(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1搬送ガイドの先端は、前記第2搬送ガイドの搬送面を前記搬送ローラ対側に延長した延長面と前記第1ローラとが接する位置において前記第1ローラと接する接平面と、前記第2ローラとが接する位置よりも前記第2搬送ガイド側に位置するように配置される、請求項1に記載の用紙搬送装置。
前記第1搬送ガイドは、前記第2搬送ガイドの搬送面を前記搬送ローラ対側に延長した延長面に対する角度が30°以下となるように配置される請求項1又は2に記載の用紙搬送装置。
前記搬送ローラ対は、前記第1ローラ及び前記第2ローラのニップ位置において前記第1ローラと接する接平面と、前記第1撮像部の上面とが接する位置が、前記第2撮像部の撮像位置よりも前記搬送ローラ対側となるように配置される、請求項1〜3の何れか一項に記載の用紙搬送装置。
前記第2撮像部の下面を前記第1撮像部の上面に対して略平行に保ちながら、前記第2撮像部が上方向に移動可能な案内部材をさらに備える、請求項5に記載の用紙搬送装置。
前記第1撮像部及び前記第2撮像部から前記媒体を更に搬送する第3ローラ及び前記第3ローラに対向して前記第3ローラの上方に配置された第4ローラを含む第2搬送ローラ対をさらに備え、
前記第2搬送ローラ対のニップ位置と、前記第1撮像部の上面を前記第2搬送ローラ対側に延長した延長面との距離は、前記エンボスの高さより大きくなるように設定され、
前記第1ローラ、前記第3ローラ及び前記第1撮像部は固定され、
前記第2ローラ、前記第4ローラ及び前記第2撮像部は、前記媒体に押し上げられて上方向に移動可能に構成されている、請求項1〜6の何れか一項に記載の用紙搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一側面に係る用紙搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0010】
図1は、イメージスキャナとして構成された用紙搬送装置100を示す斜視図である。
【0011】
図1Aは、用紙台103がセットされていない状態の用紙搬送装置100の斜視図であり、
図1Bは、用紙台103がセットされた状態の用紙搬送装置100の斜視図である。
【0012】
用紙搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、用紙台103、前面カバー105a、上面カバー105b、補助カバー105c、操作ボタン106及び開閉検出部107等を有する。
【0013】
上側筐体102は、用紙搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、用紙つまり時、用紙搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0014】
用紙台103は、矢印A1で示す方向に回転可能なように、ヒンジにより下側筐体101に係合している。用紙台103は、
図1Aに示す状態では上側筐体102、上面カバー105b及び補助カバー105cを覆う位置に配置され、外装カバーとして機能する。一方、用紙台103は、
図1Bに示す状態では、用紙が載置可能に配置される。用紙台103には、用紙の搬送方向に対して左右方向に移動可能なサイドガイド104a及び104bが設けられている。サイドガイド104a及び104bを用紙の幅に合わせて位置決めすることにより用紙の幅方向を規制することができる。
【0015】
前面カバー105aは、矢印A2で示す方向に回転可能なように、ヒンジにより下側筐体101に係合している。上面カバー105bは、一方の端部側で前面カバー105aと接続し、他方の端部側で補助カバー105cと接続されている。補助カバー105cは、必要な場合に、上面カバー105bより繰り出されて、用紙を保持する。
【0016】
操作ボタン106は、上側筐体102の表面に配置され、押下されると、操作検出信号を生成して出力する。
【0017】
開閉検出部107は、閉じている状態の用紙台103に対向する位置に配置される接触検出センサを有し、用紙台103の開閉状態を検出する。開閉検出部107は、用紙台103が開いている状態と閉じている状態とで信号値が変化する開閉検出信号を生成して出力する。
【0018】
図2は、用紙搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
用紙搬送装置100は、第1用紙検出部110、ピックアーム111、フラップ112、給紙ローラ113、リタードローラ114、超音波送信器115a、超音波受信器115b、第1搬送ローラ116、第1従動ローラ117、第2用紙検出部118、撮像部ガイド120、第1撮像部130a、第2撮像部130b、第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141等を有している。
【0020】
上側筐体102の下面は用紙搬送路の上側ガイド108aを形成し、下側筐体101の上面は用紙搬送路の下側ガイド108bを形成する。
図2において矢印A3は用紙の搬送方向を示す。以下では、上流とは用紙の搬送方向A3の上流のことをいい、下流とは用紙の搬送方向A3の下流のことをいう。
【0021】
第1用紙検出部110は、ピックアーム111の上流側に配置される接触検出センサを有し、用紙台103に用紙が載置されているか否かを検出する。第1用紙検出部110は、用紙台103に用紙が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1用紙検出信号を生成して出力する。
【0022】
給紙ローラ113は、用紙搬送装置100の本体部に回転自在に支持される。給紙ローラ113の外周面には、用紙台103に載置された用紙と接触する接触部材142が設けられている。接触部材142は、例えばゴムなどの用紙との摩擦力が大きい部材である。
【0023】
リタードローラ114は、給紙ローラ113と対向して配置され、給紙ローラ113と接触していない用紙の搬送方向A3への搬送を規制する。リタードローラ114は、用紙搬送装置100の本体部に回転自在に支持される。リタードローラ114の外周面には、用紙台103に載置された用紙と接触する接触部材143が設けられている。接触部材143は、例えばゴムなどの用紙との摩擦力が大きい部材である。
【0024】
超音波送信器115a及び超音波受信器115bは、用紙搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向するように配置される。超音波送信器115aは超音波を送信する。一方、超音波受信器115bは、超音波送信器115aにより送信され、用紙を通過した超音波を検出し、検出した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波送信器115a及び超音波受信器115bを総じて超音波センサ115と称する場合がある。
【0025】
第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117は、それぞれ、用紙搬送装置100の本体部に回転自在に支持される。第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117は撮像部130の上流側に配置され、第1従動ローラ117は第1搬送ローラ116に対向して第1搬送ローラ116の上方に配置される。第1搬送ローラ116は固定され、第1従動ローラ117は第1搬送ローラ116に対して上方(矢印A4の方向)に移動可能に配置される。
【0026】
第2用紙検出部118は、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の下流側、且つ第1撮像部130a及び第2撮像部130bの上流側に配置される接触検出センサを有し、第1撮像部130a及び第2撮像部130bの手前に用紙が存在するか否かを検出する。第2用紙検出部118は、第1撮像部130a及び第2撮像部130bの手前に用紙が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2用紙検出信号を生成して出力する。
【0027】
第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141は、それぞれ、用紙搬送装置100の本体部に回転自在に支持される。第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141は、撮像部130の下流側に配置され、第2従動ローラ141は第2搬送ローラ140に対向して第2搬送ローラ140の上方に配置される。第2搬送ローラ140は固定され、第2従動ローラ141は第2搬送ローラ140に対して上方(矢印A5の方向)に移動可能に配置される。
【0028】
図3は、撮像部及び撮像部前後の搬送機構を説明するための図である。
【0029】
第1撮像部130aは、搬送された用紙の表面を撮像し、第2撮像部130bは、搬送された用紙の裏面を撮像する。第2撮像部130bは、第1撮像部130aと対向して第1撮像部130aの上方に配置される。第2撮像部130bは、第1撮像部130aと第2撮像部130bの間に用紙を案内するための撮像部ガイド120を備える。また、第2撮像部130bは、上方に撮像部ばね131を備え、撮像部ばね131により第1撮像部130a側に向かう方向に付勢されている。以下では、第1撮像部130a及び第2撮像部130bを総じて撮像部130と称する場合がある。
【0030】
第1撮像部130aは、第1光源132a、第1撮像センサ133a、第1白基準部134a及び第1ガラス面135a等を有している。第2撮像部130bは、第2光源132b、第2撮像センサ133b、第2白基準部134b及びガラス面135b等を有している。
【0031】
第1光源132aは、RGB各色のLED(Light Emitting Diode)と、導光部材とを備え、撮像部130に搬送された用紙の表面(撮像部130に用紙が搬送されていない場合は対向する第2撮像部130bの第2白基準部134b)に光を照射する。同様に、第2光源132bは、RGB各色のLEDと、導光部材とを備え、撮像部130に搬送された用紙の裏面(撮像部130に用紙が搬送されていない場合は対向する第1撮像部130aの第1白基準部134a)に光を照射する。
【0032】
第1撮像センサ133aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)である。第1撮像センサ133aは、用紙の表面を読み取って画像信号を生成して出力する。同様に、第2撮像センサ133bは、CMOSによる撮像素子を備えるCISである。第2撮像センサ133bは、用紙の裏面を読み取って画像信号を生成して出力する。また、CMOSの代わりにCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを利用することもできる。
【0033】
第1白基準部134aは、第2撮像部130bの第2撮像センサ133bと対向する位置に配置される。第2撮像センサ133bは、撮像部130に用紙が搬送されていない場合、第1白基準部134aを撮像した画像信号を生成する。同様に、第2白基準部134bは、第1撮像部130aの第1撮像センサ133aと対向する位置に配置される。第1撮像センサ133aは、撮像部130に用紙が搬送されていない場合、第2白基準部134bを撮像した画像信号を生成する。用紙搬送装置100は、第1白基準部134a及び第2白基準部134bを撮像した画像信号に基づいてシェーディング等の画像の補正を行うことができる。
【0034】
図3に示すように、第1従動ローラ117の回転軸となる中心O
1の用紙搬送方向A3における位置L1は、第1搬送ローラ116の回転軸となる中心O
2の用紙搬送方向A3における位置L2よりも撮像部130側にずらして配置される。更に、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置L3は、第1撮像部130aのガラス面135aを第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117側に延長した延長面P1より上方に配置される。特に、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置L3において第1搬送ローラ116と接する接平面P2と、第1撮像部130aのガラス面135aとが接する位置L4が、第2撮像部130bの第2撮像センサ133bの撮像位置L5よりも第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117側となるように配置される。
【0035】
第2従動ローラ141の回転軸となる中心O
3の用紙搬送方向A3における位置L6は、第2搬送ローラ140の回転軸となる中心O
4の用紙搬送方向A3における位置L7よりも撮像部130側にずらして配置される。更に、第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141のニップ位置L8は、ガラス面135aを第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141側に延長した延長面P3に対して、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置と同じ高さに配置される。特に、第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141のニップ位置L8において第2搬送ローラ140と接する接平面P4と、第1撮像部130aのガラス面135aとが接する位置L9が、第1撮像部130aの第1撮像センサ133aの撮像位置L10よりも第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141側となるように配置される。ガラス面135aに対する接平面P4の角度は、ガラス面135aに対する接平面P2の角度と同じになるように配置されるのが好ましい。
【0036】
図4Aは撮像部ガイド120の斜視図を示し、
図4B及び
図4Cは撮像部ガイド120及び第2撮像部130bの側面図を示す。
【0037】
図4Aに示すように、撮像部ガイド120には、用紙搬送方向A3と直交する方向に三つのガイド部材121a、121b、121cが設けられる。各ガイド部材121a、121b、121cの間には、それぞれ第1従動ローラ117が配置される。なお、
図2及び
図3に示した用紙搬送装置100の各部は、
図4Aの矢印X−X’において撮像部ガイド120のガイド部材121aの部分を切断した位置から矢印X、X’の方向に見た図を示している。以下では、ガイド部材121a、121b及び121cを総じてガイド部材121と称する場合がある。
【0038】
図4B及び
図4Cに示すように、撮像部ガイド120は、第2撮像部130bにかぶせて、撮像部ガイド120に設けられた凹部122a及び122bを第2撮像部130bに設けられた凸部136a及び136bに係合させて用いられる。
【0039】
第2撮像部130bは、用紙搬送方向A3と直交する方向の一端側の側面に第1案内部材137a及び第1係止部材138aを備え、他端側の側面に第2案内部材137b及び第2係止部材138bを備える。
【0040】
第1案内部材137a及び第2案内部材137bは、用紙搬送装置100の内部に配置された、用紙搬送方向A3に対して略鉛直方向に伸びるレール部(不図示)と係合する。
【0041】
第1係止部材138a及び第2係止部材138bは、それぞれ用紙搬送装置100の内部に配置された係止部(不図示)と係合することにより、第2撮像部130bが落下することを防止する。
【0042】
図5は、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の配置について説明するための図である。
【0043】
第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置L3と、ガラス面135aの延長面P1との距離hは、搬送されるカードに形成され得るエンボスの高さより大きくなるように設定される。同様に、
図3に示した、第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141のニップ位置L8と、ガラス面135aの延長面P3との距離も、搬送されるカードに形成され得るエンボスの高さより大きくなるように設定される。このエンボスの高さは、装置の仕様により定めることができ、例えばISO/IEC7811−1で規定されるIDカードのエンボスの高さである0.46mm、又はJIS(Japanese Industrial Standards)規格(日本工業規格)で規定されるカードのエンボスの高さである0.48mmとすることができる。
【0044】
また、延長面P1に対する、第2撮像センサ133bの撮像位置L5から第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置L3に伸びる直線の角度をθ
1、第1搬送ローラ116の半径をr
1、第1従動ローラ117の半径をr
2、ニップ位置L3から第2撮像センサ133bの撮像位置L5までの用紙搬送方向A3における距離をL、第1搬送ローラ116の中心O
2に対する第1従動ローラ117の中心O
1の用紙搬送方向A3におけるずらし量をδとすると、以下の式が成立する。
【数1】
【0045】
したがって、第1搬送ローラ116の中心O
2に対する第1従動ローラ117の中心O
1の用紙搬送方向におけるずらし量δは、以下の式により算出することができる。
【数2】
【0046】
図3に示した位置L4が撮像位置L5よりも第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117側となるように配置するためには、第1従動ローラ117の中心O
1を第1搬送ローラ116の中心O
2よりも用紙搬送方向A3にδ以上ずらせばよい。例えば、hが1.5mm、r
1が6.8mm、r
2が6.5mm、Lが18.7mmの場合、第1搬送ローラ116の中心O
2に対する第1従動ローラ117の中心O
1のずらし量は1.1mmとすることができる。
【0047】
図6は、撮像部ガイド120と、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117との配置について説明するための図である。
【0048】
図6は、
図4Aの矢印X−X’において撮像部ガイド120のガイド部材121aの部分を切断した位置から矢印X、X’の方向に各部を見た図を示す。以下では、撮像部ガイド120のガイド部材121aの配置について説明するが、ガイド部材121b及び121cも同様に配置される。
【0049】
平面P6は、下側ガイド108bの搬送面を第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117側に延長した延長面P5と第1搬送ローラ116とが接する位置L11で第1搬送ローラ116と接する接平面を示す。撮像部ガイド120のガイド部材121aの先端は、接平面P6と第1従動ローラ117とが接する位置L12よりも、用紙搬送方向A3において下側ガイド108b側に位置するように配置される。例えば、ガイド部材121aの先端は、用紙搬送方向A3において、第1搬送ローラ116の中心O
2の位置L2よりも5〜10mmだけ下側ガイド108b側に位置するように配置されることが好ましい。
【0050】
なお、下側ガイド108bの搬送面の延長面P5に対する、ガイド部材121が用紙の先端と接触する面の延長面P7の角度θ
2を変更しながら、用紙を搬送させる実験を行った。その結果、角度θ
2が30°より大きい場合、用紙の先端が第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の間に導かれず、上方(第1従動ローラ117側)に向かってしまい、ジャムが発生する可能性があることが確認された。
【0051】
したがって、ガイド部材121aは、延長面P5に対する延長面P7の角度θ
2が30°以下となるように配置されることが好ましい。このように配置することにより、用紙の先端が第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の間に導かれずにジャムが発生することを低減することができる。また、延長面P5に対するガイド部材121aの角度は、30°から5°の範囲で、撮像部130に近くなるほど徐々に小さくなるように配置することにより、用紙を第1撮像部130aと第2撮像部130bの間に精度良く導くことができる。
【0052】
また、ガイド部材121aは、第1搬送ローラ116の回転軸に垂直な断面において、第1搬送ローラ116と重なるように配置される。つまり、用紙搬送方向A3と直交する方向から見たときに、ガイド部材121aの下面の少なくとも一部が第1搬送ローラ116の上面よりも下方に位置するように配置される。
【0053】
図7は、用紙が搬送されるときの状態を説明するための図である。
【0054】
図7は、
図4Aの矢印X−X’において撮像部ガイド120のガイド部材121aの部分を切断した位置から矢印X、X’の方向に各部を見た図を示し、経路R1は、理想的に搬送される用紙の先端が通過する経路を示す。
【0055】
用紙台103に載置された用紙は、給紙ローラ113が
図2の矢印A6の方向に回転することによって、上側ガイド108aと下側ガイド108bの間を用紙搬送方向A3に向かって搬送される。リタードローラ114は、用紙搬送時、
図2の矢印A7の方向に回転する。給紙ローラ113及びリタードローラ114の働きにより、用紙台103に複数の用紙が載置されている場合、用紙台103に載置されている用紙のうち給紙ローラ113と接触している用紙のみが分離されて、分離された用紙以外の用紙の搬送が制限される(重送の防止)ように動作する。
【0056】
下側ガイド108bにより導かれた用紙の先端は、位置L11において第1搬送ローラ116に接触し、第1搬送ローラ116の接平面P6に沿って、ガラス面135aの延長面P1から上方に向かう。その後、用紙の先端は、中央部が位置L13において撮像部ガイド120のガイド部材121aに接触するとともに、端部ではガイド部材121b及びガイド部材121cに接触して、下方に向かう。
【0057】
ガイド部材121a、121b及び121cによって下方に向かった用紙の先端は、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の間に送り込まれる。第1搬送ローラ116が矢印A8の方向に回転することによって、用紙の先端は、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117のニップ位置L3を通過し、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置L3における接平面P2に沿って進み、位置L4において第1撮像センサ133aのガラス面135aに接触する。
【0058】
なお、上述した通り、ガイド部材121a、121b及び121cは、下面の少なくとも一部が第1搬送ローラ116の上面よりも下方に位置するように配置されているので、用紙が上方(第1従動ローラ117側)に浮き上がってジャムが発生することを低減することができる。第1搬送ローラ116に接触して上方に向かう用紙は、特に用紙幅中央部付近で浮き上がる傾向にある。しかし、中央部に配置されたガイド部材121aにより、中央部付近での用紙の浮き上がりを抑えることができる。
【0059】
また、先端が全て折れ曲がっている用紙が搬送された場合、その用紙の先端は、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の間に正しく挿入されても、用紙幅端部においては第1撮像部130aと第2撮像部130bの間に挿入されずにジャムが発生する可能性が高い。しかし、用紙幅端部に配置されたガイド部材121b及びガイド部材121cにより、用紙幅端部において、先端が全て折れ曲がっている用紙の先端を第1撮像部130aと第2撮像部130bの間に適切に導くことができ、ジャムの発生を低減することができる。
【0060】
ガラス面135aに接触した用紙は剛性が低いため湾曲し、用紙の先端はガラス面135aに沿って搬送される。用紙の先端は、第1撮像部130aと第2撮像部130bの間を通過すると、ガラス面135aの延長面P3に沿って進み、位置L14において第2搬送ローラ140に接触する。第2搬送ローラ140に接触した用紙の先端は、位置L14における第2搬送ローラ140の接平面P7に沿って進み、位置L15において第2従動ローラ141に接触する。
【0061】
第2従動ローラ141に接触した用紙の先端は、第2搬送ローラ140と第2従動ローラ141の間に送り込まれる。第2搬送ローラ140が矢印A9の方向に回転することによって、用紙の先端は、第2搬送ローラ140と第2従動ローラ141のニップ位置L8を通過し、前面カバー105aへ排出される。
【0062】
なお、用紙の先端が第2搬送ローラ140と第2従動ローラ141のニップ位置L8を通過すると、用紙のうちガラス面135a上に位置する部分は、ニップ位置L8における接平面P4に沿って引っ張られて、位置L9より第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141側においてガラス面135aから離れる。
【0063】
用紙は、第2撮像センサ133bの撮像位置L5及び第1撮像センサ133aの撮像位置L10では常にガラス面135aから所定の距離に維持されており、用紙から第1撮像センサ133a及び第2撮像センサ133bまでの距離は一定となるので、安定した画像データの取得が可能となる。なお、用紙の先端は、ガラス面135aに沿って搬送されるので、用紙の先端によりガラス面135aのクリーニング、即ちガラス面135a上のゴミの除去が可能となる。
【0064】
図8は、エンボスM3を有するカードM2が搬送されたときの状態を説明するための図である。
【0065】
図8は、
図4Aの矢印X−X’において撮像部ガイド120のガイド部材121aの部分を切断した位置から矢印X、X’の方向に各部を見た図を示す。
【0066】
第1撮像部130a、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ140は固定され、剛性の高いカードM2が搬送されても移動しない。一方、撮像部ガイド120はカードM2に押し上げられて上方向(矢印A10の方向)に移動し、第2撮像部130bは撮像部ガイド120がカードM2に押し上げられることによって撮像部ガイド120と一体的に上方向に移動する。また、第1従動ローラ117及び第2従動ローラ141も、カードM2に押し上げられて上方向(矢印A4及び矢印A5の方向)に移動する。
【0067】
なお、第2撮像部130bは、撮像部ガイド120と一体的に上方向に移動する場合、第1案内部材137a及び第2案内部材137bにより、ガラス面135bを第1撮像部130aのガラス面135aに対して略平行に保ちながら、上方向に移動可能となる。
【0068】
一般に、エンボスM3はカードM2の短手方向の両端のうち何れか一方に偏って形成されるため、カードM2が長手方向に搬送される場合、エンボスM3は搬送方向に対して左側又は右側の何れかに配置される。したがって、カードM2がエンボスM3を下方(第1撮像部130a側)に向けて搬送された場合、エンボスM3がガラス面135aに接触すると、カードM2にかかる左右の負荷のバランスが崩れ、カードM2が斜行する累積スキューが発生し、画像データに歪みが発生するおそれがある。さらに、エンボスM3がガラス面135aに接触することによりカードM2の搬送速度が変化し、適切なタイミングで画像データを読み取ることができなくなり、画像データに歪みが発生するおそれもある。
【0069】
一方、用紙搬送装置100では、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置が、ガラス面135aに対してエンボスM3の高さより高い位置に配置されるので、エンボスM3がガラス面135aに接触することを低減できる。さらに、カードM2の先端が第2搬送ローラ140と第2従動ローラ141の間に搬送された後は、エンボスM3が第1撮像部130aのガラス面135aに接触しなくなる。したがって、用紙搬送装置100では、カードM2の累積スキューの発生、及び搬送速度の変化を低減でき、画像データの歪みの発生を低減できる。
【0070】
図9は、用紙搬送装置100の概略構成を示す図である。用紙搬送装置100は、上記の各図に示した構成に加えて、通信部200、記憶部201及び中央処理部202をさらに有する。
【0071】
通信部200は、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インターフェース回路とを有し、アクセスポイント(不図示)を介して携帯情報端末等の情報処理装置(不図示)と通信を行う。なお、通信部200は、アクセスポイントを介さずに情報処理装置と直接通信を行ってもよい。または、通信部200は、所定の通信プロトコルに従って有線通信回路を通じて信号の送受信を行うための有線通信インターフェース回路を有し、情報処理装置と有線通信を行ってもよい。
【0072】
記憶部201は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶部201には、用紙搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部201にインストールされてもよい。さらに、記憶部201には、用紙から生成された画像データが格納される。
【0073】
中央処理部202は、CPU(Central Processing Unit)を備え、予め記憶部201に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、中央処理部202は、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等で構成されてもよい。中央処理部202は、操作ボタン106、開閉検出部107、第1用紙検出部110、第2用紙検出部118、撮像部130、モータ144、通信部200及び記憶部201と接続され、これらの各部を制御する。
【0074】
中央処理部202は、開閉検出部107から受信する開閉検出信号に基づいて利用者により用紙台103が開けられてセットされたことを検知し、第1用紙検出部110から受信する第1用紙検出信号に基づいて用紙台103に用紙が載置されたことを検知する。また、中央処理部202は、操作ボタン106から受信する操作検出信号に従って、モータ144の駆動制御及び撮像部130の用紙読取制御を行い、用紙を読み取って画像データを生成し、予め設定された送信先へ送信する。また、中央処理部202は、超音波受信器115bから受信する電気信号に基づいて用紙の重送の有無を判定し、用紙の重送を検知するとモータ144の回転を停止させて、用紙の搬送を停止する。
【0075】
以上詳述したように、用紙搬送装置100は、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117のニップ位置が、第1撮像部130aのガラス面135aより上方に配置され、第1従動ローラ117の中心O
1は、第1搬送ローラ116の中心O
2よりも第1撮像部130a側にずらして配置される。したがって、用紙の先端はガラス面135aに沿って搬送されるので、用紙が波打って搬送されることがなく、撮像時のピントずれ、明るさのムラを抑制し、撮像した画像データの品質の低下を防止することが可能となった。
【0076】
さらに、用紙搬送装置100は、上方に搬送された用紙を撮像部ガイド120のガイド部材121により下方に向かわせるので、特に用紙が薄紙である場合、又は用紙の先端が折れている場合でもジャムの発生を低減でき、安定して用紙を搬送することが可能となった。ジャムの発生を低減するためには、第1撮像部130aと第2撮像部130bの間を広く配置するのが一般的であるが、撮像部ガイド120を適用することによってジャムの発生を低減できるようになったので、第1撮像部130aと第2撮像部130bの間を狭く配置することが可能になった。第1撮像部130aと第2撮像部130bの間を狭く配置することにより、第1撮像部130aと第2撮像部130bの間において用紙が波打つことが抑制され、撮像された画像データにおけるピントずれ、明るさのムラ等をさらに抑制することが可能となった。
【0077】
さらに、用紙搬送装置100では、用紙は先端がガラス面135aに沿って搬送されるので、用紙の先端によりガラス面135aのクリーニングが可能となった。
【0078】
さらに、用紙搬送装置100では、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117のニップ位置と、第2搬送ローラ140及び第2従動ローラ141のニップ位置は、ガラス面135aに対して、搬送されるカードに形成され得るエンボスの高さより高くなるように設定される。したがって、用紙搬送装置100は、エンボスを有するカードが搬送された場合の累積スキューの発生を抑制し、画像データにおける歪みの発生を抑制することが可能となった。