特許第5901476号(P5901476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5901476
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】噛合チェーン式進退作動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/02 20060101AFI20160331BHJP
   F16G 13/20 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   F16H19/02 A
   F16G13/20
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-195531(P2012-195531)
(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公開番号】特開2014-52005(P2014-52005A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2014年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100111372
【弁理士】
【氏名又は名称】津野 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100112298
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100168538
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 来
(72)【発明者】
【氏名】佐治 智之
(72)【発明者】
【氏名】和田 亨
【審査官】 河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−169693(JP,A)
【文献】 特開2009−001378(JP,A)
【文献】 特開2009−120308(JP,A)
【文献】 実開平01−070790(JP,U)
【文献】 特開2012−001360(JP,A)
【文献】 特開2011−144832(JP,A)
【文献】 特開2009−269751(JP,A)
【文献】 特開平11−156666(JP,A)
【文献】 特開平02−172650(JP,A)
【文献】 特開2001−246531(JP,A)
【文献】 特開2004−130437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/02
F16G 13/20
B66F 7/02
B66F 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被作動体へ動力を伝達して被作動体を進退させる一対の噛合チェーンと、被作動体の進退方向に伸縮して被作動体をベースに対して進退方向にガイドする進退ガイド機構とを備えた噛合チェーン式進退作動装置において、
前記進退ガイド機構が、前記進退方向に相対的にスライド自在な複数のスライド部を有するとともに、該複数のスライド部の並設方向と前記進退方向とが交差し、前記スライド部が、前記並設方向で隣り合う同士で接触した状態で設けられ、
前記進退方向に進退ガイド機構の伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向退避側端である退避側端スライド部が、前記ベースに対して相対的に固定され、
前記伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向進出側端である進出側端スライド部が、前記並設方向で退避側端スライド部よりも噛合チェーンに接近する側に配設されているとともに、前記被作動体または噛合チェーンの噛み合い部分の進退方向進出側と接続され噛み合い部分の進退方向進出側に対して相対的に固定され
前記進退ガイド機構が、前記一対の噛合チェーンに対してチェーン幅方向の片側のみに設置されていることを特徴とする噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項2】
前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部の前記進退方向から視た断面積が、前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側スライド部より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部の前記進退方向から視た断面積より大きく設けられていることを特徴とする請求項1に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項3】
前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部が、前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側スライド部より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部の材質より剛性の高い材質で設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項4】
前記スライド部の数が3つ以上であり、前記退避側端スライド部と進出側端スライド部との間の中間スライド部が、該中間スライド部の進退方向進出側から前記並設方向噛合チェーン側に延びたアームと、該アームの先端側に設けられて噛合チェーンの噛み合い部分と係合するとともに噛合チェーンの噛み合い部分に対して進退方向にスライド自在な係合部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いて噛合チェーンの先端側を進退方向に進退動させる噛合チェーン式進退作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被作動体へ動力を伝達して被作動体を進退させる一対の噛合チェーンと、被作動体の進退方向に伸縮して被作動体をベースに対して進退方向にガイドする進退ガイド機構とを備えた噛合チェーン式進退作動装置が知られている(例えば、特許文献1乃至特許文献3)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の第1態様の噛合チェーン式進退作動装置の進退ガイド機構は、X字状の揺動自在なアームが進退方向に複数連なっている所謂、多段パンタグラフ構造を有していた。
そして、多段パンタグラフの進退方向一端がベースと接続され、他端が被作動体としての昇降テーブルと接続されていた。
【0004】
また、特許文献2に記載された従来の第2態様の噛合チェーン式進退作動装置の進退ガイド機構は、進退方向に延設された一本の長尺なガイドポールと、噛合チェーンの先端側に取り付けられた被作動体としての昇降テーブルに設けられた一対のガイドローラとを有していた。
そして、一対のガイドローラが、ガイドポールを挟持しながら進退方向へ移動するように構成されていた。
【0005】
また、特許文献3に記載された従来の第3態様の噛合チェーン式進退作動装置の進退ガイド機構は、揺動自在な屈曲アームを有していた。
そして、屈曲アームの一端がベースと接続され、他端が被作動体としての昇降テーブルと接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−001377号公報
【特許文献2】特開2011−111314号公報
【特許文献3】特開2012−001360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した従来の第1態様の噛合チェーン式進退作動装置の進退ガイド機構は、多段パンタグラフ構造であったため、アームの揺動自在に接続された箇所が多くてこの箇所のガタによる影響が大きく、進退方向が水平方向である場合にパンタグラフに負荷がかかってパンタグラフの進退方向進出側がおじぎするように下方に垂れ下がって被作動体を安定してガイドすることができないという問題があった。
【0008】
また、上述した従来の第2態様の噛合チェーン式進退作動装置の進退ガイド機構は、一対のガイドローラがガイドポールを挟持しながら進退方向へ移動する構造であったため、ガイドローラ間の干渉など不具合が生じて被作動体を安定してガイドすることができないという問題や、ガイドポールを進退方向に被作動体のストローク分程度長尺にする必要があり構造が肥大するという問題があった。
【0009】
さらに、上述した従来の第3態様の噛合チェーン式進退作動装置の進退ガイド機構は、揺動自在な屈曲アームを有する構造であったため、アームの揺動自在に接続された箇所のガタによる影響が長尺なアームによって大きくなって被作動体を安定してガイドすることができないという問題があった。
【0010】
そこで、アームの揺動自在に接続された箇所をなくすとともに、ガイドポールをなくすために、例えば、図9(A)および図9(B)に示す噛合チェーン式進退作動装置700の構成が考えられる。
ここで、図9(A)は、本願で問題とする噛合チェーン式進退作動装置700の退避時を示す側面図であり、図9(B)は、本願で問題とする噛合チェーン式進退作動装置700の進出時を示す側面図である。
【0011】
図9(A)および図9(B)に示すように、本願で問題とする噛合チェーン式進退作動装置700は、被作動体710の進退方向Sに伸縮して被作動体710をベース720に対して進退方向Sにガイドする進退ガイド機構730と、図示しない駆動モータの動力を被作動体710へ伝達して被作動体710を進退させる一対の噛合チェーンとを有している。
ベース720は、一対に噛合チェーンの噛み外れ部分を収納するチェーン収納部721と、一対に噛合チェーンに駆動モータの動力を伝達する駆動スプロケット(図示せず)とを有している。
【0012】
他方、進退ガイド機構730は、所謂、筒状のテレスコピック構造であり、第1筒部731と、第2筒部732と、第3筒部733と、第4筒部734とを有している。
第4筒部734は、第3筒部733の内部に出入りするようにスライド自在であり、第3筒部733は、第2筒部732の内部に出入りするようにスライド自在であり、第2筒部732は、第1筒部731の内部に出入りするようにスライド自在である。
また、第1筒部731は、ベース720に対して相対的に固定されている。
【0013】
そして、図9(A)に示すように、噛合チェーンの噛み合い部分740Gが進退方向退避側へ移動した状態では、第1筒部731の内部に第2筒部732〜第4筒部734が入り込むため、進退ガイド機構730が進退方向Sにコンパクトになる。
他方、図9(B)に示すように、噛合チェーンの噛み合い部分740Gが進退方向進出側へ移動すると、進退方向退避側から進出側へ向かって、第1筒部731、第2筒部732、第3筒部733、第4筒部734の順で並ぶようにして進退ガイド機構730が進退方向Sに伸びる。
【0014】
しかしながら、筒状のテレスコピック構造であるため、図9(A)の位置から図9(B)の位置へ噛合チェーンの噛み合い部分740Gが移動すると、進退ガイド機構730と噛合チェーンの噛み合い部分740Gとの間隔が変化する。
具体的には、図9(A)の状態では、進退ガイド機構730と噛合チェーンの噛み合い部分740Gとの間隔が、第1筒部731と噛合チェーンの噛み合い部分740Gの進出側との間の間隔L1であったのが、図9(B)の状態では、進退ガイド機構730と噛合チェーンの噛み合い部分740Gとの間隔が、第4筒部734と噛合チェーンの噛み合い部分740Gの進出側との間の間隔L2に変化する。
そのため、噛合チェーンの噛み合い部分740Gの進出側端が搬送物などから受ける負荷に対する耐荷重が変化して、噛合チェーンの噛み合い部分740Gおよび被作動体710を安定してガイドすることができないという問題がある。
【0015】
そこで、本発明は、前述したような従来技術などの問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、噛合チェーンの噛み合い部分および被作動体を安定してガイドする進退ガイド機構を有する噛合チェーン式進退作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本請求項1に係る発明は、被作動体へ動力を伝達して被作動体を進退させる一対の噛合チェーンと、被作動体の進退方向に伸縮して被作動体をベースに対して進退方向にガイドする進退ガイド機構とを備えた噛合チェーン式進退作動装置において、前記進退ガイド機構が、前記進退方向に相対的にスライド自在な複数のスライド部を有するとともに、該複数のスライド部の並設方向と前記進退方向とが交差し、前記スライド部が、前記並設方向で隣り合う同士で接触した状態で設けられ、前記進退方向に進退ガイド機構の伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向退避側端である退避側端スライド部が、前記ベースに対して相対的に固定され、前記伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向進出側端である進出側端スライド部が、前記並設方向で退避側端スライド部よりも噛合チェーンに接近する側に配設されているとともに、前記被作動体または噛合チェーンの噛み合い部分の進退方向進出側と接続され噛み合い部分の進退方向進出側に対して相対的に固定され、前記進退ガイド機構が、前記一対の噛合チェーンに対してチェーン幅方向の片側のみに設置されていることにより、前述した課題を解決するものである。
ここで、「相対的に固定」は、相対的に位置関係が変わらないように固定されていればよく、対象物に対して直接的に固定されていてもよいし、間接的に固定されていてもよい。
【0017】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された噛合チェーン式進退作動装置の構成に加えて、前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部の前記進退方向から視た断面積が、前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側スライド部より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部の前記進退方向から視た断面積より大きく設けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0018】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された噛合チェーン式進退作動装置の構成に加えて、前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部が、前記複数のスライド部のうちの進退方向退避側スライド部より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部の材質より剛性の高い材質で設けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0019】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載された噛合チェーン式進退作動装置の構成に加えて、前記スライド部の数が3つ以上であり、前記退避側端スライド部と進出側端スライド部との間の中間スライド部が、該中間スライド部の進退方向進出側から前記並設方向噛合チェーン側に延びたアームと、該アームの先端側に設けられて噛合チェーンの噛み合い部分と係合するとともに噛合チェーンの噛み合い部分に対して進退方向にスライド自在な係合部とを備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、一対の噛合チェーンと、被作動体の進退方向に伸縮して被作動体をベースに対して進退方向にガイドする進退ガイド機構とを備えていることにより、駆動モータなどの動力を被作動体へ伝達して被作動体が進退移動できるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
【0021】
本請求項1に係る発明の噛合チェーン式進退作動装置によれば、進退ガイド機構が、進退方向に相対的にスライド自在な複数のスライド部を有するとともに、この複数のスライド部の並設方向と進退方向とが交差し、スライド部が、並設方向で隣り合う同士で接触した状態で設けられ、進退方向に進退ガイド機構の伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向退避側端である退避側端スライド部が、ベースに対して相対的に固定され、伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向進出側端である進出側端スライド部が、並設方向で退避側端スライド部よりも噛合チェーンに接近する側に配設されているとともに、被作動体または噛合チェーンの噛み合い部分の進退方向進出側と接続され噛み合い部分の進退方向進出側に対して相対的に固定され、進退ガイド機構が、一対の噛合チェーンに対してチェーン幅方向の片側のみに設置されていることにより、被作動体が進退方向に進出退避移動するストロークの全範囲で進出側端スライド部と噛合チェーンの噛み合い部分の進出側との間が常に同じ間隔となり噛合チェーンの噛み合い部分の進出側端部が搬送物などから受ける負荷に対する耐荷重がストロークの全範囲で常に一定となるため、進退ガイド機構は噛合チェーンの噛み合い部分および被作動体を安定してガイドすることができる。
【0022】
本請求項2に係る発明の噛合チェーン式進退作動装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部の進退方向から視た断面積が、複数のスライド部のうちの進退方向退避側スライド部より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部の進退方向から視た断面積より大きく設けられていることにより、噛合チェーンの噛み合い部分が進出した状態で負荷が進出側よりも大きく作用する退避側で耐荷重が大きくなるため、複数のスライド部の断面積が同じ構成と比べて、進退ガイド機構の剛性の低下を抑制できる。
【0023】
本請求項3に係る発明の噛合チェーン式進退作動装置によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部が、複数のスライド部のうちの進退方向退避側スライド部より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部の材質より剛性の高い材質で設けられていることにより、噛合チェーンの噛み合い部分が進出した状態で負荷が進出側よりも大きく作用する退避側で耐荷重が大きくなるため、複数のスライド部の材質が同じ構成と比べて、進退ガイド機構の剛性の低下を抑制できる。
【0024】
本請求項4に係る発明の噛合チェーン式進退作動装置によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、スライド部の数が3つ以上であり、退避側端スライド部と進出側端スライド部との間の中間スライド部が、この中間スライド部の進退方向進出側から並設方向噛合チェーン側に延びたアームと、このアームの先端側に設けられて噛合チェーンの噛み合い部分と係合するとともに噛合チェーンの噛み合い部分に対して進退方向にスライド自在な係合部とを備えていることにより、噛合チェーンの噛み合い部分が進出した状態でアームの係合部が噛合チェーンの噛み合い部分の中間部と係合するため、より安定して噛合チェーンの噛み合い部分および被作動体をガイドすることができる。
さらに、噛合チェーンの噛み合い部分が退避する際は中間スライド部のアームが進行方向後方となってベースの近傍に到達するため、噛合チェーンの噛み合い部分の退避移動に伴ってアームが邪魔することなく進退ガイド機構はスムーズに縮むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施例の進出時の噛合チェーン式進退作動装置を示す斜視図。
図2】噛合チェーン式進退作動装置に用いられる一対の噛合チェーンの分解斜視図および斜視図。
図3】本発明の第1実施例の退避時の噛合チェーン式進退作動装置の正面図および側面図。
図4】本発明の第1実施例の進出時の噛合チェーン式進退作動装置を示す側面図。
図5】本発明の第2実施例の噛合チェーン式進退作動装置を示す正面図。
図6】本発明の第3実施例の噛合チェーン式進退作動装置を示す正面図。
図7】本発明の第4実施例の退避時の噛合チェーン式進退作動装置の正面図および側面図。
図8】本発明の第4実施例の進出時の噛合チェーン式進退作動装置を示す側面図。
図9】本願で問題とする噛合チェーン式進退作動装置の退避時および進出時を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、被作動体へ動力を伝達して被作動体を進退させる一対の噛合チェーンと、被作動体の進退方向に伸縮して被作動体をベースに対して進退方向にガイドする進退ガイド機構とを備えた噛合チェーン式進退作動装置において、進退ガイド機構が、進退方向に相対的にスライド自在な複数のスライド部を有するとともに、この複数のスライド部の並設方向と進退方向とが交差し、スライド部が、並設方向で隣り合う同士で接触した状態で設けられ、進退方向に進退ガイド機構の伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向退避側端である退避側端スライド部が、ベースに対して相対的に固定され、伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向進出側端である進出側端スライド部が、並設方向で退避側端スライド部よりも噛合チェーンに接近する側に配設されているとともに、被作動体または噛合チェーンの噛み合い部分の進退方向進出側と接続され噛み合い部分の進退方向進出側に対して相対的に固定され、進退ガイド機構が、一対の噛合チェーンに対してチェーン幅方向の片側のみに設置されていることにより、噛合チェーンの噛み合い部分および被作動体を安定してガイドするものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0027】
例えば、噛合チェーン式進退作動装置の動力は、駆動モータの動力によるものでもよいし、人がレバーやハンドルを回転する力によるものでもよい。
さらに、駆動モータなどの動力を噛合チェーンに伝達する駆動スプロケットは、一対の噛合チェーンの両側に1つずつ配設してもよいし、片側に1つ配設してもよい。
また、噛合チェーンは、チェーン幅方向左右一対で配置される内歯プレートからなる内リンクユニットをチェーン幅方向に複数列接続した多列構造を有していてもよいし、単列構造を有していてもよい。
さらに、噛合チェーンは、ブシュを配置しないで連結ピンのみで内歯プレート及び外歯プレートを多数連結して構成された噛合チェーンでもよいし、ブシュ或いはブシュに遊嵌されたローラに駆動スプロケットを係合させて駆動されるものであってもよい。
【0028】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いる噛合チェーンの内歯プレート及び外歯プレートなどのプレートの具体的な形状については、相互に対向する同種のプレート同士をそれぞれ噛み合せて一体とするとともにそれぞれ噛み外して分岐するものであれば如何なる形状を呈するものであってもよい。
【実施例1】
【0029】
以下に、本発明の第1実施例である噛合チェーン式進退作動装置100について、図1乃至図4に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例の進出時の噛合チェーン式進退作動装置100を示す斜視図であり、図2(A)は、本発明の第1実施例である噛合チェーン式進退作動装置100の一対の噛合チェーン140の一部の分解斜視図であり、図2(B)は、本発明の第1実施例である噛合チェーン式進退作動装置100の一対の噛合チェーン140の斜視図であり、図3(A)は、本発明の第1実施例の退避時の噛合チェーン式進退作動装置100の正面図であり、図3(B)は、図3(A)で示す符号3Bから視た側面図であり、図4は、図1で示す符号4から視た側面図である。
【0030】
本発明の第1実施例である噛合チェーン式進退作動装置100は、図1乃至図4に示すように、被作動体110へ駆動モータ(図示せず)の動力を伝達して被作動体110を進退させる一対の噛合チェーン140と、被作動体110の進退方向Sに伸縮して被作動体110をベース120に対して進退方向Sにガイドする進退ガイド機構130とを備えている。
【0031】
そして、駆動モータの動力をベース120内で駆動スプロケット(図示せず)を介して一対の噛合チェーン140に伝達して一対の噛合チェーン140をベース120のチェーン収納部121に対して出し入れして、被作動体110をベース120に対して進退方向Sに進退させるように構成されている。
これにより、例えば、進退方向Sが鉛直方向である場合は、被作動部110に載置した搬送物(図示せず)を進退方向Sへ移動させることができ、進退方向Sが水平方向である場合は、被作動体110と当接する搬送物を進退方向Sへ移動させることができる。
【0032】
ここで、噛合チェーン式進退作動装置100に使用される一対の噛合チェーン140について説明する。
図2(A)および図2(B)に示すように、一対の噛合チェーン140は、一方の噛合チェーン140Aと他方の噛合チェーン140Bとから構成されている。
一対のうちの一つ(一方)の噛合チェーン140Aは、一例として、内歯プレート141と、外歯プレート142と、ブシュ143と、連結ピン144と、ローラ145とから構成されている。
【0033】
このうち、内歯プレート141は、チェーン幅方向Uに一対で離間配置され、チェーン長手方向前後に配設されたブシュ孔を有している。
また、外歯プレート142は、一対の内歯プレート141の外側に一対配置され、チェーン長手方向前後に配設されたピン孔を有している。
【0034】
そして、ローラ145に回動自在に挿通されたブシュ143の両端が一対の内歯プレート141のブシュ孔に圧入されるとともに、連結ピン144をブシュ143に回動自在に挿通してこの連結ピン144が一対の外歯プレート142のピン孔に圧入されることにより、内歯プレート141と外歯プレート142とがチェーン長手方向に連結されている。
なお、本実施例では、一対の内歯プレート141と一対の外歯プレート142とからなるユニットがチェーン幅方向Uで1列構成されているが、2列以上であってもよいのは言うまでもない。
【0035】
駆動モータ(図示せず)が、例えば、正転駆動すると、駆動モータの動力が、図示しない駆動スプロケットと介して、2つのチェーン収納部121に収納された一対の噛合チェーン140の噛み外れた噛み外れ部分140Hをそれぞれ引き出して一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140G側であるチェーン長手方向一端側(進退方向進出側)へ移動させる。
【0036】
そして、噛み外れ部分140Hが動力を受けて移動しながら図示しない二本のガイド溝の合流によって順次互いに噛み合って一体化し、一体化した噛み合い部分140Gが進退方向進出側へ移動する。
他方、駆動モータが逆転駆動すると、一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gが動力を受けて進退方向退避側へ移動しながら図示しない一本のガイド溝の分岐によって互いに噛み外れ、噛み外れた噛み外れ部分140Hがチェーン長手方向他端側(進退方向退避側)へ移動して2つのチェーン収納部121にそれぞれ収納されるように構成されている。
【0037】
続いて、本発明の噛合チェーン式進退作動装置100の進退ガイド機構130について説明する。
進退ガイド機構130が、進退方向Sに相対的にスライド自在な複数のスライド部として退避側端スライド部131、中間スライド部133および進出側端スライド部132を有している。
【0038】
そして、これらの退避側端スライド部131、中間スライド部133および進出側端スライド部132の並設方向Tと進退方向Sとが交差し、退避側端スライド部131、中間スライド部133および進出側端スライド部132が、並設方向Tで隣り合う同士で接触した状態で設けられている。
また、進退方向Sに進退ガイド機構130の伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向退避側端である退避側端スライド部131が、ベース120に対して相対的に固定されている。
つまり、退避側端スライド部131が、ベース120に対して直接的または間接的に固定されている。
【0039】
さらに、進退方向Sに進退ガイド機構130の伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向進出側端である進出側端スライド部132が、並設方向Tで退避側端スライド部131よりも一対の噛合チェーン140に接近する側に配設されている。
また、進出側端スライド部132が、被作動体110または一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gの進退方向進出側と接続され噛み合い部分140Gの進退方向進出側に対して相対的に固定されている。
【0040】
これにより、被作動体110が進退方向Sに進出退避移動するストロークの全範囲で進出側端スライド部132と一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gの進出側との間が常に同じ間隔Lとなり、一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gの進出側端部が搬送物などから受ける負荷に対する耐荷重がストロークの全範囲で常に一定となる。
【0041】
具体的には、図1図3(A)、図3(B)および図4に示すように、退避側端スライド部131、中間スライド部133、進出側端スライド部132が、並設方向噛合チェーン側へ向かって順に並んで配設されている。
ここで、進退方向Sを水平方向とし、並設方向Tを鉛直方向としてもよいし、進退方向Sを鉛直方向とし、並設方向Tを水平方向としてもよい。
並設方向Tを鉛直方向とした場合、進退ガイド機構130が一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gの下方に位置して、進退ガイド機構130が一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gからの油受けとなる。
【0042】
このうち、退避側端スライド部131は、進退方向Sに延設された突条レール部131aと、進退方向進出側に設けられた進出側規制部131dと、進退方向退避側に設けられた退避側規制部131eとを有している。
また、中間スライド部133は、進退方向Sに延設された突条レール部133aと、退避側端スライド部131の突条レール部131aと摺動自在に係合する凹状溝部133bと、退避側端スライド部131の進出側規制部131dおよび退避側規制部131eと当接可能な突起部133cと、進退方向進出側に設けられた進出側規制部133dと、進退方向退避側に設けられた退避側規制部133eとを有している。
さらに、進出側端スライド部132は、中間スライド部133の突条レール部133aと摺動自在に係合する凹状溝部132bと、中間スライド部133の進出側規制部133dおよび退避側規制部133eと当接可能な突起部132cとを有している。
【0043】
例えば、進退方向Sから視た退避側端スライド部131の突条レール部131aの断面形状をT字形状などに形成するとともに進退方向Sから視た中間スライド部133の凹状溝部133bの断面形状をレールの断面T字形状の周囲に回り込む形状などに形成して、中間スライド部133の凹状溝部133bが退避側端スライド部131の突条レール部131aと係合するように構成してもよい。
これにより、中間スライド部133と退避側端スライド部131とが互いに離れる方向(T)への移動を規制しながら進退方向Sへスライド自在となる。
【0044】
同様に、進退方向Sから視た中間スライド部133の突条レール部133aの断面形状をT字形状などに形成するとともに進退方向Sから視た進出側端スライド部132の凹状溝部132bの断面形状をレールの断面T字形状の周囲に回り込む形状などに形成して、進出側端スライド部132の凹状溝部132bが中間スライド部133の突条レール部133aと係合するように構成してもよい。
これにより、中間スライド部133と進出側端スライド部132とが互いに離れる方向(T)への移動を規制しながら進退方向Sへスライド自在となる。
【0045】
そして、一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gが退避移動して進退ガイド機構130が進退方向Sに縮んだ状態では、図3(B)に示すように、退避側端スライド部131の退避側規制部131eと、中間スライド部133の突起部133cとが当接している。
同様に、中間スライド部133の退避側規制部133eと、進出側端スライド部132の突起部132cとが当接している。
【0046】
ここで、一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gが進出移動して進退ガイド機構130が進退方向Sに伸びる際、先ず、進出側端スライド部132が、中間スライド部133に対して進退方向進出側へ相対的にスライドする。
このとき、進出側端スライド部132の突起部132cが、中間スライド部133の退避側規制部133eから離間して中間スライド部133の進出側規制部133dに接近する。
【0047】
そして、進出側端スライド部132の突起部132cが中間スライド部133の進出側規制部133dと当接すると、進出側端スライド部132と中間スライド部133とが一体となって退避側端スライド部131に対して相対的に進退方向進出側へスライドする。
このとき、中間スライド部133の突起部133cが、退避側端スライド部131の退避側規制部131eから離間して退避側端スライド部131の進出側規制部131dに接近する。
【0048】
そして、図4に示すように、中間スライド部133の突起部133cが、退避側端スライド部131の進出側規制部131dと当接する直前となる被作動体110が所定のストローク移動したところで停止する。
ここで、上述したように、被作動体110が所定のストローク移動する間、進出側端スライド部132と一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gの進出側との間の間隔Lが常に一定となり、一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gの進出側端が搬送物などから受ける負荷に対する耐荷重がストロークの全範囲で常に一定となる。
【0049】
他方、図4に示す状態から、一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gが退避移動して進退ガイド機構130が進退方向Sに縮む際、先ず、進出側端スライド部132が、中間スライド部133に対して進退方向退避側へ相対的にスライドする。
このとき、進出側端スライド部132の突起部132cが、中間スライド部133の進出側規制部133dから離間して中間スライド部133の退避側規制部133eに接近する。
【0050】
そして、進出側端スライド部132の突起部132cが中間スライド部133の退避側規制部133eと当接すると、進出側端スライド部132と中間スライド部133とが一体となって退避側端スライド部131に対して相対的に進退方向退避側へスライドする。
このとき、中間スライド部133の突起部133cが、退避側端スライド部131の進出側規制部131dからより一層離間して退避側端スライド部131の退避側規制部131eに接近する。
そして、図3(B)に示すように、中間スライド部133の突起部133cが退避側端スライド部131の退避側規制部131eと当接する直前となる被作動体110が所定のストローク移動したところで停止する。
【0051】
このようにして得られた本発明の第1実施例である噛合チェーン式進退作動装置100は、進退ガイド機構130が、進退方向Sに相対的にスライド自在な複数のスライド部として退避側端スライド部131、中間スライド部133および進出側端スライド部132を有するとともに、これら退避側端スライド部131、中間スライド部133および進出側端スライド部132の並設方向Tと進退方向Sとが交差し、これら退避側端スライド部131、中間スライド部133および進出側端スライド部132が、並設方向Tで隣り合う同士で接触した状態で設けられ、進退方向Sに進退ガイド機構130の伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向退避側端である退避側端スライド部131が、ベース120に対して相対的に固定され、伸びた状態で複数のスライド部のうちの進退方向進出側端である進出側端スライド部132が、並設方向Tで退避側端スライド部131よりも一対の噛合チェーン140に接近する側に配設されているとともに、被作動体110または一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gの進退方向進出側と接続され噛み合い部分140Gの進退方向進出側に対して相対的に固定されていることにより、進退ガイド機構130は一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gおよび被作動体110を安定してガイドすることができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0052】
続いて、本発明の第2実施例である噛合チェーン式進退作動装置200について、図5に基づいて説明する。
ここで、図5は、本発明の第2実施例の噛合チェーン式進退作動装置200を示す正面図である。
【0053】
第2実施例の噛合チェーン式進退作動装置200は、第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100の進退ガイド機構130のスライド部の数を4つに増やすとともに各スライド部間で係合する突条レール部および凹状溝部を2組にしたものであり、多くの要素について第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する200番台の符号を付すのみとする。
【0054】
本発明の第2実施例である噛合チェーン式進退作動装置200の進退ガイド機構230は、図5に示すように、複数のスライド部として退避側端スライド部231、第1中間スライド部233、第2中間スライド部234および進出側端スライド部232を有している。
このうち、退避側端スライド部231は、進退方向Sに延設された突条レール部231aを2つ有している。
つまり、2本の突条レール部231aが形成されている。
【0055】
また、第1中間スライド部233は、進退方向Sに延設された2つの突条レール部233aと、退避側端スライド部231の2つの突条レール部231aと摺動自在にそれぞれ係合する2つの凹状溝部233bとを有している。
さらに、第2中間スライド部234は、進退方向Sに延設された2つの突条レール部234aと、第1中間スライド部233の2つの突条レール部233aと摺動自在にそれぞれ係合する2つの凹状溝部234bとを有している。
【0056】
また、進出側端スライド部232は、第2中間スライド部234の2つの突条レール部234aと摺動自在にそれぞれ係合する2つの凹状溝部232bを有している。
これにより、各スライド部間の係合箇所が増えて進退方向Sに伸びたときの進退ガイド機構230の剛性が高まる。
【実施例3】
【0057】
続いて、本発明の第3実施例である噛合チェーン式進退作動装置300について、図6に基づいて説明する。
ここで、図6は、本発明の第3実施例の噛合チェーン式進退作動装置300を示す正面図である。
【0058】
第3実施例の噛合チェーン式進退作動装置300は、第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100の進退ガイド機構130のスライド部の数を4つに増やすとともにベース120に対する各スライド部の並設方向Tを変更したものであり、多くの要素について第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する300番台の符号を付すのみとする。
【0059】
本発明の第3実施例である噛合チェーン式進退作動装置300の進退ガイド機構330は、図6に示すように、複数のスライド部として退避側端スライド部331、第1中間スライド部333、第2中間スライド部334および進出側端スライド部332を有している。
さらに、退避側端スライド部331、第1中間スライド部333、第2中間スライド部334および進出側端スライド部332は、並設方向Tで接触した状態で配設されている。
【0060】
ここで、被作動体310の進退方向Sを水平方向とし、並設方向Tも水平方向としてもよいし、被作動体310の進退方向Sを鉛直方向とし、並設方向Tを水平方向としてもよい。
つまり、退避側端スライド部331、第1中間スライド部333、第2中間スライド部334および進出側端スライド部332は、並設方向Tに並んで接触した状態で配設されていれば、上述した第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【実施例4】
【0061】
続いて、本発明の第4実施例である噛合チェーン式進退作動装置400について、図7および図8に基づいて説明する。
ここで、図7(A)は、本発明の第4実施例の退避時の噛合チェーン式進退作動装置400の正面図であり、図7(B)は、図7(A)に示す符号7Bから視た側面図であり、図8は、本発明の第4実施例の進出時の噛合チェーン式進退作動装置400を示す側面図である。
【0062】
第4実施例の噛合チェーン式進退作動装置400は、第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100の進退ガイド機構130のスライド部の数を4つに増やすとともに進退方向Sから各スライド部の断面積を変更し、中間のスライド部に一対の噛合チェーン140の噛み合い部分140Gと係合するアーム(433f、434f)を形成したものであり、多くの要素について第1実施例の噛合チェーン式進退作動装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する400番台の符号を付すのみとする。
【0063】
本発明の第4実施例である噛合チェーン式進退作動装置400の進退ガイド機構430は、図7および図8に示すように、複数のスライド部として退避側端スライド部431、第1中間スライド部433、第2中間スライド部434および進出側端スライド部432を有している。
【0064】
さらに、複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部としての第1中間スライド部433の進退方向Sから視た断面積が、複数のスライド部のうちの第1中間スライド部433より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部としての第2中間スライド部434の進退方向Sから視た断面積より大きく設けられている。
これにより、一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gが進出した状態で負荷が進出側よりも大きく作用する退避側で耐荷重が大きくなる。
本実施例では、一例として、第1中間スライド部433の基部における並設方向Tの厚みTH2が、第2中間スライド部434の基部における並設方向Tの厚みTH1より厚く設けられている分だけ、第1中間スライド部433の進退方向Sから視た断面積が、第2中間スライド部434の進退方向Sから視た断面積より大きく設けられている。
なお、厚みだけでなく幅を変えて断面積を大きくしてもよいのは勿論である。
【0065】
また、複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部としての第1中間スライド部433が、複数のスライド部のうちの第1中間スライド部433より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部としての第2中間スライド部434の材質より剛性の高い材質で設けられている。
これにより、一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gが進出した状態で負荷が進出側よりも大きく作用する退避側で耐荷重が大きくなる。
本実施例では、一例として、第1中間スライド部433の材質は、鋼材であり、他方の第2中間スライド部434の材質は、アルミニウムである。
【0066】
また、スライド部の数が3つ以上であり、退避側端スライド部431と進出側端スライド部432との間の第1中間スライド部433(第2中間スライド部434)が、第1中間スライド部433(第2中間スライド部434)における進退方向進出側から並設方向噛合チェーン側に延びたアーム433f(434f)と、このアーム433f(434f)の先端側に設けられて一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gと係合するとともに一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gに対して進退方向Sにスライド自在な係合部433g(434g)とを備えている。
これにより、一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gが進出した状態でアーム433f(434f)の係合部433g(434g)が一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gの中間部と係合する。
さらに、一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gが退避する際は第1中間スライド部433のアーム433fおよび第2中間スライド部434のアーム434fが、進行方向後方となってベース420の近傍に到達し、アーム433f、434fが邪魔することなく進退ガイド機構130がスムーズに縮む。
【0067】
具体的には、第1中間スライド部433は、第1中間スライド部433における進退方向進出側で第1中間スライド部433から並設方向噛合チェーン側に延びたアーム433fと、アーム433fの先端側に形成されて一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gと係合するとともに進退方向Sにスライド自在な係合部433gとを備えている。
第1中間スライド部433の係合部433gは、一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gと係合して一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gに対して並設方向Tへの相対的な移動を規制するように形成されている。
なお、第1中間スライド部433の係合部433gは、外歯プレート141の外側面から外側へ突出した連結ピン144の端部と進退方向Sにスライド自在に係合する凹部を有することにより、進退方向Sおよび並設方向Tと直交する方向への相対的な移動を規制することができる。
【0068】
同様に、第2中間スライド部434は、第2中間スライド部434における進退方向進出側で、かつ、第1中間スライド部433のアーム433fより進退方向進出側で、第2中間スライド部434から並設方向噛合チェーン側に延びたアーム434fと、アーム434fの先端側に形成されて一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gと係合するとともに進退方向Sにスライド自在な係合部434gとを備えている。
【0069】
そして、第2中間スライド部434の係合部434gは、第1中間スライド部433のアーム433fの係合部433gより進退方向進出側で一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gと係合して一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gに対して並設方向Tへの相対的な移動を規制するように形成されている。
【0070】
なお、第1実施例と同様、退避側端スライド部431は、進出側規制部431dと、退避側規制部431eとを有している。
また、第1中間スライド部433は、突起部433cと、進出側規制部433dと、退避側規制部433eとを有している。
同様に、第2中間スライド部434は、突起部434cと、進出側規制部434dと、退避側規制部434eとを有している。
さらに、進出側端スライド部432は、突起部432cを有している。
【0071】
また、例えば、退避側での凹状溝部433bと突条レール部431aとの係合箇所に回動自在なコロを設け、他方の進出側での凹状溝部434bと突条レール部433aとの係合箇所に回動自在なボールを設けるのが望ましい。
これにより、コロはボールより耐荷重が大きいため、進退方向退避側での耐荷重を進出側より大きくすることができる。
【0072】
このようにして得られた本発明の第4実施例である噛合チェーン式進退作動装置400は、複数のスライド部のうちの進退方向退避側である進退方向退避側スライド部としての第1中間スライド部433の進退方向Sから視た断面積が、複数のスライド部のうちの第1中間スライド部433より進退方向進出側である進退方向進出側スライド部としての第2中間スライド部434の進退方向Sから視た断面積より大きく設けられていることにより、複数のスライド部の厚みが同じ構成と比べて、進退ガイド機構430の剛性の低下を抑制できる。
【0073】
さらに、スライド部の数が3つ以上であり、退避側端スライド部431と進出側端スライド部432との間の第1中間スライド部433(第2中間スライド部434)が、第1中間スライド部433(第2中間スライド部434)の進退方向進出側から並設方向噛合チェーン側に延びたアーム433f(434f)と、このアーム433f(434f)の先端側に設けられて一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gと係合するとともに一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gに対して進退方向Sにスライド自在な係合部433g(434g)とを備えていることにより、より安定して一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gおよび被作動体410をガイドすることができるとともに、一対の噛合チェーン440の噛み合い部分440Gの退避移動に伴ってアーム433f(434f)が邪魔することなく進退ガイド機構430はスムーズに縮むことができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0074】
100、 200、 300、 400 ・・・ 噛合チェーン式進退作動装置
110、 210、 310、 410 ・・・ 被作動体
120、 220、 320、 420 ・・・ ベース
121、 221、 321、 421 ・・・ チェーン収納部
130、 230、 330、 430 ・・・ 進退ガイド機構
131、 231、 331、 431 ・・・ 退避側端スライド部
131a、231a、331a、431a ・・・ 突条レール部
131d、 431d ・・・ 進出側規制部
131e、 431e ・・・ 退避側規制部
132、 232、 332、 432 ・・・ 進出側端スライド部
132b、232b、332b、432b ・・・ 凹状溝部
132c、 432c ・・・ 突起部
133、 233、 333、 433 ・・・ (第1)中間スライド部
133a、233a、333a、433a ・・・ 突条レール部
133b、233b、333b、433b ・・・ 凹状溝部
133c、 433c ・・・ 突起部
133d、 433d ・・・ 進出側規制部
133e、 433e ・・・ 退避側規制部
433f ・・・ アーム
433g ・・・ 係合部
234、 334、 434 ・・・ 第2中間スライド部
234a、334a、434a ・・・ 突条レール部
234b、334b、434b ・・・ 凹状溝部
434c ・・・ 突起部
434d ・・・ 進出側規制部
434e ・・・ 退避側規制部
434f ・・・ アーム
434g ・・・ 係合部
140、 440 ・・・ 一対の噛合チェーン
140A ・・・ 一方の噛合チェーン
140B ・・・ 他方の噛合チェーン
140G、 440G ・・・ 噛み合い部分
140H ・・・ 噛み外れ部分
141 ・・・ 内歯プレート
142 ・・・ 外歯プレート
143 ・・・ ブシュ
144 ・・・ 連結ピン
145 ・・・ ローラ
700 ・・・ 噛合チェーン式進退作動装置
710 ・・・ 被作動体
720 ・・・ ベース
721 ・・・ チェーン収納部
730 ・・・ 進退ガイド機構
731 ・・・ 第1筒部
732 ・・・ 第2筒部
733 ・・・ 第3筒部
734 ・・・ 第4筒部
740G ・・・ 一対の噛合チェーンの噛み合い部分
L ・・・ 進出側端スライド部との間隔
L1 ・・・ 第1筒部と噛み合い部分との間隔
L2 ・・・ 第4筒部と噛み合い部分との間隔
S ・・・ 進退方向
T ・・・ 並設方向
TH1 ・・・ (進出側スライド部の)厚み
TH2 ・・・ (退避側スライド部の)厚み
U ・・・ チェーン幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9