特許第5901080号(P5901080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901080
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】緩衝板及びこの緩衝板を内蔵した靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/18 20060101AFI20160324BHJP
   A43B 7/32 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   A43B13/18
   A43B7/32
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-150184(P2014-150184)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-22271(P2016-22271A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2015年2月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510020594
【氏名又は名称】マイクロインテレクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 孝弘
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−203(JP,A)
【文献】 特開昭60−253402(JP,A)
【文献】 特開2011−125553(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第2032760(GB,A)
【文献】 米国特許第5528842(US,A)
【文献】 特表2008−517711(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0285040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00−23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状で弾性を有し、頂部が外方へ凸の弧状に湾曲すると共に、頂点を通る中心線を挟んだ両側に、それぞれ中心線方向へ湾曲して突出した折り返し部と逆方向へ湾曲して突出した折り返し部とが連続して複数形成された縦断面形状のスプリング部を、上下逆向きに交互に連続して複数本配置したことを特徴とする緩衝
【請求項2】
前記スプリング部の断面は、前記中心線方向へ突出する折り返し部どうし、及び、逆方向へ突出する折り返し部どうしが前記中心線を挟んで対向している形状であることを特徴とする請求項1に記載の緩衝
【請求項3】
靴底部のつま先部から踵部に亘って設けられ、土踏まず部分より前側のつま先部分及び後側の踵部分に、それぞれ複数本の前記緩衝構造が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝板。
【請求項4】
前記つま先部分及び踵部分が足幅方向に複数に分岐しており、各分岐部にそれぞれ複数本の前記緩衝構造が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の緩衝板。
【請求項5】
土踏まず部分に複数本の前記緩衝構造が、外側から内側に向かって広がる放射状に設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の緩衝板。
【請求項6】
前記つま先部分及び踵部分が低く、土踏まず部分が高いアーチ状に湾曲していることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の緩衝板。
【請求項7】
靴底部のつま先部に設けられる前部緩衝板と、該前部緩衝板の後方に設けられる後部緩衝板とから成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝板。
【請求項8】
請求項1〜8のいずれかに記載の緩衝板が靴底部に内蔵されていることを特徴とする
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底部等に設ける緩衝板、及びこの緩衝板を内蔵した靴に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行や運動の際に靴が接地すると、地面から受ける衝撃で足が疲労し、衝撃が強かったり、長時間運動を継続した場合は足を傷める心配もあった。
そこで、従来、垂直方向の荷重が加わると圧縮されて衝撃を吸収し、荷重が取り除かれた時に復元する緩衝装置が種々知られている。
例えば、特許文献1には、空気室を備えた靴のソール部に搭載される緩衝装置が記載されている。しかし、この緩衝装置は、急激に強い衝撃が加わると空気室が破損する心配があり、破損を避けるために硬い材質で空気室を形成すると、衝撃緩和効果が低下してしまう。
【0003】
また、特許文献2には、靴底に開閉可能な上板及び下板を設け、上板と下板の間にコイルバネを介在した靴が開示されているが、この靴は、接地による衝撃をコイルバネの部分で受け止めるため、狭い面積に大きな負荷がかかって、破損の原因となるばかりか、使用者への負担も大きかった。
特許文献3には、中敷き本体の爪先側に、弾性を有し、先方に向かうに従い高さが次第に高くなる傾斜体が設けられている靴の中敷きが記載されている。この中敷きは、緩衝部分である傾斜体を設ける位置や数が限られてしまい、運動特性等に応じて自由に傾斜体を設置し難いという欠点があった。
【0004】
さらに、特許文献4には、上プレートと、下プレートと、上プレートと下プレートとの間に配置された複数の支柱部材を備え、隣接する支柱部材は同じ方向を向いたC形断面を有する履物用のミッドソールが開示されている。
しかし、このミッドソールは、支柱部材の断面が一側へ凸に湾曲したC形に形成されているので、荷重が加わると支柱部材が常に一方向へ大きく変形し、上プレートと下プレートも平行にずれ易く、長期間使用すると元の形状に復帰し難くなる心配があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−514092号公報
【特許文献2】特開平5−293001号公報
【特許文献3】特開2010−284212号公報
【特許文献4】特表2008−532618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、構造が簡単であり、運動等によって加わる衝撃を広い面で吸収して足等への負担を軽減すると共に、次の運動エネルギーへ転換することができ、破損や劣化を起こし難い緩衝板及び靴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の緩衝は、頂部が外方へ凸の弧状に湾曲すると共に、頂点を通る中心線を挟んだ両側に、それぞれ中心線方向へ湾曲して突出した折り返し部と逆方向へ湾曲して突出した折り返し部とが連続して複数形成された縦断面形状のスプリング部を、上下逆向きに交互に連続して複数本配置して成る
前記スプリング部の断面は、前記中心線方向へ突出する折り返し部どうし、及び、逆方向へ突出する折り返し部どうしが前記中心線を挟んで対向している形状であってもよい。
底部のつま先部から踵部に亘って設けられ、土踏まず部分より前側のつま先部分及び後側の踵部分に、それぞれ複数本の前記スプリング部が設けられることがある。
【0008】
この場合、前記つま先部分及び踵部分を足幅方向に複数に分岐し、各分岐部にそれぞれ複数本の前記スプリング部を形成してもよい。
また、前記土踏まず部分に複数本の前記スプリング部を、外側から内側に向かって広がる放射状に形成してもよい。
前記つま先部分及び踵部分が低く、土踏まず部分が高いアーチ状に湾曲しているとよい。
靴底部のつま先部に設けられる前部緩衝板と、該前部緩衝板の後方に設けられる後部緩衝板とから成ることがある。
本発明の靴は、前記緩衝板が靴底部に内蔵されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スプリング部によって衝撃を吸収するので、足などへの負担が軽減され、吸収した衝撃が次の運動へのエネルギーに効率的に転換される。
また、スプリング部は板体を複数回折り返して上下に重ねた形状の断面を有するので、垂直方向の衝撃が加わった時に上下方向に変形して衝撃を吸収し、水平方向に変形し難く、緩衝を搭載した靴などが水平方向の応力で破損するのを防止でき、しかも、空気室を内蔵したもののように、急激に加わる衝撃で空気室が破れる恐れもない。
さらに、スプリング部は、断面の中心線方向へ突出した折り返し部と逆方向へ突出した折り返し部とが連続した形状であるため、これら互いに逆側へ突出する部分が撓みの挙動を打ち消し合い、しかも、複数の屈曲点を持つことで弾性性能が高まり、この結果、いっそう衝撃緩和効果が向上する。また、緩衝構造毎に3つ以上の支点を有するため、荷重が加わった時に緩衝構造が安定して伸縮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1を示す緩衝板の平面図である。
図2】本発明の実施例1を示す緩衝板の側面図である。
図3】本発明に係る緩衝板の断面図であり、(イ)、(ロ)は参考例、(ハ)は実施例1の緩衝板を示す
図3-1】本発明に係る緩衝板の断面図であり、(イ)、(ハ)は参考例、(ロ)、(ニ)は実施例1の緩衝板を示す
図4】本発明の実施例1に係る靴の側面図である。
図5】本発明の実施例2を示す緩衝板の平面図である。
図6】本発明の実施例2を示す緩衝板の側面図である。
図7】本発明の実施例3を示す緩衝板の平面図である。
図8】本発明の実施例3を示す緩衝板の側面図である。
図9】本発明の実施例4に係る靴底部の断面図である。
図10参考例を示す緩衝板の側面図である。
図11参考例を示す緩衝板の側面図である。
図12】スプリング部の第2の態様を示す平面図である。
図13】スプリング部の第3の態様を示す平面図である。
図14参考例を示すスプリング部の断面図である。
図15参考例を示すスプリング部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1図4は、本発明の実施例1を示す。
図4に示すように、靴2の靴底部2aに緩衝板1がつま先部から踵部に亘って内蔵されている。
緩衝板1の素材としては、チタン、ステンレス、FRP(CFRP)等が適しているが、カーボン、アルミニウムを含む軽量合金等とすることもできる。なお、金属を用いる場合は、靴2の靴底部の素材との親和性を高めるために、緩衝板1の外面にシリコンなどの樹脂素材をコーティングすることが望ましい。
【0012】
図1及び図2に示すように、緩衝板1は、1枚の板体から足の形状に合わせて、足の土踏まずの下方に位置する土踏まず部分3と、土踏まず部分3より前側のつま先部分4と、土踏まず部分3より後側の踵部分5とを一体に形成してある。
また、緩衝板1は、つま先部分4及び踵部分5が低く、土踏まず部分3が高いアーチ状に湾曲しており、土踏まず部分3はつま先部分4及び踵部分5よりも幅狭くなっている。
通常、人の足の土踏まずは、親指側(内側)が小指側(外側)より深く窪んでいるので、緩衝板1の土踏まず部分3も内側が高く隆起している。なお、緩衝板1の湾曲程度は、靴2の寸法、靴2を着用して行うスポーツの種類等によって調整する。
【0013】
緩衝板1のつま先部分4及び踵部分5にはそれぞれ帯状のスプリング部6が複数本設けられている。
スプリング部6は、図3の(ハ)及び図3−1の(ロ)、(ニ)に示すように、頂部が外方へ凸の弧状に湾曲すると共に、頂点を通る中心線Lを挟んだ両側に、それぞれ中心線L方向へ湾曲して突出した折り返し部と逆方向へ湾曲して突出した折り返し部とが連続して複数形成された形状の断面を有する。実施例1では、緩衝板1を構成する板体を、それぞれ上下に間隔をあけて重ねながら、中心線Lより前側において前上方へ折り返し、さらに、後上方へ折り返し、次に、中心線Lより後側において前下方へ折り返し、その後、後下方へ折り返して、中心線L方向へ突出する折り返し部6aどうし、及び逆方向へ突出する折り返し部6bどうしが中心線Lを挟んで対向する略Ω形状の断面を有するスプリング部6を形成してある。
【0014】
スプリング部6の幅、高さ及び折り返し部分の形状は靴底部2aの厚み等によって適宜変更することができる。例えば、図3の(ハ)に示すように、スプリング部6の頂面6d、折り返し部6a、折り返し部6b、折り返し部6aと折り返し部6bとの接続部分6cを連続した弧状に形成しても良い。
【0015】
或いは、図3−1の(ロ)に示すように、上方に凸に湾曲した横長の部分楕円形と、下方に凸に湾曲した横長の部分楕円形を連続して交互に形成して、上向きのスプリング部6と下向きのスプリング部6を交互に配置した形状としてもよい。
さらに、上記した各スプリング部6の内、異なる形状の上向きのスプリング部6と下向きのスプリング部6とを交互に配置することもできる。例えば、図3−1の(ニ)に示すように、図3−1の(ロ)のような上向きのスプリング部6と、図3の(ハ)のような下向きのスプリング部6とを交互に設けてもよい。
【0016】
このようにスプリング部6の断面を中心線Lに対して対称の形状にすると、荷重が加わった時に、中心線L方向へ突出する折り返し部6aどうし、及び逆方向へ突出する折り返し部6bどうしに逆向きの力が働いて挙動を打ち消し合うため、緩衝効果が増すが、必ずしも対称の形状にする必要はない。また、スプリング部6ごとに、頂点及び両側底部にそれぞれ支点α,β,γを有するため、荷重が加わった時にスプリング部6が安定して伸縮する。
なお、隣接するスプリング部6の寸法及び形状を互いに変えることも可能である。
図1に示すように、つま先部分4の前端部を除いた部分及び踵部分5に設けたスプリング部6は足幅方向に沿って形成されているが、つま先部分4の前端部両側に形成されたスプリング部6は、前端が足幅の中心に近付くよう傾斜している。
【0017】
この緩衝板1を靴2の靴底部に内蔵すると、靴底部が接地した時に垂直方向の負荷が加わるが、土踏まず部分3が高くなるよう湾曲している緩衝板1自体が平たく弾性変形して衝撃を緩和し、さらに、上下に間隔をあけて3層に重なっているスプリング部6が高さ方向に圧縮されて衝撃を吸収する。
また、つま先部分4の前端部両側にスプリング部6を斜めに形成したことにより、運動時に親指側及び小指側へ斜め方向に向かう体重移動によって生ずる衝撃を効果的に緩和できる。
負荷が取り除かれると、緩衝板1及び各スプリング板6が元の形状に復帰し、加わった衝撃エネルギーが次の運動エネルギーに転換される。
なお、緩衝板1は金型による一体成型で簡単に製造することができる。
【0018】
図5及び図6は、本発明の実施例2を示す。
実施例2では、緩衝板1のつま先部分4が足幅方向に二股に分岐し、前外側分岐部7と前内側分岐部8が形成されている。また、踵部分5も足幅方向に二股に分岐し、後外側分岐部9と後内側分岐部10が形成されている。
通常、人の足は、親指側が小指側よりも長いので、前内側分岐部8は前外側分岐部7より長く、後内側分岐部10は後外側分岐部9より長く形成されている。
また、前外側分岐部7、前内側分岐部8、後外側分岐部9及び後内側分岐部10には、それぞれ複数本の帯状のスプリング部6が足幅方向に沿って形成されている。
緩衝板1の土踏まず部分3には、複数本のスプリング部6が外側から内側に向かって広がる放射状に形成されている。土踏まず部分3に形成される各スプリング部6は、外側から内側に向かって次第に幅広くなっている。
【0019】
この緩衝板1を製造するには、金型で一体成形し、型抜き後に、つま先部分4の足幅方向中央部及び踵部分5の足幅方向中央部をプレス裁断して切り取り、つま先部分4を前外側分岐部7と前内側分岐部8の二股に分岐させると共に、踵部分5を後外側分岐部9と後内側分岐部10とに分岐させる。次いで、薬品処理を施してプレス裁断により生じたバリを除去する。
なお、前外側分岐部7、前内側分岐部8、後外側分岐部9及び後内側分岐部10にそれぞれ異なる寸法、方向でスプリング部6を形成することもできる。
【0020】
このようにつま先部分4及び踵部分5を分岐させることで、足のつま先側内方及びつま先側外方へ向かう体重移動と、踵側内方及び踵側外方へ向かう体重移動に対応していっそう効果的に衝撃を緩和する。
また、人体の土踏まずの構造上、足の内側に向かうに従って次第に動作範囲が大きくなるが、緩衝板1の土踏まず部分3にスプリング部6を放射状に形成したことにより、この挙動に対応することができる。
その他の構造は、実施例1と同様である。
【0021】
図7及び図8は、本発明の実施例3を示す。
実施例3では、つま先部分4及び踵部分5をそれぞれ足幅方向に3本に分岐して、前外側分岐部7’、前中央分岐部11及び前内側分岐部8’と、後外側分岐部9’、後中央分岐部12及び後内側分岐部10’とを形成してある。
また、前外側分岐部7’、前中央分岐部11、前内側分岐部8’、後外側分岐部9’、後中央分岐部12、後内側分岐部10’にそれぞれ複数本のスプリング部6を形成してある。
このため、実施例2のものに比べて、内外方向だけでなく、前後真直ぐな方向への体重移動にも対応可能である。
なお、土踏まず部分3にスプリング部6を設けていないが、実施例2と同様に放射状のスプリング部6を形成しても良い。
その他の構造及び製造方法は、実施例2と変わるところはない。
【0022】
図9は、本発明の実施例4を示す。
実施例4の緩衝板1は、金属製の前部緩衝板1aと、合成樹脂製の後部緩衝板1bとから成る。
前部緩衝板1a及び後部緩衝板1bには、それぞれ複数のスプリング部6が幅方向に沿って形成されている。また、前部緩衝板1aは靴底部2aのつま先部に内蔵され、後部緩衝板1bは前部緩衝板1aの後方において靴底部2aに内蔵される。金属製の前部緩衝板1aは、合成樹脂製の後部緩衝板1bに比べて弾性性能及び強度が高いので、後部緩衝板1bより薄くしても十分な機能が得られ、厚みが小さい靴底部2aのつま先部に内蔵することが可能である。
なお、後部緩衝板1bは靴底部2aの踵部のみに配置しても良い。また、前部緩衝板1aを合成樹脂製とし、後部緩衝板1bを金属製とすることも、前部緩衝板1a及び後部緩衝板1bを共に金属製或いは合成樹脂製とすることも可能である。
その他の構造は実施例1と同様である。
【0023】
施例1〜4に示す緩衝板と同じ構造を有する金属製の板体の上面に上板を、下面に下板をそれぞれ積層した積層構造としてもよい。上板及び下板は合成樹脂を素材とする平板であり、これらを積層することで緩衝板1の強度が増すと共に、緩衝板1を内蔵したことにより靴底部2aを傷つける心配がない。
【0024】
なお、実施例1〜4に示す緩衝板と同じ構造の金属製の板体を、弾性を有する厚手の合成樹脂板の中に埋め込んで緩衝板としてもよい。
また、靴底部2aのつま先部から踵部に亘って配置する緩衝板1は、土踏まず部分3が高くなるように湾曲せず、全体として平らに形成しても良い。
或いは、緩衝板1を靴底部2aの一部、例えば、つま先部のみ、或いは、踵部のみに配置することもできる。
さらに、緩衝板1を靴2の靴底部に内蔵せず、靴2の内部底面に敷き、その上に中敷を載せて使用することも可能であり、靴底の裏面に直接貼り付けてもよい。
緩衝板1に設けるスプリング部6の配置場所、数、幅、方向等は、使用者の身体的特性や靴2を着用して行うスポーツの特性によって適宜変更でき、単体のスプリング部(緩衝構造)6を靴底部2aの適宜箇所に設けることも可能である。
【0025】
スプリング部6は、平面視で直線状とせず、図12に示すように弧状に湾曲したり、図13に示すようにV字状に屈曲しても良い。
実施例1〜6では、スプリング部6の折り返し部分は、前後に1回ずつ折り返して板体が上下に間隔をあけて3枚重なっているが、さらに多く折り返すこともできる。この結果、緩衝板1の衝撃緩和効果は高まるが、嵩張るので靴底が分厚くなる。
【0026】
また、スプリング部6の折り返し部分を湾曲させず、図15に示すように、鋭角的に折り曲げて断面Z字状にすると、屈曲点での応力が高くなって破断、クラック等が発生しやすく、弾性もS字状のものに比べて劣る。
なお、本発明の緩衝板は、靴以外に搭載することも可能であり、例えば、自動車・航空機・船舶・列車等の荷物室のフロアマットや座席シート、ベッドマットのような荷重変化を伴う移動体などの緩衝構造に応用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 緩衝板
1a 前部緩衝板
1b 後部緩衝板
2 靴
2a 靴底部
3 土踏まず部分
4 つま先部分
5 踵部分
6 スプリング部
7,7’ 前外側分岐部
8,8’ 前内側分岐部
9,9’ 後外側分岐部
10,10’ 後内側分岐部
11 前中央分岐部
12 後中央分岐部
13 上板
14 下板
図1
図2
図3
図3-1】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15