【実施例】
【0031】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0032】
実施例1
内容積100Lのステンレス鋼製オートクレーブ中に、蒸留水60kg、パーフルオロオクタン酸アンモニウム2000gおよびリン酸二水素カリウム800gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素で置換し、次いで減圧した。そこに、
フッ化ビニリデン〔VdF〕 0.1kg
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 1.1kg
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔FMVE〕 1.3kg
パーフルオロ(3-オキサ-8-シアノ-1-オクテン)〔CPeVE〕 100g
を順次仕込み、60℃に昇温させた後、そこに過硫酸アンモニウム70gおよび亜硫酸ナトリウム15gを溶解させた5Lの水溶液として添加し、重合反応を開始させた。
【0033】
重合反応中、VdFを0.06kg/hr、TFEを1.2kg/hr、FMVEを1.2kg/hr、CPeVEを85g/hrの分添速度でそれぞれ添加し、その間のオートクレーブの圧力を0.75〜0.85MPaに保った。重合反応開始時から7時間後に分添を停止した後、オートクレーブを冷却し、残ガスをパージして、固形分濃度27重量%の水性ラテックスを76kg得た。得られた水性ラテックスを5重量%塩化マグネシウム水溶液76L中に加えて凝析させた後水洗し、80℃で70時間の乾燥を行って、白色のゴム状4元共重合体Aを17.0kg(収率83%)得た。
【0034】
このゴム状4元共重合体は、ムーニー粘度ML
1+10(121℃)が85で、赤外吸収スペクトルおよびNMR分析から、次のような組成であることが確認された。
VdF 4.9モル%
TFE 65.0モル%
FMVE 28.8モル%
CPeVE 1.3モル%
【0035】
実施例2
内容積100Lのステンレス鋼製オートクレーブ中に、蒸留水60kg、パーフルオロオクタン酸アンモニウム2000gおよびリン酸二水素カリウム800gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素で置換し、次いで減圧した。そこに、
フッ化ビニリデン〔VdF〕 0.1kg
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 1.1kg
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔FMVE〕 1.3kg
パーフルオロ(3,7-ジオキサ-8-シアノ-1-ノネン)〔CEPVE〕 150g
を順次仕込み、60℃に昇温させた後、そこに過硫酸アンモニウム70gおよび亜硫酸ナトリウム15gを溶解させた5Lの水溶液として添加し、重合反応を開始させた。
【0036】
重合反応中、VdFを0.06kg/hr、TFEを1.2kg/hr、FMVEを1.2kg/hr、CEPVEを120g/hrの分添速度でそれぞれ添加し、その間のオートクレーブの圧力を0.75〜0.85MPaに保った。重合反応開始時から7時間後に分添を停止した後、オートクレーブを冷却し、残ガスをパージして、固形分濃度26重量%の水性ラテックスを76kg得た。得られた水性ラテックスを5重量%塩化マグネシウム水溶液76L中に加えて凝析させた後水洗し、80℃で70時間の乾燥を行って、白色のゴム状4元共重合体Bを17.6kg(収率86%)得た。
【0037】
このゴム状4元共重合体は、ムーニー粘度ML
1+10(121℃)が88で、赤外吸収スペクトルおよびNMR分析から、次のような組成であることが確認された。
VdF 5.1モル%
TFE 64.6モル%
FMVE 28.7モル%
CEPVE 1.6モル%
【0038】
参考例
1
内容積100Lのステンレス鋼製オートクレーブ中に、蒸留水60kg、パーフルオロオクタン酸アンモニウム2000gおよびリン酸二水素カリウム800gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素で置換し、次いで減圧した。そこに、
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 1.2kg
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔FMVE〕 1.3kg
パーフルオロ(3-オキサ-8-シアノ-1-オクテン)〔CPeVE〕 100g
を順次仕込み、60℃に昇温させた後、そこに過硫酸アンモニウム70gおよび亜硫酸ナトリウム15gを溶解させた5Lの水溶液として添加し、重合反応を開始させた。
【0039】
重合反応中、TFEを1.3kg/hr、FMVEを1.2kg/hr、CPeVEを85g/hrの分添速度でそれぞれ添加し、その間のオートクレーブの圧力を0.75〜0.85MPaに保った。重合反応開始時から7時間後に分添を停止した後、オートクレーブを冷却し、残ガスをパージして、固形分濃度26重量%の水性ラテックスを81kg得た。得られた水性ラテックスを5重量%塩化マグネシウム水溶液81L中に加えて凝析させた後水洗し、80℃で70時間の乾燥を行って、白色のゴム状3元共重合体Cを17.9kg(収率87%)得た。
【0040】
このゴム状3元共重合体は、ムーニー粘度ML
1+10(121℃)が82で、赤外吸収スペクトルおよびNMR分析から、次のような組成であることが確認された。
TFE 68.8モル%
FMVE 29.9モル%
CPeVE 1.3モル%
【0041】
参考例
2
内容積100Lのステンレス鋼製オートクレーブ中に、蒸留水60kg、パーフルオロオクタン酸アンモニウム2000gおよびリン酸二水素カリウム800gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素で置換し、次いで減圧した。そこに、
フッ化ビニリデン〔VdF〕 0.15kg
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 1.0kg
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔FMVE〕 1.3kg
パーフルオロ(3,7-ジオキサ-8-シアノ-1-ノネン)〔CEPVE〕 150g
を順次仕込み、60℃に昇温させた後、そこに過硫酸アンモニウム70gおよび亜硫酸ナトリウム15gを溶解させた5Lの水溶液として添加し、重合反応を開始させた。
【0042】
重合反応中、VdFを0.12kg/hr、TFEを1.2kg/hr、FMVEを1.2kg/hr、CEPVEを120g/hrの分添速度でそれぞれ添加し、その間のオートクレーブの圧力を0.75〜0.85MPaに保った。重合反応開始時から7時間後に分添を停止した後、オートクレーブを冷却し、残ガスをパージして、固形分濃度26重量%の水性ラテックスを81kg得た。得られた水性ラテックスを5重量%塩化マグネシウム水溶液81L中に加えて凝析させた後水洗し、80℃で70時間の乾燥を行って、白色のゴム状4元共重合体Dを18.7kg(収率89%)得た。
【0043】
このゴム状4元共重合体は、ムーニー粘度ML
1+10(121℃)が95で、赤外吸収スペクトルおよびNMR分析から、次のような組成であることが確認された。
VdF 10.0モル%
TFE 58.6モル%
FMVE 29.8モル%
CEPVE 1.6モル%
【0044】
実施例
3
フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(メチルビニルエーテル)-パーフルオロ(3-オキサ-8-シアノ-1-オクテン)〔モル比4.9:65.0:28.8:1.3〕4元共重合体〔共重合体A〕100重量部に、前記ビスアミドキシム化合物(〔I〕;n=4)0.7重量部を加え、2本ロールミル上で30〜60℃の温度で混練した。混練物を190℃で15分間プレス加硫(一次加硫)した後、次の条件下でのオーブン加硫(二次加硫)を窒素ガス雰囲気下で行い、その後100℃で2時間保持した後室温迄降温した。
室温から90℃迄0.5時間かけて昇温
90℃で4時間
90℃から200℃迄6時間かけて昇温
200℃で22時間
200℃から250℃迄4時間かけて昇温
250℃で22時間
【0045】
実施例
4
実施例
3において、共重合体Aの代わりに、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(メチルビニルエーテル)-パーフルオロ(3,7-ジオキサ-8-シアノ-1-ノネン) [モル比 5.1:64.6:28.7:1.6]4元共重合体(共重合体B)が用いられ、前記ビスアミドキシム化合物(〔I〕;n=4)量が1.2重量部に変更して用いられた。
【0046】
実施例
3〜4で得られた4元共重合体について、次の各項目の測定を行った。
常態物性:JIS K-6253(硬度)
JIS K-6251(引張試験)
圧縮永久歪:ASTM Method B;P-24 Oリングについて、250℃、70時間の条件下で測
定
プラズマ照射試験(重量減少率):アルバック社製RBH3030使用
O
2:CF
4=容積比10:1の混合ガス
RF出力 1500W
照射時間 30時間
真空度0.15 Torr
粘着性試験:P24 Oリングを2枚の5cm角ステンレス板(SUS板)で挟み込み、25%圧縮
した状態で150℃に15時間加熱後、24時間室温条件下に冷却したもの
について、これら2枚のステンレス板を速さ100mm/分の速度で引っ張
ったときの最大荷重を測定
【0047】
比較例1
実施例
3において、共重合体Aの代りに、共重合単量体モル比TFE 68.8:FMVE 29.9:CPeVE 1.3の3元共重合体(共重合体C)が用いられ、同様の加硫および測定が行われた。
【0048】
比較例2
実施例
4において、共重合体Aの代りに、共重合単量体モル比VdF 10.0:TFE 58.6:FMVE 29.8:CEPVE 1.6の4元共重合体(共重合体D)が用いられ、同様の加硫および測定が行われた。
【0049】
以上の各実施例および比較例で得られた結果は、次の表に示される。
表
実施例 比較例
測定項目 3 4 1 2
硬度(Duro A) 63 60 65 57
引張試験
100%モジュラス(MPa) 2.2 1.7 2.5 1.3
破断強度 (MPa) 19.0 16.2 25.0 18.3
破断時伸び (%) 270 280 270 320
圧縮永久歪
250℃、70hrs (%) 23 23 17 48
プラズマ試験
重量減少率 (%) 1.5 1.6 0.3 4.3
粘着性試験
SUS板 (N) 170 175 520 140