(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給水が供給される貯湯タンクと、所定の熱源から熱を回収して前記貯湯タンク内の水を加熱する加熱装置とを備え、前記貯湯タンク内の蓄熱が設定温度の給湯に不足する場合にその不足分の加熱をバックアップ熱源機で行う貯湯システムであって、
前記加熱装置は、前記熱源から熱回収するための熱交換器と、前記貯湯タンクから前記熱交換器の入側に至る往き熱回収配管と、前記熱交換器の出側から前記貯湯タンクに至る戻り熱回収配管と、前記貯湯タンクから前記往き熱回収配管、前記熱交換器、前記戻り熱回収配管を経由して前記貯湯タンクに戻る熱回収循環経路の湯水を循環させる熱回収ポンプとを備えて構成され、
さらに、前記熱回収循環経路を、前記貯湯タンクをバイパスする迂回循環経路に切り替える経路変更部と、
前記バックアップ熱源機の給湯口に接続され、給湯栓に通じる第1配管から分岐し、前記迂回循環経路を成す部分の前記戻り熱回収配管に合流する分岐管と、
前記迂回循環経路を成す部分の前記往き熱回収配管から分岐し、前記バックアップ熱源機の給水口に通じる第2配管に合流する合流管と、
前記合流管に設けられて、前記第2配管側に向けて送水する循環ポンプと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記熱源の熱を回収して貯湯タンク内の水を加熱するときは、前記熱回収ポンプを作動させて前記貯湯タンク内の水を前記熱回収循環経路に循環させ、
前記熱回収配管に熱を供給するときは、前記熱回収循環経路を前記迂回循環経路に切り替えて、前記熱回収ポンプおよび前記循環ポンプを作動させ、さらに前記バックアップ熱源機で加熱するように制御し、
前記給湯口が前記分岐管に通じた状態と前記分岐管の分岐箇所より先の前記第1配管に通じた状態とに切り替えることはぜず、前記熱回収配管に熱を供給するときは前記バックアップ熱源機の給湯口が前記分岐管と該分岐管の分岐箇所より先の前記第1配管の双方に通じた状態である
ことを特徴とする貯湯システム。
前記第1配管を通じて流入する前記バックアップ熱源機の給湯口からの湯水と、前記貯湯タンクからの湯水と、給水とを設定された混合比で混合して給湯する混合器をさらに有し、
前記バックアップ熱源機の給水口には前記第2配管を通じて給水が供給され、
前記制御部は、前記混合器から設定温度の湯が給湯されるように、前記バックアップ熱源機による加熱および前記混合器の混合比を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯システム。
前記貯湯タンクの出湯口からの湯水と給水とを設定された混合比で混合すると共に、前記バックアップ熱源機の給水口に通じる前記第2配管が出側に接続された混合器をさらに有し、
前記制御部は、前記バックアップ熱源機による追加の加熱無しにもしくは前記バックアップ熱源機による加熱を足して前記バックアップ熱源機から設定温度の給湯が行われるように前記混合器の混合比を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
本発明に係る貯湯システムは、貯湯タンクと排熱回収装置との間を結ぶ熱回収循環経路を、貯湯タンクをバイパスした迂回循環経路に切り替える経路変更部と、この迂回循環経路の途中から分岐しバックアップ熱源機を経由して迂回循環経路に戻る分岐経路と、この分岐経路に湯水を循環させる循環ポンプとを備える。熱回収配管の凍結を防止する際には、熱回収循環経路を迂回循環経路に切り替え、排熱回収装置の熱回収ポンプと循環ポンプとを作動させ、さらにバックアップ熱源機で加熱する。これにより、迂回循環経路を循環する水の一部が、分岐経路側に流れ、バックアップ熱源機で加熱されて、迂回循環経路に戻るようになり、迂回循環経路内の水温が上昇させられ、凍結が防止される。
【0024】
以下、上記本発明の凍結防止技術を給水予熱方式の貯湯システムに適用した第1の実施の形態と、後混合方式の貯湯システムに適用した第2の実施の形態について説明する。
【0025】
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の貯湯システムを適用した第1の実施の形態に係る風呂給湯システム10の構成を示している。風呂給湯システム10は、貯湯タンクユニット11と、熱源機4と、熱源機4の排熱を回収する排熱回収装置50と、バックアップ熱源機としての風呂給湯器70とを備えて構成される。風呂給湯システム10は、貯湯タンク13からの湯と給水管12からの給水とを混合器23で混合した湯水を風呂給湯器70に送り、風呂給湯器70で不足分を加熱して給湯する給水予熱方式を採用している。なお、図中、装置間の配管や外部配管は2重の矢印で示してある。また、熱源機4として本例では燃料電池を使用する。
【0027】
貯湯タンクユニット11は、給水管12から供給される給水を蓄える貯湯タンク13を備えている。貯湯タンク13は中空略円柱状のタンクであり、下部には給水口14が設けてあり、上部には出湯口15が設けてある。さらに貯湯タンク13の下部には取水口16が、上部には戻り口17が設けてある。
【0028】
貯湯タンク13は、たとえば、容量100リットル程度を有し、底から20リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第1温度センサ18aが、底から40リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第2温度センサ18bが、底から60リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第3温度センサ18cが、底から80リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する湯切れ温度センサ18dが、さらに貯湯タンク13内のほぼ最上部に、その箇所の水温を検出するタンク上部温度センサ18eがそれぞれ設けてある。
【0029】
排熱回収装置50は、熱源機4の内部などに設けられて熱源機4の排熱を回収する。排熱回収装置50は排熱回収熱交換器51と、排熱回収ポンプ52とを有する。貯湯タンク13と排熱回収装置50の排熱回収熱交換器51は、これらの間に貯湯タンク13の水を循環させる熱回収循環経路が構成されるように熱回収配管53(53a、53b)で接続されている。詳細には、貯湯タンク13の取水口16には熱回収配管(低温)53aの一端が接続され、排熱回収熱交換器51の入り側に熱回収配管(低温)53aの他端が接続されている。排熱回収ポンプ52は、排熱回収熱交換器51の入り側近傍の熱回収配管(低温)53aに介挿されており、排熱回収ポンプ52は熱回収配管(低温)53a内の水を貯湯タンク13の取水口16側から排熱回収熱交換器51の入り側に向けて送水する。
【0030】
排熱回収熱交換器51の出側には熱回収配管(高温)53bの一端が接続され、熱回収配管(高温)53bの他端は貯湯タンクユニット11内で第1三方弁21の第1接続口21aに接続されている。
【0031】
第1三方弁21は、前述の第1接続口21aと、第2接続口21bと第3接続口21cとを備え、第1接続口21aと第2接続口21bとを接続し第3接続口21cを閉鎖するA方向と、第1接続口21aと第3接続口21cとを接続し第2接続口21bを閉鎖するB方向とに接続状態を切り替え可能に構成されている。なお、第1三方弁21は第1接続口21aから流入する水の温度が所定温度以上ならばA方向となり、所定温度未満ならばB方向に切り替わるように制御部20により制御される。
【0032】
第1三方弁21の第2接続口21bは貯湯タンク13の戻り口17に配管されている。第1三方弁21の第3接続口21cにはバイパス管54の一端が接続され、バイパス管54の他端は貯湯タンクユニット11内で熱回収配管(低温)53aに合流している。
【0033】
第1三方弁21の第1接続口21a近傍の熱回収配管(高温)53bには熱回収配管高温側温度センサ22aが設けてあり、貯湯タンク13の取水口16からバイパス管54との合流箇所までの間の熱回収配管(低温)53aに熱回収配管低温側温度センサ22bが設けてある。
【0034】
貯湯タンクユニット11は、貯湯タンク13の出湯口15からの湯と、給水とを混合する混合器23を備えている。この混合器23は、実際には、貯湯タンク13の出湯口15からの湯の混合量を調整する第1混合器23aと、給水管12からの給水の混合量を調整する第2混合器23bとを有して構成される。
【0035】
第1混合器23aの入り側は貯湯タンク13の出湯口15に配管で接続されており、この配管の途中には、過圧逃がし弁24、吸気弁25、タンク出口温度センサ26が設けてある。第2混合器23bの入り側には給水管12が接続されている。
【0036】
第1混合器23aの出側と第2混合器23bの出側は合流して混合器23の出口に通じている。混合器23の出口には、風呂給湯器70の給水接続口へ通じる接続配管61が接続されている。混合器23の出側近傍の接続配管61には出湯温度センサ32およびハイカット温度センサ33が設けてある。
【0037】
貯湯タンクユニット11内部の給水管12には流量センサ34、給水温度センサ35、減圧弁36が設けられている。給水管12は、これらの下流で2つに分岐し、その一方は逆止弁37aを介して第2混合器23bの入り側に接続され、他方は逆止弁37bを介して貯湯タンク13の給水口14に接続されている。
【0038】
さらに貯湯タンク13の取水口16には所定の排水箇所に通じる排水管41が接続されており、排水管41の途中にはこの管路を開閉する排水栓42が設けてある。
【0039】
風呂給湯器70の給湯接続口には給湯栓などに通じる給湯配管62が接続されている。また、給湯配管62の途中で分岐した分岐管43は貯湯タンクユニット11に向けて配管され、貯湯タンクユニット11内部にて熱回収配管(高温)53bに合流している。貯湯タンクユニット11内部の分岐管43には、戻り配管温度センサ28および熱回収配管(高温)53b側からの逆流を防止する逆止弁44が設けてある。
【0040】
また、貯湯タンクユニット11の内部において熱回収配管(低温)53aから分岐し接続配管61に合流する合流管45が設けてある。合流管45の途中には、熱回収配管(低温)53aから接続配管61側へ送水する循環ポンプ46とポンプ電磁弁47を備えている。ポンプ電磁弁47は、合流管45を開閉する。ポンプ電磁弁47は接続配管61から湯水が逆流して貯湯タンク13に流入することを防止する。またポンプ電磁弁47は、後述する給湯動作の際に貯湯タンク13下部の水が取水口16から出て接続配管61を通じて風呂給湯器70の給水接続口へ流出することを防止する。
【0041】
また、貯湯タンクユニット11には、雰囲気温度(外気温度)を計測する雰囲気温度センサ49が設けてある。
【0042】
貯湯タンクユニット11は、当該貯湯タンクユニット11の動作を統括制御する制御部20を備えている。制御部20はCPU(Central Processing Unit)と、該CPUが実行するプログラムや固定データなどが記憶されたフラッシュROM(Read Only Memory)と、CPUがプログラムを実行する際に各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、各種の信号を入出力するI/F(Interface)部などを主要部とする回路で構成されている。制御部20には、貯湯タンクユニット11の各種センサからの検出信号が入力されている。また制御部20からは各弁やその他の制御対象に対して制御信号が出力される。制御部20はさらに熱源機4や風呂給湯器70と各種の情報や指令を授受するようになっている。
【0043】
次に、バックアップ熱源機としての風呂給湯器70の構成例を説明する。風呂給湯器70は給水接続口から流入する水を加熱して出湯する機能、風呂(浴槽)2へ注湯(湯張り)する機能、風呂(浴槽)2内の湯水を追い焚きする機能などを備えたガス燃焼式の風呂給湯器である。
【0044】
図2に示すように、風呂給湯器70は、第1熱交換水管72aと第2熱交換水管72bとが通る一缶二水路型の熱交換器72と、この熱交換器72を加熱するバーナ73を備える。バーナ73にはガス供給管73aが接続され、このガス供給管73aの途中には、ガスの供給/遮断を切り替えるガス弁や供給ガス量を調整する比例弁などが設けてある。
【0045】
第1熱交換水管72aの入り側は入水管74により給水接続口に接続され、第1熱交換水管72aの出側は出湯管75により給湯接続口に接続されている。また、第2熱交換水管72bの入り側には風呂(浴槽)2へ通じる風呂戻り管76が、第2熱交換水管72bの出側には同じく風呂(浴槽)2へ通じる風呂往き管77がそれぞれ接続されている。
【0046】
出湯管75と風呂戻り管76とは、連結管78によって接続されており、該連結管78の途中には、連結管78の閉鎖/開通を切り替える注湯電磁弁79が設けてある。また、連結管78の接続箇所より上流側の出湯管75の途中には、略閉鎖状態から全開状態まで開度を調整可能な水量サーボ81が出湯水量を調整するために設けてある。水量サーボ81の下流側には、出湯温度を検出する出湯温度センサ82が設けてある。
【0047】
さらに、入水管74から分岐し、水量サーボ81より第1熱交換水管72a側の所定箇所で出湯管75に合流・接続されたバイパス管83を備え、このバイパス管83の途中に、略閉鎖から全開まで開度を調整可能なバイパス調整弁84を備えている。第1熱交換水管72aからの湯とバイパス管83を経由した水とを混合して設定温度の湯になるようにバイパス調整弁84が調整される。バイパス管83の分岐箇所より上流側の入水管74には、入水管74内の流量を検出する流量センサ85および入水温度を検知する入水温度センサ86が設けてある。
【0048】
風呂戻り管76の途中には、風呂(浴槽)2内の水を、追い焚き循環経路(風呂戻り管76、第2熱交換水管72b、風呂往き管77)を通じて循環させるための風呂循環ポンプ87が設けてある。風呂戻り管76に設けた流水スイッチ88は、風呂循環ポンプ87を作動させたとき、追い焚き循環経路に実際に水が循環しているか否かを検出する。
【0049】
このほか、風呂戻り管76および風呂往き管77には、それぞれ管内の温度を検出する風呂往き温度センサ89a、風呂戻り温度センサ89bが設けてある。
【0050】
制御部91は、CPUと、該CPUが実行するプログラムや固定データなどが記憶されたフラッシュROMと、CPUがプログラムを実行する際に各種情報を一時記憶するRAMなどを主要部とする回路で構成されている。制御部91には、風呂給湯器70が有する各種センサ、弁、風呂循環ポンプ87などが接続されている。
【0051】
さらに、通常は、制御部91には、配線を介してリモコン92が直接接続されるが、ここでは、風呂給湯器70を貯湯タンクユニット11側の制御部20の制御下で動作させるために、制御部91を配線を介して制御部20に接続し、制御部20に配線を介してリモコン(貯湯タンクユニット11側と風呂給湯器70の共通のリモコン)92が接続されている。共通リモコン92は、給湯設定温度や風呂設定温度の指定、湯張り動作や追い焚き動作の開始・終了指示、電源のオン/オフなど各種の操作をユーザから受けるスイッチ類、および動作状態や設定温度などを表示する表示部などで構成される。
【0052】
風呂給湯器70の制御部91は、給湯配管62へ給湯する給湯動作では、貯湯タンクユニット11に接続される共通リモコン92で設定された給湯設定温度の湯が出湯されるようにバーナ73のON/OFFやその燃焼量、バイパス調整弁84の開度などを制御する。詳細には、貯湯タンクユニット11側から接続配管61を通じて供給される湯水の温度が給湯設定温度以上ならば、自装置のバーナ73を燃焼させることなくそのまま給湯配管62へ給湯する。貯湯タンクユニット11側から供給された湯水の温度が給湯設定温度未満ならば、給湯設定温度になるように自装置内にある図示されない燃焼用空気送風用のファンを駆動させると共にバーナ73を燃焼させ、その燃焼量やバイパス調整弁84の開度を制御する。
【0053】
風呂(浴槽)2へ注湯(湯張り)する動作では、注湯電磁弁79を開けてバーナ73を燃焼させた状態で水量サーボ81の開度を調整することにより、給水接続口から流入する湯水が熱交換器72の第1熱交換水管72aを通って加熱され、さらに出湯管75から連結管78、風呂戻り管76および風呂往き管77の双方(もしくは一方)を通じて風呂(浴槽)2へ流れ込む(この経路を注湯回路とする)。この際、共通リモコン92でユーザが設定した風呂設定温度の湯が注湯されるようにバーナ73の燃焼量やバイパス調整弁84の開度などを制御する。なお、貯湯タンクユニット11側から接続配管61を通じて供給された湯が既に風呂設定温度に達しており風呂給湯器70で追加の加熱が不要な場合は、バーナ73を燃焼させずに注湯動作を行う。風呂給湯器70は風呂(浴槽)2内の水位をチェックし、設定水位に達すると注湯動作は終了する。
【0054】
追い焚き動作では、注湯電磁弁79を閉鎖し、風呂循環ポンプ87を作動させた状態でバーナ73を燃焼させる。これにより風呂(浴槽)2内の湯水が風呂戻り管76を通じて風呂給湯器70に取り込まれ熱交換器72の第2熱交換水管72bを通る間に加熱され、加熱後の湯水が風呂往き管77を通じて風呂(浴槽)2へ戻される。
【0055】
次に、風呂給湯システム10の各種動作について説明する。
【0056】
<排熱回収動作>
図3は、排熱回収動作における湯水の流れを表している。排熱回収動作において湯水の流れる経路を太線で示してある。熱源機4の排熱を回収して貯湯タンク13内の湯水を加熱する排熱回収動作では、制御部20は熱源機4に指示して排熱回収ポンプ52を作動させる。これにより、貯湯タンク13内の湯水は、取水口16から出て、熱回収配管(低温)53a、排熱回収熱交換器51、熱回収配管(高温)53b、A方向の第1三方弁21を経由して戻り口17から貯湯タンク13の上部に戻る熱回収循環経路を循環する。なお、排熱回収動作において、排熱回収装置50からの戻り温度が低いときは第1三方弁21は制御部20によりB方向にされ、戻り温度が一定以上になると第1三方弁21は制御部20によりA方向に切り替えられる。これにより、低温の水が貯湯タンク13の上部に戻されることが防止される。
【0057】
給水は貯湯タンク13の下部の給水口14から供給され、排熱回収動作で加熱された湯は貯湯タンク13の上部に戻されるので、貯湯タンク13内には下部が低温で上部が高温となるような温度勾配が形成される。そして排熱回収動作を続けることで上部に溜まる高温の湯量が次第に増加する。
【0058】
<給湯動作>
給湯は以下の(1)または(2)の制御モードで行われる。
【0059】
(1)燃焼オフモード
燃焼オフモードは、貯湯タンク13に十分蓄熱されている場合の給湯動作である。
図4は、給湯動作における湯水の流れを表している。図中、湯水の流れる経路を太線で示してある。燃焼オフモードでは、混合器23で貯湯タンク13からの湯と給水とを混合して給湯設定温度+α℃(α℃は接続配管61での温度低下分を考慮した温度で、たとえば、2℃)の湯を作り、接続配管61を通じて風呂給湯器70へ供給する。風呂給湯器70は、給湯設定温度の湯が供給されたので自装置での追加の加熱は行わず、バーナ73をオフにし、貯湯タンクユニット11側から供給された湯をそのまま給湯配管62へ給湯する。
【0060】
(2)追い加熱モード
貯湯タンク13内の蓄熱量が不足して上記燃焼オフモードで給湯設定温度の湯を給湯できない場合の給湯動作であり、風呂給湯器70で追加の加熱が行われる。追い加熱モードの給湯動作における湯水の流れは
図4と同様である。ただし、風呂給湯器70は燃焼オンになる。
【0061】
詳細には、貯湯タンク13内の湯が給湯設定温度よりわずかに低く、そのまま風呂給湯器70に送ると風呂給湯器70を最小能力で作動させても給湯温度が給湯設定温度を超えてしまう場合は、混合器23で貯湯タンク13からの湯に給水を混合して温度を意図的に下げた湯水を風呂給湯器70に送り、風呂給湯器70で給湯設定温度に加熱して給湯する。貯湯タンク13内の湯の温度が給湯設定温度より十分低く、上記の意図的な温度低下が不要な場合は、貯湯タンク13内にある給湯設定温度より低い温度の湯(または水)を風呂給湯器70に送り、風呂給湯器70で給湯設定温度に加熱して給湯する。
【0062】
<熱回収配管の凍結防止動作>
制御部20は、貯湯タンクユニット11の雰囲気温度センサ49が凍結の可能性のある温度を検知した場合、もしくは雰囲気温度センサ49の検出温度から熱回収配管53が凍結する恐れがあると判断した場合に熱回収配管53の凍結防止動作を行う。凍結防止動作を行うとき、貯湯タンクユニット11の制御部20は、第1三方弁21をB方向にし、ポンプ電磁弁47を開き、循環ポンプ46および排熱回収装置50の排熱回収ポンプ52を運転する。
【0063】
図5は、熱回収配管53の凍結防止動作における水の流れを太線および太破線で表している。第1三方弁21をB方向に設定することで、熱回収循環経路は貯湯タンク13を迂回してバイパス管54を通る迂回循環経路(
図5の太実線で示す経路)に切り替えられる。迂回循環経路は、排熱回収熱交換器51から熱回収配管(高温)53b、B方向の第1三方弁21、バイパス管54、熱回収配管(低温)53aを経由して排熱回収熱交換器51に戻る循環経路である。排熱回収ポンプ52を作動させることで迂回循環経路内を水が循環する。
【0064】
また、ポンプ電磁弁47を開いて循環ポンプ46を運転することで、上記迂回循環経路内の水の一部が分岐経路(
図5の太破線で示す経路)を循環する。すなわち、熱回収配管(低温)53aを流れる水の一部は、循環ポンプ46の作用により合流管45側へと引き込まれ、合流管45から接続配管61、風呂給湯器70、給湯配管62、分岐管43を経由して熱回収配管(高温)53b内に戻るように流れ、風呂給湯器70を通過する際に加熱される。戻り配管温度センサ28の検出する温度に基づいて風呂給湯器70の燃焼ON/OFFを制御することで、熱回収配管53内の水を一定温度以上に加熱して、熱回収配管53の凍結を防止する。なお、第1三方弁21は、熱回収配管53の凍結防止が可能な程度に風呂給湯器70で加熱した温度ではA方向にならず、B方向を維持する。
【0065】
上記の凍結防止動作では、熱回収循環経路を迂回循環経路に設定して貯湯タンク13をバイパスさせるので、凍結防止動作によって冷たい水が貯湯タンク13の上部に流入することはない。また、貯湯タンク13をバイパスさせると貯湯タンク13を経由する場合に比べて循環する総水量が少なくなるので、熱回収配管53全体を風呂給湯器70での加熱により短時間で昇温することができ、凍結防止のための加熱量を少なく抑えることができる。
【0066】
なお、熱源機4が雰囲気温度(外気温度)を検出する温度センサを有する場合には、雰囲気温度センサ49に代えてその温度センサを上記凍結防止動作の開始制御に利用してもよい。
【0067】
このような凍結防止動作によって、熱回収配管53の凍結を防止することができるので、寒冷地の屋外配管でも、施工時に熱回収配管53にヒータを巻くなどの措置が必要なくなる。また、熱回収配管53内の水を循環加熱するために熱源機4側に電気ヒータなどの加熱装置を設ける必要もない。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0069】
図6は、本発明の貯湯システムを適用した第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bの構成を示している。第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bは、風呂給湯器70で給水を加熱して得た湯と貯湯タンク13からの湯水と給水とを混合器23で混合して給湯設定温度の湯を作って給湯する方式(後混合方式)を採用している。
【0070】
貯湯タンクを使用する風呂給湯システムでは、ガス給湯器などから直接給湯する場合に比べて、貯湯タンク内の圧損や接続配管の圧損が加わるので、システム全体の圧損が大きくなる。また、施工条件によっては貯湯タンクユニットとバックアップ熱源機であるガス給湯器とを離して設置しなければならず、貯湯タンクユニットからガス給湯器までの接続配管が長くなるとさらに圧損が増えてしまう。
【0071】
第1の実施の形態で示した給水予熱方式の風呂給湯システム10の場合、給湯する全量の湯が必ず接続配管61および風呂給湯器70内を経由するので、圧損の影響を受けやすい。第2の実施の形態に示す後混合方式では上記の圧損を低減する。これにより、低水圧地域での給湯量低下が防止される。
【0072】
図6に示すように、第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bは、貯湯タンクユニット11Bと、熱源機4と、排熱回収装置50と、バックアップ熱源機としての風呂給湯器70とを備えて構成される。本例では、熱源機4は燃料電池である。なお、第1の実施の形態と同一箇所には同一の符号を付してある。また、図中、装置間の配管や外部配管は2重の矢印で示してある。
【0073】
貯湯タンクユニット11Bは、給水管12から供給される給水を蓄える貯湯タンク13を備えている。なお、貯湯タンク13の構造および内部の温度センサ18a〜18eは第1の実施の形態と同様であり、その説明は省略する。また、排熱回収装置50、および排熱回収装置50と貯湯タンク13とを接続する熱回収配管53などは第1の実施の形態と同様であり、それらの説明も省略する。
【0074】
貯湯タンクユニット11Bは、貯湯タンク13の出湯口15からの湯と、風呂給湯器70からの湯と、給水とを混合する混合器30を備えている。この混合器30は、実際には、貯湯タンク13の出湯口15からの湯の混合量を調整する第1混合器30aと、風呂給湯器70からの湯の混合量を調整する第2混合器30bと、給水管12からの給水の混合量を調整する第3混合器30cとを有して構成される。
【0075】
第1混合器30aの入り側は貯湯タンク13の出湯口15に配管で接続されており、この配管の途中には、過圧逃がし弁24、吸気弁25、タンク出口温度センサ26が設けてある。第2混合器30bの入り側は風呂給湯器70の給湯接続口に接続配管(高温)65で接続されている。接続配管(高温)65のうち貯湯タンクユニット11B内の所定箇所には接続配管(高温)65内の湯水の温度を検出する戻り配管温度センサ28が設けてある。第3混合器30cの入り側には給水管12が接続されている。
【0076】
第1混合器30aの出側と第2混合器30bの出側は合流し、給湯高温温度センサ29の設けられた配管を経た後、第3混合器30cの出側からの配管と合流して混合器30の出口に通じている。混合器30の出口には給湯配管31が接続されている。混合器30の出側近傍の給湯配管31には出湯温度センサ32およびハイカット温度センサ33が設けてある。
【0077】
貯湯タンクユニット11B内部の給水管12には流量センサ34、給水温度センサ35、減圧弁36が設けられている。給水管12は、これらの下流で3つに分岐し、その1つは逆止弁37aを介して第3混合器30cの入り側に接続され、他の1つは逆止弁37bを介して貯湯タンク13の給水口14に接続され、他の1つは逆止弁37cを介して第2三方弁38の第2接続口38bに配管12bを通じて接続されている。
【0078】
第2三方弁38は、第1接続口38aと第2接続口38bと第3接続口38cとを備え、第1接続口38aと第2接続口38bとを接続し第3接続口38cを閉鎖したC方向と、第1接続口38aと第3接続口38cとを接続し第2接続口38bを閉鎖したD方向とに接続状態を切り替え可能になっている。第3接続口38cには、ハイカット温度センサ33の下流側で給湯配管31から分岐した配管31bが接続されている。この配管31bの途中には逆止弁39が設けてある。第2三方弁38の第1接続口38aは風呂給湯器70の給水接続口に接続配管(低温)66を通じて接続されている。
【0079】
さらに貯湯タンク13の取水口16には所定の排水箇所に通じる排水管41が接続されており、排水管41の途中にはこの管路を開閉する排水栓42が設けてある。
【0080】
また、貯湯タンクユニット11B内において、接続配管(高温)65の戻り配管温度センサ28より混合器30寄りの箇所から分岐した分岐管43は熱回収配管(高温)53bに合流している。貯湯タンクユニット11B内部の分岐管43には熱回収配管(高温)53b側からの逆流を防止する逆止弁44が設けてある。
【0081】
また、貯湯タンクユニット11Bの内部において熱回収配管(低温)53aから分岐し、第2三方弁38の第2接続口38bの近傍で配管12bに合流する合流管45が設けてある。合流管45の途中には、熱回収配管(低温)53aから配管12b側へ送水する循環ポンプ46とポンプ電磁弁47を備えている。ポンプ電磁弁47は、合流管45を開閉する。ポンプ電磁弁47は配管12bからの給水が循環ポンプ46を逆流して取水口16から貯湯タンク13の下部に流入することを防止する。またポンプ電磁弁47は、後述する給湯動作の際に貯湯タンク13下部の水が取水口16から出てC方向の第2三方弁38および接続配管(低温)66を経由して風呂給湯器70の給水接続口の方向へ流出することを防止する。
【0082】
制御部20の構成および信号の授受については第1の実施の形態と同様であり、その説明は省略する。
【0083】
バックアップ熱源機としての風呂給湯器70は第1の実施の形態と同様の構成を備える。ただし、第2の実施の形態の風呂給湯器70の制御部91は、給湯接続口から接続配管(高温)65へ出湯する動作では、貯湯タンクユニット11B側の制御部20から指示された温度の湯が接続配管(高温)65へ出湯されるようにバーナ73の燃焼量やバイパス調整弁84の開度などを制御する。
【0084】
風呂(浴槽)2へ注湯(湯張り)する動作では、共通リモコン92でユーザが設定した風呂設定温度の湯が注湯されるようにバーナ73の燃焼量やバイパス調整弁84の開度などを制御する。なお、貯湯タンクユニット11B側から接続配管(低温)66を通じて供給された湯が既に風呂設定温度に達しており風呂給湯器70で追加の加熱が不要な場合は、バーナ73を燃焼させずに注湯動作を行う。風呂給湯器70は風呂(浴槽)2内の水位をチェックし、設定水位に達すると注湯動作は終了する。追い焚き動作は第1の実施の形態と同様である。
【0085】
次に、風呂給湯システム10Bの各種動作について説明する。
【0086】
<排熱回収動作>
図7は、排熱回収動作における湯水の流れを表している。排熱回収動作において湯水の流れる経路を太線で示してある。排熱回収動作の制御、動作は第1の実施の形態と同一であり、その説明は省略する。
【0087】
<給湯動作>
貯湯タンクユニット11Bは風呂給湯器70の近くに設置される場合もあれば、遠く離れて設置される場合もある。たとえば、2階に風呂があるような家屋では、風呂給湯器70は2階の外壁に設置され貯湯タンクユニット11Bおよび熱源機4は1階に設置されるといったケースがあり、このような場合には装置間を結ぶ接続配管(高温)65および接続配管(低温)66の配管長が長くなって圧損の大きい設置状況になる。本発明の第2の実施の形態に係る風呂給湯システム10Bでは、低水圧地域において、配管が長くて圧損が大きい設置状況になっても、出湯量を十分確保できるように、圧損の増加を抑えた給湯を行うようになっている。
【0088】
給湯は以下の3つの制御モードのいずれかで行われる。
【0089】
(1)第1モード(タンク出湯モード)
第1モードは、貯湯タンク13に十分蓄熱されている場合の給湯動作である。
図8は、第1モードの給湯動作における湯水の流れを表している。図中、湯水の流れる経路を太線で示してある。第1モードでは、混合器30で貯湯タンク13からの湯と給水とを混合して給湯設定温度の湯を作り、給湯する。風呂給湯器70には給水は送らず、風呂給湯器70での加熱はなく燃焼運転しない。
【0090】
詳細には、混合器30の第2混合器30bは閉じ、第1混合器30aと第3混合器30cの開度を調整して、出湯温度センサ32によって検出される混合器30の出側の湯の温度が給湯設定温度になるように制御する。ここでは、たとえば、貯湯タンク13に設けた湯切れ温度センサ18dの検出温度が、給湯設定温度(実際には、給湯配管などでの温度低下を考慮してたとえば給湯設定温度+1℃とする)以上の場合は第1モードでの給湯を行う。
【0091】
(2)第2モード(給湯器出湯モード)
第2モードは、貯湯タンク13に利用可能な湯がない場合の給湯動作である。
図9は、第2モードの給湯動作における湯水の流れを表している。図中、湯水の流れる経路を太線で示してある。第2モードでは、給水を風呂給湯器70で給湯設定温度より高い温度に加熱した湯と給水とを混合器30で混合して給湯設定温度の湯を給湯する。
【0092】
詳細には、第2三方弁38をC方向に設定し、風呂給湯器70に給水を供給する。また、混合器30の第1混合器30aは閉じ、第2混合器30bと第3混合器30cの開度を調整して、出湯温度センサ32によって検出される混合器30の出側の湯の温度が給湯設定温度になるように制御する。
【0093】
なお、制御部20は、風呂給湯器70の出湯温度が給湯設定温度より十分高くなるように風呂給湯器70に対して出湯温度を指示する。これにより、給水と混ぜて給湯設定温度を得るために必要な風呂給湯器70からの湯の量が少なくなり、接続配管(低温)66、風呂給湯器70および接続配管(高温)65を経由することにより生じる圧損を小さく抑えることができる。たとえば、給湯設定温度が40℃ならば風呂給湯器70から55℃の湯をもらう。また給湯設定温度が60℃ならば風呂給湯器70から75℃の湯をもらう、というようにする。
【0094】
[効果の算定]
給水温度15℃、給湯設定温度40℃、給湯流量8L/minのとき、風呂給湯器70から40℃の湯をもらう場合は、給湯流量の全量を風呂給湯器70からもらうので、接続配管(高温)65および接続配管(低温)66を湯水が8L/minで流れることになる。これに対し風呂給湯器70から55℃の湯をもらう場合は、接続配管(高温)65、接続配管(低温)66を流れる流量は5L/minでよく、貯湯タンクユニット11B内で給水3L/minと混合して40℃の湯8L/minが作られる。流速(配管径が同じ場合は流量に比例)が大きいほど圧損は大きくなるので、流量を下げられることは圧損低減に大きく寄与する。
【0095】
給水予熱方式の場合は、貯湯タンクに蓄熱がある場合でも、貯湯タンクユニットで40℃、8L/minの湯を作って、全量をバックアップ熱源機としての給湯器の給水接続口への配管および給湯器に流すことになる。貯湯タンクに蓄熱がない場合も、貯湯ユニットから8L/minの給水を給湯器に送って40℃まで加熱する。いずれにしても、給湯器への配管および給湯器に8L/min流さなければならない。
【0096】
内径16mmの架橋ポリエチレン配管を使った実験結果では、配管長が25mの時(配管往復で25mとすると、風呂給湯器70と貯湯タンクユニット11Bとを12.5m離して設置するケースに相当する)、風呂給湯器70への接続配管の流量が8L/minで配管圧損は11kPa、5L/minで5kPaという結果であり、55%の圧損低減を実現している。
【0097】
(3)第3モード(後混合出湯モード)
第3モードは、貯湯タンク13内に蓄熱はあるが、温度が低く、貯湯タンク13内の湯だけでは不十分な場合の給湯動作である。
図10は、第3モードの給湯動作における湯水の流れを表している。図中、湯水の流れる経路を太線で示してある。第3モードは、たとえば、貯湯タンク13の湯切れ温度センサ18dの検出温度が給湯設定温度より低いが給湯設定温度より所定温度(たとえば10℃)以上は低くないような場合に選択される。
【0098】
第3モードでは、給水を風呂給湯器70で加熱した湯と貯湯タンク13からの湯と給水とを混合して給湯設定温度の湯を作る。詳細には、第2三方弁38をC方向とし、給水を風呂給湯器70で加熱して作った湯と、給水と、貯湯タンク13からの湯とを混合器30で混合して給湯設定温度の湯を作り、給湯する。貯湯タンク13内の湯の温度が低くても、風呂給湯器70からもらった高温の湯と混ぜて使うことにより、貯湯タンク13に貯めた蓄熱をより使い切ることができるため、第1、第2モードのみで制御する場合よりも省エネ性が増す。
【0099】
なお、制御部20は第1モードを優先選択し、第1モードで設定温度の湯を給湯できない場合であって給湯設定温度より所定温度(たとえば、10℃)以上低くない湯を貯湯タンク13から供給可能な場合は第3モードを選択し、第3モードを選択できない場合に第2モードを選択する。
【0100】
<熱回収配管の凍結防止動作>
制御部20は、貯湯タンクユニット11Bの雰囲気温度センサ49が凍結の可能性のある温度を検知した場合、もしくは雰囲気温度センサ49の検出温度から熱回収配管53が凍結する恐れがあると判断した場合に熱回収配管53の凍結防止動作を行う。凍結防止動作を行うとき、貯湯タンクユニット11Bの制御部20は、第1三方弁21をB方向にし、第2三方弁38をC方向にし、ポンプ電磁弁47を開き、循環ポンプ46および排熱回収装置50の排熱回収ポンプ52を運転する。
【0101】
図11は、熱回収配管53の凍結防止動作における水の流れを太線および太破線で表している。第1三方弁21をB方向に設定することで、熱回収循環経路は貯湯タンク13を迂回してバイパス管54を通る迂回循環経路(図中、太実線で示す経路)に切り替えられる。迂回循環経路は、排熱回収熱交換器51から熱回収配管(高温)53b、B方向の第1三方弁21、バイパス管54、熱回収配管(低温)53aを経由して排熱回収熱交換器51に戻る循環経路である。排熱回収ポンプ52を作動させることで迂回循環経路内を水が循環する。
【0102】
また、第2三方弁38をC方向にして、ポンプ電磁弁47を開き、循環ポンプ46を運転することで、上記迂回循環経路内の水の一部が分岐経路(
図5の太破線で示す経路)を循環する。すなわち、熱回収配管(低温)53aを流れる水の一部は、循環ポンプ46の作用により合流管45側へと引き込まれ、合流管45から、配管12bの一部、C方向の第2三方弁38、接続配管(低温)66、風呂給湯器70、接続配管(高温)65、分岐管43を経由して熱回収配管(高温)53b内に戻るように流れ、風呂給湯器70を通過する際に加熱される。戻り配管温度センサ28の検出する温度に基づいて風呂給湯器70の燃焼ON/OFFを制御することで、熱回収配管53内の水を一定温度以上に加熱して、熱回収配管53の凍結を防止する。なお、第1三方弁21は、熱回収配管53の凍結防止が可能な程度に風呂給湯器70で加熱した温度ではA方向にならず、B方向を維持する。
【0103】
上記の凍結防止動作では、熱回収循環経路を迂回循環経路に設定して貯湯タンク13をバイパスさせるので、凍結防止動作によって冷たい水が貯湯タンク13の上部に流入することはない。また、貯湯タンク13をバイパスさせると貯湯タンク13を経由する場合に比べて循環する総水量が少なくなるので、熱回収配管53全体を風呂給湯器70での加熱により短時間で昇温することができ、凍結防止のための加熱量を少なく抑えることができる。
【0104】
なお、熱源機4が雰囲気温度(外気温度)を検出する温度センサを有する場合には、雰囲気温度センサ49に代えてその温度センサを上記凍結防止動作の開始制御に利用してもよい。
【0105】
このような凍結防止動作によって、熱回収配管53の凍結を防止することができるので、寒冷地の屋外配管でも、施工時に熱回収配管53にヒータを巻くなどの措置が必要なくなる。また、熱回収配管53内の水を循環加熱するために熱源機4側に電気ヒータなどの加熱装置を設ける必要もない。
【0106】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0107】
本発明の貯湯システムは、風呂給湯システム10(10B)のうちの貯湯タンクユニット11(または11B)を備えれば、排熱回収装置50や風呂給湯器70、熱源機4は含まれても含まれなくてもよく、たとえば、排熱回収装置50は熱源機4に含まれる構成でもよいし、風呂給湯器70は既存のものを使用してもよい。
【0108】
第2の実施の形態では、給湯の制御モードとして第1モード、第2モード、第3モードを有する好適例を示したが、少なくとも第1、第2モードがあれば、第3モードのない構成でもかまわない。
【0109】
第2モードにおいて、給湯設定温度よりどの程度高温の湯を風呂給湯器70でつくるかは、適宜に定めればよいが、接続配管61(高温)、接続配管62(低温)、風呂給湯器70を流れる水量を減らして圧損を低減するためには、給水と混合して給湯設定温度の湯が得られる範囲内で十分高い温度にすることが望ましい。なお、実施の形態の風呂給湯器70では、入水温度を検出する入水温度センサ86を備える構成を示したが、入水温度センサ86を設けずに入水温度を演算で推定するようにしてもよい。すなわち、前回出湯温度安定時に測定された出湯温度To、流量W、ガス量(加熱量)Qと、このときの効率ηとから、入水温度Tiの推定値を、Ti=To−(ηQ/W)、などの演算で逆算して求めるようにしてもよい。なお、効率ηは、出湯温度と流量とを様々に変化させてそれぞれの条件での値(効率η)を予め測定して記憶しておく。そして、演算時は、この記憶を参照して、その演算に代入する出湯温度および流量に対応する効率ηを取得し、使用すればよい。
【0110】
実施の形態では、燃料電池の排熱を回収して貯湯タンク13内の水を加熱したが、熱源は燃料電池に限定されず、たとえば、ガスエンジン発電機、燃料処理装置(改質器)等でもよい。
【0111】
なお、実施の形態では、風呂給湯器70を一缶二水路型としたが風呂の追い焚きと給湯とを別々の熱交換器で行うタイプの給湯器であってもかまわない。
【0112】
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例について説明する。
【0113】
図5において、熱源機4は低温状態では正常に動作しない場合が考えられる。このように凍結を防止する温度以上に熱を与えなければならない事情、タイミングが存在する場合には以下のようにする。
【0114】
すなわち、第1の実施の形態と同じにポンプ電磁弁47を開いて循環ポンプ46を運転しつつ、第1三方弁21をB方向に設定して排熱回収ポンプ52を作動させる。第1の実施の形態と異なる点は、風呂給湯器70の燃焼ON/OFF制御によって熱回収配管53内の水を一定温度に加熱する際の該一定温度の値が、凍結防止の場合は例えば2〜7℃であったが、この一定温度の値を熱源機4側事情温度(例えば30〜40℃)にする点のみである(以下第1の実施の形態の変形例A)。熱源機4側事情に最適な設定温度と、戻り配管温度センサ28の検出する温度に基づいて風呂給湯器70の燃焼ON/OFFを制御することで、熱源機4側事情の要件を満たすようにしても良い。
【0115】
ただし、上記本発明の第1の実施の形態の変形例Aにおいては、以下の問題点が新たに発生する。すなわち、凍結を防止しながら熱源機4側事情温度の要件を満たすようにすると、本来熱源機4側事情要件に関係のない分岐管43や接続配管61までが(例えば
図6〜
図11においては、接続配管(高温)65や接続配管(低温)66までが)凍結の防止には不必要な位に高温となる点である。
【0116】
そこで、ポンプ電磁弁47を開かず、循環ポンプ46の運転をOFFにし、第1三方弁21をA方向に設定して排熱回収ポンプ52を逆転作動させても良い(以下制御例B)。この場合、熱回収配管高温側温度センサ22aで検出する温度に応じて、排熱回収ポンプ52の逆流流量をコントロールしても良いし、熱回収配管低温側温度センサ22bで検出する温度が一定温度(例えば20〜30℃)となるように排熱回収ポンプ52の逆回転数を制御することで、分岐管43や接続配管61に湯水を循環させないで、熱源機4側事情の要件を満たすようにしても良い。
【0117】
そして凍結を防止しながら熱源機4側事情温度の要件を満たすようにしなければならない場合には、例えば、第1三方弁21をB方向に設定して分岐管43や接続配管61に湯水を循環させる(風呂給湯器70の燃焼熱を利用した)凍結の防止(第1の実施の形態、又は、第1の実施の形態の変形例A)と、第1三方弁21をA方向に設定して分岐管43や接続配管61に湯水を循環させない制御で熱源機4側事情による送熱運転(制御例B、貯湯タンク13内の蓄熱送熱運転)を適宜入替ながら、分岐管43や接続配管61が凍結の防止には不必要な位に高温となる不具合を防止して、放熱ロスを防ぐようにしても良い。
【0118】
特に、第1の実施の形態の変形例Aと制御例Bの交互運転(例えば制御例B運転中に時々短時間ポンプ電磁弁47を開いて循環ポンプ46を運転して分岐管43内温度を戻り配管温度センサ28で監視し、2℃に近くなったら(7℃以下になったら)、逆転していた排熱回収ポンプ52の作動を停止して、変形例Aに切替(変形例A運転開始時は例えば排熱回収ポンプ52の起動を遅延させて切替)を行い、変形例A運転により分岐管43や接続配管61が例えば30〜40℃に上昇して安定したことを例えば戻り配管温度センサ28、熱回収配管高温側温度センサ22a等で確認したならば制御例B運転に戻すといった交互運転)を行うと、分岐管43や接続配管61での放熱が多くなるが、熱源機4側事情温度の要件を連続的に満たすことができる。なお、第1の実施の形態の変形例Aと制御例Bの交互運転中において、第1の実施の形態の変形例Aの運転再開時には、制御例Bを行っていた結果冷えた分岐管43内の水(例えば2〜7℃)が熱回収配管53内の湯(例えば30〜40℃)と混ざって熱源機4側に送られるので、一時的に熱源機4側事情温度を満たさなくなる場合がある。このような場合には風呂給湯器70で作られた湯が合流管45に至るまで(例えば熱回収配管高温側温度センサ22aで湯が来たことを確認してから所定時間後まで)排熱回収ポンプ52の起動を遅延させれば、より一層熱源機4側事情温度の要件を確実に連続的に満たしつつ(熱源機4を常時例えば30〜40℃に加温しつつ)凍結を予防(分岐管43、接続配管61を常時例えば2〜40℃に保温)することができる。