【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/情報通信・エネルギー統合技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
義久智樹,藤田直生,塚本昌彦,消費電力削減のためのルール型電力機器管理システム,システム/制御/情報 第56巻 第1号,日本,システム制御情報学会,2012年 1月15日,第56巻第1号,第27−32頁
【文献】
岡部寿男,情報通信・エネルギー統合技術の研究開発,システム/制御/情報 第55巻 第6号,日本,システム制御情報学会,2011年 6月15日,第55巻第6号,第221−226頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と言う)に係るエネルギー供給システムについて、図を参照しながら説明する。
図1は、制御ルールの説明図である。
図2は、本実施形態に係るエネルギー供給システムの機器構成を示す図である。
図3A及び3Bは、本実施形態に係るタップに関する図であり、
図3Aは、当該タップの外観図であり、
図3Bは、当該タップの構成図である。
図4は、本実施形態に係るエネルギー供給システムの構成を機能面から示した図である。
図5は、優先順位を設定する際の操作画面である。
図6及び7は、本実施形態のエネルギー供給制御に関する第1の手順を示す図である。
図8は、本実施形態のエネルギー供給制御に関する第2の手順を示す図である。
図9A及び9Bは、本実施形態のエネルギー供給制御に関する第3の手順を示す図である。
【0021】
なお、以下では、建物の一例して住宅Hを挙げ、住宅H内に配置されたエネルギー消費機器へエネルギーを供給するエネルギー供給システムに関する。但し、あくまでも住宅Hは建物の一例に過ぎず、本発明は、他の建物、例えば商業ビル、工場内の建屋、店舗等においても利用可能なものである。
【0022】
<<本実施形態に係るエネルギー供給システムの概要>>
先ず、本実施形態に係るエネルギー供給システム(以下、本システムと言う)Sについて、その概要を説明する。
本システムSは、住宅H内に配置された電気機器に、エネルギーとしての電力を供給するものである。電気機器とは、エネルギー消費機器の一例であり、具体的には、テレビ等の家電製品、住宅H内の玄関錠や防犯ブザー、窓センサ等を監視制御するための接点装置など、作動に電力を要する機器である。そして、本実施形態では、住宅H内に複数の電気機器が配置されており、本システムSは、複数の電気機器の各々に電力を供給することになっている。
【0023】
また、本システムSは、住宅H内での電力負荷、すなわち住宅H内での電力消費量を平準化する目的から、各電気機器への電力供給を制御することが可能である。具体的に説明すると、各電気機器は、電力を受電するために後述のスマートタップ1に接続され、このスマートタップ1の機能によって、各電気機器への電力供給が制御ルールに従って制御されることになる。
【0024】
制御ルールとは、各電気機器に対して作成され、スマートタップ1が各電気機器への電力供給を制御する際に適用されるルールである。より詳しく説明すると、制御ルールは、電力供給に関する制約条件の下で各電気機器が取り得る運転状態を規定したものであり、具体的には
図1に示すように、IF−THEN構文にて記述された条件式の集合体である。ここで、電力供給に関する制約条件には、住宅H内での電力負荷について設定された上限値や、住宅H内に配置された複数の電気機器の各々に対して付与される優先順位等が挙げられる。
【0025】
優先順位とは、電力を供給する際の優先順位であり、電気機器間で相対的に決まるものである。そして、より優先順位が高い電気機器ほど、優先的に電力が供給されることになる。優先的に電力が供給されるとは、例えば、住宅H内での電力負荷が上限値を超えないようにするために電力供給先を制限する際、優先順位が高い電気機器の運転を優先するために、優先順位が低い電気機器の運転を抑制し、それによって確保された分の電力を優先順位が高い電気機器に廻すことである。なお、
図1に図示した制御ルールでは、電気機器Aが電気機器Bよりも高順位となっている。
【0026】
なお、本実施形態では、電気機器間のみならず、電気機器の運転条件別に優先順位を設定することも可能である。電気機器の運転条件とは、電気機器の運転モード、設定温度等の運転管理値、及び、運転強度(例えば、仕事率)など、電気機器の運転を制御する際に切り換え調整可能な事項である。具体的に一例を挙げて説明すると、本実施形態の掃除機D3については、その運転強度(吸込強度)が強・中・弱の3段階に分かれており、各強度に対して優先順位を設定することが可能である。
但し、これに限定されるものではなく、優先順位については電気機器のみに設定され、運転条件については設定しない構成であってもよい。
【0027】
そして、各電気機器の制御ルールは、当該電気機器の優先順位に応じて作成される。具体的に説明すると、各電気機器への電力供給を制御する際に適用される制御ルールは、より優先順位が高い電気機器に優先的に電力が供給されるように作成される。この結果、住宅H内に配置された複数の電気機器のうち、制御対象機器の電力供給を制御する際には、制御対象機器用の制御ルールに従って、制御対象機器よりも優先順位が高い電気機器へ優先的に電力が供給されるように制御対象機器への電力供給を制御することになる。
【0028】
ところで、上記の制御ルールは、住宅H内、より具体的には後述のスマートタップ1によって利用されるものであり、スマートタップ1は、制御ルールに則った制御を実行するにあたり、制御ルールを示すデータ(以下、制御ルールデータ)を取得することになる。本システムSでは、この制御ルールデータが、住宅H外に配置されたセンターサーバ群4によって生成され、インターネット等の宅外ネットワークGNを通じてダウンロードされて最終的にスマートタップ1に取り込まれるようになっている。ここで、宅外ネットワークGNとは、本発明のネットワークに相当し、住宅H外にあるサーバや端末と通信するために構築されたものである。
【0029】
また、各電気機器の制御ルールは、前述したように、当該電気機器の優先順位に応じて作成される。一方、住宅Hの居住者、換言すると本システムSのユーザにとって快適な住環境を提供する上で、各電気機器への電力供給制御については、ユーザのライフスタイルに合致するように実行される必要がある。このような観点から考えると、上記の制御ルールを作成する際のパラメータとなる優先順位については、ユーザの行動パターンや意思を反映したものになっている必要がある。さらに、ユーザの行動パターンや意思が変化した際には、それに併せて優先順位が変わる可能性がある。
【0030】
以上の理由より、本実施形態では、ユーザ自身が上記の優先順位を設定し、さらに、優先順位を設定した後であってもユーザが自己の意思に応じて優先順位を変更することが可能となっている。そして、本システムSは、ユーザ自身が設定した優先順位に応じて各電気機器の制御ルールを作成し、当該制御ルールに則って各電気機器への電力供給を制御する。この結果、住宅H内の各電気機器について、ユーザの意思等を反映した電力供給制御を実現することが可能になり、さらに、ユーザの意思等に応じて優先順位が変更した場合であっても柔軟に対応することが可能となる。以上の内容については後に詳述する。
【0031】
<<本システムの構成について>>
次に、本システムSの構成について
図2乃至5を参照しながら説明する。なお、説明を分かり易くするために、
図2には住宅H内の電気機器としてテレビD1、オーディオD2及び掃除機D3のみを例示しており、以降の説明では、本システムS各部と電気機器との関係については、上記3つの電気機器D1〜D3を具体例に挙げて説明することとする。但し、上記3つの電気機器D1〜D3は、あくまでも住宅H内で使用されている電気機器の一例に過ぎず、当然ながら、上記3つの電気機器以外の電気機器が住宅H内に配置されていてもよく、上記3つの電気機器以外の電気機器に電力を供給するシステムに対しても、当然ながら本発明は適用可能である。
【0032】
本システムSは、
図2に示すように、住宅H内の機器及び住宅H外の機器によって構成され、住宅H内の機器には、タップとしてのスマートタップ1と、ホームゲートウェイ(以下、HGWと呼ぶ)2と、ユーザ端末3とがある。住宅H外の機器としては、センターサーバ群4があり、当該センターサーバ群4は、ルールサーバ5、APIサーバ6及びデータベースサーバ(以下、DBサーバ)7によって構成されている。以下、本システムSの各構成要素について詳細に説明する。
【0033】
(1)スマートタップ
スマートタップ1は、
図3Aに示すような外観を有し、電気機器が接続された状態で、商用電源8から分電盤9や宅内コンセント10を経由して供給される電力を、各電気機器に配分するものである。
【0034】
より具体的に説明すると、スマートタップ1には、
図3Aに示す通り、複数(
図3Aでは3個)のタップ側コンセント104が設けられている。また、
図3Bに示すように、タップ側プラグ101から延出した給電ラインが、スマートタップ1内部で複数の並列ラインに分岐し、各分岐ラインの末端に上記のタップ側コンセント104が配置されている。一方、スマートタップ1にはマイコン103が内蔵されており、上記の分岐ラインの各々には、当該分岐ラインを流れる電流の大きさをコントロールするための制御回路102が設けられている。
【0035】
以上のような構成のスマートタップ1において、上記のマイコン103が上記の制御回路102を通じて各分岐ラインを流れる電流の大きさをコントロールする結果、タップ側コンセント104にプラグインされた電気機器への電力供給が制御されることになる。このように本実施形態においてスマートタップ1は、住宅H内に配置された複数の電気機器中、制御対象機器への電力供給を制御する制御装置として機能する。制御対象機器とは、スマートタップ1に接続されることにより電力供給が制御される電気機器のことである。
【0036】
また、本実施形態に係るスマートタップ1については、
図3Aに図示されたUSBコネクタ1aを介して、宅内ネットワークTNに接続させることが可能である。宅内ネットワークTNとは、住宅H内に構築されたネットワークのことであり、例えば、Ethernet(登録商標)ケーブルを用いた有線式の通信網である。但し、これに限定されるものではなく、IEEE802.1xまたはBluetooth(登録商標)を用いた無線によるIPネットワークによって宅内ネットワークTNを構築することとしてもよい。
【0037】
そして、スマートタップ1は、宅内ネットワークTNを通じてHGW2と通信することにより、上述の制御ルールデータをHGW2から取得する。取得された制御ルールデータは、マイコン103に記憶され、各電気機器への電力供給を制御する際にマイコン103が読み出して利用する。この結果、スマートタップ1は、各電気機器への電力供給を、対応する制御ルールに従って制御するようになる。
【0038】
なお、本実施形態に係るスマートタップ1は、タップ側コンセント104にプラグインされた電気機器を自動認識する機能を具備している。かかる機能によりスマートタップ1は、どのタップ側コンセント104にどの電気機器がプラグインされたのかを認識し、その上で、各電気機器への電力供給を、対応する制御ルールに従って制御することになる。
【0039】
さらに、本実施形態に係るスマートタップ1には、接続された電気機器への電力供給量、換言すると電気機器における電力消費量を測定する電力センサ105が設けられている。この電力センサ105は、上述した分岐ライン別に設けられており、電力センサ105の測定結果は、宅内ネットワークTNを通じてHGW2に送信された後、最終的には、宅外ネットワークGNを通じてDBサーバ7に引き渡される。
【0040】
以上のように、本実施形態では、スマートタップ1に電力センサ105が内蔵されていることにより、スマートタップ1に接続された電気機器について消費電力を測定することが可能である。一方、測定結果を示すデータ(以下、測定結果データと言う)については、DBサーバ7に保存されて蓄積される。そして、DBサーバ7に蓄積された測定結果データを統計的に解析すれば、各電気機器について1日における平均運転時間が算出され、また、1日の中で実際に運転していた時間帯を特定することも可能である。
【0041】
(2)HGW
HGW2は、住宅H内の電力需給状況を監視するために設置されたものであり、CPU2a、ROM2b、RAM2c及び通信用インタフェース2d(
図2では通信用I/Fと表記)を構成要素として備える。このHGW2は、ROM2bに記憶された通信プログラムにより、宅内ネットワークTNを通じて住宅H内の機器と通信可能であり、さらに、宅外ネットワークGNを通じてAPIサーバ6と通信可能である。
【0042】
より具体的に説明すると、HGW2は、宅外ネットワークGNを通じてAPIサーバ6から制御ルールデータを受信し、受信した制御ルールデータを、宅内ネットワークTNを通じてスマートタップ1に向けて送信する通信装置である。すなわち、HGW2は、本システムSにおいてAPIサーバ6とスマートタップ1との間を中継する機器として機能する。
【0043】
また、本実施形態に係るHGW2は、APIサーバ6から制御ルールデータを受信すると、同データを一時的にRAM2cに記憶しておくとともに、宅内ネットワークTNを通じてスマートタップ1に対して、上記の制御ルールデータを取得した旨を通知する。この通知を受理したスマートタップ1は、HGW2に対して上記制御ルールデータの送信を要求する。そして、HGW2は、当該要求に応じて、上記制御ルールデータをRAM2cから読み出してスマートタップ1に向けて送信するようになる。
【0044】
また、本実施形態において、HGW2が宅内ネットワークTNを通じて通信可能な機器の中には、住宅H内に設置されたセンサ群SGPが存在する。このセンサ群SGPには、例えば、住宅H内で消費される総電力量を測定するセンサ(不図示)や、リビング等の住宅H内の各部屋においてヒトの有無を検出するセンサ(不図示)が含まれている。HGW2は、これらのセンサから測定結果を示すデータを取得し、取得したデータを更にAPIサーバ6やスマートタップ1に引き渡す。これにより、制御ルールの作成やスマートタップ1による電力供給制御に、センサ群SGPの測定結果を反映させることが可能となる。
【0045】
(3)ユーザ端末
ユーザ端末3は、ユーザが優先順位を設定する際に操作する端末であり、CPU3a、ROM3b、RAM3c、通信用インタフェース3d(
図2では通信用I/Fと表記)及び入力手段3eを構成要素として備える。具体的に説明すると、本実施形態に係るユーザ端末3は、PDAであり、入力手段3eとしてのタッチパネルを備えている。但し、これに限定されるものではなく、パソコンやスマートフォン等の携帯電話、宅内に固定設置された操作パネル等によって構成されたものであってもよい。
【0046】
また、ユーザ端末3は、宅外ネットワークGNに接続しており、DBサーバ7と通信することが可能である。そして、ユーザ端末3は、ユーザが入力手段3eであるタッチパネルを操作して住宅H内の電気機器に対して優先順位を設定すると、その設定結果を示すデータを、宅外ネットワークGNを通じてDBサーバ7に向けて送信する。
【0047】
より具体的に説明すると、ユーザ端末3のROM3bに記憶された優先順位設定プログラムを起動すると、
図5に示す操作画面がユーザ端末3のタッチパネルに表示される。当該操作画面には、優先順位が設定される候補となる電気機器がリストとして表示される。
図5に示す操作画面には、優先順位が設定される電気機器の候補としてテレビ、オーディオ及び掃除機がリストアップされている。
【0048】
また、上記の電気機器のうち、掃除機については、その運転条件としての吸込強度が強・中・弱の3段階に分かれており、前述したように、本実施形態では各運転条件に対して優先順位を設定することが可能である。したがって、
図5に示す操作画面では、掃除機の各吸込強度についても、優先順位が設定される候補としてリストアップされている。
【0049】
一方、優先順位が設定される候補の各々には優先順位決定ボタンBt1が設けられており、各候補については、優先順位決定ボタンBt1が押された順番に応じて、優先順位が付与される。具体的に説明すると、リストアップされた候補のうち、最も早く優先順位決定ボタンBt1が押されたものが、優先順位1位となり、以降、優先順位決定ボタンBt1が押されたものから順に高い優先順位が付与される。
【0050】
優先順位決定ボタンBt1が押された順番、すなわち、各電気機器や運転条件に対してユーザが設定した優先順位については、
図5に示す通り、操作画面に表示される。
図5に示す例では、テレビ、掃除機の強運転、掃除機の中運転、オーディオ、掃除機の弱運転の順に優先順位決定ボタンBt1が押され、上記の順番で優先順位が付与されている。
【0051】
以上のように、候補としてリストアップされた電気機器や運転条件に対して、ユーザ端末3を通じて優先順位を設定する操作、より具体的には、運転順位決定ボタンBt1を順に押していく操作が、優先順位を複数の電気機器や運転条件の各々に対して付与するために行われるユーザ操作に該当する。
【0052】
すべての候補について優先順位決定ボタンBt1が押された段階で、ユーザは、操作画面に表示された優先順位の設定結果を確認し、問題ない場合には、操作画面の右上に表示されている完了ボタンBt2を押す。この完了ボタンBt2が押された時点で、上記のユーザ操作が終了する。一方、優先順位の設定結果を確認した上でユーザが優先順位を設定し直すことを希望する場合には、クリアボタンBt3や、優先順位を一つ前の段階に戻って設定し直すための修正ボタンBt4を押して優先順位の再設定を行う。
【0053】
そして、完了ボタンBt2が押されると、ユーザ端末3は、ユーザ操作における優先順位の設定結果を示すデータ(以下、操作データと言う)を生成し、当該操作データをDBサーバ7に向けて送信する。一方、DBサーバ7は、宅外ネットワークGNを通じて上記操作データを受信し、受信した操作データを解析することにより、ユーザ操作において複数の電気機器及び運転条件の各々に対して付与された優先順位を特定する。さらに、DBサーバ7は、特定した優先順位をデータ化し、当該データ(以下、優先順位データと言う)をハードディスク7eに記憶する。
【0054】
なお、本実施形態では、住宅H内に配置された複数の電気機器やその運転条件に対して優先順位を設定するためのユーザ操作が、時間帯に対応付けて行われる。すなわち、本実施形態では、ユーザ操作において複数の電気機器の各々や運転条件に対して付与された優先順位を、時間帯に応じて変更することが可能である。特に、本実施形態では、優先順位を1時間毎に変えて設定することが可能である。
【0055】
具体的に説明すると、
図5に示す操作画面では、14:00〜15:00の時間帯における優先順位を設定することができ、操作画面中の送りボタンBt5を押すと、画面が切り替わり、次の時間帯、具体的には15:00〜16:00の時間帯における優先順位を設定することが可能になる。同様に、
図5に示す操作画面中、戻しボタンBt6を押すと、先の時間帯、具体的には13:00〜14:00の時間帯における優先順位を設定することが可能になる。
【0056】
以上のように本実施形態では、優先順位を時間帯別に設定しておくことが可能であり、DBサーバ7には、設定された優先順位を示す優先順位データが時間帯別に記憶されるようになる。この結果、例えば、ユーザの電力消費行動パターンが時間帯毎に異なるために優先順位が時間帯毎に変化するような場合であっても、柔軟に対応することが可能となる。
【0057】
(4)ルールサーバ
ルールサーバ5は、後述するAPIサーバ6及びDBサーバ7とともにセンターサーバ群4を構成し、CPU5a、ROM5b、RAM5c及び通信用インタフェース5d(
図2では通信用I/Fと表記)を構成要素として備える。ここで、センターサーバ群4とは、上述した制御ルールを作成するルール作成機構に相当し、そのうち、ルールサーバ5は、制御ルールを実際に作成し、制御ルールを示すデータを生成するサーバである。すなわち、ルールサーバ5は、センターサーバ群4を構成する3つのサーバのうち、制御ルールを作成するルール作成部52(ルール作成部52については後述する)を備えた第1のサーバに該当する。
【0058】
具体的に説明すると、ルールサーバ5は、ROM5bに記憶された制御ルール作成プログラムが実行されることにより、各電気機器に対して付与された優先順位をパラメータとして、各電気機器の制御ルールを作成する。より詳しく説明すると、ルールサーバ5は、DBサーバ7に記憶された優先順位データをDBサーバ7から取得し、同データから複数の電気機器の各々の優先順位を特定する。その上で、各電気機器の制御ルールを各電気機器の優先順位に応じて作成する。
【0059】
つまり、本実施形態に係るルールサーバ5は、DBサーバ7に記憶された優先順位データから複数の電気機器の各々の優先順位を特定した上で、特定した優先順位のうち、制御対象機器の優先順位に応じた制御ルールを作成する機能を有することになる。
【0060】
なお、本実施形態において、ルールサーバ5は、優先順位に応じて制御ルールを作成する際に、各電気機器に付与される優先順位の組み合わせパターンと各電気機器の制御ルールとの対応関係を規定したテーブルデータ(不図示)を参照し、優先順位データから特定した優先順位の組み合わせに対応する制御ルールを特定することによって、制御ルールを作成する。
但し、上記の内容は、制御ルールを作成する方法の一例にすぎず、当然ながら他の方法によって制御ルールを作成することとしてもよい。例えば、優先順位と住宅H内の総電力消費量の上限値とをパラメータとし、住宅H内の総電力消費量が上限値を超えないように、かつ、より高い優先順位の電気機器へ優先して電力が供給されることを条件として各電気機器の最適運転形態を数値計算して割り出すことによって、制御ルールを作成することとしてもよい。
【0061】
また、上述したように、本実施形態では時間帯別に優先順位を設定し、DBサーバ7は、時間帯別に優先順位データを記憶する。そして、ルールサーバ5は、時間帯が切り替わる都度、切り替わり後の時間帯に対応する優先順位データから、複数の前記エネルギー消費機器の各々の優先順位を特定した上で、切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールを作成する。
【0062】
(5)APIサーバ
APIサーバ6は、ルールサーバ5による制御ルール作成をHGW2からリクエストするためのAPI(アプリケーションプログラムインタフェース)を提供するサーバであり、センターサーバ群4を構成する3つのサーバの一つである。このAPIサーバ6は、CPU6a、ROM6b、RAM6c及び通信用インタフェース6d(
図2では通信用I/Fと表記)を構成要素として備えており、センターサーバ群4を構成する3つのサーバの中で、前述の制御ルールデータを送信する送信部(具体的には、後述するAPIサーバ側データ送信部62)を備えた第2のサーバに該当する。
【0063】
具体的に説明すると、APIサーバ6は、宅外ネットワークGNを介してHGW2、ルールサーバ5及びDBサーバ7と通信することが可能である。より詳しく説明すると、APIサーバ6は、宅外ネットワークGNを介してルールサーバ5と通信することにより、ルールサーバ5に対して制御ルールの作成を要求する一方で、ルールサーバ5が作成した制御ルールを示す制御ルールデータをルールサーバ5から取得する。
【0064】
また、APIサーバ6は、ルールサーバ5から制御ルールデータを取得すると、HGW2に向けて同データを引き渡す。この結果、HGW2は、宅外ネットワークGNを通じて、APIサーバ6から送信された制御ルールデータを受信するようになる。
さらに、APIサーバ6は、ルールサーバ5側で制御ルールを作成する際に必要となる優先順位データを、宅外ネットワークGNを介してDBサーバ7と通信することでDBサーバ7から受信するとともに、受信した優先順位データを、宅外ネットワークGNを通じてルールサーバ5に引き渡す。
【0065】
本実施形態に係るAPIサーバ6は、上述した機能に加え、DBサーバ7に記憶された優先順位データがデータ更新により変更されたかどうかを監視する機能を更に備えている。そして、APIサーバ6は、DBサーバ7に記憶された優先順位データが変更されたことを検知すると、ルールサーバ5に対して新たな制御ルールの作成を要求するとともに、変更された優先順位データをDBサーバ7から取得した上でルールサーバ5に引き渡す。
【0066】
以上の処理がAPIサーバ6にて実行される結果、ルールサーバ5が、変更された優先順位データから変更後の優先順位を特定した上で、各電気機器の変更後の優先順位に応じた新たな制御ルールを作成するようになる。そして、ルールサーバ5が新たな制御ルールを作成すると、APIサーバ6は、当該新たな制御ルールを示す制御ルールデータを、宅外ネットワークGNを通じてルールサーバ5から取得し、取得した制御ルールデータをHGW2に向けて送信するようになる。
【0067】
(6)DBサーバ
DBサーバ7は、センターサーバ群4を構成する3つのサーバの一つであり、前述の優先順位データを記憶してデータベースを構築している。このDBサーバ7は、CPU7a、ROM7b、RAM7c、通信用インタフェース7d(
図2では通信用I/Fと表記)及びハードディスク7eを構成要素として備え、センターサーバ群4を構成する3つのサーバの中で、ユーザ操作を受け付ける受け付け部、優先順位データを記憶する記憶部、及び優先順位データを送信するデータ送信部を備えた第3のサーバに該当する。
【0068】
ここで、受け付け部とは、前述のユーザ端末3を通じて複数の電気機器の各々に対して優先順位を付与するために行われるユーザ操作を受け付けるものであり、具体的には、後述する操作データ取得部71が該当する。DBサーバ7は、ユーザ端末3にて上記のユーザ操作が行われると、当該ユーザ操作の内容を示すデータ、すなわち上述の操作データをユーザ端末3から宅外ネットワークGNを通じて取得する機能を有している。
【0069】
記憶部とは、DBサーバ7が受け付けたユーザ操作において複数の電気機器の各々に対して付与された優先順位を示す優先順位データを記憶するものであり、具体的には、後述する優先順位データ記憶部73が該当する。なお、前述したように、本実施形態に係るDBサーバ7は、時間帯別に優先順位データを記憶する。
データ送信部とは、記憶された優先順位データを読み出してAPIサーバ6に向けて送信するものであり、具体的には、後述する優先順位データ送信部74が該当する。これにより、APIサーバ6が、DBサーバ7から送信された優先順位データを、宅外ネットワークGNを通じて受信し、受信した優先順位データをルールサーバ5に引き渡すようになる。
【0070】
さらに、DBサーバ7は、上記の機能に加え、取得したデータを解析して優先順位を特定し、特定した優先順位を示す優先順位データを生成する機能を備えている。具体的に説明すると、DBサーバ7は、ユーザ端末3から上記の操作データを受信すると、当該操作データを解析する。解析の結果、DBサーバ7は、ユーザ操作において複数の電気機器の各々に付与された優先順位を特定し、特定した優先順位を示す優先順位データを取得する。
【0071】
また、DBサーバ7は、データ解析により優先順位を特定する機能を利用して、スマートタップ1に内蔵された電力センサ105の測定結果を示す測定結果データから、優先順位を特定することも可能である。具体的に説明すると、DBサーバ7は、スマートタップ1から配信された測定結果データを受信し同データを解析することにより、各電気機器について、1日における平均運転時間を算出するとともに1日の中で実際に運転していた時間帯を特定する。そして、DBサーバ7は、平均運転時間や運転時間帯に基づいて、各電気機器の優先順位を決定し、当該優先順位を示す優先順位データを取得することが可能である。
【0072】
次に、上述した本システムS各部の構成について、
図4を参照しつつ、機能面から改めて説明することとする。
先ず、制御装置としてのスマートタップ1について説明する。スマートタップ1は、
図4に示すように、電力供給制御部11、スマートタップ側記憶部12、制御ルールデータ取得部13、通知受理部14、データ送信要求部15、及び、ルール作成要求指示部としてのスマートタップ側指示部16を有している。これらスマートタップ1各部は、スマートタップ1の構成要素である制御回路102、マイコン103及びマイコン103に記憶された各種プログラム等によって実現されている。
【0073】
以上のような構成のスマートタップ1では、制御ルールデータ取得部13が宅内ネットワークTNを通じてHGW2(より具体的には、後述するHGW側データ送信部23)から制御ルールデータを取得し、取得した制御ルールデータがスマートタップ側記憶部12に記憶される。そして、電力供給制御部11が、スマートタップ側記憶部12から制御ルールデータを読み出し、同データに示された制御ルールに従って、スマートタップ1に接続された複数の電気機器の各々への電力供給を制御する。この際、電力供給制御部11は、制御対象機器よりも優先順位が高い電気機器へ優先的に電力が供給されるように制御対象機器への電力供給を制御する。
【0074】
なお、電力供給制御部11は、どのタップ側コンセント104にどの電気機器がプラグインされたのかを認識し、各タップ側コンセント104にプラグインされた電気機器への電力供給を制御する際には、当該電気機器に対応する制御ルールに従って制御するようになる。
【0075】
また、上記の構成のスマートタップ1によれば、例えば新たな制御ルールが作成された場合に、その旨をHGW2から通知される。具体的に説明すると、新たな制御ルールを示す制御ルールデータがHGW2(より具体的には、後述するHGW側保存部21)に保存された場合、その旨に関してHGW2からスマートタップ1に通知がなされると、通知受理部14が当該通知を受理する。そして、通知受理部14により上記の通知が受理されたことを契機として、データ送信要求部15がHGW2に対して、新たな制御ルールを示す制御ルールデータの送信を要求する。この結果、HGW2からスマートタップ1に向けて、当該新たな制御ルールを示す制御ルールデータが送信されるようになる。
【0076】
また、スマートタップ1に電気機器が新たに接続された場合、分かり易く説明すると、住宅H内に新規の電気機器が導入され当該電気機器がスマートタップ1に接続された場合には、スマートタップ側指示部16が、APIサーバ6(より具体的には、後述するルール作成要求部64)に対して、ルールサーバ5へ制御ルールの作成を要求するように指示する。より具体的に説明すると、スマートタップ1に電気機器が新たに接続された場合、スマートタップ側指示部16は、APIサーバ6に対して、電力供給制御部11がスマートタップ1に新たに接続された電気機器への電力供給を制御する際に適用される制御ルールの作成を、ルールサーバ5に要求するように指示する。
【0077】
さらに、前述したように、スマートタップ1には電力センサ105が内蔵されており、当該電力センサ105により、スマートタップ1に接続された電気機器への電力供給量が測定される。当該測定結果を示すデータ(測定結果データ)については、スマートタップ1から送信され、HGW2等を経由して最終的にDBサーバ7に引き渡されるようになっている。
【0078】
次に、通信装置としてのHGW2に説明する。HGW2は、
図4に示すように、通信装置側保存部としてのHGW側保存部21、送信要求受理部22、通信装置側送信部としてのHGW側データ送信部23、通信装置側通知部としての通知部24、HGW側データ取得部25、指示受理部26、HGW側指示部27及び解析部28を有している。これらHGW2各部は、HGW2を構成しているCPU2a、ROM2b、RAM2c、通信用インタフェース2d、及び、ROM2bに記憶された各種プログラムによって実現されている。
【0079】
以上のような構成のHGW2では、HGW側データ取得部25が宅外ネットワークGNを通じてAPIサーバ6から制御ルールデータを受信すると、受信した制御ルールデータがHGW側保存部21に保存される。つまり、HGW側保存部21は、APIサーバ6から受信した制御ルールデータを保存しておくためのものである。そして、HGW側保存部21に制御ルールデータが保存されると、通知部24が、その旨をHGW2に対して通知する。
【0080】
通知部24から発せられた通知は、前述したように、スマートタップ1の通知受理部14によって受理される。そして、通知受理部14が上記の通知を受理したとき、つまり、スマートタップ1が上記の通知を受けると、スマートタップ1のデータ送信要求部15が、HGW2に対して制御ルールデータの送信を要求する。この要求は、HGW2の送信要求受理部22によって受理され、HGW側データ送信部23が、上記の要求に応じて、HGW側保存部21に保存された制御ルールデータを読み出してスマートタップ1に向けて送信する。
【0081】
また、上記の構成のHGW2では、スマートタップ側指示部16からなされた指示、すなわち、APIサーバ6に対する制御ルール作成要求の指示を指示受理部26が受理し、HGW側指示部27が、指示受理部26が受理した内容に基づいて、改めてAPIサーバ6に対して、制御ルールの作成要求を指示するようになっている。
【0082】
さらに、本実施形態のHGW2は、住宅H内に設置されたセンサ群SGPからデータを収集し、さらに、収集したデータを解析部28により解析することが可能である。なお、解析結果については、制御ルールの作成やスマートタップ1による電力供給制御に反映させることが可能である。具体的に説明すると、例えば、住宅H内での総電力消費量が制限値を超えないように管理されている場合、解析部28は、上記の総電力消費量を測定する電力センサ(不図示)の測定結果を解析する。
【0083】
そして、解析部28は、上記の総電力消費量が所定の値を超えているときには、HGW側指示部27を作動させて、APIサーバ6に対する制御ルール作成要求を指示させる。この際、HGW側指示部27は、解析部28による解析結果を示すデータをAPIサーバ6に送信し、APIサーバ6は、受信した同データをルールサーバ5に引き渡す。これにより、ルールサーバ5側では、解析部28による解析結果を反映して制御ルールが作成され、具体的に説明すると、住宅H内での総電力消費量を制限値以下に抑えるような制御ルールが作成される。
【0084】
次に、ユーザ端末3について説明する。ユーザ端末3は、
図4に示すように、被操作部31と操作データ送信部32とを有する。被操作部31は、主にユーザ端末3の入力手段3eによって構成されており、より具体的に説明すると、本実施形態ではタッチパネルからなり、前述した
図5に示す操作画面を表示した状態でユーザに操作される。
【0085】
操作データ送信部32は、ユーザ端末3を構成するCPU3a、ROM3b、RAM3c、通信用インタフェース3d及びROM3bに記憶されたプログラムによって構成されている。この操作データ送信部32は、被操作部31を通じて行われたユーザ操作の内容、具体的には、各電気機器について優先順位決定ボタンBt1が押された順番を特定し、当該内容を示すデータである操作データを生成する。そして、操作データ送信部32は、生成した操作データをDBサーバ7に向けて送信し、DBサーバ7(より具体的には、後述する操作データ取得部71)は、宅外ネットワークGNを通じて操作データを受信する。
【0086】
次に、第1のサーバとしてのルールサーバ5について説明する。ルールサーバ5は、
図4に示すように、作成要求受理部51と、作成部としてのルール作成部52と、優先順位データ取得部53と、制御ルールデータ提供部54と、ルールサーバ側指示部55とを有する。これらルールサーバ5各部は、ルールサーバ5を構成するCPU5a、ROM5b、RAM5c、通信用インタフェース5d及びROM5bに記憶されたプログラムによって実現される。
【0087】
以上のような構成のルールサーバ5では、APIサーバ6(より具体的には、後述するルール作成要求部64)からの制御ルール作成要求を作成要求受理部51が受理すると、ルール作成部52が各電気機器の制御ルールを作成する。そして、ルール作成部52は、作成した制御ルールを示す制御ルールデータを生成し、制御ルールデータ提供部54が当該制御ルールデータをAPIサーバ6に向けて送信する。
【0088】
なお、制御ルールを作成するにあたり、優先順位データ取得部53が、DBサーバ7に記憶された優先順位データを、APIサーバ6を介して取得する。そして、ルール作成部52は、優先順位データ取得部53により取得された優先順位データに基づいて、制御ルールを作成する。
【0089】
より具体的に説明すると、ルール作成部52は、取得した優先順位データから複数の電気機器の各々の優先順位を特定した上で、特定した優先順位のうち、制御対象機器の優先順位に応じた制御ルールを作成する。分かり易く説明すると、例えば、ルール作成部52は、テレビD1の制御ルールを作成する場合、テレビD1の優先順位を特定し、他の電気機器(より具体的には、オーディオD2や掃除機D3)の優先順位との関係を考慮して制御ルールを作成することになる。
【0090】
また、本実施形態に係るルールサーバ5では、ルールサーバ側指示部55が、APIサーバ6に対して制御ルール作成を要求するように指示する。このように本実施形態では、スマートタップ1やHGW2の他、ルールサーバ5側からもAPIサーバ6に対する制御ルール作成要求の指示を送ることが可能である。なお、本実施形態において、ルールサーバ側指示部55は、例えば、毎日所定の時刻になった場合や前回作成した制御ルールに不備がある場合に、APIサーバ6に対して制御ルール作成を要求するように指示する。
【0091】
次に、第2のサーバとしてのAPIサーバ6について説明する。APIサーバ6は、
図4に示すように、APIサーバ側データ取得部61と、送信部としてのAPIサーバ側データ送信部62と、指示受理部63と、ルール作成要求部64と、優先順位データ受送信部65と、監視部66とを有している。これらAPIサーバ6各部は、APIサーバ6を構成するCPU6a、ROM6b、RAM6c、通信用インタフェース6d及びROM6bに記憶されたプログラムによって実現される。
【0092】
以上のような構成のAPIサーバ6では、指示受理部63がHGW側指示部27やルールサーバ側指示部55からの指示を受理したことを契機にして、ルール作成要求部64がルールサーバ5に対して制御ルールの作成を要求する。また、ルール作成要求部64がルールサーバ5に対して制御ルールの作成を要求する一方で、優先順位データ受送信部65が、宅外ネットワークGNを通じてDBサーバ7から優先順位データを取得し、取得した優先順位データをルールサーバ5(より具体的には、前述の優先順位データ取得部53)に引き渡す。
【0093】
そして、ルールサーバ5側で制御ルールが作成され、当該制御ルールを示す制御ルールデータが制御ルールデータ提供部54によって送信されると、APIサーバ側データ取得部61が宅外ネットワークGNを通じて上記の制御ルールデータを受信する。APIサーバ側データ取得部61が受信した制御ルールデータについては、APIサーバ側データ送信部62がHGW2に向けて送信し、HGW側データ取得部25が宅外ネットワークGNを通じて取得するようになる。
【0094】
さらに、本実施形態に係るAPIサーバ6では、監視部66が、DBサーバ7(より具体的には、後述する優先順位データ記憶部73)に記憶された優先順位データが変更されたかどうかを監視している。そして、DBサーバ7に記憶された優先順位データが変更されたことを監視部66が検知すると、ルール作成要求部64がルールサーバ5に対して新たな制御ルールの作成を要求する。その一方で、優先順位データ受送信部65が、変更された優先順位データをDBサーバ7から取得し、取得した当該優先順位データをルールサーバ5に引き渡す。この結果、ルールサーバ5側では、ルール作成部52が、変更された優先順位データから変更後の優先順位データを特定した上で、各電気機器、すなわち、制御対象機器の変更後の優先順位に応じた新たな制御ルールを作成する。
【0095】
そして、ルール作成部52によって新たな制御ルールが作成されると、APIサーバ側データ取得部61が当該新たな制御ルールを示す制御ルールデータをルールサーバ5から取得し、取得した当該制御ルールデータについては、APIサーバ側データ送信部62により、HGW2に向けて送信されるようになる。
【0096】
次に、第3のサーバとしてのDBサーバ7について説明する。DBサーバ7は、
図4に示すように、受け付け部としての操作データ取得部71と、優先順位データ取得部72と、記憶部としての優先順位データ記憶部73と、優先順位データ送信部74とを有している。これらDBサーバ7各部のうち、優先順位データ記憶部73については、DBサーバ7の構成要素中、ハードディスク7eによって実現され、それ以外の部分(具体的には、操作データ取得部71、優先順位データ取得部72及び優先順位データ送信部74)については、CPU7a、ROM7b、RAM7c、通信用インタフェース7d及びROM7bに記憶されたプログラムによって実現される。
【0097】
以上のような構成のDBサーバ7では、操作データ取得部71が、宅外ネットワークGNを通じて、ユーザ端末3から送信される前述の操作データを受信する。この操作データの受信を通じて、操作データ取得部71は、複数の電気機器の各々に対して優先順位を付与するために行われたユーザ操作を受け付けることになる。換言すると、本実施形態に係る受け付け部としての操作データ取得部71は、ユーザ端末3を介して上記ユーザ操作を受け付けるものである。
【0098】
一方、操作データ取得部71が受信した操作データは、優先順位データ取得部72によって解析される。解析の結果、優先順位データ取得部72は、上記のユーザ操作において各電気機器に付与された優先順位を特定する。そして、優先順位データ取得部72は、特定した優先順位を示す優先順位データを生成する。以上の手順により、優先順位データが取得され、取得された優先順位データについては、優先順位データ記憶部73に記憶されるようになる。つまり、優先順位データ記憶部73は、操作データ取得部71が受け付けたユーザ操作において複数の電気機器の各々に付与された優先順位を示す優先順位データを記憶するものである。
【0099】
さらに、本実施形態において、優先順位データ取得部72は、スマートタップ1に内蔵された電力センサ105の測定結果を示す測定結果データに基づいて、優先順位を決定することも可能である。すなわち、前述したように、本実施形態に係るDBサーバ7では、優先順位データ取得部72が、スマートタップ1から配信された測定結果データを解析することにより、各電気機器について、1日における平均運転時間を算出するとともに1日の中で実際に運転していた時間帯を特定する。そして、優先順位データ取得部72は、特定した平均運転時間や運転時間帯に基づいて各電気機器の優先順位を決定し、これにより、当該優先順位を示す優先順位データを取得するようになる。
【0100】
なお、本実施形態では、スマートタップ1から配信された測定結果データを解析して優先順位を決定する機能が、DBサーバ7に搭載されたものであるが、これに限定されるものではなく、上記の機能が、DBサーバ以外のサーバ(例えば、APIサーバ6)に具備されていることとしてもよい。
【0101】
また、ルールサーバ5側で制御ルールの作成が開始されるに際して、DBサーバ7では、優先順位データ送信部74が、優先順位データ記憶部73に記憶された優先順位データを読み出してAPIサーバ6に向けて送信する。優先順位データ送信部74により送信された優先順位データは、前述したように、宅外ネットワークGNを通じてAPIサーバ6の優先順位データ受送信部65によって受信される。
【0102】
以上までに説明してきた構成により、本システムSでは、ユーザ操作において複数の電気機器に対して付与された優先順位を示す優先順位データがDBサーバ7に記憶され、ルールサーバ5が、DBサーバ7から優先順位データを取得して当該優先順位データから各電気機器の優先順位を特定した上で、各電気機器の制御ルールを各電気機器の優先順位に応じて作成する。
【0103】
作成された制御ルールを示す制御ルールデータについては、APIサーバ6がルールサーバ5から受信してHGW2に引き渡した後、最終的に、スマートタップ1のマイコン103に取り込まれるようになる。この結果、スマートタップ1は、タップ側コンセント104にプラグインされた電気機器への電力供給を、当該電気機器に対応する制御ルールに従って制御するようになる。この際、スマートタップ1は、制御対象機器よりも優先順位が高い電気機器へ優先的に電力が供給されるように制御対象機器への電力供給を制御する。
【0104】
また、本実施形態では、ユーザが各電気機器の優先順位を変更した場合、すなわち、ユーザ端末3において優先順位を付与するためのユーザ操作が再度行われて、DBサーバ7に記憶された優先順位データが変更(具体的には、上書き)された場合には、APIサーバ6の監視部66が当該優先順位データの変更を検知する。かかる場合には、APIサーバ6のルール作成要求部64が、ルールサーバ5に対して新たな制御ルールの作成を要求し、ルールサーバ5は、変更された優先順位データから変更後の優先順位を特定した上で、各電気機器の新たな制御ルールを、各電気機器の変更後の優先順位に応じて作成する。
【0105】
作成された新たな制御ルールを示す制御ルールデータについては、APIサーバ6がルールサーバ5から受信してHGW2に引き渡した後、最終的に、スマートタップ1のマイコン103に取り込まれる。この結果、スマートタップ1は、タップ側コンセント104にプラグインされた電気機器への電力供給を、新たな制御ルールに従って制御するようになる。この際、スマートタップ1は、制御対象機器よりも変更後の優先順位が高い電気機器へ優先的に電力が供給されるように制御対象機器への電力供給を制御する。
【0106】
さらに、本実施形態では、複数の電気機器の各々に付与される優先順位が時間帯別に変化することになっている。具体的に説明すると、本実施形態では、上記ユーザ操作において、ユーザは、各電気機器の優先順位を時間帯に応じて変えて設定することが可能である。
【0107】
このように優先順位が時間帯毎に変わるため、本実施形態では、DBサーバ7の優先順位データ記憶部73が時間帯別に優先順位データを記憶し、APIサーバ6のルール作成要求部64が、時間帯が変わる都度、ルールサーバ5に対して、切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールの作成を要求する。また、APIサーバ6は、DBサーバ7に記憶されている優先順位データのうち、切り替わり後の時間帯に対応する優先順位データをDBサーバ7から取得し、当該優先順位データをルールサーバ5に引き渡す。
【0108】
ルールサーバ5は、上記の要求を受理すると、切り替わり後の時間帯に対応する優先順位データから、切り替わり後の時間帯に対応する各電気機器の優先順位を特定した上で、切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールを作成する。その後、作成した切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールを示す制御ルールデータ(以下、切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータ)が、ルールサーバ5からAPIサーバ6に送信され、APIサーバ6は、上記切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータをHGW2に向けて送信する。
【0109】
HGW2は、切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータをAPIサーバ6から受信すると、HGW側保存部21に同データを保存する。その後、HGW2の通知部24が、HGW側保存部21に切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータが保存されたことをスマートタップ1に対して通知する。スマートタップ1の通知受理部14が上記通知部24からの通知を受けると、スマートタップ1のデータ送信要求部15が、HGW2に対して切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータの送信を要求する。
【0110】
そして、HGW側データ送信部23は、上記の要求に応じて、HGW側保存部21から切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータを読み出してスマートタップ1に向けて送信する。送信された切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータは、スマートタップ1のマイコン103に取り込まれ、これにより、スマートタップ1は、タップ側コンセント104にプラグインされた電気機器への電力供給を、切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールに従って制御するようになる。この際、スマートタップ1は、切り替わり後の時間帯に対応する優先順位が制御対象機器よりも高い電気機器へ優先的に電力が供給されるように制御対象機器への電力供給を制御する。
【0111】
さらに、本実施形態では、スマートタップ1に新規の電気機器が接続されると、当該電気機器の制御ルールが作成され、作成した制御ルールに従って当該電気機器への電力供給を制御することが可能である。
【0112】
具体的に説明すると、スマートタップ1に電気機器が新たに接続された場合、電力供給制御部11が、当該新たに接続された電気機器を自動認識する。ここで、上記の電気機器の制御ルール、すなわち、新たに接続された電気機器への電力供給を制御する際に適用される制御ルールを示す制御ルールデータがスマートタップ側記憶部12に記憶されていない場合、スマートタップ側指示部16が、APIサーバ6のルール作成要求部64に対して、上記の制御ルールの作成を要求するように指示する。
【0113】
以降、上述した手順によりルールサーバ5側で、新たに接続された電気機器の制御ルールが作成され、当該制御ルールを示す制御ルールデータがAPIサーバ6によってルールサーバ5から受信された後にHGW2に引き渡され、最終的に、スマートタップ1のマイコン103に取り込まれるようになる。この結果、スマートタップ1は、新たに接続された電気機器への電力供給を、当該電気機器に対応する制御ルールに従って制御するようになる。
【0114】
<<本システムの動作例について>>
次に、本システムSの動作例として、制御ルールを作成し当該制御ルールを示す制御ルールデータをスマートタップ1に送信し、スマートタップ1が制御ルールに従って電気機器への電力供給を制御するまでのプロセスについて説明する。すなわち、以下の説明は、本システムSによるエネルギー供給方法に関するものであり、以下に説明するプロセスが実行されることによって本発明に係るエネルギー供給方法が実現される。
【0115】
先ず、本システムSによる電気機器への電力供給制御プロセスの典型的な流れについて
図6及び7を参照しながら説明する。
典型的なプロセスは、例えば、1日中で所定時刻になった場合や本システムSが稼働するタイミングで実行され、
図6に示すように、ルールサーバ5のルールサーバ側指示部55が、APIサーバ6のルール作成要求部64に対して、制御ルールの作成を要求するように指示するところから始まる(S001)。
【0116】
APIサーバ6側において指示受理部63が上記の指示を受理すると(S002)、ルール作成要求部64がルールサーバ5に対して制御ルールの作成を要求する(S003)。ルールサーバ5側では、作成要求受理部51が上記の要求を受理し(S004)、ルール作成部52が制御ルールの作成を開始する。
【0117】
一方、APIサーバ6側では、制御ルールの作成を要求するとともに、制御ルールの作成に必要となる優先順位データを取得すべく、優先順位データ取得部53がDBサーバ7に対して優先順位データの送信を要求する(S005)。DBサーバ7側では、優先順位データの送信要求を受理すると(S006)、優先順位データ記憶部73に優先順位データが記憶されているかどうかの確認が行われる(S007)。
【0118】
優先順位データ記憶部73に優先順位データが記憶されている場合(S007でYes)、優先順位データ送信部74が当該データを優先順位データ記憶部73から読み出してAPIサーバ6に向けて送信する(S009)。反対に、優先順位データ記憶部73に優先順位データが記憶されていない場合(S007でNo)、優先順位データ取得部72が、スマートタップ1に内蔵された電力センサ105の測定結果を示す測定結果データに基づいて、各電気機器の優先順位を決定することにより、当該優先順位を示す優先順位データを取得する(S008)。取得した優先順位データは、優先順位データ送信部74によってAPIサーバ6に向けて送信される(S009)。
【0119】
APIサーバ6側では、優先順位データ受送信部65が、DBサーバ7から送信されてくる優先順位データを受信し(S010)、さらに、受信した優先順位データをルールサーバ5に向けて送信する(S011)。ルールサーバ5側では、優先順位データ取得部53が、APIサーバ6から送信されてくる優先順位データを受信する(S012)。
【0120】
そして、ルール作成部52が、受信された優先順位データに基づいて、各電気機器の制御ルールを作成するようになる(S013)。より具体的に説明すると、ルール作成部52は、優先順位データから各電気機器の優先順位を特定し、その上で、各電気機器について、優先順位に応じた制御ルールを作成する。制御ルールの作成後、ルール作成部52は、作成した制御ルールを示す制御ルールデータを生成する。この制御ルールデータは、制御ルールデータ提供部54によってルールサーバ5からAPIサーバ6へ提供される(S021)。
【0121】
APIサーバ6側では、APIサーバ側データ取得部61が、ルールサーバ5から提供される制御ルールデータを取得し(S022)、受信した制御ルールデータをHGW2に向けて送信する(S023)。HGW2側では、HGW側データ取得部25が宅外ネットワークGNを通じて上記の制御ルールデータを取得し(S024)、当該データをHGW側保存部21に一時的に保存する(S025)。
【0122】
そして、HGW側保存部21に制御ルールデータが保存されると、その旨を知らせる通知が通知部24によってなされ(S026)、当該通知については、スマートタップ1の通知受理部14によって受理される(S027)。スマートタップ1側では、この通知受理を契機として、データ送信要求部15がHGW2に対してHGW側保存部21に保存された制御ルールデータの送信を要求するようになる(S028)。
【0123】
上記のデータ送信要求がHGW2の送信要求受理部22によって受理されると(S029)、HGW側データ送信部23が、HGW側保存部21から制御ルールデータを読み出してスマートタップ1に向けて送信する(S030)。以上までの一連の処理が、本発明のルール作成処理に相当する。
【0124】
そして、制御ルールデータが送信されると、スマートタップ1側で、制御処理が実行される。具体的に説明すると、先ず、制御ルールデータ取得部13が宅内ネットワークTNを通じてHGW2から制御ルールデータを取得し(S031)、取得した制御ルールデータについては、スマートタップ側記憶部12に記憶される(S032)。これにより、スマートタップ1のマイコン103に制御ルールデータが組み込まれる。
【0125】
以降、スマートタップ1の電力供給制御部11が、制御ルールデータに示された制御ルールに従って、各電気機器への電力供給を制御するようになる(S033)。この際、スマートタップ1の電力供給制御部11は、より優先順位が高い電気機器へ優先的に電力が供給されるように、各電気機器への電力供給を制御する。
【0126】
ところで、本実施形態では、前述したように、優先順位が時間帯別に設定されるため、DBサーバ7の優先順位データ記憶部73には優先順位データが時間帯別に記憶されている。そして、本実施形態では、時間帯が変わる都度、切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールが作成されるようになっている。つまり、本実施形態では、以上までに説明してきた一連の処理(S001〜S032)が、時間帯が変わる毎に繰り返し実行される。
【0127】
次に、住宅H内の各電気機器に対して優先順位を付与するためにユーザ端末3を通じて行われたユーザ操作を受け付ける場合の流れについて、
図8を参照しながら説明する。
かかるケースに係るプロセスは、DBサーバ7の操作データ取得部71が、上記のユーザ操作を受け付けるところから始まる(S041)。
【0128】
具体的に説明すると、ユーザが
図5の操作画面にて各電気機器の優先順位を設定した上で完了ボタンBt2を押すと、ユーザ端末3の操作データ送信部32が、ユーザ操作の内容、より具体的には、各電気機器について優先順位決定ボタンBt1が押された順番を示す操作データをDBサーバ7に向けて送信する。送信された操作データについては、DBサーバ7の操作データ取得部71が宅外ネットワークGNを通じて受信する。
【0129】
DBサーバ7側では、ユーザ操作の受け付け後、優先順位データ取得部72が上記の操作データを解析することにより、ユーザ操作において複数の電気機器の各々に付与された優先順位を特定し、特定した優先順位を示す優先順位データを取得する(S042)。取得した優先順位データは、優先順位データ記憶部73に記憶されることになるが、既に優先順位データが記憶されている場合には、そのデータに対して、新たに取得された優先順位データが上書きされることになる(S043)。つまり、新たに取得した優先順位データを記憶することにより、優先順位データ記憶部73に記憶された優先順位データが変更することになる。
【0130】
優先順位データ記憶部73に記憶されている優先順位データについては、APIサーバ6の監視部66により監視されており、上記のようなデータ変更があった場合、監視部66が当該変更を検知する(S044)。これを契機として、APIサーバ6側では、ルール作成要求部64がルールサーバ5に対して、変更された優先順位データに基づいて新たな制御ルールを作成するように要求する(S045)。ルールサーバ5側では、作成要求受理部51が上記の要求を受理し(S046)、ルール作成部52が、新たな制御ルールの作成を開始する。
【0131】
また、APIサーバ6側では、新たな制御ルールをするための必要データとして、変更された優先順位データを取得すべく、優先順位データ取得部53がDBサーバ7に対して優先順位データの送信を要求する(S047)。DBサーバ7側では、優先順位データの送信要求を受理すると(S048)、優先順位データ送信部74が、優先順位データ記憶部73に記憶された優先順位データ、つまり、変更された優先順位データを読み出してAPIサーバ6に向けて送信する(S049)。
【0132】
APIサーバ6側では、優先順位データ受送信部65が、DBサーバ7から送信されてくる優先順位データを受信し(S050)、受信した優先順位データをルールサーバ5に向けて送信する(S051)。ルールサーバ5側では、優先順位データ取得部53が、APIサーバ6から送信されてくる優先順位データを受信する(S052)。
【0133】
データ受信後には、ルール作成部52が、変更された優先順位データから各電気機器の変更後の優先順位を特定した上で、変更後の優先順位に応じた新たな制御ルールを作成するようになる(S053)。以降の手順については、上述した典型的なプロセスにおける手順と同様である。ここで、上記のユーザ操作を受け付けてから、制御ルールデータをスマートタップ1に向けて送信する処理までの一連の処理が、本発明のルール作成処理に相当する。
【0134】
そして、ルール作成処理の終了後には、スマートタップ1側で制御処理が実行され、具体的には、新たな制御ルールを示す制御ルールデータが受信され、新たな制御ルールに従って各電気機器への電力供給の制御がなされるようになる。
【0135】
以上の手順は、ユーザ操作を受け付けることによってDBサーバ7に記憶されている優先順位データが変更される度に繰り返される。これにより、ユーザの意思等の変化により優先順位が変更された場合であっても、変更後の優先順位に応じて制御ルールを作成し直すことができ、優先順位の変更に対して柔軟に対応することが可能となる。
【0136】
次に、スマートタップ1に接続されている電気機器を追加する場合の流れについて、
図9A及び9Bを参照しながら説明する。
かかるケースに係るプロセスは、
図9Aに示すように、スマートタップ1の電力供給部11が、追加された電気機器を認識するところから始まる(S061)。その後、追加された電気機器の制御ルールを示す制御ルールデータがスマートタップ側記憶部12に記憶されているかどうか確認する(S062)。
【0137】
追加された電気機器の制御ルールを示す制御ルールデータがスマートタップ側記憶部12に記憶されている場合(S062でYes)、電力供給制御部11は、当該制御ルールデータに示された制御ルールに従って、追加された電気機器への電力供給を制御する(S063)。
【0138】
一方、追加された電気機器の制御ルールを示す制御ルールデータがスマートタップ側記憶部12に記憶されていない場合(S062でNo)、スマートタップ側指示部16が、APIサーバ6に対して、追加された電気機器の制御ルールの作成を要求するように指示する(S064)。かかる指示は、一旦HGW2の指示受理部26によって受理される(S065)。そして、HGW側指示部27が、指示受理部26が受理した内容に基づいて、改めてAPIサーバ6に対して、追加された電気機器の制御ルールの作成要求を指示する(S066)。
【0139】
APIサーバ6の指示受理部63が上記指示を受理すると(S067)、ルール作成要求部64がルールサーバ5に対して、追加された電気機器の制御ルールの作成を要求する(S068)。ルールサーバ5側では、作成要求受理部51が上記の要求を受理し(S069)、ルール作成部52が制御ルールの作成を開始する。また、APIサーバ6側では、追加された電気機器の制御ルールの作成に必要な優先順位データについて、優先順位データ取得部53がDBサーバ7に対してデータ送信を要求する(S070)。
【0140】
DBサーバ7側では、
図9Bに示すように、上記の要求を受理すると(S071)、追加された電気機器の優先順位を含んだ優先順位データが優先順位データ記憶部73に記憶されているかどうかの確認がなされる(S072)。以降の流れは、典型的なプロセスと同様であり、優先順位データ記憶部73に優先順位データが記憶されていれば(S072でYes)、優先順位データ送信部74が優先順位データ記憶部73から優先順位データを読み出してAPIサーバ6に向けて送信する(S074)。
【0141】
一方、優先順位データが記憶されていなければ(S072でNo)、優先順位データ取得部72が、スマートタップ1内の電力センサ105の測定結果データに基づいて、追加された電気機器を含む各電気機器の優先順位を決定し、当該優先順位を示す優先順位データを取得する(S073)。取得した優先順位データは、優先順位データ送信部74によってAPIサーバ6に向けて送信される(S074)。
【0142】
APIサーバ6側では、優先順位データ受送信部65が、DBサーバ7から送信されてくる優先順位データを受信し(S075)、受信した優先順位データをルールサーバ5に向けて送信する(S076)。ルールサーバ5側では、優先順位データ取得部53が、APIサーバ6から送信されてくる優先順位データを受信し(S077)、ルール作成部52が、受信された優先順位データに基づいて、各電気機器の制御ルールを作成する(S078)。
【0143】
以降の手順については、上述した典型的なプロセスにおける手順と同様である。ここで、追加された電気機器を認識してから、制御ルールデータをスマートタップ1に向けて送信する処理までの一連の処理が、本発明のルール作成処理に相当する。
【0144】
そして、ルール作成処理の終了後には、スマートタップ1側で制御処理が実行され、具体的には、追加された電気機器を含む各電気機器の制御ルールを示す制御ルールデータが受信され、当該制御ルールに従って各電気機器への電力供給の制御がなされるようになる。
【0145】
以上の手順により、スマートタップ1に接続されている電気機器の組み合わせが変わった場合でも柔軟に対応することが可能である。具体的に説明すると、例えば、新たに購入した電気機器をスマートタップ1に接続した場合には、当該電気機器に関する制御ルールが存在しないので、スマートタップ側指示部16が上記電気機器の制御ルールの作成要求をAPIサーバ6に対して指示する。これにより、新規購入の電気機器についても制御ルールを取得して、当該電気機器への電力供給を適切に制御することが可能になる。
【0146】
<<本システムの有効性について>>
次に、以上までに説明してきた本システムSについて、その有効性を説明する。
先ず、本システムSの第1の特徴は、ユーザの行動パターンや意思を反映して優先順位を設定し、当該優先順位に応じて各電気機器の制御ルールを作成する点である。具体的に説明すると、本システムSでは、前述したように、スマートタップ1に内蔵された電力センサ105の測定結果を示す測定結果データに基づいて、優先順位を決定することも可能である。ここで、電力センサ105の測定結果とは、各電気機器の消費電力量を表すものであり、各電気機器の消費電力量は、ユーザの行動パターン(電力消費行動パターン)を反映している。したがって、上記の測定結果データに基づいて決定された優先順位については、ユーザの行動パターンを反映したものとなる。
【0147】
また、本システムSでは、ユーザ端末3を通じて行われたユーザ操作から、住宅H内に配置された複数の電気機器の各々に対して付与された優先順位を特定し、その上で、各電気機器の制御ルールを各電気機器の優先順位に応じて作成する。ここで、上記のユーザ操作は、当然ながらユーザが自己の意思に基づいて行うものであるので、ユーザ操作において各電気機器に付与された優先順位は、ユーザの意思を反映したものとなる。
【0148】
以上のように、本実施形態では、ユーザの行動パターンや意思を反映して優先順位を設定することとし、各電気機器の制御ルールを作成する際には、各電気機器の優先順位を特定した上で、当該優先順位に応じて上記の制御ルールを作成する。これにより、ユーザの行動パターンや意思を反映した制御ルールが作成され、結果として、各電気機器への電力供給の制御についても、ユーザの行動パターンや意思が反映されることになる。
【0149】
本システムSの第2の特徴は、ユーザの意思等に応じて優先順位が変更した場合に、変更後の優先順位に応じて制御ルールを作成し直すことができる点である。具体的に説明すると、本システムSでは、前述したように、APIサーバ6が有する監視部66が、DBサーバ7に記憶されている優先順位データが変更されたかどうかを監視している。例えば、ユーザ端末3を通じて優先順位を設定するユーザ操作が行われた後に、再びユーザ操作が行われ、前回のユーザ操作と今回のユーザ操作との間でユーザが設定した優先順位が異なる場合、DBサーバ7に記憶されている優先順位データが変更されることになるため、当該変更を上記の監視部66が検知するようになる。
【0150】
そして、DBサーバ7に記憶されている優先順位データが変更されたことを監視部66が検知すると、前述したように、ルールサーバ5が、変更された優先順位データから変更後の優先順位を特定した上で、各電気機器について、変更後の優先順位に応じた新たな制御ルールを作成する。新たな制御ルールが作成されると、APIサーバ6が、新たな制御ルールを示す制御ルールデータをHGW2へ送信し、HGW2から制御ルールデータを取得したスマートタップ1は、新たな制御ルールに従って、タップ側コンセント104にプラグインされた電気機器への電力供給を制御するようになる。
【0151】
以上のように本システムSでは、ユーザの行動パターンや意思の変化に応じて各電気機器の優先順位が変更した場合であっても、当該変更に対して柔軟に対応することが可能である。また、本実施形態では、1日の中の各時間帯別(より具体的には、1時間毎)に優先順位が設定され、これに応じて、制御ルールについても時間帯別に作成される。この結果、ユーザの電力消費行動パターンが時間帯毎に異なる等の理由により1日の中で優先順位が時間帯毎に変化するような場合にも、柔軟に対応することが可能になる。
【0152】
本システムSの第3の特徴は、制御ルールを作成する処理を実行する機器と、電気機器への電力供給を制御する処理を実行する機器とが別々に分かれている点である。すなわち、本実施形態では、センターサーバ群4が、制御ルールを作成して当該制御ルールを示す制御ルールデータをスマートタップ1に向けて送信し、スマートタップ1が、制御ルールデータを受信して制御ルールを取得し、取得した制御ルールに従って電気機器への電力供給を制御する。このように本実施形態では、制御ルールの作成処理と電気機器への電力供給の制御処理とが、互いに異なる装置により実行されることにより、各処理の実行負担を分散することができ、各装置への負担が軽減される結果、各処理を効率よく実行することが可能となる。
【0153】
また、前述したように、DBサーバ7に記憶されている優先順位データが変更されたことを監視部66が検知すると、ルールサーバ5が、変更後の優先順位に応じた新たな制御ルールを作成し、APIサーバ6が、新たな制御ルールを示す制御ルールデータを送信し、制御ルールデータを取得したスマートタップ1が、新たな制御ルールに従って各電気機器への電力供給を制御する。この結果、本実施形態では、ユーザの意思等に応じて優先順位が変更した場合についても、変更後の優先順位に応じて制御ルールを作成し直す処理を効率よく実行することが可能となる。
【0154】
さらに、本実施形態では、センターサーバ群4とスマートタップ1との間を中継する機器としてHGW2が設けられており、これにより、上述した処理負担の分散効果が向上し、以て、制御ルールの作成処理や電気機器への電力供給の制御処理を更に効率よく実行することが可能になる。
その上、本実施形態では、センターサーバ群4が複数のサーバ、具体的にはルールサーバ5、APIサーバ6及びDBサーバ7により構成されている。このため、優先順位に応じて制御ルールを作成して当該制御ルールを示す制御ルールデータをスマートタップ1に向けて送信するために行われる一連の処理を、上記3つのサーバが担当することになる。これにより、処理負担を更に分散させることが可能となり、以て、制御ルールの作成処理を一段と効率よく実行することが可能になる。
【0155】
本システムSの第4の特徴は、スマートタップ1に電気機器が新たに接続された場合に、当該電気機器の制御ルールを作成するようにルールサーバ5に要求する点である。これにより、ルールサーバ5が上記の要求に応じて、スマートタップ1に新たに接続された電気機器の制御ルールを作成するようになる。この結果、新規購入の電気機器についても制御ルールを取得し、以降、当該電気機器への電力供給を適切に制御することが可能となる。
【0156】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態では、本発明のエネルギー供給システム及びエネルギー供給方法について、一例を挙げて具体的に説明した。但し、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0157】
また、上記の実施形態では、制御装置としてのタップ(上記の実施形態では、スマートタップ1)が1台のみ備えられている構成を説明したが、これに限定されるものではなく、2台以上のタップが備えられている構成であってもよい。
【0158】
また、上記の実施形態では、ルール作成機構(上記の実施形態では、センターサーバ群4)が3つのサーバ、具体的には、ルールサーバ5、APIサーバ6及びDBサーバ7により構成されていることとした。但し、ルール作成機構を構成するサーバの台数については3台に限定されるものではない。すなわち、ルール作成機構が少なくとも2つ以上のサーバからなり、当該少なくとも2以上のサーバのうち、制御ルールを作成する作成部を備えるサーバと、制御ルールデータを送信する送信部を備えるサーバとが互いに異なる限り、上記の実施形態と相違する構成であってもよい。
【0159】
また、上記の実施形態では、複数の電気機器の各々に対して優先順位を付与するために行われるユーザ操作において、優先順位を時間帯別に設定することとした。これに伴い、上記の実施形態では、時間帯が変わる都度、切り替わり後の時間帯に対応する優先順位データから優先順位を特定した上で、切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールを作成することとした。しかし、これに限定されるものではなく、制御ルールについては、1日毎、1週間毎、あるいは1か月毎に作成することとしてもよい。但し、上記の実施形態であれば、ユーザの電力消費行動パターンが時間帯毎に異なるために優先順位が時間帯毎に変化するような場合であっても柔軟に対応することが可能になり、かかる点においては、上記の実施形態の方が望ましい。
なお、上記の実施形態では、1日の中で優先順位が時間帯に応じて変わるケースについて説明したが、例えば、優先順位が平日と休日とで変わるケースについても考えられる。かかるケースについても、上記の手順と同様の手順にて平日用の制御ルールと休日用の制御ルールとを作成すれば、優先順位が平日と休日とで変わる場合であっても柔軟に対応することが可能である。
【0160】
また、上記の実施形態では、時間帯が変わる都度、ルールサーバ5が切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールを作成することとした。そして、上記の実施形態では、制御ルールを作成する都度、当該制御ルールを示す制御ルールデータが、APIサーバ6によってHGW2へ送信され、その後、HGW2からスマートタップ1へ送信されることとした。すなわち、上記の実施形態では、1日の中で時間帯が変わる度に、上記の一連の処理が繰り返し実行される。但し、これに限定されるものではなく、例えば、ルールサーバ5が1日分の制御ルール、換言すると、すべての時間帯分の制御ルールを一括して作成し、APIサーバ6が、各時間帯の制御ルールを示す制御ルールデータをすべての時間帯分、一括してHGW2に送信する構成であってもよい。かかる構成において、HGW2は、すべての時間帯分の制御ルールデータをHGW側保存部21に保存しておき、時間帯が変わると、HGW側保存部21に記憶されたデータのうち、切り替わり後の時間帯に対応する制御ルールを示すデータ、すなわち、切り替わり後の時間帯用の制御ルールデータをスマートタップ1に向けて送信することになる。
【0161】
また、上記の実施形態では、エネルギー供給システムの一例として、建物(上記の実施形態では住宅H)内に配置された電気機器に電力を供給するシステムについて説明したが、これに限定されるものではなく、電気以外のエネルギー(例えば、ガスや水道使用量)をエネルギー消費機器に供給するシステムについても、本発明は適用可能である。