(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操作パネルに形成された案内用挿通孔に沿って複数の操作位置にわたって移動操作自在に操作レバーが備えられ、前記操作レバーの移動操作を許容する状態で前記案内用挿通孔を閉塞するシール部材が備えられているレバー操作部のシール構造であって、
前記シール部材が、
前記操作レバーの移動操作を許容するとともに前記操作レバーが位置していない状態では左右両側部が密接状態となるスリットが形成された弾性変形自在な複数のシール単位体を、少なくともいずれかのシール単位体における前記操作位置に対応する箇所に開孔を形成する状態で備えて構成され、
且つ、前記開孔が位置する箇所にその開孔が形成されたシール単位体とは別のシール単位体の前記スリットが位置する状態で前記複数のシール単位体を重ね合わせて構成されているレバー操作部のシール構造。
前記支持手段が、前記複数のシール単位体における前記スリット及び前記開孔が形成される部分を除く外周部分同士を接着する接着手段にて構成されている請求項2記載のレバー操作部のシール構造。
前記シール部材が、前記開孔が形成された同じ構成の2つのシール単位体を、一方のシール単位体の前記開孔が位置する箇所に他方のシール単位体の前記スリットが位置する状態で重ね合わせて構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のレバー操作部のシール構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、操作レバーの移動操作が繰り返し行われても、発泡体の弾力が低下して操作レバーと発泡体との間での隙間が大きくなることは回避できるものの、このような構成においても、未だ次のような不利がある。
【0005】
すなわち、上記構成では、左右の発泡体の合わせ面同士の間を操作レバーが移動するものであり、左右両側の発泡体の合わせ面は、例えば、
図15に示すように、操作レバー17の存在位置においては、操作レバー17の外周面によって押し拡げられる状態となって、レバー移動方向の前後両側において略三角形状の隙間Sが形成されることになる。
【0006】
操作レバーを移動させている移動操作途中においては、上述したような隙間が形成されることがあってもそれほど問題は生じないが、上記従来構成では、操作レバーが移動操作範囲におけるいずれの位置にあっても、上述したような隙間が常に形成されることになるので、操作レバーを複数の操作位置のうちのいずれかの操作位置に操作させてその位置で保持されている場合には、隙間が形成される状態がそのまま維持されることになり、良好なシール性能を発揮できないものとなる不利がある。
【0007】
その結果、例えば、運転部にキャビンを備えるものでは、キャビンの外部に存在する塵埃が隙間を通してキャビン内部に侵入するおそれがあり、又、操作パネルの下方側箇所に原動部等のように大きな騒音を発生するものが存在するような場合には、上記したような隙間を通して運転部に大きな騒音が伝わるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、密閉性を向上させることが可能なレバー操作部のシール構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るレバー操作部のシール構造は、操作パネルに形成された案内用挿通孔に沿って複数の操作位置にわたって移動操作自在に操作レバーが備えられ、前記操作レバーの移動操作を許容する状態で前記案内用挿通孔を閉塞するシール部材が備えられているものであって、その第1特徴構成は、前記シール部材が、前記操作レバーの移動操作を許容する
とともに前記操作レバーが位置していない状態では左右両側部が密接状態となるスリットが形成された弾性変形自在な複数のシール単位体を、少なくともいずれかのシール単位体における前記操作位置に対応する箇所に開孔を形成する状態で備えて構成され、且つ、前記開孔が位置する箇所にその開孔が形成されたシール単位体とは別のシール単位体の前記スリットが位置する状態で前記複数のシール単位体を重ね合わせて構成されている点にある。
【0010】
第1特徴構成によれば、シール部材を構成する複数のシール単位体のうちの少なくともいずれかのシール単位体は、操作レバーの操作位置に対応する箇所に開孔が形成されており、その開孔が形成されたシール単位体とは別のシール単位体は、操作レバーの操作位置に対応する箇所にスリットが位置する状態で重なり合うことになる。
【0011】
操作レバーがいずれかの操作位置から他の操作位置にまで移動する間は、従来構成と同様に、シール部材におけるスリット形成箇所においてレバー移動方向の両側部に隙間が形成されるが、操作レバーが複数の操作位置のうちのいずれかに操作されたのちは、その操作レバーが存在する位置では、いずれかのシール単位体に開孔が形成されているから、操作レバーは開孔に入り込むことになり、そのシール単位体を左右方向に大きく押し拡げることがなく、操作レバーが存在する位置のレバー移動方向の両側部においてはスリットが閉じた状態を維持し易いものとなる。
【0012】
従って、操作レバーが操作位置に操作されて移動操作が停止している状態では、操作レバーとシール単位体との間での隙間を塞ぐことが可能となって、密閉性を向上させることが可能なレバー操作部のシール構造を提供できるに至った。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、前記複数のシール単位体を重ね合わせた状態で位置固定状態で支持する支持手段が備えられている点にある。
【0014】
第2特徴構成によれば、複数のシール単位体は支持手段によって重ね合わせられた状態で位置固定状態で支持されるので、操作レバーが操作位置に操作されたときに、適切に隙間を塞ぐ状態にすることができ、しかも、その状態を長期間にわたって維持することができる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、前記支持手段が、前記複数のシール単位体における前記スリット及び前記開孔が形成される部分を除く外周部分同士を接着する接着手段にて構成されている点にある。
【0016】
第3特徴構成によれば、複数のシール単位体におけるスリット及び開孔が形成される部分を除く外周部分同士を接着手段により接着させることにより、複数のシール単位体を重ね合わせた状態で位置固定状態で支持することになる。
【0017】
従って、複数のシール単位体同士を接着手段にて接着させるという簡単な構成により、複数のシール単位体を支持することができる。
【0018】
本発明の第4特徴構成は、前記シール部材が、前記開孔が形成された同じ構成の2つのシール単位体を、一方のシール単位体の前記開孔が位置する箇所に他方のシール単位体の前記スリットが位置する状態で重ね合わせて構成されている点にある。
【0019】
第4特徴構成によれば、開孔が形成された同じ構成の2つのシール単位体を、一方のシール単位体の開孔が位置する箇所に他方のシール単位体のスリットが位置する状態で重ね合わせて、シール部材が構成される。
【0020】
従って、同じ構成の2つのシール単位体を用いることにより、部品の共通化により作製工数の手間を少なくして低コスト化を図ることが可能となる。
【0021】
本発明の第5特徴構成は、前記開孔が、前記操作レバーの横断面形状と略同じ形状に形成されている点にある。
【0022】
第5特徴構成によれば、複数のシール単位体における操作位置に対応する箇所に形成される開孔が、操作レバーの横断面形状と略同じ形状に形成されるので、操作レバーの外周面は開孔の内周面と略同じ形状となる。
【0023】
その結果、操作レバーの外周面は略同じ形状の開孔に入り込むことになり、操作レバーの外周面によりシール単位体を左右方向に押し拡げる状態になることはなく、操作レバーが存在する位置のレバー移動方向の両側部においてはスリットが閉じた状態を的確に維持することができる。
【0024】
本発明の第6特徴構成は、前記操作レバーの横断面形状が略円形状に形成されている点にある。
【0025】
第6特徴構成によれば、操作レバーの横断面形状が略円形状であるから、シール部材のスリットに沿って移動操作させるときに、滑らかなに移動させることができ、しかも、操作レバーの外周面が開孔に入り込むときに、操作レバーの円形状の外周面と開孔とが隙間が生じない状態で接触することになり、シール部材の密閉性を向上させ易いものにできる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るレバー操作部のシール構造の実施形態をコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0028】
図1及び
図2に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1の駆動により走行機体2が走行自在に構成され、その走行機体2の前部に、圃場の植立穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を後方に搬送する刈取部3が揺動昇降自在に設けられている。
【0029】
走行機体2は、刈取部3にて刈り取られた刈取穀稈を受け取って脱穀および選別処理する脱穀装置4、脱穀装置4にて脱穀および選別処理することにより得られた穀粒を貯留する穀粒タンク5、運転部6、及び、その運転部6の上方を覆うキャビン7等を機体フレーム8に支持される状態で備えて構成されている。
【0030】
図2に示すように、運転部6は、運転座席9の前方側にフロントパネル10が備えられ、このフロントパネル10には操縦レバー11や各種の情報を表示する表示装置12等が装備されている。運転座席9の左側には、操作パネルの一例としてのサイドパネル13が備えられ、このサイドパネル13には、主変速レバー14、副変速レバー15、刈取クラッチレバー16、脱穀クラッチレバー17等が装備されている。図示はしないが、運転部6の下方には駆動用のエンジン18を備えた原動部19が設けられている(
図1参照)。
【0031】
運転部6は上方がキャビン7によって覆われ、このキャビン7の内部には外部空間と仕切られる状態で閉塞された空間である運転室R1が形成されている。
図1に示すように、キャビン7は、上下方向に長く連なる湾曲状の前部ガラス部20が備えられ、右側部には、上下方向に幅広のドア21が後部側の上下軸芯Y周りで揺動開閉自在に設けられている。
【0032】
図3及び
図5に示すように、ドア21は、矩形状の上側の枠部23と下側の枠部24とを夫々備えたドアフレーム22によって全体が支持される構成となっており、上側の枠部23には水平方向にスライド自在な2枚のガラス25が支持され、下側の枠部24には位置固定状態で下側のガラス26が支持されている。上側のガラス25は、スライドさせることにより運転座席9に着座する運転者の横側方を開放させることができるように構成されている。そして、ドアフレーム22がヒンジ27を介してキャビン本体側フレーム28に揺動自在に支持される構成となっている。
【0033】
ドア21は、揺動端側の上下方向中間部にロック具29が備えられ、このロック具29がキャビン本体側フレーム28に備えられた係止部30に係止して位置保持する位置保持状態と位置保持を解除する解除状態とに切り換え自在に構成されている。又、ドア21の外周部には、キャビン本体側フレーム28においてドア21にて開閉される開口の周縁部に備えられた周枠部32に弾性的に変形しながら接当するシール材33が設けられている。
【0034】
ところで、上下方向に幅広のドア21が上下方向中間部に設けられたロック具29にて位置保持されるものでは、その位置保持状態において、ドア21の上下方向の両側端部において、シール材33とキャビン本体側フレーム28の周枠部32との間に隙間が生じるおそれがある。
【0035】
そこで、
図4及び
図5に示すように、ドア21のシール材33として、ゴム製のウェザーストリップにて構成される標準的な中空状の第1シール材34と、上下方向中間部が厚く且つ上下方向の両側端部に近づく程薄くなるように中膨らみ形状に形成されたゴム製の第2シール材35とを備える構成としている。
【0036】
さらに、
図5に示すように、ドアフレーム22も第2シール材35の形状に沿うように、上下中央部がキャビン本体側フレーム28の周枠部32から離れる側に緩やかな山形状に屈曲形成されている。つまり、ドアフレーム22は、上下方向の両側端部がキャビン本体側フレーム28の周枠部32に近づいた状態で、上下方向中間部がキャビン本体側フレーム28の周枠部32から少し離れた状態となるように、緩やかに山形状に折れ曲がる形状となっている。
【0037】
このように構成することで、ロック具29にて位置保持させる状態において、ドア21の上下方向の両側端部にてドア21とキャビン本体側フレーム28の周枠部32との間に隙間が生じ難いものとなる。
【0038】
次に、運転部6のサイドパネル13におけるレバー操作部のシール構造について説明する。
図6に示すように、サイドパネル13は、上部パネル36と側部パネル37とを備えて構成されており、
図7及び
図8に示すように、主変速レバー14は、上部パネル36の下方側において、横軸芯X1周りで前後揺動自在に且つ前後軸芯Z1周りで左右揺動自在に機体側固定部38に支持され、上部パネル36に形成された案内用挿通孔39を上下に挿通して上方に突出する状態で設けられている。
【0039】
この主変速レバー14は、車速を変更操作可能なように、図示しない機体走行用の静油圧式の無段変速装置と図示しないリンク機構を介して連動連係されており、前進変速用の前後操作域a1、後進変速用の前後操作域a2、それらの間に位置する中立操作用の左右操作域a3を備えるように、平面視で段違い形状の移動操作経路を備える構成となっている。又、上部パネル36には、上記したような移動操作経路に沿うように平面視で段違い形状の案内用挿通孔39が形成されている。この主変速レバー14は、横断面形状が略円形状になるように丸棒状の部材を用いて構成されている。
【0040】
次に、主変速レバー14のシール構造について説明する。
図7〜
図10に示すように、主変速レバー14の移動操作を許容する状態で案内用挿通孔39を閉塞するシール部材40が備えられている。このシール部材40は、スポンジ(発泡材)等のように、弾性変形が可能で且つ空気の通過を阻止することが可能な材質にて構成されている。
【0041】
主変速レバー用のシール部材40は、平面視で上部パネル36に形成された案内用挿通孔39と略同じような形状に設けられ、案内用挿通孔39の上方を覆う状態で且つゴム材からなる保持部材41によって保持される状態で備えられている。保持部材41は、平面視で矩形状に形成されるとともに、案内用挿通孔39と略同じような、主変速レバー14の移動操作を許容するための挿通孔42が形成されている。
【0042】
そして、シール部材40の外形形状は保持部材41の挿通孔42の形状と略同じ形状にて構成されており、このシール部材40が、保持部材41の挿通孔42に嵌り込む状態で備えられ、横側面が保持部材41の挿通孔42の内面に接着剤にて接着して保持される構成となっている。
【0043】
シール部材40は、案内用挿通孔39から上方外方に突出する主変速レバー14の周囲を前後揺動範囲の全範囲にわたってシールすることが可能なように、主変速レバー14の揺動操作範囲よりも少し長めに形成されて、主変速レバー14が上下方向に挿通するとともに前後方向の揺動移動操作を許容するスリット43が移動操作経路に沿う状態で形成されている。又、シール部材40の上部面40a及び保持部材41の上部面41aは、側面視で一連に連なる円弧状となるように形成されている。
【0044】
そして、主変速レバー14には、このシール部材40並びに保持部材41の円弧状の上部面に沿ってスライド移動するスライド操作板44が、主変速レバー14の外周面との間に隙間が無い状態で且つ板面が軸芯方向と略直交する姿勢で主変速レバー14と一体的に設けられている。このスライド操作板44は、
図9に示すように、主変速レバー14がどの操作位置にあっても案内用挿通孔39を左右方向にわたって覆うように、平面視で案内用挿通孔39の左右幅よりも大径の円形状に形成されている。又、
図7に示すように、シール部材40の上部面40aに沿うように側面視にて円弧状に形成され、主変速レバー14の移動操作に伴ってスライド操作板44がシール部材40の上部面40aに沿ってスライドしながら移動するように構成されている。
【0045】
保持部材41の上側には、スライド操作板44がシール部材40の上部面40aから上方に離れることを阻止するように上方側から案内する案内部材45が備えられている。この案内部材45は、平面視で保持部材41と同じ矩形状に形成されており、その下部面45aは、シール部材40の上部面40a及び保持部材41の上部面41aに対向するように側面視で中凹み円弧状に形成されている。
【0046】
図10に示すように、案内部材45には、保持部材41の挿通孔42と略同じような主変速レバー14の移動操作を許容するための挿通孔46が形成されている。又、案内部材45と保持部材41との間に、主変速レバー14の揺動操作に伴ってスライド操作板44が通過する隙間を形成するためのゴム製の隙間形成部材47が、案内部材45と保持部材41の夫々に接着される状態で備えられている。この隙間形成部材47は、挿通孔46の左右両側に位置する状態で且つ前後方向の略全幅にわたって延びる状態で備えられている。
【0047】
このように構成することで、主変速レバー14の揺動操作に伴って、シール部材40のスリット43において、例えば、
図9に示すように、主変速レバー14のレバー移動方向の前後において略三角形状の隙間Sが形成されることがあっても、スライド操作板44がこのスリット43に形成された略三角形状の隙間Sの上部側を覆う状態となって、隙間Sを閉塞することができる。しかも、スライド操作板44は、隙間形成部材47によって形成された案内部材45と保持部材41との間で隙間が生じない状態で移動させることができ、シール部材40による密閉性を向上させることができる。
【0048】
図11に示すように、副変速レバー15は、上部パネル36の下方側において、図示しない横軸芯周りで前後揺動自在に機体側固定部に支持され、上部パネル36に形成された案内用挿通孔50を上下に挿通して上方に突出する状態で設けられている。
【0049】
副変速レバー15は、走行駆動系に備えられた副変速装置(図示せず)に図示しない連動機構を介して連動連係されており、この副変速装置を、通常の刈取作業用の標準状態、倒伏穀稈等を刈り取るための低速状態、路上走行用の高速状態の3状態に切り換えることができるように構成されている。
【0050】
すなわち、
図13に示すように、高速状態を指令する「高速」位置、標準状態を指令する「標準」位置、低速状態を指令する「低速」位置の夫々に切り換えることができるように、前後方向に沿って直線状の案内用挿通孔50が形成されている。又、副変速レバー15は、横断面形状が略長方形状となるように帯板状の部材を用いて構成されている。
【0051】
次に、副変速レバー15のシール構造について説明する。
副変速レバー15の移動操作を許容する状態で案内用挿通孔50を閉塞するシール部材51が備えられている。このシール部材51は、主変速レバー用のシール部材40と同様に、スポンジ(発泡材)等のように、弾性変形が可能で且つ空気の通過を阻止することが可能な材質にて構成されている。
【0052】
図11〜
図13に示すように、シール部材51は、上部パネル36に形成された案内用挿通孔50の上方を覆う状態で且つゴム材からなる保持部材52によって保持される状態で備えられている。又、シール部材51の上部面51aは、側面視で略円弧状となるように形成されており、左右幅方向の中央部には、副変速レバー15が上下方向に挿通するとともに前後方向の揺動移動操作を許容するスリット53が移動操作経路に沿う状態で形成されている。
【0053】
保持部材52は、平面視で前後方向に幅広で左右方向に幅狭の矩形状に設けられ、その左右方向の中央部に副変速レバー15が上下に挿通する案内用開口部が前後方向に沿って延びる状態で形成されている。この案内用開口部のうち上方側箇所には、副変速レバー15が隙間の少ない状態で通過することができる程度の幅狭のレバー通過部55が形成されている。又、案内用開口部54のうち下方側箇所には、副変速レバー15が挿通するとともにレバー通過部55よりも幅広の収納空間56が形成されており、この収納空間56にシール部材51が収納される構成となっている。
【0054】
副変速レバー15には、シール部材51の円弧状の上部面51aに沿ってスライド移動するスライド操作板57が、副変速レバー15の外周面との間に隙間が無い状態で且つ板面が軸芯方向と略直交する姿勢で副変速レバー15と一体的に設けられている。このスライド操作板57は、
図13に示すように、副変速レバー15がどの操作位置にあってもシール部材51の上部面51aを左右方向にわたって覆うように、平面視でシール部材51の左右幅よりも大きい横幅の矩形状に形成されている。
【0055】
図11及び
図12に示すように、保持部材52におけるレバー通過部55が形成される上部側部分と収納空間56が形成される下部側部分との上下中間部に、スライド操作板57が移動するための案内溝58が形成されている。
図11に示すように、副変速レバー15の移動操作に伴ってスライド操作板57がシール部材51の上部面51aに沿ってスライドしながら移動するように、案内溝58は側面視で円弧状に形成されている。
【0056】
従って、副変速レバー15の移動操作に伴ってスライド操作板57がシール部材51の上部面51aに沿ってスライドしながら移動することができるように構成されている。そして、副変速レバー15がどの操作位置に操作されても、スライド操作板57は案内溝58に挟まれる状態で案内される。
【0057】
このように構成することで、副変速レバー15の揺動操作に伴って、シール部材51のスリット53において、例えば、
図13に示すような三角形状の隙間Sが形成されることがあっても、スライド操作板57にて覆うことにより隙間Sを閉塞することができる。しかも、スライド操作板57は、保持部材52に形成された案内溝58により挟まれて隙間が生じない状態で移動させることができ、シール部材51による密閉性を向上させることができる。
【0058】
操作レバーとしての刈取クラッチレバー16及び脱穀クラッチレバー17について説明する。
図示はしないが、刈取クラッチ及び脱穀クラッチは、いずれもベルトテンション式クラッチにて構成されており、テンションローラの緊張力を緩めることでクラッチ切り状態となり、テンションローラにより緊張力を付与することによりクラッチ入り状態となるように構成となっている。
【0059】
そして、
図6に示すように、刈取クラッチを入り切り操作する刈取クラッチレバー16、及び、脱穀クラッチを入り切り操作する脱穀クラッチレバー17は、サイドパネル13に左右方向に並べて備えられており、これらの各クラッチレバー16,17は、いずれもクラッチ入りを指令するクラッチ入り位置と、クラッチ切りを指令するクラッチ切り位置との2位置にわたり移動操作自在に設けられ、上記2位置においてのみ位置保持される構成となっている。
【0060】
刈取クラッチレバー16及び脱穀クラッチレバー17はクラッチ操作用の連係構造は同じ構成であるから、脱穀クラッチレバー17の操作用の連係構造について説明し、刈取クラッチレバー16の操作用の連係構造については説明は省略する。但し、図示はしないが、脱穀クラッチレバー17がクラッチ切り状態であるときに、刈取クラッチレバー16をクラッチ切り状態からクラッチ入り状態に操作すると、脱穀クラッチレバー17もクラッチ入り状態に連動して切り換わるように、図示しない連係機構を介して連動連係させる構成となっている。そして、刈取クラッチレバー16及び脱穀クラッチレバー17は、クラッチ入り位置とクラッチ切り位置との2つの操作位置に移動操作自在に構成されている。
【0061】
図14に示すように、脱穀クラッチレバー17は、横断面形状が略円形状の丸棒材を略くの字形に折り曲げた形状となっており、上部パネル36の下方側において、横軸芯X3周りで前後揺動自在に機体側固定部に支持され、上部パネル36に形成された案内用挿通孔60を上下に挿通して上方に突出する状態で設けられている。
【0062】
次に、脱穀クラッチレバー17のシール構造について説明する。
図14に示すように、脱穀クラッチレバー17の移動操作を許容する状態で上部パネル36に形成された案内用挿通孔60を閉塞するシール部材65が備えられている。このシール部材65は、主変速レバー用のシール部材40や副変速レバー用のシール部材51と同様に、スポンジ(発泡材)等のように、弾性変形が可能で且つ空気の通過を阻止することが可能な材質にて構成されている。
【0063】
図15に示すように、脱穀クラッチレバー用のシール部材65は、脱穀クラッチレバー17の移動操作を許容するスリット66が形成された弾性変形自在な上下2つのシール単位体65A,65Bを、少なくともいずれかのシール単位体における操作位置に対応する箇所に開孔67を形成する状態で備えて構成され、且つ、開孔67が位置する箇所にその開孔67が形成されたシール単位体とは別のシール単位体のスリット66が位置する状態で2つのシール単位体65A,65Bを重ね合わせて構成されている。
【0064】
すなわち、
図16に示すように、上下2枚のシール単位体65A,65Bには、夫々、脱穀クラッチレバー17が上下方向に挿通するとともに前後方向の揺動移動操作を許容するスリット66が移動操作経路に沿う状態で形成されている。又、上側に位置する上側シール単位体65Aには、クラッチ入り位置に対応する箇所に、脱穀クラッチレバー17の横断面形状と略同じ円形状の開孔67が形成され、下側に位置する下側シール単位体65Bには、クラッチ切り位置に対応する箇所に、脱穀クラッチレバー17の横断面形状と略同じ円形状の開孔67が形成されている。
【0065】
そして、2つのシール単位体65A,65Bにおけるスリット66及び開孔67が形成される部分を除く外周部分同士を接着手段としての両面テープT(支持手段の一例)にて接着することにより、2つのシール単位体65A,65Bを重ね合わせて位置固定状態で支持するように構成されている。
【0066】
つまり、上部パネル36における案内用挿通孔60が形成された箇所に、下側のシール単位体65Bにおけるスリット66及び開孔67が形成される部分を除く外周部分68と、上部パネル36における案内用挿通孔60に対応する領域を除く外周部分69とを両面テープTにて接着させ、下側のシール単位体65Bと上側のシール単位体65Aとを、スリット66及び開孔67が形成される部分を除く外周部分68同士を両面テープTにて接着させるようにしている。
【0067】
このように両面テープTにて接着させることにより、各シール単位体65A,65Bのスリット66及び開孔67が形成される部分を除く外周部分68を補強することができ、脱穀クラッチレバー17の移動操作が繰り返し行われることによりスリット66が広がってしまうことを防止するようにしている。
【0068】
上記構成のシール部材65では、クラッチ入り位置とクラッチ切り位置との2つの操作位置のうち、脱穀クラッチレバー17が存在していない操作位置では、一方のシール単位体(65A又は65B)には開孔67が形成されるが、他方のシール単位体(65A又は65B)に形成されるスリット66は閉じた状態となっているので密閉性を確保することができる。
【0069】
脱穀クラッチレバー17が存在している操作位置では、一方のシール単位体(65A又は65B)にはスリット66において、例えば、
図15に示すような三角形状の隙間Sが形成されるが、クラッチ入り位置とクラッチ切り位置との2つの操作位置においては、いずれかのシール単位体(65A又は65B)に形成された開孔67に脱穀クラッチレバー17が入り込み、スリット66を左右方向に押し広げて隙間が発生することがなく密閉性を向上させることができる。
【0070】
刈取クラッチレバー16のシール構造については、脱穀クラッチレバー17のシール構造と同じであるから、説明は省略する。
【0071】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0072】
(1)上記実施形態では、脱穀クラッチレバー等の複数の操作位置にわたって移動操作自在に操作レバーに対するシール部材65として、次の(1−1)〜(1−4)に記載するように構成するものでもよい。
(1−1)
図17に示すように、同一構成のシール単位体65Cを互いに前後向きを反転させた状態で重ね合わせる構成とするものでもよい。このように構成すると作製工数を低減できる利点がある。
(1−2)
図18に示すように、操作レバーの各操作位置の夫々に開孔67を形成したシール単位体65Dと、スリット66のみを形成したシール単位体65Eとを重ね合わせる構成とするものでもよい。又、この場合、各シール単位体65D,65Eを上下逆にして重ね合わせる構成でもよい。
(1−3)操作レバーの複数の操作位置として3箇所以上の操作位置に移動操作する構成として、3箇所以上の各操作位置に夫々開孔67を形成する構成としてもよい。
(1−4)3個以上のシール単位体を重ね合わせる構成としてもよい。
【0073】
(2)主変速レバー14のシール構造として、次のように構成してもよい。
図19及び
図20に示すように、上記実施形態に記載した保持部材41と、案内部材45と、それらの隙間を形成するための隙間形成部材47とを備える点は上記実施形態と同じであるが、スポンジ等からなるシール部材40が備えられておらず、その代わりに、主変速レバー14がいずれの操作位置に操作されても、上部パネル36に形成された案内用挿通孔39を閉塞することができるように、レバー移動操作方向に沿って長尺に形成された第1スライド操作板70を備える構成である。
【0074】
この第1スライド操作板70は、ゴムや軟質の樹脂材等により構成されており、主変速レバー14の移動操作に伴って、上部パネル36の表面に沿って前後方向にスライド移動するように構成されている。そして、第1スライド操作板70には、主変速レバー14の左右方向の移動操作を許容する長孔71が形成されており、又、主変速レバー14には、一体的に移動する円形状の第2スライド操作板72が備えられ、この第2スライド操作板72により長孔71による開口部分を閉塞するようにしている。
【0075】
(3)副変速レバー15のシール構造として、次の(3−1)、(3−2)に記載するように構成してもよい。
(3−1)
図21に示すように、上記実施形態に記載したスポンジ等からなるシール部材51が備えられておらず、副変速レバー15に備えられるスライド操作板73が、副変速レバー15がいずれの操作位置に操作されても、上部パネル36に形成された案内用挿通孔50を閉塞することができるように、レバー移動操作方向に沿って長尺に形成される構成としてもよい。
【0076】
前記スライド操作板73は、ゴムや軟質の樹脂材等により構成されており、副変速レバー15の移動操作に伴って、上部パネル36の表面に沿って前後方向にスライド移動するように構成されている。
【0077】
(3−2)前記スライド操作板73を円弧状にスライドさせるのではなく、
図22〜
図24に示すように、スライド操作板73が、副変速レバー15が上下方向に貫通するとともに、左右両側を支持部材74によって浮き上がりを阻止しながら前後方向にスライド自在に支持されるものでもよい。
【0078】
(4)上記実施形態では、複数のシール単位体を重ね合わせた状態で位置固定状態で支持する支持手段として、接着手段としての両面テープTを用いるようにしたが、接着手段として接着剤を用いるようにしてもよく、又、接着手段に代えて、シール単位体の周縁部同士を挟み込み支持して位置固定状態で支持する構成等、種々の構成を用いることができる。
【0079】
(5)上記実施形態では、コンバインにおけるレバー操作部のシール構造について記載したが、本発明は、コンバインに限らず、トラクタや水田作業機等の各種の作業機のレバー操作部のシール構造に適用することができる。