(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アプリケーション識別手段は、アプリケーションプログラムに代えて、ポート番号又は通信プロトコルの種別を識別することを特徴とする請求項2に記載の通信端末。
【背景技術】
【0002】
通信品質は、通信環境の影響を受けやすく、特に無線品質は、通信端末−基地局間の遮蔽物の介在や移動状態によって変化する。従来、無線品質が劣化しているエリアを特定するために、調査員が電波品質測定装置を所持し、通信テストを実行する技術がある(例えば特許文献1参照)。電波品質測定装置は、例えば、カーナビゲーションシステム及び携帯電話機に接続される車載型汎用パーソナルコンピュータであってもよい。調査員がそのディスプレイの地図上にプロットすることによって、その位置情報と電波品質測定値とを対応付けることができる。また、調査員を必要とせず、遠隔地のデータ収集センタからの測定要求メッセージによって、自動的に無線品質値を測定する技術もある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、携帯電話機及びGPS(Global Positioning System)を接続した専用の電波品質測定装置を用いる。
【0003】
無線品質情報を収集する用途について、専用の測定装置(例えば特許文献1)を用いることなく、簡便性及び汎用性の観点から、既存の携帯電話機を用いることも好ましい(例えば特許文献2〜8参照)。
【0004】
従来、携帯電話機を用いて無線品質を測定すると共に、その携帯電話機に内蔵されたGPS機能を用いて測位する技術がある(例えば特許文献2参照)。そして、その無線品質値及び位置情報を、所定のサーバへアップロードする。
【0005】
また、異常通信状態を検出した際に、その位置情報を取得し且つ記憶し、正常通信状態に移行した際に、所定のサーバにその位置情報を送信する技術がある(例えば特許文献3参照)。
【0006】
更に、GPS機能を有する携帯通信端末を搭載した車両(例えば一般の路線バスやタクシー等)を走行させる技術がある(例えば特許文献4参照)。当該携帯通信端末は、基地局のサービスエリアから外れたことを検出した際に、GPS機能によって位置情報を取得し且つ記憶する。その後、携帯通信端末は、再び、基地局のサービスエリアに進入したことを検出した際に、記憶していた位置情報を、ネットワークを介して所定のサーバへ送信する。これによって、そのサーバを運用する通信事業者は、無線品質が劣化している箇所の位置情報を収集することができる。
【0007】
更に、サービスエリア内の必要箇所に、無線品質情報を収集するための携帯通信端末を設置する技術がある(例えば特許文献5参照)。この技術によれば、携帯通信端末は、ネットワークを介してパーソナルコンピュータへ、定期的又は随時、その無線品質情報を送信する。パーソナルコンピュータは、携帯通信端末の位置情報に応じた無線品質情報を、エリア状態表示装置へ送信する。これにより、エリア状態表示装置は、エリアに応じて通信品質状態を表示することができる。
【0008】
更に、携帯通信端末が、異なる複数の無線通信システムの電波エリア状態情報を、位置情報と共に、ネットワークを介してサーバへ送信する技術もある(例えば特許文献6参照)。この技術によれば、携帯通信端末は、GPS機能を搭載しており、その位置情報を測定する。これにより、サーバを運用する通信事業者は、携帯通信端末の位置に応じて、最適な無線通信システムを知ることができる。
【0009】
更に、通信システムの種類に応じて、取得すべき無線品質の範囲を変更し、携帯電話機による情報送信数/量及びネットワーク負荷を減らす技術がある(例えば特許文献7参照)。この技術によれば、取得した無線品質の範囲が所定範囲内であった場合にのみ、GPS機能で測位し、その位置情報及び無線品質情報を、所定のサーバへアップロードする。
【0010】
更に、GPS衛星からの測位電波を受信しにくい屋内について無線品質の取得した後、セルラ通信品質の振る舞いから屋外へ出たことを推定する技術がある(例えば特許文献8参照)。この技術によれば、屋外へ出たと推定された際に、GPS機能における測位を開始し、その位置情報と、屋内で取得した無線品質情報とを対応付けて記憶する。
【0011】
更に、ユーザの体感品質を推定する技術もある(例えば特許文献9参照)。この技術によれば、パケットの転送品質を含む通信網における品質管理情報に基づいて、例えばMOS(Mean Opinion Score)値を算出し、MOS平均値が所定の閾値を下回るとユーザの体感品質が低下したと判定する。MOS値とは、相対的な主観品質から基準を決定するために、被験者が感じる5段階評価品質の平均を取る評価方法である。
【0012】
更に、通信端末内でユーザの体感品質を推定する技術もある(例えば特許文献10参照)。この技術によれば、例えばTCP(Transmission Control Protocol)のRST(Reset)パケットのように、ユーザ操作に起因する特定のパケットの有無によって、体感品質の低下が推定される。これは、通信品質の劣化が発生した際に、ユーザ自らが当該通信セッションを強制終了させるという事象に基づく。その際に、通信端末から送信されるTCP
RSTパケットを監視するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述した特許文献1〜6に記載の技術によれば、位置に基づく電波品質情報を取得することができ、無線品質の劣化エリアを発見することができる。一方で、電波品質情報の取得や無線品質の劣化エリアの発見は、それら自体が目的ではなく、「通話状態の改善を図る」ためのエリア設計に利用されるものである(例えば特許文献1[0002]参照)。つまり、無線品質の劣化エリアを抽出することによって、基地局設置のエリア設計を改善することができ、結果的に、無線端末を操作するユーザにおける通信の不満をできる限り解消することができる。
【0015】
ここで、「無線品質情報」とは、特許文献5又は特許文献7によれば、RSCP(Received Signal Code Power;希望波受信電力)やEc/No(接続局のRSCPと全受信電力の比)、再送回数、データ誤り率、RSS(Received Signal Strength:受信信号強度)、C/I(干渉波比)、Ec/Io(隣接基地局送信レベル対現行基地局送信レベル)などである。また、特許文献9に記載の「品質管理情報」は、パケットの転送品質であり、例えば往復遅延時間である。
【0016】
しかしながら、ユーザの通信体感品質は、無線品質値やパケットの転送品質値によって決まるものではなく、普段の通信環境に対する現在の通信環境によって左右されるものである。つまり、ユーザの不満度の解消及び利便性向上のために無線品質情報を取得しているのにも拘わらず、所定の通信品質閾値によって、ユーザの満足度が満足/不満とに明確に分かれるわけではない。
【0017】
図1は、通信端末を用いるユーザの主観品質を表す説明図である。
【0018】
図1によれば、例えば、ユーザAは、通信品質が悪い地域の自宅から、通信品質が高い地域の職場へ通勤している。この場合、ユーザAは、職場の通信品質に比べて自宅の通信品質が悪いと感じやすく、自宅での通信品質に不満を感じる場合が多い。一方で、例えば、ユーザAの隣に住んでいるユーザB(自宅の通信品質はユーザAと同じ)は、自宅近くの職場へ通勤している。この場合、ユーザBは、職場の通信品質と自宅の通信品質とに変化が無く、通信品質が悪い地域に常に滞在しているにも拘わらず、自宅での通信品質に不満を感じない場合が多い。
【0019】
このように、ユーザが体感する通信品質に対するの捉え方は相対的であるといる。このような場合、体感通信品質に関するMOS値を利用することもできるが、ユーザA及びBの自宅地域について、通信品質に対してユーザBと同様の体感を持っているユーザが多い場合、ユーザAにおける自宅での通信品質の不満を捉えることはできない。
【0020】
この点、特許文献10に記載された技術によれば、ユーザによる当該通信セッション(利用アプリケーション)の強制終了事象を通信体感品質の低下と捉えており、所定の通信品質閾値による判定はしていない。しかしながら、ユーザにとって、通信品質の劣化が原因となって、使用中のアプリケーションを強制終了する場合とは、使用に耐えられないほど品質が劣化しているときである。即ち、ユーザにとって、不満があるものの、我慢して使い続ける事象を捉えることはできない。
【0021】
例えば、ユーザが、駅に向かう途中で乗換案内アプリケーションを用いて乗車時間や乗換経路を検索する場合、全く通信ができない状態であれば、当該アプリケーションを当然に終了するであろう。しかしながら、通常よりも情報取得速度が遅い場合などは、不満には思うものの、その時点で必要情報を取得するまでは、当該アプリケーションを利用し続ける場合もある。また、アプリケーションの強制終了(データの送受信が完了していない状態での終了)をトリガとした場合、通信品質の劣化が要因ではなく、例えば単に待ち合わせ中の暇つぶしに通信をしていて、相手が到着したためアプリケーションを終了する場合なども、通信品質の劣化が要因と判断されてしまうこととなる。
【0022】
いずれにしても、従来技術によれば、統一的な所定基準を以て通信品質の劣化を推定していたため、ユーザ毎に異なる主観的な品質を推定するのは困難である。
【0023】
そこで、本発明は、ユーザの通信利用状況に応じた通信品質判定条件を適用することによって、ユーザ毎に異なる主観的な通信品質の劣化を判定する通信端末、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、通信品質の劣化を判定する通信端末であって、
使用中の通信インタフェースを識別する通信インタフェース識別手段と、
使用中の通信インタフェースについて、所定の通信開始時点から所定の時間範囲における単位時間毎のトラフィック転送品質を観測するトラフィック転送品質観測手段と、
通信インタフェース種別毎に、過去のトラフィック転送品質に基づくトラフィック基準転送品質を算出するトラフィック基準転送品質更新手段と、
通信インタフェース種別毎に、トラフィック基準転送品質更新手段から出力されたトラフィック基準転送品質を記憶するトラフィック基準転送品質記憶手段と、
現に観測されたトラフィック転送品質が、当該通信インタフェースにおけるトラフィック基準転送品質よりも低くなったか否かを判定する第1の通信品質劣化判定手段と、
第1の通信品質劣化判定手段によって真と判定された際に、当該通信インタフェースにおける通信品質が劣化した旨の情報を記録する通信品質判定記憶手段と
を有し、
トラフィック基準転送品質更新手段は、更に、当該通信インタフェースについて、現に観測されたトラフィック転送品質を過去のトラフィック転送品質に合わせて、当該トラフィック基準転送品質を更新する
ことを特徴とする。
【0025】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
ユーザによって現在使用中のアプリケーションプログラムを識別するアプリケーション識別手段を更に有し、
使用中の通信インタフェース種別と、使用中のアプリケーションプログラム種別との組み合わせ毎に、トラフィック基準転送品質記憶手段、第1の通信品質劣化判定手段、通信品質判定記憶手段及びトラフィック基準転送品質更新手段は機能することも好ましい。
【0026】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
アプリケーション識別手段は、アプリケーションプログラムに代えて、ポート番号又は通信プロトコルの種別を識別することも好ましい。
【0027】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
通信インタフェース種別毎に、1つ以上の通信品質種別の通信品質値を観測する通信品質観測手段と、
通信品質種別毎に、通信品質基準値を予め記憶した通信品質基準値記憶手段と、
第1の通信品質劣化判定手段によって真と判定された際に、現に観測された通信品質値毎に、通信品質基準値記憶手段の当該通信品質種別の通信品質基準値よりも低くなったか否かを判定する第2の通信品質劣化判定手段と
を有し、
通信品質判定記憶手段は、通信インタフェース種別毎に、第2の品質劣化判定手段によって真と判定された際に、当該通信品質種別及び当該通信品質値も記憶する
ことも好ましい。
【0028】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
トラフィック転送品質観測手段は、単位時間毎
のタイムウィンドウにおけるトラフィック転送品質を以下の式で表したトラフィック転送品質t
wを出力し、
t
w=(s
w×r
w+t
w−1)/T
w
s
w:一方向のトラフィック量
r
w:逆方向のパケット数に対する一方向のパケット数の比率
(=一方向のパケット数/逆方向のパケット数)
T
w:通信開始時点からの経過時間
t
w−1:1つ前のタイムウィンドウにおけるトラフィック転送品質
w=1の場合は、t
w−1の項は無し
トラフィック基準転送品質更新手段は、トラフィック基準転送品質を、タイムウィンドウ毎に過去n回のトラフィック転送品質t
1w〜t
nwの所定統計量(平均値又は中央値)を基準として、当該トラフィック基準転送品質を当該統計量よりも所定条件だけ下値に設定することも好ましい。
【0029】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
トラフィック基準転送品質更新手段は、トラフィック基準転送品質を、タイムウィンドウw毎に過去n回のトラフィック転送品質t
1w〜t
nwの平均値X
nw及び不偏分散(μ
nw)
2から、以下の式を用いた予測区間の下限値に設定する
トラフィック基準転送品質(下限値)=X
nw−t×sqrt(μ
nw2(1+1/n))
n:トラフィック値の個数
t:t分布表から得られるt値
ことも好ましい。
【0030】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
トラフィック転送品質tとして、下りリンクのトラフィック転送品質d
w及び上りリンクのトラフィック転送品質u
wの両方を用いて、
第1の通信品質劣化判定手段は、
トラフィック基準
転送品質記憶手段によって所定数以上の下りリンクのトラフィック転送品質d
w及び上りリンクのトラフィック転送品質u
wを記録できるまで(学習フェーズ)は判定せず、
トラフィック基準
転送品質記憶手段によって所定数以上の下りリンクのトラフィック転送品質d
w及び上りリンクのトラフィック転送品質u
wを記録された後(運用フェーズ)は、トラフィック転送品質d
w及びu
wそれぞれの平均値を比較し、当該値が大きい方のトラフィック転送品質を用いることも好ましい。
【0031】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
トラフィック基準転送品質更新手段は、タイムウィンドウw毎に過去n回のトラフィック転送品質t
wをクラスタリング(統計分類)し、各クラスタにおける平均値又は上下限値をトラフィック基準転送品質記憶手段へ出力し、
第1の通信品質劣化判定手段は、現に観測されたトラフィック転送品質t
wが、複数のクラスタの中で、トラフィック転送品質の平均値が最も小さいクラスタに属すると判定された場合、通信品質が劣化したものと判定することも好ましい。
【0032】
本発明の通信端末における他の実施形態によれば、
トラフィック基準転送品質更新手段は、過去のトラフィック転送品質t
wから次回のトラフィック転送品質t
wを予測し、当該予測値をトラフィック基準転送品質記憶手段へ出力し、
第1の通信品質劣化判定手段は、現に観測されたトラフィック転送品質t
wが、トラフィック基準転送品質記憶手段に記憶された予測値よりも低いと判定された場合、通信品質が劣化したものと判定することも好ましい。
【0033】
本発明によれば、通信端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
使用中の通信インタフェースを識別する通信インタフェース識別手段と、
使用中の通信インタフェースについて、所定の通信開始時点から所定の時間範囲における単位時間毎のトラフィック転送品質を観測するトラフィック転送品質観測手段と、
通信インタフェース種別毎に、過去のトラフィック転送品質に基づくトラフィック基準転送品質を算出するトラフィック基準転送品質更新手段と、
通信インタフェース種別毎に、トラフィック基準転送品質更新手段から出力されたトラフィック基準転送品質を記憶するトラフィック基準転送品質記憶手段と、
現に観測されたトラフィック転送品質が、当該通信インタフェースにおけるトラフィック基準転送品質よりも低くなったか否かを判定する第1の通信品質劣化判定手段と、
第1の通信品質劣化判定手段によって真と判定された際に、当該通信インタフェースにおける通信品質が劣化した旨の情報とを記録する通信品質判定記憶手段と
してコンピュータを機能させ、
トラフィック基準転送品質更新手段は、更に、当該通信インタフェースについて、現に観測されたトラフィック量を過去のトラフィック量に合わせて、当該トラフィック基準転送品質を更新する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、通信端末の通信品質劣化判定方法であって、
使用中の通信インタフェースを識別する第1のステップと、
使用中の通信インタフェースについて、所定の通信開始時点から所定の時間範囲における単位時間毎のトラフィック転送品質を観測する第2のステップと、
通信インタフェース種別毎に、過去のトラフィック転送品質に基づくトラフィック基準転送品質を算出する第3のステップと、
通信インタフェース種別毎に、
第3のステップのトラフィック基準転送品質を記憶する第4のステップと、
現に観測されたトラフィック転送品質が、当該通信インタフェースにおけるトラフィック基準転送品質よりも低くなったか否かを判定する第5のステップと、
第5のステップによって真と判定された際に、当該通信インタフェースにおける通信品質が劣化した旨の情報とを記録する第6のステップと、
当該通信インタフェースについて、現に観測されたトラフィック転送品質を過去のトラフィック転送品質に合わせて、当該トラフィック基準転送品質を更新する第7のステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の通信端末、プログラム及び方法によれば、ユーザの通信利用状況に応じた通信品質判定条件を適用することによって、ユーザ毎に異なる主観的な通信品質の劣化を判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0038】
図2は、本発明における通信端末の機能構成図である。
【0039】
図2によれば、通信端末1は、ハードウェアとして、1つ以上の通信インターフェースと、ユーザインタフェースとを有する。通信インタフェースとしては、無線でも有線でもよいが、通信端末における通信品質が変化しやすい環境を考慮すると、無線であることが有効である。
図2によれば、通信端末1は、無線端末であって、複数の無線通信インタフェース101を備えている。無線通信インタフェースとしては、例えば3G(3 Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)、無線LAN(Wireless Local Area Network)等がある。また、ユーザインタフェース102は、アプリケーションプログラムをユーザに認識させる例えばタッチパネルディスプレイのようなものである。
【0040】
また、通信端末1は、少なくとも、通信インタフェース識別部111と、アプリケーション識別部112と、トラフィック転送品質観測部113と、トラフィック基準転送品質更新部114と、トラフィック基準転送品質記憶部115と、第1の通信品質劣化判定部116と、通信品質判定記憶部117とを有する。これら機能構成部は、通信端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0041】
[通信インタフェース識別部111]
通信インタフェース識別部111は、ユーザによって使用中の通信インタフェースを識別する。識別された通信インタフェース種別は、第1の通信品質劣化判定部116へ出力される。通信インタフェース種別とは、各通信インタフェースに割り当てられた識別子である。
【0042】
[アプリケーション識別部112]
アプリケーション識別部112は、ユーザによって使用中のアプリケーションプログラムを識別する。識別されたアプリケーション種別は、第1の通信品質劣化判定部116へ出力される。アプリケーション種別とは、アプリケーション自体、又は、アプリケーションカテゴリに割り当てられた識別子である。尚、アプリケーション種別とは、使用中のアプリケーションプログラム名に限られず、使用中のポート番号又は通信プロトコル種別であってもよい。また、アプリケーションが通信端末の画面上に表示されている(フォアグラウンド)場合にのみ、そのアプリケーション種別を識別するものであってもよい。即ち、フォアグラウンドで実行されているアプリケーションが存在する場合のみ、当該通信端末における通信品質の劣化が判定されるものであってもよい。
【0043】
[トラフィック転送品質観測部113]
トラフィック転送品質観測部113は、使用中の通信インタフェースについて、所定の通信開始時点から所定の時間範囲における単位時間(タイムウィンドウ)毎のトラフィック転送品質を観測する。タイムウィンドウ毎のトラフィック転送品質は、トラフィック基準転送品質更新部114及び第1の通信品質劣化判定部116へ出力される。通信開始時点とは、例えばアプリケーション識別部112により識別されたアプリケーションに起因する上り方向(通信端末から基地局へ)のパケットを、通信インタフェース識別部111によって検知した時点である。
【0044】
図3は、観測されたトラフィック転送品質と、予め記憶されたトラフィック基準転送品質とを表す計測表である。
図4は、時間経過に応じた
図3のトラフィック転送品質及びトラフィック基準転送品質を表すグラフである。
【0045】
トラフィック転送品質は、例えば下り方向(基地局から通信端末へ)で観測された、単位時間(例えば500ミリ秒)当たりのデータ伝送量(トラフィック量)や通信開始時点からのデータ伝送量の累積値であってもよい。以下では各単位時間は「タイムウィンドウ」と称し、通信開始時点からタイムウィンドウ(w=1、2、・・・、W)毎に計測される。尚、データ伝送量は、バイト数、パケット数、又は、平均往復遅延時間であってもよい。
図3によれば、タイムウィンドウ1〜60までのトラフィック転送品質t
1〜t
60が表されている。尚、タイムウィンドウwのサイズは、例えば以下のように、タイムウィンドウ番号に応じて変更するものであってもよい。
w<5:タイムウィンドウサイズ=100ミリ秒
w≧5:タイムウィンドウサイズ=500ミリ秒
これによって、ユーザの体感品質に影響を与えやすい通信開始時は、細かいタイムウィンドウサイズに設定することによって、短い時間範囲における通信品質の劣化の判定が可能となる。
【0046】
トラフィック転送品質観測部113は、所定の観測停止条件に至るまで、単位時間毎のトラフィック転送品質を、第1の通信品質劣化判定部116へ出力し続ける。観測停止条件を満たした際に、タイムウィンドウの値はリセットされ、次回の上り方向の通信開始時には、再度、時間経過と共に、タイムウィンドウが1から順に増加する。観測停止条件としては、例えば、上り方向及び下り方向いずれのトラフィックも観測されない無通信時間が、所定時間以上継続した場合であってもよい。勿論、「観測停止条件」として、タイムウィンドウの最大値を事前に設定したものであってもよい。尚、通信開始時点から観測停止条件を満たした時点までが、1通信とみなされる。
【0047】
更に、トラフィック転送品質t
wは、タイムウィンドウw毎のトラフィック転送品質を、以下の式で表したものであってもよい。
t
w=s
w×r
w/T
w
s
w:一方向のトラフィック量
r
w:逆方向のパケット数に対する一方向のパケット数の比率
(=一方向のパケット数/逆方向のパケット数)
T
w:通信開始時点からの経過時間
w:通信開始時点からのタイムウィンドウ
【0048】
また、トラフィック転送品質t
wは、以下の式で表したものであってもよい。
t
w=(s
w×r
w+t
w−1)/T
w
t
w−1:1つ前のタイムウィンドウにおけるトラフィック転送品質
w=1の場合は、t
w−1の項は無し
【0049】
更に、トラフィック転送品質t
w(w>2の場合)は、w−1以下のトラフィック転送品質t
wを用いた移動平均値(例えば加重移動平均値や指数移動平均値)を用いるものであってもよい。
【0050】
前述の記載では、トラフィック転送品質tは、例えば一方向のトラフィックを「下りリンク」とし、逆方向のトラフィックは「上りリンク」とした場合、トラフィック量d
wとしてもよい。逆に、トラフィック転送品質tは、一方向のトラフィックを「上りリンク」とし、逆方向のトラフィックは「下りリンク」とした場合、トラフィック量u
wとしてもよい。
【0051】
この場合、トラフィック量d
w及びu
wの両方を用いてもよいし、値の大きい方を用いてもよい。
例えば、ビデオ視聴アプリケーションの場合、下り方向のトラフィックが主となるために、トラフィック量d
wがトラフィック量u
wよりも大きくなりやすい。そのために、トラフィック転送品質tとしては、d
wを用いる。
一方で、例えば、データバックアップアプリケーションの場合、上り方向のトラフィックが主となるために、トラフィック量u
wがトラフィック量d
wよりも大きくなりやすい。そのために、トラフィック量tとしては、u
wを用いる。
【0052】
[トラフィック基準転送品質更新部114]
トラフィック基準転送品質更新部114は、通信インタフェース種別毎に、又は、通信インタフェース種別及びアプリケーション種別の組み合わせ毎に、過去のトラフィック量に基づくトラフィック基準転送品質を算出する。また、トラフィック基準転送品質更新部114は、現に観測されたトラフィック量を過去のトラフィック量に合わせて更にトラフィック基準転送品質を算出する。これら算出された当該トラフィック基準転送品質は、トラフィック基準転送品質記憶部115へ出力される。
【0053】
ここで、「トラフィック基準転送品質」は、タイムウィンドウw毎の過去n個(n回の通信)のトラフィック転送品質t
w1〜t
wnにおける所定統計量を基準に設定してもよい。例えば、t
w1〜t
wnにおける移動平均値や中央値よりも、所定条件だけ下値に設定したものであってもよい。即ち、過去の移動平均的なトラフィック量よりも、一定以上低いトラフィック転送品質の場合に、ユーザは、通信品質の劣化を体感するためである。
【0054】
[トラフィック基準転送品質記憶部115]
トラフィック基準転送品質記憶部115は、通信インタフェース種別毎に、又は、通信インタフェース種別及びアプリケーション種別の組み合わせ毎に、過去のトラフィック転送品質に基づくトラフィック基準転送品質を記憶する。トラフィック基準転送品質記憶部115は、第1の通信品質劣化判定部116から参照される。
【0055】
[第1の通信品質劣化判定部116]
第1の通信品質劣化判定部116は、通信インタフェース種別毎に、又は、通信インタフェース種別及びアプリケーション種別の組み合わせ毎に、トラフィック転送品質観測部113によって現に観測されたトラフィック転送品質t
wが、トラフィック基準転送品質記憶部115の当該通信インタフェース、又は、当該通信インタフェース及び当該アプリケーション種別におけるトラフィック基準転送品質p
wよりも低くなったか否かを判定する。その判定結果は、通信品質判定記憶部117へ出力される。
【0056】
また、第1の通信品質劣化判定部116は、現トラフィック転送品質t
wを、トラフィック基準転送品質更新部114へ出力するものであってもよい。ここで、t
w≧p
wの判定結果に応じて、現トラフィック転送品質t
wをトラフィック転送品質更新部114へ出力する確率を変更することも好ましい。例えば、以下のような確率でトラフィック転送品質t
wを、トラフィック基準転送品質更新部114へ出力する。
t
w≧p
w:100%(毎回現t
wをトラフィック基準転送品質更新部114へ出力)
t
w<p
w:50% (2回に1回の確率で現t
wを
トラフィック基準転送品質更新部114へ出力)
例えば、トラフィック転送品質t
wがトラフィック基準転送品質p
wよりも低い場合(t
w<p
w)、劣化した現トラフィック転送品質t
wによって、トラフィック基準転送品質p
wが低下しすぎないようにすることができる。
【0057】
更に、第1の通信品質劣化判定部116は、現に観測されたトラフィック転送品質t
wが、トラフィック基準転送品質p
wよりも低くなった(真:t
w<p
w)との判定が、所定回数(例えば20回)連続した場合にのみ、真と判定することも好ましい。
図3の表によれば、以下のように判定される。
タイムウィンドウw=1〜7:偽(t
w≧p
w)
タイムウィンドウw=8〜 :真(t
w<p
w)
通信品質の劣化の判定のための所定回数を例えば20回とする場合、タイムウィンドウw=27になった際に、通信品質劣化と判定される。ここで、判定結果が偽となる個数でもいいし、判定結果が偽となる割合でもよい。尚、これら通信品質の劣化の判定結果は、次の通信開始時点では、リセットされる。
【0058】
[通信品質判定記憶部117]
通信品質判定記憶部117は、通信インタフェース種別毎に、又は、通信インタフェース種別及びアプリケーション種別の組み合わせ毎に、第1の通信品質劣化判定部116よって真と判定された際に、通信品質が劣化した旨の情報を記録する。尚、通信品質判定記憶部117は、後述する第2の通信品質劣化判定部123によって通信品質の劣化(真)と判定された際に、当該通信品質種別及び当該通信品質値も記憶する。
【0059】
通信品質判定記憶部117に記憶された通信品質の判定結果は、ユーザに明示するべく、ユーザインタフェース102で表示されるものであってもよい。これによって、ユーザ自身、通信品質の劣化を認識することができる。また、これら蓄積された判定結果は、通信事業者網に接続されたデータベースサーバへ送信される。通信事業者としては、ユーザからの明示的な苦情がない当該ユーザの通信品質の体感的な劣化(サイレントクレーム事象)を、認識することができる。
【0060】
前述したように、トラフィック基準転送品質記憶部115、第1の通信品質劣化判定部116、通信品質判定記憶部117及びトラフィック基準転送品質更新部114は、「通信インタフェース種別毎」に、又は、「通信インタフェース及びアプリケーションの組み合わせ」毎に機能する。
【0061】
また、
図2によれば、通信端末1は、通信品質観測部121と、第2の通信品質劣化判定部123と、通信品質基準値記憶部122とを更に有する。これら機能構成部も、通信端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0062】
[通信品質観測部121]
通信品質観測部121は、通信インタフェース種別毎に、1つ以上の通信品質種別の通信品質値を観測する。通信インタフェースが無線インタフェースである場合、例えば信号受信強度(RSSI)や信号対雑音比(SNR)等が観測される。これら通信品質種別毎の通信品質値は、第2の通信品質劣化判定部123へ出力される。
【0063】
[通信品質基準値記憶部122]
通信品質基準値記憶部122は、通信品質種別毎に、通信品質基準値を予め記憶する。
【0064】
[第2の通信品質劣化判定部123]
第2の通信品質劣化判定部123は、第1の通信品質劣化判定部116によって真と判定された際に、各通信インタフェースについて、通信品質観測部121によって現に観測された通信品質値毎に、通信品質基準値記憶部122の当該通信品質種別の通信品質基準値よりも低くなったか否かを判定する。通信品質の劣化(真)と判定された場合、当該通信品質種別及び当該通信品質値が、通信品質判定記憶部117へ出力される。尚、通信端末1がGPSのような測位機能を搭載している場合、通信品質判定記憶部117は、その時の位置情報も合わせて記憶することも好ましい。
【0065】
以下では、第1の通信品質劣化判定部116の3つの実施形態について説明する。
<予測区間下限値を用いた通信品質の劣化の判定>
<統計分類を用いた通信品質の劣化の判定>
<トラフィック転送品質予測に基づく通信品質の劣化の判定>
【0066】
尚、第1の通信品質劣化判定部116は、トラフィック転送品質t
wが所定条件を満たしている場合にのみ、通信品質の劣化を判定することが好ましい。所定条件としては、例えば、通信開始から観測停止までのデータ量が所定閾値を越えていること、又は、通信開始から観測停止までの経過時間が所定閾値を越えていること、等がある。即ち、有効なトラフィック転送品質t
wのみを用いることとする。
【0067】
図5は、第1の通信品質劣化判定部における3つの実施形態を表す説明図である。
【0068】
<予測区間下限値を用いた通信品質の劣化の判定>
トラフィック基準転送品質更新部114は、トラフィック基準転送品質p
wを、過去n回のトラフィック転送品質t
w1〜t
wn(1タイムウィンドウにn個の通信回数)から算出した予測区間の下限値とする。平均値X
wn及び不偏分散(μ
wn)
2から、以下の式を用いて予測区間の下限値を算出する。
トラフィック基準転送品質(予測区間の下限値)=X
wn−t×sqrt((μ
wn)
2 (1+1/n))
n:トラフィック転送品質値の個数
t:t分布表(例えばn=30回で片側有意確率5%とした場合、t=1.699)
【0069】
ここで、平均値・不偏分散の算出に用いる1タイムウィンドウで発生した通信回数nには、最大値を設定することも好ましい。また、nの個数が最大値に達した場合、時系列にみて、最も古いトラフィック転送品質から削除することも好ましい。
【0070】
このように第1の通信品質劣化判定部116の実施例によれば、タイムウィンドウw毎に複数の過去のトラフィック転送品質t
wを必要とする。そのために、所定数以上のトラフィック転送品質t
wを記録できるまで、「学習フェーズ」として、トラフィック転送品質t
wを記録のみする。所定数以上のトラフィック転送品質t
wが記録できた後、第1の通信品質劣化判定部116における通信品質を判定する「運用フェーズ」へ移行することも好ましい。尚、「学習フェーズ」について、前述したトラフィック転送品質d
w及びu
wの両方を蓄積・更新する。そして、「運用フェーズ」について、トラフィック転送品質d
w及びu
wそれぞれの平均値を比較し、当該値が大きい方のトラフィック転送品質を用いることも好ましい。尚、運用フェーズへ移行した後、使用されないトラフィック転送品質(d
w又はu
w)は破棄される。この場合、使用されないトラフィック転送品質(d
w又はu
w)に関しては、運用フェーズについてトラフィック転送品質を新たに記録することも必要としない。尚、本処理は以降の実施例においても同様に実施することも好ましい。
【0071】
<統計分類を用いた通信品質の劣化の判定>
トラフィック基準転送品質更新部114は、通信インタフェース種別毎に、又は、通信インタフェース種別及びアプリケーション種別の組み合わせ毎に、時系列に振る舞った過去のトラフィック転送品質t
wをクラスタリングする(統計分類)。ここでは、アプリケーション毎のトラフィック転送品質を、例えばx−means等、最適なクラスタ数を推定するクラスタリング手法を用いる。そして各クラスタにおける平均値又は上下限値(上限値及び下限値)が、トラフィック基準転送品質記憶部115へ出力される。
【0072】
尚、クラスタリングは、統計分類(statistical classification)の代表例であって、複数の結果変数を統計的に分類する他の分析技術(例えばベイジアンネットワーク)を用いることもできる。この場合、利用する分析技術によっては予め学習データを初期値としてトラフィック基準転送品質更新部114に持たせることも好ましい。
【0073】
例えば、あるタイムウィンドウwにおけるトラフィック転送品質t
w(=91.4)に対して、以下のような過去のトラフィック転送品質tであったとする。
{687.6, 746.0, 845.2, 185.4, 147.1, 38.4, 625.8, 554.6, 639.2,
52.6, 805.6, 837.1, 776.9, 749.7, 753.8, 479.0, 439.6, 555.8}
これをクラスタリングすると、以下のように分類される。
クラスタ1:{687.6, 746.0, 845.2, 625.8, 554.6, 639.2, 805.6,
837.1, 776.9, 749.7, 753.8, 479.0, 439.6, 555.8}
クラスタ2:{185.4, 147.1, 38.4, 52.6}
この場合、トラフィック転送品質t
w(=91.4)は、クラスタ2に分類される。クラスタ2の平均値は、クラスタ1の平均値よりも低いために、通信品質としては劣化と判定される。
【0074】
このように、現在取得されたトラフィック転送品質t
wが、過去のトラフィック転送品質t
w(例えば20回分)から分類された複数のクラスタの中で、最もその平均値が低いクラスタに属する場合、現在の通信品質は劣化していると判定される。
【0075】
また、各クラスタの複数のトラフィック転送品質の平均値、又は、各クラスタの上限値及び下限値が、トラフィック基準転送品質記憶部115へ記憶される。
【0076】
そして、第1の通信品質劣化判定部116は、現に観測されたトラフィック転送品質t
wが、複数のクラスタの中で、トラフィック転送品質の平均値が最も小さいクラスタに属すると判定された場合、通信品質が劣化したものと判定する。
【0077】
<トラフィック転送品質予測に基づく通信品質の劣化の判定>
トラフィック基準転送品質更新部114は、タイムウィンドウw毎に過去のトラフィック転送品質t
wから将来のトラフィック転送品質t
wを予測し、当該予測値をトラフィック基準転送品質記憶部115へ出力する。これによって、第1の通信品質劣化判定部116は、現に観測されたトラフィック転送品質t
wが、トラフィック基準転送品質記憶手段に記憶された予測値よりも低いと判定された場合、通信品質が劣化したものと判定する。
【0078】
トラフィック基準転送品質更新部114は、タイムウィンドウw毎のトラフィック転送品質y
wを、以下のようにモデル化する。モデルは、TCP(Transmission Control Protocol)で見られる「スロースタートフェーズ」及び「輻輳回避フェーズ」に区分される。
【0079】
(スロースタートフェーズ)
スロースタートフェーズとは、通信開始当初に通信速度が指数的に増加する時間範囲をいう。スロースタートフェーズでは、y
1_wを∠t
w、即ちt
wの傾きとして表す。
x
1_w=f
1_w(x
1_w−1,u
1_w), u
1_w〜N(0,Q
1_w)
y
1_w=h
1_w(x
1_w+v
1_w), v
1_w〜N(0,R
1_w)
f
1_w()、h
1_w():非線形関数
x
1_w:トレンド成分となる状態値
【0080】
(輻輳回避フェーズ)
輻輳回避フェーズとは、スロースタートフェーズ終了後に開始される時間範囲をいう。輻輳回避フェーズでは、y
2_wをt
wとして表す。
x
2_w=f
2_w(x
2_w−1,u
2_w), u
2_w〜N(0,Q
2_w)
y
2_w=h
2_w(x
2_w+v
2_w), v
2_w〜N(0,R
2_w)
f
2_w()、h
2_w():は非線形関数
x
2_w:トレンド成分となる状態値
【0081】
スロースタートフェーズから輻輳回避フェーズへの移行は、例えば∠t
wが連続して所定回だけ所定値以下になる場合、例えば連続3タイムウィンドウだけ0未満になる場合で判断する。
【0082】
ここでは、y
1〜w−1に基づいて、x
wが予測される。予測には、一般的な時系列予測技術であるカルマンフィルタや粒子フィルタ等が用いられる。上述したように、第1の通信品質劣化判定部116は、予測されたトラフィック基準転送品質x
wと、現に観測されたトラフィック転送品質t
wとを比較し、所定条件を満たす場合に、通信品質が劣化した判定する。所定条件とは、例えばトラフィック転送品質t
wがトラフィック基準転送品質x
wよりも所定値以上低くなることが、所定回数連続した場合である。ここで、通信が発生した後、あるタイムウィンドウwについて観測値を得る毎に、f
1_w()、h
1_w()、f
2_w()、h
2_w()におけるパラメータの推定値を更新する。推定は、例えばEMアルゴリズム等を用いることも好ましい。
【0083】
図6は、本発明における通信端末の処理を表すフローチャートである。
【0084】
(S1)使用中の通信インタフェースを識別する(
図2の通信インタフェース識別部111参照)。このとき、使用中のアプリケーションを識別することも好ましい(
図2のアプリケーション識別部112参照)。
(S2)使用中の通信インタフェースについて、所定の通信開始時点から所定の時間範囲における単位時間毎のトラフィック転送品質を観測する(
図2のトラフィック転送品質観測部113参照)。このとき、1つ以上の通信品質種別の通信品質値を観測することも好ましい(
図2の通信品質観測部121参照)。
(S3)通信インタフェース種別毎に、過去のトラフィック転送品質に基づくトラフィック基準転送品質を算出する(
図2のトラフィック基準転送品質更新部114参照)。
(S4)通信インタフェース種別毎に、トラフィック基準転送品質更新手段から出力されたトラフィック基準転送品質を記憶する(
図2のトラフィック基準転送品質記憶部115参照)。
(S5)現に観測されたトラフィック量が、当該通信インタフェースにおけるトラフィック基準転送品質よりも低くなったか否かを判定する(
図2の第1の通信品質劣化判定部116参照)。
(S6)S5によって真と判定された際に、当該通信インタフェースにおける通信品質が劣化した旨の情報を記録する(
図2の通信品質判定記憶部117参照)。
(S7)当該通信インタフェースについて、現に観測されたトラフィック転送品質を過去のトラフィック転送品質に合わせて、当該トラフィック基準転送品質を更新する(
図2のトラフィック基準転送品質更新部114参照)。
(S8)現に観測された通信品質値毎に、通信品質基準値記憶部の当該通信品質種別の通信品質基準値よりも低くなったか否かを判定する。
(S9)S8で真と判定された際に、当該通信品質種別及び当該通信品質値も記憶する
(S10)通信端末で記憶された通信品質のデータは、通信事業者網のデータベースサーバへ送信される。
【0085】
以上、詳細に説明したように、本発明の通信端末、プログラム及び方法によれば、ユーザの通信利用状況に応じた通信品質判定条件を適用することによって、ユーザ毎に異なる主観的な通信品質の劣化を判定することができる。これは、ユーザの不満解消及び利便性向上のために、通信品質を改善する施策を適切に実施することができる。
【0086】
本発明によれば、通信品質判定条件となるトラフィック基準転送品質が、ユーザ毎の通信利用環境に応じて適応的に変動する。異なるユーザ間で、トラフィック基準転送品質が異なることは勿論、同一のユーザであっても、時間経過に応じて通信利用環境が異なることによって、トラフィック基準転送品質も異なる。また、そのトラフィック基準転送品質は、通信インタフェース種別及びアプリケーション種別の組み合わせ毎に保持されていることも好ましい。例えば同一のトラフィック転送品質であっても、利用するアプリケーションによっては、通信品質低下と判定される場合と判定されない場合とがある。
【0087】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。