(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、凸形状嵌合部と凹形状嵌合部とを嵌合させる場合には、高い精度が必要とされ、過剰に製造コストが増加する問題がある。
さらには、電磁妨害波を抑制するためには、少なくとも特定の間隔以下(例えば、ラジオノイズにおいては30mmピッチ以下)で基台と蓋とを接触させる必要がある。しかし、凸形状嵌合部と凹形状嵌合部との相対的な精度が低いと、凸形状嵌合部と凹形状嵌合部とが嵌合せず、基台と蓋との接触箇所が少なくなってしまうおそれがある。すなわち、隣り合う接触箇所の間隔が上記特定の間隔よりも大きくなるおそれがあり、電磁遮蔽が不十分となる。
【0006】
この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、基台と蓋との電気的な接続を容易に確保し、電磁妨害波を抑制することが可能な電磁遮蔽構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明の電磁遮蔽構造は、電子部品が配置される搭載面を有する基台と、一方向に開口し前記搭載面を覆う蓋と、を備え、前記蓋の開口端部には、前記基台に接触するように前記搭載面に対して傾斜した方向に突出し、変形可能な突出部が形成されて
おり、前記基台が、前記搭載面から突出して前記電子部品の搭載領域を囲む枠体部を有し、該枠体部が、前記開口端部に対応する形状を有し、前記突出部が、前記枠体部の突出方向先端に接触することを特徴としている。
【0008】
本発明の電磁遮蔽構造によれば、蓋を基台の搭載面に向けて押し付けることで突出部が変形して基台に押し付けられるため、突出部を確実に基台に接触させることができる。したがって、上記突出部を特定の間隔以下で蓋の開口端部に複数配列しておけば、確実に基台と蓋とを特定の間隔以下で電気的に接続して電磁遮蔽することが可能となる。
また、基台の搭載面に向けて押し付けることで容易に突出部を基台に接触させることができるので、基台、蓋、及び突出部の寸法を高い精度で設定する必要がなく、製造コストを低く抑えることもできる。
さらに、突出部は基台に接触するように蓋の開口端部から搭載面に対して傾斜した方向に突出する構成とされているので、蓋を基台に取り付けた状態でも突出部を蓋の外側から容易に視認できる。すなわち、突出部と基台との接触を視認して、良品と不良品との判別を容易に行うことが可能となる。
なお、ここで特定の間隔とは、電磁遮蔽する電磁波の周波数に応じた間隔であり、例えばラジオノイズの場合は30mmである。
【0010】
この構成では、基台が、搭載面から突出して電子部品の搭載領域を囲む枠体部を有し、この枠体部が、蓋の開口端部に対応する形状を有しているので、枠体部に蓋の開口端部を嵌め合わせて蓋の位置決めを容易に行うことができる。
さらに、突出部が枠体部の突出方向先端に接触する構成とされているので、基台と蓋とを特定の間隔以下で電気的に接続して電磁遮蔽することが可能となる。
ここで、開口端部に対応する枠体部の形状とは、開口端部の形状に応じて嵌めこみ、位置合わせが可能な形状のことを意味している。例えば、開口端部が矩形環状に形成されている場合には、枠体部も矩形環状に形成される。
【0011】
さらに、前記枠体部に、該枠体部の周面から突出する凸部が形成され、該凸部が、前記開口端部の周面に接触する構成とされても良い。
この構成では、枠体部の周面から突出する凸部が、蓋の開口端部の周面に接触しているので、例えば突出部の数が少なくても基台と蓋との接触箇所の数を十分に確保でき、基台と蓋とを特定の間隔以下で電気的に接続して確実に電磁遮蔽することが可能となる。
また、この凸部が枠体部の外周面から突出している場合は、搭載領域の面積を広く取ることができ、搭載される電子部品の配置面積を十分に確保できる。
さらには、枠体部の凸部が、蓋の開口端部に接触しているので、枠体部と蓋との位置ずれを抑制することができる。
【0012】
また、前記凸部が、前記枠体部の周方向に間隔をあけて複数配列され、前記突出部が、互いに隣り合う前記凸部の間において前記枠体部に接触する構成とされても良い。
隣接する凸部の間隔が狭いと蓋の開口端部が大きくたわみ、凸部が蓋の開口端部に接触できなくなる恐れがあるが、突出部が凸部の間において枠体部に接触する構成とすることにより、隣り合う凸部の間隔を拡大しても特定の間隔以下で基台と蓋とを電気的に接続することができる。したがって、蓋の開口端部がたわむことを抑制することでき、すべての凸部が蓋の開口端部に接触可能となる。
【0013】
さらに、前記開口端部が平面視矩形に形成され、前記突出部が、前記開口端部の各辺の中央に形成されていることが好ましい。
この構成では、突出部が開口端部の各辺の中央に形成されており、凸部が開口端部の各辺の中央に形成されている場合と比較して、開口端部のたわみを小さくすることができるので、凸部を確実に開口端部に接触させることが可能となる。
【0014】
また、前記突出部が、前記基台と前記蓋とをネジ止めする締結力によって前記基台に押し付けられている構成とされても良い。
この場合、ネジ止めの締結力によって、突出部が基台に押し付けられるので、確実に突出部を基台に接触させ、基台と蓋との電気的な接続を確保できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基台と蓋との電気的な接続を容易に確保し、電磁妨害波を抑制することが可能な電磁遮蔽構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
以下に、本発明の第一実施形態について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る電磁遮蔽構造1を示す。
図1(a)は電磁遮蔽構造1の側断面図、
図1(b)は(a)のA−A矢視断面図、
図1(c)は(b)においてa方向から見た時の側面図である。
電磁遮蔽構造1は、
図1(a)〜
図1(c)に示すように、基台10と、この基台10を覆う蓋20とを備えている。
【0018】
基台10は、電子部品が搭載される搭載面11を有している。この基台10は、導電性を有する金属材料で構成されている。本実施形態において、搭載面11は平坦とされており、この搭載面11には、例えばトランスや基板などをはじめとする電子部品が配置される。
【0019】
蓋20は、天板部21と側壁部22とを有し、一方向に開口し基台10の搭載面11を覆っている。本実施形態において、蓋20は平面視矩形に形成されている。この蓋20も、基台10と同様に導電性を有する金属材料で構成されている。
そして、蓋20の開口端部には、基台10に接触するように搭載面11に対して傾斜した方向に突出し、変形可能な突出部23が形成されている。なお、突出部23は、外力によって例えば弾性変形しても良いし、塑性変形しても良い。
【0020】
この突出部23は、蓋20の開口端部に複数形成されており、開口端部のそれぞれの長辺側に7箇所、開口端部のそれぞれの短辺側に5箇所の突出部23が形成されている。さらに、この隣り合う突出部23の間隔は、30mm以下に設定されている。この突出部23は、蓋20と一体的に形成されており、蓋20と同一の材質で構成されている。
【0021】
本実施形態において、蓋20の開口端部には、蓋20の外方に突出するネジ止め部24が形成されている。そして、この蓋20のネジ止め部24と基台10とが、ネジ30によって固定されており、このネジ止めの締結力によって基台10の突出部23が基台10に押し付けられるようになっている。
【0022】
次に、本実施形態に係る電磁遮蔽構造1の製造方法について説明する。まず、蓋20の製造方法について説明する。
蓋20を製造する際には、例えば
図2(a)、(b)に示すように、打ち抜き加工などにより、矩形状の天板部21と、この天板部21の各辺に接続された側壁部22とを有する金属平板50を形成する。このとき、側壁部22には突出部23が同時に形成される。また、ネジ止め部24も打ち抜き加工において同時に形成される。
【0023】
その後、折れ線Aに沿って曲げ加工が行われることで、一方向に開口した蓋20が構成される。また、突出部23は、
図3(a)に示す状態から、蓋20の内方に向かって曲げ加工が行われ、
図3(b)に示すように傾斜した形状とされる。さらに、蓋20のネジ止め部24を蓋20の外方に曲げる。以上により、突出部23を有する蓋20の製造が完了する。
なお、前述したように曲げられた突出部23は、基台10に接触するように搭載面11に対して傾斜した方向に突出する。具体的に説明すれば、突出部23の突出方向は、側壁部22の内側に向かうにしたがって天板部21の周縁から延びる側壁部22の延出方向に延びる(進行する)ように設定されている。また、本実施形態では、突出部23の突出方向先端部が、蓋20の開口端部よりも側壁部22の延出方向に突出する。
【0024】
この蓋20を基台10の所定の場所に配置し、ネジ止め部24にネジ30を挿通して基台10側にこのネジ30をねじ込んで基台10と蓋20とを固定する。これにより、突出部23は基台10に対してたわむように変形して基台10に接触する。この突出部23の変形は、弾性変形あるいは塑性変形のいずれであってもよい。
以上により、本実施形態に係る電磁遮蔽構造1の製造が完了する。
【0025】
本実施形態に係る電磁遮蔽構造1によれば、開口端部には基台10に接触するように搭載面11に対して傾斜した方向に突出し、変形可能な突出部23が形成されているので、蓋20を基台10の搭載面11に向けて押し付けることで突出部23がたわむように変形して基台10に押し付けられるため、突出部23を確実に基台10に接触させることができる。
したがって、突出部23を特定の間隔以下で蓋20の開口端部に複数配列しておけば、確実に基台10と蓋20とを特定の間隔以下で電気的に接続して電磁遮蔽することが可能となる。
【0026】
本実施形態において、開口端部の長辺側に7箇所の突出部23が配置され短辺側に5箇所の突出部23が配置されているので、確実に蓋20と基台10とを電気的に接続し電磁遮蔽できる。また、隣接する突出部23の間隔は、30mm以下に設定されているので、ラジオノイズを遮蔽可能である。
【0027】
また、基台10、蓋20、及び突出部23の寸法を高い精度で設定しなくても、容易に突出部23を基台10に接触させることができるので、製造コストを低く抑えることもできる。
【0028】
さらに、突出部23は蓋20の開口端部から搭載面11に向けて斜め方向に伸びているため、蓋20を基台10に取り付けた状態でも突出部23を蓋20の外側から容易に視認できる。すなわち、突出部23と基台10との接触を視認して、良品と不良品との判別を容易に行うことが可能となる。
【0029】
また、本実施形態において、突出部23が、基台10と蓋20とをネジ止めする締結力によって前記基台10に押し付けられているので、確実に突出部23を基台10に接触させ、基台10と蓋20との電気的な接続を確保できる。
【0030】
なお、第一実施形態において、開口端部の長辺側に7箇所の突出部23が配置され短辺側に5箇所の突出部23が配置されている場合について説明したが、例えば
図4に示す電磁遮蔽構造1Aのように、開口端部の各辺に幅広の突出部23Aが一つずつ形成されていても良い。この構成では、各突出部23Aの幅方向全域を基台10に接触させればよく、これによって、基台10と蓋20とを特定の間隔以下で電気的に接続することが可能となる。すなわち、突出部の数は特に限定されるものではなく、少なくとも基台10と蓋20との接触箇所の間隔が特定の間隔よりも狭くなるように、突出部の数や配置を設定すればよい。
【0031】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、ネジ止め部とネジの構成については、第一実施形態と同様であるので、同一の符号で記載する。
図5に、本発明の第二実施形態に係る電磁遮蔽構造101を示す。
図5(a)は電磁遮蔽構造101の側断面図、
図5(b)は(a)のB−B矢視断面図、
図5(c)は(b)においてb方向から見た時の側面図である。
電磁遮蔽構造101は、
図5(a)〜
図5(c)に示すように、基台110と、この基台110を覆う蓋120とを備えている。
【0032】
基台110は、電子部品が搭載される搭載面111を有している。この基台110は、導電性を有する金属材料で構成されている。第二実施形態において、基台110は、搭載面111から突出して電子部品の搭載領域113を囲む枠体部112を有している。
枠体部112は、蓋120の開口端部に対応する形状を有しており、平面視矩形に形成されている。この枠体部112は基台110と一体に形成されており、基台110と同じ材質で構成されている。第二実施形態では、基台110の搭載面111のうち枠体部112に囲まれた領域が、例えばトランスや基板などの電子部品が配置される搭載領域113となる。
【0033】
蓋120は、天板部121と側壁部122とを有し、一方向に開口し基台110の搭載面111を覆っている。本実施形態において、蓋120は平面視矩形に形成されており、枠体部112の外周面側に蓋120の開口端部の内周面側が配置されている。この蓋120も、基台110と同様に、導電性を有する金属材料で構成されている。
そして、蓋120の開口端部には、基台110に接触するように搭載面111に対して傾斜した方向に突出し、変形可能な突出部123が形成されている。なお、突出部123は、外力によって例えば弾性変形してもよいし、塑性変形してもよい。
【0034】
この突出部123は、蓋120の開口端部に複数形成されており、開口端部のそれぞれの長辺側に7箇所、開口端部のそれぞれの短辺側に5箇所の突出部123が形成されている。さらに、この隣り合う突出部123の間隔は、30mm以下に設定されている。この突出部123は、蓋120と一体的に形成されており、蓋120と同一の材質で構成されている。
第二実施形態において、これらの突出部123は、基台110の枠体部112と接触するように配置されている。
【0035】
蓋120の開口端部には、開口端部の外周側から蓋120の外方に突出するネジ止め部24が形成されている。そして、この蓋120のネジ止め部24と基台110とが、ネジ30によって固定されており、このネジ止めの締結力によって基台110の突出部123が基台110に押し付けられるようになっている。
【0036】
次に、第二実施形態に係る電磁遮蔽構造1の製造方法について説明する。まず、蓋の製造方法について説明する。
蓋120を製造する際には、例えば
図6(a)、(b)に示すように打ち抜き加工などにより、矩形状の天板部121と、この天板部121の各辺に接続された側壁部122とを有する金属平板150を形成する。このとき、側壁部122には突出部123が同時に形成される。第二実施形態において、この突出部123は側壁部122から突出しないように形成される。また、ネジ止め部24も打ち抜き加工において同時に形成される。
【0037】
その後、折れ線Aに沿って曲げ加工が行われることで一方向に開口した蓋120が構成される。また、突出部123は、蓋120の内方に向かって曲げ加工が行われ、搭載領域113に向かう方向に曲げられる。さらに、蓋120のネジ止め部24を蓋120の外方に曲げる。以上により、突出部123を有する蓋120の製造が完了する。
なお、前述したように曲げられた突出部123は、基台110に接触するように搭載面111に対して傾斜した方向に突出する。ただし、第二実施形態では、突出部123の突出方向先端部が、蓋120の開口端部よりも側壁部122の延出方向に突出せず、突出部123全体が蓋120内部に収容される。
【0038】
この蓋120を基台110の枠体部112に嵌めこみ、ネジ止め部24にネジ30を挿通して基台110側にネジ30をねじ込んで基台110と蓋120とを固定する。これにより、突出部123は基台110の枠体部112に対してたわむように変形し、基台110に接触する。この突出部123の変形は、弾性変形あるいは塑性変形のいずれであってもよい。
以上により、本実施形態に係る電磁遮蔽構造101の製造が完了する。
【0039】
第二実施形態に係る電磁遮蔽構造101によれば、蓋120を基台110の搭載面111に向けて押し付けることで突出部123がたわむように変形して基台110に押し付けられるため、第一実施形態と同様に、突出部123を確実に基台110に接触させることができる。したがって、突出部123を特定の間隔以下で蓋120の開口端部に複数配列しておけば、確実に基台110と蓋120とを特定の間隔以下で電気的に接続して電磁遮蔽することが可能となる。
【0040】
また、第二実施形態において、基台110が、搭載面111から突出して電子部品の搭載領域113を囲む枠体部112を有し、この枠体部112が、蓋120の開口端部に対応する形状を有しているので、枠体部112に蓋120の開口端部を嵌め合わせて蓋120の位置決めを容易に行うことができる。さらに、突出部123が枠体部112の突出方向先端に接触する構成とされているので、突出部123を枠体部112に確実に接触させることができ、基台110と蓋120とを特定の間隔以下で電気的に接続して電磁遮蔽することが可能となる。
【0041】
また、基台110、枠体部112、蓋120、及び突出部123の寸法を高い精度で設定しなくても、容易に突出部123を枠体部112に接触させ、基台110と蓋120を電気的に接続することができるので、製造コストを低く抑えることもできる。
さらに、基台110に枠体部112が形成されているため、蓋120の製造時の打ち抜き加工において、突出部123が側壁部122から突出しないように形成できる。このため、突出部123を有する蓋120の打ち抜き加工に用いる金型形状を簡略化でき、製造コスト削減を図ることも可能となる。
【0042】
さらに、突出部123は蓋120の開口端部から搭載面111に向けて斜め方向に伸びているため、蓋120を基台110に取り付けた状態でも突出部123を蓋120の外側から容易に視認できる。すなわち、突出部123と基台110との接触を視認して、良品と不良品との判別を容易に行うことが可能となる。
【0043】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態について説明する。なお、ネジ止め部とネジの構成については、第一実施形態と同様であるので、同一の符号で記載する。
図7に、本発明の第三実施形態に係る電磁遮蔽構造201を示す。
図7(a)は電磁遮蔽構造201の側断面図、
図7(b)は(a)のC−C矢視図(平面図)、
図7(c)は(b)においてb方向から見た時の側面図である。
第三実施形態に係る電磁遮蔽構造201は、
図7(a)〜
図7(c)に示すように、基台210と、この基台210を覆う蓋220とを備えている。
【0044】
基台210は、電子部品が搭載される搭載面211を有している。この基台210は、導電性を有する金属材料で構成されている。第三実施形態において、基台210は、搭載面211から突出して電子部品の搭載領域213を囲む枠体部212を有している。基台210の搭載面211のうち枠体部212に囲まれた領域が、例えばトランスや基板などの電子部品が配置される搭載領域213となる。
枠体部212は、蓋220の開口端部に対応する形状を有しており、平面視矩形に形成されている。さらに、第三実施形態の枠体部212には、枠体部212の外周面から突出する凸部214が複数形成されており、凸部214は蓋220の開口端部の内周面と接触可能とされている。これらの複数の凸部214は、開口端部の周方向に間隔をあけて配列されている。
【0045】
蓋220は、天板部221と側壁部222を有し、一方向に開口し基台210の搭載面211を覆っている。本実施形態において、蓋220は平面視矩形に形成されており、開口端部の内周面が上述の凸部214と接している。この蓋220も、基台210と同様に、導電性を有する金属材料で構成されている。
そして、蓋220の開口端部には、基台210に接触するように搭載面211に対して傾斜した方向に突出し、変形可能な突出部223が形成されている。なお、突出部223は、外力によって例えば弾性変形してもよいし、塑性変形してもよい。
【0046】
この突出部223は、蓋220の開口端部に複数形成されており、開口端部のそれぞれの長辺側に3箇所、開口端部のそれぞれの短辺側に3箇所の突出部223が形成されている。この突出部223は、蓋220と一体的に形成されており、蓋220と同一の材質で構成されている。これらの突出部223は、基台210の枠体部212と接触するように配置されている。
第三実施形態においては、
図7(b)に示すように、突出部223と凸部214とが開口端部の周方向に沿って交互に配置されており、突出部223と凸部214との間隔が30mm以下となるように設定されている。
【0047】
蓋220の開口端部には、開口端部の外周側から蓋220の外方に突出するネジ止め部24が形成されている。そして、この蓋220のネジ止め部24と基台210とが、ネジ30によって固定されており、このネジ止めの締結力によって基台210の突出部223が基台210に押し付けられるようになっている。
【0048】
第三実施形態に係る電磁遮蔽構造201によれば、蓋220を基台210の搭載面211に向けて押し付けることで突出部223がたわむように変形して基台210に押し付けられるため、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、突出部223を確実に基台210に接触させることができる。したがって、突出部223を特定の間隔以下で蓋220の開口端部に複数配列しておけば、確実に基台210と蓋220とを特定の間隔以下で電気的に接続して電磁遮蔽することが可能となる。
【0049】
また、枠体部212の周面から突出する凸部214が、蓋220の開口端部の周面に接触しているので、突出部223の数が少なくても基台210と蓋220との接触箇所の数を十分に確保でき、基台210と蓋220とを特定の間隔以下で電気的に接続して確実に電磁遮蔽することが可能となる。
【0050】
また、隣り合う凸部214の間隔が狭いと蓋220の開口端部が大きくたわみ、凸部214が蓋220の開口端部に接触できなくなる恐れがあるが、突出部223が凸部214の間において枠体部212に接触する構成とすることにより、隣り合う凸部214の間隔を拡大しても特定の間隔以下で基台210と蓋220とを電気的に接続することができる。したがって、蓋220の開口端部がたわむことを抑制することでき、すべての凸部214が蓋220の開口端部に接触可能となる。
【0051】
さらに、凸部214が枠体部212の外周面から突出し開口端部に接触するため、
図8に示すように、搭載領域213を狭くすることなく基台210と蓋220との電気的な接続を確保することができ、電子部品240の配置面積を広く取ることが可能となる。また、
図8に示すように、隣接する突出部223の間に電子部品240を配置することもできる。
さらには、枠体部212の複数の凸部214が、蓋220の開口端部に接触しているので、枠体部212と蓋220との位置ずれを抑制することができる。
【0052】
さらに、第三実施形態において、突出部223が開口端部の各辺の中央に形成されていることで、凸部214が開口端部の各辺の中央に形成されている場合と比較して、開口端部のたわみを小さくすることができるので、凸部214を確実に開口端部に接触させることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の実施形態である電磁遮蔽構造について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
なお、上記の実施形態において、基台と蓋をネジ止めで固定する場合について説明したが、溶接や接着剤によって固定する構成とされても良い。
【0055】
また、上記の実施形態において、蓋や枠体部が平面視矩形の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、環状などの他の形状であっても良い。
また、開口端部に形成される突出部の幅・高さ・数は、遮蔽構造の設計に応じて適宜設定されれば良い。
【0056】
また、第二実施形態及び第三実施形態では、枠体部の外周面側に蓋が配置される場合について説明したが、枠体部の内周面側に蓋が配置されても良い。この場合、突出部を蓋の外方に曲げれば良い。また、第三実施形態においては、凸部を枠体部の内周面に形成すれば良い。