特許第5901395号(P5901395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901395
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】バルブ構造
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20160324BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
   F16K27/00 B
   F15B11/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-83763(P2012-83763)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-213534(P2013-213534A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076163
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋 宣之
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇多
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−049610(JP,U)
【文献】 特開2010−144802(JP,A)
【文献】 特開平06−137302(JP,A)
【文献】 実開昭61−176612(JP,U)
【文献】 特開平08−170353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバルブボディと、
上記第1のバルブボディに組み付けられる第2のバルブボディとを
備えるバルブ構造であって、
上記第1のバルブボディ及び上記第2のバルブボディの少なくとも一方に、高さ設定部が設けられるとともに、
上記高さ設定部は、上記第1のバルブボディ及び上記第2のバルブボディの最も突出している個所以上の高さに形成され、
上記高さ設定部により、上記第1のバルブボディに対して上記第2のバルブボディの高さ方向位置が設定されることを特徴とするバルブ構造。
【請求項2】
上記第1のバルブボディの所定の端面には流体を導くための第1ポートが形成され、
上記第2のバルブボディの所定の端面には流体を導くための第2ポートが形成され、
上記高さ設定部は、上記第1ポートと上記第2ポートとが連通するように上記第1バルブボディと上記第2バルブボディの高さ方向位置が設定される
ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ構造。
【請求項3】
第1のバルブボディと、
上記第1のバルブボディに組み付けられる第2のバルブボディとを
備えるバルブ構造であって、
上記第1のバルブボディの所定の端面には流体を導くための第1ポートが形成され、
上記第2のバルブボディの所定の端面には流体を導くための第2ポートが形成され、
上記第1のバルブボディの少なくとも一つの底面に設けられる第1高さ設定部と、
上記第2のバルブボディの少なくとも一つの底面に設けられる第2高さ設定部とが設けられ、
上記第1高さ設定部と上記第2高さ設定部とにより上記第1ポートと上記第2ポートとが連通するように上記第1のバルブボディと上記第2のバルブボディの高さ方向位置が設定されることを特徴とするバルブ構造。
【請求項4】
上記高さ設定部は、上記第1ポート及び上記第2ポートのうち高さ位置が低い方のポートを有する、上記第1のバルブボディまたは上記第2のバルブボディに形成される
ことを特徴とする請求項3に記載のバルブ構造。
【請求項5】
上記第1のバルブボディには上記第2のバルブボディと締結される第1締結部が設けられ、
上記第2のバルブボディには上記第1のバルブボディと締結される第2締結部が設けられ、
上記第1締結部と上記第2締結部とが互いに連結されることにより、
上記第1ポートと上記第2ポートとが連通する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1に記載のバルブ構造。
【請求項6】
上記高さ設定部の端面は平面状に形成される
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のバルブ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体圧アクチュエータの制御回路などに用いるバルブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のバルブボディを組み付けて、ひとつのバルブ構造を構成することが知られている。
例えば、特許文献1に記載された方向切換弁は、スプールを内蔵した第1のバルブボディと、油路中にロック弁を組み込んだ第2のバルブボディとで構成される。上記第1,第2のバルブボディの合わせ面にはそれぞれポートが開口しているが、組み付け時には、これらポートを一致させるように合わせ面を接合してから、ボルトによって両バルブボディを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−279905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、第1のバルブボディと第2のバルブボディとを組み付ける際には、各バルブボディの合わせ面に形成されたポートを一致させたり、ボルト穴を一致させたりする必要がある。
しかし、第1のバルブボディと、第2のバルブボディとはその外形状や大きさが等しいとは限らず、様々な形状をしていることが多い。
また、両バルブボディの合わせ面に形成されるポートの位置も、外形状に関係なく、内蔵したスプールや流路の位置に応じて決められるものである。言い換えれば、上記合わせ面に形成されたポートやボルト穴の位置と、各バルブボディの外形状とは関連がない。
【0005】
そのため、各バルブボディを組み付け作業台上に載置しただけでは、合わせ面同士が平行にならなかったり、ポートやボルト穴の高さが一致しなかったりすることがあった。このようなバルブボディを連結するためには、第1のバルブボディあるいは第2のバルブボディのいずれかを、作業者が持ち上げて他方のバルブボディの合わせ面と一致させてから、ボルト締めを行なって第1のバルブボディに第2のバルブボディを組み付けなければならない。
【0006】
一方、上記バルブボディの組み付け工程では、組み付けるべきバルブボディがコンベアなどで作業者の前に連続的に搬送されてくる。
ところが、金属製のバルブボディは重量があり、次々搬送させるバルブボディに対して組み付けるべきバルブボディを組み付け作業のたびに持ち上げていたのでは、手間がかかるだけでなく、作業者の疲労も大きくなる。その結果、バルブボディの組み付け作業の作業性が悪いという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、複数のバルブボディを連結する組み付け作業の作業性を向上したバルブ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、第1のバルブボディと、上記第1のバルブボディに組み付けられる第2のバルブボディとを備えるバルブ構造であって、上記第1のバルブボディ及び上記第2のバルブボディの少なくとも一方に、高さ設定部が設けられるとともに、上記高さ設定部は、上記第1のバルブボディ及び上記第2のバルブボディの最も突出している個所以上の高さに形成され、上記高さ設定部により、上記第1のバルブボディに対して上記第2のバルブボディの高さ方向位置が設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、第1のバルブボディと第2のバルブボディとの高さ方向位置が、高さ設定部によって設定されるので、上記第1のバルブボディと第2のバルブボディとの高さ方向位置を簡単に一致させることができる。その為、例えば作業台上に各バルブボディを載置するだけで、両バルブボディの高さ方向位置が設定される。従って、バルブボディを連結する組み付け作業時に、一方のバルブボディを持ち上げて他方のバルブボディと高さ方向位置を合わせるなどの作業が不要になり、組み付けの作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は第1のバルブボディと第2のバルブボディとを組み付けた状態の平面図である。
図2図2は第1のバルブボディと第2のバルブボディとを組み付けた状態の正面図である。
図3図3は第1のバルブボディ及び第2のバルブボディの正面図である。
図4図4図1の一部を切り欠いた図である。
図5図5は第1のバルブボディと第2のバルブボディとを組み付けた状態の側面図で、一部を切り欠いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜5に示すこの発明の実施形態は、第1のバルブボディ1と第2のバルブボディ2とを連結したバルブ構造である。
第1のバルブボディ1は、図1,2における左右方向を軸方向とする図示しないスプールを内蔵するバルブボディである。そして、上記スプールの周囲には流体通路が形成され、その流体通路に連通する第1ポート3が、第1のバルブボディ1の合わせ面1aに形成されている(図3,4,5参照)。この合わせ面1aは平坦な面であり、そこには図3に示すように、上記第1ポート3を開口させるとともに、その周囲にはこの発明の第1締結部となる、雌ネジを形成したネジ穴4が3か所に形成されている。
【0012】
さらに、第1のバルブボディ1の底面1bには高さ設定部5,6が形成されている(図2,3,5参照)。これら高さ設定部5,6は、図1図4における左右方向である図示しないスプールの軸方向に所定の間隔を保つともに、図5に示すように上記スプールの軸と直交する方向に一対の凸部を有するものである。なお、図5はこの実施形態のバルブ構造の一方の側面図であり、一方の高さ設定部6を表わしているが、他方の高さ設定部5も図示しない他方の側面側に同様に設けられている。
【0013】
上記高さ設定部5、6は、上記底面1b側において第1のバルブボディ1の他の部分より外方へ突出した部分である。つまり、高さ設定部5,6は、第1のバルブボディ1の底面1b側の最も突出している個所以上に突出し、上記底面1bを上記載置面Bに対向させて載置した状態で載置面Bに接触する部分である。そして、これら高さ設定部5,6を上記載置面Bに載せたとき、上記第1ポート3及び各ネジ穴4の高さ方向位置が所定の位置になるように構成されている。
なお、上記底面1bは、組み付け作業の際に第1バルブボディ1を載せる作業台の載置面Bと対向する側の面のことであるが平坦面に限らない。この実施形態でも、上記底面1bは平坦面ではなく、凹凸を備えている。
【0014】
一方、第2のバルブボディ2は、上記第1のバルブボディ1と比べて小型のボディで、第1のバルブボディ1の合わせ面1aと結合する合わせ面2aを備えている。この合わせ面2aも平坦な面であり、合わせ面2a内には、第2のバルブボディ2内に形成された図示しない流体通路に連通する第2ポート7が開口している(図4,5参照)。
また、この第2のバルブボディ2には、ボルト8を挿入するための3つのボルト穴9が形成されている。これらボルト穴9は、一端を上記合わせ面2aに開口させた貫通穴であり、それぞれ第1のバルブボディ1の合わせ面1aに形成されたネジ穴4に対応する位置に形成されている。
【0015】
さらに、第2のバルブボディ2の底面2bには、下駄の歯状に突出した一対の高さ設定部10,11が形成されている。これら高さ設定部10,11は、上記底面2b側において最も外方へ突出した部分である。つまり、高さ設定部10,11は、第2のバルブボディ2の底面2bの最も突出している個所以上に突出し、上記底面2bを上記載置面Bに対向させて載置した状態で載置面Bに接触する部分である。そして、これら高さ設定部10,11を上記載置面Bに載せたとき、上記第2ポート7及び各ボルト穴9の高さ方向位置が所定の位置になるように構成されている。
【0016】
上記第2ポート7及び各ボルト穴9の上記所定の高さ方向位置とは、第2ポート7及び各ボルト穴9が、それぞれ上記第1のバルブボディ1の第1ポート3及び各ネジ穴4の高さ方向位置と一致する高さのことである。
なお、上記底面2bとは、組み付け作業の際に第2バルブボディ2を載せる作業台の載置面Bと対向する側の面のことであるが平坦面に限らない。この実施形態でも、上記底面2bは平坦面ではなく、凹凸を備えている。
【0017】
従って、上記第1のバルブボディ1に第2のバルブボディ2を組み付ける際には、図3に示すように両バルブボディ1,2の底面1b、2b側を組み付け作業台の載置面B上に載置するだけで、両バルブボディ1,2の組み付け時の高さ方向位置が設定される。そのため、図3に示すように作業台の載置面B上に載せた第2のバルブボディ2をスライドさせて、ボルト穴9を、上記第1のバルブボディ1の、対応するネジ穴4に一致させることは容易である。
そして、いずれか一つのボルト穴9とネジ穴4とが一致すれば、他のボルト穴9とネジ穴4とも一致し、これらにボルト8を挿入して締結すれば、結果的に上記第1ポート3と第2ポート7とが接続されることになる。
【0018】
つまり、上記高さ設定部5,6がこの発明の第1高さ設定部を構成し、上記高さ設定部10,11がこの発明の第2高さ設定部を構成し、これら高さ設定部によって第1のバルブボディ1に対して第2のバルブボディ2の高さ方向位置が設定されることになる。
【0019】
上記のように、この実施形態のバルブ機構は、第1のバルブボディ1及び第2のバルブボディ2の高さ設定部を載置面B上に接触させるだけで、高さ方向位置が合うので、第1のバルブボディ1に第2のバルブボディ2を組み付ける際に、いずれか一方のバルブボディを持ち上げる必要がない。そのため、作業者の疲労も少なく、組み付け作業性が向上する。
【0020】
上記実施形態では、第1、第2のバルブボディ1,2のいずれにも、高さ設定部を設けているが、高さ設定部は第1、第2のバルブボディ1、2のいずれか一方のみに設け、他方には設けなくてもかまわない。
例えば、第1あるいは第2のバルブボディ1,2のうち、高さ設定部を設けていない状態で、上記載置面Bからの高さ位置が低い方のポートを備えたバルブボディのみに高さ設定部を設けて、この低い方のポートを高い方のポートの高さ位置に合わせるようにすればよい。この場合、高さ設定部を一方のバルブボディのみに設ければよいので、両バルブボディに設ける場合と比べてその設定が容易である。
【0021】
また、高さ設定部の形状や数も、上記実施形態に限定されずどのようなものでもかまわない。
この実施形態では、第2のバルブボディ2に設けた高さ設定部10,11の端面を平面状にしているが、高さ設定部の端面は平面状でなくてもよい。高さ設定部の端面が平面状でなくても、複数の高さ設定部やバルブボディの一部によって第1、第2のバルブボディ1,2を上記載置面B上に安定させることは可能である。
但し、高さ設定部の端面が平面状であれば、この端面が組み付け作業台の上記載置面B上に接触した状態で、第1、第2のバルブボディ1,2をより安定して載置することができる。
【0022】
さらに、高さ設定部を設けた第1あるいは第2のバルブボディ1,2においても、上記高さ設定部以外の突出部分が、高さ設定部とともに上記載置面B上に接触して、各バルブボディ1,2の高さ方向位置が設定されるように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
特に外形状の異なる複数のバルブボディを組み付けてなるバルブ機構に有用である。
【符号の説明】
【0024】
1 第1のバルブボディ
1b 底面
2 第2のバルブボディ
2b 底面
3 第1ポート
4 (第1締結部である)ネジ穴
5,6 (第1)高さ設定部
7 第2ポート
8 ボルト
9 (第2締結部である)ボルト穴
10,11 (第2)高さ設定部
図1
図2
図3
図4
図5