(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シートクッションに対して起立位置と前倒れ位置との間で傾倒可能にされたシートバック内に設けられ、前記シートバックを起立位置に保持させるリクライニング機構に連結されると共に、作動されることで前記リクライニング機構による前記シートバックの保持を解除させるリクライニング解除レバーと、
前記シートバック内に設けられ、前記シートクッションを車体フロアに連結させる連結機構に連結されると共に、作動されることで前記連結機構による前記シートクッションと前記車体フロアとの連結を解除させる連結解除レバーと、
可撓性を有する長尺帯状のストラップを含んで構成され、一部が前記シートバックから露出された状態で前記シートバック内に移動可能に設けられると共に、前記リクライニング解除レバー及び前記連結解除レバーに結合され、操作されることで移動して前記リクライニング解除レバー及び前記連結解除レバーをこの順に作動させる操作部材と、
前記連結解除レバーに設けられ、前記ストラップの一端部に結合された第1結合部と、
前記リクライニング解除レバーに設けられ、前記ストラップの長手方向中間部に結合された第2結合部と、
前記ストラップにおける前記第1結合部と前記第2結合部との間の部分に設けられた余長部と、
を備えた車両用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この車両用シートでは、上述のようにシートバックの傾倒に連動してロック機構のロック状態が解除されるため、シートバックが前倒れ位置に傾倒された際には、常にロック機構がロック解除状態になる。これにより、この車両用シートでは、シートバックが前倒れ位置に傾倒された際にロック機構をストライカとロック可能な状態に戻すために、複雑なリンク機構を用いている。
【0005】
そこで、リクライニング機構のシートバックに対する保持状態を解除させる操作部材と、ロック機構のロック状態を解除させる操作部材と、を別々に設けることが考えられるが、この場合には、使用者が操作手順を意識して、リクライニング機構の保持状態を解除させてから、ロック機構によるロック状態を解除させる必要がある。また、使用者がそれぞれの操作部材を持ち替える必要がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、操作部材の操作によって、リクライニング機構の保持状態の解除、及び連結機構の連結状態の解除をこの順に連動させることができる車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車両用シートは、シートクッションに対して起立位置と前倒れ位置との間で傾倒可能にされたシートバック内に設けられ、前記シートバックを起立位置に保持させるリクライニング機構に連結されると共に、作動されることで前記リクライニング機構による前記シートバックの保持を解除させるリクライニング解除レバーと、前記シートバック内に設けられ、前記シートクッションを車体フロアに連結させる連結機構に連結されると共に、作動されることで前記連結機構による前記シートクッションと前記車体フロアとの連結を解除させる連結解除レバーと、
可撓性を有する長尺帯状のストラップを含んで構成され、一部が前記シートバックから露出された状態で前記シートバック内に移動可能に設けられると共に、前記リクライニング解除レバー及び前記連結解除レバーに結合され、操作されることで移動して前記リクライニング解除レバー及び前記連結解除レバーをこの順に作動させる操作部材と、
前記連結解除レバーに設けられ、前記ストラップの一端部に結合された第1結合部と、前記リクライニング解除レバーに設けられ、前記ストラップの長手方向中間部に結合された第2結合部と、前記ストラップにおける前記第1結合部と前記第2結合部との間の部分に設けられた余長部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の車両用シートでは、連結機構によってシートクッションが車体フロアに連結されている。また、シートバックはシートクッションに対して起立位置と前倒れ位置との間で傾倒可能にされており、シートバックはリクライニング機構によって起立位置に保持されている。
【0009】
このシートバック内には、リクライニング機構に連結されたリクライニング解除レバーと、連結機構に連結された連結解除レバーと、が設けられている。そして、リクライニング解除レバーが作動されることで、リクライニング機構のシートバックに対する保持が解除される。また、連結解除レバーが作動されることで、連結機構による車体フロアに対する連結が解除される。
【0010】
ここで、シートバック内には、操作部材が移動可能に設けられており、操作部材の一部がシートバックから露出されている。また、操作部材は、リクライニング解除レバー及び連結解除レバーに結合されており、操作部材が操作されると、操作部材が移動してリクライニング解除レバー及び連結解除レバーがこの順に作動される。すなわち、使用者が操作手順を意識することなく操作部材を操作することで、リクライニング機構によるシートバックに対する保持状態を解除させてから、連結機構による車体フロアに対する連結を解除できる。したがって、シートバックの傾倒によらずに、操作部材の操作によって、リクライニング機構の保持状態の解除、及び連結機構の連結状態の解除をこの順に連動させることができる。
【0012】
また、操作部材が、可撓性を有する長尺帯状のストラップを含んで構成されている。このストラップの一端部に、連結解除レバーの第1結合部が結合されると共に、ストラップの長手方向中間部に、リクライニング解除レバーの第2結合部が結合されている。
【0013】
ここで、ストラップにおける第1結合部と第2結合部との間の部分に余長部が設けられている。すなわち、リクライニング解除レバー及び連結解除レバーが作動される前では、ストラップは余長部の部位で弛んだ状態にされている。そして、例えば、ストラップの他端部が操作されると、ストラップにおける第2結合部が移動してリクライニング解除レバーが作動される。この状態では、ストラップは余長部の部位で弛んだ状態にされているため、連結解除レバーが作動されない。そして、ストラップの他端部がさらに操作されて、第2結合部の移動によってストラップにおける余長部の弛みが解消されると、連結解除レバーが作動される。このように、ストラップに余長部を設けることで、リクライニング解除レバー及び連結解除レバーの各々の作動開始タイミングを容易に設定できる。したがって、リクライニング機構の保持状態の解除、及び連結機構の連結状態の解除を簡易な構成で連動させることができる。
【0014】
請求項
2に記載の車両用シートは、請求項
1に記載の車両用シートにおいて、前記ストラップがシートバック上下方向に延在されている。
【0015】
請求項
2に記載の車両用シートでは、ストラップがシートバック上下方向に延在されているため、ストラップをシートバック内に配置するためのスペースを小さくできる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の車両用シートによれば、操作部材の操作によって、リクライニング機構の保持状態の解除、及び連結機構の連結状態の解除をこの順に連動させることができる。
【0017】
また、リクライニング機構の保持状態の解除、及び連結機構の連結状態の解除を簡易な構成で連動させることができる。
【0018】
請求項
2に記載の車両用シートによれば、ストラップをシートバック内に効率よく配置できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2には、本発明の実施の形態に係る「車両用シート」としてのリヤシート10の全体が車両左斜め後方から見た斜視図にて示されている。なお、図面に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印RHは車両右方(車両幅方向一側)を示し、矢印UPは上方を示す。
【0021】
この図に示されるように、リヤシート10は、乗員が着座するシートクッション12と、乗員の背部を支えるシートバック30と、を含んで構成されて、車両の車室内における2列目又は3列目に配置されている。また、このリヤシート10は、車両幅方向に一対設けられており、車両右側に配置されたリヤシート10と、車両左側に配置されたリヤシート10では、同様に構成されているため、車両右側に配置されたリヤシート10について説明する。
【0022】
シートクッション12は、リヤシート10の下部を構成している。
図3に示されるように、シートクッション12の内部には、シートクッション12の骨格を構成するシートクッションフレーム14が設けられている。
【0023】
シートクッションフレーム14の車両前側部には、連結機構20が設けられており、連結機構20は、ロックアーム22を含んで構成されている。このロックアーム22は、車体フロアFに設けられたストライカ24に係合されており、これにより、シートクッション12が車体フロアFに連結されている。また、ロックアーム22には、図示しないアーム側付勢バネが係止されており、このアーム側付勢バネの付勢力によってロックアーム22がストライカ24に係合される方向に付勢されている。さらに、ロックアーム22は、後述するワイヤ60を介して後述するフロアロック解除レバー56と連結されており、フロアロック解除レバー56が作動されることで、ロックアーム22とストライカ24との係合が解除されるように構成されている。
【0024】
また、
図2に示されるように、シートクッションフレーム14の車両後側部分には、脚部26が設けられており、脚部26はシートクッションフレーム14から下方へ延設されている。この脚部26の基端部は、軸方向を車両幅方向としてシートクッションフレーム14に回転可能に連結されており、脚部26の先端部は、軸方向を車両幅方向として車体フロアFに回転可能に連結されている。そして、前述したロックアーム22とストライカ24との係合が解除された状態では、シートクッション12が脚部26の先端部を中心にして車両後側へ回動可能に構成されている(
図9参照)。
【0025】
図3に示されるように、シートバック30は、シートバックフレーム32と、連結解除機構50と、リクライニング解除機構62と、作動タイミング調整機構80と、を含んで構成されている。
【0026】
シートバックフレーム32は、一対のシートバックサイドフレーム(以下、「SBサイドフレーム」という)34を有しており、SBサイドフレーム34はシートバックフレーム32の車両幅方向両側部に配置されている。このSBサイドフレーム34は、板金により製作されて、板厚方向を車両幅方向にして配置されている。また、車両左側に配置されたSBサイドフレーム34の下端部は、軸方向を車両幅方向にしてシートクッションフレーム14に回動可能に連結されており、車両右側に配置されたSBサイドフレーム34の下端部は、リクライニング機構36を介して軸方向を車両幅方向にしてシートクッションフレーム14に回転可能に連結されている。そして、リクライニング機構36によって、シートバックフレーム32がシートクッションフレーム14に対して上方に起立した状態に保持されている(この位置を「起立位置」といい、起立位置ではシートバック上下方向が車両上下方向に一致されている)。
【0027】
また、リクライニング機構36は、操作レバー(図示省略)を備えており、操作レバーが初期位置から操作されると、リクライニング機構36によるシートバックフレーム32に対する保持が解除されて、シートバックフレーム32(シートバック30)がシートクッション12に対して前倒しされた位置に傾倒されるように構成されている(
図8に示される状態であり、この位置を「前倒れ位置」という)。なお、この操作レバーには、レバー側付勢バネ(図示省略)が係止されており、このレバー側付勢バネの付勢力によって操作レバーが初期位置側へ付勢されている。
【0028】
一対のSBサイドフレーム34の上部には、アッパーパイプ38が設けられており、アッパーパイプ38は、車両前側から見て下方に開放された略逆U字形状に屈曲されている。そして、アッパーパイプ38の長手方向両端部が、SBサイドフレーム34の上端部に結合されている。
【0029】
また、アッパーパイプ38の車両後方には、パネル40が設けられており、パネル40は、略矩形板状に形成されて、板厚方向を車両前後方向としてSBサイドフレーム34及びアッパーパイプ38に結合されている。
【0030】
このパネル40の外周部には、下部において、後述するストラップ102が通過される開口部44が形成されており、開口部44は車両前側から見て下方へ開放されている。
【0031】
また、パネル40の下部における車両前側には、ロアパイプ46が車両幅方向に沿って延在されており、ロアパイプ46の車両幅方向両端部がパネル40に結合されている。
【0032】
図1に示されるように、連結解除機構50は、取付ブラケット52と、「連結解除レバー」としてのフロアロック解除レバー(以下、「FR解除レバー」という)56と、を含んで構成されている。
【0033】
取付ブラケット52は、側面視で車両後側へ開放された断面略U字形板状に形成されている。そして、取付ブラケット52は、パネル40の車両右下部の前面に固定されており、取付ブラケット52の底壁がパネル40と略平行に配置されている。この取付ブラケット52の底壁には、後述するFR解除レバー56を支持するための支持部54が形成されており、支持部54は車両後側へ突出されている。
【0034】
FR解除レバー56は、略長尺板状に形成されて、取付ブラケット52の底壁とパネル40との間に配置されている。そして、FR解除レバー56の長手方向中間部が、取付ブラケット52の支持部54において、軸方向を車両前後方向にして支持ピン55によって取付ブラケット52に回転可能に支持されている。
【0035】
また、FR解除レバー56の長手方向一端部には、「第1結合部」としての第1連結ピン58が一体に設けられており、第1連結ピン58は、略円柱状に形成されて、軸方向を車両前後方向にして、FR解除レバー56から車両前側へ突出されている。
【0036】
さらに、FR解除レバー56の長手方向他端部には、ワイヤ60の一端部が係止されており、ワイヤ60の他端部は、前述した連結機構20のロックアーム22に係止されている。これにより、ワイヤ60によって連結機構20とFR解除レバー56とが連結されている。そして、FR解除レバー56が、
図5の実線で示される初期位置から反時計回りに作動されることで、連結機構20のロックアーム22がアーム側付勢バネの付勢力に抗して作動されて、ロックアーム22とストライカ24との係合が解除されるように構成されている。
【0037】
図1に示されるように、リクライニング解除機構62は、リクライニング解除レバー(以下、「RCL解除レバー」という)64と、ロッド68と、ガイドプレート72と、を含んで構成されている。
【0038】
RCL解除レバー64は、略長尺板状に形成されて、FR解除レバー56の上側に配置されている。そして、RCL解除レバー64は、ガイドプレート72を介して軸方向を車両前後方向にして支持ピン65によってパネル40に回転可能に支持されている。
【0039】
また、RCL解除レバー64の長手方向一端部には、「第2結合部」としての第2連結ピン66が一体に設けられており、第2連結ピン66は、略円柱状に形成されて、軸方向を車両前後方向にして、RCL解除レバー64から車両前側に突出されている。そして、RCL解除レバー64及びFR解除レバー56が初期位置に配置された状態では、第2連結ピン66と第1連結ピン58とが上下方向に沿って配置されている。
【0040】
ロッド68は、略丸棒状に形成されて、RCL解除レバー64の車両前側の位置で上下方向に延在されている。このロッド68の上端部は、RCL解除レバー64の支持ピン65と第2連結ピン66との間の部分に係止されている。また、ロッド68の下端部には、図示しない連結ワイヤの一端部が係止されており、この連結ワイヤの他端部は、前述したリクライニング機構36に連結されている。これにより、連結ワイヤによってリクライニング機構36とRCL解除レバー64とが連結されている。そして、RCL解除レバー64が、
図5の実線で示される初期位置から反時計回りに作動されることで、リクライニング機構36の操作レバーが作動されて、リクライニング機構36によるシートバック30に対する保持が解除されて、シートバック30が起立位置から前倒し位置へ傾倒されるように構成されている。
【0041】
図1に示されるように、ガイドプレート72は、略矩形板状に形成されて、取付ブラケット52の上側でパネル40に結合されている。ガイドプレート72には、ガイド孔72Aが形成されている。このガイド孔72Aは、支持ピン65を中心とした円弧状に形成されており、ガイド孔72A内にRCL解除レバー64に設けられたガイドピン74が挿入されている。
【0042】
次に、本発明の要部である作動タイミング調整機構80について説明する。作動タイミング調整機構80は、アッパローラユニット82と、ロアローラユニット92と、「操作部材」としてのストラップ102と、を含んで構成されている。
【0043】
図1に示されるように、アッパローラユニット82は、シートバックフレーム32のパネル40の車両前側かつRCL解除レバー64の第2連結ピン66の上方に配置されている。
図5にも示されるように、アッパローラユニット82は、アッパローラブラケット84を有している。このアッパローラブラケット84は車両上方から見た平面視で車両後側へ開放された断面U字形板状に形成されており、アッパローラブラケット84の開放端部にはフランジ部が一体形成されている。そして、アッパローラブラケット84は、このフランジ部の位置において、パネル40に固定されている。
【0044】
アッパローラブラケット84内には、アッパローラ86が設けられている。このアッパローラ86は、略円筒状に形成されて、軸方向を車両幅方向にした第1軸部88を介してアッパローラブラケット84に回転可能に支持されている(
図1では、第1軸部88は図示省略されている)。また、アッパローラ86の軸方向両端部には、一対の第1フランジ部90が形成されており、第1フランジ部90は、略円環状に形成されて、アッパローラ86の外周部からアッパローラ86の径方向外側へ突出されている。
【0045】
ロアローラユニット92は、アッパローラユニット82の下方に配置されている。このロアローラユニット92は、ロアローラブラケット94を有しており、ロアローラブラケット94は、車両前側から見て上側へ開放された断面略U字形板状に形成されており、ロアローラブラケット94のシート前側部分がシートバックフレーム32のロアパイプ46に結合されている(
図1参照)。
【0046】
このロアローラブラケット94内には、ロアローラ96が設けられている。このロアローラ96は、略円筒状に形成されて、軸方向を車両幅方向にした第2軸部98を介してロアローラブラケット94に回転可能に支持されている(
図1では、第2軸部98は図示省略されている)。すなわち、ロアローラ96とアッパローラ86とは平行に配置されている。また、ロアローラ96の軸方向両端部には、一対の第2フランジ部100が形成されており、第2フランジ部100は、略円環状に形成されて、ロアローラ96の外周部からロアローラ96の径方向外側へ突出されている。
【0047】
図1及び
図4に示されるように、ストラップ102は、可撓性を有する略長尺帯状に形成されており、長手方向を上下方向にしてパネル40の車両前側に配置されている。このストラップ102の長手方向一端部には、FR解除レバー56の第1連結ピン58が回転可能に連結されている。そして、ストラップ102は、この一端部から上方へ延びてアッパローラ86の外周部に巻き回されて、アッパローラ86から下方へ延びている。さらに、アッパローラ86から下方へ延びたストラップ102は、ロアローラ96の外周部に巻き回されて、ロアローラ96から車両後側へ延びている。そして、ストラップ102の長手方向他端部がシートバック30の背面から露出されている(
図2参照)。
【0048】
また、
図2に示されるように、ストラップ102の長手方向他端部には、操作部104が一体に設けられている。これにより、操作部104が車両後側へ引張操作されると、ストラップ102が、第1フランジ部90及び第2フランジ部100によってガイドされつつ上下方向へ移動されると共に、アッパローラ86及びロアローラ96がそれぞれ回転されるようになっている。
【0049】
また、
図1及び
図4に示されるように、ストラップ102の長手方向中間部には、RCL解除レバー64の第2連結ピン66が回転可能に連結されている。また、ストラップ102における第1連結ピン58と第2連結ピン66との間の部分には余長部106が設けられており、ストラップ102が余長部106の部位で弛んだ状態にされている。
【0050】
さらに、第1連結ピン58と第2連結ピン66との間には、略帯状の帯状ゴム108(広義には、「弾性部材」として把握される要素である)が設けられている。この帯状ゴム108の長手方向両端部は、ストラップ102における第1連結ピン58と第2連結ピン66との結合部分に固着されており、この状態では、帯状ゴム108が自然状態(帯状ゴム108に張力が作用していない状態)にされている。さらに、帯状ゴム108の付勢力は、ロックアーム22を付勢するアーム側付勢バネの付勢力に比して低く設定されている。
【0051】
次に本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0052】
上記のように構成されたリヤシート10では、シートバック30内にストラップ102が移動可能に設けられており、ストラップ102の長手方向他端部(操作部104)がシートバック30の背面から露出されている。
【0053】
そして、ストラップ102の操作部104が車両後側へ引張操作されると、ストラップ102が、シートバック30から引出されると共に、ロアローラ96及びアッパローラ86によってガイドされて、シートバック30内を上下方向に移動される。すなわち、ストラップ102における第2連結ピン66との結合部位が上方へ移動されて、RCL解除レバー64が初期位置から反時計回りに作動される。
【0054】
この状態では、ストラップ102は余長部106の部位で弛んだ状態にされているため、FR解除レバー56は作動されていない。一方、ストラップ102における第2連結ピン66との結合部位が上方へ移動されることで、帯状ゴム108が自然状態から上下方向に伸張され始める。
【0055】
RCL解除レバー64の作動が開始されると、RCL解除レバー64に係止されたロッド68が上方へ移動されて、ロッド68に係止された連結ワイヤの一端部が引っ張られる。これにより、リクライニング機構36の操作レバーの作動が開始される。
【0056】
そして、ストラップ102の操作部104が車両後側へさらに引張操作されて、ストラップ102の余長部106における弛みが解消されると(RCL解除レバー64が
図5に示されるP1位置に到達すると)、ストラップ102の操作部104の車両後側への引張操作によって、ストラップ102における第1連結ピン58及び第2連結ピン66との結合部位が上方へ移動される。これにより、FR解除レバー56が初期位置から反時計回りに作動される。
【0057】
FR解除レバー56の作動が開始されると、FR解除レバー56に係止されたワイヤ60の一端部が引っ張られて、連結機構20のロックアーム22の作動が開始される。
【0058】
この状態からストラップ102の操作部104が車両後側へさらに引張操作されて、RCL解除レバー64が
図6に示される位置(
図5のP2位置)に到達すると、リクライニング機構36によるシートバック30に対する保持状態が解除される。これにより、シートバック30がシートクッション12に対して前倒れ位置へ傾倒可能な状態にされる。
【0059】
この状態からストラップ102の操作部104が車両後側へさらに引張操作されて、RCL解除レバー64が
図7に示される位置(
図5のP3位置)に到達すると、連結機構20によるロックアーム22のストライカ24に対する係合状態が解除される。これにより、シートバック30を前倒し位置へ傾倒させると共に、シートクッション12を車両後側へ後傾させることで、リヤシート10を車体フロアFに格納できる。
【0060】
一方、RCL解除レバー64が
図5に示されるP3位置に到達した後に、ストラップ102の操作部104に対する車両後側への引張操作を止めると、レバー側付勢バネの付勢力及びアーム側付勢バネの付勢力によって、RCL解除レバー64及びFR解除レバー56が初期位置に復帰される。この際には、帯状ゴム108の付勢力によって、RCL解除レバー64が確実に初期位置に復帰される。
【0061】
以上説明したように、RCL解除レバー64及びFR解除レバー56に連結(結合)されたストラップ102が車両後側へ引張操作されることで、ストラップ102がシートバック30内を移動してRCL解除レバー64が作動される。また、ストラップ102がさらに引張操作されると、ストラップ102がさらに移動してRCL解除レバー64の作動後にFR解除レバー56が作動される。すなわち、使用者が操作手順を意識することなく、リクライニング機構36によるシートバック30に対する保持状態を解除させてから、連結機構20による車体フロアに対する連結を解除させることができる。これにより、シートバック30の傾倒によらずに、ストラップ102の引張操作によって、リクライニング機構36の保持状態の解除、及び連結機構20の連結状態の解除をこの順で連動させることができる。
【0062】
また、上述したように、リヤシート10では、可撓性を有する長尺帯状のストラップが引張操作されるように構成されている。そして、ストラップ102における第1連結ピン58と第2連結ピン66との間の部分には余長部106が設けられており、ストラップ102が余長部106の部位で弛んだ状態にされている。
【0063】
このため、ストラップ102に余長部106を設けることで、RCL解除レバー64及びFR解除レバー56の各々の作動開始タイミングを容易に設定できる。したがって、リクライニング機構36の保持状態の解除、及び連結機構20の連結状態の解除を簡易な構成で連動させることができる。
【0064】
さらに、ストラップ102は可撓性を有する長尺帯状に形成されているため、RCL解除レバー64及びFR解除レバー56が作動する際に、RCL解除レバー64及びFR解除レバー56が回転されても、ストラップ102をRCL解除レバー64及びFR解除レバー56の回転軌跡に容易に追従させることができる。
【0065】
また、ストラップ102はシートバック30内に上下方向に延在されている。このため、ストラップ102をシートバック30内に配置するためのスペースを小さくでき、ストラップ102をシートバック30内に効率よく配置できる。
【0066】
さらに、第1連結ピン58と第2連結ピン66との間には、帯状ゴム108が設けられている。これにより、FR解除レバー56及びRCL解除レバー64の初期位置において、ストラップ102が余長部106の部位で弛んだ状態にされていても、FR解除レバー56及びRCL解除レバー64のがたつきを帯状ゴム108によって抑制できる。
【0067】
なお、本実施の形態では、本発明の「操作部材」としてのストラップ102が一部材で構成されている。これに替えて、
図10に示されるように、本発明の「操作部材」をストラップ102と連結プレート110との2部材で構成してもよい。つまり、連結プレート110を長尺板状に形成すると共に、連結プレート110の上部に長孔112を形成する。そして、ストラップ102の長手方向一端部に第2連結ピン66を連結させると共に、第2連結ピン66を長孔112の下端部に挿入する。これにより、連結プレート110の上部が余長部106とされる。
【0068】
これにより、RCL解除レバー64が上側へ移動する際には、第2連結ピン66が長孔112の下端部から上側へ移動するため、連結プレート110が移動されない。そして、第2連結ピン66が長孔112の上端部に到達することで、連結プレート110が上側へ移動されてFR解除レバー56が作動される。これにより、RCL解除レバー64とFR解除レバー56との作動タイミングをずらすことができる。
【0069】
また、本実施の形態では、シートクッション12が脚部26によって車両後側へ後傾されるように構成されている。これに替えて、例えば、シートクッション12を車両の側壁側に跳ね上げられるように軸支してもよい。