である。これまでの使用済中子砂の再生装置とは異なり、構造が複雑ではないことから、安価で提供でき、需要が期待される。
【符号の説明】
【0033】
1 中子砂再生装置
2 前枠フレーム 21 使用済中子砂投入口 22 排気筒
3 回転筒 31予備加熱筒 32 燃焼筒 33 中子砂掻揚板
34 通過孔 35 断熱材 36中子砂保持板
4 バーナー
5 モータ 51 ローラー
6 後枠フレーム 61 再生中子砂の取出口
7 架台 71ホッパー 72 (架台の脚)高さ調整治具
8 制御盤
【要約】
【課題】有機バインダだけでなく無機バインダを使用した中子砂も再生できる中子砂再生装置。
【解決手段】回転筒、バーナー、モータ、排気筒、使用済中子砂の投入口、再生中子砂の取出口、及びそれらを支持する前後枠フレームよりなる中子砂再生装置であって、回転筒の内壁には、中子砂を掻揚る中子砂掻揚板が付設され、更に、回転筒の前方には、中子砂とバーナーからの炎が通過する通過孔が空けられた燃焼筒が設けられ、使用済中子砂が、後方の使用済中子砂投入口から回転筒内に投入され、中子砂掻揚板により、上昇・落下を繰り返しつつ、予備加熱筒を通り、更に燃焼筒にて使用済中子砂の表面に付着したバインダを燃焼・溶融させ再生中子砂の取出口へと送るロータリーキルン型中子砂再生装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13