特許第5901170号(P5901170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5901170集積回路および集積回路のコンタクト部とプリント基板の相応するコンタクト部との間の抵抗を求める方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901170
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】集積回路および集積回路のコンタクト部とプリント基板の相応するコンタクト部との間の抵抗を求める方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20160324BHJP
【FI】
   H01L21/60 321Y
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-163940(P2011-163940)
(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公開番号】特開2012-28786(P2012-28786A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】10 2010 038 453.4
(32)【優先日】2010年7月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】エリック オクス
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ヘーファー
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ ラウシャー
(72)【発明者】
【氏名】エッカート シェルケス
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン グラープマイアー
【審査官】 樫本 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−053033(JP,A)
【文献】 特開平10−074800(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0218495(US,A1)
【文献】 特開2010−147426(JP,A)
【文献】 特開平05−021556(JP,A)
【文献】 特開2005−347469(JP,A)
【文献】 特開平01−154546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(110)において、
該集積回路は、
− ケーシング内の電子回路(120)と、
− 第1コンタクト部(130,140)とを有しており、
当該第1コンタクト部(130,140)は、プリント基板(150)の相応する第2コンタクト部(160)にはんだ付けするためのものであり、
前記第1コンタクト部(130,140)および前記第2コンタクト部(160)はそれぞれ第1区分(130,160)および第2区分(140,160)に分けられる、集積回路(110)において、
− 前記電子回路(120)は、前記第1のコンタクト部(130,140)と前記第2コンタクト部(160)との間の抵抗を求める素子(320)を有し、
前記第1区分の前記第1コンタクト部(130)および前記第2コンタクト部(160)は、前記集積回路(110)の通常動作時に使用される電子回路(310)または前記抵抗を求める素子(320)に選択的に接続可能であり、
− 前記第2区分の前記第1コンタクト部(140)および前記第2コンタクト部(160)は前記抵抗を求める素子(320)に接続され
前記第1区分の前記第1コンタクト部(130)と前記第2区分の前記第1コンタクト部(140)とは、前記集積回路(110)の内部では、電気的に分離されており、前記抵抗を求める素子(320)を介して接続可能であ
ことを特徴とする集積回路(110)。
【請求項2】
前記電子回路(120)は、前記通常動作時に使用される電子回路(310)または前記抵抗を求める素子(320)と、前記第1区分の前記第1コンタクト部(130)とを選択的に接続するためのスイッチ素子(330)を有している、
請求項1に記載の集積回路(110)。
【請求項3】
前記電子回路(120)には、求めた抵抗値と閾値とを比較する素子(320)が含まれている、
請求項1または2に記載の集積回路(110)。
【請求項4】
前記電子回路(120)を構成して、前記比較結果を示す信号を出力するようにした、
請求項3に記載の集積回路(110)。
【請求項5】
前記第2区分の前記第1コンタクト部(140)は、前記抵抗を求める素子(320)に固定的に接続される、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の集積回路(110)。
【請求項6】
電子回路(120)に接続される、集積回路(110)の第1コンタクト部(130,140)と、プリント基板(150)の相応する第2コンタクト部(160)との間の抵抗を求める方法(700)において、
前記第1コンタクト部(130,140)および前記第2コンタクト部160)はそれぞれ第1区分(130,160)および第2区分(140,160)に分けられており、
前記第1区分の前記第1コンタクト部(130)と前記第2区分の前記第1コンタクト部(140)とは、前記集積回路(110)の内部では、電気的に分離されており、
前記方法は、
前記第1コンタクト部(130,140)と前記第2コンタクト部(160)との間抵抗を求める素子(320)を前記集積回路(110)に準備するステップであって、前記第1区分の前記第1コンタクト部(130)と前記第2区分の前記第1コンタクト部(140)とは、前記集積回路(110)の内部では、前記抵抗を求める素子(320)を介して接続可能である、ステップと、
前記第1区分および前記第2区分の前記第1コンタクト部(130,140)と前記第2コンタクト部(160)とを互いにはんだ付けするステップ(710)と、
前記集積回路(110)が通常動作に移行する前に、前記抵抗を求める素子(320)を用いて、前記第1コンタクト部(130,140)と前記第2コンタクト部(160)との抵抗を求めるステップ(720)と
を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
さらに、前記求めた抵抗が、あらかじめ定めた閾値を下回っているか否かを比較するステップ(725)を含む、
請求項6に記載の方法(700)。
【請求項8】
複数の前記第1コンタクト部(130,140)と、相応する前記第2コンタクト部(160)とが設けられており、
さらにすべての抵抗が前記閾値を下回っているか否かを示す信号を出力するステップ(740)を有する、
請求項7に記載の方法(700)。
【請求項9】
電子回路(120)に接続される、集積回路(110)の第1コンタクト部(130,140)と、プリント基板(150)の相応する第2コンタクト部(160)との間の抵抗を求める方法(700)を実行するための、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラムにおいて、
前記第1コンタクト部(130,140)および前記第2コンタクト部160)はそれぞれ第1区分(130,160)および第2区分(140,160)に分けられており、
前記第1区分の前記第1コンタクト部(130)と前記第2区分の前記第1コンタクト部(140)とは、前記集積回路(110)の内部では、電気的に分離されており、
前記方法は、
前記第1コンタクト部(130,140)と前記第2コンタクト部(160)との間抵抗を求める素子(320)を前記集積回路(110)に準備するステップであって、前記第1区分の前記第1コンタクト部(130)と前記第2区分の前記第1コンタクト部(140)とは、前記集積回路(110)の内部では、前記抵抗を求める素子(320)を介して接続可能である、ステップと、
前記第1区分および前記第2区分の前記第1コンタクト部(130,140)と前記第2コンタクト部(160)とを互いにはんだ付けするステップ(710)と、
前記集積回路(110)が通常動作に移行する前に、前記抵抗を求める素子(320)を用いて、前記第1コンタクト部(130,140)と前記第2コンタクト部(160)との抵抗を求めるステップ(720)と
を有する
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記方法(700)はさらに、
前記求めた抵抗が、あらかじめ定めた閾値を下回っているか否かを比較するステップ(725)を有する、
請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
複数の前記第1コンタクト部(130,140)および相応する前記第2コンタクト部(160)が設けられており、前記方法(700)はさらに、
− すべての抵抗が前記閾値を下回っているか否かを示す信号を出力するステップ(740)を有する、
請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路および集積回路のコンタクト部とプリント基板の相応するコンタクト部との間の抵抗を求める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による集積回路には電子回路が含まれており、この電子回路は、半導体基板に取り付けられておりまた複数のコンタクト素子を有するケーシングに収容されている。意図した使用目的ないし使用領域に依存して、種々異なるコンタクト素子を有するさまざまなケーシングが利用可能である。上記のコンタクト素子はふつう、はんだ付けプロセスにより、プリント基板の相応するコンタクト素子に接続される。ふつうこのプリント基板より、上記の集積回路と、別の電子コンポーネントとが接続される。
【0003】
例えば車両電気工学の分野において必要になることが多いのは、はんだ付けプロセスの後、相応するコンタクト素子間の電気接続の管理を確実に行うことである。これが行われるのは、例えばブレーキ制御部などの安全関連システムが関係する場合である。この管理は、例えば光学式に行うことが可能である。例えばQFMまたはLGAケーシングの場合のように上記のはんだ付け個所が直接見えない場合、レントゲンビームによって管理は行うことが可能である。しかしながらこれにはコストがかかり、また上記のレントゲン撮影において例えばボンディングワイヤなどの別の素子が見える場合には多義的な結果が生じ得ることにもなる。これとは択一的に上記のはんだ付けプロセスをより確実なプロセスで構成することができ、これは、例えばはんだ付けプロセスの前にすでにコンタクト素子にはんだを付けることによって行うことが可能である。このようないわゆる事前はんだ付けも同様に付加的なコストが生じてしまうのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、コスト的に有利なはんだ付け個所管理を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、本発明の請求項1により、集積回路において、
この集積回路は、
− ケーシング内の電子回路と、
− 第1コンタクト部とを有しており、
ここでこの第1コンタクト部は、プリント基板の相応する第2コンタクト部にはんだ付けするためのものであり、
− 上記の第1コンタクト部および第2コンタクト部はそれぞれ第1区分および第2区分に分けられ、かつ
上記のコンタクト部のうちの一方のコンタクト部の前記の複数の区分は、固定的に電気的に互いに接続される集積回路において、
− 上記の他方のコンタクト部の区分は、抵抗値を求めるための素子に選択的に接続可能であることを特徴とする集積回路を構成することによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】プリント基板に接続された集積回路を示す図である。
図2】損傷のある接続部を有する図1の集積回路を示す図である。
図3図1および2に示した集積回路の等価回路図である。
図4図1および2に示した集積回路の1変形実施形態を示す図である。
図5図1および2に示した集積回路の別の1変形実施形態を示す図である。
図6図1および2に示した集積回路のさらに別の1変形実施形態を示す図である。
図7図1ないしは6に記載した集積回路において接続を管理する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、請求項1の特徴部分に記載された特徴的構成を有する集積回路により、また請求項7の特徴部分に記載された特徴的構成を有する方法により、この問題を解決しようとするものである。従属請求項には有利な実施形態が示されている。
【0008】
第1の側面において集積回路は、ケーシング内の電子回路と、第1コンタクト部とを有しており、この第1コンタクト部は、プリント基板の相応する第2コンタクト部と、上記の電子回路とをはんだ付けするためのものである。上記の第1コンタクト部および第2コンタクト部はそれぞれ、第1区分および第2区分に分けられ、上記のコンタクト部のうちの一方のコンタクト部の区分は、電気的に固定的に互いに接続されており、また他方のコンタクト部の区分は、抵抗を求めるための素子に選択的に接続可能である。
【0009】
上記の第1区分および第2区分は、1つのはんだプロセスによってそれぞれ互いに接続可能である。互い電気的に接続されていない第1区分および第2区分との間で抵抗を測定することにより、直列回路において2つの接続部の総抵抗を求めることができる。上記の2つの接続部のうちの1つが損傷している場合、このことは上記の求めた抵抗に反映される。これにより、付加的な測定装置なしに電気的なパスにおいてはんだ個所管理を行うことができる。
【0010】
上記の電子回路は、抵抗を求める装置を含むことが可能である。複数の区分が互いに接続されている上記のコンタクト部は、この場合に上記のプリント基板に配置される。上記の集積回路により、上記のプリント基板とのはんだ付けのプロセス後に機能テストを行い、上記のプリント基板とのその接続部が損傷しているか否かを決定することができる。上記のプリント基板の側には、このために特別な準備対策を施す必要がない。殊に特定用途向けIC(ASIC)では、とりたててあげるほどのコストをかけることなく上記の抵抗を求める機能を実現することができる。これによってプロセス確実性を高めることができ、その際に同時に作製コストを大きく増大させることはない。
【0011】
上記の電子回路は、上記の抵抗を求める素子と、上記の区分のうちの1つとを選択に接続する回路装置を有することができる。これにより、上記の抵抗の決定を選択的に作動状態または非作動状態にすることができるため、抵抗の決定に続く上記の集積回路の通常動作時には、上記の接続部を通る電流を形成する必要がない。これによって通常動作時における上記の集積回路の電気的な損失出力を低減することが可能である。
【0012】
上記の電子回路は、上記の求めた抵抗と、閾値とを比較する素子を含むことができる。上記の閾値を基準にした上記の抵抗のレベルは、上記の接続部のうちの1つが損傷しているか否かを示す指標とすることができる。1実施形態では複数の閾値を設け、上記の閾値を基準とした上記の抵抗のレベルから、上記の接続部の品質を読み取ることができる。
【0013】
このために上記の電子回路を構成して、上記の比較結果を示す信号が出力されるようにする。これにより、上記の集積回路と、プリント基板とが電気的に十分に接続されていない場合に例えば上記の集積回路の始動を中断することができる。
【0014】
1実施形態において上記の集積回路のコンタクト部の複数の区分のうちの一方は、上記の抵抗を求める素子に固定的に接続されている。他方の区分は、上記の抵抗の決定とは無関係な上記の集積回路の機能に対応付けることができる。これによって上記の集積回路の機能と、本発明による接続部管理とを完全にデカップリングすることができるのである。
【0015】
第2の側面によれば、本発明には、集積回路の電子回路に接続されたコンタクト部と、プリント基板の相応するコンタクト部との間の抵抗を求める方法が含まれており、ここでは上記のコンタクト部はそれぞれ第1区分および第2区分に分けられており、また前記の方法には、上記の複数のコンタクト部のうちの一方の区分を互いに電気的に接続するステップと、上記の相応するコンタクト部の区分間の電気抵抗を求めるステップとを有する。
【0016】
有利には上記の方法には、上記の求めた抵抗が、あらかじめ定めた閾値を下回っているか否かの比較をすることも含まれている。殊に多数のコンタクト部および相応するコンタクト部を設けることができ、ここではこの方法に信号の送出が含まれており、ここでこの信号は、すべての抵抗が上記の閾値を下回っているかを示す信号である。ここで上記の個々のコンタクト部の接続部の抵抗測定は有利にはシーケンシャルに行われる。
【0017】
別の1側面によれば、本発明にはプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が含まれており、このプログラムコード手段は、これが処理装置において実行されるかまたはコンピュータ読み出し可能なデータ担体に含まれている場合、上記の方法を実行するためのものである。このことが当てはまるのは殊に、上記の処理装置が上記の電子回路に含まれている場合である。
【実施例】
【0018】
以下では添付の図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0019】
実施例の詳細な説明
図1には集積回路110の装置100が示されている。集積回路110にはケーシング115が含まれており、このケーシングに電子回路120が配置されている。ケーシング115の外側にははんだパッド130,140が配置されており、これらのパッドは、ボンディングワイヤによって電子回路120に電気的に接続されている。集積回路110の下側には別のはんだパッド160を有するプリント基板150が配置されている。1実施形態においてはんだパッド130,140は小型化されて実施されており、またこれのパッドは合わせると、プリント基板150上のはんだパッド160とほぼ同じ大きさである。ここではんだパッド160は、有利には標準化されたサイズを有する。上記の集積回路のはんだパッド130,140と、はんだパッド160との間に電気接続部170ないしは180が設けられており、これらの接続部は、共通のはんだ付け個所190によって形成されている。
【0020】
集積回路110の通常動作に対して、電気回路120と、プリント基板150のはんだパッド160とを接続するため、はんだパッド130,140のうちの1つだけが必要である。通常動作中の集積回路110の動作確実性を高めるため、通常動作に先行するテストフェーズにおいて集積回路110のはんだパッド130と140との間の抵抗を測定する。この際には電流が、第1のはんだパッド130から、接続部170を通ってプリント基板150のはんだパッド160に流れ、またそこから接続部180を介して、集積回路110のはんだパッド140に流れる。逆方向も同様に可能である。
【0021】
ここでは直列接続された2つの接続部170および180を含む抵抗が求められる。2つの接続部170および180にエラーがない場合、はんだパッド130と140との間の抵抗値はふつう数mΩの範囲である。
【0022】
図2には、損傷のある接続部180を有する図1の集積回路が示されている。接続部180は、一部分しか機能していない。それは、はんだ個所190が、はんだパッド140の一部分しか濡していなかったからである。このような接続部は、「コールドはんだ付け個所」(kalte Loetstelle)とも称される。この場合、はんだパッド130と140との間の電気抵抗は数Ωの範囲である。はんだパッド130と140との間の抵抗値は、別の接続部170に損傷がある場合、またははんだパッド130,140のうちの1つが、はんだ個所190によってまったく濡らされていない場合にはさらに大きくなることがある。この場合、はんだパッド130と140との間の抵抗はふつう、数MΩから無限大までの範囲である。
【0023】
図3は、図1および2に示した集積回路110の等価回路図が示されている。この回路図にはケーシング115が示されており、その外側にははんだパッド130および140が配置されている。ケーシング115には電子回路120が収容されており、またこの電子回路120は、ボンディングワイヤによってはんだパッド130および140に接続されている。
【0024】
電子回路120には、第1機能素子310および第2機能素子320が含まれている。第1スイッチ330により、はんだパッド130が第1機能素子310または第2機能素子320に選択的に接続される。第2スイッチ340は、はんだパッド140と第2機能素子320との間で選択的に接続を形成する。
【0025】
第1機能素子310は、集積回路110の通常動作に使用される電子回路120の一部分を表している。第2機能素子320は、電子回路120の部分であり、この部分を用いることにより、はんだパッド130と140との間の抵抗を測定することができる。この測定はふつう、集積回路110が通常動作に移行する前に実行される。
【0026】
はんだパッド130と140との間の抵抗を求めるため、第1スイッチ330は図示の位置にあり、この位置においてはんだパッド130と第2機能素子320とが接続される。第2スイッチ340は、図示のように閉じられる。
【0027】
通常動作に対して第1スイッチ330は位置が変えられて、このスイッチにより、はんだパッド130と第1機能素子310とが接続される。同時に第2スイッチ340が開かれ、これによって阻止されるのは、第2機能素子320から、スイッチ340と、はんだパッド140と、はんだ個所190と、はんだパッド130と、第1スイッチ330とを介して第1機能素子310に電流が流れることである。このような電流を無視できるようにしたいかまたは所望される場合、第2スイッチ340を省略して、固定の接続に置き換えることが可能である。
【0028】
図4には図1および2に示した集積回路110の1変形形態が示されている。図1に示したものとは異なり、集積回路110のはんだパッド130および140は、さらに互いに間隔が空けられており、これらのはんだパッドは、プリント基板150に別個に形成されるはんだパッド160に対向している。プリント基板150上のこれらのはんだパッド160は、導体路によって互いに電気的に接続される。はんだパッド130と、プリント基板150の左側のはんだパッド160との間の接続部170は、第1はんだ個所190によって形成され、またはんだパッド140と、プリント基板150の右側のはんだパッド160との間の接続部180は、第2はんだ個所190によって形成される。この実施形態で使用されているのは、ふつうのサイズとグリッド幅とを有するはんだパッド130,140であるため、図1に関連して上で説明したような小型化したはんだ個所130,140を集積回路110に設ける必要はない。これによって、例えば接続部170および180の電流容量を高めることができる。場合によっては、はんだ個所190の作製のし易さを改善することも可能である。またはんだ個所190により、はんだパッド130および140との良好な接続が形成されるが、プリント基板のはんだパッド160との接続は良好でないかまたはこれが形成されないという確率を低減することができるのである。
【0029】
図5には、図1および2に示した集積回路110の別の1変形形態が示されている。図4に示したものとは異なり、プリント基板150のはんだパッド160は、互いに電気的に接続されていない。接続部170および180の抵抗を求めるため、この実施形態では上記とは逆に行う。ここでこれは、図3に相応して、はんだパッド130および140を電子回路120内でこの電子回路120の機能によって互いに電気的に接続することによって行われる。この場合に抵抗は、プリント基板150側で求められ、これは2つのはんだパッド160間の抵抗を求めることによって行われる。この場合には図3の第2機能素子320は、例えば0Ωの短絡などのあらかじめ定めた抵抗に相応することができる。
【0030】
別の1実施形態では、第2機能素子320は、0Ωより大でありかつこの第2機能素子の両端で電圧が降下するあらかじめ定めた抵抗を含むことができる。ここでこの電圧は、プリント基板150のはんだパッド160を通る電流に比例する。この場合に上記の抵抗はつぎのように測定される。すなわち、はんだパッド160間で、例えばプリント基板150上の別のコンポーネントを用いて、あらかじめ定めた電圧を加えて第2機能素子320における電圧降下に基づき、接続部170および180を通る電流を求めることによって行われるのである。はんだパッド160間の電圧は、プリント基板150上に配置されているコンポーネントによってでなくても、テストフェーズ中にはんだパッド160に接触接続する例えば探芯などの外部のテスト装置を用いて形成することも可能である。
【0031】
図6には、図1ないし5に示した集積回路110の別の1変形実施形態が示されている。図1に示したものとは異なり、集積回路160とプリント基板150との間にはただ1つの接続部170だけしか設けられていない。はんだパッド130の他にはニードル端子610が設けられており、この端子は、側方からケーシング115にアクセスに可能であり、またはんだパッド130と、電子回路120との電気接続部の一部である。電子接続部170の品質は、ニードル端子610と、プリント基板150のはんだパッド160との間の電気抵抗を求めることによって決定することができる。
【0032】
図7には、図1ないしは6に記載された集積回路110における接続を管理する方法700の流れ図が示されている。第1のステップ705では、プリント基板150上のはんだパッド160の互いに横に並んだ複数の区分が電気的に接続される。これは、プリント基板150の作製の枠内で、例えば印刷された回路として行うことが可能である。つぎのステップ710では、相応するはんだパッド130,140と、はんだパッド160との間に接続部170および180を作製する。このステップには、はんだ個所190の作製を含めることが可能である。ステップ715では、第1スイッチ330および第2スイッチ340を用いて、第2機能素子320と、はんだパッド130および140とを接続する。引き続き、ステップ720においてはんだパッド130と140との間の抵抗を測定する。
【0033】
ステップ725では、上記の求めた抵抗が、あらかじめ定めた閾値より小さいか否かを決定する。この閾値はふつう数Ωの範囲である。上記の求めた抵抗が、この閾値を下回っている場合、このことによって得られるのは、接続部170および180が正常であることである。ステップ725において、ステップ720で求めた上記の抵抗がこの閾値を上回っていることが判定されると、ステップ730において信号が出力される。この信号は、集積回路110とプリント基板150との間で少なくとも1つの接続部170,180が損傷していることを示す信号である。図示の変形実施形態において、方法700はステップ730で終了する。別の1変形実施形態では、上記の信号を送出した後、ステップ735に進むことも可能である。これが行わない場合、このステップ735は、ステップ725に続いて実行される。ステップ735では、集積回路110のすべてのコンタクト素子130,140をすでにチェックしたか否かが検査される。チェックがまだ行われていない場合、方法700は、ステップ715に進み、ここで別のコンタクト素子130,140がチェックされる。
【0034】
ステップ735においてすべてコンタクト素子130,140をチェックしたことが決定されると、オプションの最後のステップ740において、接続部170,180にエラーのないことを示す信号が出力される。この方法が、ステップ730の後、ステップ735に進む場合、ステップ740において例えば、どの接続部170,180にエラーがあり、またどの接続部にエラーがないかを示すなどの区別を行った結果を出力することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 装置、 110 集積回路、 115 ケーシング、 120 電子回路、 130,140 はんだパッド、 150 プリント基板、 160 はんだパッド、 170,180 接続部、 190 はんだ付け個所、 310 第1機能素子、 320 第2機能素子、 330 第1スイッチ、 340 第2スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7