(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントには、共振周波数を調整するためのインダクタが接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のアンテナ装置。
前記基板の厚さ方向において、前記第2のアンテナエレメントと前記第2のグランドエレメントとが重なる領域に、前記第1のアンテナエレメント及び前記第1のグランドエレメントが形成されていることを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カメラ等においてメモリカードを装着する場合、通常、アンテナ部分がカメラ等の本体より突出することなく装着される。カメラ本体は、金属等の筐体により覆われており、また、メモリカードは導体部分が存在する電子回路基板等にも囲まれていることから、アンテナが搭載されたメモリカードをカメラ本体に装着した場合、カメラ本体の内部から外部に無線で情報を伝送することは困難であり、正確な情報を伝送することができない場合や、情報の伝送される領域が極めて限定される場合等がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、カメラ等の情報機器装置の筐体内部に装着されるものであって、無線における通信性能が高いアンテナ装置、回路基板及びメモリカードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、誘電体からなる基板と、前記基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、前記基板の他方の面に形成されたグランドエレメントと、を有し、前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、前記基板を介し、
平面視で重なり合うように対称となる形状で形成されており、前記基板を介し、前記アンテナエレメントと前記グランドエレメントとは
平面視で重なり合うように対称となる位置に形成されており、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆L形状で形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、前記基板を介し、略対称となる形状で形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記基板を介し、前記アンテナエレメントと前記グランドエレメントとは略対称となる位置に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記基板を介し、前記アンテナエレメントは前記グランドエレメントが形成される位置に対しずれた位置に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆L形状で形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記アンテナエレメントと前記グランドエレメントは、前記基板に設けられたスルーホールにより接続されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記アンテナエレメントは逆F型であって、前記グランドエレメントは、前記基板の他方の面の略全面に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、
誘電体からなる基板と、前記基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、前記基板の他方の面に形成されたグランドエレメントと、を有し、前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、前記基板を介し、平面視で重なり合うように対称となる形状で形成されており、前記基板を介し、前記アンテナエレメントと前記グランドエレメントとは平面視で重なり合うように対称となる位置に形成されており、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの形状は、ミアンダパターンであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記基板はプリント基板であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントには、共振周波数を調整するためのインダクタが接続されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記基板は多層配線のプリント基板であって、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントのいずれか一方、または、双方は、前記プリント基板内部に形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記基板は多層配線のプリント基板であって、前記アンテナエレメントは、前記プリント基板の内部に形成された第1のアンテナエレメントと、前記プリント基板の一方の面に形成された第2のアンテナエレメントと、を有しており、前記第1のアンテナエレメントと前記第2のアンテナエレメントは、スルーホールを介しアンテナエレメント接続部により接続されており、前記グランドエレメントは、前記プリント基板の内部に形成された第1のグランドエレメントと、前記プリント基板の他方の面に形成された第2のグランドエレメントと、を有しており、前記第1のグランドエレメントと前記第2のグランドエレメントは、他のスルーホールを介しグランドエレメント接続部により接続されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記基板の厚さ方向において、前記第2のアンテナエレメントと前記第2のグランドエレメントとが重なる領域に、前記第1のアンテナエレメント及び前記第1のグランドエレメントが形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、前記基板の厚さ方向において、前記第2のアンテナエレメント、前記第2のグランドエレメント、前記第1のアンテナエレメント、前記第1のグランドエレメントのうちのいずれかは、他のものと相互に重複しない領域を有していることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、2.4GHzから2.5GHzの周波数帯域に用いられるものであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、無線LAN、BT用の通信に用いられるものであることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、前記プリント基板は第1のプリント基板とする前記記載のアンテナ装置と、グランド領域の形成された第2のプリント基板と、を有し、前記グランド領域は、前記グランドエレメントと接続されているものであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、前記アンテナ装置に形成されているグランドエレメントに代えて、前記グランドエレメントは第2のプリント基板に形成されていることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、前記記載のアンテナ装置と、前記プリント基板に形成されたグランド領域と、を有し、前記グランド領域と前記グランドエレメントは接続されていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、前記グランド領域の形成された前記第2のプリント基板または、前記グランド領域の形成された前記プリント基板には、電子部品が搭載されていることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、前記記載の回路基板と、前記回路基板を覆うケースと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、カメラ等の情報機器装置の筐体内部に装着されるものであって、無線における通信性能が高いアンテナ装置、回路基板及びメモリカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1の実施の形態におけるアンテナ装置の構造図
【
図3】第1の実施の形態におけるアンテナ装置の説明図
【
図4】第1の実施の形態におけるメモリカードの構造図
【
図5】メモリカードが装着される部分を拡大したデジタルカメラの説明図
【
図6】第1の実施の形態におけるアンテナ装置の励振の説明図
【
図7】第1の実施の形態におけるアンテナ装置の励振を説明する斜視図
【
図8】第1の実施の形態における他のアンテナ装置の説明図
【
図9】第1の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(1)
【
図10】第1の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(2)
【
図11】第1の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(3)
【
図12】第1の実施の形態における更に他のアンテナ装置の構造図
【
図13】メモリカードが装着されるデジタルカメラの説明図
【
図14】伝搬測定に用いた第1の実施の形態における回路基板の構造図
【
図17】第1の実施の形態におけるメモリカードを装着したデジタルカメラの伝搬ロスS21の特性図(1)
【
図18】第1の実施の形態におけるメモリカードを装着したデジタルカメラの伝搬ロスS21の特性図(2)
【
図19】第2の実施の形態における回路基板の構造図
【
図20】第2の実施の形態における回路基板のVSWR特性図
【
図21】伝搬測定に用いた第2の実施の形態における回路基板の構造図
【
図22】第2の実施の形態におけるメモリカードを装着したデジタルカメラの伝搬ロスS21の特性図
【
図23】第3の実施の形態におけるアンテナ装置の構造図
【
図24】第3の実施の形態におけるアンテナ装置の等価回路図
【
図25】第3の実施の形態における他のアンテナ装置の構造図
【
図26】第3の実施の形態における回路基板のVSWR特性図
【
図27】第4の実施の形態におけるアンテナ装置の構造図
【
図28】第4の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(1)
【
図29】第4の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(2)
【
図30】第4の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(3)
【
図31】ミアンダパターンのないアンテナ装置の構造図
【
図32】第4の実施の形態における回路基板のVSWR特性図
【
図33】第5の実施の形態におけるアンテナ装置の構造図
【
図34】第5の実施の形態におけるアンテナ装置の説明図
【
図35】第5の実施の形態における回路基板のVSWR特性図
【
図36】第6の実施の形態におけるアンテナ装置の構造図
【
図37】第6の実施の形態におけるアンテナ装置の説明図
【
図38】第6の実施の形態における他のアンテナ装置の構造図(1)
【
図39】第6の実施の形態における他のアンテナ装置の説明図(1)
【
図40】第6の実施の形態における他のアンテナ装置の構造図(2)
【
図41】第6の実施の形態における他のアンテナ装置の説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
〔第1の実施の形態〕
(アンテナ装置及び回路基板)
第1の実施の形態におけるアンテナ装置及び回路基板について説明する。
図1に示すように、本実施の形態におけるアンテナ装置100は、プリント基板110の一方の面にアンテナエレメント120が形成され、他方の面にグランドエレメント130が形成されているものである。
【0033】
アンテナエレメント120とグランドエレメント130は銅等の金属材料により形成されており、プリント基板110を介して略対称な位置に、略対称となる形状により形成されている。本実施の形態におけるアンテナ装置100では、グランドエレメント130は接地されており、アンテナエレメント120には、所定の周波数、例えば、2.4GHz〜2.5GHzの高周波電圧が印加される。
【0034】
本実施の形態におけるアンテナ装置は、2.4GHz〜2.5GHzの周波数帯域の通信、無線LAN、BT用の通信に用いられるものである。また、本実施の形態におけるアンテナ装置では、共振周波数を調整するため、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130に各々所定のインダクタンスを有するインダクタを接続する場合がある。
【0035】
本実施の形態では、プリント基板110は厚さが約0.8mmのガラスエポキシ樹脂により形成されている。例えば、プリント基板110にはFR4基板が用いられており、比誘電率ε
rの値は約4.7である。アンテナエレメント120及びグランドエレメント130は略対称となるように、略同一の逆L形状(逆L型と記載する場合がある)に形成されている。具体的には、プリント基板110に銅等からなる配線パターンを形成する場合と同様にアンテナエレメント120及びグランドエレメント130のパターンを形成することにより形成されている。尚、本実施の形態では、プリント基板110を用いた場合について説明するが、他の誘電体材料により形成された基板、例えば、AlN、Al
2O
3等により形成されたセラミックス基板等、またはプラスチック基板等を用いることも可能である。
【0036】
図2に示すように、本実施の形態における回路基板200には、本実施の形態におけるアンテナ装置100が搭載されている。具体的には、回路基板200を形成するプリント基板211の表面には、グランド(GND)領域210が形成されており、このグランド領域210は接地されている。また、グランド領域210はアンテナ装置100のグランドエレメント130と接続されている。尚、本実施の形態では、アンテナ装置100が搭載された回路基板200について回路基板と記載する。
【0037】
次に、本実施の形態におけるアンテナ装置100におけるアンテナエレメント120とグランドエレメント130との位置関係について説明する。
図3は、
図1における一点鎖線1A−1Bにおいて切断した断面の一部を示す。
図3に示されるものは、アンテナエレメント120とグランドエレメント130とが、プリント基板110の両面において、プリント基板110を介し対称となるように形成されているものである。この場合、アンテナエレメント120に高周波電圧を印加することにより、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間に矢印に示す方向に電界が生じる。即ち、プリント基板110の厚さ方向に電界が生じる。
【0038】
(メモリカード)
次に、本実施の形態におけるメモリカードについて説明する。本実施の形態におけるメモリカードとして、SD(Secure Digital)カードについて説明するが、他の規格や種類のメモリカードにおいても同様に適用することができる。
【0039】
本実施の形態におけるメモリカード250は、
図4に示すように、アンテナ装置100が搭載された回路基板200と、プラスチック等の樹脂材料により形成された第1のケース260及び第2のケース270を有しており、回路基板200は、第1のケース260と第2のケース270により覆われた空間内に納められている。回路基板200には、デジタルカメラ等の内部に設けられたメモリカードソケットと接続するための外部接続端子212が設けられており、不図示の電子回路等が搭載されている。第1のケース260には、外部接続端子212が露出するように開口部262が設けられており、回路基板200を覆うように、第1のケース260と第2のケース270とを接合等することによりメモリカードが形成される。
【0040】
本実施の形態におけるメモリカード250において、アンテナ装置100は、回路基板200における外部接続端子212が設けられる端部とは反対側の端部に設けられている。外部接続端子212は、メモリカードソケットと接続されるものであるため、デジタルカメラ等の内部まで入り込む。このため、アンテナ装置100は、外部接続端子212が設けられている側と反対側は、デジタルカメラ等の最も外側、即ち、メモリカード250の挿入口の近傍となるように形成されている。
【0041】
通常、
図5に示すように、デジタルカメラ300の内部にメモリカード250を装着した場合、メモリカード250の挿入口は、デジタルカメラ300に設けられた蓋310等により塞がれる。従って、メモリカード250はデジタルカメラ300の筐体、メモリカード用ソケット、蓋310等により覆われた状態となる。この状態において、デジタルカメラ300の筐体、メモリカード用ソケット等は、いわゆる導波管を形成するものと考えられる。即ち、
図6に示すように、アンテナ装置の搭載された回路基板を有するメモリカードをデジタルカメラに装着した場合には、デジタルカメラ300の筐体等により形成される導波管350内にアンテナが存在しているものとして考えることができる。この場合、矢印Aに示す方向の励振により生じた電磁波は導波管350より遮蔽されるため、導波管350の外には放射されにくいが、矢印Bに示す方向の励振により生じた電磁波は導波管350内を進行し、導波管350の開口部360より外に放射される。
【0042】
即ち、メモリカード250はデジタルカメラ300に装着されている状態では、デジタルカメラ300の筐体、メモリカード用ソケット等に覆われているが、蓋310等のメモリカード250が挿入される部分の厚さは薄く、また、金属等以外の材料により形成されている場合が多い。このため、メモリカード250の挿入された方向に導波管350の開口部360が形成されるものと考えることができる。よって、この開口部360より矢印Bに示す方向の励振により生じた電磁波は、導波管350の外、即ち、デジタルカメラ300の外に放射されやすくなるものと推察される。
【0043】
本実施の形態におけるメモリカード250においては、
図7に示すように、アンテナ装置100には、矢印Bの方向となるプリント基板110の厚さ方向に電界が印加される。従って、アンテナ装置100において発生した電波をデジタルカメラ300の外に、強い強度で放射させることができる。
【0044】
(アンテナ装置の変形例)
また、本実施の形態におけるアンテナ装置は、
図8に示されるように、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との位置が、プリント基板110を介し、相互に対称となる位置より多少ずれた位置に形成したものであってもよい。アンテナエレメント120が形成される位置とグランドエレメント130が形成される位置とを多少ずらして形成することにより、アンテナエレメント120に高周波電圧を印加した際に、位置がずれている領域より漏れ電界が生じる。この漏れ電界より発生した電磁波は、プリント基板110の厚さ方向とは異なる方向の励振により生じたものであるため、デジタルカメラ等の種類によっては、電磁波をより一層デジタルカメラの筐体の外に放射させることができると考えられる。
【0045】
(アンテナ装置及び回路基板の製造方法)
次に、本実施の形態におけるアンテナ装置及び回路基板の製造方法について説明する。
【0046】
本実施の形態における回路基板は、
図9に示すように、プリント基板110の両面にアンテナエレメント120とグランドエレメント130が形成されたアンテナ装置100をグランド領域210の形成されているプリント基板211の所定の位置に貼り付け、グランドエレメント130とグランド領域210とを接続することにより形成することができる。
【0047】
また、本実施の形態における回路基板は、
図10に示すように、プリント基板211のグランド領域210が形成される面に、グランド領域210と接続されるグランドエレメント部230をグランド領域210とともに形成し、一方の面にアンテナエレメント120が形成されているプリント基板110の他方の面をプリント基板211のグランドエレメント部230が形成されている部分に貼り付けることにより形成することができる。
【0048】
また、本実施の形態における回路基板は、
図11に示すように、プリント基板211の一方の面にアンテナエレメント部220を形成し、他方の面にグランドエレメント部230及びグランドエレメント部230に接続されるグランド領域210を形成したものであってもよい。これにより、プリント基板を1枚にすることができ、より低コストでアンテナ装置の形成された回路基板を得ることができる。
【0049】
尚、機能的には、形成されるアンテナエレメント部220は、アンテナエレメント120に相当するものであり、グランドエレメント部230は、グランドエレメント130に相当するものである。
【0050】
また、アンテナ装置は、
図1等に示すような逆L形状等ではなく、T形状に形成してもよい。具体的には、
図12に示すように、プリント基板110の一方の面にT字状のアンテナエレメント121を形成し、他方の面に略同じ形状のT字状のグランドエレメント131を形成した構造のものであってもよい。
【0051】
尚、本実施の形態においては、プリント基板211には電子回路等が形成されている場合があるが、図面においては、この電子回路等は省略されている。具体的には、プリント基板211においてグランド領域210の形成されていない領域に、電子回路等が形成されている場合や、プリント基板211が多層基板であって、この多層基板の内部に電子回路等が形成されている場合がある。
【0052】
(伝搬特性)
次に、本実施の形態におけるアンテナ装置、回路基板及びメモリカードにおける電波の伝搬特性について説明する。具体的には、
図13に示すデジタルカメラ300に、
図14に示す本実施の形態における回路基板200を含むメモリカード250を装着した場合における電波の伝搬特性を測定したものである。尚、
図14に示す回路基板200は、アンテナ装置100を形成するプリント基板110の厚さが1mmであり、幅が4mmであり、回路基板200は20mm×29mmの大きさで形成されている。
【0053】
伝搬特性の測定方法は、
図15に示すように、暗箱500中に、デジタルカメラ300と標準アンテナ510を設置し、デジタルカメラ300の内部に装着されたメモリカード250のアンテナ装置100より2.45GHzの高周波信号を発生させ、デジタルカメラ300より25cm離れた位置に設置された標準アンテナ510により受信する。この受信された電波を暗箱500の外側に設置された伝搬ロスS21測定器520により測定する。尚、
図13に示すように、デジタルカメラ300のレンズが設けられている面を前とし、後、上、下、右、左方向に標準アンテナ510を配置して測定を行なった。デジタルカメラ300と標準アンテナ510とは25cm離れているが、この間における空間損失は28dBである。
【0054】
図16は、2種類のデジタルカメラについて、本実施の形態におけるメモリカード250を装着した場合と、従来のアンテナ付きメモリカードを装着した場合について、各々伝搬特性を測定した結果である。デジタルカメラAについては、従来のアンテナ付きメモリカードを装着した場合における伝搬ロスS21は、−52.7〜−43.7dBであるのに対し、本実施の形態におけるメモリカード(アンテナ付きメモリカード)250を装着した場合における伝搬ロスS21は、−53.2〜−42.1dBであり、伝搬ロスを減らすことができる。また、デジタルカメラBについては、従来のアンテナ付きメモリカードを装着した場合における伝搬ロスS21は、−54.3〜−48.0dBであるのに対し、本実施の形態におけるメモリカード(アンテナ付きメモリカード)250を装着した場合における伝搬ロスS21は、−52.7〜−40.2dBであり、伝搬ロスを大きく減らすことができる。
【0055】
図17は、デジタルカメラAの前、後、上、下、左、右方向における周波数と伝搬ロスS21との関係を示すものである。本実施の形態におけるメモリカード250をデジタルカメラAに装着した場合では、周波数が2.4〜2.5GHzにおいて、下、上、前方向における伝搬ロスは比較的少なく、後、右、左方向における伝搬ロスは比較的多い。
【0056】
また、
図18は、デジタルカメラBの前、後、上、下、左、右方向における周波数と伝搬ロスS21との関係を示すものである。本実施の形態におけるメモリカード250をデジタルカメラBに装着した場合では、周波数が2.4〜2.5GHzにおいて、下、右、前方向における伝搬ロスは比較的少なく、後方向がこれに続き、左、上方向における伝搬ロスは比較的多い。
【0057】
上述したように、本実施の形態におけるメモリカードを用いることにより、デジタルカメラの種類やアンテナの設置方向に依存するものの、伝搬ロスを減らすことができる。これにより電波を少ない伝搬ロスでデジタルカメラの外に放射することができる。
【0058】
尚、本実施の形態におけるメモリカードは、SDカード等のメモリカードと外形上は同一形状で形成されているためメモリカードと記載しているが、本実施の形態におけるメモリカードには、記憶媒体となるメモリ等が搭載されていないものも含まれている。
【0059】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態はアンテナ装置が搭載されている回路基板及びメモリカードである。
図19に示されるように、本実施の形態における回路基板202のアンテナ装置は、プリント基板110の一方の面に形成されたアンテナエレメント122と、他方の面の全面に形成されたグランドエレメント132とを有しており、アンテナエレメント122は、プリント基板110の側面に第1の側面アンテナエレメント123と第2の側面アンテナエレメント124を有しており、いわゆる逆F形状(逆F型と記載する場合がある)に形成されている。第1の側面アンテナエレメント123は、プリント基板110に形成されたグランドエレメント132と接続されており、第2の側面アンテナエレメント124より高周波電圧が印加されている。尚、グランドエレメント132とプリント基板211の表面に形成されたグランド領域210とは接続されている。
【0060】
本実施の形態における回路基板202のVSWR(Voltage
Standing Wave Ratio:電圧定在波比)特性を
図20に示す。尚、VSWRの値が低いことは反射が少ないことを意味するものである。本実施の形態における回路基板202では、2.4GHzの近傍において、VSWRの値が2以下となっており、良好なVSWR特性を得ることができる。
【0061】
本実施の形態における回路基板202を用いて第1の実施の形態と同様にメモリカードを作製し、
図13に示されるデジタルカメラに装着し、伝搬ロスS21を第1の実施の形態と同様の方法により測定した。尚、本実施の形態では、第1の実施の形態におけるデジタルカメラAを用いた。また、回路基板202は、
図21に示すように、プリント基板110の厚さが1mm、幅が4mm、プリント基板211の大きさは、20mm×29mmとなるように形成されている。
【0062】
図22は、デジタルカメラAの前、後、上、下、左、右方向において、周波数と伝搬ロスS21との関係を示すものである。本実施の形態におけるメモリカードをデジタルカメラAに装着した場合では、周波数が2.4〜2.5GHzにおいて、後方向における伝播ロスが最も少なく、下、前、左、右、上方向の順に伝搬ロスが増加している。2.45GHzにおける伝搬ロスは、−54.7〜−42.6dBであった。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0063】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるアンテナ装置は、アンテナエレメントとグランドエレメントとが接続されているダイポールアンテナである。具体的には、
図23に示すように、プリント基板110に設けられたスルーホール内に銅等の金属からなる接続部140を形成し、アンテナエレメント120とグランドエレメント130とを接続することによりダイポールエレメントを形成したものである。このように接続部140によりアンテナエレメント120とグランドエレメント130を接続することにより、
図24における等価回路に示されるようになり、共振調節を行なうことができる。
【0064】
スルーホールによる接続部140が形成される位置は、共振させたい周波数等により定まるものであり、例えば、
図25に示すように、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130の端部にスルーホールを形成し、このスルーホールに接続部140を形成することにより、アンテナエレメント120とグランドエレメント130とを接続してもよい。
【0065】
図25に示すアンテナ装置を用いて第1の実施の形態と同様の回路基板を作製したもの(スルーホールあり)と、第1の実施の形態における回路基板(スルーホールなし)におけるVSWR特性を
図26に示す。
図26に示されるように、スルーホールを形成し、アンテナエレメント120とグランドエレメント130とを所定の位置で接続部140により接続することにより、所望とする周波数帯域にシフトさせることができる。これにより、周波数帯域の微調整等を容易に行なうことができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0066】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるアンテナ装置105は、
図27に示されるようにアンテナエレメント125及びグランドエレメント135がミアンダ形状となるように形成したものである。本実施の形態では、このような形状をミアンダパターンと記載する。
【0067】
形成されるアンテナエレメント125及びグランドエレメント135は、略同一形状で形成されており、このようにアンテナエレメント125及びグランドエレメント135をミアンダパターンで形成することにより、アンテナが形成される領域をあまり広げることなく、所定の領域内に所定のインダクタンスを有するようにアンテナ装置を形成することができる。
【0068】
(アンテナ装置及び回路基板の製造方法)
次に、本実施の形態におけるアンテナ装置及び回路基板の製造方法について説明する。
【0069】
本実施の形態における回路基板は、
図28に示すように、プリント基板110の両面にミアンダパターンのアンテナエレメント125とグランドエレメント135が形成されたアンテナ装置105をグランド領域210の形成されているプリント基板211の所定の位置に貼り付け、グランドエレメント135とグランド領域210とを接続することにより形成することができる。
【0070】
また、本実施の形態における回路基板は、
図29に示すように、プリント基板211のグランド領域210が形成される面に、グランド領域210と接続されるミアンダパターンのグランドエレメント部235をグランド領域210とともに形成し、一方の面にミアンダパターンのアンテナエレメント125が形成されているプリント基板110の他方の面をプリント基板211のグランドエレメント部235が形成されている部分に貼り付けることにより形成することができる。
【0071】
また、本実施の形態における回路基板は、
図30に示すように、プリント基板211の一方の面にミアンダパターンのアンテナエレメント部225を形成し、他方の面にミアンダパターンのグランドエレメント部235及びグランドエレメント部235に接続されるグランド領域210を形成したものであってもよい。これにより、プリント基板を1枚にすることができ、より低コストでアンテナ装置の形成された回路基板を得ることができる。
【0072】
尚、機能的には、形成されるアンテナエレメント部225は、アンテナエレメント125に相当するものであり、グランドエレメント部235は、グランドエレメント135に相当するものである。
【0073】
図27等に示されるミアンダパターンが形成されているアンテナ装置が搭載された回路基板(ミアンダパターンあり)と、
図31に示すミアンダパターンが形成されていないアンテナ装置が搭載された回路基板(ミアンダパターンなし)におけるVSWR特性を
図32に示す。
図32に示されるように、本実施の形態における回路基板では、ミアンダパターンのアンテナエレメント125及びグランドエレメント135を形成することにより、VSWRの値をより一層低くすることができる。尚、
図31に示すミアンダパターンの形成されていないアンテナ装置は、第1の実施の形態におけるアンテナ装置と同様の構成のものであるが、
図27に示すミアンダパターンの形成されているアンテナ装置と比較するため第1の実施の形態とは異なる条件で調整等されている。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0074】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるアンテナ装置は、アンテナエレメントとグランドエレメントとの間隔を狭めて静電容量を増やすことにより共振周波数を低くし、所定の周波数帯域にあわせた構造のものである。
【0075】
通常、プリント基板は所定の強度を維持するため一定の厚さを有しており、このため静電容量を高くすることには限界がある。本実施の形態におけるアンテナ装置は、
図33に示すように、多層配線のプリント基板116を用い、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130の双方をプリント基板116の内部に形成することにより、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間における静電容量を高くしたものである。尚、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130のいずれか一方をプリント基板116の内部に形成したものであってもよい。
【0076】
図34に示されるように、本実施の形態におけるアンテナ装置は、プリント基板116を用いることにより、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間の距離(間隔)を狭くすることができる。これにより、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間における静電容量を大きくすることができる。
図34(a)は、プリント基板の両側の表面にアンテナエレメント120とグランドエレメント130を形成した状態を示すものであり、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間隔は広いため、静電容量はあまり大きくない。これに対し、
図34(b)は、プリント基板の内部にアンテナエレメント120及びグランドエレメント130を形成した状態を示すものであり、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間隔が狭くなり、これにより静電容量を大きくすることができる。
【0077】
図35は、アンテナ装置におけるVSWR特性を示すものであり、
図34(a)に示されるアンテナ装置におけるVSWR特性を34Aで示し、
図34(b)に示される本実施の形態におけるアンテナ装置におけるVSWR特性を34Bで示す。
図35に示されるように、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間の静電容量を大きくすることにより、VSWRの値がボトムとなる周波数帯域をシフトさせることができる。このように、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間隔を狭めて、静電容量の値を変えることにより、周波数帯域幅をあまり変化させることなく、周波数帯域をシフトさせることができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0078】
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるアンテナ装置は、アンテナエレメント等が形成される面積を広げることなく、インダクタンスを大きくして、周波数帯域を低くすることにより、所定の周波数帯域となるように形成したものである。
【0079】
本実施の形態におけるアンテナ装置の構造を
図36に示す。このアンテナ装置では、多層配線のプリント基板116が用いられており、多層に形成されたアンテナエレメント126とグランドエレメント136を有している。アンテナエレメント126は、プリント基板116の内部に形成された第1のアンテナエレメント126aとプリント基板116の一方の面の表面に形成された第2のアンテナエレメント126bを有しており、第1のアンテナエレメント126aと第2のアンテナエレメント126bは、これらを接続するためのスルーホール内に形成されたアンテナエレメント接続部126cにより接続されている。
【0080】
また、グランドエレメント136は、プリント基板116の内部に形成された第1のグランドエレメント136aとプリント基板116の他方の面の表面に形成された第2のグランドエレメント136bを有しており、第1のグランドエレメント136aと第2のグランドエレメント136bは、これらを接続するためのスルーホール内に形成されたグランドエレメント接続部136cにより接続されている。
【0081】
本実施の形態では、プリント基板116において、アンテナエレメント126等が形成される領域を広げることなく、アンテナエレメント126及びグランドエレメント136におけるインダクタンスをより大きくすることができる。
【0082】
図37は、
図36に示すアンテナ装置のアンテナエレメント126とグランドエレメント136の断面における配置を概念的に示すものである。第1のアンテナエレメント126a、第2のアンテナエレメント126b、第1のグランドエレメント136a及び第2のグランドエレメント136bは、プリント基板116の厚さ方向において、各々の領域が全て重なるように形成されている。これにより、アンテナエレメント126に高周波を印加した場合、より一層プリント基板116の厚さ方向に揃った状態で励振させることができる。
【0083】
また、
図38に示すように、第1のアンテナエレメント126aと第2のアンテナエレメント126bとの位置及び第1のグランドエレメント136aと第2のグランドエレメント136bとの位置がずれており、重複しない領域を有するように形成してもよい。この場合、ずれた領域より漏れ電界が生じて電磁波が発生する。尚、
図39は、
図38に示すアンテナ装置のアンテナエレメント126とグランドエレメント136の断面の配置を概念的に示すものである。
【0084】
また、
図40に示すように、アンテナエレメント126とグランドエレメント136との位置がずれており、相互に重複しない領域を有するように形成してもよい。この場合、ずれた領域より漏れ電界が生じて電磁波が発生する。尚、
図41は、
図40に示すアンテナ装置のアンテナエレメント126とグランドエレメント136の断面の配置を概念的に示すものである。
【0085】
尚、アンテナ装置においてインダクタンスを大きくするには、第4の実施の形態におけるアンテナ装置のように、プリント基板の両面にミアンダパターンのアンテナエレメントとグランドエレメントを形成したものであってもよいが、本実施の形態では、ミアンダパターンが形成されているアンテナ装置に比べて、アンテナエレメント及びグランドエレメントの形成される領域を広げることなく、インダクタンスを増やすことができる。これにより、より狭い領域にアンテナ装置を形成することができる。尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0086】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。