特許第5901404号(P5901404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901404
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 13/06 20060101AFI20160324BHJP
【FI】
   B65G13/06
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-94544(P2012-94544)
(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公開番号】特開2013-220914(P2013-220914A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏典
(72)【発明者】
【氏名】轟 修治
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−151307(JP,U)
【文献】 特開2004−035216(JP,A)
【文献】 特開2006−219206(JP,A)
【文献】 実開昭47−010263(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 47/00
B65G 13/00−13/12
B65G 39/00−39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム手段と、
このフレーム手段に設けられ、物品を搬送方向に搬送する搬送手段と、
電力供給により作動して前記搬送手段を駆動する駆動手段とを備え、
前記駆動手段は、
前記搬送手段を駆動状態にするための第1状態および前記搬送手段をフリー状態にするための第2状態に切り換えられる駆動体と、
この駆動体を手動で切り換えるための操作体とを有し、
前記操作体は、前記フレーム手段に対して回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能になっており、
前記駆動体は、電力供給により作動する駆動源を有し、前記操作体に取り付けられている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
操作体は、フレーム手段に対して搬送方向に沿った方向の回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能になっており、
駆動体は、前記操作体にこの操作体と一体となって上下方向に回動するように取り付けられており、
前記フレーム手段に対する前記操作体の上方回動により前記駆動体が第1状態に切り換えられ、
前記フレーム手段に対する前記操作体の下方回動により前記駆動体が第2状態に切り換えられる
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
フレーム手段は、互いに離間対向する一方のフレーム体および他方のフレーム体を有し、
操作体は、軸芯を通る線が回動中心軸線である軸部を有する取付手段を介して前記一方のフレーム体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
操作体を他方のフレーム体に対して固定および固定解除する固定操作手段を備え、
前記固定操作手段は、前記他方のフレーム体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【請求項5】
フレーム手段に脱着可能に設けられたバッテリ手段を備え、
駆動体の駆動源は、前記バッテリ手段からの電力供給により作動する電動モータである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の搬送装置。
【請求項6】
駆動手段は、フレーム手段に対して後付け可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送方向に搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された搬送装置が知られている。
【0003】
この従来の搬送装置は、フレーム手段と、このフレーム手段に設けられ物品を搬送方向に搬送する複数の搬送ローラと、これら複数の搬送ローラのローラ部を回転駆動する駆動手段とを備えている。
【0004】
駆動手段は、商用電源からの電力供給により作動する電動モータと、この電動モータからの動力に基づいて回行して複数の搬送ローラのローラ部を回転駆動する回行可能な無端状のチェーンとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−356212号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の搬送装置では、例えば停電等が発生し、駆動手段の電動モータへの電力供給ができなくなった場合には、搬送ローラを用いて物品を搬送することができなくなる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電力供給が可能な場合には駆動状態の搬送手段によって物品を搬送でき、電力供給が不可能な場合にはフリー状態の搬送手段によって物品を搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の搬送装置は、フレーム手段と、このフレーム手段に設けられ、物品を搬送方向に搬送する搬送手段と、電力供給により作動して前記搬送手段を駆動する駆動手段とを備え、前記駆動手段は、前記搬送手段を駆動状態にするための第1状態および前記搬送手段をフリー状態にするための第2状態に切り換えられる駆動体と、この駆動体を手動で切り換えるための操作体とを有し、前記操作体は、前記フレーム手段に対して回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能になっており、前記駆動体は、電力供給により作動する駆動源を有し、前記操作体に取り付けられているものである。
【0009】
請求項2記載の搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、操作体は、フレーム手段に対して搬送方向に沿った方向の回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能になっており、駆動体は、前記操作体にこの操作体と一体となって上下方向に回動するように取り付けられており、前記フレーム手段に対する前記操作体の上方回動により前記駆動体が第1状態に切り換えられ、前記フレーム手段に対する前記操作体の下方回動により前記駆動体が第2状態に切り換えられるものである。
【0010】
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、フレーム手段は、互いに離間対向する一方のフレーム体および他方のフレーム体を有し、操作体は、軸芯を通る線が回動中心軸線である軸部を有する取付手段を介して前記一方のフレーム体に取り付けられているものである。
【0011】
請求項4記載の搬送装置は、請求項3記載の搬送装置において、操作体を他方のフレーム体に対して固定および固定解除する固定操作手段を備え、前記固定操作手段は、前記他方のフレーム体に取り付けられているものである。
【0012】
請求項5記載の搬送装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の搬送装置において、フレーム手段に脱着可能に設けられたバッテリ手段を備え、駆動体の駆動源は、前記バッテリ手段からの電力供給により作動する電動モータであるものである。
【0013】
請求項6記載の搬送装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の搬送装置において、駆動手段は、フレーム手段に対して後付け可能となっているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力供給が可能な場合には駆動状態の搬送手段によって物品を搬送でき、電力供給が不可能な場合にはフリー状態の搬送手段によって物品を搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の平面図である。
図2】同上搬送装置の側面図である。
図3】同上搬送装置の駆動手段の正面図である。
図4】同上駆動手段の駆動体の平面図である。
図5】同上駆動手段の駆動体の側面図である。
図6】同上駆動手段の操作体の平面図である。
図7】同上駆動手段の操作体の側面図である。
図8】同上搬送装置の固定操作手段を示す図である。
図9】同上固定手段のa方向の矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1ないし図3において、1は搬送装置であるローラコンベヤで、このローラコンベヤ1は、例えば物品Wを水平な搬送方向に搬送するコンベヤ装置である。なお、図1に示す矢印の方向を前後左右の方向として以下説明する。
【0018】
ローラコンベヤ1は、搬送方向に長手方向を有する前後方向長手状のフレーム手段2と、このフレーム手段2に設けられ物品Wを搬送方向に搬送する搬送手段3とを備えている。
【0019】
また、ローラコンベヤ1は、フレーム手段2に脱着可能に設けられ電力を貯える充電可能なバッテリ手段4と、フレーム手段2に脱着可能に設けられ搬送手段3の下方側に位置しバッテリ手段4からの電力供給により作動して搬送手段3を駆動する複数、例えば前後2つの電動式の駆動手段5とを備えている。
【0020】
後側の駆動手段5は搬送手段3のうち搬送方向上流側の部分を駆動し、前側の駆動手段5は搬送手段3のうち搬送方向下流側の部分を駆動するが、これら両駆動手段5は同一構成のものである。両駆動手段5には、これら両駆動手段5に対して共通の1つの電源であるバッテリ手段4から電力が供給される。
【0021】
なお、バッテリ手段4は、例えば持ち運び可能なポータブル電源であり、このポータブル電源は、AC100V電源(インバーターターミナル)、シガーライターソケットおよびDC12Vターミナルの3タイプの電源出力が可能な構成になっている。
【0022】
フレーム手段2は、図1ないし図3等に示されるように、所定距離を介して互いに離間対向する前後方向長手状の左右1対のフレーム体、すなわち、一方のフレーム体である左側のフレーム体11および他方のフレーム体である右側のフレーム体11を有している。なお、左側のフレーム体11と右側のフレーム体11とは、同一構成のものであるが、左右対称に配置されている点で異なる。
【0023】
各フレーム体11は、外側方に向って開口する断面コ字状のもので、前後方向長手状の鉛直板部12と、この鉛直板部12の上端部から外側方に向かって突出する上水平板部13と、鉛直板部12の下端部から外側方に向かって突出する下水平板部14とにて構成されている。
【0024】
また、図2に示されるように、各フレーム体11の上水平板部13には複数のガイド棒保持体16が間隔をおいて立設され、これらガイド棒保持体16によって搬送方向長手状である前後方向長手状のガイド棒17が保持されている。これら互いに離間対向する左右1対のガイド棒17は、搬送手段3にて搬送される物品Wの側方への落下防止や、物品Wの姿勢修正等を行う。
【0025】
さらに、各フレーム体11の下水平板部14の前後方向両端部には脚体18の上端部が取り付けられ、この脚体18の下端部にはキャスタ19が取り付けられている。前後の脚体18同士が連結棒20にて連結されている。
【0026】
また、左右1対のフレーム体11のうちのいずれか一方、すなわち例えば左側のフレーム体11にはバッテリ支持枠21が取り付けられ、このフレーム手段2のバッテリ支持枠21にバッテリ手段4が脱着可能に取り付けられている。
【0027】
搬送手段3は、図1ないし図3等に示されるように、例えば、左右1対のフレーム体11間に搬送方向に間隔をおいて並設され、物品Wを上端部に載せて搬送方向に搬送する複数の搬送ローラ23にて構成されている。
【0028】
各搬送ローラ23は、両フレーム体11間に架設された支軸部24と、この支軸部24にて回転可能に支持された円筒状のローラ部25とを有している。
【0029】
そして、搬送ローラ23の搬送部であるローラ部25は、コンベヤ装置であるローラコンベヤ1を駆動コンベヤとして使用する際には駆動手段5によって回転駆動されるが、ローラコンベヤ1をフリーコンベヤとして使用する際には駆動回転せず、物品Wの下面から受ける力で従動回転する。
【0030】
駆動手段5は、図1ないし図3等に示されるように、搬送手段3の搬送ローラ23のローラ部25の少なくとも下端部と接触してローラ部25を作動させて回転駆動状態にするための第1状態およびローラ部25から下方へ離れてローラ部25をフリー状態(つまり支軸部24に対して回転自由な状態)にするための第2状態に選択的に切り換えられる駆動体(駆動ユニット)31と、この駆動体31を第1状態(接触状態)および第2状態(非接触状態)に手動で切り換えるためのアーム状の操作体(アームユニット)32とを有している。
【0031】
また、図3から明らかなように、切り換えの際に操作者が把持する把持体である操作体32は、フレーム手段2の左側のフレーム体11に対して、搬送方向に沿った水平な前後方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能(上下動可能)になっており、この操作体32にて駆動体31が支持されている。つまり、駆動体31は、操作体32にこの操作体32と一体となって上下方向に回動するように取り付けられている。
【0032】
そして、操作体32のフレーム体11に対する上方回動により駆動体31が第1状態(図3上、実線で示す状態)に切り換えられ、操作体32のフレーム体11に対する下方回動により駆動体31が第2状態(図3上、2点鎖線で示す状態)に切り換えられる。
【0033】
ここで、駆動体31は、図4および図5等にも示されるように、前後方向長手状のフレーム部であるフレーム部材35を有している。
【0034】
フレーム部材35の長手方向一端部である後端部には、バッテリ手段4からの電力供給により作動する駆動源である電動モータ36が取り付けられている。電動モータ36は、例えばDC12V電源タイプのDCブラシレスモータである。電動モータ36には、速度設定部37を有するドライバボックス38が配線39を介して電気的に接続され、このドライバボックス38にバッテリ手段4が配線40およびコネクタ41を介して電気的に接続されている。電動モータ36は、モータ本体部42から突出する左右方向の出力回転軸43を有し、この出力回転軸43には駆動プーリ44が固着されている。
【0035】
フレーム部材35の長手方向他端部である前端部には、従動プーリ45が左右方向の支軸46およびベアリング47を介して回転可能に取り付けられている。
【0036】
フレーム部材35の長手方向中間部の複数箇所には、押上シーブであるガイドプーリ48が左右方向の支軸49およびベアリング50を介して回転可能に取り付けられている。
【0037】
そして、これら駆動プーリ44、従動プーリ45およびガイドプーリ48には、駆動体31の第1状態時に搬送ローラ23のローラ部25の外周面の一部と接触した状態で電動モータ36からの動力に基づいて回行して搬送ローラ23のローラ部25を回転駆動する無端状の無端部材であるベルト51が掛け渡されている。
【0038】
ベルト51は、それぞれ前後方向長手状の往路面部52および復路面部53を有し、上側の往路面部52は、駆動体31の第1状態時にはローラ部25に接触して位置し、駆動体31の第2状態時にはローラ部25から離れて位置する。
【0039】
また一方、フレーム部材35の長手方向中間部には、複数、例えば前後1対の板状部材55が取付具(例えばボルトおよびナット等)56にて脱着可能に取り付けられている。板状部材55の複数箇所には、取付具56を挿入するための取付用孔54が形成されており、この各取付用孔54は上下方向長手状の長孔である。
【0040】
板状部材55の下部にはブロック状部材57が溶接等により固着され、このブロック状部材57には貫通孔58が形成され、この貫通孔58には操作体32が挿脱可能に挿通されている。
【0041】
また、ブロック状部材57には、貫通孔58に連通した複数のねじ孔59が形成され、この各ねじ孔59には固定部材である固定ねじ60が螺着されている。そして、固定ねじ60の締付方向への回転操作により操作体32がブロック状部材57に対して固定され、固定ねじ60の締付解除方向への回転操作により操作体32のブロック状部材57に対する固定が解除される。
【0042】
なお、図3等に示されるように、駆動体31は、操作体32に脱着可能に取り付けられた取付部61と、この取付部61に高さ位置調整可能に取り付けられた駆動本体部62とを有している。取付部61は、板状部材55、ブロック状部材57および固定ねじ60等にて構成されている。駆動本体部62は、フレーム部材35、電動モータ36、駆動プーリ44、従動プーリ45、ガイドプーリ48およびベルト51等にて構成されている。
【0043】
操作体32は、図3図6および図7等にも示されるように、例えば、平面視で側方に向って開口するコ字状のコ字状棒部材71と、このコ字状棒部材71に長手方向両端部が溶接等により固着された直線状の補強棒部材72と、コ字状棒部材71のうち前後に互いに対向する部分に位置調整可能に固定され板状部材55との当接により駆動体31を操作体32に対して位置決めする駆動体位置決め部である円形環状の位置決め部材65とにて構成されている。なお、コ字状棒部材71および補強棒部材72は、いずれも例えば断面円形状の丸パイプである。
【0044】
位置決め部材65には貫通孔66が形成され、この貫通孔66に操作体32が挿脱可能に挿通されている。また、位置決め部材65には、貫通孔66に連通した複数のねじ孔67が形成され、この各ねじ孔67に固定部材である固定ねじ68が螺着されている。そして、固定ねじ68の締付方向への回転操作により位置決め部材65がコ字状棒部材71に対して固定され、固定ねじ68の締付解除方向への回転操作により位置決め部材65のコ字状棒部材71に対する固定が解除される。この固定解錠状態で、位置決め部材65の位置を調整可能である。つまり、位置決め部材65の位置調整により、操作体32のコ字状棒部材71による駆動体31の支持位置が調整可能となっている。
【0045】
そして、駆動体31を操作体32のコ字状棒部材71に取り付ける場合には、リング状の位置決め部材65をコ字状棒部材71の外周側の所望位置に固定ねじ68で固定した後、コ字状棒部材71の各対向部92を板状部材55の貫通孔55aおよびブロック状部材57の貫通孔58に挿通し、その後、固定ねじ60を用いて駆動体31のブロック状部材57を操作体32のコ字状棒部材71に固定する。
【0046】
また、この操作体32は、複数、例えば2つの取付手段(支点部)73を介してフレーム手段2の左側のフレーム体11に取り付けられている。
【0047】
取付手段73は、搬送方向一側である左側のフレーム体11に取付具(例えばボルトおよびナット等)74にて脱着可能に取り付けられた断面L字状の取付板75を有している。取付板75は、フレーム体11の鉛直板部12に取り付けられた鉛直板部76と、フレーム体11の下水平板部14に取り付けられた水平板部77とにて構成されている。
【0048】
取付板75の水平板部77の下面からは、前後に互いに離間対向する鉛直状の対向板78が下方に向かって突出している。そして、両対向板78には、回動部であるブロック状回動部材80がボルト部材81およびナット部材82にて回動可能に取り付けられている。つまり、ブロック状回動部材80は、ボルト部材81の軸部(支点)83を中心として回動可能になっている。なお、ボルト部材81の軸部83の軸芯を通る線が回動中心軸線Xである(図3参照)。
【0049】
ブロック状回動部材80の下部には貫通孔85が形成され、この貫通孔85には操作体32の先端部が挿脱可能に挿通されている。また、ブロック状回動部材80には、貫通孔85に連通した複数のねじ孔86が形成され、この各ねじ孔86には固定部材である固定ねじ87が螺着されている。そして、固定ねじ87の締付方向への回転操作により操作体32がブロック状回動部材80に対して固定され、固定ねじ87の締付解除方向への回転操作により操作体32のブロック状回動部材80に対する固定が解除される。
【0050】
また、操作体32は、駆動体31を第1状態(作用状態)および第2状態(非作用状態)に手動で切り換える際に操作者によって把持される長手状の把持部91を有し、この把持部91は搬送手段3の搬送方向に長手方向を有する水平方向長手状、つまり前後方向長手状に形成されている。
【0051】
すなわち、操作体32のコ字状棒部材71は、互いに離間対向する左右方向長手状の1対の対向部92と、これら両対向部92の基端部同士を連結する前後方向長手状の把持部91とにて構成されている。把持部91の長手方向両端側の部分は、円弧状に曲げられて円弧状部分91aとなっている。各対向部92の先端部は、取付手段73のブロック状回動部材80の貫通孔85に挿入されている。また、両対向部92の長手方向中央部同士が補強棒部材72にて連結されている。つまり、補強棒部材72の一端部が一方の対向部92の長手方向中央部に連結固定され、補強棒部材72の他端部が他方の対向部92の長手方向中央部に連結固定されている。なお、各対向部92の外周側に位置決め部材65が対向部92の長手方向に沿って位置調整可能に固定されている。
【0052】
図3および図6から明らかなように、操作体32の長手状の把持部91は、平面視で、フレーム手段2の右側のフレーム体11の外端位置よりも常時外側方に位置する。つまり、平面視で、操作体32の把持部91と右側のフレーム体11とが重ならないようになっている。
【0053】
また、ローラコンベヤ1は、図6図8および図9等に示されるように、駆動手段5の操作体32をフレーム手段2の右側のフレーム体11に対して固定および固定解除する複数、例えば2つの固定操作手段(クランプユニット)101を備えている。
【0054】
固定操作手段101は、フレーム体11の下水平板部14にこの下水平板部14の下面に沿ってスライド可能(移動可能)に設けられた略L字板状の移動体102を有している。つまり、移動体102は、ボルト103およびナット104等からなる取付具105を介して、フレーム体11の下水平板部14に前後方向に移動可能に取り付けられている。
【0055】
移動体102は、水平板部106と、この水平板部106の端部から下方に向かって突出する鉛直板部107とを有している。水平板部106には複数、例えば2つの長孔108が形成され、この長孔108に取付具105のボルト103が移動可能に挿通されている。鉛直板部107には、例えば1つの取付用孔109が形成されている。
【0056】
鉛直板部107の取付用孔109には、操作体32を右側のフレーム体11に対して固定および固定解除する際に操作者によって回動操作される回動操作体111が回動可能に取り付けられている。
【0057】
回動操作体111は、取付用孔109に回動可能に挿通された軸部112を有し、この軸部112の軸方向一端側には操作者が摘む摘み部113が固着され、この軸部112の軸方向他端側には操作体32の対向部92の基端部の外周面を脱着可能に保持する保持部114が固着されている。
【0058】
この保持部114は、移動体102の鉛直板部107に取り付けられた取付板115と、この取付板115の両側端部から操作体32側に向って突出する1対の突出板116とを有している。各突出板116には、操作体32の外周面の一部と係脱可能に係合してこの操作体32を上下から挟持する状態に保持する凹状部分117が形成されている。
【0059】
そして、このような2つの固定操作手段101によって1本の操作体32が右側のフレーム体11に対して固定されることにより、駆動体31が所望の第1状態に維持される。
【0060】
この固定操作手段101による固定を解除する場合には、操作者は、摘み部113を摘んで回動操作体111を移動体102に対して軸部112を中心として所定方向(図9では、矢印方向)に少しだけ回動させた後、その回動操作体111を移動体102とともに操作体32から離れる方向に移動させる。つまり、操作者は、回動操作体111を少し回しながら引き操作すれば、回動操作体111の保持部114による操作体32の保持を解除できる。
【0061】
そして、こうして固定操作手段101による固定が解除されると、操作体32は、図3の2点鎖線で示すように、駆動体31および操作体32の自重により回動中心軸線Xを中心として下方へ回動し、水平姿勢から傾斜姿勢へと姿勢変化する。その結果、駆動体31が第1状態から第2状態になり、ベルト51が搬送ローラ23から離れて非接触状態となる。なおこのとき、操作者は、例えば操作体32の把持部91を把持することで、操作体32が自重で落下回動するのを防止する。
【0062】
また、右側のフレーム体11と操作体32との間には、操作体32の下方回動を規制して操作体32を傾斜姿勢に維持するストッパ手段120が設けられている。このストッパ手段120は、例えば一端部が取付リング121を介してフレーム体11の下水平板部14に取り付けられかつ他端部が取付リング122を介して操作体32の把持部91の長手方向中央部に取り付けられたストッパ用チェーン123にて構成されている。また、操作体32の傾斜姿勢時における水平方向に対する傾斜角度αは、例えば略15度である。
【0063】
なお、駆動体31を第2状態から第1状態に戻す場合には、操作者は、操作体32を持ち上げるようにして回動中心軸線Xを中心に上方へ回動させ、その後、回動操作体111を操作体32側へ押し操作しながら少し回せばよい。
【0064】
次に、ローラコンベヤ1の作用等を説明する。
【0065】
ローラコンベヤ1を駆動コンベヤとして使用する場合には、操作体32を水平姿勢にして駆動体31を第1状態に設定する。
【0066】
そして、バッテリ手段4から駆動体31の電動モータ36に電力が供給されると、電動モータ36が作動してベルト51が回行し、このベルト51により搬送ローラ23のローラ部25が強制的に回転駆動される。その結果、物品Wは、搬送ローラ23のローラ部25にて搬送方向に搬送される。
【0067】
ここで、例えば停電等の発生或いはバッテリ切れ等により、駆動体31の電動モータ36への電力供給ができなくなった場合、つまり電源を喪失した場合には、電動モータ36が作動不能となり、ローラコンベヤ1を駆動コンベヤとして使用できなくなる。
【0068】
そして、このような場合であっても、ローラコンベヤ1をフリーコンベヤとして使用することが可能である。
【0069】
この場合、使用者である操作者は、固定操作手段101の操作により操作体32のフレーム体11に対する固定を解除してから、操作体32を下方回動させて傾斜姿勢にすることにより、駆動体31を第2状態に設定する。
【0070】
この駆動体31の第2状態では、ベルト51が搬送ローラ23のローラ部25から離れているため、搬送ローラ23のローラ部25は、支軸部24に対して回転自由なフリー状態となっている。
【0071】
このため、フリー状態の搬送ローラ23のローラ部25を利用して、物品Wを搬送方向に搬送することができる。なお、操作体32を駆動体31ごとフレーム体11から取り外すことにより、駆動体31を第2状態に設定してもよい。
【0072】
そして、上記ローラコンベヤ1によれば、電力供給が可能な場合には駆動状態の搬送手段3によって物品Wを搬送でき、電力供給が不可能な場合にはフリー状態の搬送手段3によって物品Wを搬送でき、よって、1台のローラコンベヤ1を駆動ローラコンベヤとして使用したり、フリーローラコンベヤとして使用したりできる。
【0073】
また、操作体32のフレーム体11に対する上動により駆動体31を搬送手段3を駆動状態にするための第1状態に適切に切り換えることができ、操作体32のフレーム体11に対する下動により駆動体31を搬送手段3をフリー状態にするための第2状態に適切に切り換えることができる。
【0074】
さらに、操作体32を固定操作手段101によってフレーム体11に対して固定することにより、駆動体31を第1状態に適切に維持できる。
【0075】
また、操作体32の長手状の把持部91を把持することで、操作体32を利用して駆動体31の状態を手動で容易に切り換えることができる。
【0076】
さらに、操作体32の長手状の把持部91は平面視でフレーム体11よりも外側方に位置するため、操作体32の把持部91を把持する際にフレーム体11が邪魔にならず、操作者は把持部91を容易に把持でき、操作性が良好である。
【0077】
また、商用電源のない任意の場所においても、バッテリ手段4からの電力供給に基づいて電動モータ36を作動させて搬送ローラ23を駆動状態とし、この駆動状態の搬送ローラ23によって物品Wを適切に搬送できる。
【0078】
さらに、駆動手段5は、フレーム手段2に対して脱着可能になっているため、駆動手段5のメンテナンス等を容易にできる。
【0079】
また、駆動体31は、取付部61とこの取付部61に高さ位置調整可能に取り付けられた駆動本体部62とを有する構成であるから、駆動本体部62の高さ位置を調整することにより、例えばフレーム体11の上下方向寸法や搬送ローラ23のローラ径寸法等に容易に対応できる。
【0080】
さらに、例えば既設されたフリーローラコンベヤに対して駆動手段5を後付けすることにより、駆動ローラコンベヤとして使用できる。また、例えば荷役を行うトラックにフリーローラコンベヤと駆動手段5と搭載しておけば、荷降ろし作業をする任意の場所で駆動ローラコンベヤを得ることができる。
【0081】
また、駆動体31の長さは、必要駆動長さに合わせて変更設定することも容易であり、コンベヤ装置の機長に容易に対応できる。
【0082】
なお、バッテリ手段4は、例えば市販のポータブル電源には限定されず、例えば車載バッテリや、リチウムイオンバッテリパック等でもよく、任意である。
【0083】
また、駆動体31に電力を供給する電源は、バッテリ電源ではなく、商用電源でもよく、また例えば車のシガーソケットを利用して電力を供給するようにしてもよく、さらに例えば手動式の発電装置で発電した電力を供給するようにしてもよい。
【0084】
さらに、操作体32がフレーム手段2に対して上下方向に回動する構成には限定されず、例えば操作体がフレーム手段に対して水平姿勢のまま昇降する構成や、操作体をフレーム手段に対して脱着のみ可能な構成等でもよい。
【0085】
また、搬送手段3は、搬送ローラ23からなるものには限定されず、例えば無端状の搬送ベルトからなるものや、多数の搬送コロからなるもの等でもよい。つまり、搬送装置は、ローラコンベヤ以外の他のコンベヤ装置であってもよい。
【0086】
さらに、操作体32は、駆動体31を第1状態および第2状態に手動で切り換える際に操作されるものには限定されず、例えば駆動体を第2状態から第1状態に手動で切り換える際にのみ操作される操作体や、駆動体を第1状態から第2状態に手動で切り換える際にのみ操作される操作体でもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 搬送装置であるローラコンベヤ
2 フレーム手段
3 搬送手段
4 バッテリ手段
5 駆動手段
11 一方のフレーム体である左側のフレーム体
11 他方のフレーム体である右側のフレーム体
31 駆動体
32 操作体
36 駆動源である電動モータ
73 取付手段
83 軸部
101 固定操作手段
W 物品
回動中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9