(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態は、減速装置として、広く適用することができる。より具体的には、本発明の実施形態は、例えば、建設機械に備えられる旋回装置における減速装置、風車に備えられる減速装置、及び他の一般の装置に備えられる減速装置として、広く適用することができる。風車に備えられる減速装置として、ブレードのピッチ角を制御する駆動装置の減速装置、及び、タワーの上部に回転自在に設置されて内部に発電機等が配置されるナセルをタワーに対して回転させるヨー駆動装置の減速装置を例示することができる。
【0024】
図1は、減速装置1を示す断面図であり、一部を側面で図示している。
図2及び
図3は、それぞれ、
図1の減速装置1の一部を拡大した図である。
図1に示すように、減速装置1は、駆動源としての電動モータ100から出力された回転を減速し、且つ電動モータ100からの出力(トルク)を増幅し、当該増幅したトルクを、後述するピニオンユニット4のピニオン52から、減速装置1の外部の歯車102へ出力する。歯車102は、例えば、リングギヤである。
【0025】
減速装置1は、ケース2、減速機構3、ピニオンユニット4、及びカバー5等を備えて構成されている。ピニオンユニット4は、減速装置1の一端に配置されている。一方、電動モータ100は、減速装置1の他端に取り付けられる。尚、以下の説明においては、減速装置1に関して、ピニオンユニット4が配置される側を一端側とし、電動モータ100が取り付けられる側を他端側として説明する。
【0026】
ケース2は、一端側及び他端側の端部が開口するように形成された筒状に形成されている。ケース2の一端部の近傍には、フランジ部2aが形成されている。フランジ部2aは、図示しない筐体等にねじ部材を用いて固定される部分として設けられている。このケース2の内周には、減速機構3の後述するピン内歯16が配置されている。ケース2の他端部には、カバー5が取り付けられている。
【0027】
図2に示すように、カバー5は、円盤状の部材として設けられ、ケース2の他端側の開口を覆うように配置されている。カバー5は、固定カバー6と、可動カバー7と、を含んでいる。固定カバー6は、円筒状に形成されており、周方向の一部には、突起状部6aが形成されている。突起状部6aは、固定カバー6の径方向外方に向けて突出している。また、固定カバー6の一端の内周部には、環状の凸部6bが形成されている。凸部6bは、ケース2の他端部の内周に嵌合されている。固定カバー6の一端面は、ケース2の他端面に受けられている。また、固定カバー6とケース2とは、ねじ部材8によって固定されている。具体的には、ねじ部材8は、固定カバー6の外周部に形成されたねじ挿通孔を挿通し、且つ、ケース2の他端部に形成されたねじ穴に螺合している。
【0028】
固定カバー6には、油路6cが形成されている。油路6cは、固定カバー6の内部の空間と外部の空間とを繋ぐ通路として設けられており、突起状部6a内を通っている。油路6cは、供給管9に接続されている。これにより、潤滑油等の流体潤滑剤を、供給管9及び油路6cを介して、カバー5内部の空間及びケース2の内部の空間に供給可能である。
【0029】
固定カバー6の他端面には、環状の溝が形成されており、当該溝にOリング等のシール部材が配置されている。当該シール部材は、電動モータ100のハウジングに接触することで、当該ハウジングと固定カバー6との間を液密的に封止する。固定カバー6と電動モータ100のハウジングとは、図示しない固定ねじを用いて固定される。また、固定カバー6の凸部6bの外周面には、環状の溝が形成されており、当該溝にOリング等のシール部材が配置されている。当該シール部材は、ケース2の他端部の内周面に接触することで、当該ケース2と固定カバー6との間を液密的に封止する。固定カバー6の内周に、可動カバー7が嵌合されている。
【0030】
可動カバー7は、円盤状に形成されており、固定カバー6の他端側の開口を塞ぐように配置されている。可動カバー7は、固定カバー6の内周面を、ケース2の軸方向S1(以下、単に「軸方向S1」ともいう)に摺動可能である。可動カバー7の外周面には、環状の溝が軸方向S1に並んで例えば2つ形成されており、各溝にOリング等のシール部材が配置されている。各シール部材は、固定カバー6の内周面に接触することで、固定カバー6と可動カバー7との間を液密的に封止する。
【0031】
可動カバー7には、コイルばね等の弾性部材10が取り付けられており、弾性部材10から付勢力を付与されるようになっている。また、可動カバー7には、挿通孔7aが形成されており、当該挿通孔7aに、モータ軸101が挿通されている。モータ軸101は、電動モータ100に設けられ、電動モータ100のハウジングから突出する軸部材である。モータ軸101は、ケース2及びカバー5によって形成された収容空間11内に延びている。モータ軸101の先端には、モータ歯車12が一体回転可能に連結されている。本実施形態では、モータ軸101とモータ歯車12とは、単一の材料を用いて一体に形成されている。尚、モータ軸101とモータ歯車12とを別部材を用いて形成し、これらモータ軸101とモータ歯車12とをスプライン結合で一体に結合させてもよい。
【0032】
モータ歯車12は、減速装置1の軸線L1と同軸に配置されている。本実施形態において、軸線L1は、ケース2の中心軸線である。軸方向S1は、軸線L1が延びる方向である。モータ歯車12は、例えば平歯車である。尚、減速装置1では、モータ歯車12、ケース2内に配置される減速機構3、及びピニオンユニット4(
図1参照)が、軸線L1に沿って直列に配置されている。
【0033】
減速機構3は、軸線L1に対して偏心回転する部材を含む偏心歯車機構として設けられている。減速機構3は、スパーギヤ13と、クランク軸14と、外歯歯車15と、ピン内歯16と、キャリア17と、を含んでいる。
【0034】
スパーギヤ13は、減速機構3の入力部材として設けられている。スパーギヤ13の中心軸線は、軸線L1と平行に配置されている。スパーギヤ13は、複数設けられたクランク軸14の他端部にそれぞれ固定されている。そして、スパーギヤ13は、モータ軸101の一端側に形成されたモータ歯車12と噛み合うように配置され、電動モータ100の駆動力が伝達されるように構成されている。
【0035】
クランク軸14は、軸線L1を中心とした周方向に沿った均等角度の位置に複数(例えば、3つ)配置されている。尚、各クランク軸14に関連する構成は同様であるので、以下では、主に、1つのクランク軸14に関する構成について説明し、他のクランク軸14に関連する構成についての詳細な説明は省略する。クランク軸14は、軸線L1と平行に配置されており、軸線L1と平行な回転中心線L2回りに回転可能である。そして、各クランク軸14の他端部近傍には、前述のようにスパーギヤ13が固定されている。これにより、クランク軸14には、モータ歯車12からの駆動力が入力される。
【0036】
クランク軸14は、外歯歯車15に形成されたクランク用孔29を貫通するように配置されている。クランク軸14は、モータ歯車12からの駆動力によって回転することで外歯歯車15を軸線L1に対して偏心させて回転させる軸部材として設けられている。そして、クランク軸14は、当該クランク軸14の回転中心線L2回りの回転(自転)に伴う外歯歯車15の回転にあわせて、軸線L1回りの回転(公転)を行う。
【0037】
クランク軸14には、当該クランク軸14の一端部と他端部との間の途中部分において、第1偏心部21及び第2偏心部22が直列に形成されている。第1偏心部21及び第2偏心部22は、軸方向S1と垂直な断面が円形断面となるように形成されている。第1偏心部21及び第2偏心部22のそれぞれの中心軸線は、クランク軸14の回転中心線L2に対して偏心している。
【0038】
クランク軸14は、キャリア17に相対回転可能に支持されている。具体的には、クランク軸14は、当該クランク軸14の回転中心線L2と同軸に配置された第1同軸部23及び第2同軸部24を有している。第1同軸部23及び第2同軸部24は、第1偏心部21及び第2偏心部22を挟むように配置されている。
【0039】
第1同軸部23は、複数の第1転動体25を介して、キャリア17の後述するクランク用孔36aに回転可能に支持されている。また、第2同軸部24は、複数の第2転動体28を介して、キャリア17の後述するクランク用孔35aに相対回転可能に支持されている。第1転動体25及び第2転動体28は、例えば、針状ころである。上記の構成により、クランク軸14は、キャリア17によって軸方向S1の2箇所で支持された、2点支持構造とされている。
【0040】
外歯歯車15は、キャリア17によって保持されており、電動モータ100の出力が伝達される。外歯歯車15は、ケース2のケース11内に収納された第1外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bを含んでいる。第1外歯歯車15aの中心軸線及び第2外歯歯車15aの中心軸線は、それぞれ、軸線L1と平行に配置されている。第1外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bには、前述したように、クランク軸14が貫通するクランク用孔29が円形孔として形成されている。クランク軸14の第1偏心部21は、複数の第3転動体26を介して、第1外歯歯車15aのクランク用孔29の周面を回転可能に支持している。また、クランク軸14の第2偏心部22は、複数の第4転動体27を介して、第2外歯歯車15のクランク用孔29の周面を回転可能に支持している。第3転動体26及び第4転動体27は、それぞれ、例えば、円柱状ころである。
【0041】
第1外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bには、それぞれ、クランク用孔29に加え、後述する支柱37が貫通する支柱用孔30が形成されている。第1外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bのそれぞれにおいて、支柱用孔30は、支柱37に対応して外歯歯車15の周方向に沿った均等角度の位置に複数(例えば、3つ)配置されている。また、支柱用孔30は、外歯歯車15の周方向において、クランク用孔29と交互に形成されている。尚、支柱用孔30に挿通された支柱37は、第1外歯歯車15及び第2外歯歯車15とは非接触となるように、支柱用孔30の内周面から離隔して配置されている。
【0042】
第1外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bのそれぞれの外周には、ピン内歯16に噛み合う外歯31が設けられている。第1外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bのそれぞれにおいて、外歯31の歯数は、ピン内歯16の歯数よりも1個或いは複数個少なくなるように設けられている。このため、クランク軸14が回転するごとに外歯歯車15(第1外歯歯車15a、第2外歯歯車15b)の外歯31とピン内歯16との噛み合いがずれる。これにより、外歯歯車15(第1外歯歯車15a、第2外歯歯車15b)が軸線L1に対して偏心して揺動回転するように構成されている。ピン内歯16は、ケース2の内周の溝に保持された一対の止め輪に挟まれており、軸方向S1に位置決めされている。スパーギヤ13、クランク軸14及び外歯歯車15は、キャリア17によって保持されている。
【0043】
図1及び
図3に示すように、キャリア17は、ケース2の内部(収容空間11)に収納されており、軸方向S1に延びている。キャリア17の中心軸線は、軸線L1と一致しており、キャリア17は、軸線L1回りに回転可能である。キャリア17は、一対の軸受としての第1主軸受32及び第2主軸受33を介して、ケース2に回転可能に支持されている。また、キャリア17は、外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bを、軸線L1回りに公転可能に、且つ、軸線L1に対して偏心回転可能に支持している。キャリア17は、基部キャリア34と、端部キャリア35と、を含んでいる。
【0044】
基部キャリア34は、例えば、単一部材から形成された一体成形品である。基部キャリア34は、基部キャリア本体36と、支柱37と、凹部形成部38と、を含んでいる。基部キャリア本体36は、軸方向S1と直交する方向に延びる円盤状に形成されている。基部キャリア本体36には、クランク用孔36aが形成されている。クランク用孔36aは、丸孔であり、クランク用孔36aの中心軸線は、軸線L1と平行であり、回転中心線L2と同軸である。クランク用孔36aは、第1転動体25を介して、クランク軸14の第1同軸部23を回転可能に支持している。尚、クランク用孔36aは、軸線L1を中心とした周方向に沿った均等角度の位置に形成されており、各クランク用孔36aに、対応する第1同軸部23が挿通されている。
【0045】
また、基部キャリア本体36には、連結用孔36bが形成されている。連結用孔36bは、キャリア17とピニオンユニット4とを連結するために設けられている。連結用孔36bは、基部キャリア本体36を軸方向S1に貫通しており、軸線L1と同軸に配置されている。軸方向S1における連結用孔36bの中間部には、環状の段部が形成されている。段部は、基部キャリア本体34の他端面側を向いている。基部キャリア本体36の一端面から、凹部形成部38が延びている。
【0046】
図3に示すように、凹部形成部38は、ケース2と結合される部分として設けられており、ケース2の一端部の近傍に配置されている。また、凹部形成部38は、ピニオンユニット4と結合される部分として設けられている。凹部形成部38は、基部キャリア本体36からケース2の一端側に向けて延びる有底の円筒状に形成されており、凹部39を形成している。凹部形成部38は、軸線L1と同軸に配置されている。軸方向S1に関して、凹部形成部38の長さは、基部キャリア本体36の長さと同じか、又は、基部キャリア本体36の長さよりも長い。
【0047】
凹部形成部38の外周部には、円筒面38aと、雄ねじ部38bが形成されている。雄ねじ部38bは、凹部形成部38の一端部に配置されており、円筒面38aは、雄ねじ部38bと隣接して配置されている。雄ねじ部38bには、ナット部材としての位置決め部材40が固定されている。位置決め部材40の詳細については、後述する。円筒面38aには、第1主軸受32が取り付けられている。これにより、凹部形成部38は、第1主軸受32を介してケース2に回転可能に保持されている。
【0048】
第1主軸受32は、円錐ころ軸受等の転がり軸受であり、内輪32aと、外輪32bと、転動体32cと、を含んでいる。内輪32aの内周面は、凹部形成部38の円筒面38aに嵌合されている。転動体32cは、例えば、円錐ころであり、内輪32aの一端部に形成された肩部32dに受けられている。外輪32bは、ケース2の軸受保持部2bに保持されている。軸受保持部2bは、ケース2の一端部の内周面に形成されている。軸受保持部2bは、軸線L1と平行に延びる円筒面と、当該円筒面の他端部から軸線L1と直交する方向に延びる円環状の段部と、を有する、L字状の断面形状を有する部分である。外輪32bの外周面は、軸受保持部2bの円筒面にすきまばめによって嵌合しており、ケース2に対して軸方向S1に相対移動可能である。外輪32bの他端面は、軸受保持部2bの段部に受けられており、ケース2に対して他端側への移動が規制されている。
【0049】
凹部39は、凹部形成部38の一端面から他端側に延びる、円柱状の空間を形成している。凹部39の内周面には、第1嵌合孔部41、雌スプライン歯部43、及び第2嵌合孔部42が形成されている。第1嵌合孔部41、雌スプライン歯部43、及び第2嵌合孔部42は、この順に、凹部形成部38の一端側から他端側に向かって並んでいる。
【0050】
第1嵌合孔部41及び第2嵌合孔部42は、それぞれ、ピニオンユニット4の後述する第1嵌合部61及び第2嵌合部62と圧入嵌合するために設けられている。第1嵌合孔部41は、凹部39の一端部に形成された、円筒状の面である。第1嵌合孔部41の一端は、凹部形成部38の一端面38cに連続している。第2嵌合孔部42は、凹部39の他端部(底部)に形成された、円筒状の面である。第2嵌合孔部42は、凹部39の底面に連続している。第2嵌合孔部42は、基部キャリア本体36のクランク用孔36aに隣接している。第2嵌合孔部42の直径は、第1嵌合孔部41の直径よりも小さい。第1嵌合孔部41と第2嵌合孔部42との間に、雌スプライン歯部43が配置されている。
【0051】
雌スプライン歯部43は、凹部39の内周面に等間隔に形成された複数の雌歯を含んでいる。雌スプライン歯部43は、軸方向S1と平行な方向に延びており、第1嵌合孔部41及び第2嵌合孔部42の双方と同軸に並んでいる。雌スプライン歯部43の歯底の直径、即ち、雌スプライン歯部43が形成されている部分における凹部39の内周面の直径は、第1嵌合孔部41の直径よりは小さく、且つ、第2嵌合孔部42の直径よりは大きい。換言すれば、凹部39の内周面の直径は、凹部39の一端から他端に向かうに従い、段階的に小さくなっている。
【0052】
雌スプライン歯部43は、第1嵌合孔部41と離隔して配置され、且つ、第2嵌合孔部42と離隔して配置されている。軸方向S1と直交する径方向R1に関して、雌スプライン歯部43は、第1主軸受32と向かい合っている。より具体的には、雌スプライン歯部43の一端部は、第1主軸受32の内輪32aの肩部32dと径方向R1に向かい合っている。また、雌スプライン歯部43の他端部は、第1主軸受32の転動体32cの他端部と径方向R1に向かい合っている。上記の構成を有する凹部39に対して他端側に、支柱37が配置されている。
【0053】
図2に示すように、支柱37は、基部キャリア本体36と、端部キャリア35との間に配置され、基部キャリア本体36と端部キャリア35とを連結する柱状部材として設けられている。支柱37は、軸線L1回りに等間隔に複数(例えば、3つ)配置されている。各支柱37は、軸線L1と平行に延びている。支柱37とクランク軸14とは、軸線L1を中心とした周方向に沿って交互に配置されている。尚、各支柱37の構成は同様であるので、以下では、主に1つの支柱37について説明し、他の支柱37についての詳細な説明は省略する。支柱37は、基部キャリア本体36と一体に形成されており、基部キャリア本体36の他端部から突出するように設けられている。支柱37の他端部には、支柱ボルト穴37aが形成されている。支柱ボルト穴37aは、端部キャリア35に形成された後述するねじ貫通孔35bに対向している。支柱ボルト穴37aの内周には、内周に雌ねじ部が形成されている。前述したように、支柱37は、第1外歯歯車15a及び第2外歯歯車15bのそれぞれの支柱用孔30を遊嵌状態で挿通しており、これら第1外歯歯車15及び第2外歯歯車15とは非接触である。支柱37は、端部キャリア35に結合されている。
【0054】
端部キャリア35は、支柱37を介して基部キャリア本体36と連結された、円盤状の部材として設けられている。端部キャリア35は、ケース2の他端部に配置されている。端部キャリア35には、前述したように、貫通孔として形成されたクランク用孔35aが形成されている。クランク用孔35aは、軸線L1を中心として周方向に沿った均等角度の位置に設けられている。そして、クランク用孔35aは、クランク軸14の第2同軸部24を、第2転動体28を介して回転自在に保持している。
【0055】
端部キャリア35には、端部キャリア35を軸方向S1に貫通するねじ挿通孔35bが形成されており、当該ねじ挿通孔35bには、支柱用ボルト44が挿通されている。支柱用ボルト44は、支柱37の支柱ボルト穴37aの雌ねじ部に螺合している。これにより、端部キャリア35と基部キャリア34とが固定されている。端部キャリア35は、第2主軸受33を介して、ケース2に回転可能に支持されている。
【0056】
第2主軸受33は、第1主軸受32と協働して、キャリア17をケース2に対して回転自在に保持している。即ち、第1主軸受32及び第2主軸受33によって、キャリア17を保持する一対の主軸受が構成されている。第2主軸受33は、第1主軸受32と同様、ケース2に保持されている。本実施形態では、第2主軸受33は、アンギュラ玉軸受等の玉軸受として構成されている。第2主軸受33は、内輪33aと、外輪33bと、転動体33cと、を有している。内輪33aは、端部キャリア35の外周面に形成された円筒状の軸受保持部35cに嵌合されている。内輪33aの他端面は、端部キャリア35のうち軸受保持部35cから径方向外方に突出する環状のフランジ部35dに受けられている。外輪33bは、ケース2の内周面に形成された軸受保持部2cに嵌合されている。軸受保持部2cは、外輪33bの外周面を取り囲む円筒面と、当該円筒面の一端部から径方向R1の内方に延びる環状の段部とを有している。外輪33bの一端面は、軸受保持部2cの段部に受けられている。
【0057】
図1に示すように、第1主軸受32及び第2主軸受33には、それぞれ、予圧が付与されている。具体的には、位置決め部材40は、基部キャリア34の凹部形成部38の雄ねじ部38bに螺合している。位置決め部材40が凹部形成部38に締結されるとき、位置決め部材40は、凹部形成部38に対して他端側に変位する。これにより、位置決め部材40と、端部キャリア35の環状のフランジ部35dとの間の間隔が短くなる。当該間隔が所定値まで短くなると、位置決め部材40は、第1主軸受32の内輪32aの一端面を他端側に付勢する。この付勢力は、転動体32cを介して外輪32bに伝わり、外輪32bの他端面は、ケース2の軸受保持部2bの段部に受けられる。これにより、内輪32aと外輪32bとの間に予圧が付与される。また、端部キャリア35のフランジ部35dは、第2主軸受33の内輪33aを一端側へ付勢する。この付勢力は、転動体33cを介して外輪33bに伝わり、外輪33bの一端面は、ケース2の軸受保持部2cの段部に受けられる。これにより、内輪33aと外輪33bとの間に予圧が付与される。
【0058】
図2に示すように、端部キャリア35は、モータ歯車12を軸方向S1に位置決めするための部材としても設けられている。具体的には、端部キャリア35の中心に形成された孔部に、円板状のギヤ受け部材45が嵌めこまれている。ギヤ受け部材45は、軸線L1と同軸に配置されている。ギヤ受け部材45の他端面には、凹部が形成されており、当該凹部にボール46が嵌め込まれている。このボール46は、モータ歯車12の一端面に形成された凹部に嵌め込まれている。これにより、モータ歯車12の中心軸線が軸線L1と一致するように、モータ歯車12が位置決めされている。
【0059】
端部キャリア35に隣接した位置には、クランク軸14の回転を規制可能な制動機構47が形成されている。制動機構47は、ベース部材48と、摩擦板49と、を含んでいる。ベース部材48は、端部キャリア35の他端側に配置された部材である。ベース部材48は、端部キャリア35の他端面から軸方向S1に沿って延びる支柱部分を有している。当該支柱部分は、連結ピン50を用いて端部キャリア35に固定されている。
【0060】
また、ベース部材48は、上記支柱部分によって支持された本体部分を有しており、当該本体部分に形成された挿通孔48aを、モータ軸101が挿通している。また、ベース部材48の本体部分の他端側には、複数の摩擦板49が配置されている。摩擦板49は、ベース部材48と、可動カバー7との間に配置された円盤状の部材であり、クランク軸14の他端部にスプライン結合している。上記の構成により、可動カバー7が一端側に変位すると、複数の摩擦板49同士が摩擦結合し、且つ、摩擦板49がベース部材48に摩擦係合する。これにより、クランク軸14の回転が規制される。一方、可動カバー7が他端側に変位すると、摩擦板49同士の摩擦係合と、摩擦板49とベース部材48との摩擦係合の双方が解除され、クランク軸14の回転規制が解除される。
【0061】
図3に示すように、キャリア17には、ピニオンユニット4が固定されている。減速機構3のキャリア17の回転に伴ってピニオンユニット4が回転することで、ピニオンユニット4は、ピニオンユニット4に噛み合う他の歯車102にトルクを伝達する。
【0062】
ピニオンユニット4は、金属材料を切削又は鍛造等することにより形成された一体成型品であり、全体が、単一の材料を用いて一体に形成されている。ピニオンユニット4は、軸部51と、ピニオン52とを含んでいる。軸部51は、ピニオン52と単一の材料を用いて一体に形成されることにより、ピニオン52と結合されている。軸部51は、減速機構3の出力部材としての凹部形成部38(キャリア17)と結合することにより、減速機構3の出力をピニオン52に伝達する。
【0063】
軸部51は、円柱状に形成されている。軸部51のうち、凹部39に収容されている部分が、凸部60として設けられている。凸部60の外周面には、第1嵌合部61、雄スプライン歯部63、及び第2嵌合部62が形成されている。第1嵌合部61、雄スプライン歯部63、及び第2嵌合部62は、この順に、凸部60の一端側から他端側(凸部60の基端側から先端側)に向かって並んでいる。
【0064】
第1嵌合部61及び第2嵌合部62は、一対の嵌合部として設けられており、それぞれ、基部キャリア34の凹部39の第1嵌合孔部41及び第2嵌合孔部42と圧入嵌合するために設けられている。第1嵌合部61は、凸部60の一端部(基端部)に形成された、円筒状の面である。第2嵌合部62は、凸部60の他端部(先端部)に形成された、円筒状の面である。第2嵌合部62は、凸部60の他端面(先端面)に連続している。第2嵌合部62の直径は、第1嵌合部61の直径よりも小さい。第1嵌合部61と第2嵌合部62との間に、雄スプライン歯部63が配置されている。
【0065】
雄スプライン歯部63は、凸部60の外周面に等間隔に形成された複数の雄歯を含んでいる。雄スプライン歯部63は、軸方向S1と平行な方向に延びており、第1嵌合部61及び第2嵌合部62の双方と同軸に並んでいる。雄スプライン歯部63の歯底の直径、即ち、雄スプライン歯部63が形成されている部分における凸部60の外周面の直径は、第1嵌合部61の直径よりは小さく、且つ、第2嵌合部62の直径よりは大きい。換言すれば、凸部60の外周面の直径は、凸部60の一端から他端に向かうに従い、段階的に小さくなっている。雄スプライン歯部63は、第1嵌合部61と離隔して配置され、且つ、第2嵌合部62と離隔して配置されている。雄スプライン歯部63は、雌スプライン歯部43に噛み合っている。
【0066】
第1嵌合部61は、第1嵌合孔部41に、しまりばめによって圧入固定されている。第1嵌合部61と第1嵌合孔部41とによって、第1圧入結合部65が形成されている。また、第2嵌合部62は、第2嵌合孔部42に、しまりばめによって圧入固定されている。第2嵌合部62と第2嵌合孔部42とによって、第2圧入結合部66が形成されている。第1圧入結合部65における第1嵌合孔部41と第1嵌合部61との間のしめしろと、第2圧入結合部66における第2嵌合孔部42と第2嵌合部62との間のしめしろとは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0067】
第1圧入結合部65及び第2圧入結合部66は、収容空間11内における潤滑油の流動を促進するための構成を有している。具体的には、第1圧入結合部65において、第1嵌合部61の外周面に、螺旋状の溝が形成されている。この溝は、例えば、数十μm程度の深さを有しており、第1嵌合部61の一端から他端にかけて延びている。第1嵌合部61の外周面に溝を形成することにより、単品の状態のピニオンユニット4において、当該溝を目視し易い。尚、第1嵌合孔部41の内周面に、上記と同様の螺旋溝を形成してもよい。
【0068】
また、第2圧入結合部66において、第2嵌合部62の外周面に、螺旋状の溝が形成されている。この溝は、例えば、数十μm程度の深さを有しており、第2嵌合部62の一端から他端にかけて延びている。第2嵌合部62の外周面に溝を形成することにより、単品の状態のピニオンユニット4において、当該溝を目視し易い。尚、第2嵌合孔部42の内周面に、上記と同様の螺旋溝を形成してもよい。
【0069】
前述したように、雄スプライン歯部63は、雌スプライン歯部43に噛み合っている。雄スプライン歯部63と、雌スプライン歯部43との間には、第2圧入結合部66を通ってきた潤滑油が供給されている。雄スプライン歯部63と雌スプライン歯部43とによって、スプライン結合部67が形成されている。
【0070】
尚、スプライン結合部67の雄スプライン歯部63及び雌スプライン歯部43の少なくとも一方は、硬化処理を施されていてもよい。硬化処理として、焼き入れの後に焼き戻しを行う処理を例示することができる。この硬化処理が行われる凸部60及び凹部39の径方向の厚みは、熱処理に伴って実質的な変形が生じない程度の大きな値に設定される。
【0071】
第1圧入結合部65、第2圧入結合部66、及びスプライン結合部67のうち、本実施形態において、軸方向S1の長さが最も長いのは、スプライン結合部67である。これにより、スプライン結合部67の許容伝達トルクを可及的に大きくしている。また、第1圧入結合部65及び第2圧入結合部66のうち、軸方向S1の長さが長いのは第2圧入結合部66である。これにより、軸部51の先端における軸部51と凹部形成部38との結合強度を強くできる。その結果、ピニオン52から歯車102へのトルク伝達時に、軸部51の先端が凹部形成部38に対して捩れる量を少なくできる。よって、雄スプライン歯部63と雌スプライン歯部43との接触状態を、軸方向S1の全域に亘ってより均一にすることができる。これにより、スプライン結合部67における負荷の偏りを低減して、スプライン結合部67の耐久性を向上することができる。
【0072】
また、軸方向S1に関して、第1圧入結合部65と第2圧入結合部66との間に、スプライン結合部67が配置されている。これにより、キャリア17と軸部51との間に伝わるトルクが比較的小さい場合、当該トルクは、第1圧入結合部65及び第2圧入結合部66を通って伝わり、スプライン結合部67には伝わらない。これにより、スプライン結合部67は、荷重のうち、主に、電動モータ100から減速機構3(キャリア17)に伝わる大トルクを受けることとなる。
【0073】
第2圧入結合部66は、第1主軸受32に対して他端側に配置されている。第2圧入結合部66の一端部と、第1主軸受32の他端部とは、径方向R1に向かい合っている。また、スプライン結合部67は、第1主軸受32と径方向R1に向かい合っている。より具体的には、スプライン結合部67の一端部と、第1主軸受32の内輪32aの肩部32dとは、径方向R1に向かい合っている。また、スプライン結合部67の他端部と、第1主軸受32の転動体32cとは、径方向R1に向かい合っている。また、第1圧入結合部65は、位置決め部材40と径方向R1に向かい合っており、且つ、後述するオイルシール71と径方向R1に向かい合っている。
【0074】
上記の構成により、軸部51の凸部60は、キャリア17の凹部39に圧入結合され、且つ、スプライン結合されている。また、凸部60及び凹部39は、第1主軸受32と径方向R1に向かい合っており、第1主軸受32に取り囲まれている。これにより、凸部60は、キャリア17を介して、第1主軸受32及び第2主軸受33(
図1参照)に回転可能に支持されており、特に、第1主軸受32に回転可能に支持されている。
【0075】
また、軸部51は、固定ねじ(ねじ部材)68を用いてキャリア17に固定されている。具体的には、前述したように、基部キャリア本体36に、連結用孔36bが形成されている。連結用孔36bは、軸線L1と同軸に形成されており、一端側から他端側に向かう途中で内径が大きくなる形状とされていることにより、段部が形成されている。この連結用孔36bに、カラー53が挿通されている。
【0076】
カラー53は、円筒状に形成され、他端部の外周に鍔部を有している。このカラー53は、連結用孔36bに収容され、連結用孔36bの段部に受けられている。当該カラー53に隣接するようにして、軸部51の他端部に、第1ねじ穴51aが形成されている。第1ねじ穴51aは、軸線L1と同軸に形成されており、内周に雌ねじ部が形成されている。固定ねじ68は、ワッシャが嵌め込まれた状態で、基部キャリア本体36の他端側から連結用孔36bに挿通されて、カラー53の挿通孔を挿通している。固定ねじ68は、更に、軸部51の第1ねじ穴51aを挿通しており、固定ねじ68の雄ねじ部が、第1ねじ穴51aの雌ねじ部に螺合している。これにより、固定ねじ68は、カラー53を介してキャリア17に保持されている。
【0077】
また、軸部51が固定ねじ68から受ける軸力によって、軸部51及びピニオン52が、キャリア17の基部キャリア34に保持されている。このとき、ピニオン52の他端面は、キャリア17の所定の対向面としての一端面38cと軸方向S1に向かい合っており、且つ、位置決め部材40を介して一端面38cに受けられている。
【0078】
軸部51の一端部には、接続部69が設けられている。接続部69は、凸部60とピニオン52の他端部とを接続する部分として設けられている。接続部69は、凹部39の外方に突出している。接続部69の外周面は、ピニオン52に近づくに従い直径が連続的に大きくなる滑らかな湾曲面とされ、ピニオン52の他端面に接続されている。これにより、ピニオン52と軸部51との接続部69は、滑らかな形状とされており、当該接続部69に応力集中が生じ難くされている。ピニオン52は、減速装置1の出力部材として設けられている。即ち、キャリア17の凹部形成部38は、減速機構3の出力軸として設けられている。また、ピニオン52は、当該ピニオン52を支持する軸部51を介して減速機構3の凹部形成部38に接続され、凹部形成部38からの出力を減速装置1の外部に出力する出力部材として設けられている。
【0079】
ピニオン52は、減速装置1の一端部に配置されている。ピニオン52は、軸線L1と同軸に配置されており、ケース2から突出している。ピニオン52の歯底円直径は、キャリア17の凹部39の一端部の内径(第1嵌合部61の直径)よりも大きい。また、ピニオンユニット4の内部、即ち、ピニオン52の内部及び軸部51の内部は、第1ねじ穴51a及び第2ねじ穴51b以外の部分が、空洞の無い中実部分として形成されている。これにより、ピニオン52及び軸部51の強度を十分に確保でき、その結果、ピニオンユニット4の強度を十分に高くすることができる。また、ピニオン52の外径、即ち、ピニオン52の歯先円直径は、キャリア17の凹部形成部38の外径よりも大きくされている。
【0080】
また、ピニオン52のピッチ円52aの直径は、本実施形態では、キャリア17の凹部形成部38の外径と同じ値とされている。ピニオン52の外周に形成された各歯部52bの他端面は、軸方向S1と直交する平坦な面とされている。
【0081】
この歯部52bに隣接する位置に、位置決め部材40が配置されている。前述したように、位置決め部材40は、環状のナット部材であり、キャリア17の凹部形成部38に螺合している。この位置決め部材40は、第1主軸受32の内輪32aの軸方向位置を規定することにより、第1主軸受32及び第2主軸受33(
図1参照)に予圧を付与する付勢部材として設けられている。尚、軸方向S1は、位置決め部材40の軸方向に相当する。また、径方向R1は、位置決め部材40の径方向に相当する。また、ケース2の周方向C1は、位置決め部材40の周方向に相当する。
【0082】
図4は、
図3の位置決め部材40の周辺の拡大図である。
図4に示すように、位置決め部材40は、円筒状の本体部110と、当該本体部110の一端から径方向内方に突出するフランジ部111と、穴部112a,112bと、を有している。本体部110の他端面によって、位置決め部材40の他端面114が形成されている。当該他端面114は、円環状で且つ平坦な面として設けられている。他端面114は、第1主軸受32の内輪32aの一端面に面接触している。他端面114の外周部には、面取り加工が施されている。また、本体部110の外周面によって、位置決め部材40の外周面115が形成されている。外周面115は、円筒状に形成されており、オイルシール71に取り囲まれている。本実施形態において、外周面115の一端部は、凹部形成部38に対して一端側に位置しており、外周面115の他端部は、雌ねじ部40bと径方向R1に向かい合っている。
【0083】
位置決め部材40は、雌ねじ部40bを有している。雌ねじ部40bは、本体部110の内周面に形成されており、外周面115と同心である。雌ねじ部40bは、凹部形成部38の一端の雄ねじ部38bに螺合している。本実施形態では、軸方向S1に関して、雌ねじ部40bの長さは、本体部110の長さの半分以上とされている。本体部110の内周面の一端寄りの部分から、フランジ部111が径方向R1の内方に向けて突出している。
【0084】
フランジ部111は、凹部形成部38と接触することで、軸方向S1における位置決め部材40の位置を規定する、ストッパ部として設けられている。フランジ部111は、円環状に形成されており、ピニオンユニット4の軸部51の接続部69を取り囲んでいる。
【0085】
位置決め部材40の一端面113は、本体部110の一端面と、フランジ部111の一端面とによって形成されている。位置決め部材40の一端面113は、位置決め部材40の他端面114と平行に並んでおり、且つ、ピニオン52の他端面と平行に並んでいる。位置決め部材40の一端面113は、ピニオン52の他端面と面接触している。フランジ部40aの他端面は、凹部形成部38の一端面38cに接触しており、これにより、位置決め部材40が軸方向S1に位置決めされている。
【0086】
位置決め部材40の一端面113の内周部には、環状の切り欠きが形成されており、当該フランジ部111と軸部51の接続部69とが接触することを回避している。また、フランジ部111の上記切り欠きには、Oリング等のシール部材70が配置されている。これにより、位置決め部材40とピニオン52との間が液密的に封止されている。
【0087】
図3に示すように、ピニオン52の一端面には、第2ねじ穴51bが形成されている。図示しない、操作用ねじ部材の雄ねじを第2ねじ穴51bの雌ねじに螺合させることにより、操作用ねじ部材を用いて、ピニオンユニット4の凸部60をキャリア17の凹部39に嵌合することができる。
【0088】
再び
図4を参照して、位置決め部材40の外周には、オイルシール71が配置されている。オイルシール71は、1又は複数(本実施形態では2つ)のシール部材118a,118bを含んでいる。各シール部材118a,118bは、耐油性を有するゴム等の弾性部材を用いて環状に形成されており、軸方向S1に並んでいる。シール部材118a,118bは、それぞれ、シール本体119a,119bと、リップ120a,120bと、を有している。
【0089】
シール本体119a,119bは、それぞれ、断面U字状に形成されている。シール本体119a,119bの外周部は、それぞれ、ケース2の一端の内周に保持されている。シール本体119aは、雌ねじ部40b、フランジ部111、第1圧入結合部65、及び接続部69のそれぞれと、径方向R1に向かい合っている。また、シール本体119bは、雌ねじ部40bと径方向R1に向かい合っており、且つ、第1圧入結合部65と径方向R1に向かい合っている。シール本体119a,119bのそれぞれの内周部に、突起状且つ環状のリップ120a,120bが形成されている。
【0090】
リップ120a,120bは、位置決め部材40の外周面115に形成された接触部116に摺動可能に接触している。本実施形態では、接触部116は、リップ120a,120bに接触するための部分として設けられており、位置決め部材40の外周面115の全域に亘って形成されている。
【0091】
リップ120aは、位置決め部材40の接触部116の一端部の近傍において、当該接触部116の全周に亘って接触している。リップ120aは、第1圧入結合部65と径方向R1に向かい合っている。また、リップ120bは、位置決め部材40の接触部116の他端部の近傍において、当該接触部116の全周に亘って接触している。リップ120bは、雌ねじ部40bと、径方向R1に向かい合っている。上記の構成により、ケース2の一端と、位置決め部材40との間は、液密的に封止(シール)されている。シール部材118a,118bに隣接する位置において、位置決め部材40に、穴部112a,112bが形成されている。
【0092】
各穴部112a,112bは、後述する操作治具125の突起部127a,127bに係合するために設けられている。穴部112a,112bは、位置決め部材40の一端面113に形成されており、軸方向S1に沿って他端側に向けて延びている。穴部112a,112bは、複数(本実施形態では、2つ)設けられている。各穴部112a,112bは、同様の構成を有している。各穴部112a,112bは、周方向C1に等間隔に離隔して配置されている。即ち、本実施形態では、各穴部112a,112bは、周方向C1に180度離隔して配置されている。
【0093】
各穴部112a,112bは、位置決め部材40の本体部110に配置されている。各穴部112a,112bは、一端面113に開放された円筒状部121a,121bと、円筒状部121a,121bの他端から延びる円錐状部122a,122bと、を有している。各円筒状部121a,121bは、軸線L1と平行に延びる円筒状に形成されている。各円筒状部121a,121bの直径は、径方向R1における本体部110の厚みの略半分程度に設定されている。各円筒状部121a,121bの深さは、軸方向S1における本体部110の長さの略半分程度に設定されている。各円錐状部122a,122bは、位置決め部材40に穴部112a,112bを形成するドリル等の工具の先端によって形成された部分として設けられている。円錐状部122a,122bは、円筒状部121a,121bから他端側に向けて延びる円錐形状を有している。
【0094】
各穴部112a,112bと、接触部116のうち一端側の略半部とは、径方向R1に並んで配置されている。また、各穴部112a,112bの円筒状部121a,121bの他端部と、リップ120aとが、径方向R1に並んで配置されている。これにより、各円筒状部121a,121bの他端部と、リップ120aとは、軸方向S1の位置がオーバーラップするように配置されている。
【0095】
また、各穴部112a,112bと、雌ねじ部40bとは、径方向R1に並んで配置されている。より具体的には、各穴部112a,112bの円筒状部121a,121bの他端部と、雌ねじ部40bの一端部とは、径方向R1に並んで配置されている。また、各穴部112a,112bの円錐状部122a,122bと、雌ねじ部40bとは、径方向R1に並んで配置されている。これにより、各穴部112a,112bと、雌ねじ部40bとは、軸方向S1の位置がオーバーラップするように配置されている。
【0096】
また、各穴部112a,112bと、第1圧入結合部65とは、径方向R1に並んで配置されている。より具体的には、各穴部112a,112bの円筒状部121a,121bの他端部と、第1圧入結合部65の一端部とは、径方向R1に並んで配置されている。また、各穴部112a,112bの円錐状部122a,122bと、第1圧入結合部65とは、径方向R1に並んで配置されている。これにより、各穴部112a,112bと、第1圧入結合部65とは、軸方向S1の位置がオーバーラップするように配置されている。
【0097】
また、フランジ部111と、各穴部112a,112bと、接触部116とは、径方向R1に並んで配置されている。より具体的には、フランジ部111と、円筒状部121a,121bとが、径方向R1に並んで配置されている。また、接触部116のうち、リップ120aと接触している部分から他端側の部分と、フランジ部111とが径方向R1に並んで配置されている。これにより、フランジ部111と、各穴部112a,112bと、接触部116とは、軸方向S1の位置がオーバーラップするように配置されている。
【0098】
図5は、操作治具125の斜視図である。
図4及び
図5に示すように、操作治具125は、位置決め部材40を操作するために設けられている。操作治具125は、位置決め部材40を保持可能に、且つ、位置決め部材40を回転操作可能に構成されている。操作治具125は、例えば、ベース部材126と、複数の突起部127a,127bと、ハンドル部128と、を有している。
【0099】
ベース部材126は、例えば、円板状に形成されている。ベース部材126の一側面から、突起部127a,127bが突出している。突起部127a,127bは、穴部112a,112bの数と同じ数だけ設けられている。各突起部127a,127bは、ベース部材126の周方向に等間隔に離隔して配置されている。本実施形態において、各突起部127a,127bは、ベース部材126に固定された円柱状の部分であり、互いに平行に延びている。各突起部127a,127bの直径は、円筒状部121a,121bの直径よりも僅かに小さい値とされている。これにより、各突起部127a,127bを、対応する円筒状部121a,121bに挿入することが可能とされている。ハンドル部128は、ベース部材126の他側面から延びる軸部と、軸部の先端部から軸部と直交して延びる把持部とを有している。作業者は、把持部を把持した状態で、操作治具125を操作することが可能である。
【0100】
[位置決め部材をキャリアに装着する作業]
次に、位置決め部材40をキャリア17の凹部形成部38に装着する作業について説明する。位置決め部材40をキャリア17に装着する際には、まず、
図6に示すように、製造用中間体130と、位置決め部材40と、操作治具125と、を準備する。
【0101】
製造用中間体130は、ケース2と、第1主軸受32と、キャリア17と、オイルシール71と、を有している。ケース2の軸受保持部2bは、第1主軸受32の外輪32bを保持している。第1主軸受32の内輪32aは、キャリア17の凹部形成部38の円筒面38aに嵌合している。これにより、製造用中間体130において、キャリア17は、第1主軸受32を介してケース2に回転可能に支持されている。また、ケース2の一端部の内周に、オイルシール71が保持されている。
【0102】
また、操作治具125は、位置決め部材40に結合されている。具体的には、操作治具125の各突起部127a,127bが、位置決め部材40の対応する穴部112a,112bに挿通されている。これにより、操作治具125は、位置決め部材40を保持しており、且つ、位置決め部材40を回転操作可能である。作業者は、操作治具125のハンドル部128を把持しつつ、位置決め部材40を、製造用中間体130の一端部と軸方向S1に沿って向かい合わせる。
【0103】
次に、
図7に示すように、位置決め部材40の雌ねじ部40bを、キャリア17の凹部形成部38の雄ねじ部38bに螺合する。この際、作業者は、操作治具125を回転させることにより、位置決め部材40をキャリア17に対して回転する。これにより、位置決め部材40は、キャリア17に対して他端側に変位し、位置決め部材40の他端面114が、第1主軸受32の内輪32aの一端面に接触する。これにより、内輪32aは、他端側に付勢される。
【0104】
次に、操作治具125の各突起部127a,127bを、位置決め部材40の対応する穴部112a,112bから取り外す。これにより、操作治具125を、位置決め部材40から取り外す。次いで、
図8に示すように、オイルシール71と、ピニオンユニット4を準備する。
【0105】
そして、オイルシール71を、位置決め部材40の一端面113の内周の溝部に嵌め込む。その後、ピニオンユニット4の軸部51を、キャリア17の凸部60を、凹部39に挿入する。これにより、軸部51の第1嵌合部61、雄スプライン歯部63、及び第2嵌合部62は、それぞれ、凹部39の第1嵌合孔部41、雌スプライン歯部43、及び第2嵌合孔部42に嵌合する。この後、
図8では図示していないけれども、固定ねじ68及びカラー53等を用いて、軸部51がキャリア17にねじ結合される。
【0106】
上記の工程等を経て完成した減速装置1においては、
図1に示すように、供給管9から収容空間11の内部に潤滑油が供給される。当該潤滑油は、第1〜第4転動体25〜28、第2主軸受33、ピン内歯16、第1主軸受32、第2圧入結合部66、スプライン結合部67、及び第1圧入結合部65等を潤滑する。
【0107】
次に、減速装置1の動作について説明する。減速装置1は、電動モータ100の運転が行われることにより駆動する。電動モータ100の運転が開始されると、電動モータ100のモータ軸101が回転し、モータ軸101のモータ歯車12に噛み合うスパーギヤ13が回転する。スパーギヤ13が回転すると、スパーギヤ13が固定されたクランク軸14は、回転中心線L2回りに回転する。これにより、第1及び第2偏心部21,22から第1及び第2外歯歯車15a,15bにそれぞれ荷重が作用する。その結果、第1及び第2外歯歯車15a,15bは、ピン内歯16と噛み合い位置をずらしながら揺動するようにして、軸線L1に対して偏心回転する。そして、第1及び第2外歯歯車15a,15bの偏心回転に伴って、第1及び第2外歯歯車15a,15bに回転保持されたクランク軸14は、回転中心線L2回りを回転(自転)しながら軸線L1回りを回転(公転)する。このクランク軸14の公転動作により、キャリア17が軸線L1回りに回転する。その結果、モータ歯車12とスパーギヤ13との噛み合いによって一度増幅され、その後減速機構3によって更にもう一度増幅された、電動モータ100からの大きなトルクが、キャリア17からピニオンユニット4に伝達される。この大きなトルクは、ピニオンユニット4のピニオン52から歯車102へ出力される。
【0108】
以上説明した減速装置1によると、位置決め部材40のうち、シール部材118a,118bと接触するための接触部116と、操作治具125に係合可能な穴部112a,112bとが、径方向R1に並んでいる。すなわち、接触部116と穴部112a,112bとを、軸方向S1における位置がオーバーラップするように配置している。これにより、接触部116と穴部112a,112bとが全体として軸方向S1に占める長さを短くすることができる。したがって、位置決め部材40を軸方向S1に短くすることができ、ひいては、減速装置1を軸方向S1に、より短くすることができる。
【0109】
従って、軸方向S1の長さをより短くすることのできる減速装置1を提供することができる。
【0110】
また、減速装置1によると、位置決め部材40のうち、穴部112a,112bと雌ねじ部40bとが、径方向R1に並んで配置されている。すなわち、穴部112a,112bと雌ねじ部40bとを、軸方向S1における位置がオーバーラップするように配置している。これにより、穴部112a,112bと雌ねじ部40bとが全体として軸方向S1に占める長さを短くすることができる。したがって、位置決め部材40を軸方向S1に短くすることができ、ひいては、減速装置1を軸方向S1により短くすることができる。
【0111】
また、減速装置1によると、第1圧入結合部65と、穴部112a,112bとを、軸方向S1における位置がオーバーラップするように配置している。これにより、第1圧入結合部65と、穴部112a,112bとが、全体として軸方向S1に占める長さを短くすることができる。したがって、位置決め部材40を軸方向S1により短くすることができ、ひいては、減速装置1を軸方向S1により短くすることができる。
【0112】
また、減速装置1によると、フランジ部111、穴部112a,112b及び接触部116を、軸方向S1における位置がオーバーラップするように配置している。これにより、フランジ部111、穴部112a,112b及び接触部116が、全体として軸方向S1に占める長さを短くすることができる。したがって、位置決め部材40を軸方向S1に短くすることができ、ひいては、減速装置1を軸方向S1により短くすることができる。
【0113】
また、減速装置1によると、軸部51とピニオン52とは一体に形成されているので、これら軸部51とピニオン52との結合強度を極めて高くすることができる。これにより、減速機構3からの出力を受けて駆動する軸部51は、ピニオン52へ大きな出力(トルク)を伝達することができる。したがって、減速装置1の許容出力をより大きくすることができる。また、一対の主軸受32,33がキャリア17を支持することにより、キャリア17と一対の主軸受32,33とを、径方向R1に向かい合うように(軸方向S1の位置がオーバーラップするように)配置することができる。これにより、キャリア17及び一対の主軸受32,33が全体として軸方向S1に占める長さを短くすることができ、その結果、減速装置1の小型化を達成することができる。
【0114】
従って、減速装置1によると、許容出力をより大きくすることができ、且つ、小型化を達成することができる。
【0115】
また、減速装置1によると、凹部39の雌スプライン歯部43と、凸部60の雄スプライン歯部63とを嵌め合わせる簡易な構成により、軸部51とキャリア17とを連結することができる。また、ピニオン52の端部から凸部60を軸方向S1に延ばす構成であるので、ピニオン52を中実の部材として構成することができる。これにより、ピニオン52の強度、及びピニオン52と軸部51との結合強度の双方を高くすることができ、その結果、減速装置1の許容出力をより大きくすることができる。
【0116】
また、減速装置1によると、軸部51は、キャリア17を介して第1主軸受32及び第2主軸受33に回転可能に支持されている。これにより、キャリア17を支持する第1主軸受32及び第2主軸受33を、軸部51を支持する軸受としても用いることができる。これにより、軸部51を支持するための軸受を別途軸部に取り付ける必要が無いので、軸部51が軸方向S1に長くならずに済む。したがって、減速装置1の更なる小型化を達成することができる。
【0117】
また、減速装置1によると、スプライン結合部67と、第1主軸受32とは、径方向R1(軸部51の径方向)に向かい合っている。これにより、軸部51、キャリア17及び第1主軸受32が全体として軸方向S1に占める長さを短くすることができる。したがって、減速装置1の更なる小型化を達成することができる。
【0118】
また、減速装置1によると、軸部51の一対の嵌合部61,62は、スプライン結合部67を軸方向S1に挟むように設けられており、且つ、キャリア17の対応する嵌合孔部41,42にしまりばめによって固定されている。これにより、軸部51とキャリア17との間に作用する荷重の少なくとも一部を、一対の嵌合部61,62で受けることができる。これにより、スプライン結合部67に作用する荷重を小さくすることができる。即ち、スプライン結合部67の負荷の低減を通じて、スプライン結合部67の耐久性を向上することができる。また、一対の嵌合部61,62が、スプライン結合部67を軸方向S1に挟むように配置されていることで、スプライン結合部67には、トルク以外の力が作用することが抑制されている。即ち、スプライン結合部67に、設計上意図されている力以外の力が作用することが抑制されている。これにより、スプライン結合部67の負荷の低減を通じて減速装置1の耐久性をより向上することができる。
【0119】
また、減速装置1によると、ピニオンユニット4と、固定ねじ68とは、キャリア17を挟持するようにしてキャリア17に固定される。これにより、軸部51とキャリア17とが軸方向S1に相対移動することを抑制でき、その結果、スプライン結合部67におけるフレッティング摩耗を抑制することができる。
【0120】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のように変更して実施することができる。
【0121】
(1)上記実施形態では、位置決め部材の穴部と雌ねじ部とが径方向に並んで配置される形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、位置決め部材の穴部と雌ねじ部とは、径方向に並んでいなくてもよい。
【0122】
(2)上記実施形態では、位置決め部材の穴部と第1圧入結合部とが径方向に並んで配置される形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、位置決め部材の穴部と第1圧入結合部とは、径方向に並んでいなくてもよい。
【0123】
(3)上記実施形態では、位置決め部材のフランジ部、穴部及び接触部が径方向に並んで配置される形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、位置決め部材のフランジ部は、穴部及び接触部の少なくとも一方と、径方向に並んでいなくてもよい。
【0124】
(4)上記実施形態では、スプライン結合部に潤滑油を供給する形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、スプライン結合部に半固体潤滑剤としてのグリースを充填してもよい。この場合、スプライン結合部を軸方向に挟むようにして、一対のシール部材が、キャリアの凹部と軸部の凸部との間に配置される。これにより、グリースがスプライン結合部から流出することを長期に亘って抑制できる。
【0125】
(5)上記実施形態では、キャリアに凹部を設け、軸部に凸部を設け、これら凹部と凸部とを嵌合させる形態を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、キャリアの一端部に凸部を設け、ピニオンユニットの軸部の他端に凹部を設け、これら凸部と凹部とを嵌合させてもよい。この場合も、凹部には、第1嵌合孔部、雌スプライン歯部、及び第2嵌合孔部が形成される。また、凸部には、第1嵌合部、雄スプライン歯部及び第2嵌合部が形成される。
【0126】
(6)上記実施形態では、ピニオンユニットのうち、ピニオンの他端面が、位置決め部材を介してキャリアの凹部形成部の一端面に押圧される形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、
図9に示すように、固定ねじ68の軸力によって、ピニオンユニット4の軸部51の他端面51cを、凹部39の所定の対向面としての底面39aに受けさせ、これにより、ピニオンユニット4をキャリア17の凹部形成部38に保持してもよい。このとき、ピニオン52の他端面は、キャリア17の凹部形成部38に受けられていてもよいし、受けられていなくてもよい。
【0127】
(7)上記実施形態では、減速機構として、偏心歯車機構を有する形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、減速機構として、遊星歯車機構を用いてもよい。遊星歯車機構を用いる場合、駆動源としての電動モータの出力が伝達される歯車は、遊星歯車である。この遊星歯車は、キャリアによって、遊星歯車の中心軸線回りに自転可能に、且つ、キャリアの中心軸線回りに公転可能に支持される。また、減速機構として、偏心歯車機構と、遊星歯車機構の双方を有する減速機構を用いてもよい。
【0128】
(8)上記実施形態では、モータとして電動モータを用いる形態を例にとって説明したけれども、この通りでなくてもよい。モータとして、油圧モータ等の他のモータを用いてもよい。
【0129】
(9)また、クランク軸及び支柱の数は、本実施形態の例示とは異なっていてもよい。また、各軸受の種類については、適宜変更して実施してもよい。
【0130】
(10)また、ケース、減速機構、及びピニオンユニット等、減速装置の各部材の形状について、本実施形態の例示とは異なっていてもよい。