【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両を載せて搬送するためのパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の前記段に配設された複数の格納棚、及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の前記格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置の制御装置であって、複数の前記段に対応する前記格納庫のうち、所定の円滑性を有する前記空き領域の個数
に対して所定の閾値が設定される前記格納庫を特定段とし、前記車両が載置されていない前記パレットを空きパレットとし、入庫させる前記車両は、前記特定段に前記空きパレットがある場合には、前記特定段の前記空きパレットに入車させて前記特定段に入庫させ、前記特定段に前記空きパレットがない場合には、前記特定段以外の前記格納庫である他段から取り出された前記空きパレットに入車させて前記特定段に入庫させる機械式駐車装置の制御装置を提供する。
【0010】
このような構成によれば、制御装置は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両が載置されたパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の段に配置された複数の格納棚、及びパレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚を含む格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置に設けられる。また、複数の段に対応する格納庫のうち、所定の円滑性を有する空き領域の個数が設定される格納庫を特定段とし、特定段の空きパレットがある場合には、特定段の空きパレットに車両を入車して特定段に入庫し、特定段の空きパレットがない場合には他段から取り出した空きパレットに車両を入車して特定段に入庫する。ここで、円滑性とは、パレットの移動のし易さを意味し、所定の円滑性を有するとは、他段と比較して移動をし易くして早く入出庫が行えるように多くの空き領域を有することである。また、入車とは、パレットに車両が載置されることであり、入庫とは、車両が載置されたパレットが格納庫の所望の格納棚に配置されることである。
【0011】
このように、特定段は、車両を優先的に入庫させる格納庫として使用され、特定段の空き領域の個数が所定の円滑性を有する個数に設定され最適化されているので、車両入庫時の円滑性が向上する。また、特定段は、空きパレットが不足している場合には他段から取り出した空きパレットを使用して入庫を受け入れるように、駐車状況に応じて空き領域の個数が更新されるため、車両の収容台数を減らすことなく、円滑性を向上させることができる。
また、本発明は、通常の入出庫で使用される昇降装置を利用し、従来の機械式駐車装置のソフトウェア的な入庫制御方法において車両が載置されたパレットを配置する先(段)の変更によって簡易に実現できるので、導入コストを抑えることができる。さらに、補助リフト等の追加の設備が不要となるので、補助リフト等を設ける場合と比較して機械式駐車装置の複雑さを低減することができ、補助リフトスペースに格納棚を設けて収容台数を増やすことができる。
【0012】
上記機械式駐車装置の制御装置は、前記他段から取り出した前記空きパレットに前記車両を載置した前記パレットを前記特定段に入庫させるのは、前記他段の前記空き領域の個数より前記特定段の前記空き領域の個数が多い場合とすることが好ましい。
これにより、特定段に格納される車両が増えた場合であっても、特定段の所定の円滑性は他段以上であることを確実に保つことができる。
【0013】
上記機械式駐車装置の制御装置は、入庫車両が増えて前記特定段の前記空き領域の個数が
、前記所定の閾値になった場合には、それ以上、前記特定段に前記パレットを格納させず、前記他段に前記車両を入車した前記パレットを入庫させる
入庫処理をする円滑モードを有することが好ましい。
【0014】
入庫車両が増えて特定段の空き領域の個数が所定の閾値となる場合には、特定段に入庫されることがなく、他段に車両が入庫され、他段への車両の入庫が繰り返される。これにより、特定段の所定の円滑性が悪化することがなく、特定段の所定の円滑性を保つことができる。
【0015】
上記機械式駐車装置の制御装置
において、前記機械式駐車装置は、2つ以上の前記他段を備えており、前記円滑モードによって前記入庫処理させていた前記他段の前記空きパレットがない場合には、前記円滑モードを解除し、全ての前記格納庫で前記空き領域が均一になるまで前記特定段及び前記他段に対し、順に入庫させることとしてもよい。
このように、入庫を受け入れた他段の空きパレットもない場合には、円滑モードが解除され、空き領域数を更新するので、駐車状況に応じて、特定段及び他段は閾値を超えて入庫を受け入れられることとなり、機械式駐車装置全体として収容台数を減らすことがない。
【0016】
本発明は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両を載せて搬送するためのパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の前記段に配設された複数の格納棚、及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の前記格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置の制御装置であって、複数の前記段に対応する前記格納庫のうち、所定の円滑性を有する前記空き領域の個数
に対して所定の閾値が設定される前記格納庫を特定段とし、前記車両が載置されていない前記パレットを空きパレットとし、前記特定段以外の前記格納庫を他段とし、前記特定段の前記空きパレットがなく、かつ、前記特定段の前記車両が載置された前記パレットの枚数が所定の枚数になっている場合には、前記特定段から前記車両を出庫させた後、前記特定段から取り出した前記車両の出庫後の前記空きパレットは、前記他段に格納させる機械式駐車装置の制御装置を提供する。
【0017】
このような構成によれば、制御装置は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両が載置されたパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の段に配置された複数の格納棚、パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置に設けられる。また、複数の段に対応する格納庫のうち、所定の円滑性を有する空き領域の個数が設定される格納庫を特定段とし、特定段の空きパレットがなく、車両が載置されたパレットの枚数が所定の枚数になっている場合には、特定段から出庫させた後の空きパレットを他段に格納する。ここで、円滑性とは、パレットの移動のし易さを意味し、具体的には、所定の円滑性を有するとは、他段と比較して多くの空き領域を有することである。
【0018】
このように、特定段の空きパレットがなく、特定段におけるパレットの枚数が所定の枚数になっている場合、換言すると、空き領域が所定の個数となっている場合には、特定段から出庫された後の空きパレットは他段に格納されるので、特定段の空き領域が増え、特定段の円滑性が向上する。
また、本発明は、通常の入出庫で使用される昇降装置を利用し、従来の機械式駐車装置のソフトウェア的な制御方法の変更によって実現できるので、導入コストを抑えることができる。さらに、補助リフト等の追加の設備が不要であるので、補助リフト等を設ける場合と比較して機械式駐車装置の複雑さを低減することができる。
【0019】
上記機械式駐車装置の制御装置の前記所定の枚数は、前記所定の円滑性を有する前記空き領域の個数
に対する前記所定の閾値に基づいて決定されることとしてもよい。
特定段の空きパレットがない状態であっても、特定段の所定の円滑性は保たれる。
【0020】
上記機械式駐車装置の制御装置において、前記特定段が複数ある場合において、前記特定段の重みづけを設定し、該重みづけに基づいて前記車両の入出庫を制御することとしてもよい。
複数の特定段に設定された重みづけに基づいて、車両の入出庫が制御されるので、複数の特定段がある場合であっても、所望の円滑性を保つことができる。
【0021】
上記機械式駐車装置の制御装置の複数の前記特定段が、前記車両の種類に応じて設けられる場合において、前記特定段の重みづけは、前記車両の種類に応じて設定されることとしてもよい。
車両の種類(以下「車種」という)とは、車高や車長等の相違に基づいて分けられる種類であり、例えば、ハイルーフ車、普通車、ワゴン等に分けられる。このように、車種に応じて特定段を設けることにより、車種毎に入出庫の円滑性が偏ることがなく、いずれの車種であっても、入出庫の円滑性が保たれる。
【0022】
上記機械式駐車装置の制御装置の前記車両を入出庫させる入出庫部に距離が近い前記特定段から順に、前記重みづけを大きく設定することとしてもよい。
複数の特定段がある場合に、入出庫部との距離によって左右される入出庫にかかる時間の長短を重みづけで調整できる。例えば、入出庫部と特定段との距離が最も近い特定段を最も重みづけを大きくし、優先順位を高くする場合には、他の特定段と比較して、速やかに入出庫が制御できる。また、入出庫部と特定段との距離とは、例えば、段数で示される距離であり、入出庫部が第1段にある場合には、第2段にある特定段との距離は「1」、第5段にある特定段との距離は「4」となる。
【0023】
上記機械式駐車装置の制御装置における前記重みづけは、前記車両の入出庫の予約状況、及び前記車両の入出庫の動作状況のうち少なくともいずれか一方に応じて決定されることとしてもよい。
機械式駐車装置の入出庫の予約状況や入出庫の動作状況等に応じて特定段の重みづけが変更されるので、実際の運用状態に応じて入出庫の円滑性の向上が図れる。
【0024】
上記機械式駐車装置の制御装置の前記重みづけは、複数の前記特定段に格納される前記車両の台数に基づいて決定されることとしてもよい。
入庫車両の台数が時々刻々と変わる場合であっても、その時々の入庫される車両の台数に応じて特定段に対する重みづけが変更されることとなるので、運用状況に応じて入出庫の円滑性の向上が図れる。
【0025】
上記機械式駐車装置の制御装置における、前記特定段及び前記他段における前記空きパレットの枚数は、入出庫動作の期間、及び該入出庫動作の予約がない空き時間のうち、どちらか一方の期間において調整されることとしてもよい。
空きパレットの枚数調整は、入庫動作の期間及び空き時間のいずれかの期間で行うことができるので、適宜円滑性の向上が図れる。
【0026】
上記機械式駐車装置の制御装置における、前記特定段及び前記他段における前記空きパレットの枚数は、前記昇降装置によって前記パレットを昇降させることにより調整されることとしてもよい。
車両を載置して昇降する昇降装置によって特定段と他段とのパレット枚数を調整できるので、補助リフト等のパレット調整用設備を利用する場合と比較して、設備が複雑にならず、かつ、導入コストが低減できる。
【0027】
本発明は、上記いずれかに記載の制御装置を備える機械式駐車装置を提供する。
機械式駐車装置が、上述した制御装置を備えることにより、機械式駐車装置の円滑性が向上される。
【0028】
上記機械式駐車装置において、前記特定段が、複数設けられることとしてもよい。
【0029】
上記機械式駐車装置において、前記特定段は、前記車両の種類に応じて設けられることとしてもよい。
車両の種類(以下「車種」という)とは、車高や車長等の相違によって分けられる種類であり、例えば、ハイルーフ車、普通車、ワゴン車等に分けられる。このように、車種に応じて特定段を設けることにより、車種毎に入出庫の円滑性が偏ることがなく、いずれの車種であっても、円滑性が保たれる。また、車種が異なる場合であっても、パレットは共通のものを使用できることとする。
【0030】
本発明は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両を載せて搬送するためのパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の前記段に配設された複数の格納棚、及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の前記格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置の制御方法であって、複数の前記段に対応する前記格納庫のうち、所定の円滑性を有する前記空き領域の個数
に対して所定の閾値が設定される前記格納庫を特定段とし、前記車両が載置されていない前記パレットを空きパレットとし、入庫させる前記車両は、前記特定段に前記空きパレットがある場合には、前記特定段の前記空きパレットに入車させて前記特定段に入庫させ、前記特定段に前記空きパレットがない場合には、前記特定段以外の前記格納庫である他段から取り出された前記空きパレットに入車させて前記特定段に入庫させる機械式駐車装置の制御方法を提供する。
【0031】
本発明は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両を載せて搬送するためのパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の前記段に配設された複数の格納棚、及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の前記格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置の制御プログラムであって、複数の前記段に対応する前記格納庫のうち、所定の円滑性を有する前記空き領域の個数
に対して所定の閾値が設定される前記格納庫を特定段とし、前記車両が載置されていない前記パレットを空きパレットとし、入庫させる前記車両は、前記特定段に前記空きパレットがある場合には、前記特定段の前記空きパレットに入車させて前記特定段に入庫させ、前記特定段に前記空きパレットがない場合には、前記特定段以外の前記格納庫である他段から取り出された前記空きパレットに入車させて前記特定段に入庫させることをコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラムを提供する。
【0032】
本発明は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両を載せて搬送するためのパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の前記段に配設された複数の格納棚、及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の前記格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置の制御方法であって、複数の前記段に対応する前記格納庫のうち、所定の円滑性を有する前記空き領域の個数
に対して所定の閾値が設定される前記格納庫を特定段とし、前記車両が載置されていない前記パレットを空きパレットとし、前記特定段以外の前記格納庫を他段とし、前記特定段の前記空きパレットがなく、前記特定段の前記車両が載置された前記パレットの枚数が、所定の枚数になっている場合には、前記特定段から前記車両が出庫された後、前記特定段から取り出した前記車両の出庫後の前記空きパレットは、前記他段に格納する機械式駐車装置の制御方法を提供する。
【0033】
本発明は、複数の段を有する構造物内に設置され、車両を載せて搬送するためのパレットが昇降する昇降装置、該昇降装置が昇降する昇降路に沿った複数の前記段に配設された複数の格納棚、及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の前記格納棚が格子状に配置された格納庫を備える機械式駐車装置の制御プログラムであって、複数の前記段に対応する前記格納庫のうち、所定の円滑性を有する前記空き領域の個数
に対して所定の閾値が設定される前記格納庫を特定段とし、前記車両が載置されていない前記パレットを空きパレットとし、前記特定段以外の前記格納庫を他段とし、前記特定段の前記空きパレットがなく、前記特定段の前記車両が載置された前記パレットの枚数が、所定の枚数になっている場合には、前記特定段から前記車両が出庫された後、前記特定段から取り出した前記車両の出庫後の前記空きパレットは、前記他段に格納することをコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラムを提供する。