(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
負極のタングステン電極、該タングステン電極の外周を囲むように配置されたインサートチップ、及び前記インサートチップの外周を囲むように配置されたシールドキャップを有し、かつ前記タングステン電極の先端が前記インサートチップの内側に配置されたプラズマ溶接トーチを用いて、板厚が3mm以下の正極のフェライト系ステンレス鋼に対して非キーホール溶接を行なう際に使用する溶接ガスであって、
前記溶接ガスは、前記タングステン電極と前記インサートチップとの間隙に流すパイロットガスと、前記インサートチップと前記シールドキャップとの間隙に流すシールドガスと、を含み、
前記パイロットガスが、流速2.1m/sec以下の不活性ガスであり、
前記シールドガスが、不活性ガスに2容量%以上4容量%以下の酸素ガスを加えた混合ガスであることを特徴とする溶接ガス。
負極のタングステン電極、該タングステン電極の外周を囲むように配置されたインサートチップ、及び前記インサートチップの外周を囲むように配置されたシールドキャップを有し、かつ前記タングステン電極の先端が前記インサートチップの内側に配置されたプラズマ溶接トーチを用いて、板厚が3mm以下の正極のフェライト系ステンレス鋼に対して非キーホール溶接を行なうプラズマ溶接方法であって、
前記タングステン電極と前記インサートチップとの間隙に、流速が2.1m/sec以下の不活性ガスをパイロットガスとして供給すると共に、前記インサートチップと前記シールドキャップとの間隙に、不活性ガスに2容量%以上4容量%以下の酸素ガスを加えた混合ガスをシールドガスとして供給することで、前記非キーホール溶接を行なうことを特徴とするプラズマ溶接方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のプラズマ溶接用トーチの寸法関係とは異なる場合がある。
【0023】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る溶接ガスが適用されるプラズマ溶接用トーチの概略構成を示す断面図である。
始めに、本実施の形態に係る溶接ガスが適用されるプラズマ溶接用トーチ10(言い換えれば、本実施の形態のプラズマ溶接方法が適用されるプラズマ溶接用トーチ)の構成について説明する。
【0024】
図1を参照するに、プラズマ溶接用トーチ10は、タングステン電極11と、インサートチップ12と、パイロットガス流路13と、シールドキャップ15と、シールドガス流路16とを有する。
タングステン電極11は、その先端部11Aからプラズマを発生させる電極である。タングステン電極11は、一方の端部が溶接母材26と電気的に接続された主アーク電源18、及びパイロットアーク電源19と電気的に接続されている。
インサートチップ12は、タングステン電極11の外周を囲むように配置されている。インサートチップ12は、その内部にタングステン電極11の先端部11Aを収容している。インサートチップ12は、パイロットアーク電源19と電気的に接続されている。
【0025】
パイロットガス流路13は、タングステン電極11とインサートチップ12との間に形成された間隙である。溶接母材26を非キーホール溶接する際、パイロットガス流路13には、溶接ガス22を構成するパイロットガス23が流れる。溶接母材26としては、板厚が3mm以下のフェライト系ステンレス鋼を用いる。
また、パイロットガス23としては、流速2.1m/sec以下の不活性ガスを用いる。該不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)ガス等を用いることができる。パイロットガス23は、タングステン電極11を保護するためのガスであると共に、溶接母材26を溶融させるためのガスである。
【0026】
シールドキャップ15は、インサートチップ12の外周を囲むように配置されている。シールドガス流路16は、インサートチップ12とシールドキャップ15との間に形成された間隙である。溶接母材26を非キーホール溶接する際、シールドガス流路16には、溶接ガス22を構成するシールドガス24が流れる。
本実施の形態では、溶接ガス22は、パイロットガス23及びシールドガス24により構成されている。
【0027】
シールドガス24としては、不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)に0.5容量%以上4容量%以下の酸素(O
2)ガスを加えた混合ガスを用いることができる。このとき、パイロットガス23としては、先に説明したように、流速2.1m/sec以下の不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)を用いる。
【0028】
このように、板厚が3mm以下のフェライト系ステンレス鋼(溶接母材26)に対して、非キーホール溶接を行う際、パイロットガス23として、流速が2.1m/sec以下の不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)を用い、かつシールドガス24として、不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)に0.5容量%以上4容量%以下の酸素ガスを加えた混合ガスを用いることにより、非キーホール溶接された板厚が3mm以下のフェライト系ステンレス鋼において、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波をさらに良好な形状にすることができる。
上記酸素ガスの濃度が0.5容量%よりも少ないと、溶接ビードの裏波の形状が不安定となってしまう。また、上記酸素ガスの濃度が4容量%よりも多いと、溶接ビードの裏波が酸化されてしまう(後述する実施例1〜7、及び比較例1,2参照)。
【0029】
なお、シールドガス24に含まれる酸素ガスの濃度を、0.8容量%以上1.5容量%以下にすることにより、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生をさらに抑制でき、かつ溶接ビードの裏波をさらに良好な形状にすることができる(後述する実施例1〜7、及び比較例1,2参照)。
【0030】
また、シールドガス24として、不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)に1容量%以上6容量%以下の炭酸ガス(CO
2ガス)を加えた混合ガスを用いてもよい。このとき、パイロットガス23としては流速2.1m/sec以下の不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)を用いる。
【0031】
このように、板厚が3mm以下のフェライト系ステンレス鋼(溶接母材26)に対して、非キーホール溶接を行う際、パイロットガス23として、流速が2.1m/sec以下の不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)を用い、かつシールドガス24として、不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)に1容量%以上6容量%以下の炭酸ガスを加えた混合ガスを用いることにより、非キーホール溶接された板厚が3mm以下のフェライト系ステンレス鋼において、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にすることができる。
上記炭酸ガスの濃度が1容量%よりも少ないと、溶接ビードの裏波に蛇行が発生してしまう。また、上記炭酸ガスの濃度が6容量%よりも多いと、溶接ビードの裏波の形状が不安定となってしまう(後述する実施例8〜14、及び比較例3参照)。
【0032】
また、シールドガス24に含まれる炭酸ガスの濃度を、2容量%以上4.5容量%以下にすることにより、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生をさらに抑制でき、かつ溶接ビードの裏波をさらに良好な形状にすることができる。
【0033】
本実施の形態のプラズマ溶接方法では、
図1に示すプラズマ溶接用トーチ10のパイロットガス流路13に流速2.1m/sec以下の不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)を流し、かつシールドガス流路16に、シールドガス24として不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)に0.5容量%以上4容量%以下の酸素ガスを加えた混合ガス(または、不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス等)に1容量%以上6容量%以下の炭酸ガスを加えた混合ガス)を流すことで、溶接母材26である板厚が3mm以下のフェライト系ステンレス鋼に対して非キーホール溶接を行うため、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にすることができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0035】
なお、本実施の形態では、パイロットガス23を構成する不活性ガス、及びシールドガス24を構成する不活性ガスとして、同じ不活性ガス(具体的には、Arガス)を用いた場合を例に挙げて説明したが、パイロットガス23を構成する不活性ガスと、シールドガス24を構成する不活性ガスとを異ならせてもよい。
【0036】
以下、本発明の効果を、実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
実施例1として、
図1に示すプラズマ溶接用トーチ10を用いて、溶接母材26であるフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
このとき、タングステン電極11として2%酸化ランタン入りタングステン電極(φ4.8mm)を用い、タングステン電極11のセンターノズル母材間距離を3mm、プラズマ溶接用トーチ10の傾斜角度を前進角5度、タングステン電極11のセンターノズル内径を3.2mm、溶接電流を155A、溶接速度を50cm/minとした。
【0038】
また、上記非キーホール溶接時には、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l(リットル)/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に0.5容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l(リットル)/minで供給した。
なお、パイロットガス23の流速は、流速=(パイロットガス23の流速)/((3.14/4)×D
2)という式(Dはインサートチップ12のガス噴出部の内径)で求めた。
【0039】
上記第1実施例の溶接条件により、非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づいた溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
なお、
図2の合否の欄に示す○(合格)は、溶接ビードの表面及び裏波の形状が良好な形状(具体的には、溶接ビードに蛇行や大きな凹凸等がない形状)であることを示しており、×(不合格)は、溶接ビードに蛇行や大きな凹凸等が存在することを示している。
【0040】
図2に示す写真を参照するに、実施例1のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面は良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅はやや細いが、問題となるレベルではないことが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に0.5容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0041】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0042】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0043】
(実施例2)
実施例2では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に0.8容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例2の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
【0044】
図2に示す写真を参照するに、実施例2のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に0.8容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0045】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0046】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0047】
(実施例3)
実施例3では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に1容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例3の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
【0048】
図2に示す写真を参照するに、実施例3のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に1容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0049】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0050】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0051】
(実施例4)
実施例4では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に1.5容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例4の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
【0052】
図2に示す写真を参照するに、実施例4のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に1容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0053】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0054】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0055】
(実施例5)
実施例5では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に2容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例5の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
【0056】
図2に示す写真を参照するに、実施例5のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に2容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0057】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0058】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0059】
(実施例6)
実施例6では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に3容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例6の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
【0060】
図2に示す写真を参照するに、実施例6のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。なお、溶接ビードの裏波にわずかな酸化が見られたが、問題ないレベルであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に3容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0061】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0062】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0063】
(実施例7)
実施例7では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に4容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例7の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
【0064】
図2に示す写真を参照するに、実施例7のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。なお、溶接ビードの裏波にわずかな酸化が見られたが、問題ないレベルであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に4容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0065】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0066】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0067】
(実施例8)
実施例8では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に1容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例8の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
【0068】
図3に示す写真を参照するに、実施例8のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの裏波の幅がやや細いが問題ないレベルであり、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に1容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0069】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0070】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0071】
(実施例9)
実施例9では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に2容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例9の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
【0072】
図3に示す写真を参照するに、実施例9のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に2容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0073】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0074】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0075】
(実施例10)
実施例10では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に3容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例10の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
【0076】
図3に示す写真を参照するに、実施例10のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に3容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更して非キーホール溶接した。この場合でも溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0077】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0078】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0079】
(実施例11)
実施例11では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に4容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例11の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
【0080】
図3に示す写真を参照するに、実施例11のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に4容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0081】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0082】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0083】
(実施例12)
実施例12では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に4.5容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例12の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
【0084】
図3に示す写真を参照するに、実施例12のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に4容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0085】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0086】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0087】
(実施例13)
実施例13では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に5容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例13の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
【0088】
図3に示す写真を参照するに、実施例13のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。また、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に5容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0089】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0090】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0091】
(実施例14)
実施例14では、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に6容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
実施例14の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
【0092】
図3に示す写真を参照するに、実施例14のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの裏波に溶接スラグが見られたが、問題となるレベルではないことが確認できた。また、溶接ビードの表面及び裏波が良好な形状であることが分かった。さらに、溶接ビードの裏波の幅も十分な広さであることが確認できた。
つまり、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給すると共に、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に6容量%のCO
2ガスを混合した混合ガスを20l/minで供給して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接することで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0093】
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.8l/min(流速が1.657m/sec)で供給した場合、及びパイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1l/min(流速が2.072m/sec)で供給した場合について、溶接ビードの表面及び裏波を観察した結果、良好な結果が得られた。
また、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給した場合、溶融池の落下が確認できた。つまり、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で良好な結果が得られた。
また、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を2mmから3mmに変更した場合でも、パイロットガス23であるArガス(不活性ガス)の流速が1.243〜2.072m/secの範囲内で非キーホール溶接が可能であり、かつ溶接ビードの表面及び裏波の形状に問題ないことが確認できた。
【0094】
さらに、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板厚を4mmに変更し、適正電流(250A)で、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を0.6l/min(流速が1.243m/sec)で供給した場合、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の裏波に溶接ビードが形成されず、非キーホール溶接を行なうことはできなかった。
そこで、パイロットガス23としてArガス(不活性ガス)を1.2l/min(流速が2.486m/sec)で供給したところ、パイロットガス23がフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を貫通し、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)がキーホール溶接された。
【0095】
(比較例1)
比較例1では、シールドガスとしてArガス(つまり、酸素ガス及び炭酸ガスを含まないシールドガス)を20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
比較例1の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
【0096】
図2に示す写真を参照するに、比較例1のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの裏波に溶接ビードの蛇行が見られた。
つまり、シールドガスとしてArガスを用いて非キーホール溶接を行なった場合、良好な結果を得ることができなかった。
【0097】
(比較例2)
比較例2では、シールドガスとしてArガス(不活性ガス)に5容量%のO
2ガスを混合した混合ガス(実施例1〜7で説明したシールドガスよりも酸素ガス濃度の高いガス)を20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
比較例2の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図2に示す。
図2に示す写真を参照するに、比較例2のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの裏波に溶接ビードの蛇行が見られた。
つまり、シールドガスとしてArガス(不活性ガス)に5容量%のO
2ガスを混合した混合ガスを用いて非キーホール溶接を行なった場合、良好な結果を得ることができなかった。
【0098】
(比較例3)
比較例3では、シールドガスとしてArガス(不活性ガス)に7容量%のCO
2ガスを混合した混合ガス(実施例8〜14で説明したシールドガスよりも炭酸ガス濃度の高いガス)を20l/minで供給する以外は、実施例1と同じ条件で、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)を非キーホール溶接した。
比較例3の条件で非キーホール溶接したフェライト系ステンレス鋼(SUS430、板厚2mm)の溶接ビードの表面及び裏波の写真、及び該写真に基づき溶接部の外観の合否を判定した結果を
図3に示す。
図3に示す写真を参照するに、比較例3のプラズマ溶接方法(非キーホール溶接)では、溶接ビードの裏波に溶接ビードの蛇行が見られた。
【0099】
<実施例1〜14、及び比較例1〜3の評価結果のまとめ>
上記実施例1〜7及び比較例1,2の結果から、板厚3mm以下のフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を非キーホール溶接する際には、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に0.5容量%以上4容量%以下のO
2ガス(酸素ガス)を加えた混合ガスを用いることで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0100】
また、実施例1〜6の結果から、板厚3mm以下のフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を非キーホール溶接する際には、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に0.8容量%以上1.5容量%以下の酸素ガス(O
2ガス)を加えた混合ガスを用いることがより好ましいことが確認できた。
【0101】
また、上記実施例8〜14及び比較例1,3の結果から、板厚3mm以下のフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を非キーホール溶接する際には、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に1容量%以上6容量%以下のCO
2ガス(炭酸ガス)を加えた混合ガスを用いることで、溶接ビードの蛇行の発生及びアンダーカットの発生を抑制でき、かつ溶接ビードの裏波を良好な形状にできることが確認できた。
【0102】
さらに、実施例8〜14の結果から、板厚3mm以下のフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を非キーホール溶接する際には、シールドガス24としてArガス(不活性ガス)に0.8容量%以上1.5容量%以下のO
2ガス(酸素ガス)を加えた混合ガスを用いることがより好ましいことが確認できた。